◇ 巨額のコストは誰が払うのか = 東北電力の女川原発2号機(宮城県)が29日、東日本大震災で停止して以来13年7か月ぶりに再稼働した。いま日本にある原発は33基。このうち大震災のあと再稼働した12基の原発は、すべてに西日本に所在するもの。東日本で原発が再稼働するのは初めてのことである。経済産業省は「原発を出来るだけ活用する」という政府の方針に沿った動きと自画自賛。マスコミもだいたいは歓迎しているようだ。
女川原発は大震災で被害を受けて停止。その後、原子力規制委員会から津波対策を十分にするよう指導された。これに沿って、海抜29メートルの防潮堤を800メートルにわたって構築するなど、長時間を費やして大掛かりな安全対策を講じてきた。たとえば大地震が起こっても、補助電源や冷却水は十分に確保されるようになっている。しかし、これらの工事には総額5700億円の費用がかかった。
それでも近隣住民の避難という問題は、解決されていない。土砂崩れによって、道路が寸断される危険があるからである。宮城県は船舶やヘリコプターによる脱出を考えているようだが、うまく行く保証はない。また安全工事に5700億円もかけた結果、この原発の発電コストは異常に高くなってしまった。東北電力の純利益は23年3月期が1276憶円の赤字、24年3月期が2261億円の黒字だから、とても自前では処理しきれない。結局は電気料金の値上げで、消費者が負担することになるのだろう。
仮に5700憶円を使って、ペロブスカイト型の“曲がる太陽電池”を国や自治体の所有するビル、あるいは高速道路の壁面に貼り付けたら、どうだろう。原発1基分の電力ぐらいは、すぐに発電できるのではないか。こちらの方は安全性に全く問題はないし、電池の生産を促進することにもなる。こう考えてくると、女川原発の再稼働を手放しでは喜べない。
≪1日の日経平均 = 下げ -1027.58円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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女川原発は大震災で被害を受けて停止。その後、原子力規制委員会から津波対策を十分にするよう指導された。これに沿って、海抜29メートルの防潮堤を800メートルにわたって構築するなど、長時間を費やして大掛かりな安全対策を講じてきた。たとえば大地震が起こっても、補助電源や冷却水は十分に確保されるようになっている。しかし、これらの工事には総額5700億円の費用がかかった。
それでも近隣住民の避難という問題は、解決されていない。土砂崩れによって、道路が寸断される危険があるからである。宮城県は船舶やヘリコプターによる脱出を考えているようだが、うまく行く保証はない。また安全工事に5700億円もかけた結果、この原発の発電コストは異常に高くなってしまった。東北電力の純利益は23年3月期が1276憶円の赤字、24年3月期が2261億円の黒字だから、とても自前では処理しきれない。結局は電気料金の値上げで、消費者が負担することになるのだろう。
仮に5700憶円を使って、ペロブスカイト型の“曲がる太陽電池”を国や自治体の所有するビル、あるいは高速道路の壁面に貼り付けたら、どうだろう。原発1基分の電力ぐらいは、すぐに発電できるのではないか。こちらの方は安全性に全く問題はないし、電池の生産を促進することにもなる。こう考えてくると、女川原発の再稼働を手放しでは喜べない。
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◇ 大統領選後は「買い」か「売り」か = ダウ平均は先週62ドルの値下がり。終り値はかろうじて4万2000ドル台を維持した。10月の雇用統計、大統領選挙、FRBの政策決定会合と続くため、市場はなかなか手を出しにくい。それでも雇用者の増加数が1万2000人にまで落ち込むと、FRBによる利下げが早まるという見方が広がり、株価は上昇した。このことは、環境さえ整えば買いが入ることを明示している。
日経平均は先週140円の値上がり。前半は大きく上げたが、後半は大きく下げた。上げた要因は、選挙が終わって景気対策が実施されることへの期待と円安の進行。下げた要因は、ニューヨーク市場でのIT株の下落と、決算発表で先行き見通しに慎重な企業が多かったこと。また自民・公明が過半数を獲れず、政局が不安定になったことへの警戒感。これらが重なって、金曜日には1000円を超す値下がりとなった。
いまニューヨーク市場では、選挙のあとの株価について見方が二分している。雇用情勢が予想以上に悪化したため、FRBは利下げを早めるだろう。さらにどちらが勝っても財政支出が増加するから、株式は買いという見方。その一方で、国債が増発されて金利が上がる。インフレ圧力が強まり、利下げは遠のく。だから株式は売りという見方。特に大銀行が、売りを推奨している。
今週は7日に、9月の毎月勤労統計。8日に、9月の家計調査、景気動向指数。アメリカでは5日に、9月の貿易統計、10月のISM非製造業景況指数。また中国が7日に、10月の貿易統計。9日に、10月の消費者物価と生産者物価を発表する。なお5日はアメリカの大統領選挙、7日はパウエルFRB議長の記者会見。5日から東証の売買時間が39分延長される。
≪5日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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日経平均は先週140円の値上がり。前半は大きく上げたが、後半は大きく下げた。上げた要因は、選挙が終わって景気対策が実施されることへの期待と円安の進行。下げた要因は、ニューヨーク市場でのIT株の下落と、決算発表で先行き見通しに慎重な企業が多かったこと。また自民・公明が過半数を獲れず、政局が不安定になったことへの警戒感。これらが重なって、金曜日には1000円を超す値下がりとなった。
いまニューヨーク市場では、選挙のあとの株価について見方が二分している。雇用情勢が予想以上に悪化したため、FRBは利下げを早めるだろう。さらにどちらが勝っても財政支出が増加するから、株式は買いという見方。その一方で、国債が増発されて金利が上がる。インフレ圧力が強まり、利下げは遠のく。だから株式は売りという見方。特に大銀行が、売りを推奨している。
今週は7日に、9月の毎月勤労統計。8日に、9月の家計調査、景気動向指数。アメリカでは5日に、9月の貿易統計、10月のISM非製造業景況指数。また中国が7日に、10月の貿易統計。9日に、10月の消費者物価と生産者物価を発表する。なお5日はアメリカの大統領選挙、7日はパウエルFRB議長の記者会見。5日から東証の売買時間が39分延長される。
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◇ まずは「103万円のカベ」を打ち壊す = 新しい経済政策、来年度の税制改正をどうするか。国民民主党はこうした重要な問題について、自民・公明両党との間で早急に協議することで合意した。国民民主党は「実質賃金の引き上げ」を公約しており、まずは所得税の非課税枠拡大を議題にしたい考え。またガソリン料金に関するトリガー条項の凍結解除も求める方針のようだ。国民民主党に離反されると政権がもたない自民・公明党が、どこまでこの要求を受け入れるのか。
働いて所得が増えると、税金や社会保険料の負担が発生して、実質所得が減ってしまう問題。いわゆる‟年収のカベ”は、所得税の非課税枠を拡大することで打ち壊せる。このカベは103万円で所得税、130万円で社会保険料が徴収されるようになるなど、いくつか存在する。国民民主党は非課税枠を178万円に引き上げることを要求しており、これが実現すればカベはほとんど撤去されることになる。ただ国税や地方税の収入が7兆6000億円も減る計算。これをどうして穴埋めするかが、議論の的になるだろう。
全国平均のガソリン小売価格が3か月連続で1リッター=160円を超えると、税金が約25円安くなる仕組み。これがトリガー条項といわれるものだが、東日本大震災の復興資金に充てるため現在は凍結中。これを解除してガソリン価格を引き下げろというのが、国民民主党の言い分だ。それだけ家計や企業の負担は軽減される。しかし復興財源を減らすわけにもいかず、自民・公明党内では反対論が強い。
今回の総選挙で自民・公明の与党は過半数割れ、国民民主党は躍進して議席を28に伸ばした。つまり仮に国民民主党が野党が出す不信任案に同調すると、石破内閣は命運が尽きる。日本維新の会は議席を伸ばせず、党内はガタガタ。おまけに公明党とは不倶戴天の間柄だから、表に出られない。こうして国民民主党だけが、キャスティング・ボートを握ることになった。
(続きは明日)
≪5日の日経平均 = 上げ +421.23円≫
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働いて所得が増えると、税金や社会保険料の負担が発生して、実質所得が減ってしまう問題。いわゆる‟年収のカベ”は、所得税の非課税枠を拡大することで打ち壊せる。このカベは103万円で所得税、130万円で社会保険料が徴収されるようになるなど、いくつか存在する。国民民主党は非課税枠を178万円に引き上げることを要求しており、これが実現すればカベはほとんど撤去されることになる。ただ国税や地方税の収入が7兆6000億円も減る計算。これをどうして穴埋めするかが、議論の的になるだろう。
全国平均のガソリン小売価格が3か月連続で1リッター=160円を超えると、税金が約25円安くなる仕組み。これがトリガー条項といわれるものだが、東日本大震災の復興資金に充てるため現在は凍結中。これを解除してガソリン価格を引き下げろというのが、国民民主党の言い分だ。それだけ家計や企業の負担は軽減される。しかし復興財源を減らすわけにもいかず、自民・公明党内では反対論が強い。
今回の総選挙で自民・公明の与党は過半数割れ、国民民主党は躍進して議席を28に伸ばした。つまり仮に国民民主党が野党が出す不信任案に同調すると、石破内閣は命運が尽きる。日本維新の会は議席を伸ばせず、党内はガタガタ。おまけに公明党とは不倶戴天の間柄だから、表に出られない。こうして国民民主党だけが、キャスティング・ボートを握ることになった。
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◇ 玉木代表の戦略を読み解く = 国民民主党が公約として掲げた経済政策の内容は、多岐にわたっている。まず税制改正では、所得税の非課税限度を103万円から178万円に引き上げる。ガソリン税に関するトリガー条項を復活する。さらに消費税を一律5%に引き下げ、インボイス制度を廃止する。また電気料金を下げるため、再生可能エネルギー賦課金の徴収を停止する・・・。
このほか現役世代の負担を軽減するため、後期高齢者の3割負担対象者を拡大。高額療養費の自己負担限度額を見直す。また産業政策としては、半導体や蓄電池、AIなどへの投資減税。中小企業の賃上げ原資の確保。さらには看護・介護・保育関係者の処遇改善など。ただ高校までの授業料を無償化するなど教育関係については5兆円の教育国債を発行するとしているが、その他に関しては全く財源について触れていない。金融政策についての言及もなかった。
これから始まる自民・公明党との協議で、玉木代表はこれらの項目を小出しにして行くに違いない。たとえば与党がとても飲めない消費税の引下げなどは、強く主張しないだろう。こうして与党との協議を出来るだけ引き延ばす。その間に党内の体制を強化し、来年7月の参院選に備える。いま国民民主党の参院議員は9人。これを30議席以上に増やそうと考えているはずだ。
与党との連立は考えない。しかし政策的には‟準与党”の立場を続ける。こうすることで‟政治とカネ”には全く無関係な、新しい保守中道政党が誕生する。このためには、野党とも協調する必要があるだろう。しかし完全な野党になってしまうと、野党勢力のなかで埋没してしまう。だから野党とも政策協力しかしない。こうした戦略を参院選まで続けられるかどうか。玉木代表の手腕が問われる。
≪6日の日経平均 = 上げ +1005.77円≫
≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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このほか現役世代の負担を軽減するため、後期高齢者の3割負担対象者を拡大。高額療養費の自己負担限度額を見直す。また産業政策としては、半導体や蓄電池、AIなどへの投資減税。中小企業の賃上げ原資の確保。さらには看護・介護・保育関係者の処遇改善など。ただ高校までの授業料を無償化するなど教育関係については5兆円の教育国債を発行するとしているが、その他に関しては全く財源について触れていない。金融政策についての言及もなかった。
これから始まる自民・公明党との協議で、玉木代表はこれらの項目を小出しにして行くに違いない。たとえば与党がとても飲めない消費税の引下げなどは、強く主張しないだろう。こうして与党との協議を出来るだけ引き延ばす。その間に党内の体制を強化し、来年7月の参院選に備える。いま国民民主党の参院議員は9人。これを30議席以上に増やそうと考えているはずだ。
与党との連立は考えない。しかし政策的には‟準与党”の立場を続ける。こうすることで‟政治とカネ”には全く無関係な、新しい保守中道政党が誕生する。このためには、野党とも協調する必要があるだろう。しかし完全な野党になってしまうと、野党勢力のなかで埋没してしまう。だから野党とも政策協力しかしない。こうした戦略を参院選まで続けられるかどうか。玉木代表の手腕が問われる。
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◇ 代わりに絶好調のエヌビディアが入る = かつては世界中で売られたパソコンに、インテル製の半導体が使われていた。その証拠に、日本で売られたパソコンには「インテル入っている」のシールが貼られていたことは記憶に新しい。ところが、こんどはそのインテルが出て、エヌビディアが入った。ダウ平均株価を構成する銘柄の話である。この8日から入れ替えると、ダウ平均を作成・管理するSPダウ・ジョーンズ・インデックスがこう発表した。
インテルは業績不振。7-9月期の最終損益は166億ドル(約2兆5000億円)の赤字。3四半期連続の赤字だった。需要を見誤って過剰投資し、1万5000人のリストラを余儀なくされている。これに対して、エヌビディアの業績は絶好調。7-9月期の最終利益は62億ドルで、前年の約2倍。株価は2年間で9倍に上昇。現在の時価総額は3兆3200億ドル(約508兆円)で、アップルと世界第1位の座を競い合っている。
ダウ平均株価の歴史は古い。1896年には30銘柄で構成する原型が誕生、これまで常に銘柄の入れ替えを実施してきた。たとえばこの30年間で、GMやGEあるいはエクソン・モービルなどが姿を消している。ただし、いま元気なM7と呼ばれる企業は3社しか入っていなかった。これに対してナスダックは7社がすべて入っている。このため年初来の上昇率をみても、ダウが10.9%なのに対して、ナスダックは23.1%と差が開いてしまった。
今回エヌビディアを入れたことによって、ダウ平均の上昇率は上がるかもしれない。ニューヨーク市場ではダウ平均が下がり、ナスダックが上がることは珍しくない。日本の投資家はこれをみて、大いに迷ったこともあったに違いない。今後はその迷いが少し小さくなる可能性もあるだろう。それにしてもインテルの退場は、なにか寂しさを感じさせる。
≪8日の日経平均 = 上げ +118.96円≫
【今週の日経平均予想 = 2勝2敗】
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インテルは業績不振。7-9月期の最終損益は166億ドル(約2兆5000億円)の赤字。3四半期連続の赤字だった。需要を見誤って過剰投資し、1万5000人のリストラを余儀なくされている。これに対して、エヌビディアの業績は絶好調。7-9月期の最終利益は62億ドルで、前年の約2倍。株価は2年間で9倍に上昇。現在の時価総額は3兆3200億ドル(約508兆円)で、アップルと世界第1位の座を競い合っている。
ダウ平均株価の歴史は古い。1896年には30銘柄で構成する原型が誕生、これまで常に銘柄の入れ替えを実施してきた。たとえばこの30年間で、GMやGEあるいはエクソン・モービルなどが姿を消している。ただし、いま元気なM7と呼ばれる企業は3社しか入っていなかった。これに対してナスダックは7社がすべて入っている。このため年初来の上昇率をみても、ダウが10.9%なのに対して、ナスダックは23.1%と差が開いてしまった。
今回エヌビディアを入れたことによって、ダウ平均の上昇率は上がるかもしれない。ニューヨーク市場ではダウ平均が下がり、ナスダックが上がることは珍しくない。日本の投資家はこれをみて、大いに迷ったこともあったに違いない。今後はその迷いが少し小さくなる可能性もあるだろう。それにしてもインテルの退場は、なにか寂しさを感じさせる。
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◇ トランプ政策 + 追加利下げ ⇒ ? = ダウ平均は先週1937ドルの大幅な値上がり。終り値は4万3989ドルで、またまた最高値を更新した。SP500も新高値を付けている。火曜日にはサービス業の景況指数が2年3か月ぶりの高さとなったことを受けて400ドル以上も上昇、さらに水曜日にはトランプ前大統領の勝利で1500ドル値上がりした。しかし木曜日にFRBが0.25%の追加利下げを発表しても、株価は全く動かなかった。
日経平均も先週は1447円の大幅な値上がり。終り値は3万9500円まで回復した。石破政権の経済政策に対する期待もあったが、ほとんどはトランプ・トレードに沸いたニューヨーク市場の影響。また円相場が154円台にまで下落したことも、株高の要因となった。しかしトランプ氏の関税政策は、日本にも悪影響を及ぼす。手放しで喜んではいられない。
FRBが追加利下げを発表した7日、ダウは59セントの下落となった。その理由は市場が織り込み済みだったこと。大幅に上昇したあとの反動などで、説明は出来る。だがトランプ政策に利下げが重なると、インフレが復活する危険が大きい。投資家の頭のなかには、こんな考えもチラついたのではないだろうか。今後そうした考え方が広がる可能性は小さくない。
今週は11日に、10月の景気ウオッチャー調査。13日に、10月の企業物価。15日に、7-9月期のGDP速報、9月の第3次産業活動指数。アメリカでは13日に、10月の消費者物価。14日に、10月の生産者物価。15日に、10月の小売り売上高、工業生産。また中国が15日に、10月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。
≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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日経平均も先週は1447円の大幅な値上がり。終り値は3万9500円まで回復した。石破政権の経済政策に対する期待もあったが、ほとんどはトランプ・トレードに沸いたニューヨーク市場の影響。また円相場が154円台にまで下落したことも、株高の要因となった。しかしトランプ氏の関税政策は、日本にも悪影響を及ぼす。手放しで喜んではいられない。
FRBが追加利下げを発表した7日、ダウは59セントの下落となった。その理由は市場が織り込み済みだったこと。大幅に上昇したあとの反動などで、説明は出来る。だがトランプ政策に利下げが重なると、インフレが復活する危険が大きい。投資家の頭のなかには、こんな考えもチラついたのではないだろうか。今後そうした考え方が広がる可能性は小さくない。
今週は11日に、10月の景気ウオッチャー調査。13日に、10月の企業物価。15日に、7-9月期のGDP速報、9月の第3次産業活動指数。アメリカでは13日に、10月の消費者物価。14日に、10月の生産者物価。15日に、10月の小売り売上高、工業生産。また中国が15日に、10月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。
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◇ 大統領に議長を解任する権限はあるのか = 「トランプ次期大統領から辞任を求められたら、どうしますか」と、パウエルFRB議長にきわどい質問が飛んだ。それまで和やかに答えていたパウエル議長は厳しい顔になり、「ノー」と一言。さらに「自ら辞任するつもりはない。解任は法律的に認められていない」とも付け加えた。FRBが政策金利の0.25%引き下げを決めた7日、その利下げを発表したあとの記者会見での出来事である。
FRBは9月に0.5%の利下げを決断、それに続いて今回は0.25%の利下げを決めた。消費者物価が確実に上昇率を鈍化させる一方、10月の雇用者増加数が1万2000人にとどまるなど、景気に減速傾向が現われたためである。ところが、そこへトランプ氏の再登場。大幅減税や関税の引き上げ、移民の流入ストップなど、きわめてインフレ的な政策が実施されそうになってきた。
仮にトランプ政策によって物価が再び上昇に転じれば、FRBとしては現在の利下げ政策を中断するだけではなく、利上げで対処しなければならなくなるかもしれない。しかしトランプ氏は、利上げが大嫌い。パウエル議長に辞任の圧力をかけてくるかもしれない。記者会見での厳しい質問は、こうした事態を想定したものだった。
パウエル議長は、れっきとした共和党員。トランプ氏が大統領だったとき、見込んでFRB議長に指名した。だがFRBがインフレ抑制のため利上げを継続すると、トランプ氏は「パウエル議長は再任させない」「大統領は少なくとも金融政策に発言権を持つべきだ」とオカンムリ。FRB議長の任命権を持つ大統領に、解任権があるのかどうか。とにかくアメリカの金融政策に、また一つの大きな不安定要素が加わったことは確かだろう。
≪12日の日経平均 = 下げ -157.23円≫
≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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FRBは9月に0.5%の利下げを決断、それに続いて今回は0.25%の利下げを決めた。消費者物価が確実に上昇率を鈍化させる一方、10月の雇用者増加数が1万2000人にとどまるなど、景気に減速傾向が現われたためである。ところが、そこへトランプ氏の再登場。大幅減税や関税の引き上げ、移民の流入ストップなど、きわめてインフレ的な政策が実施されそうになってきた。
仮にトランプ政策によって物価が再び上昇に転じれば、FRBとしては現在の利下げ政策を中断するだけではなく、利上げで対処しなければならなくなるかもしれない。しかしトランプ氏は、利上げが大嫌い。パウエル議長に辞任の圧力をかけてくるかもしれない。記者会見での厳しい質問は、こうした事態を想定したものだった。
パウエル議長は、れっきとした共和党員。トランプ氏が大統領だったとき、見込んでFRB議長に指名した。だがFRBがインフレ抑制のため利上げを継続すると、トランプ氏は「パウエル議長は再任させない」「大統領は少なくとも金融政策に発言権を持つべきだ」とオカンムリ。FRB議長の任命権を持つ大統領に、解任権があるのかどうか。とにかくアメリカの金融政策に、また一つの大きな不安定要素が加わったことは確かだろう。
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◇ 福島第1原発で0.7グラムのデブリを取り出す = 東京電力は2日「福島第1原発2号機のデブリを初めて原子炉格納容器から取り出した」と発表した。デブリというのは東日本大震災で炉心溶融を起こし、燃料棒と機材などが溶けてできた塊。放射線量がきわめて高く、これまでは取り出すことが出来なかった。今回やっと取り出しに成功したが、その大きさは5ミリ程度、重さはたったの0.7グラム。それでも、このデブリを徹底的に調べることによって、今後のデブリ取り出しに役立てる方針だ。
政府と東京電力は、福島第1原発の廃炉を51年までに完了したい考え。しかし存在するデブリは1-3号機の合計で880トンにのぼると推計されている。そのうちの0.7グラムをやっと取り出したわけで、目標を達成するためにはきょうから毎日90キロを取り出すことが必要だ。そんなことは出来るわけがないから、51年の廃炉は全くムリということになる。
さらにキロ単位のデブリが取り出せるようになったとしても、その保管方法がまだ決まっていない。東京電力ではとりあえず汚染水タンクの跡地に保管容器を並べる方針。だが、こんどは海に流すわけにはいかず、最終的には深度70メートル以上の穴に10万年も埋めておかねばならない。しかし地元の反対で、その候補地も見当たらないのが現状である。
費用の問題も大変だ。事故が起きてから13年。東京電力は賠償と廃炉に、巨額の支出を強いられてきた。賠償額はしだいに膨らみ、累計は12兆3000億円に。政府は1兆円を出資し、13兆5000億円の交付国債を発行して東電に融資している。普通の企業ならとっくに倒産しているはずだが、電力会社だけに潰せない。今後は廃炉の費用が増加して、交付国債はさらに増加することになるだろう。
(続きは明日)
≪13日の日経平均 = 下げ -654.43円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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政府と東京電力は、福島第1原発の廃炉を51年までに完了したい考え。しかし存在するデブリは1-3号機の合計で880トンにのぼると推計されている。そのうちの0.7グラムをやっと取り出したわけで、目標を達成するためにはきょうから毎日90キロを取り出すことが必要だ。そんなことは出来るわけがないから、51年の廃炉は全くムリということになる。
さらにキロ単位のデブリが取り出せるようになったとしても、その保管方法がまだ決まっていない。東京電力ではとりあえず汚染水タンクの跡地に保管容器を並べる方針。だが、こんどは海に流すわけにはいかず、最終的には深度70メートル以上の穴に10万年も埋めておかねばならない。しかし地元の反対で、その候補地も見当たらないのが現状である。
費用の問題も大変だ。事故が起きてから13年。東京電力は賠償と廃炉に、巨額の支出を強いられてきた。賠償額はしだいに膨らみ、累計は12兆3000億円に。政府は1兆円を出資し、13兆5000億円の交付国債を発行して東電に融資している。普通の企業ならとっくに倒産しているはずだが、電力会社だけに潰せない。今後は廃炉の費用が増加して、交付国債はさらに増加することになるだろう。
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◇ 廃炉18基で16万5000トンの放射性廃棄物 = いま日本では、大事故を起こした福島第1原発1-3号機を含めて、合計21基の原発を廃炉にすることが決まっている。福島を除けば、いずれも老朽化によるものだ。これら18基の原発を廃炉にすることにより、16万5000トンにのぼる放射性廃棄物が発生すると試算されている。だが、これらの廃棄物をどう処理するかが決まらず、廃炉は遅々として進んでいない。
原子炉の解体に伴って発生する放射性廃棄物は、線量の強さによって「L1」「L2」「L3」に分類される。このうち最も線量が強い「L1」は地下70メートル以上の深さに10万年も埋めておかねばならないが、その場所がない。そこへ運び込むための容器の基準さえも、決まっていない状態だ。だから廃炉を完成することが出来ない。
最も早く廃炉作業を始めたのは、日本原子力発電の東海原発(茨城県)だった。当初は17年度に完成の予定だったが、廃棄物を運び出せないため30年度に延期した。また09年に稼働を停止して廃炉作業に入った中部電力の浜岡原発(静岡県)。こちらも36年度までに原子炉や建物などの解体を終了する予定だが、放射性廃棄物の処理についてはメドが立っていない。
原発は廃棄物の処理が出来ない。このような状態を、誰かが「トイレのないマンション」と呼んだ。原発反対の小泉元首相が世間に広めたが、言いえて妙である。いまの日本のエネルギー状態から考えると、トイレがなくとも原発を活用する必要はあるだろう。しかし原発の新増設ということになると、賛成はしにくい。どんなに高級なマンションでも、トイレがなければご辞退申し上げたい。
≪14日の日経平均 = 下げ -185.96円≫
≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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原子炉の解体に伴って発生する放射性廃棄物は、線量の強さによって「L1」「L2」「L3」に分類される。このうち最も線量が強い「L1」は地下70メートル以上の深さに10万年も埋めておかねばならないが、その場所がない。そこへ運び込むための容器の基準さえも、決まっていない状態だ。だから廃炉を完成することが出来ない。
最も早く廃炉作業を始めたのは、日本原子力発電の東海原発(茨城県)だった。当初は17年度に完成の予定だったが、廃棄物を運び出せないため30年度に延期した。また09年に稼働を停止して廃炉作業に入った中部電力の浜岡原発(静岡県)。こちらも36年度までに原子炉や建物などの解体を終了する予定だが、放射性廃棄物の処理についてはメドが立っていない。
原発は廃棄物の処理が出来ない。このような状態を、誰かが「トイレのないマンション」と呼んだ。原発反対の小泉元首相が世間に広めたが、言いえて妙である。いまの日本のエネルギー状態から考えると、トイレがなくとも原発を活用する必要はあるだろう。しかし原発の新増設ということになると、賛成はしにくい。どんなに高級なマンションでも、トイレがなければご辞退申し上げたい。
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◇ 国民民主党はトリガー条項の復活に固執 = ‟少数与党”になってしまった自民・公明党。何をやるにも、国民民主党の協力がなければ動きがとれない。このため経済政策でも、政策の調整を開始した。その最初のテーマは「年収のカベ」問題。どうやら「103万円のカベ」は崩せそうだが、国民民主党が主張する非課税額を178万円に引き上げることは難しそう。結局は「130万円までのカベ」を無くすあたりが、落としどころのようだ。
そして次なるテーマは「物価対策としての補助金支給」。おなじみになった電気・ガスとガソリンに対する補助金である。このうち電気・ガス料金を引き下げるための補助金は、23年1月に開始。ことし5月に打ち切ったが、酷暑対策として8-10月に復活。11月から停止されているものを、来年1月からまた実施しようという政策。自民・公明・国民ともに賛成なので、日の目を見ることは間違いない。
ガソリンに対する補助金は、22年1月に開始。何度も延長されて、ことし12月までは実施される。これを来年1月以降も続けるというのが、自民・公明両党の案。しかし国民民主党はトリガー条項の復活を主張。両者の言い分は食い違う。トリガー条項というのは、ガソリンの全国平均小売価格が3か月続けて1リッター=160円を超えると、自動的にガソリン税が25.1円下がる仕組み。現在は東日本大震災の復興資金とするため、凍結されている。
国民民主党は、この条項の復活を求めている。つまり減税要求であり、自民・公明党の補助金とは全く違う。したがって「年収のカベ」のように、足して2で割るような解決法はない。どちらかが完全に譲歩しなければ、決着しないわけだ。このため自民・公明と国民のどちらが強い発言権を持っているのか。それを推し量る最初の政策調整となる可能性が大きい。
≪15日の日経平均 = 上げ +107.21円≫
【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】
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そして次なるテーマは「物価対策としての補助金支給」。おなじみになった電気・ガスとガソリンに対する補助金である。このうち電気・ガス料金を引き下げるための補助金は、23年1月に開始。ことし5月に打ち切ったが、酷暑対策として8-10月に復活。11月から停止されているものを、来年1月からまた実施しようという政策。自民・公明・国民ともに賛成なので、日の目を見ることは間違いない。
ガソリンに対する補助金は、22年1月に開始。何度も延長されて、ことし12月までは実施される。これを来年1月以降も続けるというのが、自民・公明両党の案。しかし国民民主党はトリガー条項の復活を主張。両者の言い分は食い違う。トリガー条項というのは、ガソリンの全国平均小売価格が3か月続けて1リッター=160円を超えると、自動的にガソリン税が25.1円下がる仕組み。現在は東日本大震災の復興資金とするため、凍結されている。
国民民主党は、この条項の復活を求めている。つまり減税要求であり、自民・公明党の補助金とは全く違う。したがって「年収のカベ」のように、足して2で割るような解決法はない。どちらかが完全に譲歩しなければ、決着しないわけだ。このため自民・公明と国民のどちらが強い発言権を持っているのか。それを推し量る最初の政策調整となる可能性が大きい。
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◇ 日米で企業業績がやや下向き = ダウ平均は先週544ドルの値下がり。月曜日にはまた最高値を更新したが、あとはダレた。高値圏で利益確定売りが出たのと、トランプ政策で金利が上昇するという発想が株価の足を引っ張った。水曜日に発表された10月の消費者物価は前年比2.6%の上昇。やや高めだったが市場は予想の範囲内と受け取り、年内の追加利下げは確実という見方は変えていない。ただピークを迎えた企業の決算発表をみると、全体として増益幅がやや縮小している。
日経平均は先週857円の値下がり。下げた原因はいくつか。まず前週1500円近く上げたことへの反動。またニューヨーク市場の軟調にも引きずられた。さらにトランプ氏の共和党が上下両院で過半数を制したことにも、脅威を感じた投資家が多い。このため円相場が159円台にまで下落しても、株価の支えにならなかった。加えて日本でも7-9月期決算では、減益になった企業が増えている。
法人税と所得税の大幅減税で景気を良くする。輸入関税を引き上げて、国内産業を守る。移民を規制すれば人手不足になり、賃金が上がる。これがトランプ政策の基本的な考え方。トランプ氏が前回16年に勝利したとき、この考えを歓迎してドルが急騰。株価は11月から翌年3月までほぼ上昇した。これがトランプ・ラリーと呼ばれる株高。だが今回は「こんな株高はないだろう」と予測する専門家が多い。
今週は18日に、9月の機械受注。20日に、10月の貿易統計、訪日外国人客数。22日に、10月の消費者物価。アメリカでは19日に、10月の住宅着工戸数。21日に、10月の中古住宅販売。22日に11月のPMI製造業業況指数が発表される。
≪18日の日経平均 = 下げ -422.06円≫
≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日経平均は先週857円の値下がり。下げた原因はいくつか。まず前週1500円近く上げたことへの反動。またニューヨーク市場の軟調にも引きずられた。さらにトランプ氏の共和党が上下両院で過半数を制したことにも、脅威を感じた投資家が多い。このため円相場が159円台にまで下落しても、株価の支えにならなかった。加えて日本でも7-9月期決算では、減益になった企業が増えている。
法人税と所得税の大幅減税で景気を良くする。輸入関税を引き上げて、国内産業を守る。移民を規制すれば人手不足になり、賃金が上がる。これがトランプ政策の基本的な考え方。トランプ氏が前回16年に勝利したとき、この考えを歓迎してドルが急騰。株価は11月から翌年3月までほぼ上昇した。これがトランプ・ラリーと呼ばれる株高。だが今回は「こんな株高はないだろう」と予測する専門家が多い。
今週は18日に、9月の機械受注。20日に、10月の貿易統計、訪日外国人客数。22日に、10月の消費者物価。アメリカでは19日に、10月の住宅着工戸数。21日に、10月の中古住宅販売。22日に11月のPMI製造業業況指数が発表される。
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◇ 今回は‟驚き”がなかった = トランプ大統領が初めて登場した8年前、市場はびっくり仰天してその経済政策を歓迎した。法人税と所得税の大幅な減税、輸入関税の大幅な引き上げ、移民の完全シャッタアウト。どこからみても景気はよくなり、企業の業績は改善する。為替市場では選挙から1か月の間にドルが急速に上昇、円の対ドル相場は105円から118円に下落した。また株式市場でも、ダウ平均は16年11月4日の1万7888ドルから17年3月3日には2万1006ドルに上昇した。いわゆる‟トランプ・ラリー”である。
今回もトランプ氏の再登場が決まったあと、ドルは強含み、株価は上昇傾向が続いている。たとえば円の対ドル相場は現在までに2円ほど下落、ダウ平均は1400ドルほど上昇した。しかし8年前ほどの熱気は感じられない。専門家の多くも「今回はトランプ・ラリーはなさそうだ」と予測する。なぜなのだろう。
その理由は、いくつかある。いちばん大きいのは、やはり8年前ほどの‟驚き”がなかったこと。今回なぜかウオール街は早くからトランプ勝利を予想、その経済政策も8年前とほぼ同じだったからである。次は株価の高さ。8年前のダウ平均は2万ドル前後だったが、最近は4万4000ドルにも達している。SP500の予想PERも21倍台と高くなっており、それだけ利益確定売りも出やすい。
もう1つは、景気の動向。8年前のアメリカは景気回復の途上にあった。ところが今回はFRBによる利上げの効果が表われ始め、景気はゆっくりと下降気味。たとえば7-9月期の企業決算をみても、増益率は確実に縮小している。全体としてまだ好調を維持してはいるが、絶好調とは言えなくなった。トランプ銘柄が買われても、平均株価の上昇は鈍い。
≪20日の日経平均 = 下げ -62.09円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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今回もトランプ氏の再登場が決まったあと、ドルは強含み、株価は上昇傾向が続いている。たとえば円の対ドル相場は現在までに2円ほど下落、ダウ平均は1400ドルほど上昇した。しかし8年前ほどの熱気は感じられない。専門家の多くも「今回はトランプ・ラリーはなさそうだ」と予測する。なぜなのだろう。
その理由は、いくつかある。いちばん大きいのは、やはり8年前ほどの‟驚き”がなかったこと。今回なぜかウオール街は早くからトランプ勝利を予想、その経済政策も8年前とほぼ同じだったからである。次は株価の高さ。8年前のダウ平均は2万ドル前後だったが、最近は4万4000ドルにも達している。SP500の予想PERも21倍台と高くなっており、それだけ利益確定売りも出やすい。
もう1つは、景気の動向。8年前のアメリカは景気回復の途上にあった。ところが今回はFRBによる利上げの効果が表われ始め、景気はゆっくりと下降気味。たとえば7-9月期の企業決算をみても、増益率は確実に縮小している。全体としてまだ好調を維持してはいるが、絶好調とは言えなくなった。トランプ銘柄が買われても、平均株価の上昇は鈍い。
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◇ アメリカはまだ増益、日本は減益 = 企業の最終損益が4四半期ぶりに減益となりそうだ。SMBC日興証券が、これまでに決算を発表したTOPIX採用988社(全体の77%)の決算内容を集計した。それによると、最終利益の合計は前年比で6.6%の減益。このうち製造業は10.4%、非製造業は1.7%の減益となっている。自動車と鉄鋼は、ともに約30%の大幅な減益。自動車は認証不正による減産、鉄鋼は中国産の安値輸入増が響いた。
このまま行くと25年3月期は、どうなるのか。SMBC日興証券の集計だと、最終利益は4.2%の減益となる見込み。製造業は6.6%、非製造業は0.9%の減益で、減益幅は縮小する。これは自動車の減産が終了、また一時の円高が円安に振れた結果だと考えられる。しかし鉄鋼や電気・ガスの減益幅は、あまり改善されない。
アメリカでも、企業業績は下向きになった。ファクトセット社がSP500が採用する企業の約70%について、その7-9月期決算を集計したところ、最終利益は前年比で5.1%の増益だった。これで5四半期連続の増益となりそうだが、過去5年間の平均10%増益からみれば半減した。買われた銘柄も石油や天然ガス開発、金融株などのトランプ銘柄。再生エネルギー関連やEV(電気自動車)などは売られた。
トランプ次期大統領の経済施策がニューヨーク市場の株価にどう影響するかは、比較的に判りやすい。ところが日本など海外の株価にどう影響するかは、まだ予想が難しい。トランプ政権が実際にどんな対外政策を実行するか、まだ確定していないからである。特に中国との関係がどうなるのか。そこが不明瞭なので、東京市場の株価は動きがとれない。それが重しとなって、日本の企業業績は減益となってしまった。
≪22日の日経平均 = 上げ +257.68円≫
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このまま行くと25年3月期は、どうなるのか。SMBC日興証券の集計だと、最終利益は4.2%の減益となる見込み。製造業は6.6%、非製造業は0.9%の減益で、減益幅は縮小する。これは自動車の減産が終了、また一時の円高が円安に振れた結果だと考えられる。しかし鉄鋼や電気・ガスの減益幅は、あまり改善されない。
アメリカでも、企業業績は下向きになった。ファクトセット社がSP500が採用する企業の約70%について、その7-9月期決算を集計したところ、最終利益は前年比で5.1%の増益だった。これで5四半期連続の増益となりそうだが、過去5年間の平均10%増益からみれば半減した。買われた銘柄も石油や天然ガス開発、金融株などのトランプ銘柄。再生エネルギー関連やEV(電気自動車)などは売られた。
トランプ次期大統領の経済施策がニューヨーク市場の株価にどう影響するかは、比較的に判りやすい。ところが日本など海外の株価にどう影響するかは、まだ予想が難しい。トランプ政権が実際にどんな対外政策を実行するか、まだ確定していないからである。特に中国との関係がどうなるのか。そこが不明瞭なので、東京市場の株価は動きがとれない。それが重しとなって、日本の企業業績は減益となってしまった。
≪22日の日経平均 = 上げ +257.68円≫
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◇ 間違いではないが、違和感は残る = このブログでは22日付けで「企業業績は下り坂」という記事を載せた。そのなかでSMBC日興証券が集計した7-9月期の企業決算の内容を紹介「最終損益は前年比6.6%の減益になる見通しだ」と書いた。ところが読者の方から疑問や批判のメールが多数寄せられた。なかには「増益を減益と間違えたのでは」とか「意図的に株価を下げようとしているのでは」などというご批判もあった。
調べてみると、その原因は日経新聞が21日の朝刊1面で報じた「上場企業 4年連続最高益」という記事にあった。これは日経新聞が独自に決算内容を集計したもの。4-9月期の純利益は前年比15%の増益、4年連続で最高益を更新。製造業は6%の減益だが、非製造業は36%の増益になりそうだと書いている。
結果から申し上げれば、実はどちらも間違っていない。両方の記事をよく読んでいただければ判ることだが、わがブログは7-9月期、日経新聞は4-9月期の決算内容を対象としている。つまり絶好調だった4-6月期の成績を含んだ4-9月期の決算は、当然ながら上向きになる。日経新聞も7-9月期だけを集計すれば、減益になったに違いない。
いま東京証券取引所では、上場企業の多くが7-9月期の決算発表を終了しようとしている。だからニュースは7-9月期の結果なのに、日経新聞はどうして4-9月期の集計を掲載したのか。第1面に景気のいい話を載せて、株価を上げようとしたのか。通常なら日経新聞は、業種別の細かい表も載せるはず。ところが今回、表はなし。載せると7-9月の数字が出てしまい、記事にも書かざるをえなくなってしまうから。と考えるのは読み過ぎ?
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調べてみると、その原因は日経新聞が21日の朝刊1面で報じた「上場企業 4年連続最高益」という記事にあった。これは日経新聞が独自に決算内容を集計したもの。4-9月期の純利益は前年比15%の増益、4年連続で最高益を更新。製造業は6%の減益だが、非製造業は36%の増益になりそうだと書いている。
結果から申し上げれば、実はどちらも間違っていない。両方の記事をよく読んでいただければ判ることだが、わがブログは7-9月期、日経新聞は4-9月期の決算内容を対象としている。つまり絶好調だった4-6月期の成績を含んだ4-9月期の決算は、当然ながら上向きになる。日経新聞も7-9月期だけを集計すれば、減益になったに違いない。
いま東京証券取引所では、上場企業の多くが7-9月期の決算発表を終了しようとしている。だからニュースは7-9月期の結果なのに、日経新聞はどうして4-9月期の集計を掲載したのか。第1面に景気のいい話を載せて、株価を上げようとしたのか。通常なら日経新聞は、業種別の細かい表も載せるはず。ところが今回、表はなし。載せると7-9月の数字が出てしまい、記事にも書かざるをえなくなってしまうから。と考えるのは読み過ぎ?
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◇ 明暗分かれたNYと東京市場 = ダウ平均は先週852ドルの値上がり。終り値は4万4297ドルに達し、11月11日に記録した史上最高値を4ドル上回った。景況判断指数が予想を超えて景気の底堅さを示す一方、10月の消費者物価は2.6%上昇で予想の範囲内。FRBによる年内の追加利下げは確実という見方がさらに強まった。ウクライナ戦争が中距離弾道弾の段階に突入した警戒感もあるが、経済的な先行き楽観論の方が上回った形。
日経平均は先週359円の値下がり。終り値は3万8284円。このところ4万円が、ちょっとしたカベになっている。過去の売買動向からみると、4万円近くで利益が出る買い物が多い。プラス材料が少ないと、利益確定売りが出てしまう。石破内閣は13兆9000億円の補正予算を編成するが、市場はあまり反応していない。景気を刺激する内容に乏しいからだろう。
ニューヨーク市場は利益確定売りをこなしつつ、さらなる高値を目指す構え。景気の先行き見通しがよくても悪くても、プラス材料にしてしまう構えが出来てきた。一方、東京市場は中国関連銘柄が重し。中国経済の不調もさることながら、トランプ政権の中国いじめが日本にどう跳ね返ってくるか。その警戒感が市場を暗くしているが、この問題はもう少し実証的な分析が必要だろう。
今週は26日に、10月の企業向けサービス価格。29日に、10月の労働力調査、鉱工業生産、商業動態統計、11月の消費動向調査、東京都区部の消費者物価。アメリカでは26日に、9月のFAFH住宅価格指数、10月の新築住宅販売、11月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。27日に、7-9月期のGDP改定値、10月の個人消費支出。また中国が30日に、11月のPMI製造業景況指数を発表する。
≪25日の日経平均 = 上げ +496.29円≫
≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日経平均は先週359円の値下がり。終り値は3万8284円。このところ4万円が、ちょっとしたカベになっている。過去の売買動向からみると、4万円近くで利益が出る買い物が多い。プラス材料が少ないと、利益確定売りが出てしまう。石破内閣は13兆9000億円の補正予算を編成するが、市場はあまり反応していない。景気を刺激する内容に乏しいからだろう。
ニューヨーク市場は利益確定売りをこなしつつ、さらなる高値を目指す構え。景気の先行き見通しがよくても悪くても、プラス材料にしてしまう構えが出来てきた。一方、東京市場は中国関連銘柄が重し。中国経済の不調もさることながら、トランプ政権の中国いじめが日本にどう跳ね返ってくるか。その警戒感が市場を暗くしているが、この問題はもう少し実証的な分析が必要だろう。
今週は26日に、10月の企業向けサービス価格。29日に、10月の労働力調査、鉱工業生産、商業動態統計、11月の消費動向調査、東京都区部の消費者物価。アメリカでは26日に、9月のFAFH住宅価格指数、10月の新築住宅販売、11月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。27日に、7-9月期のGDP改定値、10月の個人消費支出。また中国が30日に、11月のPMI製造業景況指数を発表する。
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◇ 補正予算13兆9000億円の大半はバラマキ = 政府は22日の臨時閣議で、石破内閣としては初めてとなる総合経済対策を決定した。財源の主柱は24年度の補正予算で、計上する一般会計の総額は13兆9000億円。これに特別会計などを含めると、財政支出は21兆9000億円。さらに地方自治体や民間の支出を含めると、いわゆる総事業規模は39兆円に達する。24年度予算の3分の1を超える膨大な追加経済対策だ。
その内容は、次の3本柱から成っている。①日本経済・地方経済の成長=一般会計予算は5兆8000億円②物価高の克服=3兆4000億円③国民の安心・安全の確保=4兆8000億円。このうち物価対策としては、まず住民税の非課税世帯に3万円、そのうち子育て世帯には子ども1人当たり2万円を支給する。さらに電気・ガス料金を引き下げるため1-3月使用分について、またガソリン価格については1月以降も補助金を支給することになった。
住民税の非課税世帯は、およそ1300万世帯。しかし、その3割以上は資産を有する高齢者だという。また電気・ガスやガソリンに対する補助金は、エネルギーの使用を促進する効果を持つ。脱炭素と逆行する政策だという批判も強い。にもかかわらず、またまた実施することになったのは「止めると、政府の支持率が下がるから」という理由以外には考えられない。要するにバラマキである。
国民の安心・安全の確保では、孤独・孤立対策の充実もあるが、花粉対策としての森林整備事業まで入っている。これなどは規模を大きく見せるために、無理やり詰め込んだとしか言いようがない。こうして張りぼての規模は大きくなった。しかし中身に乏しいから、経済対策としての迫力がない。だから対策が発表されても、株価は高騰しなかった。
(続きは明日)
≪26日の日経平均 = 下げ -338.14円≫
≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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その内容は、次の3本柱から成っている。①日本経済・地方経済の成長=一般会計予算は5兆8000億円②物価高の克服=3兆4000億円③国民の安心・安全の確保=4兆8000億円。このうち物価対策としては、まず住民税の非課税世帯に3万円、そのうち子育て世帯には子ども1人当たり2万円を支給する。さらに電気・ガス料金を引き下げるため1-3月使用分について、またガソリン価格については1月以降も補助金を支給することになった。
住民税の非課税世帯は、およそ1300万世帯。しかし、その3割以上は資産を有する高齢者だという。また電気・ガスやガソリンに対する補助金は、エネルギーの使用を促進する効果を持つ。脱炭素と逆行する政策だという批判も強い。にもかかわらず、またまた実施することになったのは「止めると、政府の支持率が下がるから」という理由以外には考えられない。要するにバラマキである。
国民の安心・安全の確保では、孤独・孤立対策の充実もあるが、花粉対策としての森林整備事業まで入っている。これなどは規模を大きく見せるために、無理やり詰め込んだとしか言いようがない。こうして張りぼての規模は大きくなった。しかし中身に乏しいから、経済対策としての迫力がない。だから対策が発表されても、株価は高騰しなかった。
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◇ 政府の姿勢が見えてこない = 内閣府は今回の総合経済対策を実施することによって、今後3年にわたって実質GDPが毎年1.2%押し上げられると試算した。だが物価対策や安全対策には、大きな押し上げ効果はない。結局は「日本経済・地方経済の成長」を図るための5兆8000億円が、そのための原資。これが民間企業の資金も呼び込んで、1.2%成長につなげようという構想のようだ。しかし具体的にどう使うのかが、全く見えてこない。
わずかにAI・半導体に対しては「30年度までに10兆円の公的支援をする」と書いてある。おそらくはラピダスなどへの投資を想定しているのだろうが、年にならせば2兆円にも満たない。世界市場での競争で、いま日本は自動車でさえもトップの座を中国に奪われようとしている。次はどの産業を育てて行くのか。たとえば全固定型電池なのか、それとも‟曲がる”太陽電池なのか。それが全く見えてこない。それで民間の資金が集まるのだろうか。
その半面、バラマキ政策は完全に定着してしまった。人々は補助金を当然だと思い込み、それが切れると不満を感じる。電気やガソリンに補助金を出すのなら、なぜコメには出さないのか。こう考えるようになってしまう。政府は電気・ガスに対する補助金だけでも、これまでに11兆円を投じてきた。その結果がこれである。政治家たちは、自分で自分の首を絞めていることに気が付かない。
物価高で本当に生活が苦しい人を助けるのはいい。だが結構な資産を持った高齢者や、豪邸に住んで使い放題に電気やガスを使っている人にまで、補助金を出すのは止めよう。だいいち実質賃金の上昇率をプラスにするために、補助金で物価を下げる。この発想が‟だまし”ではないのか。石破首相は、安倍-岸田ラインの悪いところだけを受け継いでしまったように思われる。
≪27日の日経平均 = 下げ -307.03円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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わずかにAI・半導体に対しては「30年度までに10兆円の公的支援をする」と書いてある。おそらくはラピダスなどへの投資を想定しているのだろうが、年にならせば2兆円にも満たない。世界市場での競争で、いま日本は自動車でさえもトップの座を中国に奪われようとしている。次はどの産業を育てて行くのか。たとえば全固定型電池なのか、それとも‟曲がる”太陽電池なのか。それが全く見えてこない。それで民間の資金が集まるのだろうか。
その半面、バラマキ政策は完全に定着してしまった。人々は補助金を当然だと思い込み、それが切れると不満を感じる。電気やガソリンに補助金を出すのなら、なぜコメには出さないのか。こう考えるようになってしまう。政府は電気・ガスに対する補助金だけでも、これまでに11兆円を投じてきた。その結果がこれである。政治家たちは、自分で自分の首を絞めていることに気が付かない。
物価高で本当に生活が苦しい人を助けるのはいい。だが結構な資産を持った高齢者や、豪邸に住んで使い放題に電気やガスを使っている人にまで、補助金を出すのは止めよう。だいいち実質賃金の上昇率をプラスにするために、補助金で物価を下げる。この発想が‟だまし”ではないのか。石破首相は、安倍-岸田ラインの悪いところだけを受け継いでしまったように思われる。
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◇ 第1弾はなぜか中国・メキシコ・カナダ = トランプ次期大統領は25日、SNSで「中国のほぼ全製品に対して10%の追加関税をかける。またメキシコとカナダからの輸入品に対しても25%の関税をかける」と発表した。中国からメキシコなどを経由して、大量の合成麻薬フェンタニルがアメリカに流入していることへの対抗措置だと説明している。だが本当に麻薬対策なのか。続いて第2弾が発表されるのか。その辺の情報がないため、為替市場や株式市場には大きな衝撃が走り抜けた。
トランプ氏は「来年1月20日にホワイトハウス入りしたら、直ちに大統領令に署名する」とも書いている。このように輸入関税は大統領令で操作でき、所得税や法人税のように議会の承認が要らない。大統領の権限を十二分に発揮できるわけで、トランプ氏のお気に入り。自らを“タリフマン(関税男)”と称する理由だろう。大統領時代にも、関税についての大統領令を多発した。
それにしても来年1月20日までは、まだ50日以上ある。なぜ、こんなに早く関税の引き上げを発表したのだろう。中国が麻薬の輸出を禁止し、メキシコやカナダが国境管理を厳重にすれば、関税引き上げを止めるのだろうか。アメリカはメキシコ、カナダとUSMCAと呼ばれる自由貿易協定を結んでおり、勝手に関税を引き上げることは明らかな協定違反となる。
ただ、これが麻薬対策ということになれば、話は違うかもしれない。だから麻薬を口実にしたとすれば、「実態が改善されない」と言い続ければ、輸入規制をいくらでも続けられる。もしそうなら、日本に対する悪影響も延々と続くことになりかねない。そのうえトランプ氏は、関税戦争の第2弾を矢継ぎ早に打ち出してくる可能性もある。
(続きは明日)
≪28日の日経平均 = 上げ +214.09円≫
≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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トランプ氏は「来年1月20日にホワイトハウス入りしたら、直ちに大統領令に署名する」とも書いている。このように輸入関税は大統領令で操作でき、所得税や法人税のように議会の承認が要らない。大統領の権限を十二分に発揮できるわけで、トランプ氏のお気に入り。自らを“タリフマン(関税男)”と称する理由だろう。大統領時代にも、関税についての大統領令を多発した。
それにしても来年1月20日までは、まだ50日以上ある。なぜ、こんなに早く関税の引き上げを発表したのだろう。中国が麻薬の輸出を禁止し、メキシコやカナダが国境管理を厳重にすれば、関税引き上げを止めるのだろうか。アメリカはメキシコ、カナダとUSMCAと呼ばれる自由貿易協定を結んでおり、勝手に関税を引き上げることは明らかな協定違反となる。
ただ、これが麻薬対策ということになれば、話は違うかもしれない。だから麻薬を口実にしたとすれば、「実態が改善されない」と言い続ければ、輸入規制をいくらでも続けられる。もしそうなら、日本に対する悪影響も延々と続くことになりかねない。そのうえトランプ氏は、関税戦争の第2弾を矢継ぎ早に打ち出してくる可能性もある。
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◇ 日本の自動車メーカーも大打撃 = アメリカ商務省の発表によると、ことし1-9月間の実績でメキシコからの輸入総額は3788億ドル(約58兆円)。中国からの輸入額は3221億ドル、カナダからは3093億ドルだった。アメリカの側からみると、これら3か国が輸入額の大きい1-3位を占めており、これら3か国だけで輸入全体の約4割を占めている。トランプ氏はこれら3か国への関税引き上げで、まず貿易収支の大幅な改善を狙ったのかもしれない。
このうち中国に対する関税は、すでにかなり高い。1万品目以上に高関税がかけられており、たとえばバッテリーには25%の関税。それが35%に引き上げられるわけだ。ただ、これら3か国からの輸入品に高い関税がかけられれば、アメリカ国内での売り値はそれだけ高くなる。つまり物価高の大きな要因となる可能性が強い。この問題をトランプ氏がどう考えているのか、まだ不明である。
日本企業にも、きわめて大きな影響がある。特に自動車と関連部品企業は深刻だ。たとえばメキシコには、トヨタ・ホンダ・日産・マツダが工場を建て、製品の大半をアメリカへ輸出している。またカナダにはトヨタとホンダが進出、これもアメリカ向けの車を生産している。同時に部品や電池メーカーも、現地に工場を建てている。
こうした現地生産体制を、どう変えたらいいのか。各社は懸命に情報を集めているが、決断はしにくい。そのうえトランプ氏は、大統領就任前に‟関税戦争・第2弾”を放ってくるかもしれない。たとえばEUに対する措置が発表されれば、日本企業はそこでも対応を迫られる。そして日本には、何を求めてくるのか。やはり関税の引き上げをちらつかせながら、農産物の輸入増加や防衛分担金の増額などを求めてくるのか。いずれにしても、‟関税”を武器とする戦争が始まってしまった。
≪29日の日経平均 = 下げ -141.03円≫
【今週の日経平均予想 = 1勝4敗】
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日本企業にも、きわめて大きな影響がある。特に自動車と関連部品企業は深刻だ。たとえばメキシコには、トヨタ・ホンダ・日産・マツダが工場を建て、製品の大半をアメリカへ輸出している。またカナダにはトヨタとホンダが進出、これもアメリカ向けの車を生産している。同時に部品や電池メーカーも、現地に工場を建てている。
こうした現地生産体制を、どう変えたらいいのか。各社は懸命に情報を集めているが、決断はしにくい。そのうえトランプ氏は、大統領就任前に‟関税戦争・第2弾”を放ってくるかもしれない。たとえばEUに対する措置が発表されれば、日本企業はそこでも対応を迫られる。そして日本には、何を求めてくるのか。やはり関税の引き上げをちらつかせながら、農産物の輸入増加や防衛分担金の増額などを求めてくるのか。いずれにしても、‟関税”を武器とする戦争が始まってしまった。
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