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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】
2018-07-01-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第4章  錬 金 術 と 太 陽 光

≪39≫ 道路革命 = 帰りの車では、改めて高速道路の状態を観察した。もう何回となく走っているが、これまでは遠くの景色を眺めていたことが多い。車の上半分は強化ガラスで造られているから、外はよく見える。でもスピードが速いので、近くのモノには焦点が合わない。

高速道路は片道3車線で、幅は20メートルほど。両側には高さ1メートルぐらいの壁が続いている。その壁には点滅する小さなライトが、いくつも並んでいた。走る車の真下には鉄道のレールのような黒い線が見え、はるか遠くまで延々と伸びている。これがダーストニウム合金で、車を浮かせて誘導しているに違いない。

ぼくたちを送り出しながら、シュベール博士がつぶやいた言葉は印象的だった。
「100年ぐらい前までは、自動車にカメラや赤外線装置を積み込んで、人や障害物とぶつからないようにする。その技術ばかりを追求していたんじゃ。この自動運転車はかなり進歩したんじゃが、やっぱり人間が運転席におって注意していないと事故が起きてしまう。

そこで技術者たちは、考え方を一変した。自動車ではなく、道路に車をコントロールさせる。この革命的な発想の転換で、いまの交通方式が完成した。人間は全く関与しない完全自動車で、事故は皆無。だが本当は道路革命と呼ぶべきだと、私は常々思っておるんじゃ」

ぼくが地球を飛び出したころ、日本でも自動運転車の開発が進んでいた。車が障害物を感知して、ブレーキをかける。この技術のおかげで事故はかなり減ったが、皆無というわけにはいかなかった。やはり発想を転換して、道路に主導権を持たせた方がいいのかもしれない。

路面を利用した太陽光発電にも、感心せざるをえない。日本では建物の屋上とか、田舎の休耕田に発電パネルが敷き詰められていた。それより道路にパネルを敷いてしまえば、景観も損なわれない。送電線を張る手間もなくなる。日本もそうしたらいいと思ったが、そのためにはダーストニウム合金が必要であることに気が付き、ちょっとがっかりした。

国家機密である新合金の製法は、教えてもらえそうにない。だが、その存在やその弱点を、どうしてぼくに教えたんだろう。いくら考えても判らない。彼らは結局「あの男が地球に戻ることはない」と考えて、安心しているのだろうか。

                             (続きは来週日曜日)


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今週のポイント
2018-07-02-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ じわっと上がる恐怖指数 = 名は体を表すのか。トランプ大統領が、またまたカードを切った。中国企業によるアメリカ向け投資規制を検討。さらに日本やEUなどに対して、イラン原油の輸入禁止を要請。アメリカの金利上昇が世界経済に及ぼす影響は、まだ判然としない。米中貿易戦争の影響も、まだ計測できない。そこへまた先週、消化しにくいトランプ・カードが2枚投げ込まれた。市場は戸惑うばかりである。

ダウ平均は先週309ドルの値下がり。下げ一色という状況ではなかったが、インテルやキャタピラーなど中国との関係が深い銘柄が売られてズルズルと下げた。特にハイテク銘柄の多いナスダック市場は、20日に付けた史上最高値から3.2%も反落している。当面は中国関連銘柄を敬遠した形だが、その底ではトランプ政策が世界経済に与える影響に対する警戒感が膨らんできているようだ。

日経平均は先週212円の値下がり。海外投資家が売り越しに回るなかで、国内投資家や日銀の買いが入ったようだ。しかし消化難の材料が多いことから、売買高は目立って減少している。あまりいい兆候ではない。こうしたなかで、注目されるのが日経VI(恐怖指数)の動き。警戒ラインといわれる20にまで、じわっと上昇した。

今週は2日に、6月の日銀短観。3日に、6月の新車販売と18年の路線地価。6日に、5月の家計調査、毎月勤労統計、景気動向指数。アメリカでは2日に、6月のISM製造業景況指数。5日に、6月のISM非製造業景況指数。6日に、6月の雇用統計と5月の貿易統計が発表される。

       ≪2日の日経平均は? 予想 = 下げ


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まだ反応が鈍い 日銀短観
2018-07-03-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 消化できない貿易戦争の影響 = 日銀は2日、6月の企業短期経済観測調査を発表した。それによると、最も注目される大企業・製造業の業況判断指数はプラス21で、前回3月調査の結果を3ポイント下回った。この判断指数は、業況が「良い」と回答した割合から「悪い」と回答した割合を差し引いて作成する。前々回までは8四半期連続で上昇していたが、ことしに入って2期連続で低下したことになる。

このため一部の新聞やテレビ・ニュースは「2期連続で下降」と、大々的に報道した。しかし数字だけから判断すると、大騒ぎするような内容ではない。プラス21という水準はまだかなり高いし、たとえば大企業・非製造業はプラス24で、前回より1ポイント上昇している。全規模・全産業でみても、判断指数は16で前回を1ポイント下回るだけだった。

業況判断が低下したのは、原油などの原材料価格が上昇したこと、それに人手不足の影響によると説明されている。だが同じく人手不足に悩む非製造業の判断指数が上昇するなど、納得しにくい面もある。要するにトランプ大統領が始めた貿易戦争の影響がまだ不透明で、なんとなく不安感が湧いてきたという段階ではないだろうか。

今後の見通しも、そんなに悪くはない。3か月後の予想をみると、大企業・製造業はプラス21で変わらず。全規模・全産業でも3ポイントの低下を予想しているだけだ。問題はこの見通しが当たるかどうか。貿易戦争の影響が明らかになるにつれ、業況判断はもっと下がる可能性が大きい。6月の時点で、経営者はそこまで感知していないということだろう。

       ≪2日の日経平均 = 下げ -492.58円≫

       ≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ


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初めての 難問 : イラン原油の禁輸 (上)
2018-07-04-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日本の輸入量は1000万キロ・リットル = トランプ政権は先週26日、イラン産原油の輸入を停止するよう主要各国に要請した。11月4日までに禁輸するよう求めており、従わない企業はアメリカ市場から締め出すことを示唆している。アメリカ国務省の高官は「適用の除外はない」と言明。特に日本に対しても「大半の国は支持しており、日本が他の国と特段の差異があるとは思わない」とクギを刺している。

ことし5月、トランプ大統領は突如としてイランを巡る7か国の核合意から離脱した。オバマ時代に作られたこの合意は不完全で、イランの核武装化を阻止できないというのが理由。その後はイランを敵性国と位置づけ、経済制裁を続けてきた。今回の禁輸要請はその一環であり、アメリカ政府の意志は相当に強そうだ。

中国は直ちに反発。外務省は「イランは友好国であり、エネルギーを買っても非難される覚えはない」と声明した。あとはまだ様子見だが、EUは困惑している。というのもイランとの核合意は維持しており、逆にトランプ政権の離脱を非難してきたからである。日本は核合意とは無関係。しかしイランから年間1000万キロ・リットルの原油を輸入しているだけに、友好関係の維持に努力してきたことは間違いない。

この新たなトランプ・ショックで、原油の国際価格が急騰した。ニューヨーク商品取引所のWTI(テキサス産軽質油)先物相場は27日、3年7か月ぶりに1バレル=73ドル台に上昇。つれて株式取引所ではダウ平均が急落した。アメリカの金利上昇、米中間の貿易戦争などに加えて、また新しい不透明要素が出現した形となっている。

                             (続きは明日)

       ≪3日の日経平均 = 下げ -26.39円≫

       ≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ


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初めての 難問 : イラン原油の禁輸 (下)
2018-07-05-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 問われる安倍首相の外交力 = イラン原油の禁輸は、オバマ前大統領が成立させた国防授権法にもとずく政策だ。その中核は「イランの銀行と取り引きした金融機関は、アメリカ国内での活動を禁じる」という点。イランの銀行に原油の代金を振り込めば、アメリカ市場から締め出されることになる。この法律について、一部の新聞は「この措置の結果、原油価格が高騰すれば執行できない」と解説しているが、真偽のほどは不明だ。

実はオバマ前大統領も、この政策を発動した。このとき日本はイラン原油の輸入量を削減して、難局を乗り越えている。したがって安倍内閣も、まずは削減によってアメリカの理解を得ようと考えるに違いない。しかし今回は、うまく行くかどうか。ダメなら輸入を全面停止する代わりに、自動車関税の適用除外などの条件交渉に戦術転換するしかない。

トランプ大統領の貿易戦争第1弾は、鉄鋼・アルミに対する輸入関税の引き上げだった。だが日本製の鉄鋼に関しては適用除外が多く、被害はごく小さい。第2弾の中国製品に対する輸入制限は、まだ影響が表われていない。第3弾といわれる自動車の関税引き上げも実施されれば影響は大きいが、まだアメリカ政府が検討している段階。だが第4弾とも言えるイラン原油の禁輸は、すぐに対応を迫られる日本にとっての最初の難問だ。

安倍首相は、トランプ大統領といちばん仲がいいリーダーだと言われる。大統領就任直後に挨拶に出かけ、何度もゴルフをともにした。その努力は認められていい。しかし今回のイラン原油問題は、中途半端な対応では決着しないだろう。夏が終わるまでに、どのような方策を練り上げるか。安倍首相の真の外交力が問われることになる。

      ≪4日の日経平均 = 下げ -68.50円≫

      ≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ


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きょう発動 : 米中が関税引き上げ
2018-07-06-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 計り知れない悪影響 = トランプ大統領はきょう6日、知的財産権の侵害を理由として、中国に対する制裁関税を発動する。電子部品や産業用ロボットなど、総額340億ドル(約3兆7500億円)分の輸入品に対して25%の関税を上乗せする内容。中国政府もこの措置を確認した時点で、アメリカ産の大豆や牛肉など同額340億ドル分の輸入品に25%の関税を追加する方針。米中貿易戦争の開始である。

この貿易戦争の悪影響は、計り知れない。駆け込み輸入もあって、すぐに影響は出ないかもしれない。しかし数か月もたてば、たとえば中国の鉄鋼業や電子産業の一部は経営難に陥る可能性がある。アメリカでも、大豆農家は打撃を受けるだろう。すると鉄鋼や大豆は値下がりし、第3国に輸出しようと試みる。その結果、全く関係のない国の大豆輸出が食われるかもしれない。

こんな悪しき連鎖が、数多くの商品で進行して行く。中国の電子製品輸出が減れば、日本の中国向け電子部品の輸出も減少するだろう。こうして時間とともに、貿易戦争の悪影響はじっくりと世界に広がって行く。それが総体的にどの程度の損害をもたらすかは、全く予測できない。ある意味では、一過性の大事件よりタチが悪い。

すでにトランプ大統領が6月に実施した鉄鋼・アルミに対する関税引き上げに対しては、カナダ・EU・メキシコ・中国・トルコ・インドの6か国が報復関税を導入している。その対象となるアメリカ製品の総額は、283億ドルに達した。そのうえに今回の米中関税引き上げが加わる。その影響は、いずれ日本にも及んでくると覚悟しなければならない。

       ≪5日の日経平均 = 下げ -170.05円≫

       ≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ


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給料は 3526万円 : 日銀総裁
2018-07-07-Sat  CATEGORY: 政治・経済
総人件費は591億円 = ひと月ほど前に麻生財務相の給料について書いたら、読者から「日銀総裁は?」という問い合わせを頂いた。そこで調べてみると、黒田日銀総裁が17年度中に貰った給料は、ボーナスを含めて3526万円だった。総理大臣と最高裁長官の給料はともに5141万円。国務大臣は3753万円だから、これよりは低い。なんだか大臣に遠慮しているようにも思われるが、これはヒガ目かな。

それでも日銀のなかでは、いちばん高い。副総裁は2724万円、理事だと2000万円前後となる。では一般職員の給料は、どうだろうか。常勤職員は3873人で、平均年齢は43.4歳。給与の平均はボーナスを含めて818万2000円だった。国家公務員と民間銀行の給料を参考にして決定しているというが、世間一般からみればかなり高い。

日銀の発表によると、17年度の総人件費は591億2400万円。これには給与やボーナスのほか、退職金・福利厚生費が含まれている。このうち非常勤職員の給料は12億9000万円だった。日銀の本店内を歩いていると、非常勤らしい職員を数多く見かける。しかし発表では非常勤職員の人数に触れていないので、1人平均の給料は判らない。

また金融機関はどこもそうだが、日銀も女性職員が多い。観察する限りでは、女性の比率は3割を超えているのではないだろうか。しかし日銀は、女性職員の人数も発表していない。開かれた日銀を目指すのならば、非常勤職員や女性の人数と給与に関するデータも公表すべきだろう。

       ≪6日の日経平均 = 上げ +241.15円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】   


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新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】
2018-07-08-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第4章  錬 金 術 と 太 陽 光

≪40≫ ダーストン人 = それから半年あまり、ぼくは精力的に人々と付き合い、集会などへも積極的に参加した。この国の人たちを、もっと知りたいと考えたからである。まるで世論調査をしているようだと感じながら、毎晩メモしたノートは20冊を超えた。おかげでダーストン人の思考や生活態度も、ずいぶん判ってきたように思う。

エネルギー研究所のシュベール博士から聞いたダーストニウム合金と太陽光発電の話は、ぼくに強烈な印象を与えた。そこで数多くの人に聞いてみたが、驚いたことに知っている人はごく僅かだった。ほとんどの人からは「知りませんね」とか「聞いたことはありますが、あまり関心は持っていない」という答えが返ってきたのである。

電気はいつも十分に供給されている。完全自動車に乗れば、どこへでも安全に行ける。そんなことは当たり前のことであって、その仕組みを知っている必要なんかない。だからダーストニウムなどという名前も知らない。たいていの人は、こんな調子だ。知っていたのはごく僅か、ほとんどが理科系の学者だった。

その学者でさえも「人類は初め木を火種とし、石炭と石油を燃やし、さらには原子力をエネルギー源とした。そして最終的に太陽光発電にたどり着いたのです。これは歴史的にみて当然の帰着ですから、驚くには当たりません」と、のんびり構えている。その顔には「この地球人はなんで、こんな当たり前のことに驚いているんだろう」と書いてあった。

それだけではない。究極の再生医療、人間に近いロボットの製造。この驚くべき科学技術の成果についても、人々はもう当然のこととして受け入れている。それが物凄いことだという考え方は、ほとんどない。たしかに、この国の人々はそういう世界に生まれ育ってきた。すべてを当たり前のことだと思ってしまうのも、ある意味では仕方がないのかも。

ところが、このぼくはほんの数年前まで病気と闘い、自動車事故で多くの人たちが命を失う社会に住んでいた。ロボットは人間の代わりに働き出したが、まだ機械にすぎない。原発は事故を起こし、メタン・ハイドレードは人類に牙を剥いた。そんな世界から突然この地に来たのだから、そのギャップの大きさに圧倒されても仕方がない。

こう考えてくると、ぼくの気持ちはずいぶん楽になった。いままではダーストン星に呑み込まれていたが、これからは距離を置いて見ることが出来そうだ。理解に苦しんだ主婦や若者の生活態度も、なんとなく解ってきそうな気がしてきた。もう少し、ぼく流の世論調査を続けることにしよう。

                                (続きは来週日曜日)


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今週のポイント
2018-07-09-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 恐怖指数がじわり上昇 = ダウ平均株価は先週185ドルの値上がり。4週間ぶりの反発で、ウォール街は一息ついた格好。いぜんとして米中貿易戦争が暗い影を落としているが、6月の雇用統計が予想以上に好調だったこと。政府部内で追加の減税案が検討中のニュースなどを支援材料に、下値を拾う動きが活発になったようだ。しかし今後の見通しについて、市場で楽観論は聞かれない。

日経平均は先週516円の値下がり。こちらは3週連続の下落となった。主たる原因は、やはり米中貿易戦争。中国向けの輸出が多い企業、中国で生産・販売している企業が売り込まれている。さらに上海市場をはじめアジア各国の株価が大幅安を演じたことも、東京市場にはかなり影響した。

米中両国は先週末、関税引き上げ競争を開始した。ともに相手国からの輸入品340億ドル分に、25%の関税を上乗せしている。それが両国の経済、さらに世界経済にどんな影響を及ぼすのか。これから出てくるであろう悪材料に、市場は身を固くしている。日経VI(恐怖指数)も先週は23台にまで上昇した。この夏は熱中症と株安に、厳重注意である。

今週は9日に、5月の国際収支と6月の景気ウォッチャー調査。11日に、6月の企業物価と5月の機械受注、第3次産業活動指数。アメリカでは11日に、6月の生産者物価。12日に、6月の消費者物価。13日に、7月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が10日に、6月の消費者物価と生産者物価。13日に、6月の貿易統計を発表する。

       ≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ


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波状攻撃を受ける アジア経済 (上)
2018-07-10-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 第1波はダブル・パンチ = アジア経済が悲鳴を上げ始めた。アメリカの金利上昇と米中貿易戦争。このダブル・パンチを喰らって、ほとんどの国が通貨を防衛するため何回も利上げした。その結果、こんどは景気の下降と物価の上昇に警戒信号が点滅している。まだアルゼンチンのように債務不履行に陥った国はない。しかし時間の経過とともに、世界経済全体の停滞という第2波が襲ってくる可能性は否定できない。

アメリカの長期金利が3%に達したころから、新興国へ投資されていた資金がアメリカへ還流し始めた。特に直撃を受けたのは、銀行業や不動産業。それにドル建て債務が大きい企業だった。そこへ米中貿易戦争の打撃が加わる。主としてアメリカ向け輸出の比重が大きい中国企業、中国向け輸出の比重が大きいアジア各国の企業が影響を受けた。

日経新聞の調査によると、アジア各国に上場する主要325社のうち、株価が年初より下げたのは215社。たとえばアメリカ市場への参入を目指してきた中国の大手自動車メーカー、広州汽車集団は年初比4割を超す下落となっている。また世界最大の豚肉加工業の万州国際。アメリカ向け輸出が多い台湾の鴻海精密工業、韓国の現代自動車、インドのタタ自動車。それにドル債務が大きいマレーシアのエアアジアなどの株価も大幅に下げている。

実は2013年にも、アジア諸国は経済危機に見舞われた。中国の人民元切り下げとアメリカの利上げが、原因となっている。しかし、その当時と比べアジア各国の経済は格段に成長し、抵抗力も増大した。このため現状は、まだ耐え抜いていると言えるだろう。しかし世界経済全体の停滞という第2波、さらにトランプ大統領がちらつかせている自動車の輸入制限という第3波がやってきたとき、どういうことになるか。その予測は不明である。

                             (続きは明日)

       ≪9日の日経平均 = 上げ +264.04円≫

       ≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ


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波状攻撃を受ける アジア経済 (下)
2018-07-11-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 第2波、第3波が襲来する恐れ = 貿易戦争の影響を受けるのは、アジア諸国だけではない。だが、その影響度には格差がある。たとえばアメリカは、まだ実質的な影響を受けていない。景気の順調な拡大が続き、新興国からの逆流で資金も豊富だ。日本にも大きな影響は及んでいないが、アジア諸国との関係が深いだけに、警戒感はアメリカよりも強い。その結果は「ダウは強含み、日経平均は弱含み」と、市場にも表われている。

数か月もすると、アメリカや中国の貿易に変化が現われるだろう。輸出が減少して景気の足を引っ張るようになると、こんどは日本やアジア諸国の対米・対中輸出が伸び悩む。こうしてアジア経済には、悪影響の第2波が到達する。その段階では、日本も波をかぶることは避けられない。

さらにトランプ大統領は、中国からの輸入品160億ドル分に追加の高関税を発動するかもしれない。そうなれば中国も同等の報復関税をかけるだろう。そのうえトランプ大統領は、自動車の輸入関税を引き上げると示唆している。仮にそうなれば、アジア経済は第3波、第4波の悪影響を被ることになるわけだ。

トランプ大統領には「最初は強気に出て、あとは柔軟に対処するクセ」があるように見受けられる。だから貿易戦争も、早い時期に和解が成立しる可能性もないではない。ただ、そのチャンスは160億ドル分の追加関税を発動する前に限られるだろう。そうなることがきわめて望ましいが、その実現性は神のみぞ知る。

       ≪10日の日経平均 = 上げ +144.71円≫

       ≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ


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異端児イタリアの 正論 / EU (上)
2018-07-12-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ コンテ首相の発言に大揺れ = 事件は6月10日、民間支援団体の船が地中海を漂流していた629人のアフリカ難民を救助したことから始まった。近くのイタリアに上陸させようとしたが、イタリア政府はこれを拒否。一時は海上で立ち往生したが、結局はスペインが受け入れた。EU内部ではこの事件を巡って賛否両論。フランスやスペインは激しくイタリアを非難したが、ポーランド・チェコ・ハンガリーなどの東欧諸国はイタリアの決断を称賛した。

EUはこの事件を重視、首脳会議を開いて協議した。この会議に出席したイタリアのコンテ首相は「難民の多くは地理的に近いギリシャとイタリアに到達し、この両国には過度の負担がかかっている」と強調。EU加盟国が公平に分担しないならば「通商政策や安全保障に関する合意にも同意しない」と息巻いた。

現在の規則によると、難民は最初に上陸した国で、受け入れ申請などの手続きをすることになっている。このため16年以降、ヨーロッパに到着した難民の約半数、31万人がイタリアで手続きを行った。この負担は、たしかに不公平だ。そこでEUも15年に他の加盟国が16万人分を引き受けるように決めたが、各国の反対もあってまだ3万5000人分しか実行されていない。

コンテ氏は法律学者で無派閥。難民受け入れに反対の「五つ星運動」と極右の「同盟」が連立し、この6月に首相に就任したばかり。それだけに「難民反対」といった極端な発言も予想されたが、首脳会議では正論を押し通した。このことがかえって、EU域内でも予想外の共感を呼んでいる。このままだと異端児の正論が域内に広まり、EUの方が異端になるかもしれない。EUの危機でもあるわけだ。

                               (続きは明日)

       ≪11日の日経平均 = 下げ -264.68円≫

       ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ≫   


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異端児イタリアの 正論 / EU (下)
2018-07-13-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ ドイツの政局に波及 = 首脳会議ではコンテ首相の正論を否定できず、難民問題は「加盟国が公平に分担すること」を決めた。具体的には域外のアフリカと域内の数か所に、難民申請の受付所を新設することでも合意した。しかし場所を特定するまでには至らなかったので、事実上は何も決められなかったのに等しい。これでEUの権威は低下し、域内の反EU的な動きを強める結果を招いてしまった。

EUの盟主ドイツも、その動きに揺さぶられている。ドイツのメルケル内閣は、CDU(キリスト教民主同盟)とCSU(キリスト教社会同盟)、SPD(社会民主党)の3党による大連立。このうちCSUは移民大反対で「難民は国境で追い返せ」と主張している。これまで難民に対して寛容だったメルケル首相も、CSUと妥協しなければ内閣を維持できない状況に追い込まれた。

結局は「国境に収容所を設け、難民は最初に上陸した国に返す」ことで妥協。あやうく倒閣を免れている。だが、この合意はCSUの主張そのもの。メルケル首相の求心力は大きく低下した。ところが連立を組むもう一方のSPDは、難民支援派。メルケル首相の心変わりに、批判の声が高まっている。メルケル首相は、完全にピンチを脱したとは言い切れない。

EUはイタリアやスペインの不満を抑えるため、少なくとも難民の救済に必要な費用を加盟国が分担しようと考えている。だが、そのためには加盟国からの拠出金を増やさなければならない。ところが多くの加盟国は、これに反対している。このようにコンテ・イタリア首相が投じた一石は、EU全体を揺り動かした。しかし事態は、ますます判りにくくなっている。

       ≪12日の日経平均 = 上げ +255.75円≫

       ≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ


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この格差を どう考える?
2018-07-14-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 増えている貯蓄ゼロ世帯 = 年間の所得が1億円を超えた人。国税庁の集計によると、16年は2万0500人に達した。5年前に比べて6割も増加したという。このうち1万1000人は、株の売却や配当が主たる収入源だったそうだ。では年間所得が100億円を超えた人は何人いたでしょうか。答えは17人、5年前の4人から大幅に増えました。

日銀の外郭団体である金融広報中央委員会の調査によると、単身世帯のうち金融資産を持っていない世帯の割合は46.4%にのぼった。収入が少なかったり、支出がかさんだり。理由はさまざまだが、半分近くの世帯が貯蓄ゼロという結果は衝撃的だ。金融資産を保有している世帯も、平均で3000万円の貯蓄を目指しているが、現実の平均貯蓄額は114万円にとどまっている。

一方では1年で1億円を稼ぐ人。他方では貯蓄が出来ない人。この格差を、どう考えるのか。「資本主義社会だから当たり前」「運がいいか悪いかの違い」と肯定する人も多いだろう。反対に「いい世の中とは言えない」「格差が大きくなりすぎると、政治が不安定になる」と批判的にみる人も少なくないはずだ。

ただ億万長者の半分以上が、株式の取り引きで誕生したという事実は見逃せない。この5年間は、ぴったり日銀の異次元緩和政策と一致するからだ。つまり日銀によるゼロ金利政策と大量の国債買い入れによる量的緩和政策は株価を上げ、億万長者の量産に大きく貢献したことは確か。その半面、働く人たちの貯蓄を増やす効果はほとんどなかったと言えるだろう。

       ≪13日の日経平均 = 上げ +409.39円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   


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新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】
2018-07-15-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第4章  錬 金 術 と 太 陽 光

≪41≫ 別世界? = たしかに、この国は住みやすい。だいいち働かなくても、結構な暮らしができる。おカネの心配もない。病気やケガは完全に治してくれて、100歳までの健康が保障されている。喧嘩や犯罪もない。人々は自分の好きな道を選んで、生きがいを感じているらしい。

でも、それだけに刺激というものが全くない社会でもある。最初のうちは「他人と競争しようなんて思わない」とか「現状に不満なんてない」といった人々の声を聞くと、ぼくは疑ったものだ。突如として出現した地球人に、強がりを言っているのではないか。そんな風に感じていたことは、否定できない。

ときどき、わが愛するマーヤにも聞いてみた。だがマーヤは常に「人々の言うことに嘘はないでしょう」と断言していた。このロボットと人間との関係も判りずらい。ぼくが地球で知っていたロボットは生産工場で人間の代わりをしたり、会社やホテルで受付の業務をこなしたり。まだ進化した機械に過ぎなかった。それが、ここでは人間と変わらない肢体を持ち、人間以上の知能を有し、社会では人間並みに扱われている。

だがダーストン星に5年も住み着いてみると、ぼくの考え方もは変わってきた。ここの人たちは、どうも心の底から現実を受け入れているようだ。そんな感じが次第に強くなってきた結果、最近では「それがダーストン人なのだ」と思うようになっている。この人たちは、こういう環境で生まれ育った。だから200年以上も前の競争的な人生や戦争や犯罪が多発した社会のことは、教科書でしか知らないのだ。

ところが、ぼくはつい数年前まで、実際にそういう社会に住んでいた。そのギャップは限りなく大きい。もし、ぼくがこの星にずっと住み続けるとしたら、多分そういう人生観に変わって行くのだろう。だが、どうしても理解できないことが1つある。

それはダーストン国というのは、地球とは完全に違う『別世界』なのか。それとも『地球も200年すれば、この国のように変わって行くのか』という大いなる疑問だ。この大問題は、おそらく賢人たちに聞いても判らないだろう。そうして、こんな問題に頭を悩ませている日本人が、4.2光年も離れた星で暮らしている事実を、地球上ではだれ一人として知らない。こう考えると無性に寂しくなって、思わずマーヤの手を握りしめた。

そんなとき、賢人会のウラノス議長から連絡があった。真剣な顔をしたマーヤが「重要な話をしたいので、あした来てくださいと言ってます」と告げた。

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今週のポイント
2018-07-16-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 円安という恵みの雨 = 米中貿易戦争が激化したにもかかわらず、株価は大きく上昇した。ダウ平均は先週563ドルの値上がり。終り値では1か月ぶりに2万5000ドルの大台に乗せている。ナスダックは史上最高値を更新した。貿易戦争の影響が測定しにくいなかで、企業業績は4-6月期も好調との予想が株価を押し上げている。新興国から引き揚げられた資金も、ドル高・株高の要因となった。

日経平均は先週808円の大幅高。ニューヨークの活況に引っ張られたうえ、円安が強力な買い材料となった。貿易戦争は円高につながるという予想が強かっただけに、予想外の円安で輸出関連株などが買い進まれた。週の終り値では、日経平均も2万2500円台を回復している。

アメリカの景気は、いぜん好調を維持している。唯一の不安材料は、貿易戦争の結果として物価が上昇し、それが個人消費を抑制すること。いつごろから、どの程度の強さで現われるか。また円相場には実に数多くの要因が作用しているが、その一つ一つの要因が、これから力を強めるのか、弱めるのか。注意して見て行くしかない。

今週は18日に、6月の訪日外国人旅行客数。19日に、6月の貿易統計。20日に、6月の消費者物価と5月の全産業活動指数。アメリカでは16日に、6月の小売り売上高。17日に、6月の工業生産。19日に、6月のカンファレンス・ボード景気先行指数。また中国が16日に、4-6月期のGDP速報、6月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。

       ≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ


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成長の鈍化は 不可避 / 中国
2018-07-18-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 6.5%目標を守れるか = 中国統計局は16日、4-6月期のGDP速報を発表した。それによると、前年比の実質成長率は6.7%で、前期より0.1ポイント低下した。同時に発表した主要な経済指標をみると、最も鈍化したのは固定資産投資。1-6月間では6.0%増となり、1-3月間の実績より1.5ポイントも縮小した。これは習政権が地方政府の債務膨張を抑えるため、インフラ投資をきびしく規制した結果だとみられている。

個人消費も伸びが止まった。1-6月間の小売り高は前年比9.4%増だったが、1-3月間に比べると0.4ポイント低下している。5月だけをみると、伸び率は8.5%で15年ぶりの低さだった。また輸出は1-6月間で前年比12.8%増加したが、輸入が19.9%も伸びたために、貿易の黒字幅は縮小している。

中国政府は地方政府の財政を再建するため、道路などのインフラ投資を抑制。また不動産価格の高騰を抑えるため、金融機関による不動産ローンを規制した。その一方、これらの政策による成長率の鈍化を防ぐ目的で、製造業を中心とした法人減税や預金準備率の引き下げを実行してきている。ところが、そこへ持ち上がったのが米中貿易戦争。

関税引き上げ競争による輸出の伸び悩みは、7-9月期になると表面化するに違いない。元安などで物価が上昇すれば、個人消費がさらに落ち込む可能性も大きい。とすれば、ことし後半の成長率がさらに低下することは避けられないだろう。ただ後半の成長率が6.3%に減速しても、年間を通せば政府が目標とする6.5%成長は達成できる。その成否が、今後の注目点になりそうだ。

       ≪17日の日経平均 = 上げ +100.01円≫

       ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ


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円安は 持続するのか (上)
2018-07-19-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 突然3円はね上がった理由 = 長いこと膠着状態を続けていた円の対ドル相場が先週、急に動き出した。5月初めから先々週までは109-110円の範囲に収まっていたのが、突如として112円台にまで下落している。しかも「円高方向に進む」という事前の予想に反して、円安になった。その理由としては、実にさまざまな説が飛び交っている。まず、その整理から始めてみよう。

米中貿易戦争が実際に始まった。アメリカは6日、中国からの輸入品340億ドル分に対して25%の関税を追加すると発表。中国も同規模のアメリカ製品に対する報復関税を発動した。さらにアメリカは9月ごろまでに160億ドル分を追加。そのうえ2000億ドルにのぼる追加の品目リストまで発表した。中国も報復する姿勢を崩していない。

この貿易戦争が、為替市場にショックを与えたことは間違いない。ただ事前の予測では「貿易戦争はドル安・円高を呼ぶ」と考えられていた。アメリカ経済に悪影響が及び、景気も鈍化する。したがってドルは売られる。また市場ではリスク感が強まり、安全資産と目される円が買われる。多くの関係者が、こう読んでいたからだ。

ところが実際は逆に。中国の安い製品が流入しなくなって、アメリカの物価は上がる。するとFRBの利上げが速まり、ドルは高くなる。市場の読みが、百八十度変わったのだ。さらに利上げが速まれば、新興国からの資金逆流が続き、これもドル高要因になる。加えてトランプ大統領が自動車の輸入関税引き上げに言及したことも、円相場の下落につながった。

                               (続きは明日)

       ≪18日の日経平均 = 上げ +96.83円≫

       ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ


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円安は 持続するのか (下)
2018-07-20-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 最大のカギはアメリカの景気 = ドル高・円安の原因については、数多くの解説が流れている。たとえば原油高の影響で、東京市場ではドルの需要が強いという見方もあった。そうしたなかで注目されたのは、FRBによる国債の売却が加速しているという報道。FRBの保有資産圧縮は7月に400億ドル、従来の4倍になったという。これが事実ならば、ドル高・円安の大きな要因になってもおかしくはない。

このようにみてくると、すべての要因にからんでいるのは、アメリカの景気動向である。たとえば6月の雇用統計では、非農業雇用者数が前月比で21万3000人も増加。いぜんとして予想以上の成績が続いている。消費者物価も5月は前年比2.0%の上昇で、6年ぶりの高さだった。FRBが利上げを速める条件は整っている。

「アメリカの景気回復が続く限り、円安も持続する」--こんな仮説も立てられないことはない。ではアメリカの景気はどうなるのか。見方は大きく2分されるだろう。1つは貿易戦争がアメリカ経済に及ぼす影響は小さく、景気の回復が持続する。資金の還流も続いて株価は上昇。企業業績の好調も維持される。形としては、アメリカ経済の“ひとり勝ち”になるわけだ。

もう1つは貿易戦争の結果、アメリカ国内の物価が上昇。利上げのペースがもっと速まり、個人消費が伸び悩む。企業の収益も頭打ちとなって、ドルは売られる。この2つの見通しのうち、どちらが正しいのかはまだ予測できない。ただアメリカの個人消費に関連した指標に注目していれば、円相場を占うことができるかもしれない。

       ≪19日の日経平均 = 下げ -29.51円≫

       ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ


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アブナイ 経済解説記事
2018-07-21-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ アイスの世帯当たり支出額 = 日経新聞に「アイスの世帯当たり支出額  首位金沢、2位富山」という記事が載っていた。家計調査でアイスクリームとシャーベットの年間支出額を県庁所在地で比べると、トップは金沢市の1万1324円。第2位は富山市で、北陸地方でよく食べられていると書いてある。全国で最も少ないのは和歌山市だった。

北陸地方で支出が多いことについて、この地方には甘党が多いとか、冬もこたつを囲んで食べる習慣があるとか解説していた。読者は多分「なるほど」と納得してしまうだろう。しかし家計調査から、こういう結論を引き出すことには危険がある。総務省が毎月実施している家計調査は、全国の約9000世帯を対象にした抽出調査

だから金沢市にしても富山市にしても、対象となる世帯数はそんなに多くない。したがって調査の対象になった世帯が、たまたまアイス大好きというケースもないではない。もっとありうるのは、新聞で報道されることにより、対象となった世帯が“責任感”を感じる可能性だ。通常よりたくさん購入したり、調査票に水増しして記入してしまう。

ギョウザについても、同様の問題が生じている。これは家計調査が悪いわけではなく、そこからこういう記事を書くマスコミの方が間違っている。アイスやギョウザの消費順位を調べるのなら、各地域の小売販売額を世帯数で割って算出すべきだろう。これには手間がかかるけれども。

       ≪20日の日経平均 = 下げ -66.80円≫

       【今週の日経平均予想 = 2勝2敗】   


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新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】
2018-07-22-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第5章 ニッポン : 2060年代

≪42≫ 驚愕の提案 = 「やあ、元気そうだね。きょうは大事な話をするから、よく聞いてくれたまえ」
ウラノス博士は開口一番、こう切り出した。白髪に丸顔、低くて柔らかい声。最初に会ったときと、ぜんぜん変わっていない。ただ変わったのは胸のプレート番号。≪12≫から≪07≫に変わっている。ああ、あれから5年もたったんだ。

「以前に『君にはやってもらいたいことがある』と言ったのを覚えているかな」
――もちろん、よく覚えています。でも何をすればいいのか、いまだに全く判りません。博士の頼みならばどんなことでもやるつもりですが。

「よろしい。君には地球に帰ってもらいたいのじゃ。そして地球の人類にも、われわれダーストン人のためにもなる仕事を始めてもらいたい」
――えっ、そんなことが、ぼくに出来るんですか。

「われわれの予測だと、地球人は再びエネルギーで大問題を惹き起こす可能性が高い。たとえば、われわれの祖先が使用済み核燃料の処理で失敗したようにな。すると地球人はまたまた脱出先の星を探して、このダーストン星を発見するかもしれない。わしらの賢人会は、そんな事態を未然に防ごうと考えたんじゃ。
君もよく知っている例のダーストニウム合金を、地球上の国に普及させる。そうすれば太陽光発電だけで、エネルギーを賄うことができ、不測の事態は起きんじゃろう」

――びっくりして、心臓が止まりそうです。なるほど、考え方はよく解りました。しかし、ぼくにそんな能力はありませんよ。また、ぼくが日本に帰っても、航空自衛隊には戻れないでしょうし、親類も友人もいません。

「大丈夫。われわれがすべて計画を練り上げる。君は指示通りに動いてくれればいいんだ。それに補佐役兼連絡係として、このマーヤを付けてあげる。君さえ決心してくれれば、あと半年の間に宇宙船を造り、マーヤを日本人の女性に改造する」

正直に言って、この提案を受け入れるのは、とても不安だった。その半面、日本のいまの様子を知りたいという気持ちも強かった。そんな心の葛藤を破ったのは、マーヤを連れて行けるという博士の発言。十分に計算したうえのひと言だったに違いない。そっとマーヤの横顔を覗き込んだが、表情に変化はなかった。

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今週のポイント
2018-07-23-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 短期は買い、長期は警戒 = アメリカ経済は、いぜん順調な拡大を続けている。特に注目される小売り売上高は6月も前月比0.5%の増加、これで5か月連続の増加となった。4-6月期の企業決算も予想以上の成績。なかでも大手銀行の利益が大幅に増えている。ただ半面、貿易戦争の影響には警戒感が強まった。このためニューヨーク株式市場では長期投資が手控えられ、投資ファンドによる短期売買が主流となっている。ダウ平均は先週39ドルの値上がり。

日経平均は先週101円の値上がり。割安感から外国人投資家の買いも入ったが、円相場が1円ほど上昇したことが相場の頭を重くした。またアメリカが自動車の輸入関税を、ほんとうに引き上げるのかどうか。市場にとっては、その見極めがしだいに重要な問題になってきている。

そこへまた新たな一石。トランプ大統領は先週末、得意のツイッターでFRBの利上げ政策を「好ましくない」と批判した。この影響でFRBが利上げのテンポを落とすと考えられれば、円高要因になる。逆にインフレが進むと予想されれば、円安要因になるだろう。今週は日米の市場が、その答えを探ることになりそうだ。

今週は26日に、6月の企業向けサービス価格。27日に、7月の東京都区部・消費者物価。アメリカでは23日に、6月の中古住宅販売。25日に、6月の新築住宅販売。27日に、4-6月期のGDP速報が発表される。

       ≪23日の日経平均は? 予想 = 下げ


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トランプ大統領が 口先介入
2018-07-24-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 支離滅裂は承知のうえ = トランプ大統領がとうとう、金利や為替にまで口先介入を始めた。まず先週19日には、テレビ番組で「金利が上がるのは好きではない」とFRBの金融政策を批判。ツイッターでも「金融引き締めは、われわれが成し遂げてきたすべてを傷つける」とフォローしている。さらに20日はツイッターで「中国やEUは通貨を操作し、金利を低くしている」と、為替相場にまで言及した。

もともとトランプ大統領は、不動産業で成功した人。したがって高金利やドル高は、昔から商売の敵であったに違いない。だから思わず本音が出たとも言えるが、大統領としてFRBを批判するのはニクソン大統領以来のこと。決して褒められたことではない。また中国やEUを名指しで非難したことも、大人げない態度だと受け取られている。

ただ大統領の発言は、それなりに影響力を持っている。この2日間の発言で、ドルは各国通貨に対して下落。たとえば円の対ドル相場は、発言前の18日朝は113円台だったものが、19日夜には111円台に急騰した。しかし市場は、ドルの下落がこの先も続くと考えてはいない。トランプ大統領の思考は支離滅裂で、説得力に欠けるからである。

トランプ大統領はアメリカの景気回復を目指して、大幅減税とインフラ投資を実行した。その効果が出て、経済は長期にわたって拡大を続けている。するとドルは強くなり、物価は上がる。またトランプ大統領が始めた貿易戦争も、物価高を招きそうだ。したがって金利の上昇もドル高も、実は大統領自身がタネを播いたことになる。だから大統領の言動は自己矛盾、支離滅裂。大統領自身もそれを承知のうえで発言している、という見方が強い。

       ≪23日の日経平均 = 下げ -300.89円≫

       ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ


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猛暑が 景気を危うくする? (上)
2018-07-25-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ どんどん上がる電気・ガス代 = 電気・ガス料金の値上げが止まらない。大手電力8社と都市ガス4社は、8月も料金を引き上げると発表した。たとえば東京電力の場合、標準家庭の電気料金は月額7015円に。前月より37円高くなる。これで値上げは7か月連続。東日本大震災の前に比べると1400円、率にして25%も上昇することになる。

値上げの理由は、原油やLNG(液化天然ガス)の輸入価格が上がったため。8月の料金は3-5月の輸入代金を反映して決められるが、この期間の輸入価格はOPEC(石油輸出国機構)の生産調整などで上昇した。この傾向は6月になっても続いたから、9月も電気・ガス料金が引き上げられることは間違いなさそうだ。

電気・ガス料金の引き上げは、企業の経営や家計のやりくりに直接影響する。特に電力消費型の中小企業には、大きな痛手になりやすい。また一般家庭もその分の出費増加を、どのようにして埋め合わせるか。他への支出を節約するか、貯蓄を取り崩すか。これだけ電気・ガス料金が高くなると、家計への影響も決して小さくはない。

加えて、この猛暑である。気象庁が「熱中症を防ぐために、クーラーを付けてください」と、呼びかけているご時世だ。一般家庭の電力・ガス使用量は、それこそウナギのぼりに増えていることだろう。当然、支払う料金には値上げ分だけでなく、使用量の増加分も含まれてくる。秋以降、家計がその分の埋め合わせを始めると、個人消費が減って景気に注意信号が灯る危険性が生じても不思議ではない。

                                (続きは明日)

       ≪24日の日経平均 = 上げ +113.49円≫

       ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ


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猛暑が 景気を危うくする? (下)
2018-07-26-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 原油価格+猛暑+政策の失敗 = 電気料金の値上げは、原油やLNG(液化天然ガス)の輸入価格が上がったためだと説明されている。しかし、この説明は正確ではない。太陽光発電などを強制的に買い取らされた電力会社が、この分を料金に転嫁しているからだ。標準家庭の電気料金は大震災前に比べると月1400円ほど値上がりしているが、その半分が強制買い取りの転嫁分だ。

経済産業省は太陽光発電の普及を促進しようと、電力会社に強制的に買い取らせる制度を12年に導入した。ところが、その買取価格を大規模事業者の場合1㌔㍗時=40円という法外な値段に設定。このため買い取り費用は、17年度で2兆7000億円にも達している。このうち2兆1000億円が、電気料金に転嫁された。

これでは電気料金が上がるばかり。自らの失敗に気付いた経産省は、買い取り価格を下げ続け、18年度は18円になっている。しかし、こんどは価格が安すぎて、コストの高い日本企業は参入するのが難しくなってしまった。その間隙を突いて、コストの安い外国企業が日本の太陽光発電市場を占拠する勢い、というのが現状である。

原油の国際価格上昇が、電気料金の値上がりに直結することは確かだ。それに経産省の“失政”が加わったことも事実。さらに歴史的な猛暑によって、電力の使用量が膨張する。その結果、家計の不可避的な出費がかさむと、家計は秋以降その分を埋め合わせようと努力する。それがどの程度の規模になるかは即断できないが、個人消費を減らして景気の足を強く引っ張る危険性もないではない。

       ≪25日の日経平均 = 上げ +103.77円≫

       ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ


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日銀は “改心”した方がいい
2018-07-27-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 注目が集まる来週の政策決定会合 = 日銀は来週30-31の両日、政策決定会合を開いて金融政策のあり方を議論する。この会合で、物価の見通しを下方修正することは確実。また長期にわたっている金融緩和政策の副作用を和らげる方策についても、初めて検討する模様だ。しかし小手先の技術論で対応しようとすれば、副作用はますます膨張し収拾がつかなくなってしまうだろう。

ことし4月の時点で、日銀は18年度の物価上昇率を1.3%と予測していた。現在の状況からみて、この予測を引き下げることは間違いない。黒田総裁は就任当時から「物価上昇率が2%になるまで、金融緩和は続ける」と宣言しているが、この目標はさらに遠ざかってしまうことになる。また5年も続いた金融緩和の副作用も、放ってはおけないほど大きくなってきた。

不思議なことがある。日銀は最近「生活意識に関するアンケート調査」なるものを発表した。それによると「1年後の物価は上がる」と答えた人は77.4%にも達した。政策決定会合で物価上昇の予測を下方修正しようとしているときに、なぜこんな調査結果を公表したのだろう。日銀が目指す2%物価上昇は、GDPや株価の高騰、つまりアベノミックスの成功だけを目的としており、一般国民のいう物価とは関係がないと考えているのだろうか。

この際、ゼロ金利政策を0-0.1%金利政策に改めるなど姑息な対応策をとっても、副作用の改善は見込めない。金融政策は誰のために行うのか。この根本的な姿勢を変えないがぎり、日銀がいまのジレンマから抜け出す道はないだろう。思い切って改心すれば、物価2%目標などという有害無益な数字から直ちに離脱できる。

       ≪26日の日経平均 = 下げ -27.38円≫

       ≪27日の日経平均は? = 上げ


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「健康寿命」を 代表取締役に
2018-07-28-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 「平均寿命」は相談役に降格 = 厚生労働省が17年の平均寿命を発表した。それによると女性は87.26歳、男性は81.09歳。女性は5年連続、男性は6年連続で過去最高を更新した。また男性は初めて81歳を超えている。厚労省は「がん、心疾患、脳血管疾患による死亡率の減少が、平均寿命の上昇につながった」と解析している。

だが新聞やテレビは、このニュースをひところのように大々的には伝えなかった。国際比較でみると、女性は香港に抜かれて第2位。男性は香港とスイスに抜かれて第3位だったからかもしれない。しかし一般的に「もう平均寿命の延びを単純に喜ぶ時代ではない」という風潮が広まったことも確かだろう。

寿命が延びても、元気でなければ意味がない。病人や要介護者が増えれば、医療費や介護費が膨張するだけ。それよりも、何歳まで元気でいられるかに、国民の関心は集中し始めた。これはきわめて好ましい兆候だと言えるだろう。ところが厚生労働省の方が、頭を切り替えられない。平均寿命は毎年かならず集計しているのに、健康寿命はいまだに3年に1度しか調査していない。

このため健康寿命に関する最新のデータは、16年の女性74.79歳、男性72.14歳しかない。この健康寿命を延ばして平均寿命との差を縮めることを、政府も最大の政策目標として掲げるべきだ。そのためにも責任官庁である厚生労働省は、健康寿命に関する調査をもっと重視してほしい。健康寿命が主役、平均寿命は脇役でいい。

       ≪27日の日経平均 = 上げ +125.88円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   


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新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】
2018-07-29-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第5章 ニッポン : 2060年代

≪43≫ 絶対条件 = 「君の帰国は、これで本決まりじゃ。ただ1つだけ、絶対に守ってもらわなければならないことがある。それは地球に帰ったら、このダーストン星のことはいっさい口外しないこと。君がこの国で5年過ごしたことも、話してはならない。地球人にはダーストン国の存在を知られたくないからね。

君は例のダーストニウム合金を地球に持ち帰り、太陽光発電を各国に広める仕事を始める。しかし仮に君がこの約束を守らないときは、UFOがダーストニウムを破壊する光線を発射することになるだろう。すると地球は再び深刻なエネルギー不足に見舞われる。マーヤの神経系統にも異常をきたすから、十分に注意してもらいたい」

ウラノス博士の顔つきは引き締まり、声はいっそう低くなった。
――判りました。絶対に秘密を守ります。

「この5年間、君は記憶を喪失していたことにしてくれ。とにかく計画はわれわれが練り上げ、マーヤがそのすべてを記憶する。だから君は、マーヤの指示に従って行動してくれればいい」

あくる日から、マーヤはがぜん忙しくなった。病院に行って、日本の文字についての読み書き能力をインプットする。どこかで日本の女性に関する思考や習慣も、記憶装置に投入しているらしい。さらに科学院にも通って、ウラノス博士が言う“われわれが練り上げた計画”なるものを学んでいるようだ。

逆に、ぼくの方はやることがない。行き付けになった近所の居酒屋風集会所に、ひとりで出かけることが多くなった。顔見知りも増えたが、やはり言葉は通じない。それでも、みんなが歓迎してくれるから嬉しい。身振り手振りで、なんとか意思は通じるようになっている。特にガーシュおばあちゃんがいると、身振り手振りでも盛り上がった。

夜遅く、マーヤが帰ってきた。
――大変だね。疲れたろう。
「いいえ、ロボットは疲れません。貴方と大きな仕事が出来るので、とっても嬉しいんです。日本の女性のことも、ずいぶん判ってきました。貴方こそ、もう寝ないと」

このごろ、マーヤはぼくの隣で寝ることが多い。もちろん、ロボットだから本当に眠りはしない。でも、ぼくの方はマーヤの手を握っていると、深い眠りに落ちる。

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今週のポイント
2018-07-30-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ ピークを迎えた決算発表 = 日米ともに、企業の4-6月期決算発表がピークを迎えようとしている。そんななかでダウ平均は先週393ドルの値上がり。一方、日経平均は15円の値上がりにとどまった。いろいろ理由は考えられるが、企業経営者がことし後半の業況をどう予想しているかの差が大きい。アメリカでは好業績が続くとみる経営者が多く、日本では減益予想が広がっている。

米商務省が週末に発表した4-6月期の実質成長率は4.1%。なんと4年ぶりの高さだった。トランプ大統領による大型減税などの景気刺激効果が現われたものとみられ、この勢いはまだ持続するとの見方が強い。株価もこの勢いに乗っている。片や東京市場の方は円相場がやや下落したことで、なんとか水準を保っている状況だ。

気になる点もないではない。アメリカの場合は、貿易戦争の悪影響がいつ表面化してくるか。物価が上昇して個人消費に影が差すと、好況見通しにも狂いが生じかねない。日本の場合は、長期金利に上昇圧力がかかってきたこと。日銀が指し値オペで上昇を阻止しているが、異常な雰囲気が醸成されてきたことは否定できない。

今週は30日に、6月の商業販売統計。31日に、6月の労働力調査と鉱工業生産、7月の消費動向調査。1日に、7月の新車販売。アメリカでは30日に、6月の中古住宅販売。31日に、7月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。1日に、7月のISM製造業景況指数。3日に、7月の雇用統計とISM非製造業景況指数、6月の貿易統計。また中国が31日に、7月の製造業と非製造業のPMIを発表する。

       ≪30日の日経平均は? 予想 = 下げ


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成功した 景気刺激策 / アメリカ
2018-07-31-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 景気拡大は10年目に突入 = アメリカの景気が、予想以上の強さをみせている。米商務省が発表した4-6月期のGDP成長率は、実質値で4.1%に達した。1-3月期の2.2%成長から大きく跳ね上がり、4年ぶりの高い成長率を実現している。景気の拡大期間も7月で10年目に突入。今後も好景気が続くという観測が広がっている。

GDPを大きく押し上げたのは、個人消費と企業の設備投資。個人消費は4.0%、設備投資は7.3%増加した。特に自動車を含む耐久消費財は9.3%も伸びている。個人消費も設備投資も、トランプ政権による大型減税とインフラ投資の効果が現われた結果だと分析されている。この効果はまだ持続し、景気拡大は19年も続くという見方が強い。

問題もないではない。1つはFRBが進める金融引き締め政策との関係。景気拡大が加速すれば、物価も上昇速度を速める。貿易戦争も、国内の物価上昇につながりかねない。するとFRBは引き締めのテンポを速める可能性がある。もう1つは共和党内に多い財政再建派の抵抗。これ以上の財政支出増には、強く反対する姿勢をみせている。

ただトランプ流の積極財政政策が、目に見えた効果を挙げたことは事実。中間選挙を前に、トランプ氏にとっては大きな得点になったと思われる。同時にアメリカで財政の出動が成功したことは、他の先進国にも影響を与えそうだ。日本でも来年の参院選を前にして、大型減税論が湧き上がるかもしれない。

       ≪30日の日経平均 = 下げ -167.91円≫

       ≪31日の日経平均は? 予想 = 下げ


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