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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
サタデー自習室 -- 水の 経済学 ⑬
2017-07-01-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 有望な地域はアジア・アフリカ = 水ビジネスの規模を地域別にみると、15年時点では第1位が東アジア・大洋州で27兆5000億円。次いでヨーロッパ・旧ソ連が22兆円。そのあと北アメリカ、中東・アフリカ、中南米・カリブ海、南アジアという順。南アジアのビジネス規模は1兆9000億円だった。

20年の推計でも、この順位に変わりはない。第1位の東アジア・大洋州は33兆4000億円に増大する。最下位の南アジアは3兆5000億円と試算されている。だが伸び率でみると、第1位がこの南アジアで84%の拡大。次いで中東・アフリカの45%増、ヨーロッパ・旧ソ連は12.7%の伸びにとどまる見込みだ。

経産省が、なぜこのような地域割りをしたのかは不明。おそらく国連あたりの原データがそうなっているのだろう。ここで仮に南アジアを東アジア・大洋州に含めれば、水ビジネスの規模はアジアが断トツになる。第2位のアフリカと合わせれば、この両地域で全世界の半分近くを占めることになる。

世界のどの地域でも、水ビジネスは拡大して行く。だが、そのなかでも最も有望なのはアジアとアフリカ。人口増加と生活水準の向上が見込まれる地域だ。逆に言うと、アジアとアフリカの水ビジネスを制した企業が勝ち組になるだろう。そこで日本企業はどうなのか。答えは「残念ながら」と言わざるをえない。

                                  (続きは来週サタデー)

      ≪30日の日経平均 = 下げ -186.87円≫

      【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】   


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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話 (改訂版)
2017-07-02-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第14章 景気対策って、なんだろう? ⑨

◇ 効き目が薄れた財政からの刺激策 = 20世紀の初めに「景気が悪くなったときは、政府が需要を創り出してやればいい」と提唱したのは、有名な経済学者のジョン・ケインズでした。需要が減退して供給を下回ると、景気は悪くなりますね。そこで需要の不足分を、政府が補ってやればいいという理屈です。

このケインズ理論に従って、各国は景気が後退すると財政支出を増やして景気を支えたのです。その効果は確かにありました。戦後の日本も、何回となく財政支出による景気の刺激を試みています。しかし、その効果はしだいに低下してしまいました。どうしてでしょうか。

たとえば1964年の東京オリンピックに備えて、東京―大阪間に新幹線を造りました。人口が集中する2つの地域を結んだのですから、その経済効果はとても大きかったのです。ところが最近の北海道新幹線の場合は、便利にはなりましたが、経済効果という点ではぐっと落ちてしまいます。先進国ではインフラが充実した結果として、ケインズ理論が通用しにくくなってしまったと言えるでしょう。

国債を発行して財政支出を増大しても、期待するほどの効果はなくなった。それなら金融面からの景気刺激策も、一緒に実行しよう。こうして実現したのが、アベノミックスの第1と第2の矢だったのです。財政と金融の両面から景気を刺激する。この景気対策は、形のうえでは理想的なものでした。

                               (続きは来週日曜日)  


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今週のポイント
2017-07-03-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 警戒感と安心感のはざま = 株式市場の空気に、微妙な変化が生じている。各国の中央銀行総裁が申し合わせたように「金融緩和政策の出口論」に言及したためである。アメリカに次いで各国の金融政策が引き締めに転ずれば、株価には売り圧力が加わるかもしれない。その一方で緩和政策の終結は、景気の回復が順調なことを意味する。

ダウ平均は先週45ドルの値下がり。警戒感と安心感が交互したが、高値での利益確定売りがやや上回った。日経平均は99円の値下がり。一時は2万円を割り込む場面もあったが、終り値ではなんとか大台をキープした。こちらも市場の空気は揺れ動いたが、日銀の買い出動もあって大幅な下げは回避された。

東京都議会選挙の結果は、株価にどう影響するのだろう。都議会の議席よりも、市場は国政への影響を重視するのではないか。また今週はアメリカで6月の雇用統計が発表される。仮に予想を下回る結果が出ると、FRBの追加利上げは実行しにくくなる。ヨーロッパ諸国の緩和停止ムードと加えて、円相場はどう動くのか。予測はきわめて難しい。

今週は3日に、6月の日銀短観、消費者態度指数、新車販売台数。7日に、5月の景気動向指数。アメリカでは3日に、6月の新車販売台数とISM製造業景況指数。6日に、6月のISM非製造業景況指数。7日に、6月の雇用統計が発表される。

      ≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ


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解散は近いのか? : 安倍首相の胸の内
2017-07-04-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 小池都知事の動き方しだい = 東京都議選で、自民党が歴史的な惨敗を喫した。都民ファーストの会が6議席を55議席に増やしたのに対して、自民党は57議席を23議席に減らしてしまった。安倍首相は「政権のゆるみに厳しい批判が下った」と反省している。ただ3日の東京株式市場は冷静に受け止め、日経平均は小幅に上昇した。国政に対する影響が読めないからである。そして市場の関心は、国会の解散に移りつつあるようだ。

自民党は09年の東京都議選で大敗したあと、解散・総選挙に打って出て大失敗。政権を民主党に明け渡す結果を招いている。この経験から、解散はないという見方が強い。だが国政レベルでみると、民進党はじめ現在の野党には全く抵抗力がない。したがって、いま解散すれば議席を多少減らすことはあっても、過半数割れは絶対になさそうだ。安倍首相がそこに賭ける可能性も否定はできないだろう。

最も可能性が高いシナリオは、内閣改造で様子を探ることだろう。それで内閣に対する支持率が上がれば、その路線が定着する。しかし、その場合でも怖いのは小池新党が出現することに違いない。勝利宣言をした直後に、小池知事が都民ファーストの会代表を辞任した真意は何か。安倍首相は神経を尖らせているはずだ。

いまでも国会には、小池派の議員が数人はいる。これらの議員が集まって5人以上の会派を作れば、新しい政党が誕生する。その代表に小池知事が就任して、たとえば「日本ファーストの会」を立ち上げる。ぐずぐずしていると都議選と同様に、これが大きな勢力に成長しかねない。そんな動きが見えたら、直ちに解散・総選挙に踏み切る。これが安倍首相の胸の内だろう。

      ≪3日の日経平均 = 上げ +22.37円≫

      ≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ≫ 


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超金融緩和時代の 終わり? (上)
2017-07-05-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 為替・株式・商品相場に衝撃波 = まるで申し合わせたかのようだった。各国の中央銀行総裁が先週、次々と「金融緩和政策の終了」について言及したのである。まずヨーロッパ中央銀行のドラギ総裁、続いてカーニー英イングランド銀行総裁。さらにはカナダ中央銀行のポロズ総裁が、これに続く。一気に緩和政策の出口論に注目が集まり、世界の為替、株式、商品市場に大きな波紋を投げかけた。

緩和政策が終了すれば、金利は上がる。この思惑から、まず各国の通貨が買われた。日本円との交換レートでみると、ユーロは1年4か月ぶりの高値に。英ポンドは1か月半ぶり、カナダ・ドルは4か月ぶりの水準に上昇している。つれて円の対米ドル相場も下落した。これだけの為替変動は久しぶりのことである。

株式市場では、利益確定売りを誘発した。金利が上がれば、資金が債券市場に流れると考えられるからである。ただ中央銀行が緩和政策を終了できるのは、景気の順調な拡大が大前提になるはず。この点に注目した買い物も入ったから、先週の株価はそれほど大きく値下がりすることはなかった。

商品市況は、ことしに入って弱含みの傾向が続いている。OPEC(石油輸出国機構)による減産効果が出ずに、原油の国際価格が低迷。他の資源価格も中国の成長鈍化で、軒並み軟調に陥っている。そこへ金融緩和政策の縮小というニュースが伝わり、国際商品相場はさらに低落気味に。投機資金の引き揚げが心配されるうえに、在庫コスト高を警戒した売りが出始めたからだ。

                                (続きは明日)

      ≪4日の日経平均 = 下げ -23.45円≫

      ≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ


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超金融緩和時代の 終わり? (下)
2017-07-06-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 取り残される日本 = 世界経済史上でも類をみない超金融緩和時代。リーマン・ショック後の不況に対処するため、先進諸国が相次いで「ゼロ金利+量的緩和」政策に踏み切ったことから実現した。その効果もあって世界経済は回復に向かい、まずアメリカが15年末に金融政策のかじ取りを緩和から引き締めに切り替えた。今回はEUやイギリス、カナダが、それに続くという意志を表明したわけである。

日本も13年春になって「ゼロ金利+量的緩和」政策を導入した。しかし現在の景気・物価動向からみる限り、金融政策を引き締めに転換できる状況ではない。もしEUなどが近く緩和政策を終了すると、先進国のなかでは日本だけがカヤの外ということになる。その場合、円の為替レートは下落する可能性が大きい。だが一方では、日本経済の回復の遅れが歴然としてしまうことにもなるだろう。

波乱要因もないではない。アメリカはすでに4回の利上げを行い、FRBはさらに9月にも次の利上げを実施する方針を固めている。ところがアメリカの景気には、注意信号が灯り始めた。5月の雇用者増加数は予想の半分に縮小したし、個人消費の動向も懸念されるようになったからである。

アメリカが追加利上げを断念する一方で、ヨーロッパが引き締め局面に入る。その場合の日本に対する影響は、きわめて予測しにくい。またアメリカが5回目の利上げを実現すれば、ヨーロッパの政策転換は早まる可能性が高い。世界経済は、そのどちらの道を進むのか。それを示す標識が7日に発表されるアメリカの6月の雇用統計である。

      ≪5日の日経平均 = 上げ +49.28円≫

      ≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ


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経営者は“慎重”がお好き : 日銀短観
2017-07-07-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 先行きはすべて悪化の見通し = 少し視点をずらすと、経済統計からは意外な情報も読み取れる。日銀が3日発表した6月の企業短期経済観測調査。大企業・製造業の業況判断指数はプラス17で、3期連続して改善した。輸出や消費の改善が、景況感の好転につながったとみられている。ただ3か月後の業況は悪化を見込む経営者が多かった。大企業・製造業の見通しもプラス15に縮小する。

今回の調査では、非製造業や中小企業など、あらゆる部門で景況感が好転している。ところが3か月先の見通しになると、すべての部門が「悪化」と答えている。そこで3か月前の3月調査をみると、このときも3か月先の見通しはすべての分野が悪化を予想していた。しかし6月調査では、すべての分野で業況判断は好転している。

では6か月前の昨年12月調査では、どうだったろう。このときも全部門が先行きは悪化と予想していた。しかし3か月後の景況感は好転している。要するに過去9か月間にわたって、企業は「先行き悪化」と予想したが、実際は好転しているのだ。この驚くべき結果を、どう考えたらいいのだろうか。

確かに将来を正しく予想することは難しい。だから、いつも慎重に予想しておく方が安全だ。悪化を予想しておいて好転すれば、経営者に対する評価は上がるだろう。理由はいろいろ考えられるが、欧米の経営者にはみられない日本的な風潮であることも確か。こういう経営者の慎重主義が、経済全体にマイナスの影響を与えていることも否定はできない。

      ≪6日の日経平均 = 下げ -87.57円≫

      ≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ


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サタデー自習室 -- 水の 経済学 ⑭
2017-07-08-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日本企業はまだ土俵の外 = 経済産業省が作成したデータを眺めていると、目を疑うような数字に出くわす。13年度の「海外市場における日本企業の実績」である。水ビジネスの海外市場規模は合計64兆1735億円、そのうち日本企業の実績は2463億円のみ。全体に占める比率は、なんと0.4%にとどまっている。

その内訳をみると、日本企業の占有率は上水関係で0.1%。産業用水で0.6%、下水はゼロ。そして海水の淡水化では、ようやく4.6%の比率となっている。その淡水化の分野でも、世界のビジネス規模が4614億円なのに対して、日本企業の実績は213億円しかない。このように実情は「びっくり、残念」と言うしかない。

日本の水道水は、外国人旅行者が驚くほど衛生的で美味しい。日本の企業は、海水や汚水を浄化する逆浸透膜で世界最高の製造技術を持っている。それなのに、なぜこんな残念な結果になっているのだろうか。答えをひとことで言えば、日本は「水ビジネスの広大な広がりに気付くのが遅れた」からである。

たとえば新興国が都市の上水道を整備する場合、設計から建設工事、さらに完成後の運営・管理から料金の徴収システムまで一括して発注することが多い。だから事業規模はきわめて大きくなる。だが日本には、一括受注する体制がなかった。こうした水ビジネスの大きさのなかでは、逆浸透膜の売り上げなどは微々たるもの。これから巻き返そうとしているが、まだ土俵にも上がれないのが実状である。

                                 (続きは来週サタデー)

      ≪7日の日経平均 = 下げ ー64.97円≫

      【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】  


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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話 (改訂版)
2017-07-09-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第14章 景気対策って、なんだろう? ⑩

◇ 金融面からの景気対策 = 安倍首相は12年12月に組閣を終えると、直ちに黒田東彦アジア開銀総裁を日銀総裁に任命しました。アベノミックスの“第2の矢”となる金融緩和政策を、実行してもらうためでした。黒田総裁はこの期待に応えて、13年4月に「異次元緩和」と称するきわめて大胆な緩和政策を打ち出したのです。

具体的には、日銀が世の中に供給するおカネの量を年間60-70兆円にするという内容でした。当時の国家予算が90兆円だったのと比べれば、いかに大きな金額かが判りますね。その方法は日銀が市場から国債や株式を買い上げる。その代金が国債や株式を売った金融機関などに渡されるという仕組みです。

それでも景気は、なかなか上向きませんでした。そこで日銀は14年10月になると、この方式による資金供給量を、年間80兆円に引き上げています。さらに16年1月には金融機関が日銀に預けている当座預金に、マイナスの金利を付けるという奇策まで導入しました。

日銀が資金の供給量をこれだけ増やしても、景気はよくなりません。金融機関の手元には大量の資金が渡されましたが、企業や個人がおカネを借りなかったからです。その原因は、多くの人々が日本経済の先行きに不安を感じていたからだと思われます。そうしているうちに“異次元緩和”の副作用が目立つようになってしまいました。

                             (続きは来週日曜日)
              

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今週のポイント
2017-07-10-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 金利上昇に戸惑う株式市場 = ヨーロッパの中央銀行総裁が相次いで「緩和政策の終結」を打ち出したことから、先進諸国の長期金利が上昇し始めた。金利が上がれば、投機資金の一部は株式市場から債券市場に流れ出す。また景気の先行きに重石となるかもしれない。ニューヨーク株式市場は先週、こうした心配に悩まされ続けた。それでもダウ平均は週間65ドルの値上がり。

欧米の流れに押されて、東京市場でも長期金利が急上昇した。先週6日から7日にかけて、一時は10年もの国債の流通利回りが0.1%を超えている。慌てた日銀は市場からの国債買い入れ額を増やすなどして、懸命に金利の上昇を抑え込んでいる。先進国のなかで日本だけがゼロ金利にこだわっている姿が歴然となった。結果として円相場は1円以上の円安となったが、株価は反応せず。日経平均は週間104円の下落で、2万円を割り込んでいる。

金曜日に発表されたアメリカの6月の雇用統計では、雇用者数が22万2000人も増加した。この予想を上回る増加数で、景気の先行き不安はかなり薄まったようだ。しかし半面、FRBが9月に5回目の利上げを実施する可能性は高まったと言える。このため世界の株式市場では、今週も金利上昇が主なテーマとなるだろう。

今週は10日に、5月の国際収支と機械受注、6月の景気ウォッチャー調査。12日に、6月の企業物価と5月の第3次産業活動指数。アメリカでは13日に、6月の生産者物価。14日に、6月の消費者物価、小売り売上高、工業生産、7月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が10日に、6月の消費者物価と生産者物価。13日に、6月の貿易統計を発表する。

      ≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ


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金利はどこまで上がるのか (上)
2017-07-11-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ アメリカは9月に5回目の利上げへ = 世界各国の金利が急速に上がり始めた。アメリカの長期金利は先週、一時2.39%まで急騰。イギリスやドイツなどヨーロッパ諸国の金利も、軒並み上昇している。このため金利が上昇した各国の通貨が買われ、株式市場にも大きな影響を与えた。日本でも長期金利に上昇圧力が加わり、日銀は上昇を抑えるために国債の買い入れ増額を余儀なくされている。

金利上昇のきっかけは、ヨーロッパ中央銀行のドラギ総裁を皮切りに、各国の中央銀行総裁が相次いで「金融緩和政策の終了」に言及したこと。すでにアメリカは一昨年末から金融政策のかじ取りを引き締めに転じているが、これを追ってヨーロッパ諸国も近く「緩和政策の停止⇒引き締め政策へ」の可能性が、一気に高まった。

アメリカではこのところ、景気の先行きに対する警戒感が強まっていた。景気が下降すれば、FRBも政策金利の引き上げを強行することは難しくなる。しかし先週末に発表された6月の雇用統計では、雇用者の増加数が予想を上回る22万2000人に達した。このためFRBは、予定通り9月に5回目の利上げを実施する公算が高まっている。

仮に9月にアメリカが利上げすれば、ヨーロッパ諸国の緩和政策停止も早まるに違いない。世界の金利水準は、今後も上昇を続けるという見方が広まる結果となった。欧米諸国の金利上昇は、それだけ景気の回復が順調に進んでいることを物語っている。この点は歓迎すべき事実だが、金利の上昇が景気の回復にとって重石となることも確かである。

                               (続きは明日)

      ≪10日の日経平均 = 上げ +151.89円≫

      ≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ


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金利はどこまで上がるのか (下)
2017-07-12-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 追い詰められる日本 = 景気の順調な回復を背景に、アメリカに次いでヨーロッパ諸国も金融政策の姿勢を引き締めの方向に転換しようとしている。そうしたなかで、日本だけはまだゼロ金利政策にしがみついている。先週も長期金利の上昇を抑えるため、日銀は市場からの国債買い入れ額を増やすと発表した。それだけ景気の回復が遅れているということにもなる。

アメリカやヨーロッパ諸国の金利は、どこまで上昇するのだろうか。その答えは、景気の回復が続く限りということになる。たとえばアメリカ経済も個人消費の伸び悩みで、回復が途切れる心配もないではない。そんなところへ金利の上昇が加わると、景気が変調する危険性も否定はできない。そうならずに景気の回復が継続すれば、政策金利は少しずつ引き上げられるだろう。

困るのは日本である。仮に欧米の景気が変調すれば、日本経済にはマイナス圧力が加わる。だが日銀はすでに目いっぱいの緩和政策を実行しているから、これ以上の不況対策は繰り出せない。また仮に欧米の金利がじわじわと上昇すれば、金利差の拡大で円相場は下落する。するとトランプ大統領だけでなく、各国から日銀のゼロ金利政策に批判が出ることになりかねない。

日銀は先週、長期金利の上昇を抑え込むため、市場からの国債買い入れを増額すると発表した。これによって欧米の国債価格が下落するなかで、日本の国債だけは強制的に高水準の価格を維持することになる。こうした状況が明確になるにつれて、外国人投資家はどう動くのだろうか。日銀はいくつもの難問に直面することになる。

      ≪11日の日経平均 = 上げ +114.50円≫

      ≪12日の日経平均は? 予想 = 下げ


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税収の減少が 意味すること
2017-07-13-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ アベノミックスの落日 = 財務省の発表によると、16年度の税収は55兆5000億円で前年度を8000億円下回った。税収総額が前年度を下回るのは7年ぶり。政府が予算編成時に見込んだ税収額に比べると、2兆1000億円も足りなかった。このことはアベノミックスによる景気の浮揚効果が、完全に息切れした証拠だと言えるだろう。

税目別では、法人税の目減りが大きく、前年度比では1兆9000億円も減少した。さらに消費税と所得税も、それぞれ2000億円減少している。法人税の減少について、財務省は円高で企業の利益が縮小したこと。また海外子会社の配当金は現地で納入されることが多く、二重課税を避けるために国内では非課税になるためと説明している。

しかし円高による目減りはまだしも、二重課税を回避するための非課税は事前に承知していたはず。法人税収が減少した原因にはならない。それよりも最大の原因は、税収の基盤となる名目成長率が伸び悩んだことに求められる。16年度は予算編成時に名目成長率を3.1%と見込んでいたが、実際は1.1%の成長に終わった。

アベノミックスが本格的に稼働した13年度の名目成長率は1.8%。14年度は2.2%、15年度は3.2%と順調に成長率を拡大した。したがって税収も伸びたのである。それが16年度は1.1%へ、がくんと落ちた。だから税収も減った。この事態は、アベノミックスの景気浮揚効果がなくなってしまったことを意味する。安倍首相がかつて胸を張った「20年ごろGDP600兆円」は、どこかにすっ飛んでしまった。

      ≪12日の日経平均 = 下げ -97.10円≫

      ≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ


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加計問題は 痴漢事件と同じだ
2017-07-14-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 「記憶にない」は最悪の対応 = 電車のなかで、身に覚えがないのに「痴漢」と叫ばれたら、貴方はどうしますか。最善の対応は、誠心誠意「やっていない」と主張するしかありません。それでも女性の方が怖ろしさのあまり勘違いしていたら、どうでしょう。無実の証明というものは、きわめて困難なことです。

加計問題も、本質はきわめてよく似ています。首相や官邸の指示があったのか。それとも役所の“忖度”があったのか。政府や官邸は「そんなものはない」の一点張りですが、やはり無実の証明はなかなか難しい。誠心誠意「やっていない」と言うしかないのです。ところが政府の対応について、国民は「どうも誠意に欠ける」と感じているようです。

閉会中審査や予算委員会での集中審議は、なるべくやりたくない。参考人の招致にも反対する。これでは誠意がないとみられても、仕方がないでしょう。極めつけは、政府側の参考人です。10年も20年も前のことならいざ知らず、つい2年ほど前の会合や文書についても「記憶にありません」「覚えていません」と、シラを切る。

痴漢とされた人が、もし「記憶にありません」と答えたら、裁判では確実に負けるでしょう。加計問題も全く同じです。事実を明るみに出したうえで、国民の審判を仰ぐ。国民も無実の証明は難しいことを、よく承知しています。それなのに「記憶にありません」では、裁量のしようもありません。テレビや新聞に「記憶にありません」の報道が出るごとに、安倍内閣の支持率は下がって行くでしょう。

      ≪13日の日経平均 = 上げ +1.43円≫

      ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ


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サタデー自習室 -- 水の 経済学 ⑮
2017-07-15-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 一括受注能力と価格競争力がカギ = 世界では数多くの大型水プラント建設が計画され、入札も実施されている。経済産業省が調べた16年9月時点の状況によると、大型水プラントの建設案件は728件。運営に関する案件は463件にのぼった。このうち一貫サービスを要求している案件は、全体の63.6%に達している。したがって一括受注ができないと、入札に参加できないケースが多い。

アジア地域だけを取り出してみると、建設案件は250件。運営案件は224件だった。ところが、このうち一貫サービスを要求している案件は89.6%にのぼっている。これはアジア諸国の場合、大型水プラントの運営経験がほとんどないため、建設から完成後の運営までを一括して要求するケースがきわめて多いことを物語っている。

もう1つの落札要件は、コスト競争力。経産省は日本が落札に失敗した実例として、バングラデシュのチッタゴン市が公募した上水道整備事業を挙げている。総額122億円規模の事業だったが、取水施設の入札で日本企業は57億円を提示。これに対して中国は39億円で応札。日本側は敗退した。

このように世界の水ビジネスに参入するためには、建設から運営までの一貫サービスを受け入れられる体制と、価格競争力が不可欠な条件となる。ところが、その点で日本勢は大きく遅れてしまった。優秀な技術を持ちながら、なぜ遅れてしまったのか。その原因は、日本国内の水ビジネス構造にあった。

                                  (続きは来週サタデー)

      ≪14日の日経平均 = 上げ +19.05円≫

      【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】    


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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話 (改訂版)
2017-07-16-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第14章 景気対策って、なんだろう? ⑪

◇ 異次元緩和政策の副作用 = 日銀が13年4月に導入した金融の異次元緩和は、金利をゼロに下げたままで巨額の資金を世の中に供給するという内容でした。これ以上の緩和策は見当たらないほどの思い切った景気対策でしたが、いわば一種の劇薬。効力もありましたが、その副作用も出てしまいました。

このうちゼロ金利は、住宅ローンなどおカネを借りている人たちに大きな恩恵を与えたことは確かでした。しかし預金をしている人たちは、利息収入がほとんどゼロに。特に年金だけで生活設計を立てている人たちには、打撃になりました。こういう人たちは節約をするしかありません。その結果が消費の減退になって、むしろ景気の足を引っ張ることになったと考えられます。

また日銀が年間80兆円もの国債や株式を買ったことで、市場には大きな悪影響が及びました。特に国債は、日銀が新しく発行される国債を上回るペースで購入し続けたため、市場に流通する国債の量がしだいに減ってしまいました。このため市場での売買も減少し、市場としての機能がいちじるしく阻害されているのです。

株式についても、日銀はETF(上場投資信託)を購入しています。ETFのなかには業績が悪化している企業の株式も含まれているので、そんな銘柄の株価も上昇してしまうといった事態も生じているのです。とにかく流通する国債の量がどんどん減っていますから、日銀の大量買入れ政策はいずれカベに突き当たることは必至でしょう。

                               (続きは来週日曜日)


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今週のポイント
2017-07-17-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ イエレン証言が相場を動かす = 日米の株価は先週、全く対照的な動きをみせた。ダウ平均は月-火曜日には動かず、水-金曜日に上昇。日経平均の動きは、その逆となった。節目は12日に行われたイエレンFRB議長の議会証言。ここで「金融引き締めは、ゆっくり進める」という発言があったため、ダウは上昇して新高値を更新した。この発言が円高を呼んだため、日経平均は上値が抑えられている。

ダウ平均は先週223ドルの値上がり。今週も史上最高値を更新する可能性はあるが、一方で市場は景気見通しにも神経を使い始めたようだ。というのも先週発表された6月の消費者物価と小売り売上高が、いずれも事前の予測を下回ったからである。新車の販売も落ち込んできており、個人消費の先行きには薄雲が広がってきた感じが強い。

日経平均は先週190円の値上がり。FRBの金融引き締めが「ゆっくり」となり、さらにアメリカの景気見通しに対する警戒感が強まれば、今週も円高基調は続くことになる。同時に東京市場では、欧米各国が引き締めに進むなかで取り残される形の日本を心配する空気も出始めた。政局に対する警戒感もあり、株価はどんどん上がるといった雰囲気にはない。

今週は19日に、6月の訪日外国人客数。20日に、6月の貿易統計と5月の全産業活動指数。アメリカでは18日に、7月のNAHB住宅市場指数。19日に、6月の住宅着工戸数。20日に、6月のカンファレンス・ボード景気先行指数。また中国が17日に、4-6月期のGDP速報と6月の小売り売上高、鉱工業生産、固定資産投資額を発表する。 

      ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫    


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イエレンFRB議長の 胸の内
2017-07-19-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 資産の縮小に手を着けておきたい = アメリカの金融引き締めは、どんなテンポで進むのか。世界の市場が、この一点に注目し始めた。年内に5回目の利上げはあるのか。買い入れ資産の縮小は、いつから始めるのか。イエレンFRB議長は先週の議会証言で「引き締めは慎重に、ゆっくり行う」と述べたが、彼女の胸の内にはすでに出来上がった行程表があるように思われる。

FRBは一昨年12月に、ゼロ金利政策から離脱。その後もことし6月までに、政策金利を計4回引き上げてきた。市場ではごく最近まで「9月に5回目の利上げ、年末には資産の縮小を始める」という見方が一般的だった。ところが、ここへきてアメリカ経済の先行きに警戒感が強まっている。6月の消費者物価や小売り売上高が、予想を下回った。新車の販売も落ち込んだ。景気は来年初めから後退するという観測も出始めている。

イエレン議長の任期は来年2月まで。トランプ大統領は選挙戦中に「イエレン女史の再任はない」と言っている。そうしたなかで景気後退の見通しが強まれば、FRBが引き締め政策を継続することは難しくなる。だが任期中に、金融正常化の形だけは作っておきたい。たとえば「9月に資産の縮小を開始、可能なら12月に5回目の利上げ」という行程表。これなら実現性が高まる。

FRBが保有する国債や社債などの資産は、昨年末で4兆5000億ドルに達した。緩和政策を始める前に比べると3兆6000億ドルも増えている。イエレン議長は、この保有資産を月100億ドルのペースで減らして行く方針。この程度ならば、市場に大きなショックを与えることはないと考えるからだ。イエレン議長の胸の内を大胆に察すれば、こういうことになる。

      ≪18日の日経平均 = 下げ -118.95円≫

      ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫              

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新車販売にブレーキ / アメリカ
2017-07-20-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 景気後退の前触れか? = アメリカの新車販売が、はっきりと落ち込んできた。オートデータ社の集計によると、1-6月期の新車販売台数は845万2453台。前年比では2.1%の減少だった。上半期の販売台数が減少したのは8年ぶりのこと。大型車は4.6%増加したが、乗用車は11.4%減少した。日本勢のなかでも乗用車が多いトヨタは、前年比で3.6%減少している。

販売が落ち込んだ原因は、いろいろある。基本的には、買い替え需要が一巡したこと。アメリカでは新車販売が7年連続で増大。16年には1755万台の過去最大を記録している。販売の減少は、いわばその反動だ。次に目立ってきたのが、低所得層向けローンの焦げ付き。アメリカの自動車ローン市場は1兆ドルといわれるが、その約2割が低所得層向け。金利が上昇してきたことから、最近はそのうち9%が焦げ付いているという。

このほか各メーカーが、高くなりすぎた販売奨励金を絞り始めたこと。リース契約が終わった車が大量に中古市場に流れ、中古車の値崩れを起こしていること。さらには自動運転車や電気自動車の発売を待っての買い控え・・・。さまざまな理由が挙げられている。

問題はこの新車販売の落ち込みが、景気後退の引き金になるかどうか。自動車産業のすそ野は実に広い。このためアメリカでは、過去にも新車販売の不振が景気後退につながった例は少なくない。もし今回もそうなれば、FRBの利上げ計画は修正を迫られる。もちろん、日本経済にも悪影響が及ぶことは避けられない。夏から秋にかけての新車販売動向には、細心の注意が必要である。

      ≪19日の日経平均 = 上げ +20.95円≫

      ≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ


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内閣府が “経済の好循環”入りを宣言??
2017-07-21-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ なぜか報道されなかった = 内閣府が秘かに「日本経済の“好循環”が始まった」と宣言した。先週末に発表した17年度の経済年央試算をみると、4年半にわたるアベノミックスの影響で「経済の好循環が着実に回り始めた」と明記。さらに今後も「好循環が進展すると見込まれる」と書いている。政府が初めて公式に“好循環”入りを認めたことになるが、不思議なことに新聞もテレビもいっさい報道しなかった。

年央試算の内容をみると、17年度の実質成長率は1.5%になる見込み。名目成長率は2.5%、消費者物価の上昇率は1.1%になると予測している。だが、これらの数値は政府が昨年末に作成した17年度の経済見通しと、寸分も違っていない。ただ各項目のなかで、個人消費や設備投資などの数値が、昨年末の見通しより少し改善しているだけだ。

要するに、今回の年央試算は昨年末時点の試算と変わり映えがしない。このためマスコミ各社はニュース性を感じず、記事にしなかったのだろう。“好循環”に関する記述にも、裏付けに乏しいとみて注意を払わなかったのかもしれない。しかし“経済の好循環”は、安倍首相が何よりも期待していることは事実。

内閣府が発表前に、官邸に報告したことは確かだ。官邸はこの発表文を首相に見せなかったのか。見せたが、安倍首相は無視したのか。その辺のところは不明だが、本来ならば安倍首相が大々的に発表すべき性質の案件だろう。最近は官邸と内閣府の関係がいろいろ取り沙汰されているだけに、ちょっと気になる。

      ≪20日の日経平均 = 上げ +123.73円≫

      ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ


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サタデー自習室 -- 水の 経済学 ⑯
2017-07-22-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ バラバラな日本の水道ビジネス = 東京都水道局、大阪市水道局・・・。日本の水道ビジネスは、そのほとんどが地方自治体によって運営されている。上水道、下水道、工業用水道を管理・運営するノウハウは、自治体に集中していると言ってもいい。だが競争がないから、その仕事はどうしても高コスト・非効率になりがちだ。全国の自治体は、水道事業で合計40兆円を超える債務を抱えているといわれる。

個々の民間企業は、逆浸透膜や各種のポンプ、導管の埋設工事など、世界に誇る技術を持っている。しかし全体のシステムを管理・運営するノウハウは保有していない。逆に地方自治体は、重要な部品や工事の手法に関する技術を持っていない。つまり世界最高水準の技術とノウハウが、分離したまま今日を迎えてしまった。

世界の水ビジネスは、プラント建設から水道管の設置、その管理・運営を一括して発注する方向に進んでいる。そんなときに建設工事と管理・運営がバラバラでは、うまく受注できるはずもない。世界の水ビジネスで、日本が0.4%の参入率にとどまっている原因はここにある。

その欠点を是正しようと、最近は商社が自治体と企業を結び付けるプロジェクトを立ち上げたりしている。だが新興国向けのビジネスには、ODA(政府開発援助)も有効に働く。そこで政府もオール・ジャパンの体制を作ろうと、協議会を発足させた。しかし、ここでは上水道=厚生労働省、下水道=国土交通省、産業用水道=経済産業省のタテ割り行政が邪魔して、議論がいっこうに進まないという。

                               (続きは来週サタデー)

      ≪21日の日経平均 = 下げ -44.84円≫

      【今週の日経平均予想 = 3勝1敗】   


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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話 (改訂版)
2017-07-23-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第14章 景気対策って、なんだろう? ⑫

◇ “第3の矢”は成長の苗床造り = アベノミックスの“第3の矢”は、成長戦略と呼ばれる経済対策です。第1の矢である財政政策や第2の矢である金融政策は、すぐに景気を押し上げることを目指したものでした。これに対して成長戦略は、将来を見つめて日本経済の成長力を育てるための苗床を造ることが目標です。ですから長期的な景気対策とも言えるでしょう。

具体的には、新しい技術やアイディアを活用して、過去になかった企業や産業を育成すること。そのためには政府の支援も必要ですが、いろいろな規制を緩和することも大切です。これまで知らず知らずのうちに積み上がってしまった規制を撤廃・緩和して、新しい仕事を自由に造れるようにするためです。

安倍内閣は発足以来、毎年のように成長戦略を作ってきました。ことしも5回目の成長戦略を作成。そのなかでは141例もの規制緩和を提唱しています。ことしは物流、医療、金融関係の緩和に力を入れているのが特徴です。たとえば高速道路でトラックを連結して運転する。AI(人工知能)を活用して、遠距離で病気の診断や治療をするなど。

しかし、どの提案もなんとなく小粒でインパクトに欠けることは否定できません。かつては国鉄や電々公社、あるいは郵政公社の民営化といった大規模な自由化が実現しました。そういう大きな案件がなくなったことは事実でしょう。だから小さい案件をたくさん集めるしかないのかもしれません。それともチエがないのでしょうか。

                                  (続きは来週日曜日)


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今週のポイント
2017-07-24-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 2万円にへばりついた株価 = 「日経平均が2万円を割ったら買う。200円ほど上がったら売る」--東京市場では、こんな法則が定着してしまったようだ。2万円を下回ると日銀が買いに出るから、そこで買う。2万0200円ぐらいになると日銀は買わなくなるから、そこで売る。値幅は取れないが、こんなに安全な商売はない。じっさい東京市場では、こんな動きが6月に入ってからずっと続いている。

日経平均は先週19円の値下がりだった。終り値でみると、安値は2万円、高値は2万0145円。2万円すれすれのところで膠着している。夏休み気分もあって出来高は減り気味だが、異常な状態であることは否定できない。国債市場に続いて、とうとう株式市場も日銀のコントロール下に置かれてしまったのだろうか。

ダウ平均は先週58ドルの値下がり。ただ19日には終り値で2万1641ドルの新高値を更新。ナスダックやSP500も、そろって史上最高値を更新している。トランプ大統領の経済政策は期待外れとなったが、企業の増益基調が株価を下支えした。トムソン・ロイター社の集計によると、主要500社の4-6月期決算で純利益は8.5%の増加となっている。

今週は26日に、6月の企業向けサービス価格。28日に、6月の労働力調査、家計調査、消費者物価。アメリカでは24日に、6月の中古住宅販売。25日に、5月のFHFAとSPケース・シラー住宅価格、7月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。26日に、6月の新築住宅販売。28日に、4-6月期のGDP速報が発表される。
 
      ≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ
              

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麻痺症状が現れた? 東京株式市場
2017-07-25-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日銀の株式保有高は17兆円超す = 日銀の発表によると、1-6月中に市場から買い入れたETF(上場投資信託)は2兆9445億円だった。これで13年4月から始まった量的金融緩和政策によるETFの購入総額は、とうとう17兆円を突破した。これまでに発行されたETFの約6割を、日銀が保有していることになる。いまや日銀は、多数の上場企業の大株主だ。

この結果、日経新聞の調査によると、日銀は上場企業833社について上位10位以内の大株主になった。うち3社に関しては、筆頭株主だという。しかも、この大株主は絶対に売ることがない。株主総会に出席して、発言することもない。企業にとってはまことに有難い存在と言えるが、実に異常な状態であることは否定できない。

日銀はこのところ、日経平均が2万円を割り込みそうになると、買いに出動しているようだ。したがって多くの投資家は、2万円を下回りそうなところで買いに入る。株価が2万0200円ぐらいに上がると、日銀は買いに出ない。だから投資家は、そこで売ってしまう。値幅は小さくても、きわめて安全な取り引きである。

市場は本来、自由な売り買いがあって成立するもの。それが売らない大株主の参入で、麻痺してきたのではないか。すでに国債市場は日銀の買い入れで、相場が動かなくなってしまった。半身不随の状態と言ってもいい。株式市場はまだそこまで行かないが、こういう状況が今後も続けば、いずれは全身が麻痺するだろう。政府や日銀は、どう考えているのだろう。

      ≪24日の日経平均 = 下げ -124.08円≫

      ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ


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底が浅い 経済財政白書
2017-07-26-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 政策提言には踏み込まず = 政府は先週末の閣議で17年度の経済財政白書を了承し、公表した。日本経済の現状と問題点について、かなり詳細に記述しているのが特徴。しかし問題点を深く掘り下げたり、解決するための政策提言には触れていない。多くの国民が知っていることだけを羅列し、知りたいことには目をつぶってしまった。

景気の現状については「回復はバブル期を超えて戦後3番目の長さになった。しかし物価を押し上げる力は弱まっている」と書いている。これは政府の公式見解そのもの。だが一般の人たちは「景気がいい」とは感じていない。このギャップはなぜ生じているのか。この点についての言及や分析は、いっさい見られなかった。

問題点の一つに「バブル期を超えた人手不足」を挙げている。この人手不足は「成長の制約である一方、生産性向上やデフレ脱却に向けたチャンス」と説くが、その具体的な方法論はあいまい。これでは人手不足を歓迎するのか心配するのか、よく判らない。また「人手不足の割に賃金上昇が鈍い」と指摘しているが、この点についても改善策の提示はなかった。

消費の伸び悩みについても、その要因を世代別に分析したところはいい。だが若年層も高齢層も貯蓄に励む理由に関しては、まるで政府には責任がないような姿勢。なぜ将来への不安が大きいのか。たとえばゼロ金利政策で利子収入がなくなったこととの関係など、もっと掘り下げてもらいたかった。

      ≪25日の日経平均 = 下げ -20.47円≫

      ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ
              

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インターンシップの 暴走
2017-07-27-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 採用活動が1年前倒しに = 就職情報会社の調査によると、ことしインターンシップを実施する企業は1万社に達する勢いだという。なかには参加した学生に内々定を出す企業もあって、インターンシップが面接代わりになる傾向も強まってきた。この傾向が定着すると、大学生の就職活動は4年生からではなく、3年生の夏から始まってしまうことになる。

経団連の指針によると、企業の新卒採用活動は大学4年生の6月から解禁される。その年の3月から説明会は開催されるが、面接などは出来ない。これは学生が就職活動に入る時期をなるべく遅らせ、みっちり学業に励んでもらうためだ。ところがインターンシップが面接代わりになると、解禁時が一挙に1年も繰り上がってしまう。

インターンシップはもともと学生に仕事を体験し、社会勉強をしてもらうことに目的があった。このため大学3年生に夏休みを利用して、5日以上の日程で実施。企業が採用活動に結び付けることは禁止されていた。しかし経団連は、ことしから「1日だけのインターンシップ」を突如として解禁。新卒の採用ルールは、全く様変わりしてしまった。

経団連は、なぜこんな“暴挙”に出たのだろう。たしかに外資系企業や中小企業には、経団連の意向は及ばない。だから経団連に加盟している大企業は、人材の確保に後れをとってしまうという苦情もあった。それにしても「学生によく勉強してもらう」という重要な目的を、あっさり放棄してしまった意図は何なのだろう。これについて経団連は、ひと言も説明していない。

      ≪26日の日経平均 = 上げ +94.96円≫

      ≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ


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日銀と庶民の 温度差 : 物価の見通し
2017-07-28-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ どちらが正しいのか? = 日銀は先週の金融政策決定会合で、物価上昇の見通しを下方修正した。具体的には17年度の物価上昇率を、これまでの1.4%上昇から1.1%上昇に引き下げている。この結果、日銀が目標としている物価2%上昇の達成時期も、これまでの「18年度ごろ」から「19年度ごろ」へと1年先送りした。目標達成時期の先送りは、これで6回目。

物価上昇の見通しを下方修正したことについて、日銀は「賃金・物価が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行が、企業や家計に根強く残っているため」と説明した。つまり一般に「物価は上がらない」という見方が広まっていることが、大きな原因というわけである。いくら金融を緩和しても、物価は上がらない。日銀の恨み節のようにも聞こえる。

ところが、内閣府が発表した6月の消費動向調査。2人以上世帯に1年後の物価見通しを質問している。その結果は「2%以上の上昇」という答えは、1年前の37.6%から43.4%に増加した。「2%未満」や「5%以上」までを含めると、物価は上昇すると答えた世帯の割合は79.2%にも達している。日銀は「物価は上がらない」と予測しているのに、庶民は「上がる」と感じているわけだ。

もう1つ、日銀は「物価が上がらず残念」という感覚なのに、庶民の方は「物価は上がってほしくない」と考えている。この差は天と地ほどの違いだ。生活者である国民が物価の上昇を望まないのに、なぜ日銀は政策目標に掲げるのか。この辺の矛盾をしっかり解明しないと、日本経済はよくならないだろう。

      ≪27日の日経平均 = 上げ +29.48円≫

      ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ
                

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サタデー自習室 -- 水の 経済学 ⑰
2017-07-29-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 寡占終わり群雄割拠の時代に = 世界の水ビジネス市場に長いこと君臨してきたのは、フランスのヴェオリア社とスエズ社。20世紀までは、この2社による寡占状態が続いていた。01年の占有率は両社ともに22%だったが、09年はヴェオリア社が11%、スエズ社が15%に落ちている。スペイン、イギリス、ドイツ、アメリカなどの民間企業が参入してきたためで、いまや世界の水ビジネス市場は群雄割拠の時代を迎えようとしている。

それでもフランス2社の規模は、まだ突出している。給水人口でみると、ヴェオリア社は1億3900万人、スエズ社は1億2000万人。世界第3位のスペイン・アクアス社は、まだ3000万人に達していない。いまだに世界水ビジネスの巨人と言っていいが、それにはそれなりの古い歴史がある。

まずヴェオリア社は、ナポレオン3世が1853年に設立。パリとリオンの水道事業をやらせたことが発端。20世紀中に90か国に進出、1998年には中国で初めてとなる浄水場の受注に成功した。また02年には上海市と50年契約を結んだが、その間の全収入は1兆6500億円になるという。スエズ社も1880年の創設。カンヌの水道事業が始まりで、スエズ運河の建設でその名を轟かせた。

21世紀に入ると、欧米諸国のほかシンガポールや韓国も参入。需要が急速に拡大するなかで、競争も激化してきた。そうしたなかにあって、日本は出遅れ気味。先発した海外の企業と組んで合弁事業の一角に取り付いたり、独自の計画を売り込もうと努力し始めたところ。だが残念ながら、世界市場での認知度は低い。

                                (続きは来週サタデー)

      ≪28日の日経平均 = 下げ -119.80円≫

      【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】   


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サンデー実験室 = 孫に聞かせる経済の話 (改訂版)
2017-07-30-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第14章 景気対策って、なんだろう? ⑬

◇ 官僚や利権団体が強く抵抗 = 安倍内閣がいま力を入れているのが「国家戦略特区」という制度です。これは地域を限定して医療や農業、教育などの規制を緩和し、成功すれば全国展開を目指すという試みです。これまでに10地域が指定されました。この結果、たとえば千葉県成田市では38年ぶりに大学の医学部が新設されました。また東京都や大阪市では、家事代行サービスに外国人が就業してもよいことになりました。

規制の撤廃や緩和には、常に強い抵抗が伴います。規制を作った官僚や規制で得をしている業界団体の反対です。この反対で岩盤のように固くなっている規制に、特区制度で穴を開けようとするわけです。ところが特区制度を活用した大学獣医学部の設立を巡って、いま大きな政治問題が発生してしまいました。

テーマを決めて、全国で実験する試みも進行しています。たとえば車の自動運転、ドローンの利用拡大、政府機関の地方移転、ホテルや旅館の客室制限の廃止など。ほかにも数々の提案が出されていますが抵抗も強く、骨抜きにされたり先送りされるケースも続出しているのが現状です。

それでも規制緩和が少しずつでも実行されれば、将来の成長力アップに貢献するでしょう。ただ、それには時間がかかります。できるだけ短期間で効果の上がるような対策を選んで、そこに規制緩和の努力を集中するような作戦も必要だと思われます。たとえば人手不足対策などが、その好例でしょう。

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今週のポイント
2017-07-31-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ ニューヨークは着実、東京は軟弱 = ダウ平均は先週250ドルの値上がり。終り値は2万1830ドルとなり、また新高値を更新した。着実な上昇ぶりで、いつの間にか2万2000ドル台に近づいてきた。トランプ政権は失点続き。国境調整税は日の目を見ず、オバマケア代替法案も議会を通らなかった。にもかかわらず株価が堅調なのは、景気の回復が途切れず、企業の利益も好調を維持しているためである。

日経平均は先週140円の値下がり。終り値はまた2万円台を割り込んでしまった。日本でも6月決算の発表が始まったが、業績の絶好調はなお続いているようだ。最近の景気指標をみても、株価の下げ要因になるようなものは見当たらない。消去法で考えると、株価を軟調にしている原因は政局以外には思いつかない。

アメリカでは今週4日に、7月の雇用統計が発表される。その内容が良好なら、FRBは9月に保有資産の縮小を決断するだろう。しかし市場は織り込み済みだから、ダウはさらに2万2000ドルへと接近する可能性が高い。一方、安倍首相は3日にも内閣を改造する方向だが、これで政局にどれほどの落ち着きが取り戻せるか。

今週は31日に、6月の鉱工業生産と住宅着工戸数。1日に、7月の新車販売台数。2日に、7月の消費動向調査。4日に、6月の毎月勤労統計。アメリカでは31日に、6月の中古住宅販売。1日に、7月の新車販売台数とISM製造業景況指数。3日に、ISM非製造業景況指数。4日に、7月の雇用統計と6月の貿易統計。また中国が31日に、7月の製造業と非製造業のPMIを発表する。

      ≪31日の日経平均は? 予想 = 上げ≫           

              
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