fc2ブログ
経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
今週のポイント
2021-08-02-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 熱中症になった日本株 = 日経平均は先週264円の値下がり。終り値は2万7284円で、1月以来の安値に沈んだ。これで7月中は1507円の下落、全く元気がない。コロナの状況が急速に悪化、景気の見通しも暗くなっている。加えてオリンピック後に迫った総選挙。自民・公明の与党連合が政権を明け渡す可能性はないが、政局が不安定さを増す危険性は小さくない。市場はそれも心配し始めている。

ダウ平均は先週126ドルの値下がり。こちらもコロナの再燃が売りの原因になったが、月末を控えて利益確定の売りが出たことが大きい。それでも売りをこなして、大きくは下げない。まだまだ上げる意欲は旺盛だ。その根底には、企業の業績が予想以上に好調なこと。さらにFRBによる金融緩和政策の縮小も10月まではない、という見通しがある。

東証1部の予想PER(株価利益率)は、およそ15倍と14か月ぶりの低さに落ち込んだ。一方、SP500のPERは22倍を超えている。それだけ日本株の割安感は強まっているはずだが、その反応は鈍い。コロナの心配もさることながら、東京市場は熱中症にかかったようだ。何か強力な材料が出現しない限り、涼しくなるまでは元気が出ないのかもしれない。

今週は2日に、7月の消費動向調査と新車販売。6日に、6月の毎月勤労統計と景気動向指数。アメリカでは2日に、7月のISM製造業景況指数。4日に、7月の非製造業景況指数。5日に、6月の貿易統計。6日に、7月の雇用統計。また中国が7日に、7月の貿易統計を発表する。

        ≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ


          ☆Please click here ⇒ 人気ブログランキング
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
“独り負け”の日本 : GDP成長率
2021-08-03-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 米欧中は景気回復したのに = アメリカ・ユーロ圏・中国の景気回復が、4-6月期のGDP統計で裏付けされた。いずれもワクチンの接種が進んだことから、経済活動がかなり正常化。これがGDP統計にも反映されて、成長率は大きく上昇している。そうしたなかで、日本の成長率は微増の予測。この面でも“独り負け”の様相が濃くなってきた。なぜなのか。

アメリカ商務省が29日発表した4-6月期の実質GDP成長率は、年率換算で6.5%だった。1-3月期の6.3%をやや上回り、GDPの実額はコロナ前の水準を取り戻している。またEU統計局が30日発表したユーロ圏の4-6月期の実質成長率は、年率8.3%とかなり高くなった。7-9月期には、コロナ前の水準に達すると予測されている。さらに中国の4-6月期の成長率は、年率換算で5.3%だった。

日本の4-6月期GDP速報は、まだ発表されていない。内閣府が16日に発表する予定。だが事前の民間予測では、0.7%程度の低い成長率が見込まれている。この予測通りなら、GDPの水準はコロナ前を1.8%下回り、日本の“独り負け”が明瞭になる。その大きな理由は、ワクチン接種が遅れたこと。コロナの拡大を食い止められず、緊急事態宣言を続けることになってしまったからだ。

それだけではない。アメリカやEU、それに中国は、コロナ対策と同時に大規模な景気対策も実施した。たとえばアメリカは総額1兆9000億ドル(約200兆円)のインフラ強化支出を実現させた。日本も3回に及ぶ補正予算で75兆円にのぼる財政支出を準備したが、その多くはコロナ対策。結果的に30兆円を超える予算を使い残してしまった。目先のことだけを考え、将来展望を忘れたことになる。この“失政”も、日本独り負けの原因となった。

        ≪2日の日経平均 = 上げ +497.43円≫

        ≪3日の日経平均は? 予想 = 下げ


          ☆Please click here ⇒ 人気ブログランキング
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
盲点は 通勤電車だ!
2021-08-04-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 職場や家庭の感染源に? = コロナの新規感染者が全国では1日で1万人、東京都では4000人を超えてきた。政府は東京・大阪など6都府県に緊急事態宣言を発令、店舗での酒類提供を禁止している。ところが繁華街への人出はあまり減らず、感染者の増加傾向が止まらない。テレビでは連日のように、渋谷のスクランブル交差点や浅草雷門の人流を映し出し、不要不急の外出を止めるよう呼びかけている。

繁華街への人出や飲み会などが、コロナ感染の機会を増やしていることは確かだろう。だが大きな盲点は、朝の通勤電車ではないのか。時刻や路線によっては、予想以上に混んでいる。3密どころではない。スクランブル交差点より、はるかに人の密度は大きい。しかも長い時間、人と人との接触は続く。誰が濃厚接触者かも判らない。

東京都の場合でみると、50歳代以下の感染者が多くなってきた。また感染源は、職場と家庭が目立つという。では50歳代以下の人たちが繁華街をうろついているのかというと、そんな人はごく少数だ。ただ仕事を持っている人は多いから、電車には乗る。そこで感染者が多くなり、ウイルスを職場や家庭に運んでしまうのではないか。

不思議なことに、政府や自治体あるいは専門家も、通勤電車の危険性について警告する人はいない。テレワークの奨励はしているが、出来る人は限られる。だから政府がいまやるべきことは、通勤電車の実態調査、時差出勤の奨励、ホームへの入場制限、ラッシュ時の運賃引き上げなど。素早く実施すれば、感染者の増加抑制に大きな効果があると考えるのだが・・・。

        ≪4日の日経平均 = 下げ -57.75円≫

        ≪5日の日経平均は? 予想 = 下げ


          ☆Please click here ⇒ 人気ブログランキング
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
寿命が延びた国・縮んだ国 : コロナ
2021-08-06-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日本は男女とも9年連続で延びた = 厚生労働省が発表した20年の平均寿命は、女性が87.74歳、男性が81.64歳だった。前年に比べると、女性は0.30歳、男性は0.22歳延びている。ともに過去最高で、9年連続の延長を記録した。腫瘍・心疾患・脳血液疾患などでの死亡が減少したことによる。新型コロナ肺炎による死亡は平均寿命を引き下げたが、その程度は小さかった。

国際的にみても、女性の平均寿命は世界第1位。第2位は韓国、第3位はシンガポール。日本女性の世界一は1985年から36年間も続いている。また男性はスイスに続いて、世界第2位だった。このように日本人の平均寿命は、20年でみる限りコロナの影響はほとんどなかった。むしろ手洗いや消毒が励行され、インフルエンザの流行が抑えられたため、平均寿命は引き上げられたとも考えられている。

アメリカCDC(疾病対策センター)の発表によると、20年の男女を合わせた平均寿命は77.3歳で、前年より1.5歳も縮小した。主たる理由はコロナ肺炎による死亡者の増加。第2次大戦中だった1943年の2.9歳縮小以来の記録となっている。平均寿命の縮小幅は、白人が1.2歳だったのに対して黒人は2.1歳にのぼった。

新型コロナ肺炎がその国の平均寿命に及ぼす影響は、ほぼ死亡者の数に比例する。アメリカの場合、20年の死亡者数は37万5000人。日本は3500人にとどまった。ことしになっても、この傾向は続いている。1-7月間でみると、アメリカの死亡者数は約24万人、日本は1万1600人だった。したがってアメリカは21年も、コロナで平均寿命が縮小する可能性が大。日本も安心は出来ないところまで来ていると言えるだろう。

        ≪5日の日経平均 = 上げ +144.04円≫

        ≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ


          ☆Please click here ⇒ 人気ブログランキング
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
死者が語る コロナ肺炎の危険度 (73)
2021-08-07-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 感染者は世界2億人、日本は100万人 = 世界の感染者数は累計2億0024万人、この1週間で427万人増加した。死亡者数は425万6850人で、前週より6万9404人増えている。感染者の増加は4月下旬から縮小傾向にあったが、6月末からは再び拡大した。感染者が1億人に達するまでは約1年、そこから2億人になるまでは半年しかかかっていない。最近はインド発症のデルタ型変異ウイルスが猛威を振るっており、新型コロナ・ウイルスの逆襲が始まったようだ。

国別の死亡者数をみると、アメリカが61万4815人でいぜん断トツ。この1週間で3002人増えており、勢いが強まっている。次いでブラジルが55万人台、インドが42万人台、メキシコが24万人台。さらにロシアが15万人台、イギリスが13万人台、イタリアが12万人台、フランスが11万人台。そしてインドネシアが10万人台、ドイツが9万人台と続く。インドネシアは1週間で1万3716人の増加。最悪の状態が続いている。

日本の感染者数は累計98万6453人、この1週間で8万3125人増えた。来週は100万人を超えるだろう。死亡者は1万5241人で、前週より66人増えた。ワクチンのおかげで死亡者の増加は抑えられているが、感染者は全国で1日1万人を突破。東京都は5000人を超えている。政府は緊急事態宣言やまん延防止措置の適用を拡大したが、急激な拡散は収まりそうにない。都市封鎖のための法制整備を急ぐ必要があるだろう。

デルタ型変異ウイルスは、なかなか手ごわい。WHO(世界保健機構)によると、デルタ型の発症は世界135か国で確認された。またアメリカCDC(疾病対策センター)の発表によると、マサチューセッツ州で起きた集団感染の場合、感染者の74%がワクチン接種済みだったという。こうなると、3回目の接種が必要になってくるのかもしれない。コロナの反撃力は、想像以上に強い。

        ≪6日の日経平均 = 上げ +91.92円≫

        【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】     


          ☆Please click here ⇒ 人気ブログランキング
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
今週のポイント
2021-08-09-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ ダウは着々と新高値を更新 = ダウ平均は先週273ドルの値上がり。終り値は3万5209ドルで、またまた史上最高値を更新した。利益確定売りをこなして一進一退しながらも、確実に水準を切り上げている。コロナの再拡大は重荷だが、プラス志向は衰えない。FRBによる金融緩和政策の縮小は11月からという見方が固まり、市場は織り込んだ形。このため7月の雇用統計が予想以上に好調だったことも、緩和修正の前倒しにつながるとは受け取らず、素直に好感した。

日経平均は先週536円の値上がり。だが終り値は、まだ2万8000円に届かない。ニューヨークの株価が上がると東京の出遅れ感が強まり、日経平均も買われる。しかし4-6月期の企業決算が予想を上回っても、反応は鈍い。オリンピックの効果も結局は出なかった。それもコロナの再拡大で、景気の先行きが再び不鮮明になったためである。

市場を取り巻くこうした状況は、今週も続きそうだ。ダウは3万5000ドルを踏み固め、さらに上を目指すだろう。一方、日経平均はいぜんとしてコロナに頭を抑えられ、大きくは上がらない。だがニューヨークが堅調な限り、大きく下げることもない。そして市場の次の関心事は、総選挙と政局に移って行く。

今週は10日に、7月の景気ウオッチャー調査。12日に、7月の企業物価。アメリカでは11日に、7月の消費者物価。12日に、7月の生産者物価。13日に、8月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が9日に、7月の消費者物価と生産者物価を発表する。

        ≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ


          ☆Please click here ⇒ 人気ブログランキング
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
金融緩和の縮小開始は 11月 : アメリカ
2021-08-11-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 利上げは来年後半になる? = 金融緩和政策の縮小については「今後、複数回の政策決定会合で議論し決める」--アメリカの中央銀行であるFRBは先週、こんなナゾナゾのような声明を発表した。次の決定会合は9月だが、そこでは決めない。10月は休みだから、その次は11月になる。つまり緩和政策の縮小は11月からだ。市場はこう読み解いた。だが株価はほとんど動かなかった。というのも投資家の多くが、すでにそう考えていたからである。

中央銀行がここまで手の内を明かしても、株価が動かない。これはFRBが時間をかけて、市場に説明を続けてきた成果だろう。たとえば物価や雇用情勢、金利と緩和政策の関係など。市場は十分に洗脳された。物価にしても雇用にしても、重要なのは9月の状態。それが判明するのは10月になるから、11月に政策を決定するのは当然だと考えるようになった。

追い討ちをかけるように、クラリダ副議長が金利引き上げの時期についても言及した。講演で「22年末になれば、利上げの条件は整うだろう」と予想したのである。緩和政策の縮小を完了するまでには、時間がかかる。だから約1年後には、利上げで引き締め政策に転換する。そのころには、景気も順調な上昇過程に入っているだろうというわけだ。

これもFRBの市場説得作戦。いまから来年後半の利上げを、納得させようとしている。だが1年後のことになると、コロナの勢いとも関連して景気の状態がどうなっているのか不鮮明だ。さらにFRB内部でも「インフレに備えるため、利上げは急ぐべきだ」と主張するタカ派と「雇用の回復を図るため、急ぐべきではない」と考えるハト派が対立していることも確か。だから市場もなかなか洗脳されない。FRBは今後どういう説得作戦を展開するのだろうか。

        ≪10日の日経平均 = 上げ +68.11円≫

        ≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ
         

               ☆Please click here ⇒ 人気ブログランキング



ページトップへ  トラックバック0 コメント0
“アキレス腱”は 少子化の進行 / 中国 (上)
2021-08-12-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 一党独裁でも子どもは増やせない? = 「このままだと、22年にも人口は減少に転じる」「極端な少子高齢社会に突入する」--いま中国では、こうした専門家の警告が大々的に報じられている。1979年に始めた“一人っ子政策”の悪影響が、ここへきて一気に出始めた。このため習近平政権は7月、3人目の子ども出産に対する罰金を廃止、子育て環境を改善するための総合政策を策定することになった。

中国の人口は、いま14億人を超えている。1981年には10億人に達したが、その当時の政権は食料不足などを心配して、人口の増加を抑えることになった。それが“一人っ子政策”である。2人目の出産は罰金や強制手術などで、厳しく抑え込んだ。その後16年からは2人目までを認めたが出生数は増加せず、20年の出生数は1200万人。前年より18%も減少している。

そこで今回は、3人目の出産まで認めることになった。しかし“一人っ子政策”で減少した子たちが、いま子どもを産む年代を迎えている。だから基本的に母数が小さくなっている。加えて結婚や子育ての環境が、きわめて悪くなった。不動産価格の高騰で、結婚するのに住宅が取得できない。教育費がかさみ、とても複数の子どもは育てられない。保育所の数が足りない・・・。

習政権は、保育サービスの拡充・教育の公平性・教育費の軽減など、少子化の進行を食い止めるための総合政策を策定する方針。一党独裁の国家だから、その実現は可能かもしれない。だが実効が上がるかは、きわめて疑問とみる専門家も多い。一人っ子に慣れた社会は、急に生活スタイルを変えられないとみるわけだ。それに結婚・出産は、いかに中国でも強制は不可能だと思われる。

                            (続きは明日)

        ≪11日の日経平均 = 上げ +182.36円≫

        ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ

         
             ☆Please click here ⇒ 人気ブログランキング
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
“アキレス腱”は 少子化の進行 / 中国 (下)
2021-08-13-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ これではアメリカに勝てない! = 少子化が進めば、人口は減少する。すでに中国の生産年齢人口(15-64歳)は14年から減り始め、昨年は13年に比べて4%減少した。この傾向は日本の例をみても判るように、経済成長の大きな阻害要因になる。習近平政権にとっては一大事。だから少子化を止めるために、3番目の子どもを産んでもよいことにした。保育所の増設や教育費の軽減なども、すぐに実現されるだろう。

しかし40年にわたった産児制限で、社会の風潮はすっかり変わってしまった。若者は結婚したがらず、晩婚化ガ進む。結婚しても、子どもを欲しがらない。また一人っ子だから、いい大学に入れて給料の高い会社に就職させたい。この親心が、激烈な競争社会を生むことになった。教育費も高騰した。

最近、若者の間で「寝そべり主義」という言葉が流行っている。競争を止めて、一生をのんびり過ごした方がいいという主張だ。こんな風潮が広まった根底には、貧富の格差がある。ごく一部の金持ちがタワマンに住み、高級車を乗り回す。その一方で大部分の国民は、貧困から脱せない。そんな状況を冷めた目で見た結果が「寝そべり主義」なのだろう。

人口が減少するうえに、国民がやる気をなくせば、経済は明かに衰退するだろう。習近平主席が最大の目標に掲げる「アメリカに追い付き追い越す」ことも出来なくなる。ところが少子化の元凶となった「一人っ子政策」は、もともと共産党の発想だった。だから「少子化は悪である」とまでは言えない。せいぜい「第3子はOK」が限度だろう。習政権のジレンマである。

        ≪12日の日経平均 = 下げ -55.49円≫

        ≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ


          ☆Please click here ⇒ 人気ブログランキング
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
死者が語る コロナ肺炎の危険度 (74)
2021-08-14-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ なぜ都市封鎖の準備をしないのか = 世界の感染者数は累計2億0474万人、この1週間で450万人増えた。死亡者数は432万4587人、1週間で6万7737人増加した。感染者の増加数は前週より増えたが、死亡者の増加数はやや縮小している。ただアメリカとメキシコでは、死亡者が前週より増加した。インドネシアでは1週間の死亡者が1万1288人にのぼっており、いぜん最悪の状態が続いている。

国別の死亡者数を累計でみると、アメリカが61万人台、ブラジルが56万人台、インドが42万人台、メキシコが24万人台。次いでロシアが16万人台、イギリスが13万人台、イタリアが12万人台、インドネシアとフランスが11万人台、ドイツが9万人台となっている。このほか東南アジアでは、フィリピンが3万人近く、マレーシアが1万1700人に増加した。

日本の感染者は累計108万9549人、この1週間で10万3096人増えた。前週より1万9971人拡大している。死亡者は1万5359人で、118人の増加。前週より52人増えている。状況はいぜん悪化しているわけだ。オリンピックは閉幕したが、東京など大都市での人出はむしろ増加した。入院できない患者数も増大しており、専門家は「医療体制の崩壊」を危惧している。

政府は東京都などの6都府県に緊急事態宣言、北海道などの13道府県にまん延防止等重点措置を発令した。だが、これでコロナが終息するかどうかは見通せない。いまは万一の場合に備えて「都市封鎖」が出来るよう、法的な準備をする必要があるのではないか。菅首相は「国民の安全安心のためには、なんでもやる」と繰り返し述べているが、政府・与党に「都市封鎖」の声はない。この決断力のなさが、国民の不安を助長している。

        ≪13日の日経平均 = 下げ -37.87円≫

        【今週の日経平均予想 = 2勝2敗】     


          ☆Please click here ⇒ 人気ブログランキング
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
今週のポイント
2021-08-16-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ NYは高値追い、東京は足踏み = ダウ平均は先週307ドルの値上がり。終り値は3万5515ドルとなり、またまた史上最高値を更新した。高値での売り物をこなし、堅実に水準を切り上げている。7月の雇用が予想以上によかったこと、上院が1兆ドルのインフラ予算を可決したことなどが好材料となった。これで年初来の上げ幅は4900ドルに達した。

日経平均は先週157円の値上がり。しかし終り値では、2万8000円をわずかに割り込んだ。ちょうど1か月前の水準と同じだから、ずっと足踏みを続けていたことになる。年初来の上げ幅は533円。3月期決算では35%の増益になる見通しだが、株価にはあまり反映されない。というのもコロナの状態が悪化し、企業業績の先行きが不透明だからだ。

アメリカでは、7月の卸売り物価が前年比7.8%も高騰した。この上げ率は異常であり、市場もインフレ懸念から目をそらすわけにはいかなくなった。特にFRBの見解に注目が集まるだろう。一方、日本では“政治の季節”がやってくる。その先駆けは、22日に投開票が行われる横浜市長選挙。その結果次第では、政局が一気に動き出す可能性がある。

今週は16日に、4-6月期のGDP速報。17日に、6月の第3次産業活動指数。18日に、7月の貿易統計と6月の機械受注。20日に、7月の消費者物価。アメリカでは17日に、7月の小売り売上高と工業生産。18日に、7月の住宅着工戸数。また中国が16日に、7月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。

        ≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ


          ☆Please click here ⇒ 人気ブログランキング
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
GDP成長率1.3%は 失政の証し
2021-08-17-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 先進国のなかでは独り負け = 内閣府は16日、ことし4-6月期のGDP速報を発表した。それによると、実質成長率は年率で1.3%だった。判りやすいように各項目を年率換算でみると、個人消費は3.5%、企業の設備投資は7.0%、輸出は12.3%の増加となっている。設備投資は予想以上に伸びたが、個人消費は東京・大阪などへの緊急事態宣言発令のため伸びなかった。また輸出は、輸入が21.9%も増加したため成長要因とはならなかった。

実質成長率はコロナの影響で、ことし1-3月期にはマイナス3.7%に落ち込んだ。それがプラス成長に戻ったため、新聞やテレビは「2四半期ぶりにプラス回復」と解説している。だが国際的に比較すると、この成績は最低。たとえばアメリカは6.5%、ユーロ圏は8.3%、イギリスにいたっては20.7%、中国も5.3%の成長を達成した。日本の独り負けなのである。

最も大きい原因は、ワクチンの確保に後れをとったこと。これが最大の失政だったことは明白だ。だが発表されたGDP速報を点検すると、もう1つ大事な点に気が付く。それは公的資本形成が5.7%の減少となっていること。つまり政府の景気対策が不足し、成長率の押し下げ要因になっている。この点が欧米諸国や中国との差になった。

政府はコロナ対策として、20年度中に3回の補正予算を編成。総額75兆円もの予算を追加した。しかし、その内容は休業した店舗への補償やGO TO トラベルなど目先の対策に終始。挙句の果てに30兆円を使い残している。同時にインフラ投資などを進めた欧米諸国のような、将来を見据えた政策に欠けていた。その結果がGDPに表われたとすれば、これは失政と言わざるをえない。

         ≪16日の日経平均 = 下げ -453.96円≫

         ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ


          ☆Please click here ⇒ 人気ブログランキング

ページトップへ  トラックバック0 コメント0
バイデン大統領の 正念場
2021-08-18-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 超党派で1兆ドル予算を可決したが = アメリカ上院は先週、総額1兆ドル(約110兆円)の「インフラ投資法案」を可決した。道路・橋、鉄道・電力網、EV充電施設などの新設、補強工事に使われる。採決では19人の共和党議員が賛成に回り、関係者をびっくりさせた。バイデン大統領は予算の総額を当初案より削り、また法人税の引き上げを見送ることで一部の共和党議員を懐柔。予想を上回る柔軟性を発揮したと評価されている。

バイデン政権は来年度予算の骨格となる「予算決議案」も、先週の上院で可決させた。総額は10年間で3兆5000億ドル(約386兆円)、幼児教育や子育て減税など、バイデン大統領の「アメリカ家族計画」を具体化した内容。企業や富裕層への増税案も含まれている。この「予算決議案」は「インフラ投資法案」と合わせて、下院に送られる。ところが下院は共和党が過半数を制しているから、難航するに違いない。バイデン大統領が、ここでも手腕を発揮できるかどうか。

ことし1月に誕生したバイデン政権。ここまでの成績は、かなり評価されていい。国内ではコロナで傷んだ景気の回復に成功、雇用情勢の改善も予想を上回っている。また国際面では、トランプ前大統領が破壊した西側同盟の再構築を果たしたと言えるだろう。法人税率の最低限度を設定したり、地球温暖化の抑制に向けたパリ協定へ復帰するなど、世界を大きく動かした。

もちろん、手つかずの問題も多い。膨れ上がった財政赤字の処理、分断された国民感情の修復。中国との関係、イランやアフガニスタンへの対応。どれ1つをとっても、きわめて難しい問題が山積している。そして来年11月の中間選挙。それまでにバイデン大統領が、どんな手を打つのか。前向きな評価が重ならなず、中間選挙に勝てないと、これまでの努力が水泡に帰してしまう可能性がある。正念場だ。

        ≪17日の日経平均 = 下げ -98.72円≫

        ≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ

         
               ☆Please click here ⇒ 人気ブログランキング
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
驚異の20%成長 / イギリス
2021-08-19-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日本は1.3%成長だったのに = イギリス統計局が発表した4-6月期のGDP速報によると、実質成長率は前期比で4.8%だった。これを年率換算すると、なんと20.7%という驚異的な数字になる。個人消費と政府支出が大きく伸びた。前期がコロナ不況でマイナス6.1%に落ち込んだことの反動、それにワクチン接種が進んで規制が段階的に解除された効果が加わった。それにしても、20%という成長率には目を見張る。

たとえばイギリスが離脱したばかりのEU。ユーロ圏19か国の4-6月期の成長率は、年率8.3%だった。アメリカは6.5%、日本はわずか1.3%しか成長していない。どうして、こんなに大きな差が生じたのだろうか。ことし1-3月期、イギリスではコロナの感染が爆発、ロンドンを含むイングランド全体のロックダウン(都市封鎖)が実施された。その後、ワクチンの接種が進み、4-6月期には飲食店の屋外営業が許可されている。

イギリス経済はEU離脱によって、少なからず打撃を被った。さらに4-6月期は半導体の不足で、自動車の生産が大きく落ち込んでいる。にもかかわらず規制の緩和で、景気は驚くほどの回復をみせた。この状況をみたジョンソン首相は、7月19日から規制の全面解除を決断。コロナ感染者が増えても経済を優先するという、大胆な“賭け”に打って出た。

この結果、イギリスのコロナ感染者は1日平均3万人近くも増加している。しかしワクチンの効果で、死亡者は1週間で500-600人程度に抑えられている。濃厚接触者は自宅待機を求められるが、街の風景はコロナ前の状態に戻った。このことは厳しい都市封鎖をすれば、解除によって経済は急激に回復することを示している。日本は規制が緩いから、解除しても成長率が低いのだろう。

       ≪18日の日経平均 = 上げ +161.44円≫

       ≪19日の日経平均は? 予想 = 下げ


          ☆Please click here ⇒ 人気ブログランキング

ページトップへ  トラックバック0 コメント0
菅首相の 重大な誤認 : 都市封鎖
2021-08-20-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 誰も誤解を正さないのか = 「海外では罰金まで導入したが、効果がなかった」--記者会見で「都市封鎖の必要性」を聞かれた菅首相は、こう言って切って捨てた。だが、この認識は全くの誤解である。多くの国々で、都市封鎖は効果を挙げた。ただ都市封鎖は経済に深刻な影響を与えるから、みな早々に解除する。このためコロナが再拡大してしまい、効果がなかったように見えるだけだ。

都市封鎖というのは、コロナの感染拡大を阻止するため、人々の外出や行動を厳しく制限する措置。英語の lock down は監禁という意味。国によって規制の内容は異なるが、買い物などを除く外出を禁止する場合が多い。最初にコロナが発生した中国をはじめ、イギリス・フランス・イタリア・スペインなどのヨーロッパ諸国、それにアメリカの大都市でも実施された。現在は感染者が増加してきたタイなどの東南アジア諸国で、実施する国が多くなってきた。

外出を禁止すれば、人と人との接触はなくなる。ウイルスは伝染できなくなるから、その効果は絶大だ。昨年のいまごろは感染者の急増に悩んでいたヨーロッパ諸国がいま平静を取り戻しているのは、都市封鎖とワクチンのおかげと考えていい。ただ都市封鎖は経済活動も封じ込めてしまうから、長くは実施できない。要するに劇薬であり、最終手段と位置づけるべきである。

だから日本も、できれば都市封鎖などしたくはない。しかし医療体制が完全に崩壊しては一大事だから、万一に備えて都市封鎖が出来るような法的準備をしておくべきだ。そういう意見が、いま強まっている。そんなときの首相発言である。その重大な誤解を正すよう注意する人は、周囲にいないのだろうか。また問題視しないマスコミの態度も、理解に苦しむ。

        ≪19日の日経平均 = 下げ -304.74円≫

        ≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ



            ☆Please click here ⇒ 人気ブログランキング


ページトップへ  トラックバック0 コメント0
死者が語る コロナ肺炎の危険度 (75)
2021-08-21-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 東南ア感染で自動車が大幅減産 = 世界の感染者数は累計2億0931万人、この1週間で457万人増えた。死亡者数は439万3014人で、6万8427人の増加。コロナの勢いは、全体として前週と変わっていない。死亡者はアメリカ、メキシコ、ロシアで増勢を拡大した。また東南アジア諸国での感染が強まり、この影響で部品の供給が不足したため、自動車メーカーは軒並み大幅な減産を余儀なくされている。

死亡者数を国別にみると、アメリカは62万4291人で5792人の増加。次いでブラジルが57万人台、インドが43万人台、メキシコが25万人台。さらにロシアが17万人台、イギリスが13万人台、イタリアとインドネシアが12万人台、フランスが11万人台、ドイツが9万人台と続いている。ヨーロッパ諸国の状態は落ち着きを取り戻しているが、イギリスとフランスの死亡者数は、ともに1週間で600人を上回った。

日本の感染者数は累計123万1752人、この1週間で14万2203人増加した。前週の増加数10万3096人を大きく上回っている。死亡者数は1万5544人で185人の増加。やはり前週の118人増を大きく上回った。政府は13都府県に緊急事態宣言、16道県にまん延防止措置を発令したが、繁華街への人出はあまり減らない。専門家の多くは、さらなる規制が必要だと強調している。

コロナは東南アジアで勢いを増している。インドネシアの感染者数は累計393万0300人、過去2週間で36万人増加した。マレーシアは148万9460人で28万5000人の増加、タイも98万9859人で29万6000人の増加だった。このため、これら諸国での部品生産がストップし、世界の自動車メーカーは大幅な減産を余儀なくされている。たとえばトヨタ自動車も、9月の世界生産を4割ほど削減する見通しだ。

        ≪20日の日経平均 = 下げ -267.92円≫

        【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】     


            ☆Please click here ⇒ 人気ブログランキング
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
今週のポイント
2021-08-23-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日経平均は年初来安値に = ダウ平均は先週395ドルの値下がり。7月の小売り売上高が予想以上に減少、景気の先行きに不安を生じたこと。FRBが7月の政策決定会合に関する議事要旨を発表、金融緩和政策の縮小が早まる見通しになったこと。これらが売り材料になった。いかし安値では買い物も入り、終り値は3万5000ドルを死守した格好。まだまだ地合いは強い。

日経平均は先週964円の値下がり。終り値は2万7013円で、年初来安値を更新してしまった。ニューヨーク市場の軟調もあったが、基本的にはコロナ蔓延に対する不安の増大。秋の政局不安。この2つの不安が、株価を引き下げている。また部品の供給不足による自動車の大幅減産も、売り材料になった。企業の3月期決算は予想を上回る内容になったが、あまり株価には反映されなかった。

今週も市場を巡る環境に、大きな変化はないだろう。ニューヨーク市場では、やはり金融政策の修正が中心的なテーマになる。緩和の縮小が始まっても平気だという強気論が大勢を占めれば、株価はまた上がり出す。一方、東京市場は好材料が見つけにくい。コロナの勢いが衰えるまでは、低迷が続く可能性が高い。

今週は26日に、7月の企業向けサービス価格。27日に、東京都区部の消費者物価。アメリカでは23日に、7月の中古住宅販売。24日に、7月の新築住宅販売。26日に、4-6月期のGDP改定値が発表される。

        ≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ


            ☆Please click here ⇒ 人気ブログランキング
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
金融緩和時代の 終わり
2021-08-24-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 文書で再確認したFRB = FRBは先週18日、7月27-28日に開いたFOMC(公開市場委員会)の議事要旨を公表した。FOMCは政策決定会合。公表された文書には「ほとんどの参加者が、年内に資産購入額を減らすことが適切だと判断した」と明記されていた。これは想定外の事態でも発生しない限り、FRBが早ければ9月、遅くとも11月のFOMCで、量的金融緩和の縮小に踏み切ると宣言したことになる。

これまでFRBは、パウエル議長はじめ幹部が議会証言や記者会見、講演などを通じて金融緩和縮小の時期に言及。時間をかけて市場を洗脳してきた。その結果、市場は「年内の縮小開始」を十分に予想していた。だが文書の形で再確認されると、やはり動揺は免れない。このため先週のダウ平均は400ドル近く下落した。

しかし市場はすぐに元気を取り戻し、強気論が頭を持ち上げている。たとえば「資産購入の減額が始まっても、市場への資金供給は続く。だから株式はまだ買われる」という主張。あるいは「減額は1年以上もかかるから、利上げなどの引き締めはずっと先の話。それまでに景気が下降すれば、量的緩和の縮小さえ出来なくなる」という予想。

市場が1つだけ心配するのは、インフレの進行だ。現在の物価上昇が秋以降も続けば、FRBも段階的な資産購入の縮小などとのんびり構えてはいられない。すぐにも買い入れを止め、金利を引き上げる可能性もなくはない。いずれにしても10年間続いた金融緩和時代は、終焉に向かいそうだ。さて、日銀はどう動いたものか。

        ≪23日の日経平均 = 上げ +480.99円≫

        ≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ


            ☆Please click here ⇒ 人気ブログランキング




ページトップへ  トラックバック0 コメント0
電気ショックの 自動車産業 (上)
2021-08-25-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ EV化に向けてトップ・ギア = 自動車を電動化する動きが、世界で加速している。最初にギアを入れたのはEUで、ことし7月14日に「35年にガソリン車、HV(ハイブリッド車)の販売を禁止する」と発表した。次いでアメリカも旗を上げる。バイデン大統領は8月5日「30年の新車販売の5割をEV、FCV(燃料電池車)、PHV(プラグイン・ハイブリッド車)とする」大統領令に署名した。言うまでもなく、地球温暖化ガスの排出を抑制するための措置である。

世界最大の自動車市場である中国も、EV化に向けた目標を打ち出している。その内容は「35年までに新車販売の5割をEV、5割をHVにする」というもの。政府は中間的な目標として「25年にEVの生産500万台」も掲げた。中国の場合、ガソリン車やHVでは欧米や日本のメーカーに太刀打ちできない。そこでEV、特に小型EVで世界をリードしようという野心が秘められている。

EV化の流れは、加速することはあっても止まることはない。こう察知した自動車メーカーは、次々とEV化計画を発表している。たとえばGMは「35年までにすべての生産をEVに切り替える」方針。スゥエーデンのボルボは「30年までにEV専業メーカーになる」と発表。またドイツのフォルクスワーゲンは「30年までにEV用電池工場を6か所建設する」計画だ。

ここで注意すべき点が2つ。まず各国の政策が微妙にズレていること。たとえばEUでは35年になると、HVは売れなくなる。しかしアメリカでは5割までなら販売できる。これが日本のメーカーにとっては、悩みのタネになる。もう1点は、いくらEVへの切り替えが進んでも、電源がクリーンでなければ温暖化ガスの排出は減らない。この問題も、日本にとっては重荷になってくるだろう。

                          (続きは明日)

        ≪24日の日経平均 = 上げ +237.86円≫

        ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ


            ☆Please click here ⇒ 人気ブログランキング
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
電気ショックの 自動車産業 (中)
2021-08-26-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 零細企業でもEVは造れる = 「いま世界にEVメーカーは何社あるの?」と聞かれても、答えられない。アメリカで早くからEV専業メーカーとなったテスラが、生産でも販売でも断トツ。GMやトヨタなどの大メーカーはもちろん、電気メーカーやIT企業、さらに町工場のような中小・零細企業に至るまでが参入しているからだ。ガソリン車の製造は高度の技術を必要とするから、誰にでも出来るわけではない。しかしEVは、カネさえあれば簡単に参入できる。

一般的に言って、ガソリン車の部品は約3万。これに対して、EVの部品は1万5000程度。さらにガソリン・エンジンは構造が複雑だが、電気モーターは簡単に組み立てられる。たとえば町工場がモーターを製造、ボディを外注すれば、EVをすぐに売り出せる。だからメーカーは激増し、競争は激化する。

大変なのは、ガソリン・エンジンのメーカーと下請けの部品会社である。ドイツのダイムラーとフォルクスワーゲン、アメリカのGMとフォードは、すでに大量の早期退職者を募集した。自動車の製造部門に携わる人員は、アメリカが90万人、ドイツが80万人。そのドイツでは、EV化によって39万人が職を失うという試算が発表されている。ちなみに日本の場合、製造関連の雇用者は91万人、そのうちの69万人が部品関連となっている。

IEA(国際エネルギー機関)の集計によると、20年のEV、PCV販売は世界で300万台。前年より41%増加した。このうちヨーロッパが140万台、中国が120万台。この両国で大半を占めている。メーカー別ではテスラが50万台で断トツ。あとはGMやワーゲンなど既存の大メーカーが上位を占めているが、日本のメーカーは上位10社に名を連ねてはいない。

                             (続きは明日)

        ≪25日の日経平均 = 下げ -7.30円≫

        ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ


            ☆Please click here ⇒ 人気ブログランキング




ページトップへ  トラックバック0 コメント0
電気ショックの 自動車産業 (下)
2021-08-27-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日本メーカーが抱える複雑な悩み = 日本政府は「35年までにすべてを電動車にする」と公約した。だが。この電動車にはEVだけでなく、HVも含まれている。日本メーカーはHVの製造技術に優れているから、これを外すわけにはいかない。だから35年になっても、国内ではHVが売れる。またアメリカと中国では、制限付きだが販売できる。東南アジアなどの新興国でも大丈夫だろう。しかしEUでは売れなくなる。したがって日本メーカーは、EVとHVの二通りの工場を動かし、開発投資もしなければならない。

現状でも、日本のEVは同等のガソリン車に比べて100万円ほど高い。これからEVとHVの二兎を追いながら、海外のEV専業メーカーと闘えるのだろうか。すでに中国製の小型EVは50万円という安さ。佐川急便が7200台の購入を決めるなど、国内での競合も始まっている。高級EVはテスラ、安価な小型EVは中国製という評価が定まりつつあるなかで、日本メーカーはどんなEVを目指そうとしているのだろうか。

いくらEVが普及しても、それを走らせる電気が汚ければ地球温暖化ガスは減らせない。この問題に対処するため、EUは「国境炭素税」の導入を検討している。たとえば鉄鋼やアルミなど、汚い電気で造られた製品の輸入に税金をかけるわけだ。日本は発電の大半を石炭火力によっているから、自動車もこれに引っかかる可能性が高い。政府の脱炭素政策が進展しないと、この問題は解決しない。

EVには蓄電池が欠かせない。いかに安価で効率のいい蓄電池を開発できるか。今後のEV競争は、ここに尽きると言えるだろう。日本の電池技術は世界のトップ・ランク。次世代電池の開発で常にトップを走るためには、産官学で構成する司令塔が必要ではないか。政府は電池関連産業を戦略産業と位置づけたが、何となく勢いが感じられない。危機感がないと、日本は自動車産業をも失いかねない。

       ≪26日の日経平均 = 上げ +17.49円≫

       ≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ
     

            ☆Please click here ⇒ 人気ブログランキング
















ページトップへ  トラックバック0 コメント0
死者が語る コロナ肺炎の危険度 (76)
2021-08-28-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 不可解なコロナ・ウイルスの変容 = 世界の感染者数は累計2億1392万人、この1週間で461万人増加した。死亡者数は446万3845人で、7万0831人増えている。感染者・死亡者ともに増加数はやや拡大した。ところが地域別・国別にみると、コロナ・ウイルスの勢いはかなり変化していることが判る。ワクチン接種が進んだアメリカやイスラエルでの感染者・死亡者が拡大する傾向なのに、ブラジルやインドなどワクチン接種が進まない国では勢いが衰えた。理由は全く判らない。

国別の死亡者数をみると、アメリカが累計63万2310人で8019人の増加。前週より勢いが強まった。ブラジルは57万6645人で、週間4983人の増加だった。インドは43万6365人で3915人の増加。しかしブラジルもインドも、増加数は目立って縮小している。あとメキシコは25万5452人で4983人の増加。ロシアが17万人台、イギリスとインドネシアが13万人台と続いている。

アメリカやイスラエルは、ワクチン接種の完了者が人口の7割近くに達している。だが感染者・死亡者は、再び急激に増え始めた。7割程度の接種者では、感染拡大を防げないらしい。ところがインドやブラジルでは、感染者の増加数が大幅に減っている。またアルゼンチンやコロンビアなど、いずれもワクチン接種が進んでいない国で、感染拡大の勢いが止まった。たとえば中南米全体でみると、感染者の増加数は6月のピークに比べて半減した。

日本の感染者数は累計139万3082人。この1週間で16万1330人増加した。前週の増加数より2万人近く増えている。死亡者数は1万5809人で265人増えた。前週より80人拡大している。状況はまだ悪化中。政府は21都道府県に緊急事態宣言、12県にまん延防止措置を発令したが、効果はまだ表われない。そうしたなかで新学期が始まり、自民党の総裁選挙が実施される。

        ≪27日の日経平均 = 下げ -101.15円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     


            ☆Please click here ⇒ 人気ブログランキング
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
今週のポイント
2021-08-30-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 株式市場に秋の気配? = ダウ平均は先週336ドルの値上がり。相変わらず、しぶとく上昇した。パウエルFRB議長の「年内に緩和政策の縮小開始」を再確認する発言や、アフガニスタンを巡る大混乱も大きな下げにはつながらない。ただコロナの収束が見通せないことから、内需関連株は売られた。その一方で、資金はIT関連株とインフレに強い銘柄に集中している。

時価総額の大きいIT銘柄が買われるため、平均株価は上昇する。しかし銘柄数の多い景気関連株が値下がりしているため、市場の空気は重苦しい。これまでとは違って、投資家は冷たい風をも感じ取っているようだ。こうした微妙な変調が一時的なものかどうかは、まだ判断できない。カギはコロナ再拡大の勢いと、物価の動向が握っている。

日経平均は先週628円の値上がり。ニューヨーク株の上昇に引っ張られた。ただ戻り売りも多く、ニューヨークのように相場をけん引する銘柄も乏しい。それで2万8000円を、どうしても回復できない。そのうえ自民党が横浜市長選で敗れ、秋の政局は混迷の度を深めた。ニューヨークしだいの相場だが、足取りは重そうである。

今週は30日に、7月の商業動態統計。31日に、7月の労働力調査と鉱工業生産、8月の消費動向調査。1日に、4-6月期の法人企業統計と8月の新車販売。アメリカでは30日に、7月の中古住宅販売。31日に、8月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。1日に、ISM製造業景況指数。2日に、7月の貿易統計。3日に、8月の雇用統計とISM非製造業景況指数。また中国が31日に、8月の製造業と非製造業のPMIを発表する。

        ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ


            ☆Please click here ⇒ 人気ブログランキング

ページトップへ  トラックバック0 コメント0
コロナにも負けず : 小売り業
2021-08-31-Tue  CATEGORY: 政治・経済
コロナ前に比べて0.5%の減少まで回復 = 経済産業省は30日、7月の商業動態統計を発表した。それによると、商業販売の総額は46兆5990億円で前年比9.6%の増加。そのうち小売り業の販売額は12兆7300億円で2.4%の増加だった。これで5か月連続の増加。業種別では燃料小売り業が前年比27.7%伸びたほか、自動車小売り業が3.1%、織物・衣類・身の回り品小売り業が2.9%、飲食料品小売り業も2.5%の増加だった。

業態別にみると、デパートが4458億円で2.6%の増加。スーパーは1兆7138億円で0.8%、コンビニは1兆0484億円で6.1%増加した。また家電大型量販店は4422億円で2.9%の減少、ドラッグストアは6339億円で2.2%の増加、ホームセンターは2941億円で2.4%の減少だった。昨年7月は巣ごもりの最中だったため、いずれもその反動という面が強い。

そこで経産省は、コロナの影響がなかった19年7月との比較も発表している。それによると、小売り業の販売総額は0.5%の減少。ほとんどコロナ前の水準に戻している。家電量販店の回復が一番大きく、前々年比は8.9%の増加。次いでホームセンターが7.9%、ドラッグストアが7.8%の伸び。一方、スーパーも5.3%増加したが、コンビニは2.3%の減少、デパートは17.7%の減少だった。

商業動態統計は、全国2万5000の事業所を対象に主として販売額を調査している。一般にコロナによる外出規制などで消費が落ち、小売り業は苦境に陥っていると言われるが、この動態統計からみる限り、全体としては善戦している姿が浮かび上がる。結局、業種別では居酒屋などの飲食店と旅館などの宿泊サービス業、それにデパートが性悪のコロナ禍を抱え込んだ形になっているようだ。

        ≪30日の日経平均 = 上げ +148.15円≫

        ≪31日の日経平均は? 予想 = 下げ


            ☆Please click here ⇒ 人気ブログランキング

ページトップへ  トラックバック0 コメント0
<< 2021/08 >>
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -


余白 Copyright © 2005 経済なんでも研究会. all rights reserved.