◇ 生産の減少幅は小さかったが = 経済産業省が30日発表した10月の鉱工業生産指数は、前月比で1.8%の減少だった。5か月連続の減少だが、事前の予測が平均3.4%の減少だったから「落ち込みはずいぶん少なくて済んだ」というのが一般的な印象だろう。しかも今後の見通しも、11月は1.4%、12月は1.5%の増加になるという。仮にその通りなら、エコカー補助金打ち切りの影響は思ったよりも小さいということになる。
エコカー補助金の反動で、10月の自動車生産は2割ぐらい低下するのではないかと予測されていた。それが輸送用機械工業の生産は10.0%の減少だった。円高にもかかわらず、輸出が10%以上も伸びたためである。そのうえ一般機械や精密機械の生産が増加、さらに家電エコポイントの効果でテレビや冷蔵庫の生産も増加した。
11月は家電エコポイントに対する駆け込みが最高潮に達した。だから家電の生産は、10月より増えるだろう。しかしエコカー補助金の反動は、まだまだ続くに違いない。したがって家電と自動車のウエートを考慮すると、全体としての生産水準をプラスに押し上げるほどの力はなさそうだ。
さらに12月からは、家電エコポイントが半分に減らされた。エコカー補助金の反動に加えて、家電も反動減に落ち込む危険性さえある。それなのに11月に続いて、12月も生産の水準が上昇する可能性はあるのだろうか。どうも10月の速報を見て今後を判断すると、間違えそうな気がしてならない。とりあえずは、12月14日に発表される10月分の確報を見ることにしよう。
≪30日の日経平均 = 下げ -188.95円≫
≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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エコカー補助金の反動で、10月の自動車生産は2割ぐらい低下するのではないかと予測されていた。それが輸送用機械工業の生産は10.0%の減少だった。円高にもかかわらず、輸出が10%以上も伸びたためである。そのうえ一般機械や精密機械の生産が増加、さらに家電エコポイントの効果でテレビや冷蔵庫の生産も増加した。
11月は家電エコポイントに対する駆け込みが最高潮に達した。だから家電の生産は、10月より増えるだろう。しかしエコカー補助金の反動は、まだまだ続くに違いない。したがって家電と自動車のウエートを考慮すると、全体としての生産水準をプラスに押し上げるほどの力はなさそうだ。
さらに12月からは、家電エコポイントが半分に減らされた。エコカー補助金の反動に加えて、家電も反動減に落ち込む危険性さえある。それなのに11月に続いて、12月も生産の水準が上昇する可能性はあるのだろうか。どうも10月の速報を見て今後を判断すると、間違えそうな気がしてならない。とりあえずは、12月14日に発表される10月分の確報を見ることにしよう。
≪30日の日経平均 = 下げ -188.95円≫
≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 民主党内はバラバラ = 補正予算は成立したが、12月になっても来年度予算の形は全く見えてこない。予算編成は難航というよりは、編成に対する考え方さえがまとまらない。マニフェストに固執すれば財源不足なのは明らかなのに、まだこだわっている。財源不足を認めて、そのなかでどんな政策を推進するのか。菅首相の統率力も問われ始めた。
マニフェスト通りならば、11年度の子ども手当は月額2万6000円に増額されるはずだった。ところが、これに必要な財源2兆円が見当たらない。そこで3歳未満の子どもにだけ7000円を上積みする案が有力になっているが、民主党内の意見はまとまらない。農家に対する戸別所得補償や高速道路の無料化についても、財源がないから規模はマニフェストより縮小する方向だ。だが具体的な結論は出せないまま。
財政のこれ以上の悪化を防ぐため、11年度予算では国債費を除いた一般歳出を71兆円以下に、また新規国債の発行を44兆円以下に抑えるという民主党政府の大方針は、まだ生きている。ところが各省庁が財務省に提出した予算要求額は72兆6000億円だから、この方針を守るためには1兆6000億円の削減が必要。しかし政策の方向性が不明瞭なので、どこを削っていいのか判らない。
事業仕分けは続行したが、大きな財源は切り出せなかった。このためマニフェストで描いた政策目標は実現不能に。では次善の策として、どんな目標を描くのか。その基本的なビジョンに欠けているのが、いまの民主党の実態だろう。そのビジョンが予算を通じて明らかにされなければ、企業も国民も先を読んで行動することができない。
≪1日の日経平均 = 上げ +51.01円≫
≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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マニフェスト通りならば、11年度の子ども手当は月額2万6000円に増額されるはずだった。ところが、これに必要な財源2兆円が見当たらない。そこで3歳未満の子どもにだけ7000円を上積みする案が有力になっているが、民主党内の意見はまとまらない。農家に対する戸別所得補償や高速道路の無料化についても、財源がないから規模はマニフェストより縮小する方向だ。だが具体的な結論は出せないまま。
財政のこれ以上の悪化を防ぐため、11年度予算では国債費を除いた一般歳出を71兆円以下に、また新規国債の発行を44兆円以下に抑えるという民主党政府の大方針は、まだ生きている。ところが各省庁が財務省に提出した予算要求額は72兆6000億円だから、この方針を守るためには1兆6000億円の削減が必要。しかし政策の方向性が不明瞭なので、どこを削っていいのか判らない。
事業仕分けは続行したが、大きな財源は切り出せなかった。このためマニフェストで描いた政策目標は実現不能に。では次善の策として、どんな目標を描くのか。その基本的なビジョンに欠けているのが、いまの民主党の実態だろう。そのビジョンが予算を通じて明らかにされなければ、企業も国民も先を読んで行動することができない。
≪1日の日経平均 = 上げ +51.01円≫
≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 正常化には1年かかる? = エコカーに対する補助金が打ち切られ、その反動の大きさに注目が集まっている。日本自動車販売協会連合会の集計によると、11月の登録車(660CC以上)販売台数は20万3246台、前年比では30.7%の減少だった。特に補助金の対象になった車種が多かった小型乗用車は40.1%も減少している。
ブランド別にみると、最も減少率が大幅だったのはレクサスで58.0%の減少。次いでマツダの37.2%減、ホンダの36.8%減、トヨタの34.3%減が大きかった。一方、補助金の恩恵が少なかった軽自動車は販売台数が12万0354台。前年比は15.9%の減少にとどまっている。この結果、軽自動車を含めた合計では販売台数が32万3600台。前年比は25.9%の減少だった。
補助金は9月7日で終了し、軽自動車を含む販売台数は10月も前年比で23.2%減少した。これが11月は25.9%の減少になったことから、補助金の反動は当面25%前後の販売低下を招いたとみていいだろう。そこで問題は、この反動減がどこまで尾を引くかである。
もちろん時間がたつにつれて、反動の減少幅は縮小して行くに違いない。だが完全にその影響がなくなるまでには、1年近くかかるのではないだろうか。ただ国内の販売減少が、輸出ドライブを生んでいることも事実。たとえば10月は輸出台数が前年比10.9%も伸びた。このため生産台数は8.4%しか減っていない。この状況が続けば、補助金の反動減が景気に及ぼす影響は、販売減少のほぼ3分の1ということになる。
≪2日の日経平均 = 上げ +180.47円≫
≪3日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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ブランド別にみると、最も減少率が大幅だったのはレクサスで58.0%の減少。次いでマツダの37.2%減、ホンダの36.8%減、トヨタの34.3%減が大きかった。一方、補助金の恩恵が少なかった軽自動車は販売台数が12万0354台。前年比は15.9%の減少にとどまっている。この結果、軽自動車を含めた合計では販売台数が32万3600台。前年比は25.9%の減少だった。
補助金は9月7日で終了し、軽自動車を含む販売台数は10月も前年比で23.2%減少した。これが11月は25.9%の減少になったことから、補助金の反動は当面25%前後の販売低下を招いたとみていいだろう。そこで問題は、この反動減がどこまで尾を引くかである。
もちろん時間がたつにつれて、反動の減少幅は縮小して行くに違いない。だが完全にその影響がなくなるまでには、1年近くかかるのではないだろうか。ただ国内の販売減少が、輸出ドライブを生んでいることも事実。たとえば10月は輸出台数が前年比10.9%も伸びた。このため生産台数は8.4%しか減っていない。この状況が続けば、補助金の反動減が景気に及ぼす影響は、販売減少のほぼ3分の1ということになる。
≪2日の日経平均 = 上げ +180.47円≫
≪3日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 経済格差は66倍にも = ASEANに加盟している10か国は、それぞれに大きな特徴を持っている。人種も言語も宗教も、いろいろだ。インドネシアやフィリピンは島国だが、タイやミャンマーはアジア大陸に位置している。海に面していないのはラオスだけ。かつては先進国の植民地や保護領だったところも多く、ほとんどが戦後に独立を果たしている。
経済面でも、それぞれに特徴を持っている。まず人口がいちばん多いのはインドネシアで、09年の統計では2億2996万人。全体の4割を占めている。次いでフィリピン、ベトナムと続くが、いずれも1億人に満たない。最も少ないのはブルネイで、わずかに40万人。少ない方からシンガポール、ラオスの順で、いずれも500万人に達しない。
ところがGDPの大きさになると、順番が変わる。第1位はインドネシアの5403億ドルだが、第2位はタイで2639億ドル。そのあとはマレーシア、シンガポール、フィリピンと続く。一方、GDPが最も少ないのはラオスで59億ドルしかない。続いてカンボジア、ブルネイ、ミャンマー、ベトナムの順に少ない。
さらに1人当たりGDPになると、順位は大変わりする。第1位はシンガポールで3万6537ドル。第2位にはブルネイが入って3万5394ドル。この2か国が断トツで、第3位のマレーシア6975ドル以下を大きく引き離している。最下位はミャンマーで499ドルしかない。シンガポールに比べると、なんと66分の1ということになる。
(続きは来週サタデー)
≪3日の日経平均 = 上げ +9.80円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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経済面でも、それぞれに特徴を持っている。まず人口がいちばん多いのはインドネシアで、09年の統計では2億2996万人。全体の4割を占めている。次いでフィリピン、ベトナムと続くが、いずれも1億人に満たない。最も少ないのはブルネイで、わずかに40万人。少ない方からシンガポール、ラオスの順で、いずれも500万人に達しない。
ところがGDPの大きさになると、順番が変わる。第1位はインドネシアの5403億ドルだが、第2位はタイで2639億ドル。そのあとはマレーシア、シンガポール、フィリピンと続く。一方、GDPが最も少ないのはラオスで59億ドルしかない。続いてカンボジア、ブルネイ、ミャンマー、ベトナムの順に少ない。
さらに1人当たりGDPになると、順位は大変わりする。第1位はシンガポールで3万6537ドル。第2位にはブルネイが入って3万5394ドル。この2か国が断トツで、第3位のマレーシア6975ドル以下を大きく引き離している。最下位はミャンマーで499ドルしかない。シンガポールに比べると、なんと66分の1ということになる。
(続きは来週サタデー)
≪3日の日経平均 = 上げ +9.80円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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第20章 スマートグリッドって、なんだろう? ⑩
スマートグリッドは日本だけでなく、世界中の国々が実現を目指しています。むしろ見方によっては、アメリカやドイツなどのヨーロッパ諸国の方が、日本より進んでいるのかもしれません。ただ国によって進め方はいろいろ。ある意味では、各国間の競争になってきたと言えます。
たとえばアメリカは、スマートメーターの普及に力を入れています。オバマ大統領も110億ドル(約9200億円)の予算を投じて支援。すでに数100万台のメーターが各家庭に付いて、いまは各種の実験を行う段階にまで達しました。国土の広いアメリカでは3000もの電力会社があり、送電線が長いという事情もあります。電力の効率的な供給という面から、スマートグリッドの導入を考えたとも言えるでしょう。
太陽光発電の普及という面では、いまのところドイツがいちばん進んでいます。住宅用パネルの設置も日本の約3倍、世界で第1位。続いて第2位はスペインで、日本は第3位となっています。ドイツやスペインの成績がいいのは、政府が早くから補助金などを出して支援したため。いまは日本政府も補助金を出して、その差を詰めようと懸命に努力しているところです。
日本がいちばん優位に立っているのは、電池に関する製作技術の部門でしょう。でもヨーロッパ諸国や韓国なども急速にレベルを上げてきており、その差はわずかです。それに世界一のスマートグリッドを実現するためには、スマートメーターや太陽光発電、それに全体を統合する設計能力の面でも、いちばんになる必要があるのです。競争はまだまだ続きます。
(続きは来週日曜日)
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スマートグリッドは日本だけでなく、世界中の国々が実現を目指しています。むしろ見方によっては、アメリカやドイツなどのヨーロッパ諸国の方が、日本より進んでいるのかもしれません。ただ国によって進め方はいろいろ。ある意味では、各国間の競争になってきたと言えます。
たとえばアメリカは、スマートメーターの普及に力を入れています。オバマ大統領も110億ドル(約9200億円)の予算を投じて支援。すでに数100万台のメーターが各家庭に付いて、いまは各種の実験を行う段階にまで達しました。国土の広いアメリカでは3000もの電力会社があり、送電線が長いという事情もあります。電力の効率的な供給という面から、スマートグリッドの導入を考えたとも言えるでしょう。
太陽光発電の普及という面では、いまのところドイツがいちばん進んでいます。住宅用パネルの設置も日本の約3倍、世界で第1位。続いて第2位はスペインで、日本は第3位となっています。ドイツやスペインの成績がいいのは、政府が早くから補助金などを出して支援したため。いまは日本政府も補助金を出して、その差を詰めようと懸命に努力しているところです。
日本がいちばん優位に立っているのは、電池に関する製作技術の部門でしょう。でもヨーロッパ諸国や韓国なども急速にレベルを上げてきており、その差はわずかです。それに世界一のスマートグリッドを実現するためには、スマートメーターや太陽光発電、それに全体を統合する設計能力の面でも、いちばんになる必要があるのです。競争はまだまだ続きます。
(続きは来週日曜日)
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週の半ばには雲が切れて日も射したが、週末は再び厚い雲に覆われた。クリスマス・セールの好調な滑り出しに喜んだのも束の間、失業率は予想よりも悪化。こんなアメリカ経済の状況を反映して、先週のダウ平均は1-2日に大幅な上昇となったが、3日には勢いがしぼんでしまった。それでも週間290ドルの値上がり。
一方の日経平均は1万円をはさんで、目まぐるしい動き。30日には1万円を割り込んだが、2日には回復している。円高に一応の歯止めがかかったこととダウ平均に押されて、週間では139円の値上がりだった。今週はアメリカが雇用悪化のショックを引きずるかどうか。引きずればダウは下がり、円は上昇する可能性が大きい。
週末には、もう1つ大きなニュースが飛び込んできた。中国共産党が2年にわたった金融緩和政策を止め、引き締め路線に転換したというニュースである。中国は8%以上の経済成長率と3%以下の物価上昇率を政策の基本目標にしているが、1-9月間の成長率が10.6%に達した半面、消費者物価は最近ずっと4%を超えている。このための転換で、路線としては正しい方向だ。
今週は7日に、10月の景気動向指数。8日に、11月の景気ウォッチャー調査。9日には、7-9月期のGDP改定値。10日には、10-12月期の法人企業景気予測調査と11月の企業物価、消費者動向調査が発表になる。アメリカでは10日に、10月の貿易収支とミシガン大学による12月の消費者信頼感指数。また10日には、中国が11月の貿易収支を発表する予定。
≪6日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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一方の日経平均は1万円をはさんで、目まぐるしい動き。30日には1万円を割り込んだが、2日には回復している。円高に一応の歯止めがかかったこととダウ平均に押されて、週間では139円の値上がりだった。今週はアメリカが雇用悪化のショックを引きずるかどうか。引きずればダウは下がり、円は上昇する可能性が大きい。
週末には、もう1つ大きなニュースが飛び込んできた。中国共産党が2年にわたった金融緩和政策を止め、引き締め路線に転換したというニュースである。中国は8%以上の経済成長率と3%以下の物価上昇率を政策の基本目標にしているが、1-9月間の成長率が10.6%に達した半面、消費者物価は最近ずっと4%を超えている。このための転換で、路線としては正しい方向だ。
今週は7日に、10月の景気動向指数。8日に、11月の景気ウォッチャー調査。9日には、7-9月期のGDP改定値。10日には、10-12月期の法人企業景気予測調査と11月の企業物価、消費者動向調査が発表になる。アメリカでは10日に、10月の貿易収支とミシガン大学による12月の消費者信頼感指数。また10日には、中国が11月の貿易収支を発表する予定。
≪6日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 元気が出てきた個人消費 = アメリカ経済の見通しが、明るくなったり暗くなったり忙しい。12月に入ってからも、最初はクリスマス商戦の出足が好調だというので盛り上がったが、すぐに期待外れの雇用統計が発表されてトーンダウン。見通しが明るくなると、株価が上昇してドル相場も上がる。暗くなると逆になるから、日本の投資家も目が離せない。
年末年始の景気を左右するのはクリスマス・セール。なにしろ年間の4分の1を売り上げるというから大変だ。その前哨戦となるのが11月の小売り売上高。民間調査会社によると、主要小売り業の売上高は前年比5.8%増で、かなりの高水準だった。これでダウ平均も大幅高に。さらなる金融緩和は遠のいたという読みから、ドルが買い戻された。
商務省の統計によると、10月の個人消費支出は前月比0.4%の増加。4か月連続のプラスとなった。11月の新車販売は年率にして1226万台、前年比16.9%の増加と高水準だった。地区連銀の経済報告でも、ニューヨークなど5連銀が「個人消費を中心に、全体の状態は改善し続けている」と述べている。
景気の動向をGDP成長率でみると、ことし1-3月期は3.0%だったのが4-6月期は1.6%に低下。その後7-9月期は2.5%と再び上向いている。小売りや自動車の販売が好調なので、10-12月期の成長率はさらに上昇するという見方が強い。だが、こうした楽観的な見方も、先週末に発表された雇用統計でやや冷やされる形になった。
(続きは明日)
≪6日の日経平均 = 下げ -11.09円≫
≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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年末年始の景気を左右するのはクリスマス・セール。なにしろ年間の4分の1を売り上げるというから大変だ。その前哨戦となるのが11月の小売り売上高。民間調査会社によると、主要小売り業の売上高は前年比5.8%増で、かなりの高水準だった。これでダウ平均も大幅高に。さらなる金融緩和は遠のいたという読みから、ドルが買い戻された。
商務省の統計によると、10月の個人消費支出は前月比0.4%の増加。4か月連続のプラスとなった。11月の新車販売は年率にして1226万台、前年比16.9%の増加と高水準だった。地区連銀の経済報告でも、ニューヨークなど5連銀が「個人消費を中心に、全体の状態は改善し続けている」と述べている。
景気の動向をGDP成長率でみると、ことし1-3月期は3.0%だったのが4-6月期は1.6%に低下。その後7-9月期は2.5%と再び上向いている。小売りや自動車の販売が好調なので、10-12月期の成長率はさらに上昇するという見方が強い。だが、こうした楽観的な見方も、先週末に発表された雇用統計でやや冷やされる形になった。
(続きは明日)
≪6日の日経平均 = 下げ -11.09円≫
≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 足を引っ張る雇用と住宅 = 晴れ模様の経済見通しを再び曇り空に引き戻したのは、11月の雇用統計だった。農業を除く雇用者数は前月より3万9000人増加したが、事前の予測を大きく下回った。その一方で、失業者数は28万人増えてしまった。その結果、完全失業率は9.8%と前月より0.2ポイント悪化している。
アメリカ経済は5四半期にわたって成長を続けているが、雇用の改善は遅々として進まない。特に大きな問題点がいくつかある。たとえば11月の統計を見ても、10代の失業率は24.4%ときわめて高い。また7週間以上も失業している人は630万人にのぼり、全体の42%を占めている。さらに就職をあきらめた失業予備軍が250万人もいて、今後は失業者に加わる可能性が高い。
雇用情勢が好転しないと、せっかく上向いてきた個人消費も長続きしない。また住宅をめぐる状況もよくならない。10月の数字をみると、住宅の着工件数は前月比11.7%減、新築住宅の販売件数は8.1%減、中古住宅の販売件数も2.2%減という低調さだった。失業して自宅を売るケースが多く、需給関係の改善が遅れている。
このように全体としては少しずつ好転しているアメリカ経済だが、いぜんとして雇用と住宅が足カセになっている。このためニューヨークの株価も、小売りや消費者心理の調査結果が出ると上昇。雇用や住宅関連の結果が出ると反落している。今後の注目点は、やはり雇用の状況、とりわけ雇用者数の増加幅にあると言えるだろう。
≪7日の日経平均 = 下げ -26.13円≫
≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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アメリカ経済は5四半期にわたって成長を続けているが、雇用の改善は遅々として進まない。特に大きな問題点がいくつかある。たとえば11月の統計を見ても、10代の失業率は24.4%ときわめて高い。また7週間以上も失業している人は630万人にのぼり、全体の42%を占めている。さらに就職をあきらめた失業予備軍が250万人もいて、今後は失業者に加わる可能性が高い。
雇用情勢が好転しないと、せっかく上向いてきた個人消費も長続きしない。また住宅をめぐる状況もよくならない。10月の数字をみると、住宅の着工件数は前月比11.7%減、新築住宅の販売件数は8.1%減、中古住宅の販売件数も2.2%減という低調さだった。失業して自宅を売るケースが多く、需給関係の改善が遅れている。
このように全体としては少しずつ好転しているアメリカ経済だが、いぜんとして雇用と住宅が足カセになっている。このためニューヨークの株価も、小売りや消費者心理の調査結果が出ると上昇。雇用や住宅関連の結果が出ると反落している。今後の注目点は、やはり雇用の状況、とりわけ雇用者数の増加幅にあると言えるだろう。
≪7日の日経平均 = 下げ -26.13円≫
≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 今後も増えるかどうか? = 新聞やテレビがあまり取り上げなかった10月の経済統計に、所定内給与がなんと30か月ぶりに増加したという調査結果がある。厚生労働省が発表した毎月勤労統計によると、10月の現金給与総額は1人平均で26万8951円。前年同月比で0.6%増加した。このうち所定内給与は24万5518円で0.1%増加したが、この増加は08年4月以来のこと。
所定内給与というのは基本給や家族手当など、サラリーマンが毎月決まって貰える給与。これに時間外や休日出勤手当など、さらにボーナスなど特別に支払われる給与を加えたものが現金給与総額だ。最近の傾向は残業が増えているため給与総額は少し上向いているが、肝心の所定内給与は増加していなかった。
08年4月の所定内給与を調べてみると、平均25万3445円だった。したがって30か月間にわたって減少した結果、当時と比べて10月の所定内給与は7927円も減っていることが判る。給与所得者にとっては、安定した収入である所定内給与の下げ止まりは何よりも歓迎すべき動向に違いない。
だが今後も所定内給与が増加を続けるかどうか。見通しはきわめて不透明だ。エコカーや家電に対する補助金政策の終了と輸出の鈍化で、10-12月期のGDPはマイナス成長が避けられない。10月にわずかな増加を記録したことが、ヌカ喜びに終わる可能性は小さくない。新聞やテレビは、そのことを見越して報道しなかったのかもしれない。
≪8日の日経平均 = 上げ +91.23円≫
≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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所定内給与というのは基本給や家族手当など、サラリーマンが毎月決まって貰える給与。これに時間外や休日出勤手当など、さらにボーナスなど特別に支払われる給与を加えたものが現金給与総額だ。最近の傾向は残業が増えているため給与総額は少し上向いているが、肝心の所定内給与は増加していなかった。
08年4月の所定内給与を調べてみると、平均25万3445円だった。したがって30か月間にわたって減少した結果、当時と比べて10月の所定内給与は7927円も減っていることが判る。給与所得者にとっては、安定した収入である所定内給与の下げ止まりは何よりも歓迎すべき動向に違いない。
だが今後も所定内給与が増加を続けるかどうか。見通しはきわめて不透明だ。エコカーや家電に対する補助金政策の終了と輸出の鈍化で、10-12月期のGDPはマイナス成長が避けられない。10月にわずかな増加を記録したことが、ヌカ喜びに終わる可能性は小さくない。新聞やテレビは、そのことを見越して報道しなかったのかもしれない。
≪8日の日経平均 = 上げ +91.23円≫
≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 菅首相の大きな失点に? = 日本経済新聞は8日付の朝刊1面トップで「首相、法人課税5%引き下げ指示」と大きく報じた。法人減税については、政府部内でも財源不足のために引き下げ幅を圧縮すべきだという議論が強まっていたが、菅首相はこうした圧縮論を退けて実効税率の5%引き下げを指示したという内容だ。
この記事の見出しは明解で、わかりやすい。ところが記事の内容は、少し回りくどい。菅首相が野田財務相や玄葉国家戦略相らに対して、そういう方向で調整するよう指示したことが判明したと書いている。要するに菅首相本人あるいは官邸が公式に発表したものではない。どこか他の情報源が日経だけにリークしたために、こんな回りくどい表現になったと思われる。
日本の法人税率は、国際的にみて非常に高い。このため日本企業の国際競争力を維持し、外国企業の参入を促す観点からも、実効税率の引き下げが不可欠になっている。だから菅首相がこうした指示を出したことは、大変に結構なことだ。だが、こんなに大事な指示を出したことを、首相自らがなぜ国民にストレートに伝えようとしないのか。
もしかすると、菅首相には指示の内容を実現させる自信がないのでは。実現しなかった場合、自分の失点になるのを恐れたのではないか。こんなことまで勘ぐりたくなってしまう。しかしリークの形にせよ、こういうニュースが報道されれば、読者は菅首相の決断だと理解する。ここでまた有言不実行を繰り返せば、支持率をまた一歩“1%”に近付けるだけ。危なくて見ていられない気がしてならない。
≪9日の日経平均 = 上げ +53.55円≫
≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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この記事の見出しは明解で、わかりやすい。ところが記事の内容は、少し回りくどい。菅首相が野田財務相や玄葉国家戦略相らに対して、そういう方向で調整するよう指示したことが判明したと書いている。要するに菅首相本人あるいは官邸が公式に発表したものではない。どこか他の情報源が日経だけにリークしたために、こんな回りくどい表現になったと思われる。
日本の法人税率は、国際的にみて非常に高い。このため日本企業の国際競争力を維持し、外国企業の参入を促す観点からも、実効税率の引き下げが不可欠になっている。だから菅首相がこうした指示を出したことは、大変に結構なことだ。だが、こんなに大事な指示を出したことを、首相自らがなぜ国民にストレートに伝えようとしないのか。
もしかすると、菅首相には指示の内容を実現させる自信がないのでは。実現しなかった場合、自分の失点になるのを恐れたのではないか。こんなことまで勘ぐりたくなってしまう。しかしリークの形にせよ、こういうニュースが報道されれば、読者は菅首相の決断だと理解する。ここでまた有言不実行を繰り返せば、支持率をまた一歩“1%”に近付けるだけ。危なくて見ていられない気がしてならない。
≪9日の日経平均 = 上げ +53.55円≫
≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 世界で4番目の経済共同体 = いま世界には、4つの経済共同体が存在している。そのうち最も進化しているのはEU(ヨーロッパ連合=27か国が加盟)で、政治や通貨の面にまで統合を進めている。次いでNAFTA(北米自由貿易協定=3か国)とMERCOSUR(南米共同市場=5か国)。ASEAN(東南アジア諸国連合=10か国)と続く。
経済規模はEUとNAFTAが圧倒的に大きい。GDPを09年の統計でみると、EUが16兆7000億ドル、NAFTAは16兆5000億ドルで、ほぼ拮抗している。NAFTAはアメリカとカナダ、それにメキシコが参加しているためだ。ただ、この2つの共同体を比較してみると、貿易量はEUの方が2倍半も大きい。
ASEANは09年の統計でみる限り、GDPでは他の3グループに及ばない。しかし貿易量ではMERCOSURの3倍に達している。ちなみに輸出入を合計した貿易量はMERCOSURが5400億ドルだったのに対して、ASEANは1兆6000億ドルだった。この貿易量の大きさが、ASEANを発展途上国から新興国に引き上げた原動力になったと言える。
これらの共同体のなかで、ASEANが一番なのは人口の多さ。EUが5億人弱、NAFTAが4億5000万人、MERCOSURが2億7000万人なのに対して、ASEANは5億8000万人。途上国の段階だと人口の多さは経済発展の重荷になりがちだが、発展段階に入ると労働力としても消費パワーとしても大きな強みになる。いま世界がASEANに注目している一因は、そこにある。
(続きは来週サタデー)
≪10日の日経平均 = 下げ -73.93円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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経済規模はEUとNAFTAが圧倒的に大きい。GDPを09年の統計でみると、EUが16兆7000億ドル、NAFTAは16兆5000億ドルで、ほぼ拮抗している。NAFTAはアメリカとカナダ、それにメキシコが参加しているためだ。ただ、この2つの共同体を比較してみると、貿易量はEUの方が2倍半も大きい。
ASEANは09年の統計でみる限り、GDPでは他の3グループに及ばない。しかし貿易量ではMERCOSURの3倍に達している。ちなみに輸出入を合計した貿易量はMERCOSURが5400億ドルだったのに対して、ASEANは1兆6000億ドルだった。この貿易量の大きさが、ASEANを発展途上国から新興国に引き上げた原動力になったと言える。
これらの共同体のなかで、ASEANが一番なのは人口の多さ。EUが5億人弱、NAFTAが4億5000万人、MERCOSURが2億7000万人なのに対して、ASEANは5億8000万人。途上国の段階だと人口の多さは経済発展の重荷になりがちだが、発展段階に入ると労働力としても消費パワーとしても大きな強みになる。いま世界がASEANに注目している一因は、そこにある。
(続きは来週サタデー)
≪10日の日経平均 = 下げ -73.93円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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第20章 スマートグリッドって、なんだろう? ⑪
「智能電網」って、どういう意味でしょう。そう、中国語でスマートグリッドです。日本人にも、わかりますね。このように、いま中国を含めて世界の国々は、スマートグリッドの建設に向けて一生懸命なのです。というのも、生活が便利になったり、省エネの効果が大きいというばかりでなく、将来は産業の重要な柱に育つ見込みが確実になってきたからです。
スマートグリッドに関係した製品の売り上げやその運用に使われたおカネは、世界中で09年には日本円に直して9400億円ぐらいだったと計算されています。それが10年には1兆3000億円、12年には2兆円を超える見込み。さらに20年には5兆8000億円にまで増大すると考えられています。さすがに30年の予測はまだ発表されていませんが、アメリカは送電網だけでも25兆円かかると言っています。
日本の場合は、経済産業省が20年までに必要なおカネを合計で16兆円と予測しています。20年には1年間で2兆円を超すという試算もあります。その大半は蓄電池関係になるとみられていますが、太陽光発電パネルやスマートメーター、それに電気自動車にもたくさんのおカネが使われるでしょう。
たとえば太陽電池は国内で、ことしの4-9月に約47万キロワット分が売れました。昨年の2倍以上の成績です。年間で100万キロワットを超えることは確実です。政府は20年までに、国内の発電能力を2800万キロワットまで引き上げる計画です。世界中で09年に売れた太陽電池は750万キロワットでしたから、それと比べても大きな発電量になることがわかるでしょう。
(続きは来週日曜日)
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「智能電網」って、どういう意味でしょう。そう、中国語でスマートグリッドです。日本人にも、わかりますね。このように、いま中国を含めて世界の国々は、スマートグリッドの建設に向けて一生懸命なのです。というのも、生活が便利になったり、省エネの効果が大きいというばかりでなく、将来は産業の重要な柱に育つ見込みが確実になってきたからです。
スマートグリッドに関係した製品の売り上げやその運用に使われたおカネは、世界中で09年には日本円に直して9400億円ぐらいだったと計算されています。それが10年には1兆3000億円、12年には2兆円を超える見込み。さらに20年には5兆8000億円にまで増大すると考えられています。さすがに30年の予測はまだ発表されていませんが、アメリカは送電網だけでも25兆円かかると言っています。
日本の場合は、経済産業省が20年までに必要なおカネを合計で16兆円と予測しています。20年には1年間で2兆円を超すという試算もあります。その大半は蓄電池関係になるとみられていますが、太陽光発電パネルやスマートメーター、それに電気自動車にもたくさんのおカネが使われるでしょう。
たとえば太陽電池は国内で、ことしの4-9月に約47万キロワット分が売れました。昨年の2倍以上の成績です。年間で100万キロワットを超えることは確実です。政府は20年までに、国内の発電能力を2800万キロワットまで引き上げる計画です。世界中で09年に売れた太陽電池は750万キロワットでしたから、それと比べても大きな発電量になることがわかるでしょう。
(続きは来週日曜日)
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株価は小動きで小幅高、長期金利は大幅上昇。日米の株式・債券市場は先週、同じような展開となった。日経平均は週間34円、ダウ平均は28ドルの値上がり。ともに地合いは好転しているが、このところの急速な上昇に対する警戒感が株価の頭を押さえている。今週はこの揉み合い状態を脱して、もう1つ上の段階に入れるかどうかがポイントになりそうだ。
アメリカでは、消費関連の指標が予想以上に強くなっている。クリスマス・セールは順調だし、ミシガン大学による12月の消費者信頼感指数も予想を上回った。オバマ大統領が共和党と妥協し、富裕層を含めた大型減税が継続される見通しとなったことも、消費の行く方を明るくしている。
ところが減税の継続は財政赤字の増大につながるという読みから、国債が売られて長期金利が上昇した。一時は半年ぶりに3.3%まで上昇、この影響で日本の長期金利も1.270%に押し上げられている。アメリカの消費増大や金利上昇はドル高・円安の誘因になるはずだが、先週は日本の金利もつれ高となったため円安はあまり進まなかった。今週は少し円安に振れるかもしれない。
今週は15日に、日銀の短観と10月の第3次産業活動指数が発表になる。短観の内容は景気の落ち込みを示すものとなりそうだが、市場はもう織り込み済み。また14日には、政府が税制改正大綱を閣議決定する予定。アメリカでは14日に、11月の生産者物価と小売り売上高。15日に、11月の消費者物価と工業生産。16日には、11月の住宅着工。17日には、コンファレンスボードによる11月の景気先行指数が発表される。
≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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アメリカでは、消費関連の指標が予想以上に強くなっている。クリスマス・セールは順調だし、ミシガン大学による12月の消費者信頼感指数も予想を上回った。オバマ大統領が共和党と妥協し、富裕層を含めた大型減税が継続される見通しとなったことも、消費の行く方を明るくしている。
ところが減税の継続は財政赤字の増大につながるという読みから、国債が売られて長期金利が上昇した。一時は半年ぶりに3.3%まで上昇、この影響で日本の長期金利も1.270%に押し上げられている。アメリカの消費増大や金利上昇はドル高・円安の誘因になるはずだが、先週は日本の金利もつれ高となったため円安はあまり進まなかった。今週は少し円安に振れるかもしれない。
今週は15日に、日銀の短観と10月の第3次産業活動指数が発表になる。短観の内容は景気の落ち込みを示すものとなりそうだが、市場はもう織り込み済み。また14日には、政府が税制改正大綱を閣議決定する予定。アメリカでは14日に、11月の生産者物価と小売り売上高。15日に、11月の消費者物価と工業生産。16日には、11月の住宅着工。17日には、コンファレンスボードによる11月の景気先行指数が発表される。
≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 史上最大の自動車王国に = 中国経済の陰と陽とが、ますます鮮明になってきた。一口で言えば、生産や消費の面はきわめて堅調。その半面で、不動産やモノの価格面では厄介な事態が拡大している。中国政府は経済政策のむずかしいカジ取りを迫られているが、果たして局面を打開できるのか。その結果は、世界経済にも大きな影響を及ぼすに違いない。
中国汽車工業協会の集計によると、11月の新車販売台数は前年比26.9%の増加だった。これで、ことしの販売台数が1800万台を超えることは確実。前年比では約3割の増加。過去のアメリカの記録を抜いて、一国における自動車の年間販売で最高記録を達成する。
鉱工業生産も順調に拡大している。国家統計局の発表によると、11月の生産は前年比13.3%増加した。10月も13.1%増加しており、基調は強い。中国の工業生産は、原材料や部品を輸入して組み立て・加工し輸出する形が中心。したがって輸出入の金額も大幅に伸びている。
税関総署の発表によると、11月の輸出は1533億ドル(約12兆9000億円)で月間としては過去最大。前年比も34.9%の大幅な増加だった。輸入も1304億ドルで最高、37.7%伸びている。貿易黒字も228億9000万ドルと高水準だった。中国の輸入が大幅増となったことは、日本の中国向け輸出が堅調だったことを意味している。
(続きは明日)
≪13日の日経平均 = 上げ +81.94円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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中国汽車工業協会の集計によると、11月の新車販売台数は前年比26.9%の増加だった。これで、ことしの販売台数が1800万台を超えることは確実。前年比では約3割の増加。過去のアメリカの記録を抜いて、一国における自動車の年間販売で最高記録を達成する。
鉱工業生産も順調に拡大している。国家統計局の発表によると、11月の生産は前年比13.3%増加した。10月も13.1%増加しており、基調は強い。中国の工業生産は、原材料や部品を輸入して組み立て・加工し輸出する形が中心。したがって輸出入の金額も大幅に伸びている。
税関総署の発表によると、11月の輸出は1533億ドル(約12兆9000億円)で月間としては過去最大。前年比も34.9%の大幅な増加だった。輸入も1304億ドルで最高、37.7%伸びている。貿易黒字も228億9000万ドルと高水準だった。中国の輸入が大幅増となったことは、日本の中国向け輸出が堅調だったことを意味している。
(続きは明日)
≪13日の日経平均 = 上げ +81.94円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 食料品は11.7%の高騰 = 国家統計局の発表によると、11月の消費者物価は前年比5.1%の上昇となった。特に食料品の価格は11.7%も上がっており、これはもうインフレの状態と言っていい。卸売り物価も6.1%上昇した。中国政府は消費者物価の上昇率を3%以内に抑えることを公約しているが、物価は7月からずっと3%を上回っている。
主要70都市の不動産価格も上昇している。平均では前年比7.7%の上昇だが、海南省海口では39.3%、北京市でも9.1%上がった。社会科学院の調査によると、平均住宅価格の3割は投機による値上がり。北京の場合は約50%がバブルによるものだという。4月にローン規制が実施されて住宅価格の騰勢は一服したが、最近は再び上昇傾向がはっきりしてきた。
食料品や電気・水道料金、それに住宅価格の高騰で、国民の不満は高まりつつある。政府も手をこまぬいていたわけではない。備蓄していた穀物や食用油、砂糖を放出。食料を輸送するトラックの高速料金をタダにしたほか、便乗値上げを厳しく取り締まっている。人民銀行はことし7回にわたって預金準備率を引き上げ、市中の過剰流動性を吸収してきた。また10月には、預金・貸し出し金利を0.25%引き上げている。
物価上昇を抑制するためには、金利をもっと引き上げる必要があるかもしれない。また元の為替レートを切り上げれば、物価の安定には役立つだろう。しかし中国政府は、その結果として景気が悪化することを非常に恐れている。インフレ状態のうえに不況が重なれば、国民の不満を抑え切れなくなるからだ。それだけに仮に次の利上げがあれば、それは中国政府の苦渋の決断になる。
≪14日の日経平均 = 上げ +22.88円≫
≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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主要70都市の不動産価格も上昇している。平均では前年比7.7%の上昇だが、海南省海口では39.3%、北京市でも9.1%上がった。社会科学院の調査によると、平均住宅価格の3割は投機による値上がり。北京の場合は約50%がバブルによるものだという。4月にローン規制が実施されて住宅価格の騰勢は一服したが、最近は再び上昇傾向がはっきりしてきた。
食料品や電気・水道料金、それに住宅価格の高騰で、国民の不満は高まりつつある。政府も手をこまぬいていたわけではない。備蓄していた穀物や食用油、砂糖を放出。食料を輸送するトラックの高速料金をタダにしたほか、便乗値上げを厳しく取り締まっている。人民銀行はことし7回にわたって預金準備率を引き上げ、市中の過剰流動性を吸収してきた。また10月には、預金・貸し出し金利を0.25%引き上げている。
物価上昇を抑制するためには、金利をもっと引き上げる必要があるかもしれない。また元の為替レートを切り上げれば、物価の安定には役立つだろう。しかし中国政府は、その結果として景気が悪化することを非常に恐れている。インフレ状態のうえに不況が重なれば、国民の不満を抑え切れなくなるからだ。それだけに仮に次の利上げがあれば、それは中国政府の苦渋の決断になる。
≪14日の日経平均 = 上げ +22.88円≫
≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 景気の落ち込みは浅い? = 日銀は15日、12月分の企業短期経済観測調査を発表した。その内容を紹介しながら、現在の景気動向を描き出してみよう。この調査は日銀が全国1万1000社以上の企業を対象に、各企業の業況や売り上げ・利益・設備投資・雇用などに対する判断を聞いている。3か月ごとに実施しており、今回は11月11日から12月14日の間に行われた。
いつも話題になるのは、大企業・製造業の業況判断。今回の業況判断指数はプラス5で、前回9月時点の調査よりも3ポイント悪化した。この業況判断指数は、自分の会社の業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた数値。大企業・製造業の判断指数が悪化したのは、リーマン・ショックの影響を受けていた09年3月以来7四半期ぶり。9月の段階よりも、景気は下降した感触が強いことを示している。
業況指数が悪化したのは、円高の進行とエコカーに対する補助金の終了、それに家電エコポイント制度の縮小が響いたためと考えられる。ただ3ポイントの悪化は、民間の調査会社が事前に予測していた数値よりは小幅だった。また9月の短観では12月の数値がマイナス1 になると予想していたから、それに比べると程度は軽い。景気の現状は落ち込みつつあるが、その程度は割に浅いと言えるのかもしれない。
大企業・非製造業の判断指数もプラス1となり、前回より1ポイント悪化した。製造業より悪化の幅が小さかったのは、おそらく円高による悪影響が少なかったからだろう。また中堅企業や中小企業の判断指数もみな少しずつ悪化しているが、唯一の例外は中小企業・製造業。指数はマイナス12で、前回より2ポイント改善した。それにしても中小企業の判断指数自体の水準は、依然としてかなり低い。
(続きは明日)
≪15日の日経平均 = 下げ -6.99円≫
≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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いつも話題になるのは、大企業・製造業の業況判断。今回の業況判断指数はプラス5で、前回9月時点の調査よりも3ポイント悪化した。この業況判断指数は、自分の会社の業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた数値。大企業・製造業の判断指数が悪化したのは、リーマン・ショックの影響を受けていた09年3月以来7四半期ぶり。9月の段階よりも、景気は下降した感触が強いことを示している。
業況指数が悪化したのは、円高の進行とエコカーに対する補助金の終了、それに家電エコポイント制度の縮小が響いたためと考えられる。ただ3ポイントの悪化は、民間の調査会社が事前に予測していた数値よりは小幅だった。また9月の短観では12月の数値がマイナス1 になると予想していたから、それに比べると程度は軽い。景気の現状は落ち込みつつあるが、その程度は割に浅いと言えるのかもしれない。
大企業・非製造業の判断指数もプラス1となり、前回より1ポイント悪化した。製造業より悪化の幅が小さかったのは、おそらく円高による悪影響が少なかったからだろう。また中堅企業や中小企業の判断指数もみな少しずつ悪化しているが、唯一の例外は中小企業・製造業。指数はマイナス12で、前回より2ポイント改善した。それにしても中小企業の判断指数自体の水準は、依然としてかなり低い。
(続きは明日)
≪15日の日経平均 = 下げ -6.99円≫
≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 景気の停滞は長引く? = 日銀短観では調査対象の企業に、3か月先の予想も聞いている。それによると、大企業・製造業は来年3月の業況判断をマイナス2と予想した。今回の調査よりも7ポイント悪化することになる。もし、この予想が正しければ、景気の落ち込み方は10-12月期より来年1-3月期の方が大幅になってしまう。今回はやや改善した中小企業・製造業も、マイナス23と再び大きく悪化するという予想だ。
景気は10-12月期からゆるやかに下降、来年1-3月期には下降のスピードがやや速くなる。というのが今回の短観から読み取れる景気の動向だ。しかし10年度の企業収益は順調に伸びると、各企業は判断している。たとえば大企業・製造業の経常利益は前年度比57.8%の増加、中小企業・製造業でも58.1%の増加になるという予想だ。
にもかかわらず、企業の設備投資はほとんど増加しない。全規模の企業を合計した数字でみると、製造業は前年比3.9%増だが、非製造業は1.4%減となっている。また人員が過剰かどうかの判断を「過剰」-「不足」という回答の割合で算出しているが、全規模の合計で今回はプラス6。それが3か月後も同じ予想で、過剰感の解消は全く期待できない。
ある水準の利益は確保できても、景気の先行きがおもわしくないから、設備投資や雇用にはおカネを使えない。これが企業の正直な現況だろう。ただ景気はリーマン・ショック時のように急激には落ち込まない。ゆるやかな下降であるだけに、政府のちょっとした景気対策があれば停滞を免れることができたはず。最近の経済政策には、このような機動性が全くなくなってしまった。
≪16日の日経平均 = 上げ +1.51円≫
≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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景気は10-12月期からゆるやかに下降、来年1-3月期には下降のスピードがやや速くなる。というのが今回の短観から読み取れる景気の動向だ。しかし10年度の企業収益は順調に伸びると、各企業は判断している。たとえば大企業・製造業の経常利益は前年度比57.8%の増加、中小企業・製造業でも58.1%の増加になるという予想だ。
にもかかわらず、企業の設備投資はほとんど増加しない。全規模の企業を合計した数字でみると、製造業は前年比3.9%増だが、非製造業は1.4%減となっている。また人員が過剰かどうかの判断を「過剰」-「不足」という回答の割合で算出しているが、全規模の合計で今回はプラス6。それが3か月後も同じ予想で、過剰感の解消は全く期待できない。
ある水準の利益は確保できても、景気の先行きがおもわしくないから、設備投資や雇用にはおカネを使えない。これが企業の正直な現況だろう。ただ景気はリーマン・ショック時のように急激には落ち込まない。ゆるやかな下降であるだけに、政府のちょっとした景気対策があれば停滞を免れることができたはず。最近の経済政策には、このような機動性が全くなくなってしまった。
≪16日の日経平均 = 上げ +1.51円≫
≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ FTAで域内貿易が拡大 = ASEAN はもともと安全保障を念頭に置いた政治色の強い共同体として発足した。現在では目標を拡大し、15年に政治・安全保障・社会・文化の各面で、共通の目標を持つ共同体にまで発展させようと計画している。こうしたなかで経済面では、06年にFTA(自由貿易協定)を結んだ。これによって域内の主要国間では、全品目の輸入関税がほとんどゼロになっている。
FTAを結んだあと、域内の貿易はほぼ順調に拡大してきた。ASEAN全体の輸出は09年で8177億ドル、そのうちの25%が域内向けとなっている。各国の輸出品は木材、鉱物資源、エネルギーから食料品、繊維、工業用部品、完成品と幅広く、競合が少なかったことも幸いした。
域外向けの輸出は6134億ドル。このうち最も大きかった輸出先はアメリカで、全体の14.2%を占めた。次いで日本と中国がともに12.8%のシェア。続いてEU、香港、韓国、中東の順になっている。10年の数字はまだ判らないが、中国向けの輸出が急増しているから、中国が最大の輸出先になった可能性が高い。
一方、09年の輸入は7847億ドルだった。このうち域内からの輸入は27%を占める。域外からの輸入5711億ドルのなかで最大の輸入先は中国、全体の16.8%を占めた。続いて日本、アメリカ、EU、中東、韓国の順。またASEAN全体の貿易収支をみると、98年から10年以上にわたってずっと黒字を続けている。
(続きは来週サタデー)
≪17日の日経平均 = 下げ -7.46円≫
【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】
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FTAを結んだあと、域内の貿易はほぼ順調に拡大してきた。ASEAN全体の輸出は09年で8177億ドル、そのうちの25%が域内向けとなっている。各国の輸出品は木材、鉱物資源、エネルギーから食料品、繊維、工業用部品、完成品と幅広く、競合が少なかったことも幸いした。
域外向けの輸出は6134億ドル。このうち最も大きかった輸出先はアメリカで、全体の14.2%を占めた。次いで日本と中国がともに12.8%のシェア。続いてEU、香港、韓国、中東の順になっている。10年の数字はまだ判らないが、中国向けの輸出が急増しているから、中国が最大の輸出先になった可能性が高い。
一方、09年の輸入は7847億ドルだった。このうち域内からの輸入は27%を占める。域外からの輸入5711億ドルのなかで最大の輸入先は中国、全体の16.8%を占めた。続いて日本、アメリカ、EU、中東、韓国の順。またASEAN全体の貿易収支をみると、98年から10年以上にわたってずっと黒字を続けている。
(続きは来週サタデー)
≪17日の日経平均 = 下げ -7.46円≫
【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】
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第20章 スマートグリッドって、なんだろう? ⑫
電力会社や電機メーカー、それに自動車や電池メーカーなどの企業も、スマートグリッドの構築に向けて走り出しました。電力会社は送電網などを新しくするため、今後10年間で6000億円を投資する予定です。また20年までには全世帯をスマートメーターに切り替える計画で、すでに関西電力や東京電力では一部の家庭に設置し始めました。
自動車メーカーも対応を急いでいます。日産自動車はこの年末から、トヨタ自動車は来年から、ともにリチウムイオン電池を載せたエコカーを発売する予定。従来のニッケル水素電池より効率がよく、しかもリチウムイオン電池の製造技術は日本がいちばん進んでいるからです。
太陽電池の生産は、実は05年までは日本が世界一でした。その後ドイツやアメリカに抜かれてしまったので、いま巻き返しに懸命です。日本のトップ・メーカーであるシャープが720億円をかけて堺工場を建設中のほか、京セラや三洋電機、あるいは昭和シェル石油なども生産の増加に努めています。シャープと東大が共同で、効率が世界一の電池を開発したという明るいニュースもありました。
電池やスマートメーターの開発には、いろいろな会社や研究所の協力が欠かせません。たとえば自動車や住宅メーカーと電池製造会社の協力。ここには外国の会社も参入してきています。そして、いろいろな場所で、いろいろな実験も始まりました。なかには、沖縄県とハワイ州が協力して行う日米の共同実験も計画されています。
(続きは来週日曜日)
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電力会社や電機メーカー、それに自動車や電池メーカーなどの企業も、スマートグリッドの構築に向けて走り出しました。電力会社は送電網などを新しくするため、今後10年間で6000億円を投資する予定です。また20年までには全世帯をスマートメーターに切り替える計画で、すでに関西電力や東京電力では一部の家庭に設置し始めました。
自動車メーカーも対応を急いでいます。日産自動車はこの年末から、トヨタ自動車は来年から、ともにリチウムイオン電池を載せたエコカーを発売する予定。従来のニッケル水素電池より効率がよく、しかもリチウムイオン電池の製造技術は日本がいちばん進んでいるからです。
太陽電池の生産は、実は05年までは日本が世界一でした。その後ドイツやアメリカに抜かれてしまったので、いま巻き返しに懸命です。日本のトップ・メーカーであるシャープが720億円をかけて堺工場を建設中のほか、京セラや三洋電機、あるいは昭和シェル石油なども生産の増加に努めています。シャープと東大が共同で、効率が世界一の電池を開発したという明るいニュースもありました。
電池やスマートメーターの開発には、いろいろな会社や研究所の協力が欠かせません。たとえば自動車や住宅メーカーと電池製造会社の協力。ここには外国の会社も参入してきています。そして、いろいろな場所で、いろいろな実験も始まりました。なかには、沖縄県とハワイ州が協力して行う日米の共同実験も計画されています。
(続きは来週日曜日)
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株価の基調は強くなった。だが経済の先行き不安をまだ消し切れないため、年末に向かって利益確定の売り圧力が強い。それでも小幅な変動を繰り返しながら、少しずつ水準を切り上げている。日米の株価は先週、ともに同じような展開となった。週間では日経平均が92円、ダウ平均は82ドルの値上がりだった。
アメリカでは、今後10年間で8580億ドル(約72兆円)にのぼる超大型減税法案が可決された。ところが株価は、これを全く無視している。雇用や住宅の改善が遅れているうえに、この減税で財政の悪化が急速に進むという心配が大きくなったためだ。10年もの国債の利回りは3.56%にまで上昇した。こうしたなかでダウ平均は16日、2年3か月ぶりの高値を付けている。
日本でも税制改正大綱がまとまり、法人減税や証券優遇税制の2年間延長が決まった。しかし日経平均は反応していない。法人減税が実質的には5800億円に止まったこともあるが、やはり景気の先行きに対する懸念が重石になっている。ただゴールドマン・サックスなどアメリカの証券会社が、日本株の推奨度を引き上げていることはプラス材料だ。日経ジャスダック平均が14日間の連騰を記録したのは、その影響かもしれない。
今週は21日に、10月の全産業活動指数。22日には、11月の貿易統計が発表になる。輸出の伸び率が注目点だ。アメリカでは22日に、7-9月期のGDP確定値と11月の中古住宅販売、それに10月の住宅価格指数。23日には、11月の個人所得と個人支出、新築住宅販売件数が発表される。
≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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アメリカでは、今後10年間で8580億ドル(約72兆円)にのぼる超大型減税法案が可決された。ところが株価は、これを全く無視している。雇用や住宅の改善が遅れているうえに、この減税で財政の悪化が急速に進むという心配が大きくなったためだ。10年もの国債の利回りは3.56%にまで上昇した。こうしたなかでダウ平均は16日、2年3か月ぶりの高値を付けている。
日本でも税制改正大綱がまとまり、法人減税や証券優遇税制の2年間延長が決まった。しかし日経平均は反応していない。法人減税が実質的には5800億円に止まったこともあるが、やはり景気の先行きに対する懸念が重石になっている。ただゴールドマン・サックスなどアメリカの証券会社が、日本株の推奨度を引き上げていることはプラス材料だ。日経ジャスダック平均が14日間の連騰を記録したのは、その影響かもしれない。
今週は21日に、10月の全産業活動指数。22日には、11月の貿易統計が発表になる。輸出の伸び率が注目点だ。アメリカでは22日に、7-9月期のGDP確定値と11月の中古住宅販売、それに10月の住宅価格指数。23日には、11月の個人所得と個人支出、新築住宅販売件数が発表される。
≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 大新聞も数字が混乱 = 政府は来年度の税制改正大綱を閣議決定し、懸案だった法人税引き下げの骨格もやっと明らかになった。ところが、これを報じた主要新聞の数字が混乱するほど、その内容は判りにくい。たとえば企業の実質的な減税額について、読売と日経は5800億円としているが、朝日は7000億円と書いている。
法人税の引き下げについては、政府・与党内で最後まで3%か5%かで揉めた。菅首相がこれを5%下げと裁定した段階で、これによる税収の減少額は1兆4900億円であることが確定している。しかし財源が足りないため、企業に対する優遇措置をいくつか縮小することになった。たとえば減価償却を前倒しできる加速度償却や試験研究への特別控除などを圧縮した。
この分は、企業にとって増税となる。朝日新聞はこの増税分を国税で6500億円、地方税分で1500億円、合計8000億円とみて、差し引き7000億円と説明した。読売と日経は、優遇措置の縮小に新たに創設される環境税を加算、増税分を9100億円と計算。したがって企業の実質的な減税額は5800億円になると書いている。
ただし読売と日経の数字は、国税だけに限った計算。もともと法人減税5%引き下げに必要な財源は1兆5000億円と言われたが、これも国税の収入減だけを指す数字だった。だから今回の法人減税と増税の計算には、最初から地方税の影響が入っていない。これが数字の混乱を招く原因となった。税制改正の報道では、かつて見られなかった現象である。
(続きは明日)
≪20日の日経平均 = 下げ -87.42円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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法人税の引き下げについては、政府・与党内で最後まで3%か5%かで揉めた。菅首相がこれを5%下げと裁定した段階で、これによる税収の減少額は1兆4900億円であることが確定している。しかし財源が足りないため、企業に対する優遇措置をいくつか縮小することになった。たとえば減価償却を前倒しできる加速度償却や試験研究への特別控除などを圧縮した。
この分は、企業にとって増税となる。朝日新聞はこの増税分を国税で6500億円、地方税分で1500億円、合計8000億円とみて、差し引き7000億円と説明した。読売と日経は、優遇措置の縮小に新たに創設される環境税を加算、増税分を9100億円と計算。したがって企業の実質的な減税額は5800億円になると書いている。
ただし読売と日経の数字は、国税だけに限った計算。もともと法人減税5%引き下げに必要な財源は1兆5000億円と言われたが、これも国税の収入減だけを指す数字だった。だから今回の法人減税と増税の計算には、最初から地方税の影響が入っていない。これが数字の混乱を招く原因となった。税制改正の報道では、かつて見られなかった現象である。
(続きは明日)
≪20日の日経平均 = 下げ -87.42円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 国際競争力は強くなるのか? = 法人税引き下げの発端は、国際的にみて高すぎる税率を引き下げないと、海外との競争に負けてしまうという点にあった。たとえばアメリカの法人税率は約40%だが、優遇措置を加味すると実質は30%程度。またヨーロッパの主要国も軒並み30%前後、中国が25%、台湾や香港などのアジア諸国は10%台が多い。これらに対して、日本の税率は40.69%ときわめて高い。
税金が高ければ、企業の利益は少なくなる。そこで企業は税金の安い海外に移転してしまう。外国企業も税金の高い国にはやってきにくい。企業の海外移転は円高なども影響しているが、ある調査研究によると日本企業の海外移転で年間の生産が35兆円、雇用が96万人失われているという。
今回の改正で、法人税率は地方税も合わせて35.64%に低下する見込み。だが35%では、とても欧米並みにまでは下がらない。どうして、こんな中途半端なことをするのだろう。財源がないから、あと5%分の引き下げは来年必ず実行すると公約すれば、まだよかった。税率を30%にまで引き下げて、優遇措置をもっと絞り込み実質的な減税は7000億円程度に抑える手もあったのではないだろうか。
とにかく35%という中途半端な税率では、国際競争力という面での改善は覚束ない。財源がないという口実で、中途半端な政策にまた大事な予算を使ってしまう。これも一種のバラマキではないのか。なんのための税制改正、なんのための法人税引き下げ。目的が曖昧で、きわめて判りにくい政策となってしまった。
(続きは明後日)
≪21日の日経平均 = 上げ +154.12円≫
≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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税金が高ければ、企業の利益は少なくなる。そこで企業は税金の安い海外に移転してしまう。外国企業も税金の高い国にはやってきにくい。企業の海外移転は円高なども影響しているが、ある調査研究によると日本企業の海外移転で年間の生産が35兆円、雇用が96万人失われているという。
今回の改正で、法人税率は地方税も合わせて35.64%に低下する見込み。だが35%では、とても欧米並みにまでは下がらない。どうして、こんな中途半端なことをするのだろう。財源がないから、あと5%分の引き下げは来年必ず実行すると公約すれば、まだよかった。税率を30%にまで引き下げて、優遇措置をもっと絞り込み実質的な減税は7000億円程度に抑える手もあったのではないだろうか。
とにかく35%という中途半端な税率では、国際競争力という面での改善は覚束ない。財源がないという口実で、中途半端な政策にまた大事な予算を使ってしまう。これも一種のバラマキではないのか。なんのための税制改正、なんのための法人税引き下げ。目的が曖昧で、きわめて判りにくい政策となってしまった。
(続きは明後日)
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≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 景気・雇用への効果も期待薄 = 菅首相は米倉経団連会長と岡村日商会頭に対して「法人税の5%減税で生じる利益を、国内投資や雇用の拡大に使うことを約束してほしい」と強く要請した。これに対して経済界代表の両氏は「努力はするが、約束はできない」と答えたと伝えられる。菅首相はこんどの法人減税が、景気の浮揚と雇用の増加に大いに役立つと信じているらしい。
率直に言って、菅首相の注文はムリだろう。いま日本の企業が設備投資や雇用の増加に積極的でないのは、カネがないからではない。企業の手元流動性は、過去最高の水準に達している。積極的になれないのは、経済の先行きに確信が持てないからだ。確信が持てない最大の原因は、民主党政府が成長政策を明示しないからと言っていい。菅首相には、そうした理解が欠けている。
今回の税制改正でも、財政の不足を補うという名目で、個人に対しては総計4900億円の増税を実施することになった。さらに来年度予算では、公共事業費を5%削減する方針を固めている。個人への増税は確実に消費のマイナス要因になるし、公共事業の削減は雇用の減少となって跳ね返る。その分を法人減税で埋め合わせることができるとは、どうしても考えられない。
菅首相はしばしば「一に雇用、二に雇用、三に雇用」とも言っている。だから雇用増大の必要性については認識しているのだろう。だが雇用を増加させるための方法論が、どうもはっきりしない。法人減税で雇用の増加を“お願い”しなければならなかった理由も、そこにある。最後にもう1つ、この法人減税が国会を通過するかどうか。この点も数えれば、判りにくさは4つに増える。
≪22日の日経平均 = 下げ -24.05円≫
≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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率直に言って、菅首相の注文はムリだろう。いま日本の企業が設備投資や雇用の増加に積極的でないのは、カネがないからではない。企業の手元流動性は、過去最高の水準に達している。積極的になれないのは、経済の先行きに確信が持てないからだ。確信が持てない最大の原因は、民主党政府が成長政策を明示しないからと言っていい。菅首相には、そうした理解が欠けている。
今回の税制改正でも、財政の不足を補うという名目で、個人に対しては総計4900億円の増税を実施することになった。さらに来年度予算では、公共事業費を5%削減する方針を固めている。個人への増税は確実に消費のマイナス要因になるし、公共事業の削減は雇用の減少となって跳ね返る。その分を法人減税で埋め合わせることができるとは、どうしても考えられない。
菅首相はしばしば「一に雇用、二に雇用、三に雇用」とも言っている。だから雇用増大の必要性については認識しているのだろう。だが雇用を増加させるための方法論が、どうもはっきりしない。法人減税で雇用の増加を“お願い”しなければならなかった理由も、そこにある。最後にもう1つ、この法人減税が国会を通過するかどうか。この点も数えれば、判りにくさは4つに増える。
≪22日の日経平均 = 下げ -24.05円≫
≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 世界の製造工場に変身中 = これまでは域内の原材料を加工し、輸出してきたASEAN。いま、その経済構造が大きく変わりつつある。繊維製品をはじめ自動車や電機部品の製造・組み立てなど、域外からの注文が急増し始めたからだ。いわば世界の製造工場に変身しつつあると言ってもいい。
たとえば日本、アメリカ、ヨーロッパ諸国の衣料品メーカーは、こぞって生産拠点をASEANに移している。このためベトナムでは、ことし1-9月間の繊維製品輸出が80億ドル、前年比21%の増加となった。カンボジアやインドネシアでも、同様の現象が起きている。これは中国で人件費が高騰しているために起こった現象だ。
ここ10年ほど、中国は世界の製造工場になってきた。先進国のメーカーは人件費の安い中国で生産することによって、コストの削減に成功した。ところが最近になって中国は人手不足の傾向が顕著に。賃金の上昇も目立っている。ジェトロの調査によると、ハノイの賃金水準は北京の4分の1だという。
そこで先進国のメーカーは、続々と生産拠点をASEANに移し替えることになった。繊維だけではなく、自動車や一般機械、電機、通信機器なども。言い換えると、いまASEAN は中国の後継者となりつつあるわけだ。その結果として域内諸国の生産技術が向上し、自動車や機械など付加価値の高い国内メーカーも急速に育ちつつある。
(続きは来週サタデー)
≪24日の日経平均 = 下げ -67.29円≫
【今週の日経平均予想 = 2勝2敗】
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たとえば日本、アメリカ、ヨーロッパ諸国の衣料品メーカーは、こぞって生産拠点をASEANに移している。このためベトナムでは、ことし1-9月間の繊維製品輸出が80億ドル、前年比21%の増加となった。カンボジアやインドネシアでも、同様の現象が起きている。これは中国で人件費が高騰しているために起こった現象だ。
ここ10年ほど、中国は世界の製造工場になってきた。先進国のメーカーは人件費の安い中国で生産することによって、コストの削減に成功した。ところが最近になって中国は人手不足の傾向が顕著に。賃金の上昇も目立っている。ジェトロの調査によると、ハノイの賃金水準は北京の4分の1だという。
そこで先進国のメーカーは、続々と生産拠点をASEANに移し替えることになった。繊維だけではなく、自動車や一般機械、電機、通信機器なども。言い換えると、いまASEAN は中国の後継者となりつつあるわけだ。その結果として域内諸国の生産技術が向上し、自動車や機械など付加価値の高い国内メーカーも急速に育ちつつある。
(続きは来週サタデー)
≪24日の日経平均 = 下げ -67.29円≫
【今週の日経平均予想 = 2勝2敗】
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第20章 スマートグリッドって、なんだろう? ⑬
政府は昨年末に作成した新成長戦略のなかで「日本型スマートグリッドを実現し、成長産業として振興を図る」と言っています。たとえば具体的には、2020年の太陽光発電量を2800万キロワットに増やすことを目標に掲げました。この発電量は現在の30倍、原子力発電所の25基分にも当たります。
この計画を達成するためには、家庭用の発電パネルも現在の30倍にしなければなりません。全国の家庭のおよそ5分の1 に当たる1000万世帯が屋根のうえにパネルを取り付ける必要があります。このために政府は09年から補助金を出したり、また余った電力を電力会社が買い取る制度を導入して、家庭用パネルの普及を促進することになったのです。
世界の太陽光発電量は、20年には1億キロワット、30年には2億5000万キロワットに増えると予測されています。日本の計画がうまく進行すると、20年には世界の4分の1を超えることになりますね。そのときには発電効率もずっとよくなり、電気自動車やスマートメーターも普及しているでしょう。初期のスマートグリッドは実現していると考えられます。
もちろん世界中の国がスマートグリッドの実現を目指していますから、大変な競争になることは間違いありません。どの国がいちばん安くて便利なスマートグリッドを作り上げるか。これが重要なポイントになるでしょう。なぜなら、いちばんいい形のスマートグリッドが世界の国々で採用されることになるからです。ニッポン、頑張れ! ですね。
(スマートグリッド は終わり)
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政府は昨年末に作成した新成長戦略のなかで「日本型スマートグリッドを実現し、成長産業として振興を図る」と言っています。たとえば具体的には、2020年の太陽光発電量を2800万キロワットに増やすことを目標に掲げました。この発電量は現在の30倍、原子力発電所の25基分にも当たります。
この計画を達成するためには、家庭用の発電パネルも現在の30倍にしなければなりません。全国の家庭のおよそ5分の1 に当たる1000万世帯が屋根のうえにパネルを取り付ける必要があります。このために政府は09年から補助金を出したり、また余った電力を電力会社が買い取る制度を導入して、家庭用パネルの普及を促進することになったのです。
世界の太陽光発電量は、20年には1億キロワット、30年には2億5000万キロワットに増えると予測されています。日本の計画がうまく進行すると、20年には世界の4分の1を超えることになりますね。そのときには発電効率もずっとよくなり、電気自動車やスマートメーターも普及しているでしょう。初期のスマートグリッドは実現していると考えられます。
もちろん世界中の国がスマートグリッドの実現を目指していますから、大変な競争になることは間違いありません。どの国がいちばん安くて便利なスマートグリッドを作り上げるか。これが重要なポイントになるでしょう。なぜなら、いちばんいい形のスマートグリッドが世界の国々で採用されることになるからです。ニッポン、頑張れ! ですね。
(スマートグリッド は終わり)
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ダウ平均は先週、小幅ながら4日間の連騰に。クリスマス休日前の23日終り値は1万1573ドルと、2年4か月ぶりの高値で引けた。イギリスのFT指数も、2年半ぶりの高値を回復している。ともにリーマン・ショック直前の水準まで戻したことになる。一方、日経平均は週間25円の下げ。リーマン前の水準より、まだ2700円も低い。
アメリカの場合は、株価の回復がうまく個人消費の増加に結びついている。これで景気の先行きが明るくなった。加えてオバマ大統領が共和党に対して思い切った譲歩を打ち出し、政局に安定感が生まれたことが大きい。これによって大幅減税法案が成立、さらに米露間の新戦略兵器削減条約の批准にも成功した。
ゴールドマン・サックスなど大手金融機関は、来年の株価は約15%上昇すると予測している。ウォール街は久しぶりに明るい新年を迎えられそうだ。日本の場合は、中国の株価下落傾向が思ったより影響していることは確か。そのうえ政局に対する心配も、このところ急速に増大している。兜町はあまり明るい新年を迎えるとは言いにくい。
来週は27日に、11月の企業向けサービス価格と住宅着工。28日には、11月の消費者物価、労働力調査、家計調査、鉱工業生産、商業販売統計が発表になる。そして30日は大納会。アメリカでは28日に、10月のS&Pケースシラー住宅価格指数とコンファレンスボードによる12月の消費者信頼感指数が発表される。
≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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アメリカの場合は、株価の回復がうまく個人消費の増加に結びついている。これで景気の先行きが明るくなった。加えてオバマ大統領が共和党に対して思い切った譲歩を打ち出し、政局に安定感が生まれたことが大きい。これによって大幅減税法案が成立、さらに米露間の新戦略兵器削減条約の批准にも成功した。
ゴールドマン・サックスなど大手金融機関は、来年の株価は約15%上昇すると予測している。ウォール街は久しぶりに明るい新年を迎えられそうだ。日本の場合は、中国の株価下落傾向が思ったより影響していることは確か。そのうえ政局に対する心配も、このところ急速に増大している。兜町はあまり明るい新年を迎えるとは言いにくい。
来週は27日に、11月の企業向けサービス価格と住宅着工。28日には、11月の消費者物価、労働力調査、家計調査、鉱工業生産、商業販売統計が発表になる。そして30日は大納会。アメリカでは28日に、10月のS&Pケースシラー住宅価格指数とコンファレンスボードによる12月の消費者信頼感指数が発表される。
≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 成長率は半分に減速する = 政府は22日の臨時閣議で、2011年度の経済見通しを了解した。それによると、来年度の実質成長率は1.5%になる見通し。今年度に見込まれる3.1%の半分に減速する。名目成長率も1.0%で、今年度の1.1%に及ばない。今年度はリーマン・ショックの影響から抜け出してやっとプラス成長になるが、来年度は再び下降気味の経済になるという予想だ。
その予想の内訳をみると、今年度に比べて増加する項目は、住宅投資が0.1%増から5.4%増に改善するだけ。あとは個人消費が1.5%増から0.6%増へ、設備投資が4.9%増から4.2%増へ、輸出は18.7%増から6.2%増へと、みな減速する。ほとんど期待や希望が持てない見通しとなっている。
このうち輸出の減退は、アメリカなど海外諸国の景気回復が遅れるとみているためで、これは仕方がない。だが個人消費の鈍化は、自動車や家電に対する補助政策の反動を見込んだもの。また設備投資の縮小は、政府自らが法人減税に効果がないことを自供した形だ。要するに、景気対策の欠如がこういう見通しとなって現れたと言っていい。
具体的に言えば、来年度予算に景気を押し上げる力が全くないことに問題がある。押し上げ効果のない項目にばかり予算を付け、効果のある項目を削ってしまった。さらに指摘すれば、名目成長率を1.0%としたのは、そうしないと税収が増えず予算が組めなかったからではないのか。とにかく政府自体が、こういう経済見通しを作成したことは情けない。
≪27日の日経平均 = 上げ +76.80円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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その予想の内訳をみると、今年度に比べて増加する項目は、住宅投資が0.1%増から5.4%増に改善するだけ。あとは個人消費が1.5%増から0.6%増へ、設備投資が4.9%増から4.2%増へ、輸出は18.7%増から6.2%増へと、みな減速する。ほとんど期待や希望が持てない見通しとなっている。
このうち輸出の減退は、アメリカなど海外諸国の景気回復が遅れるとみているためで、これは仕方がない。だが個人消費の鈍化は、自動車や家電に対する補助政策の反動を見込んだもの。また設備投資の縮小は、政府自らが法人減税に効果がないことを自供した形だ。要するに、景気対策の欠如がこういう見通しとなって現れたと言っていい。
具体的に言えば、来年度予算に景気を押し上げる力が全くないことに問題がある。押し上げ効果のない項目にばかり予算を付け、効果のある項目を削ってしまった。さらに指摘すれば、名目成長率を1.0%としたのは、そうしないと税収が増えず予算が組めなかったからではないのか。とにかく政府自体が、こういう経済見通しを作成したことは情けない。
≪27日の日経平均 = 上げ +76.80円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 本格的な引き締めを開始 = 中国人民銀行は26日から、金融機関の貸し出し・預金金利を0.25%引き上げた。10月20日に続く2度目の利上げである。これで貸し出し金利は年5.81%に、預金金利は2.75%になった。インフレと不動産バブルの抑制を目指して、中国はついに本格的な金融引き締めに踏み切ったと考えていい。
国家統計局の発表によると、11月の消費者物価は前年比5.1%の上昇だった。政府は物価上昇を3%以内に収める方針を打ち出しているが、7月からはずっとこの目標を超えている。特に食料品の価格は12%近くの上昇となっており、消費者の不満は大きい。不動産価格も平均では前年比7.7%の上昇だが、大都市やリゾート地の価格は20-30%も高騰しているという。
政府は備蓄食料を放出したり、便乗値上げを厳しく取り締まっている。また金融面でも、ことしは7回にわたって預金準備率を引き上げ、10月には金利の引き上げも断行した。それでも年末から旧正月を控えて、物価の上昇が止まらないのだろう。そこで2度目の利上げを実施せざるをえなかったものと思われる。
実はこの状況は、07年から08年にかけての動きによく似ている。当時もインフレ状態で、人民銀行は07年中に6回も金利を引き上げた。それでも年末の消費者物価は7%を超える上昇、貸し出し金利は7.47%に引き上げられている。インフレ状態は08年に入っても続いたが、リーマン・ショックで一気に終息した。このときの経験からみて、中国の利上げは来年も何回か実施されるという見方が強まっている。
(続きは明日)
≪28日の日経平均 = 下げ -63.36円≫
≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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国家統計局の発表によると、11月の消費者物価は前年比5.1%の上昇だった。政府は物価上昇を3%以内に収める方針を打ち出しているが、7月からはずっとこの目標を超えている。特に食料品の価格は12%近くの上昇となっており、消費者の不満は大きい。不動産価格も平均では前年比7.7%の上昇だが、大都市やリゾート地の価格は20-30%も高騰しているという。
政府は備蓄食料を放出したり、便乗値上げを厳しく取り締まっている。また金融面でも、ことしは7回にわたって預金準備率を引き上げ、10月には金利の引き上げも断行した。それでも年末から旧正月を控えて、物価の上昇が止まらないのだろう。そこで2度目の利上げを実施せざるをえなかったものと思われる。
実はこの状況は、07年から08年にかけての動きによく似ている。当時もインフレ状態で、人民銀行は07年中に6回も金利を引き上げた。それでも年末の消費者物価は7%を超える上昇、貸し出し金利は7.47%に引き上げられている。インフレ状態は08年に入っても続いたが、リーマン・ショックで一気に終息した。このときの経験からみて、中国の利上げは来年も何回か実施されるという見方が強まっている。
(続きは明日)
≪28日の日経平均 = 下げ -63.36円≫
≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 8%と10%の間の狭い道 = 人民銀行が2度目の利上げに踏み切ったことは、中国政府がインフレと不動産バブルの撲滅を最優先課題として位置づけたことを意味する。この状態を放置すると、国民の不満が爆発し、反政府運動に火がつく懸念があるためだ。じっさい、かつての天安門事件はインフレのさなかに発生している。
しかし金融引き締めを強化して行けば、こんどは景気の面に問題を生じる。景気が落ち込みすぎると、これまた国民の不満を爆発させかねない。ことし1-9月期の実質GDP成長率は10.6%だった。おそらく年間を通しての成長率も、2ケタを確保できそうだ。この成長率をどこまで落としても大丈夫かが、次の重大な問題点になる。
中国政府は、その下限を8%と考えているようだ。仮に8%を割り込むようだと、倒産や失業者が急増する危険性がある。ことし大学を卒業する学生の数は630万人。その就職先を確保することも、むずかしくなってしまう。元相場を切り上げれば物価の鎮静には役立つが、輸出が減少して景気の悪化を招けば元も子もなくなる。
金利の引き上げは成長率を少しずつ減速させ、物価の抑制には効果があるはずだ。しかし高金利が海外からの資金流入を増やして、インフレを加速させる懸念もないことはない。成長率を8%近くまで下げて、物価を引き下げる。これが中国政府の狙いだが、その道はかなり険しい。8%と10%の間に限られた狭い道である。
≪29日の日経平均 = 上げ +51.91円≫
≪30日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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しかし金融引き締めを強化して行けば、こんどは景気の面に問題を生じる。景気が落ち込みすぎると、これまた国民の不満を爆発させかねない。ことし1-9月期の実質GDP成長率は10.6%だった。おそらく年間を通しての成長率も、2ケタを確保できそうだ。この成長率をどこまで落としても大丈夫かが、次の重大な問題点になる。
中国政府は、その下限を8%と考えているようだ。仮に8%を割り込むようだと、倒産や失業者が急増する危険性がある。ことし大学を卒業する学生の数は630万人。その就職先を確保することも、むずかしくなってしまう。元相場を切り上げれば物価の鎮静には役立つが、輸出が減少して景気の悪化を招けば元も子もなくなる。
金利の引き上げは成長率を少しずつ減速させ、物価の抑制には効果があるはずだ。しかし高金利が海外からの資金流入を増やして、インフレを加速させる懸念もないことはない。成長率を8%近くまで下げて、物価を引き下げる。これが中国政府の狙いだが、その道はかなり険しい。8%と10%の間に限られた狭い道である。
≪29日の日経平均 = 上げ +51.91円≫
≪30日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 6つ以上の正解なら合格です = 年末年始のお休みに、あなたの経済予測能力を試してみてください。10問のうち6問以上が正解なら合格でしょう。
次の経済指標は3月31日現在で、どうなっているでしょうか。❍か☓かで答えてください。
1)日経平均は1万1000円を超えている。
2)円の対ドル相場は85円より安くなっている。
3)2月の完全失業率は4%台に下がっている。
4)2010年の実質成長率は3%台に乗せた。
5)11年度予算が成立している。
6)アメリカの10年の実質成長率は3%台になった。
7)アメリカの2月の完全失業率は9.6%以下になった。
8)中国の10年の実質成長率は10%以上だった。
9)中国の2月の消費者物価上昇率は5%未満に下がった。
10)中国の人民元の対ドル相場は6.6元より元高である。
≪30日の日経平均 = 下げ -115.62円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝1敗】
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次の経済指標は3月31日現在で、どうなっているでしょうか。❍か☓かで答えてください。
1)日経平均は1万1000円を超えている。
2)円の対ドル相場は85円より安くなっている。
3)2月の完全失業率は4%台に下がっている。
4)2010年の実質成長率は3%台に乗せた。
5)11年度予算が成立している。
6)アメリカの10年の実質成長率は3%台になった。
7)アメリカの2月の完全失業率は9.6%以下になった。
8)中国の10年の実質成長率は10%以上だった。
9)中国の2月の消費者物価上昇率は5%未満に下がった。
10)中国の人民元の対ドル相場は6.6元より元高である。
≪30日の日経平均 = 下げ -115.62円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝1敗】
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