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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
「物価高を上回る所得増」は イバラの道
2024-02-01-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 岸田首相の公約は達成できるのか = 岸田首相は30日の施政方針演説で「ことし、物価高を上回る所得を実現して行きます」と公約した。春闘での賃上げ、6月に予定する所得税・住民税の減税、それに物価の沈静に賭けた約束だと言える。また岸田首相は「賃金の上がることが当たり前だという前向きな意識を、社会全体に定着させてまいります」とも力説した。たいへん結構な政治目標である。だが、その実現はかなり難しいことも確かなようだ。

昨年の春闘では、平均3.6%の賃上げが実現した。岸田首相は「ことしはそれ以上の賃上げ」を強く期待しており、民間の予測も3.85%という高い数字を出している。また政府は6月に、1世帯当たり4万円の所得税・住民税の減税を実施する方針。さらに物価も最近は沈静化の動きをみせている。したがって、首相の公約は達成されそうにみえないこともない。

だが、その道は険しい。まず春闘の数字は、主として大企業の結果しか表していない。中小企業や零細企業で働く約7割の雇用者が、もっと低い賃上げ率になることは避けられない。また非正規雇用者を多く抱えるサービス業は、賃上げ分を価格に転嫁しないとやって行かれない。すると物価が押し上げられてしまう。

さらに岸田首相は、医療や福祉の分野で働く人の公的賃上げについても触れたが、これらの雇用者に対する賃上げ率は明らかに物価上昇率を下回っている。それに4000万人も受給している年金は、実質減少となった。岸田首相の任期は9月で切れるが、そのときには「年内に物価高を上回る所得」が実現できそうかどうか、見通しが付くだろう。

        ≪31日の日経平均 = 上げ +220.85円≫

        ≪1日の日経平均は? 予想 = 下げ

 
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問題は 非正規雇用者の賃上げ率
2024-02-02-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 人手不足で上がりそうだが・・・ = 総務省は30日、昨年12月の労働力調査を発表した。それによると、就業者数は6754万人で前年比38万人の増加。これで増加は17か月間も続いている。コロナ規制の解除で仕事が増え、人手不足で賃金が上昇した結果だろう。失業者は156万人で、前年比2万人の減少。完全失業率は2.4%で、前月より0.1ポイント低下した。雇用面からみた経済の状態は、まずまず順調だと言っていい。

雇用の変化を業種別にみると、最も雇用が増えたのは製造業で前年比28万人の増加。次いで宿泊・飲食サービス業が21万人、情報・通信業が19万人など。製造業は半導体など部品不足が解消、また宿泊・飲食サービス業はコロナ規制の解除で経済が正常化したことが大きい。一方、雇用が減少したのは金融・保険の24万人減、卸・小売り業が3万人の減少だった。                     

雇用の状態をみると、正規の職員・従業員は3592万人。前年より21万人増えた。ところが女性が24万人増加したのに対し、男性は3万人減少した。これはどうしてだろう。一方。非正規職員・従業員は2173万人で、前年比39万人の増加。非正規雇用者の増大傾向は、いぜんとして続いている。なかでもバイトが23万人も増加した。

大企業のことしの賃上げ率は、昨年を上回りそうである。そこで全体として賃上げ率が物価上昇率を上回るためには、中小企業やサービス業の賃上げ率が重要になってくる。その賃上げが十分でないと、経済の好循環は生じない。ところが、その賃上げが大きすぎると、中小企業やサービス業は値上げをしなければやって行かれない。すると物価が上がり、好循環は現われにくくなってしまう。そこのところが難しい。

        ≪1日の日経平均 = 下げ -275.25円≫

        ≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ


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大型ビルに 「耐震化マーク」を!
2024-02-03-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 災害時の人的被害を減らすために = 能登半島地震から1か月。被害の大きさは、想定以上に大きかった。テレビでは痛ましい映像がたくさん流れたが、なかでもコンクリート製のビルが横倒しになった画面にはびっくり。こうしたなか日経新聞は12月31日付けの朝刊で「ビル倒壊 首都圏もリスク」という記事を載せた。たしかに首都直下型地震が起これば、いくつものビルがあのように横倒しとなりかねない。

ただし、この記事はとても分かりにくい。申し訳ないが、悪い原稿の見本のような記事だった。たとえば見出しからみると「首都圏の耐震不足が1100棟」と受け取れるが、記事を読んでみると1100棟はは全国の数字。それでも大型ビルの耐震化が遅れており、その進捗が急がれることは理解できる。記事では「旧耐震基準で建てられた全国の商業ビルなど約1万1000棟のうち約1100棟が、震度6強以上で倒壊や崩落の危険性がある」という国土交通省の集計を紹介した。

首都直下型地震は、今後30年以内に70%程度のの確率で起こると予測されている。南海トラフ地震も、40年以内に約70%の確率だ。だから首都圏や関西圏も、ビルの耐震化は急がなければならない。しかし実際問題として、古いビルの耐震化には巨額のカネがかかるから、ここ数年のうちに完了するというわけにはいかないだろう。そこで・・・。

大地震が発生したとき、街を歩いている人はどのビルに逃げ込んだらいいのか。その選択を間違えると、大変なことになる。そこで、たとえば5階建て以上で安心なビルには「耐震マーク」を付けたらどうだろう。目立つ場所に目立つマークを付けるようにすれば、人々はどのビルが安全かを自然に覚えてしまう。費用も掛からないし、耐震化の促進にも役立つのではないか。

        ≪2日の日経平均 = 上げ +146.56円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     

   
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今週のポイント
2024-02-05-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ それでも上げるニューヨーク株式 = ダウ平均は先週545ドルの値上がり。終り値は3万8654ドルで、またまた史上最高値を更新した。4週間の連騰となったが、この間の上げ幅は1200ドル弱。比較的ゆっくりと上げている。水曜日にはFRBが金融政策の現状維持を決定。パウエル議長の「2%の物価目標達成に向け、より強力な自信を得るまで利下げは適切でない」という発言に敬意を表して下げた。しかし金曜日の想像をはるかに上回る雇用者の増加に対しては、むしろ景気の堅調さを評価して上げている。

日経平均は先週407円の値上がり。終り値では3万6000円台を維持している。1月は2800円を超える値上がりとなったため、やや買い疲れの様子が見えなくもない。外国人投資家は年初の4週間で1兆8909億円を買い越した。その後も資金の流入は続いているが、規模は縮小している模様。特に中国関連株は売られているようだ。

アメリカでは巨大IT5社がそろって好決算を発表するなど、景気の堅調さが再確認されている。このため市場ではFRBによる利下げが遠のく心配よりも、経済の軟着陸への期待の方が大きくなりつつあるようだ。ただ一部の地方銀行で不良債権問題が浮上してきた。これが金融不安にまで発展するかどうか、慎重に見守る必要がある。

今週は6日に、12月の毎月勤労統計、家計調査。7日に、12月の景気動向指数。8日に、1月の景気ウオッチャー調査。アメリカでは7日に、12月の貿易統計。また中国が8日に、1月の消費者物価と生産者物価を発表する。

        ≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ
  

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動かない 日米の中央銀行
2024-02-06-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ その政策理念は全く異なる = FRBは1月30-31日に開いたFOMC(公開市場委員会)で、政策金利の現状維持を決めた。パウエル議長は記者会見で「物価が持続的に2%に向かうと自信を持てる証拠がもっと必要だ」「次回3月の会合までに確信できるレベルに達する可能性は低い」と説明している。要するに物価の下がり方がまだ不十分、3月になっても物価は十分に下がらないだろうと予測しているわけだ。逆に言えば「物価が十分に下がれば、利下げする」ということになる。

日銀は1月22-23日に政策決定会合を開き、現在の大規模緩和政策の維持を決めた。植田総裁は記者会見で「政策転換の前提となる2%の物価安定目標についての確度が少しずつ高まっている」「出口についての議論を本格化させて行くことが必要だ」などと説明した。FRBも日銀も現状維持、動かなかった。だが、その姿勢は全く異なっている。日銀の場合は「何がどうなれば、マイナス金利から離脱する」かを明確にしていないからだ。

ニューヨーク株式市場はFRBの決定を受けて、その日のダウ平均は317ドルの下落となった。しかしすぐに反発し、史上最高値を更新している。FRBの説明を聞いて利下げの時期は遠のいたが、経済の軟着陸は期待できると考えたからだろう。これに対して、日銀の説明はよく判らない。たとえば「物価が上がったら利上げ」は、理論的にもあり得ない。では物価が2%まで下がったら利上げするのか。植田総裁の説明からは、そうは読み取れない。

要するにFRBの目指すところは鮮明だが、日銀は何を目標にしているのか判らない。このため日本の銀行はあてずっぽうに先を読み、定期預金の金利を引き上げ始めた。預金が流出しては困るので、この動きは急速に多くの銀行に広がる可能性がある。もし3月にマイナス金利を解除することになると、日銀は民間の動きに追随する形となる。もし解除が4月以降になると、アメリカやヨーロッパが利下げをする最中に、日本だけが利上げする形になりかねない。

        ≪6日の日経平均 = 下げ -193.50円≫

        ≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ


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“経済の好循環”には ほど遠い (上)
2024-02-08-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 昨年の実質給与はマイナス2.5% = 厚生労働省は6日、昨年12月と23年の毎月勤労統計を発表した。まず12月の1人当たり現金給与総額は57万3313円で、前年同月比1.0%の増加だった。しかし物価が上昇したため、実質値では前年比1.9%の減少。これで実質給与のマイナスは、実に21か月連続となった。なお正社員の現金給与総額は79万3207円で、前年比1.4%の増加。パートは11万7784円で、2.5%の増加だった。

この結果、23年の1人当たり現金給与総額は月平均32万9859円、前年比1.2%の増加となった。しかし物価が3.8%上昇したため、実質値は2.5%の減少。22年の1.0%減少よりもマイナス幅が拡大している。なお正社員の現金給与総額は43万6849円で前年比1.8%の増加、パートは10万4570円で2.4%の増加だった。人手不足を反映して、パートの伸び率が正社員よりも高くなった。

物価高を上回る賃上げ率を実現する。これによって勤労者の実質所得がプラスとなり、消費が拡大。企業の利益が増えて、また大幅な賃上げ--岸田首相が待望する“経済の好循環”である。こうした政府の呼びかけもあって、昨年の春闘による賃上げ率は3.60%にまで上昇した。しかし、これは大企業が対象の数字。中堅・中小企業まで含めると、毎勤統計のように1.2%の増加に低下してしまう。さらにパート労働者や年金受給者まで含めると、所得の増加率はどんどん低くなる。

総務省が同日発表した家計調査によると、2人以上世帯の23年の消費支出は月平均24万7322円。前年比では名目で1.3%の増加、実質で2.4%の減少だった。物価の上昇で名目値は増加せざるをえなかったが、実質値は下がって生活水準の低下を示している。これでは“経済の好循環”どころか“悪循環”だ。では24年の見通しは、どうだろうか。

                    (続きは明日)

        ≪7日の日経平均 = 下げ -40.74円≫

        ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ

 
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“経済の好循環”には ほど遠い (下)
2024-02-09-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 可能性はゼロではないが = ことし“経済の好循環”が実現する可能性はあるのだろうか。そのためには所得が大幅に増加し、物価が安定しなければならない。まず賃上げはどうなるのか。岸田首相は「昨年を上回る賃上げを」と経済界にハッパをかけている。そこで、ことしの春闘では昨年の3.6%を上回る4%の賃上げが達成されたと仮定しよう。すると、パート労働者や年金生活者までを含めた全体の所得増加率は2%程度になるだろう。

一方、物価の見通しはどうか。24年度の物価について、政府は2.5%の上昇、日銀は2.8%の上昇と予測している。これだと全体の実質所得はプラスにならない。しかも物価は、もっと上がる可能性の方が大きい。中東情勢の緊迫でスエズ運河を通る船舶が急減、海上運賃の上昇がこれから物価に跳ね返る。原油などのエネルギー価格も上がるかもしれない。

大企業の賃上げ率が4%になり、中堅・中小企業の賃上げ率も2%を超えれば、全体の賃上げ率は2.5%程度に引き上げられる。だが多くの中堅・中小企業は、賃上げ分をそっくり価格に転嫁させなければやって行けない。すると物価はこの面からも、上昇圧力を受けることになる。こうみてくると、‟経済の好循環”と口で言うのは簡単だが、その実現は容易ではない。

‟好循環”を達成するための一つの方法は、物価を徹底的に抑え込むこと。たとえばガソリンや電気・ガスに対する補助金は増やして継続する。また2%以上の賃上げを実施した中堅・中小企業に対しては、かなり減税する。そして輸入物価を上昇させている円安を修正、1ドル=110円程度の相場を目指す。しかし政府・日銀に、そこまでやる勇気はない。したがって‟好循環”の可能性はゼロではないが、きわめて難しいということになる。

        ≪8日の日経平均 = 上げ +743.36円≫

        ≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ


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トランプ再登板の 恐怖
2024-02-10-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 世界的に異次元の大変化が = ≪すべての輸入品に10%の関税を上乗せする≫ ≪中国製品には60%以上の関税をかける≫ ≪NATO(北大西洋条約機構)からの脱退を目指す≫ ≪ヨーロッパの安全保障には責任を持たない≫ ≪温暖化防止のためのパリ協定から離脱する≫ ≪油田開発に対する規制を撤廃する≫ ≪ドル安を推進、パウエルFRB議長は再指名しない≫ ≪移民の流入を厳しく規制する≫ ≪日本製鉄のUSスチール買収は絶対にさせない≫・・・。

アメリカの大統領選挙戦は、まだ始まったばかり。それでもトランプ前大統領は、これだけのことを記者会見やテレビ番組で明らかにした。11月の投票日までには、まだまだ驚くべき公約が飛び出してくるに違いない。もちろんトランプ氏が返り咲いたとしても、こうした口約束がすべて実行されるとは限らない。しかし話が半分になったとしても、アメリカだけではなく世界を大きく変える力がありそうだ。

トランプ氏が共和党の大統領候補になることは、まず間違いない。一方の民主党もバイデン大統領に絞られているから、結局はバイデン対トランプの一騎打ちになる。そして現状では、トランプ氏の方が優勢だ。だからと言って、まだ勝敗の予測ができる状態ではない。しかしトランプ氏の勝利、再登板も十分にありうると考えておいた方がいい。

一例を挙げてみよう。トランプ氏は「ヨーロッパの安全保障に責任を持たない」と言っている。いまも共和党議員に「ウクライナ支援の予算を通過させない」よう指令を出していると推測されている。では台湾や朝鮮半島の有事の場合は、どうなるのだろう。またドル安を指向しているから、いまのドル高・円安にどう対応するのか。とにかく世界の政治・外交・経済の面で、驚くべき変化を生じる可能性がある。

        ≪9日の日経平均 = 上げ +34.14円≫
     
        【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】    


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今週のポイント
2024-02-12-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 潮目が変わってきたNY市場 = ダウ平均は先週17ドルの小幅な値上がり。それでも5週連続の上昇で、木曜日には3万8726ドルの史上最高値を付けた。SP500も5000の大台に乗せている。巨大IT5社が10-12月期の決算でそろって増益に。また1月の雇用統計で非農雇用者の増加数が35万3000人と、事前予測の2倍に達した。こうした景気の予想外な堅調ぶりに、市場は‟軟着陸”への期待を高めている。ただ最高値を更新し続けているために、利益確定売りも目立って多くなった。

日経平均は先週739円の値上がり。終り値は3万6897円だったが、一時は3万7000円台に乗せた。ただ値を上げた最大の要因は、内田日銀副総裁の木曜日の講演。マイナス金利を解除したあとも「金融緩和を継続する」という発言で、日経平均は743円も上げ、円相場は149円台に下落した。市場は3-4月のマイナス金利離脱と年末0.25%の金利水準を予想していたが、これを打ち消した形。ただ、なぜ急いで打ち消す必要があったかはよく判らない。

ニューヨーク市場では、景気にとってのマイナス要因も現れ始めた。たとえば雇用情勢が強すぎて、3-4月の利下げが困難になったこと。またIT業界を中心に人員削減が始まったこと、さらにNYCB(ニューヨーク・コミュニテイー・バンコープ)など地銀の経営不振が表面化したことなど。どうも潮目が変わってきたように思われる。

今週は13日に、1月の企業物価。15日に、10-12月期のGDP速報。16日に、12月の第3次産業活動指数。アメリカでは13日に、1月の消費者物価。15日に、1月の小売り売上高、工業生産、2月のNAHB住宅市場指数。16日に、1月の生産者物価、住宅着工戸数、2月のミシガン大学・消費者信頼感指数が発表される。

        ≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ

 
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チグハグだった 日銀の説明
2024-02-14-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ なぜ利上げの可能性まで否定したのか = 日銀副総裁の異常な発言が、市場を驚かせた。内田副総裁は先週8日、奈良県での講演で「 マイナス金利政策を解除したあと、どんどん利上げしてゆくような道筋は考えにくい」と言明。市場はこの発言を好感、その日の日経平均は700円以上も上昇した。しかし副総裁がこんな重要な発表をするのは、きわめて珍しい。しかも翌9日には、植田総裁が国会で全く同じ趣旨の発言をしている。なんだか、おかしい。

市場では「日銀は3月か4月にマイナス金利政策を解除する。その後も短期の政策金利を0.25%まで引き上げる」という見方が大勢を占めていた。もし4月までに解除しないと、アメリカが利下げを始めるかもしれない。そうなると、日本が逆行して利上げはしにくくなるからだ。内田副総裁の発言も、この点は是認した形となっている。

ところが副総裁の発言は、その後の利上げについては否定的だった。副総裁はマイナス金利からの離脱に伴い「短期の政策金利は0.1%に上昇するが、利上げはそこで終わり」と述べている。市場が「夏ごろまでに0.25%、さらに年末に向けて金利は上がる」と読んでいるのとは大違いだ。しかし、なぜ日銀は慌てた格好で利上げの可能性を、否定しなければならなかったのだろう。その理由が、どうもよく判らない。永田町あたりから、何か聞こえてきたのだろうか。

市場の反応も、よく判らない。マイナス金利の解除は、短期金利の上昇を意味する。円高になるかもしれない。金融株などを除けば、株式全般にとってはマイナス材料だろう。だが内田副総裁の発言はこの点を飛び越して、その後の緩和政策持続を強調した。だから株式市場は大歓迎したのだが、早とちりのようにも思われる。チグハグ感の強い日銀と市場の対話だった。

        ≪13日の日経平均 = 上げ +1066.55円≫

        ≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ

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仮面を脱ぐ 外国人の就労制度 (上)
2024-02-15-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ ようやく‟人材確保”を前面に = 政府は先週9日の関係閣僚会議で、外国人技能実習制度に代わる新制度「育成就労制度」の創設を決めた。現行の技能実習制度は「発展途上国に技術を伝える国際貢献」を目的に、1993年に発足。昨年10月末時点で41万2000人が来日している。しかし実態は技術の移転ではなく、劣悪な環境で単純労働を強いられるケースが続出。22年には実習生9000人が失踪している。このため国際貢献といった仮面を脱ぎ捨て、本来の目的である「労働力不足の補充」を前面に打ち出すことになった。

政府は次の通常国会に、必要な関連法案を提出する方針。内容としては、まず転職を認めない期間を現行の3年から1-2年に短縮する。現行法では、過酷な労働を強いられても3年間は転職できない。だから失踪が増える。政府は1年への短縮を主張したが、自民党が「大都市へ集中してしまう」という理由から反対。結局は1-2年に落ち着いた。だが大都市への集中は、転職を認めない期間と関係するのかどうか。なんとなく、すっきりしない。

もう1つは転職の場合、非営利の監理団体や公共職業安定所だけが関与する規定。これは悪質ブローカーの介入を防ぐためで、必要な措置に違いない。しかし多くの地域にたくさんある監理団体がさらの仕事を増やし、お役人の天下り先になるのは困る。と言って、外国人労働者の不満が伝わらないようでも困る。どんな団体にするのかは、国会できっちり議論してもらいたい。

また3年間働いて一定の技術を取得すると、試験を受けて特定技能1号の資格が取れるようになる。さらにその先、特定技能2号の資格が取れれば、日本に永住したり、家族を呼び寄せることもできる。こうして「日本は行って働きたい国」だと、アジアの若者たちに考えてもらうようにしたい。政府が姿勢を変えたのは一歩前進だが、実際にどこまで効果があるかはやってみなければ判らないというのが本当のところだろう。

                        (続きは明日)

        ≪14日の日経平均 = 下げ -260.65円≫

        ≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ

    
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仮面を脱ぐ 外国人の就労制度 (下)
2024-02-16-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 使用者側の意識改革が最も重要 = 日本の人手不足は、今後もずっと続く。総務省の推計によると、30年の労働力人口は5880万人に。20年に比べると、524万人も減ってしまう。その不足を補う方法は女性や高齢者の活用、ロボットなど機械化の推進、それに外国人の招聘しかない。このうち女性と高齢者の活用は、しだいに限界に近付く。機械化には時間がかかる。だから本命は、やはり外国人の労働力だ。

厚生労働省の集計によると、昨年10月末時点で外国人労働者の数は204万8675人。前年比で12.4%も増加した。国別にみると、ベトナム人が51万8000人でトップ。次いで中国人、フィリピン人の順となっている。また働いている業種をみると、製造業が55万2000人。次いでサービス業、卸・小売り業の順。働いている事業所は31万8700か所にのぼるが、その6割以上が従業員30人未満の小規模事業所だった。

人手不足に悩むのは、日本だけではない。オーストラリアや韓国も深刻で、両国とも外国人労働者の受け入れ強化策を打ち出している。また中国も長期的には労働力が不足し、海外で働く人は減るだろうと予測されている。したがって若い労働力は取り合いに。日本は賃金の伸び悩みと円安で、魅力が薄れている。そうしたなかで、新しい「育成就労制度」がスタートすることになった。

この新しい制度が功を奏して、若い外国人がどんどん日本にやって来るかどうか。それは予測できない。若い人たちが「技能の習得が目標ではなくなったこと」に、どんな反応をみせるのか。新しい制度を作っても、実態が変わらなければ意味がない。結局は若い外国人を雇う日本人の使用者が、彼らに親しみを持ち、家族の一員のように接することができるかどうか。それによって、日本が‟選ばれる国”になるかどうかが決まってくるだろう。

        ≪15日の日経平均 = 上げ +454.62円≫

        ≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ


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「ギョウザ・ラーメン日本一」 への疑問
2024-02-17-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 家計調査の信ぴょう性にかかわる大問題 = ギョウザの購入額で、浜松市が3年ぶりに日本一の座を奪還。ラーメンなど中華そばは、山形市が3年連続で首位を確保。--こんなニュースが新聞やテレビで大々的に報じられた。市長さんまで登場してのお祭り騒ぎ、悔し涙を見せる市民たち。毎年2月に現われる光景だが、だんだん騒ぎ方が派手になってきた。多くの人には「ほほえましいニュース」だと受け取られている。しかし――。

総務省は毎年2月に、前年の家計調査を発表する。この調査は全国168の市町村を対象に、約9000世帯の家計を調べる大掛かりなもの。家計の収入や貯蓄、支出動向が詳しく集計される重要な統計だ。これによってギョウザやラーメンをはじめ、数多くの商品が年間どのくらい売れたかも判る。これを見て各所で、お祭り騒ぎや残念会が展開されるわけだ。

だが大きな疑問がある。たとえば浜松市と山形市では、96世帯が抽出調査の対象になっている。これらの世帯がギョウザやラーメンをたくさん買えば、その都市の購入額は増大する。これらの調査対象世帯が、悪意で購入記録を改ざんすることはないだろう。しかし自分たちの購入額が「おらが町を日本一にするかどうか」は当然知っているだろう。そして努力して、購入額を増やすことは十分に考えられる。これが度を越せば、家計調査の意味はなくなる。

地域起こしのために、果物などの特産品についても「日本一の座」を争おうと考える都市が続出しているという。こんな傾向が広がれば、家計調査の信ぴょう性は地に堕ちる。総務省は現状を黙視していていいのだろうか。またテレビや新聞は、なぜこの問題を取り上げないのだろうか。理由を聞きたいものである。

        ≪16日の日経平均 = 上げ +329.30円 ≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】     


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今週のポイント
2024-02-19-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日経平均は史上最高値の更新へ = ダウ平均は先週44ドルの小幅な値下がり。月曜日にはまた史上最高値を更新したが、その後は上下動しながら下げた。先々週は18ドルの値上がりだったから、2週連続できわめて小幅な値動きにとどまっている。これは1月の消費者物価が予想以上に上昇、小売り売上高は予想以上に伸び悩むなど、景気にとってはプラスとマイナスの材料が同時に飛び出したこと。それに最高値の更新が続き、さすがに利益確定売りが出やすくなったためだろう。

日経平均は先週1590円の大幅な値上がり。3週間の連騰で、この間の上げ幅は2700円を超えた。終り値は3万8487円、1989年12月に記録した史上最高値にあと429円まで近づいた。ニューヨーク市場の流れを受けて半導体・IT関連株、円安で輸出関連株、インバウンドの回復で内需株が買われている。中国からの資金流入も、全体を押し上げた。

ニューヨーク市場は、新しい材料待ち。大きくは動けない。一方、日経平均はここまできたら、何が何でも最高値の更新へ向かうだろう。企業の3月決算予想は上方修正が続出しているから、さらに4万円の大台まで狙いに行くのか。それとも最高値を更新したあとは、一休みとなるのか。半導体・IT企業の景況と円相場の動きが、カギを握っているように思われる。

今週は19日に、12月の機械受注。21日に、1月の貿易統計と訪日外国人客数。アメリカでは22日に、1月の中古住宅販売、2月のISM製造業景況指数が発表される。

         ≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ

 
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株高の起爆剤は MAG7
2024-02-20-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ その時価総額は日英加の総合計に匹敵 = ニューヨーク市場の株価が史上最高値を更新し続けている。ダウ平均は4万ドルを狙う勢いだし、銘柄数が最も多いSP500指数も5000を超えた。その起爆剤となっているのが、MAG7と呼ばれる大手IT7社。時価総額は昨年72%も増加、現在は12兆ドル(約1700兆円)にも達した。この金額は、日本・イギリス・カナダの株式市場に上場する全銘柄の時価総額に匹敵する。

つい最近までニューヨーク市場を席捲していたのは、GAFAMと呼ばれる大手IT5社だった。グーグル・アップル・フェースブック・アマゾン・マイクロソフトの5社である。そこへテスラとエヌピディアが加わったのがMAG7、意味はMAGNIFICENT(壮大な)7社。なにしろエヌピディアだけでも、その時価総額はトヨタの5倍。この壮大な7社がFRBの金融引き締めにもかかわらず、業績を伸ばし株価を上げてきた。そしてMAG7の株価が上がると、周辺の半導体関連銘柄も上昇。株価全体を大きく押し上げる効果を挙げている。

MAG7の影響は、東京市場にも波及している。TOPIX(東証株価指数)の昨年初からの上昇率は30%程度。このうち半導体関連10銘柄だけを取り出すと、上昇率は70%ときわめて高い。「ニューヨークでIT関連銘柄が高騰したのを受けて、東京市場でも半導体関連銘柄が先導して株価は上昇」--こんな解説記事には、何度もお目にかかった。

しかし株価が急上昇しているだけに、PER(株価収益率)も上昇した。SP500全体のPERが21倍なのに対して、MAG7のPERは33倍に上昇している。また7社に人気が集中する一極集中の現状は、不健全だという批判も強まってきた。さる有名投資家がMAG7を売り出したという話も伝わっている。もしMAG7の株価が急落し始めたら、現在の株価天国は消滅するに違いない。この際はMAG7の株価に注目!
 
        ≪20日の日経平均 = 下げ -106.77円≫

        ≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ


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GDP速報が提起した 問題点 (上)
2024-02-22-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 貧しくなった日本人の生活 = 内閣府は先週、昨年10-12月期と23年のGDP速報を発表した。それによると、昨年10-12月期のGDP実質成長率は年率換算でマイナス0.4%。民間の事前予測はプラスだったが、個人消費と公共支出の落ち込みが大きくマイナス成長となった。これでマイナス成長は2四半期連続。アメリカなら「景気後退に陥った」と判定される。ところが企業の業績は絶好調、株価は史上最高値に最接近。いったい、なぜだろう。

GDPを構成する項目をみると、個人消費は年率換算で1.0%の減少。企業の設備投資は0.3%の減少、住宅投資は4.0%の減少、政府の公共支出は2.8%の減少だった。輸出は11.0%も伸びたが、内需の縮小を埋め切れなかった。個人消費の減少は、コロナ後の消費回復が一巡したうえに、物価高の影響で消費者が節約志向に傾いたためだと思われる。

物価高の影響で、23年の名目GDPは591兆4820億円。前年比では5.7%も増加した。ところが、これをドル換算すると4兆2106億ドルに。ドイツのGDPを2500億ドルほど下回った。新聞やテレビは「ドイツに抜かれ、世界4位に後退」と大きく報道している。しかし、これは円の対ドル相場が異常に安くなっていることが原因だ。だから円相場が少し上がれば、すぐに3位に戻る。なにも仰々しく騒ぐことはない。

それよりも重要なのは、1人当たりGDPが減少し続けていること。00年にはG7(主要7か国)でトップだったが、22年には最下位。それどころかOECD(経済協力開発機構)38か国中、なんと21位にまで落ち込んだ。円安の影響だけでは、とても説明できない。1人当たりGDPは、その国の国民の平均的な生活水準を表わすと言ってもいい。だから重大なのである。GDP速報が提起した問題は、まだある。

                          (続きは明日)       

        ≪22日の日経平均 = 上げ +836.52円≫

        【今週の日経平均予想 = 2勝2敗】     


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GDP速報が提起した 問題点 (下)
2024-02-24-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 企業を向いた財政・金融政策 = 新聞各紙が「「日本のGDPが4位に転落」を大々的に報じた15日、その同じ紙面で「株価が3万8100円台に」の大見出しが踊っていた。GDPは昨年の話、株高は現在のニュースだから矛盾はないと説明できるかもしれない。だが昨年も株価は上昇していた。株高の原因は企業の業績が好調だったため。業績の好調は、主として円安と値上げが原因だった。

一方、円安と値上げで物価が高騰。これで家計は節約志向に傾き、消費支出が伸び悩んだ。10-12月期のGDP成長率をマイナスに落とし込んだ最大の原因である。少なくとも日銀のマイナス金利政策は過度の円安を招き、輸出企業の利益を大幅に増大させた。しかし円安は物価高を加速し、家計には大きな負担を背負わせた。

また政府は物価高に対して、各種の補助金を連発した。しかし結果的に公共支出はマイナスとなって、GDPの縮小要因となっている。財政政策も金融政策も企業には恩恵を及ぼしたが、多くの家計には負担をもたらした。そして1人当たりGDPは、どんどん順位を下げている。いま政府は自らが作ったその欠陥を、企業による大幅賃上げで修復しようとしているわけだ。

今後の成長見通しは、どうだろう。専門家の推測をまとめてみると、1-3月期は能登半島地震やダイハツの不正検査問題などがあってマイナス成長が続く公算。4-6月期には大幅賃上げによって、プラス成長に戻りそうだという。だが問題は大幅な賃上げが中小・零細企業にまで及ぶかどうか。その一方で物価高が収まらなければ、消費は伸びないだろう。それなのに日銀は、輸入物価を上昇させるマイナス金利政策を止められない。不思議である。    

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今週のポイント
2024-02-26-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ サクラ満開の日米株式市場 = ダウ平均は先週504ドルの値上がり。終り値は3万9132ドルで、またしても史上最高値を更新した。半導体大手のエヌビディアが11-1月期の決算を発表、純利益が前年比で8.7倍に増加。これを受けて、木曜日には半導体関連を中心に450ドル以上も値を上げたことが大きかった。このところ最高値の更新を続けているが、それでも年初来の上げ幅は1400ドルあまりと落ち着いた動き。ニューヨーク市場は花盛りだが、大騒ぎはない。

日経平均は先週611円の値上がり。終り値は3万9099円となり、とうとう34年2か月ぶりに史上最高値を更新した。ニューヨーク市場に引きずられて半導体関連銘柄が急騰、これが全体の株価を押し上げる原動力となっている。年初来の上げ幅は5639円、上昇率は17%に達した。ただTOPIXは、まだ最高値を8%ほど下回っている。

ニューヨーク市場は「怖いものなし」の雰囲気。景気にプラスの指標が出れば、素直に喜ぶ。マイナスの指標が出れば、利下げの公算が大きくなると考えるからだ。ダウは4万ドルを目指すだろう。一方、日経平均もまだPER(株価収益率)が16倍強にとどまっている。34年前のバブル期には60-70倍にも達していた。ここが最大の相違点だ。東京市場も花盛りだが、当時と違って花見の宴は見当たらない。

今週は26日に、1月の企業向けサービス価格。27日に、1月の消費者物価。29日に、1月の商業動態統計、鉱工業生産。1日に、1月の労働力調査、2月の消費動向調査、新車販売台数。アメリカでは26日に、1月の新築住宅販売。27日に、12月のFHFA住宅価格指数、2月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。28日に、10-12月期のGDP改定値。1日に、2月のISM製造業景況指数。また中国が29日に、2月の製造業と非製造業のPMIを発表する。

        ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ
   

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半導体世紀の 魔怪獣か
2024-02-27-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 世界中のカネを揺さぶったエヌビディア = 世界各国の株価が、一斉に上昇した。ダウ平均は連日のように史上最高値を更新して、ついに4万ドルを狙う勢い。日経平均は34年ぶりに史上最高値を更新、これまた4万円を目標にし始めた。ヨーロッパの株価も、たとえば代表的な指数のストックス600は2年ぶりに最高値を更新。さらに台湾の株価も高値を更新している。このところ下げていた上海総合指数でさえ、久しぶりに3000を回復した。

こうした世界同時株高のきっかけとなったのが、アメリカの半導体メーカーであるエヌビディア社の決算発表。先週21日に発表された23年2月-24年1月期の業績は、実に驚くべき内容だった。売上高は609億2200万ドル(約9兆1400億円)で、韓国のサムソンやアメリカのインテルを抜いて世界首位に。営業利益は329億7200万ドル(約5兆円)で、前年度の7.81倍に急増。これで世界各国の半導体関連銘柄に、買い注文が殺到した。

エヌビディアはカリフォルニア州に本社を置く、半導体メーカー。GPUと呼ばれる画像処理チップや人工知能向けチップの世界シェアは約8割。1993年に、LSIロジック社の出身者が中心となって設立した若い会社。現在の株価は790ドルほどだが、1年前は230ドル、5年前は44ドルだった。時価総額もいまや2兆ドル、アップル・マイクロソフト・サウジアラムコに次いで、世界第4位の巨大企業になった。

この半導体ブームは、いつまで続くのだろか。エヌビディア社は24年も増益を維持できると予想、人工知能はこれから発展期に入るから需要は衰えないとみる人も多い。しかしバイデン政権が半導体の中国向け輸出規制を強化したことは、需要の減退要因になる。またエヌビディアの株価は割高になっているから、近く反落する公算が強い。そのとき、こんどはエヌビディアが株安の先導役になる可能性がある。ウオール街では、いま論争が盛り上がってきた。

        ≪27日の日経平均 = 上げ +5.81円≫

        ≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ

   
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続伸か? 反落か? : 株価の行くえ (上)
2024-02-29-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 絶好調NY市場のアキレス腱 = 日米欧の株式市場が、そろって史上最高値を更新中。その動きを主導したのは、やはりニューヨーク市場だった。いまウオール街は“怖いものなし”の状態。というのも景気がいいことを示す指標が出れば、素直に喜ぶ。景気が悪い指標が出たら、FRBによる利下げが早まると歓迎する。ダウ平均は4万ドルに向けて、まっしぐらだ。しかし、そんな絶好調のニューヨーク市場にも死角はある。

ニューヨークの株価を押し上げた原動力は、半導体だ。その象徴は、驚異的な決算を発表したエヌビディア。株価が急騰した結果、市場では「投機的に過ぎる。バブルだ」という評価が強まっている。仮にエヌビディアの株価が急落したら、どうなるだろう。周辺の半導体関連銘柄も、一斉に売られるに違いない。つまり上昇時と同様に、エヌビディアが株価反落の先導役になる危険性もありうるわけだ。

景気の先行きについても、不安がないわけではない。たとえば金利の上昇で、クレジット・カード債務の返済率が急落している。アメリカはクレジット社会だから、その影響はかなり大きい。そのせいもあってか、1月の小売り売上高は前月比0.8%の減少。消費支出が失速する予兆ではないかという観測も広がった。仮に本当に景気が後退したら、市場も「利下げが近い」と言って喜んではいられないだろう。

もう1つ、一部の地方銀行に経営不安の影が差してきたことも心配だ。これも金利の上昇で、不良債権が顕在化してきたためである。いまの勢いからみると、ダウ平均が4万ドルを達成する可能性は十分にありそうだ。だが、その後は数々の死角を避けながら、さらに高みを目指して行けるのか。現段階では、残念ながらまだ予測不能である。

                    (続きは明日)    

        ≪28日の日経平均 = 下げ -31.49円≫

        ≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ

 
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