◇ 効果のない金融緩和策 = 日銀は30日、臨時の金融政策決定会合を開いて新たな金融緩和策を決めた。だが、その内容は全く迫力に欠けたもの。このため市場は、直ちに効果のない政策と判断。円相場は上昇に転じ、株価は大きく下げた。日銀の臆病すぎる姿勢は、円や景気にとってむしろ逆効果になるかもしれない。
超低金利の年0.1%で、市場に資金を供給する新型オペレーション。これまでは期間3か月で20兆円を供給してきた。それに今回は期間6か月で10兆円のオペを加える。これが新しい緩和策の内容だ。資金の供給が増えることによって金利水準が下がる。その結果は円が売られ、景気にも刺激を与えるというのが、日銀の狙いだ。
しかし期間10年の長期金利は、すでに年1.0%前後に下がっている。そこに資金供給を増やしても、金利が下がる余地はほとんどない。それも資金需要が強ければともかく、現在のように弱い状態では意味がない。結局は低い金利で銀行が借り入れ、国債の保有を増やすぐらいがオチではないのか。
たしかに日銀がとりうる選択肢は狭まっている。だが国債の買い取り量を増やすとか、いま0.1%の政策金利をゼロ~0.1%にまで引き下げるとか。方法はあったはずだが、そこまでは度胸がなかったということだろう。その結果は市場に見透かされ、自ら苦境を招いたというのが真相ではないか。
(続きは明日)
≪31日の日経平均 =下げ -325.20円≫
≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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超低金利の年0.1%で、市場に資金を供給する新型オペレーション。これまでは期間3か月で20兆円を供給してきた。それに今回は期間6か月で10兆円のオペを加える。これが新しい緩和策の内容だ。資金の供給が増えることによって金利水準が下がる。その結果は円が売られ、景気にも刺激を与えるというのが、日銀の狙いだ。
しかし期間10年の長期金利は、すでに年1.0%前後に下がっている。そこに資金供給を増やしても、金利が下がる余地はほとんどない。それも資金需要が強ければともかく、現在のように弱い状態では意味がない。結局は低い金利で銀行が借り入れ、国債の保有を増やすぐらいがオチではないのか。
たしかに日銀がとりうる選択肢は狭まっている。だが国債の買い取り量を増やすとか、いま0.1%の政策金利をゼロ~0.1%にまで引き下げるとか。方法はあったはずだが、そこまでは度胸がなかったということだろう。その結果は市場に見透かされ、自ら苦境を招いたというのが真相ではないか。
(続きは明日)
≪31日の日経平均 =下げ -325.20円≫
≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 勘違いの景気対策 = 政府も日銀と歩調を合わせて30日、新しい経済対策を決定した。ところが内容に迫力を欠く点でも、日銀と歩調を合わせてしまったようだ。そのうえ菅内閣は、どうも景気対策の意味を勘違いしているように思えてならない。日銀の金融緩和策と同様に、市場の反応はきびしい。
住宅エコポイント、住宅ローン優遇金利、家電エコポイントの延長。新卒枠を卒業後3年間に拡大、体験雇用や職場実習を3倍に。--景気対策と言うには、まことにお寒い内容だ。新成長戦略実現会議を設置するとか、場合によっては補正予算を組むなどとも付け加えているが、それは将来の話である。
財源は経済危機対応予備費の使い残し9200億円だけ。09年度の決算剰余金9000億円は温存してしまった。だから迫力はない。エコポイントはもう賞味期限が近づいている。新卒枠や体験雇用の問題は雇用支援であって、雇用を創出する政策ではない。これで景気がよくなるとは、だれも考えないだろう。
景気をよくするための政策と、不況の継続で困っている人を助ける政策とは違うものだ。いつも民主党は、この辺を混同しているように思われる。政党として、困窮者や弱者あるいは低所得層に対する支援を最優先すると宣言するのなら理解できる。そうしないで「景気をよくする」と主張するから、世間は混乱するのではないか。
(続きは明日)
≪1日の日経平均 = 上げ +102.96円≫
≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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住宅エコポイント、住宅ローン優遇金利、家電エコポイントの延長。新卒枠を卒業後3年間に拡大、体験雇用や職場実習を3倍に。--景気対策と言うには、まことにお寒い内容だ。新成長戦略実現会議を設置するとか、場合によっては補正予算を組むなどとも付け加えているが、それは将来の話である。
財源は経済危機対応予備費の使い残し9200億円だけ。09年度の決算剰余金9000億円は温存してしまった。だから迫力はない。エコポイントはもう賞味期限が近づいている。新卒枠や体験雇用の問題は雇用支援であって、雇用を創出する政策ではない。これで景気がよくなるとは、だれも考えないだろう。
景気をよくするための政策と、不況の継続で困っている人を助ける政策とは違うものだ。いつも民主党は、この辺を混同しているように思われる。政党として、困窮者や弱者あるいは低所得層に対する支援を最優先すると宣言するのなら理解できる。そうしないで「景気をよくする」と主張するから、世間は混乱するのではないか。
(続きは明日)
≪1日の日経平均 = 上げ +102.96円≫
≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 結局は財政赤字の増大? = 政府も日銀も、いちばん安易な政策しか打ち出せなかった。初めから力不足なことは歴然としており、すぐに追加の手段を迫られることになるだろう。たとえばアメリカは近々のうちに、金融緩和策と景気対策を発表する見込み。それで円高が進めば、また対応策が必要になる。
環境車エコポイントへの駆け込みと歴史的な猛暑の影響で、7-9月期のGDP成長率は改善する可能性が大きい。しかし、その2つの影響が消滅する10月以降の景気は悪化する。そういう事態に直面すると、さらに対策が必要になる。しかも対策の規模は、格段に大きくならざるをえない。
過去の自民党政府は、この繰り返しで財政赤字を増大させてきた。今回も「いつか来た道」になる心配は大きい。年末までに慌てて補正予算を組み、その結果は国債の増発と財政再建の先送り。こんなことが続けば、日本は遠からず沈没する。
与野党を問わず、政治家はもっと経済について勉強すべきだろう。景気の動きを正確に把握して、早め早めに対策を講じる。また景気を浮揚させる方策についても、きちんとした考え方を持ってほしい。たとえば就職を支援する政策は雇用支援であって、雇用を増大させ個人所得を増やす景気対策ではないことを、はっきり認識すべきだろう。
≪3日の日経平均 = 上げ +135.82円≫
≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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環境車エコポイントへの駆け込みと歴史的な猛暑の影響で、7-9月期のGDP成長率は改善する可能性が大きい。しかし、その2つの影響が消滅する10月以降の景気は悪化する。そういう事態に直面すると、さらに対策が必要になる。しかも対策の規模は、格段に大きくならざるをえない。
過去の自民党政府は、この繰り返しで財政赤字を増大させてきた。今回も「いつか来た道」になる心配は大きい。年末までに慌てて補正予算を組み、その結果は国債の増発と財政再建の先送り。こんなことが続けば、日本は遠からず沈没する。
与野党を問わず、政治家はもっと経済について勉強すべきだろう。景気の動きを正確に把握して、早め早めに対策を講じる。また景気を浮揚させる方策についても、きちんとした考え方を持ってほしい。たとえば就職を支援する政策は雇用支援であって、雇用を増大させ個人所得を増やす景気対策ではないことを、はっきり認識すべきだろう。
≪3日の日経平均 = 上げ +135.82円≫
≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 止まらない米価の下落 = コメの価格は過去20年間にわたって、ほぼ一貫して下落している。公設市場であるコメ価格センターの落札価格でみると、08年産米の価格は60キログラム当たり平均1万5159円だった。ピークだった93年産米に比べると、約3割も安い。
09年産米の価格も、値下がりを続けている。全農などが卸会社に販売する相対取引価格でみると、最初の取り引きが行なわれた09年9月から10年6月まで、価格は月を追って下落。この間の下落幅は5.6%に達した。この傾向は、10年産米についても持続しそうだ。
早場米の代表である宮崎産コシヒカリは、すでに刈り入れを終えた。その入札価格は60キログラム当たり1万4000円~1万4400円。昨年より1200円~1300円ほど安くなっている。ことしの作柄は全国的に「平年並み」となる見通し。予想収穫量は848万トン。予想需要量を40万トンも上回ることが予想されているためだ。
農林水産省は戸別補償制度の効果が現れて、収穫量がもっと減るのではと期待している。だが、その兆候はまだ確認できない。米価が予想以上に下落しても、戸別補償制度に参加した農家には補償金が支払われる。しかし補償金の額が予想以上に増大すると、こんどは政府が財源探しに苦しむことになる。
(続きは来週サタデー)
≪3日の日経平均 = 上げ +51.29円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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09年産米の価格も、値下がりを続けている。全農などが卸会社に販売する相対取引価格でみると、最初の取り引きが行なわれた09年9月から10年6月まで、価格は月を追って下落。この間の下落幅は5.6%に達した。この傾向は、10年産米についても持続しそうだ。
早場米の代表である宮崎産コシヒカリは、すでに刈り入れを終えた。その入札価格は60キログラム当たり1万4000円~1万4400円。昨年より1200円~1300円ほど安くなっている。ことしの作柄は全国的に「平年並み」となる見通し。予想収穫量は848万トン。予想需要量を40万トンも上回ることが予想されているためだ。
農林水産省は戸別補償制度の効果が現れて、収穫量がもっと減るのではと期待している。だが、その兆候はまだ確認できない。米価が予想以上に下落しても、戸別補償制度に参加した農家には補償金が支払われる。しかし補償金の額が予想以上に増大すると、こんどは政府が財源探しに苦しむことになる。
(続きは来週サタデー)
≪3日の日経平均 = 上げ +51.29円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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第19章 農業の問題って、なんだろう? ⑩
食料自給率が低いことは、環境問題にも大きなマイナスです。どうしてでしょうか。いま日本は食料の約6割までを、輸入に頼っていますね。その輸送には飛行機や船が使われ、大量のCO2を発生するからです。マイナスの大きさは、フード・マイレージという数字で表わすことができます。
フードは食べ物、マイレージは距離。たとえば10トンの小麦をアメリカから輸入すると、フード・マイレージは10トン×10300キロメートル=103000トンキロになります。同じ小麦を北海道から東京に運ぶ場合は10トン×830キロメートル=8300トンキロで済むわけです。
少し古い調査ですが、2001年の輸入食料について農林水産省が作った資料があります。それによると、結果は9002億トンキロ。韓国の3倍、フランスの9倍という大きさで、世界でも最大でした。当然のことですが、食料の自給率が高くなると、このフード・マイレージは小さくなります。
地球の環境を悪くしてまで輸入されている食料。それなのに、日本人が食料を大切にしているとは思えません。食べ物の約3割が、食べ残されて捨てられているのです。ここまでくると、それは農業問題というよりは、日本人の生活意識の問題です。みなさんも、食べ物を大切にする習慣を心掛けてください。
(続きは来週日曜日)
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食料自給率が低いことは、環境問題にも大きなマイナスです。どうしてでしょうか。いま日本は食料の約6割までを、輸入に頼っていますね。その輸送には飛行機や船が使われ、大量のCO2を発生するからです。マイナスの大きさは、フード・マイレージという数字で表わすことができます。
フードは食べ物、マイレージは距離。たとえば10トンの小麦をアメリカから輸入すると、フード・マイレージは10トン×10300キロメートル=103000トンキロになります。同じ小麦を北海道から東京に運ぶ場合は10トン×830キロメートル=8300トンキロで済むわけです。
少し古い調査ですが、2001年の輸入食料について農林水産省が作った資料があります。それによると、結果は9002億トンキロ。韓国の3倍、フランスの9倍という大きさで、世界でも最大でした。当然のことですが、食料の自給率が高くなると、このフード・マイレージは小さくなります。
地球の環境を悪くしてまで輸入されている食料。それなのに、日本人が食料を大切にしているとは思えません。食べ物の約3割が、食べ残されて捨てられているのです。ここまでくると、それは農業問題というよりは、日本人の生活意識の問題です。みなさんも、食べ物を大切にする習慣を心掛けてください。
(続きは来週日曜日)
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アメリカでは今週中に、オバマ大統領が追加の景気対策を発表するという観測が強まっている。中間所得層に対する減税と研究開発を軸とする企業減税。それにクリーン・エネルギーへの開発投資やインフラ整備の公共事業などが検討されている模様だ。規模は2000億ドルという見方もあるが、議会の反対を考慮してもっと小型になるかもしれない。
リーマン不況に対応するためオバマ大統領は昨年2月、総額8000億ドル(約67兆円)の景気対策法を成立させた。しかし、その効果も最近は出尽くし感が強く、景気の先行きを不安視する見方が広がっている。11月の中間選挙を控えて、オバマ大統領としてはこの追加対策で暗いムードを一掃したいところ。
先週のダウ平均は4週ぶりの上昇。雇用統計などが予想よりよかったことを好感して、週間では297ドル値上がりした。その根底には、追加景気対策への期待もあっただろう。対策が発表されたとき、市場がどんな反応を見せるか。それによって円相場の動きも変わってくる。日経平均は週間123円の値上がりだった。
今週は7日に、7月の景気動向調査。8日に、7月の機械受注。9日に、7-9月期の法人企業景気予測調査。10日には、4-6月期のGDP改定値と8月の企業物価が発表になる。ほかに7日にはユーロ財務相会議が開かれ、ギリシャに対する2次支援を承認する予定。また10日には、中国が8月の貿易統計を発表する。
≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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リーマン不況に対応するためオバマ大統領は昨年2月、総額8000億ドル(約67兆円)の景気対策法を成立させた。しかし、その効果も最近は出尽くし感が強く、景気の先行きを不安視する見方が広がっている。11月の中間選挙を控えて、オバマ大統領としてはこの追加対策で暗いムードを一掃したいところ。
先週のダウ平均は4週ぶりの上昇。雇用統計などが予想よりよかったことを好感して、週間では297ドル値上がりした。その根底には、追加景気対策への期待もあっただろう。対策が発表されたとき、市場がどんな反応を見せるか。それによって円相場の動きも変わってくる。日経平均は週間123円の値上がりだった。
今週は7日に、7月の景気動向調査。8日に、7月の機械受注。9日に、7-9月期の法人企業景気予測調査。10日には、4-6月期のGDP改定値と8月の企業物価が発表になる。ほかに7日にはユーロ財務相会議が開かれ、ギリシャに対する2次支援を承認する予定。また10日には、中国が8月の貿易統計を発表する。
≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 日本は駆け込み特需 = 新車の購入を促進するために、政府が導入した補助金制度。9月末の期限切れを前にして、いま自動車業界は駆け込み需要の消化に大童となっている。一方、すでに補助金政策を打ち切ったアメリカやヨーロッパ諸国では、その反動が出て新車の販売はガタ落ち。8月の販売実績は、くっきり明と暗に二分された。
日本自動車販売協会連合会の集計によると、軽自動車を含む8月の新車販売台数は42万5000台。前年同月比では37.7%の大幅な増加となった。これは補助金制度が9月で終了することから、消費者が慌てて動いたため。販売店の多くは、夏休みも返上して忙しく対応することとなった。
補助金制度の恩恵が大きかった登録車(660CC以上)は、21万1000台を売り上げた。前年比は46.7%増。また恩恵が小さかった軽自動車も前年比21.7%増と健闘した。13万4000台の販売実績は、8月としては過去最高である。登録車では、富士重工業、ホンダ、マツダ。軽自動車では、ホンダと富士重工業の伸びが大きかった。
新車の購入に補助金を出す制度は、昨年4月から始まった。この8月までの間に計695万台が売れたが、そのうち補助金の対象になったのは約340万台。政府は住宅や家電に対する補助金制度の延長は決めたが、自動車に対する補助金制度は延長しない方針。ただ取得税や重量税に関する減税は来年3月まで続ける。
(続きは明日)
≪6日の日経平均 = 上げ +187.19円≫
≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日本自動車販売協会連合会の集計によると、軽自動車を含む8月の新車販売台数は42万5000台。前年同月比では37.7%の大幅な増加となった。これは補助金制度が9月で終了することから、消費者が慌てて動いたため。販売店の多くは、夏休みも返上して忙しく対応することとなった。
補助金制度の恩恵が大きかった登録車(660CC以上)は、21万1000台を売り上げた。前年比は46.7%増。また恩恵が小さかった軽自動車も前年比21.7%増と健闘した。13万4000台の販売実績は、8月としては過去最高である。登録車では、富士重工業、ホンダ、マツダ。軽自動車では、ホンダと富士重工業の伸びが大きかった。
新車の購入に補助金を出す制度は、昨年4月から始まった。この8月までの間に計695万台が売れたが、そのうち補助金の対象になったのは約340万台。政府は住宅や家電に対する補助金制度の延長は決めたが、自動車に対する補助金制度は延長しない方針。ただ取得税や重量税に関する減税は来年3月まで続ける。
(続きは明日)
≪6日の日経平均 = 上げ +187.19円≫
≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 反動減に苦しむ欧米諸国 = すでに補助金政策を打ち切ったアメリカやヨーロッパ諸国では、新車販売が大幅に落ち込んでいる。アメリカの8月の新車販売台数は99万7000台。補助金が出ていた昨年8月に比べると、21%の減少となった。補助金の恩恵が大きかった日本車の減少幅は大きく、トヨタは34%、ホンダも33%減っている。
ヨーロッパ諸国でも、補助金の打ち切りで新車の販売が落ち込んでいる。真っ先に補助金制度を導入したドイツでは、8月の販売台数が前年比27%の減少だった。ドイツは昨年9月に補助を停止したが、その後はずっと前年割れが続いている。またフランス、イタリア、スペインなども1~3割の減少。お隣り韓国の場合も18%の減少となった。
新車販売に対する補助金制度は、もともとリーマン・ショックで急激に落ち込んだ景気を下支えするための応急措置。その分は需要の先取りになるから、あとで反動減に見舞われることは避けられない。このため各国は補助金制度を短期間で終了している。制度を長引かせれば、それだけ反動減も大きくなると判断したからだ。
日本も今月中に終了するが、補助の期間は各国に比べていちばん長かった。このため反動による減少は、2割から3割にも達すると予測されている。8月の売れ行きだけを見れば「日本は明、欧米は暗」ということになるが、その後は日本が最も暗くなるかもしれない。全く同様のことが、住宅や家電についても言える。にもかかわらず菅内閣は、住宅と家電に対する補助金制度の延長を決めた。
≪7日の日経平均 = 下げ -75.32円≫
≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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ヨーロッパ諸国でも、補助金の打ち切りで新車の販売が落ち込んでいる。真っ先に補助金制度を導入したドイツでは、8月の販売台数が前年比27%の減少だった。ドイツは昨年9月に補助を停止したが、その後はずっと前年割れが続いている。またフランス、イタリア、スペインなども1~3割の減少。お隣り韓国の場合も18%の減少となった。
新車販売に対する補助金制度は、もともとリーマン・ショックで急激に落ち込んだ景気を下支えするための応急措置。その分は需要の先取りになるから、あとで反動減に見舞われることは避けられない。このため各国は補助金制度を短期間で終了している。制度を長引かせれば、それだけ反動減も大きくなると判断したからだ。
日本も今月中に終了するが、補助の期間は各国に比べていちばん長かった。このため反動による減少は、2割から3割にも達すると予測されている。8月の売れ行きだけを見れば「日本は明、欧米は暗」ということになるが、その後は日本が最も暗くなるかもしれない。全く同様のことが、住宅や家電についても言える。にもかかわらず菅内閣は、住宅と家電に対する補助金制度の延長を決めた。
≪7日の日経平均 = 下げ -75.32円≫
≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 4-6月期は上方修正へ = 内閣府があす10日に発表する4-6月期のGDP改定値に、高い関心が寄せられている。1次速報では年率0.4%に落ち込んでいたが、改定値ではかなり上方修正される見込み。日経新聞が10人の民間エコノミストに聞いた予測は1.0%~2.6%で、その平均値は1.5%になっている。
上方修正の根拠は、企業の設備投資が好転したこと。1次速報のあとで財務省が集計した法人企業統計によると、4-6月期の設備投資額は前年比1.7%減となった。まだマイナスには違いないが、1-3月期の11.5%減からは大幅な改善。これがGDP改定値に反映される。
さらに7-9月期の見通しも、年率2%を上回るという見方が強い。これは猛暑の影響で個人消費が予想以上に伸びたこと。またエコカー補助金への駆け込み需要で、自動車の生産・販売が一時的に急増したことによる。この結果、上半期の成長率は年率2%前後を維持できる公算が強まった。1-3月期の4.4%に比べれば半減するが、円高による輸出の伸び悩みや株価が下落した割には、まずまずの成績と言えるだろう。
問題は10月以降の下半期。猛暑やエコカー補助の反動は、必ず現れる。為替相場が大きく円安に振れない限り、この反動減を埋める要因は見出しにくい。そこで唯一の頼みは、政府の景気対策ということになる。だが政府が今週中にもまとめる追加対策は全く力不足。結局は補正予算ということになりそうだが、その内容はまだ何も見えてこない。
≪8日の日経平均 = 下げ -201.40円≫
≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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上方修正の根拠は、企業の設備投資が好転したこと。1次速報のあとで財務省が集計した法人企業統計によると、4-6月期の設備投資額は前年比1.7%減となった。まだマイナスには違いないが、1-3月期の11.5%減からは大幅な改善。これがGDP改定値に反映される。
さらに7-9月期の見通しも、年率2%を上回るという見方が強い。これは猛暑の影響で個人消費が予想以上に伸びたこと。またエコカー補助金への駆け込み需要で、自動車の生産・販売が一時的に急増したことによる。この結果、上半期の成長率は年率2%前後を維持できる公算が強まった。1-3月期の4.4%に比べれば半減するが、円高による輸出の伸び悩みや株価が下落した割には、まずまずの成績と言えるだろう。
問題は10月以降の下半期。猛暑やエコカー補助の反動は、必ず現れる。為替相場が大きく円安に振れない限り、この反動減を埋める要因は見出しにくい。そこで唯一の頼みは、政府の景気対策ということになる。だが政府が今週中にもまとめる追加対策は全く力不足。結局は補正予算ということになりそうだが、その内容はまだ何も見えてこない。
≪8日の日経平均 = 下げ -201.40円≫
≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 企業減税と公共事業 = オバマ大統領は8日、総額3500億ドル(29兆4000億円)にのぼる新たな景気対策を発表した。内容は企業減税と公共事業の二本柱。企業減税の規模は3000億ドル、公共事業は500億ドルだが、実際の財政負担は1800億ドル(約15兆円)に止まるように設計されている。
企業減税については、まず研究開発投資に対する減税を恒久化する。財政負担は10年間で1000億ドル。また設備投資を促進するため減価償却の期間を短縮、ことし9月から11年末までの設備投資は一括償却できるようにする。この減税分は2年間で2000億ドルになるが、翌年度以降は企業の納税額が増えるため、実際の財政負担は300億ドルに抑えられる見込み。
公共事業は6年間に500億ドルを追加。道路、鉄道、空港のインフラ整備を加速する。このほかオバマ大統領は、今月末で期限切れになる所得税減税を年収25万ドル以下の所得層に限って延長する方針。これには共和党が激しく反対しており、中間選挙を前に議会の承認を得られるかどうかに注目が集まっている。
2000億ドル規模の設備投資減税だが、財政負担は300億ドル。あるいは公共事業の追加も6年分だとか、たしかに判りにくい面もある。だが景気対策の規模は全体で3500億ドル。財政負担でみても1800億ドル。オバマ政権の景気を引き上げようとする意欲は、十分に伝わってくる。それに引き換え、菅内閣が先ごろ発表した景気対策は総額わずかに9200億円。その差は大きすぎる。
≪9日の日経平均 = 上げ +73.79円≫
≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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企業減税については、まず研究開発投資に対する減税を恒久化する。財政負担は10年間で1000億ドル。また設備投資を促進するため減価償却の期間を短縮、ことし9月から11年末までの設備投資は一括償却できるようにする。この減税分は2年間で2000億ドルになるが、翌年度以降は企業の納税額が増えるため、実際の財政負担は300億ドルに抑えられる見込み。
公共事業は6年間に500億ドルを追加。道路、鉄道、空港のインフラ整備を加速する。このほかオバマ大統領は、今月末で期限切れになる所得税減税を年収25万ドル以下の所得層に限って延長する方針。これには共和党が激しく反対しており、中間選挙を前に議会の承認を得られるかどうかに注目が集まっている。
2000億ドル規模の設備投資減税だが、財政負担は300億ドル。あるいは公共事業の追加も6年分だとか、たしかに判りにくい面もある。だが景気対策の規模は全体で3500億ドル。財政負担でみても1800億ドル。オバマ政権の景気を引き上げようとする意欲は、十分に伝わってくる。それに引き換え、菅内閣が先ごろ発表した景気対策は総額わずかに9200億円。その差は大きすぎる。
≪9日の日経平均 = 上げ +73.79円≫
≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 就農人口減+高齢化が進む = 農林水産省は今週7日、10年版の農林業センサスを発表した。このセンサスは5年ごとに実施される、いわば農林業の国勢調査。それによると、日本の農業はこの5年間に就業人口が大幅に減少。同時に高齢化も大きく進展したことが明らかになった。
今年2月1日現在の就農人口は260万人だった。これは5年前に比べて75万人の減少。減少率は22.4%に達し、5年間の減少率としては過去最高となった。就農人口のピークは1960年(昭和35年)の1454万人。当時の5分の1を下回っている。25年前と比べても半減した。
就農人口の男女別内訳けをみると、男女ともに130万人ずつ。ただ5年前と比べた減少率は、女性の方が大きくなっている。また10年前と比べても男性が42万人減少したのに対して、女性は87万人と大きく減った。これは農業を止めて他の職業に就いた人が、男性より女性に多かったためとみられる。
一方、就農人口への新規参入者は09年の場合で6万6800人。このうち39歳以下は1万5000人だった。この結果、ことし2月現在で就農人口の平均年齢は65.8歳に上昇した。5年前に比べると2.6歳、15年前に比べると6.7歳も跳ね上がっている。就農人口に占める60歳以上の割合は6割を超えた。
(続きは来週サタデー)
≪10日の日経平均 = 上げ +140.78円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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今年2月1日現在の就農人口は260万人だった。これは5年前に比べて75万人の減少。減少率は22.4%に達し、5年間の減少率としては過去最高となった。就農人口のピークは1960年(昭和35年)の1454万人。当時の5分の1を下回っている。25年前と比べても半減した。
就農人口の男女別内訳けをみると、男女ともに130万人ずつ。ただ5年前と比べた減少率は、女性の方が大きくなっている。また10年前と比べても男性が42万人減少したのに対して、女性は87万人と大きく減った。これは農業を止めて他の職業に就いた人が、男性より女性に多かったためとみられる。
一方、就農人口への新規参入者は09年の場合で6万6800人。このうち39歳以下は1万5000人だった。この結果、ことし2月現在で就農人口の平均年齢は65.8歳に上昇した。5年前に比べると2.6歳、15年前に比べると6.7歳も跳ね上がっている。就農人口に占める60歳以上の割合は6割を超えた。
(続きは来週サタデー)
≪10日の日経平均 = 上げ +140.78円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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第19章 農業の問題って、なんだろう? ⑪
テレビ・ドラマや映画のなかで、外国の広大な農場を見たことがあるでしょう。地平線まで続く畑で、巨大なトラクターが作物を刈り取って行きますね。それに比べると、日本の田んぼや畑はとても狭い。たとえば農家1戸当たりの平均耕地面積は、日本が2.2ヘクタールです。ところがアメリカは83ヘクタール、フランスは37ヘクタール、ドイツは32ヘクタール。ちょっと比べものになりません。
耕地10ヘクタールで働く人の数は、日本が6.2人です。これに対してアメリカは0.1人、フランスは0.2人、ドイツは0.3人となっています。日本は規模の小さい農家が多く、機械化も遅れているわけです。つまり日本の農業は生産性がかなり低いのです。
日本では戦後の農地改革で、たくさんの農家が自分の土地を持つことになりました。そのときから農地の細分化が始まったと言えるでしょう。1955年(昭和30年)当時の農家数は約600万戸。1戸平均の耕地面積は、わずか0.8ヘクタールでした。
このように農家1戸当たりの耕地面積が狭いこと。これが機械化を妨げ、生産性を上げられない原因となっています。また比較的に広い耕地を持っている農家にしても、耕地が分散している場合も少なくありません。1か所の耕地が0.5ヘクタールぐらい。それが30か所にも分かれていて、いちばん遠い耕地は4キロメートルも離れている。こんな例も珍しくないのです。
(続きは来週日曜日)
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テレビ・ドラマや映画のなかで、外国の広大な農場を見たことがあるでしょう。地平線まで続く畑で、巨大なトラクターが作物を刈り取って行きますね。それに比べると、日本の田んぼや畑はとても狭い。たとえば農家1戸当たりの平均耕地面積は、日本が2.2ヘクタールです。ところがアメリカは83ヘクタール、フランスは37ヘクタール、ドイツは32ヘクタール。ちょっと比べものになりません。
耕地10ヘクタールで働く人の数は、日本が6.2人です。これに対してアメリカは0.1人、フランスは0.2人、ドイツは0.3人となっています。日本は規模の小さい農家が多く、機械化も遅れているわけです。つまり日本の農業は生産性がかなり低いのです。
日本では戦後の農地改革で、たくさんの農家が自分の土地を持つことになりました。そのときから農地の細分化が始まったと言えるでしょう。1955年(昭和30年)当時の農家数は約600万戸。1戸平均の耕地面積は、わずか0.8ヘクタールでした。
このように農家1戸当たりの耕地面積が狭いこと。これが機械化を妨げ、生産性を上げられない原因となっています。また比較的に広い耕地を持っている農家にしても、耕地が分散している場合も少なくありません。1か所の耕地が0.5ヘクタールぐらい。それが30か所にも分かれていて、いちばん遠い耕地は4キロメートルも離れている。こんな例も珍しくないのです。
(続きは来週日曜日)
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今週15日は、あの忌まわしいリーマン・ショックから2周年。世界経済はいまだに、その後遺症に苦しんでいる。日米の株価も、まだショック前の水準を取り戻せない。それでもダウ平均はリーマン前の水準まで、あと8%ほどに戻している。しかし日経平均は、まだ24%も低い。ショックがいちばん軽かったはずの日本が重症になってしまった原因は、もっと追及されていい。
先週のダウ平均は週間15ドルの上げに止まったが、市場の空気は週の後半から明るくなった。雇用統計や貿易赤字、それに卸売り高などの数字が予想よりよく、景気の二番底懸念が薄れたためである。アメリカでは今週14日に、8月の小売り売上高。15日には、8月の工業生産。16日には、8月の生産者物価。そして17日には、8月の消費者物価とミシガン大学による9月の消費者信頼感指数が発表になる。これらの結果が、明るさの持続につながるかどうか。
日経平均は週間125円の値上がりだった。週の半ばに円相場が1ドル=83円50銭を突破した割りには、堅調だったと言っていい。今週は16日に、7月の第3次産業活動指数が発表になる。ほかには14日に民主党の代表選挙。菅氏と小沢氏のどちらが勝っても、株価にはあまり影響しないだろう。ただ為替相場への影響は、予測がむずかしい。
代表選挙が終わると、9月も後半入り。過去の例からみると、株式市場にとって9月は鬼門の月だ。リーマン・ショックの前は01年のアメリカ同時テロ、98年のヘッジファンドLTCM経営危機、85年のプラザ合意。過去60年間の日経平均は、12か月のなかで9月の成績が最も悪い。ことしはここまで415円上げてきたが、このあとも頑張ってほしいものだ。
≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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先週のダウ平均は週間15ドルの上げに止まったが、市場の空気は週の後半から明るくなった。雇用統計や貿易赤字、それに卸売り高などの数字が予想よりよく、景気の二番底懸念が薄れたためである。アメリカでは今週14日に、8月の小売り売上高。15日には、8月の工業生産。16日には、8月の生産者物価。そして17日には、8月の消費者物価とミシガン大学による9月の消費者信頼感指数が発表になる。これらの結果が、明るさの持続につながるかどうか。
日経平均は週間125円の値上がりだった。週の半ばに円相場が1ドル=83円50銭を突破した割りには、堅調だったと言っていい。今週は16日に、7月の第3次産業活動指数が発表になる。ほかには14日に民主党の代表選挙。菅氏と小沢氏のどちらが勝っても、株価にはあまり影響しないだろう。ただ為替相場への影響は、予測がむずかしい。
代表選挙が終わると、9月も後半入り。過去の例からみると、株式市場にとって9月は鬼門の月だ。リーマン・ショックの前は01年のアメリカ同時テロ、98年のヘッジファンドLTCM経営危機、85年のプラザ合意。過去60年間の日経平均は、12か月のなかで9月の成績が最も悪い。ことしはここまで415円上げてきたが、このあとも頑張ってほしいものだ。
≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 景品表示法の違反では = 政府は10日の閣議で、新しい経済対策を決定した。国会の議決が要らない今年度予算の予備費の残り分9182億円を投入して、住宅や家電エコポイントを延長したり、試験的に雇用を増やす企業に奨励金を出したりする。内閣府の試算では、これによってGDPを0.3%押し上げ、約20万人の雇用が創出されるという。
驚いたのは、その事業規模を9兆8000億円と算出していることだ。事業規模というのは、財政支出が結果的に生み出す仕事の総量。たとえば今回のように住宅エコポイントの延長に1400億円を投入すると、住宅の建築や改築が増える。その増加した工事費の合計が事業規模だ。ただエコポイント制度がなかった場合に比べての増加分だけが、事業規模として計算されなければならない。
内閣府の試算によると、今回の事業規模は財政支出額の10倍を超えている。住宅や家電のエコポイント、あるいは雇用支援の対策で、そんなことは絶対にありえない。仮にそうだとして支出を3兆円に増額したら、どうなるだろう。事業規模は30兆円になり、60万人の雇用が創出される。そうなれば需給ギャップは一挙に解消し、好景気が戻ってくる。そんなことは、ありえない。10倍の事業規模は、政府による景品表示法違反と言わねばならない。
10兆円に近い事業規模で20万人の雇用を増やすと言いながら、GDPは0.3%しか押し上げないというのも奇妙な理屈だ。こんないい加減な試算を閣議決定するから、菅内閣には経済のわかる人がいないと言われてしまう。どうしてこんなケタ違いの事業規模が算出されたのか、新聞もきちんと取材してほしいものだ。
≪13日の日経平均 = 上げ +82.65円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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驚いたのは、その事業規模を9兆8000億円と算出していることだ。事業規模というのは、財政支出が結果的に生み出す仕事の総量。たとえば今回のように住宅エコポイントの延長に1400億円を投入すると、住宅の建築や改築が増える。その増加した工事費の合計が事業規模だ。ただエコポイント制度がなかった場合に比べての増加分だけが、事業規模として計算されなければならない。
内閣府の試算によると、今回の事業規模は財政支出額の10倍を超えている。住宅や家電のエコポイント、あるいは雇用支援の対策で、そんなことは絶対にありえない。仮にそうだとして支出を3兆円に増額したら、どうなるだろう。事業規模は30兆円になり、60万人の雇用が創出される。そうなれば需給ギャップは一挙に解消し、好景気が戻ってくる。そんなことは、ありえない。10倍の事業規模は、政府による景品表示法違反と言わねばならない。
10兆円に近い事業規模で20万人の雇用を増やすと言いながら、GDPは0.3%しか押し上げないというのも奇妙な理屈だ。こんないい加減な試算を閣議決定するから、菅内閣には経済のわかる人がいないと言われてしまう。どうしてこんなケタ違いの事業規模が算出されたのか、新聞もきちんと取材してほしいものだ。
≪13日の日経平均 = 上げ +82.65円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 軌道が見えない3段ロケット = 民主党の代表選挙で、菅直人氏が再選された。衆議院での議決を経て、第2次菅内閣が発足する。厳しい経済状況を乗り切るため、この新内閣は3段構えの対策を用意しているようだ。だが、この3段ロケットは連結しておらず、軌道も見えない。だから国民も、将来への不安感を捨て切れない。
経済対策の第1弾は、10日の閣議で決定した応急対策。予備費の9182億円を使って、住宅や家電のエコポイントを延長。試験的に雇用する企業への奨励金、エコ産業関連の設備投資への補助金などを創設する。老朽マンションの建て替え規制を緩和するなどの措置も盛り込んだが、なにしろ財源が少ないから景気を押し上げる力も小さい。
そこで必要となる第2弾が、年内の編成を目指す補正予算。菅首相は1-2兆円の規模で、来年度に予定する公共事業の前倒し発注などを考えているようだ。しかし今回の代表選を前にした論戦のなかでも、その具体的な構想は明らかにされなかった。景気がそれほど悪くならなければ、補正予算など組みたくないと考えているからだろう。
第3弾は、すでに6月に決定した「新成長戦略」だ。日本経済が2020年度まで平均3%の名目成長を達成するために必要な項目を、すべて洗い出した。7つの戦略分野と21の国家戦略プロジェクト。項目数は330に及ぶ。再生可能エネルギー市場を10兆円規模に、アジア向けインフラ輸出の拡大、再生医療の実用化、証券・金融・商品の総合取引所を創設ーー壮大な計画が並ぶ。だが具体化の方策や財源の問題は、全く手付かずだ。
(続きは明日)
≪14日の日経平均 = 下げ -22.51円≫
≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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経済対策の第1弾は、10日の閣議で決定した応急対策。予備費の9182億円を使って、住宅や家電のエコポイントを延長。試験的に雇用する企業への奨励金、エコ産業関連の設備投資への補助金などを創設する。老朽マンションの建て替え規制を緩和するなどの措置も盛り込んだが、なにしろ財源が少ないから景気を押し上げる力も小さい。
そこで必要となる第2弾が、年内の編成を目指す補正予算。菅首相は1-2兆円の規模で、来年度に予定する公共事業の前倒し発注などを考えているようだ。しかし今回の代表選を前にした論戦のなかでも、その具体的な構想は明らかにされなかった。景気がそれほど悪くならなければ、補正予算など組みたくないと考えているからだろう。
第3弾は、すでに6月に決定した「新成長戦略」だ。日本経済が2020年度まで平均3%の名目成長を達成するために必要な項目を、すべて洗い出した。7つの戦略分野と21の国家戦略プロジェクト。項目数は330に及ぶ。再生可能エネルギー市場を10兆円規模に、アジア向けインフラ輸出の拡大、再生医療の実用化、証券・金融・商品の総合取引所を創設ーー壮大な計画が並ぶ。だが具体化の方策や財源の問題は、全く手付かずだ。
(続きは明日)
≪14日の日経平均 = 下げ -22.51円≫
≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 法人税下げにも哲学なし = 「新成長戦略」のなかで、菅首相がこれまでに言及した重要な項目は法人税の引き下げだけだ。新成長戦略実現会議の初会合で「法人税の実効税率引き下げは、来年度予算編成と税制改正作業のなかで検討する」と明言した。民主党の参院選マニフェストにも明記されている。
実効税率というのは、国税と地方税を合計した税率。日本は40.69%で、国際的にみても圧倒的に高い。たとえばヨーロッパ諸国は20%台、アジア各国は10%台が主流となっている。このため日本企業の国際競争力が阻害されるだけではなく、生産拠点の海外流出にも拍車を掛けているという指摘が強い。
だが菅首相の姿勢には、気になる点がある。それは「課税ベースの拡大による財源確保と併せて結論を出す」とも発言しているからだ。実効税率を下げても課税ベースが広がれば、企業の負担は軽減されないかもしれない。企業によっては、逆に増税になるケースもありうる。それでは国際競争力の強化にはつながらない。
もう1つ、実効税率をどこまで下げるのかも不明瞭だ。税率を5%下げるには、およそ1兆円の財源が必要になる。だから11年度には5%だけ引き下げるというのはいいが、そのあとの計画がない。たとえば13年度には25%まで下げるという指針がないと、企業は動きがとれないだろう。菅首相が本当に日本企業の競争力回復を考えているのなら、そこまで踏み込まないとパンチ力がない。
(続きは明日)
≪15日の日経平均 = 上げ +217.25円≫
≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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実効税率というのは、国税と地方税を合計した税率。日本は40.69%で、国際的にみても圧倒的に高い。たとえばヨーロッパ諸国は20%台、アジア各国は10%台が主流となっている。このため日本企業の国際競争力が阻害されるだけではなく、生産拠点の海外流出にも拍車を掛けているという指摘が強い。
だが菅首相の姿勢には、気になる点がある。それは「課税ベースの拡大による財源確保と併せて結論を出す」とも発言しているからだ。実効税率を下げても課税ベースが広がれば、企業の負担は軽減されないかもしれない。企業によっては、逆に増税になるケースもありうる。それでは国際競争力の強化にはつながらない。
もう1つ、実効税率をどこまで下げるのかも不明瞭だ。税率を5%下げるには、およそ1兆円の財源が必要になる。だから11年度には5%だけ引き下げるというのはいいが、そのあとの計画がない。たとえば13年度には25%まで下げるという指針がないと、企業は動きがとれないだろう。菅首相が本当に日本企業の競争力回復を考えているのなら、そこまで踏み込まないとパンチ力がない。
(続きは明日)
≪15日の日経平均 = 上げ +217.25円≫
≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 小沢流の手法が必要だ = 民主党の代表選挙で小沢一郎氏は負けたが、支持者は予想以上に多かった。「政治とカネ」の問題が尾を引いていたこと、たった3か月前に幹事長を辞任したばかりだったことが、小沢総理の実現に“待った”をかけた。その半面で国民の多くが、その政策と指導性に期待したことは事実だろう。
思い切った景気対策を実行する。国の資産を証券化して財源を作る。マニフェストは実現する。行政改革を断行する。補助金21兆円を地方が自由に使えるようにする-ーかなり大風呂敷のようにも聞こえたが、小沢氏の主張は判りやすく、インパクトもあった。こういう政策が実施されれば、日本の経済や財政の仕組みが変わるかもしれない。国民の多くは、そこに期待したのだと思う。
菅首相の手法は、いろいろな政策を一つ一つ積み上げて行くやり方のようだ。これに対して小沢氏の手法は、従来からある制度や仕組みを根底から覆してしまおうという考え方。かつての小泉元首相に近い。経済や社会の閉塞感にあきあきしている国民は、こちらの方に賭けてもみたくなる。
景気は冬を迎えると、明らかに下降を始める。そのとき菅内閣がいま考えている3段ロケットの対策で、十分に対応できるとは思えない。景気対策の財源を確保するためには、まず菅首相が一日も早くマニフェストの全面的な見直しを決断すべきだろう。さらに小沢氏の政策を積極的に取り入れて、国民をびっくりさせることが必要だ。さもなければ、景気とともに内閣の支持率も下降せざるをえない。
≪16日の日経平均 = 下げ -7.06円≫
≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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思い切った景気対策を実行する。国の資産を証券化して財源を作る。マニフェストは実現する。行政改革を断行する。補助金21兆円を地方が自由に使えるようにする-ーかなり大風呂敷のようにも聞こえたが、小沢氏の主張は判りやすく、インパクトもあった。こういう政策が実施されれば、日本の経済や財政の仕組みが変わるかもしれない。国民の多くは、そこに期待したのだと思う。
菅首相の手法は、いろいろな政策を一つ一つ積み上げて行くやり方のようだ。これに対して小沢氏の手法は、従来からある制度や仕組みを根底から覆してしまおうという考え方。かつての小泉元首相に近い。経済や社会の閉塞感にあきあきしている国民は、こちらの方に賭けてもみたくなる。
景気は冬を迎えると、明らかに下降を始める。そのとき菅内閣がいま考えている3段ロケットの対策で、十分に対応できるとは思えない。景気対策の財源を確保するためには、まず菅首相が一日も早くマニフェストの全面的な見直しを決断すべきだろう。さらに小沢氏の政策を積極的に取り入れて、国民をびっくりさせることが必要だ。さもなければ、景気とともに内閣の支持率も下降せざるをえない。
≪16日の日経平均 = 下げ -7.06円≫
≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 耕作放棄地は滋賀県の広さ = 再び農林業センサスによると、ことし2月1日現在の耕地面積は364万ヘクタールだった。この面積は四国の約2倍だが、5年前に比べると5万ヘクタール減少している。一方、耕作放棄地は40万ヘクタールで滋賀県並みの広さ。5年前より1万ヘクタール増加した。
個人と法人を合わせた農業経営体は167万6000件で、33万3000件も減少した。このため1経営体当たりの耕地面積は5年前より0.3ヘクタール増えて、2.2ヘクタールとなっている。農業の大規模化がわずかながら進んだことになるが、その背景には農業の法人化があった。法人経営体は2万2000件、5年前より16%増加した。
いわゆる専業農家は45万2000戸で、5年前より9000戸増えている。その一方で、年間50万円以上の売り上げがある販売農家は163万1000戸。33万2000戸も減っている。また自ら農産物の加工を手がける農家は、1万戸増えて3万4000戸になった。
この5年間で耕地面積は減少したが、法人の進出などに助けられて1経営体当たりの耕地面積はやや拡大した。その半面、個人経営の農家は減少の一途をたどっている。農家の経営難と高齢化によって離農や土地貸しの増加したことが、その原因。民主党の新しい戸別所得補償政策が、こうした動向にどんな効果を及ぼすのだろうか。
(続きは来週サタデー)
≪17日の日経平均 = 上げ +116.59円≫
【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】
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個人と法人を合わせた農業経営体は167万6000件で、33万3000件も減少した。このため1経営体当たりの耕地面積は5年前より0.3ヘクタール増えて、2.2ヘクタールとなっている。農業の大規模化がわずかながら進んだことになるが、その背景には農業の法人化があった。法人経営体は2万2000件、5年前より16%増加した。
いわゆる専業農家は45万2000戸で、5年前より9000戸増えている。その一方で、年間50万円以上の売り上げがある販売農家は163万1000戸。33万2000戸も減っている。また自ら農産物の加工を手がける農家は、1万戸増えて3万4000戸になった。
この5年間で耕地面積は減少したが、法人の進出などに助けられて1経営体当たりの耕地面積はやや拡大した。その半面、個人経営の農家は減少の一途をたどっている。農家の経営難と高齢化によって離農や土地貸しの増加したことが、その原因。民主党の新しい戸別所得補償政策が、こうした動向にどんな効果を及ぼすのだろうか。
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第19章 農業の問題って、なんだろう? ⑫
ことしの夏は暑かったですね。ロシアでは干ばつのために小麦が大不作。ロシア政府は小麦の輸出をストップしました。すると世界中で小麦の価格が上昇、日本の輸入価格も上がっています。ですから、みなさんが食べるパンの値段も高くなるでしょう。こんな異常気象は別としても、世界の食料価格はずっと値上がりする傾向にあるのです。
その理由は2つあります。1つは世界の人口が増え続けていること。もう1つは経済状態がよくなってきた新興国の輸入が増大していることです。世界の総人口は間もなく69億人に達します。この人口増加に、食料の生産が追いつけるのかどうか。また新興国の代表である中国は、従来は輸出していた大豆やトウモロコシを最近では輸入するようになったのです。
世界の穀物生産量は、割りに豊作だった09年の場合で22億2000万トン。その年の消費量は21億1950万トンでした。ところが価格は大きく上昇しています。たとえば小麦の国際価格は、2000年に1ブッシェル当たり2ドル91セントだったものが、10年には4ドル55セントと2倍近くに値上がりしました。
非常に大きな問題は、こうしたなかで食料を十分に食べられない人がおおぜいいることです。国連の資料によると、世界では9億人に近い人々が栄養不足の状態に陥っています。また人口の35%以上が栄養不足になっている国は、27か国もあると言います。そのうちの21か国はアフリカの国々だそうです。
(続きは来週日曜日)
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ことしの夏は暑かったですね。ロシアでは干ばつのために小麦が大不作。ロシア政府は小麦の輸出をストップしました。すると世界中で小麦の価格が上昇、日本の輸入価格も上がっています。ですから、みなさんが食べるパンの値段も高くなるでしょう。こんな異常気象は別としても、世界の食料価格はずっと値上がりする傾向にあるのです。
その理由は2つあります。1つは世界の人口が増え続けていること。もう1つは経済状態がよくなってきた新興国の輸入が増大していることです。世界の総人口は間もなく69億人に達します。この人口増加に、食料の生産が追いつけるのかどうか。また新興国の代表である中国は、従来は輸出していた大豆やトウモロコシを最近では輸入するようになったのです。
世界の穀物生産量は、割りに豊作だった09年の場合で22億2000万トン。その年の消費量は21億1950万トンでした。ところが価格は大きく上昇しています。たとえば小麦の国際価格は、2000年に1ブッシェル当たり2ドル91セントだったものが、10年には4ドル55セントと2倍近くに値上がりしました。
非常に大きな問題は、こうしたなかで食料を十分に食べられない人がおおぜいいることです。国連の資料によると、世界では9億人に近い人々が栄養不足の状態に陥っています。また人口の35%以上が栄養不足になっている国は、27か国もあると言います。そのうちの21か国はアフリカの国々だそうです。
(続きは来週日曜日)
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焦点はやはり円相場の動き。先週は15日の単独介入で、円の上昇にいったんは歯止めがかかった形。相場は1ドル=85円台の後半にまで戻している。このため日経平均も週間387円値上がりして、週末には40日ぶりに9600円台を回復した。こうした動きが今週も持続するかどうか。
そのカギは、アメリカの金融政策と実体経済の動向が握っている。その点でまず注目されるのが、21日のFOMC(公開市場委員会)。ここで国債の買い入れ増などの追加緩和策が決まると、円への買い圧力は再び強まる可能性が大きい。アメリカの金融当局が、景気の将来に危機感を持っているかどうかのバロメーターでもある。
実体経済で特に回復が遅れているのは、雇用と住宅だ。来週は20日に、9月のNAHB住宅市場指数。21日には、8月の住宅着工件数。22日には、7月のFHFA住宅価格指数。23日には、8月の中古住宅販売。24日には、8月の新築住宅販売と、日替わりで住宅関連の統計が発表になる。これらの良し悪しが、一つ一つ円相場にも響いてくるだろう。
国内では22日に、7月の全産業活動指数が発表される。あとは23日に日米首脳会談。菅首相とオバマ大統領の会談は2度目だが、前回は初対面の挨拶に止まった。こんどは再選を果たしたことでもあり、どの程度まで突っ込んだ議論ができるのか。新しいスタートを切った菅首相にとっては、最初の試金石となるだろう。
≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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そのカギは、アメリカの金融政策と実体経済の動向が握っている。その点でまず注目されるのが、21日のFOMC(公開市場委員会)。ここで国債の買い入れ増などの追加緩和策が決まると、円への買い圧力は再び強まる可能性が大きい。アメリカの金融当局が、景気の将来に危機感を持っているかどうかのバロメーターでもある。
実体経済で特に回復が遅れているのは、雇用と住宅だ。来週は20日に、9月のNAHB住宅市場指数。21日には、8月の住宅着工件数。22日には、7月のFHFA住宅価格指数。23日には、8月の中古住宅販売。24日には、8月の新築住宅販売と、日替わりで住宅関連の統計が発表になる。これらの良し悪しが、一つ一つ円相場にも響いてくるだろう。
国内では22日に、7月の全産業活動指数が発表される。あとは23日に日米首脳会談。菅首相とオバマ大統領の会談は2度目だが、前回は初対面の挨拶に止まった。こんどは再選を果たしたことでもあり、どの程度まで突っ込んだ議論ができるのか。新しいスタートを切った菅首相にとっては、最初の試金石となるだろう。
≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 国債の消化は大丈夫? = 日銀が発表した資金循環統計によると、6月末の個人金融資産は1445兆0250億円だった。保有している株式や投資信託の目減りで、前期3月末より0.8%の減少。ただ前年6月末に比べると0.3%増加している。このうち現金・預金の保有高は806兆5000億円で、過去最大の水準になった。
一方、地方自治体を含めた政府の金融負債は相変わらず増え続け、6月末で1035兆円に達した。3月末に比べると3.3%の増加。国債と地方債は32兆円増えている。この日銀の資金循環統計は有価証券を時価評価しているから、財務省が公表している長期債務残高よりも数字が大きめに出ることは確か。だが、その点を考慮に入れても、政府債務の膨張スピードは速い。
ことしの春、ギリシャの財政不安が大問題になったとき、日本は大丈夫だという解説が盛んに披露された。その根拠は、日本の国債はそのほとんどが国内で消化されていること。消化の財源は、潤沢な個人の金融資産だという点にあった。この理屈が正しいとすれば、今回の資金循環統計からは何を読み取ったらいいのだらう。
個人は多額の金融資産を保有しているが、同時に住宅ローンなどの借金も抱えている。資金循環統計によると、個人の金融資産から金融負債を差し引いた金額は1078兆円。政府の負債残高を、わずかに43兆円上回るだけとなった。このまま国債・地方債が増え続ければ、年末には逆転してしまうかもしれない。それでも日本の国債は大丈夫なのだろうか。
≪21日の日経平均 = 下げ -23.98円≫
≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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一方、地方自治体を含めた政府の金融負債は相変わらず増え続け、6月末で1035兆円に達した。3月末に比べると3.3%の増加。国債と地方債は32兆円増えている。この日銀の資金循環統計は有価証券を時価評価しているから、財務省が公表している長期債務残高よりも数字が大きめに出ることは確か。だが、その点を考慮に入れても、政府債務の膨張スピードは速い。
ことしの春、ギリシャの財政不安が大問題になったとき、日本は大丈夫だという解説が盛んに披露された。その根拠は、日本の国債はそのほとんどが国内で消化されていること。消化の財源は、潤沢な個人の金融資産だという点にあった。この理屈が正しいとすれば、今回の資金循環統計からは何を読み取ったらいいのだらう。
個人は多額の金融資産を保有しているが、同時に住宅ローンなどの借金も抱えている。資金循環統計によると、個人の金融資産から金融負債を差し引いた金額は1078兆円。政府の負債残高を、わずかに43兆円上回るだけとなった。このまま国債・地方債が増え続ければ、年末には逆転してしまうかもしれない。それでも日本の国債は大丈夫なのだろうか。
≪21日の日経平均 = 下げ -23.98円≫
≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 戦後最長の後退だった = サブプライム・ローン問題に端を発したアメリカの景気後退は18か月間続き、戦後最長だったことが確定した。NBER(全米経済研究所)の発表によると、景気の山は07年12月、谷は09年6月。これまで最も長かった景気後退は16か月だったので、それを上回る記録となった。
NBERは民間の研究機関だが、アメリカでは伝統的に景気循環の山と谷を判定している。四半期ごとのGDPをみると、09年7-9月期からプラスに転じているので、判定には時間がかかりすぎた感じも。というのも最近になって景気の回復にはブレーキがかかっており、慎重になったのではないか。
この点について、NBERは「09年6月から景気は回復しており、もし近々のうちに下降すれば、それは新たな後退ということになる」と説明している。したがって仮に最近の停滞が踊り場なら、景気の回復はさらに継続するという判断になるはずだ。
日本の景気後退については、すでに内閣府の景気動向指数研究会が判定を出している。それによると、景気の後退局面は07年11月から09年3月までの17か月間だった。こちらも後退の期間は、戦後の平均である16か月より長かった。特徴は下降のスピードが速かったこと。この点では91-93年の後退速度に次ぐものだったという。
≪22日の日経平均 = 下げ -35.79円≫
≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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NBERは民間の研究機関だが、アメリカでは伝統的に景気循環の山と谷を判定している。四半期ごとのGDPをみると、09年7-9月期からプラスに転じているので、判定には時間がかかりすぎた感じも。というのも最近になって景気の回復にはブレーキがかかっており、慎重になったのではないか。
この点について、NBERは「09年6月から景気は回復しており、もし近々のうちに下降すれば、それは新たな後退ということになる」と説明している。したがって仮に最近の停滞が踊り場なら、景気の回復はさらに継続するという判断になるはずだ。
日本の景気後退については、すでに内閣府の景気動向指数研究会が判定を出している。それによると、景気の後退局面は07年11月から09年3月までの17か月間だった。こちらも後退の期間は、戦後の平均である16か月より長かった。特徴は下降のスピードが速かったこと。この点では91-93年の後退速度に次ぐものだったという。
≪22日の日経平均 = 下げ -35.79円≫
≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 主要国で最低の食料自給率 = 農林水産省の集計によると、09年度のカロリーベース食料自給率は40%だった。前年度より1ポイント低下している。食料自給率というのは、国内で消費する食料を国内の農業生産でどれだけ賄っているかを示す指標。重さや生産額でも計算されるが、カロリーで集計する方法が最も一般的に使われる。
一つ一つの食料に含まれるカロリー(熱量)を測って、計算するやり方だ。この方法の特徴は、畜産物の場合にそれぞれの飼料まで計算に入れること。だから飼料の輸入が多ければ、それだけ自給率は低下することになる。いわば飼料も含めた食料自給率ということになる。
このカロリーベースでみると、日本の自給率は60年代前半まで70%台を維持していた。それが70年代には50%台に下降、89年には40%台に落ち込んでいる。さらに98年以降は、06年の39%と08年の41%を除いて毎年40%ちょうどで推移しているのが現状だ。
主要国の自給率を07年の統計でみると、オーストラリアの173%、カナダの168%は別格。アメリカ124%、ドイツ80%、イギリス65%、また韓国は44%となっている。日本はこれらのなかで最低。政府は農家に対する戸別所得補償制度を通じて、20年度には自給率を50%に引き上げる目標を建てているのだが・・・。
(続きは来週サタデー)
≪24日の日経平均 = 下げ -94.65円≫
【今週の日経平均予想 = 2勝1敗】
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一つ一つの食料に含まれるカロリー(熱量)を測って、計算するやり方だ。この方法の特徴は、畜産物の場合にそれぞれの飼料まで計算に入れること。だから飼料の輸入が多ければ、それだけ自給率は低下することになる。いわば飼料も含めた食料自給率ということになる。
このカロリーベースでみると、日本の自給率は60年代前半まで70%台を維持していた。それが70年代には50%台に下降、89年には40%台に落ち込んでいる。さらに98年以降は、06年の39%と08年の41%を除いて毎年40%ちょうどで推移しているのが現状だ。
主要国の自給率を07年の統計でみると、オーストラリアの173%、カナダの168%は別格。アメリカ124%、ドイツ80%、イギリス65%、また韓国は44%となっている。日本はこれらのなかで最低。政府は農家に対する戸別所得補償制度を通じて、20年度には自給率を50%に引き上げる目標を建てているのだが・・・。
(続きは来週サタデー)
≪24日の日経平均 = 下げ -94.65円≫
【今週の日経平均予想 = 2勝1敗】
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第19章 農業の問題って、なんだろう? ⑬
きょうは農業の問題について、おさらいをしておきましょう。日本の特徴は全体の耕地面積が少ないこと、したがって農家1戸当たりの耕地も狭いことです。たとえば日本の耕地面積は364万ヘクタールで、アメリカの40分の1しかありません。農家1戸当たりの耕地も2.2ヘクタール、やはりアメリカの40分の1です。
耕地面積が狭いと大型の機械が使えず、能率が悪い。つまり生産性が低く、利益が上がりにくくなります。そのうえ高齢化が進んで、後継者も育ちにくくなっています。このため耕地面積はこの50年間に4割近くも減ってしまいました。
そういう状態なのに、日本人が昔ほどコメを食べなくたった結果、コメが余ってコメの値段は下がり続けているのです。その一方で小麦や大豆、トウモロコシ、肉類などの生産は少なく、外国から大量に買わなければなりません。いま食料の輸入がストップすると、日本人は栄養を現在の40%ぐらいしか摂れなくなるのです。
しかし現実には大量の食料を輸入し、食べ物は有り余っています。たくさんの食べ残しが、ごみとして捨てられていることは、みなさんも知っているでしょう。ところが世界を見渡すと、なんと9億人もの人が栄養不足の状態に陥っているのです。農業についての国内の問題、あるいは世界の問題をどうしたら改善できるのか。みなさんも考えてみてください。
(農業の問題 は終わり)
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きょうは農業の問題について、おさらいをしておきましょう。日本の特徴は全体の耕地面積が少ないこと、したがって農家1戸当たりの耕地も狭いことです。たとえば日本の耕地面積は364万ヘクタールで、アメリカの40分の1しかありません。農家1戸当たりの耕地も2.2ヘクタール、やはりアメリカの40分の1です。
耕地面積が狭いと大型の機械が使えず、能率が悪い。つまり生産性が低く、利益が上がりにくくなります。そのうえ高齢化が進んで、後継者も育ちにくくなっています。このため耕地面積はこの50年間に4割近くも減ってしまいました。
そういう状態なのに、日本人が昔ほどコメを食べなくたった結果、コメが余ってコメの値段は下がり続けているのです。その一方で小麦や大豆、トウモロコシ、肉類などの生産は少なく、外国から大量に買わなければなりません。いま食料の輸入がストップすると、日本人は栄養を現在の40%ぐらいしか摂れなくなるのです。
しかし現実には大量の食料を輸入し、食べ物は有り余っています。たくさんの食べ残しが、ごみとして捨てられていることは、みなさんも知っているでしょう。ところが世界を見渡すと、なんと9億人もの人が栄養不足の状態に陥っているのです。農業についての国内の問題、あるいは世界の問題をどうしたら改善できるのか。みなさんも考えてみてください。
(農業の問題 は終わり)
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アメリカでは先週、住宅関連の指標がずらりと発表された。いずれも8月の数字で、着工件数は前月比10.5%の増加。販売件数は新築が前月並み、中古が7.8%増加だった。まだ水準自体は低いが、底入れの感じは強い。ダウ平均も週間252ドルの値上がりとなった。これで上昇は4週連続、4か月ぶりの高値を回復している。
ダウ平均は24日も198ドル上げたが、この日は奇妙なことも持ち上がった。日本政府が為替市場で介入したという観測が流れ、円相場はいったん下落したがすぐに買い戻されている。どうやら介入はなかったようだが、この寸劇のために株価が大幅高となったにもかかわらず円相場も上昇してしまった。こういう現象はかなり珍しい。
今週も、その流れが尾を引くのかどうか。週明けの動きが注目される。また先週はニューヨーク市場の金相場が、とうとう1オンス=1300ドルに到達した。この勢いも持続するのかどうか。一方、日経平均は先週154円の下げ。日中間の緊張状態もあって、冴えなかった。中国人船長の釈放が、どういう影響をもたらすのか。
今週は27日に、8月の企業向けサービス価格と貿易収支。29日に、日銀の短観。30日には、8月の商業販売と鉱工業生産、住宅着工。1日には、8月の労働力調査、家計調査、消費者物価、、新車販売台数が発表になる。またアメリカでは28日に、7月のSPケースシラー住宅価格とコンファレンスボードによる9月の消費者信頼感指数。1日には、9月の新車販売台数。さらにユーロ圏の8月の失業統計が発表される。
≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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ダウ平均は24日も198ドル上げたが、この日は奇妙なことも持ち上がった。日本政府が為替市場で介入したという観測が流れ、円相場はいったん下落したがすぐに買い戻されている。どうやら介入はなかったようだが、この寸劇のために株価が大幅高となったにもかかわらず円相場も上昇してしまった。こういう現象はかなり珍しい。
今週も、その流れが尾を引くのかどうか。週明けの動きが注目される。また先週はニューヨーク市場の金相場が、とうとう1オンス=1300ドルに到達した。この勢いも持続するのかどうか。一方、日経平均は先週154円の下げ。日中間の緊張状態もあって、冴えなかった。中国人船長の釈放が、どういう影響をもたらすのか。
今週は27日に、8月の企業向けサービス価格と貿易収支。29日に、日銀の短観。30日には、8月の商業販売と鉱工業生産、住宅着工。1日には、8月の労働力調査、家計調査、消費者物価、、新車販売台数が発表になる。またアメリカでは28日に、7月のSPケースシラー住宅価格とコンファレンスボードによる9月の消費者信頼感指数。1日には、9月の新車販売台数。さらにユーロ圏の8月の失業統計が発表される。
≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 円相場は前年比8円60銭高 = 財務省が27日発表した8月の貿易統計によると、輸出は5兆2241億円で前年比15.8%の増加。輸入は5兆1209億円で17.9%の増加だった。この結果、黒字額は1032億円で37.5%減少。15か月ぶりに減少を記録した。輸入の増大は、液化天然ガスや鉄鉱石の輸入が多額だったため。
ここで気になるのは、輸入の増大よりも輸出の伸びが目立って縮小したことだ。輸出額の前年比伸び率をみると、5月の32.1%から6月は27.7%、そして7月の23.5%から8月は15.8%にまで低下してきた。もちろん昨年の輸出はリーマン・ショックからの回復途上にあった。したがって前年比の伸び率が縮小することは、ある程度やむをえない。
だがリーマン・ショック前の08年と比べても、輸出の回復力は明らかに落ちている。たとえば6月の場合は、08年に対する回復率は82%だった。それが7月は79%に、さらに8月は74%に下がってきている。この3か月間をみる限り、日本の輸出はその回復力を失いつつあると言えるだろう。
アメリカやヨーロッパ諸国の景気が停滞気味なことも、その一因だろう。しかし好調なアジア諸国に対する輸出も、伸び率を低下させている。主たる原因はやはり円高。財務省によると、8月の平均為替レートは1ドル=86円37銭。前年同月より8円60銭高かった。円高を止めないと、輸出主導の景気回復はストップする。
≪27日の日経平均 = 上げ +131.47円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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ここで気になるのは、輸入の増大よりも輸出の伸びが目立って縮小したことだ。輸出額の前年比伸び率をみると、5月の32.1%から6月は27.7%、そして7月の23.5%から8月は15.8%にまで低下してきた。もちろん昨年の輸出はリーマン・ショックからの回復途上にあった。したがって前年比の伸び率が縮小することは、ある程度やむをえない。
だがリーマン・ショック前の08年と比べても、輸出の回復力は明らかに落ちている。たとえば6月の場合は、08年に対する回復率は82%だった。それが7月は79%に、さらに8月は74%に下がってきている。この3か月間をみる限り、日本の輸出はその回復力を失いつつあると言えるだろう。
アメリカやヨーロッパ諸国の景気が停滞気味なことも、その一因だろう。しかし好調なアジア諸国に対する輸出も、伸び率を低下させている。主たる原因はやはり円高。財務省によると、8月の平均為替レートは1ドル=86円37銭。前年同月より8円60銭高かった。円高を止めないと、輸出主導の景気回復はストップする。
≪27日の日経平均 = 上げ +131.47円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 2年間で8割超す高騰 = 金の先物相場が、とうとう1トロイオンス=1300ドルに到達した。ニューヨーク市場の金相場はこのところ連騰、28日には1309.2ドルとなって史上最高値を更新した。年初来の上昇率は19%、08年11月の安値からみると実に84%の上昇となる。
高騰の主たる理由は、FRBがいっそうの金融緩和政策を進めるだろうという観測。そうなればドル安がさらに進行して、金に対する信頼が高まる。また余剰資金が金市場に流れ込むという思惑も働いているようだ。08年のリーマン・ショック、ことし春のギリシャ問題、そして今回はアメリカの景気不安。世界経済にきしみが走るたびに、金は確実に買われている。
国際相場の高騰を反映して、東京の小売り価格も上昇している。28日の店頭小売り価格は1グラム=3710円だった。この水準は、08年の安値に比べると67%高。また10年前と比較すると、3.7倍になっている。ニューヨークより上昇率が小さいのは、この間に円の相場が高くなったため。
日本にとって、金の高騰にはどんな意味があるのだろう。もちろん、金を保有している個人にとっては朗報だ。だが日本経済全体にとっては、あまり嬉しいことではない。とにかく金相場の上昇はドル安の裏返し。つまり円高が進むことを意味する。また国としての金保有高は、09年末現在で765トン。外貨準備高の2.4%を占めるにすぎない。ドイツの保有高は3408トン、準備率に占める割合64.6%などに比べても、金高騰の恩恵はきわめて少ない。
≪27日の日経平均 = 下げ -107.38円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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高騰の主たる理由は、FRBがいっそうの金融緩和政策を進めるだろうという観測。そうなればドル安がさらに進行して、金に対する信頼が高まる。また余剰資金が金市場に流れ込むという思惑も働いているようだ。08年のリーマン・ショック、ことし春のギリシャ問題、そして今回はアメリカの景気不安。世界経済にきしみが走るたびに、金は確実に買われている。
国際相場の高騰を反映して、東京の小売り価格も上昇している。28日の店頭小売り価格は1グラム=3710円だった。この水準は、08年の安値に比べると67%高。また10年前と比較すると、3.7倍になっている。ニューヨークより上昇率が小さいのは、この間に円の相場が高くなったため。
日本にとって、金の高騰にはどんな意味があるのだろう。もちろん、金を保有している個人にとっては朗報だ。だが日本経済全体にとっては、あまり嬉しいことではない。とにかく金相場の上昇はドル安の裏返し。つまり円高が進むことを意味する。また国としての金保有高は、09年末現在で765トン。外貨準備高の2.4%を占めるにすぎない。ドイツの保有高は3408トン、準備率に占める割合64.6%などに比べても、金高騰の恩恵はきわめて少ない。
≪27日の日経平均 = 下げ -107.38円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 短観は追加緩和の必要性を明示 = 日銀は29日、9月分の企業短期経済観測調査を発表した。それによると、大企業・製造業の業況判断DI はプラス8で、前期より6ポイント改善した。しかし先行きを予測するDI はマイナス1に低下。4月以降やっとプラスに這い上がったDI は、再び水面下に沈み込む見通しだ。
16業種のうち、先行きが悪化すると見込む業種は11にのぼった。特に自動車業界の悪化が激しい。自動車産業の9月のDI はプラス32だったが、先行きのDI はマイナス6で一挙に38ポイントも低下する。これは補助金政策の終了によるところが大きい。また製造業の場合は、円高の進行が経営見通しを暗くしている。
政府も景気をテコ入れするため、補正予算の編成を考えている。だが与野党間の調整は手間取っており、年内の成立はかなり微妙。そうなると、打つ手は金融政策しかない。そこで日銀が来週4-5日に開く政策決定会合に注目が集まる。国債の買い入れ増加など、意味のある金融緩和の追加策に踏み切れるかどうか。
日銀が自分で集計した短観は、明らかに追加の緩和策が必要なことを示している。日銀がまた決断できないと、産業界や市場は失望するだろう。実体経済がずるずると悪化したあとに緩和策を打ち出しても、効果はないに等しい。これまでに何度も繰り返した失敗を、こんどは回避してほしいものだ。
≪29日の日経平均 = 上げ +63.62円≫
≪30日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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16業種のうち、先行きが悪化すると見込む業種は11にのぼった。特に自動車業界の悪化が激しい。自動車産業の9月のDI はプラス32だったが、先行きのDI はマイナス6で一挙に38ポイントも低下する。これは補助金政策の終了によるところが大きい。また製造業の場合は、円高の進行が経営見通しを暗くしている。
政府も景気をテコ入れするため、補正予算の編成を考えている。だが与野党間の調整は手間取っており、年内の成立はかなり微妙。そうなると、打つ手は金融政策しかない。そこで日銀が来週4-5日に開く政策決定会合に注目が集まる。国債の買い入れ増加など、意味のある金融緩和の追加策に踏み切れるかどうか。
日銀が自分で集計した短観は、明らかに追加の緩和策が必要なことを示している。日銀がまた決断できないと、産業界や市場は失望するだろう。実体経済がずるずると悪化したあとに緩和策を打ち出しても、効果はないに等しい。これまでに何度も繰り返した失敗を、こんどは回避してほしいものだ。
≪29日の日経平均 = 上げ +63.62円≫
≪30日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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