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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
サタデー自習室 -- シェール革命の衝撃 ⑤
2013-06-01-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 若返るアメリカ経済 = シェール開発ブームは、アメリカ経済に新しい活力をもたらしつつある。調査会社IHSによると、シェール・ガスとシェール・オイルの開発・生産と関連設備の建設で、これまでに170万人の雇用が創出された。さらに20年までに130万人の職が新たに生み出されるという。

元気がなかった製造業も、息を吹き返した。なにしろエネルギー・コストが格段に安くなった。このため生産設備を海外に移していた企業も、アメリカ国内での工場建設に力を入れ始めた。“空洞化”現象の逆転である。特に原油や天然ガスを大量に消費する鉄鋼と化学業界は、受ける恩恵が大きい。鉄鋼各社は一斉に、天然ガスで鉄鉱石を還元する直接還元炉の建設に踏み切った。

化学産業はシェール・ガスを使えば、ナフサを原料とする場合に比べてコストは10分の1になる。大手メーカーはシェール・ガス用のエチレン工場を次々と建設中。20年までに、アメリカのエチレン生産能力は800万トンを超える見通しだ。鉄鋼と化学だけで、昨年の投資額は870億ドル以上という推計もある。

一般家庭の電気料金も、シェールのおかげで1割安くなった。政府の税収も、昨年は618億ドル増加したという試算もある。原発の新設計画は撤回された。このようにシェール革命は、アメリカ経済を若返らせる原動力となりつつある。あと3-4年もすると、その結果は歴然としてくるだろう。

                               (続きは来週サタデー)


    ≪31日の日経平均 = 上げ +185.51円≫

    【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2013-06-02-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第13章 都市鉱山って、なんだろう? ⑤

◇ 法律はできたけれど = 環境省の推定によると、使用済みの小型家電は1年間に65万トンもあります。これらの家電に含まれる貴重な金属類は28万トン、価格にすると844億円にもなるそうです。しかし、これまでは大部分がゴミとして捨てられ、埋め立てなどに使われていました。

そこで政府は「小型家電リサイクル法」という法律を作って、ことしの4月1日から実施しました。この法律では、携帯電話やデジカメ、パソコンやドライヤーなど28種類の小型家電をリサイクルすることにしています。まず全国の自治体がこれらの使用済み家電を回収し、集積所に集めます。それを処理施設で分解し、最後に精錬所で金属の形にして再利用するわけです。

この流れで、いちばん大変なのは最初の回収でしょう。回収は市町村に任されましたが、人手や予算が足りません。だから法律ができても、体制を作って動き出したのは全体の3分の1程度にとどまっています。回収される量が少なければ、再利用される金属も少なくなってしまう。また作業の効率も上がらないでしょう。

回収の方法としては、①専用の収集ボックスを置く②小型家電だけの収集日を作る③ゴミの山から拾い出す--などが考えられています。どの方法にするかは市町村が決めますが、いちばん大切なことは住民の協力でしょう。みなさんも携帯電話やゲーム機をゴミとして捨ててしまってはダメですよ。

                                 (続きは来週日曜日)


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今週のポイント
2013-06-03-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 終わってみれば月間86円の下げ = 5月の東京市場は、まさにジェットコースターのようだった。日経平均は1000円以上も下げた日が続き、22日の高値と30日の安値の差は2038円。月間の売買代金は75兆7000億円で最高を記録した。先週は838円の値下がり。しかし月間の下げは86円にとどまっている。

株価が下落した原因は、やはり過熱感に対する警戒に求められる。日経平均は1-4月間で3466円上昇したたあと、5月も22日までに1766円上げていた。したがって“妥当な調整”だったと考えることができるだろう。ただ先週はニューヨーク市場の下げに引きづられた。ウォール街で「FRBが金融緩和を終了する“出口”を探し始めた」という感触が強まったためである。

このためダウ平均は先週188ドル値下がりした。この売り材料が今週も持続するかどうか。今週末には5月の雇用統計が発表される。その予想が週初から流れて、株価を動かすだろう。しかし雇用が改善すると金融緩和の終了が早まるから、株式は売りという理屈は非常に判りにくい。雇用が悪化すると株価は上昇、ということもなさそうだ。

今週は3日に、5月の新車販売台数と1-3月期の法人企業統計。7日に、4月の景気動向指数が発表される。アメリカでは3日に、5月のISM製造業景況指数と新車販売台数。4日に、4月の貿易統計。5日に、5月のISM非製造業景況指数。7日に、5月の雇用統計が発表になる。EUは5日に、1-3月期のGDP速報を発表の予定。また5日には、アベノミクス第3の矢となる成長戦略が公表される。


    ≪3日の日経平均は? 予想 = 下げ

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給与の面にも 薄明かり?
2013-06-04-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 夏の賞与は自動車が突出 = 経済団体連合会は先週30日、大手企業の夏のボーナス妥結額に関する1回目の調査結果を発表した。それによると、64社平均の妥結額は84万6376円。前年より7.37%増加した。この増加率は、バブルが崩壊する直前だった90年の8.36%に次ぐ大きさ。好調な企業業績がやっと賃金面にも反映されてきた、と言いたいところだが・・。

業種別にみると、前年比プラス組とマイナス組が混在している。プラス組のなかでも、自動車が14.15%増加と突出。2位のセメント4.96%増を大きく引き離した。電機は0.31%増とわずかにプラス。一方、マイナス組は、紙・パルプ5.48%減、繊維4.87%減、非鉄1.20%減などとなっている。要するに、自動車が全体の平均増加率を引っ張り上げた形だ。

これから残りの大企業をはじめ、中小企業のボーナス交渉が進んで行く。その結果がどうなるかは、まだ予測がむずかしい。ただ経団連の第1回調査をみると、やはり円安で潤った輸出関連会社のボーナスは期待できる。また消費の回復を反映して、小売りや飲食業なども高めに出そうだ。

連合の集計によると、ことし春の賃上げは平均1.81%の上昇。例年並みの域を出なかった。ボーナスがある程度は増えないと、サラリーマンの可処分所得は上がらない。そうすると、いま盛り上がってきた消費もしぼんでしまう危険性がある。その辺の見極めは、7月の労働力調査や家計調査を待つしかない。


    ≪3日の日経平均 = 下げ -512.72円≫

    ≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ

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快進撃と 大苦戦と / 太陽電池 (上)
2013-06-05-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 国内出荷量は原発3基分 = 太陽光発電の普及が急カーブで上昇している。太陽光発電協会の集計によると、12年度の発電設備出荷量は437万㌔㍗に達した。前年度に比べると63%の増加。昨年7月に導入された再生エネルギーの全量買い取り制度が、大きな起爆剤となった。

このうち輸出されたものが56万㌔㍗分。残りの381万㌔㍗が国内出荷分だった。これは最新鋭の原発3基分に相当する。用途別にみると、住宅用が187万㌔㍗で前年比1.5倍。メガソーラーなど大規模発電向けの非住宅用が194万㌔㍗で、前年比9.9倍となっている。このように住宅用も急増したが、特に非住宅用が爆発的な伸びをみせた。

経済産業省は当初、12年度の伸び率を2倍程度と見積もっていた。したがって実際の伸び率の高さは想定外。しかも伸び率は、時間とともに加速度的に大きくなっている。たとえば12年度の第4四半期(ことし1-3月)の総出荷量は前年比3.3倍。とりわけ発電事業用は53倍の驚異的な増加率を記録した。

なんとも景気のいい話だが、業界の悩みは深刻だ。というのも伸び率の高い大口の発電事業用は、そのほとんどを海外メーカーに奪われている。中国やカナダのメーカーは、圧倒的な価格の安さを武器に市場を侵食した。これに対し国内メーカーは、細かい作業が必要な小口の住宅用に特化した形になっている。

                                   (続きは明日)


    ≪4日の日経平均 = 上げ +271.94円≫

    ≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ

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快進撃と 大苦戦と / 太陽電池 (下)
2013-06-06-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 世界規模の供給過剰 = 欧州太陽光発電協会の調査によると、世界の太陽光発電設備は昨年末で累計1億㌔㍗を超えた。07年から11年の間に設備量は4倍に増え、12年も3100万㌔㍗が上乗せされた。ドイツ、中国、アメリカ、日本の増加率が大きい。その一方で供給過剰の状態が続き、価格はこの3年間で半分に下がっている。

このためメーカーの倒産が相次いだ。昨年4月には世界最大だったドイツのQセルズ社が倒産、これによって世界最大の座に就いた中国の無錫サンテックパワーも、ことし3月に行き詰まった。景気不振のヨーロッパを除けば、太陽光発電設備に対する需要は強い。だが供給はそれを上回る過当競争で、生き残っているメーカーの経営は苦しい。

日本国内の需要は、電力会社に対する強制買い取り制度に支えられている。しかし買い取り量が増えると、電力会社はその負担を電気料金に反映させるから、電気料金がどんどん上がってしまう。それを抑えるため、太陽光発電の量が増えるにつれて、政府は電力会社の買い取り価格を下げざるをえない。

たとえば住宅による発電の買い取り価格は、発足当初の09年は1㌔㍗当たり48円だった。それが12年7月には42円に、ことしは38円に下がっている。買い取り価格がさらに下がれば、発電設備に対する需要は間違いなく低下するだろう。世界的な大過当競争のなかで、需要が減退したらどうなるか。業界の悩みは大きい。


    ≪5日の日経平均 = 下げ -518.89円≫

    ≪6日の日経平均は? 予想 = 下げ

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失速した 第3の矢 / その原因は ?
2013-06-07-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ “異次元”の演出に失敗 = 安倍首相が“第3の矢”の説明を始めた5日正午、株価は上昇していた。ところが説明が進むと、株価は急落。日経平均は後場だけで600円も下落してしまった。市場関係者は口を揃えて「中身に乏しい」「失望売りが出た」と言っている。このため安倍首相が満を持して放った“第3の矢”は失速した形。なぜだろう。

内容は盛り沢山。たとえば「設備投資を3年間で70兆円に」「農業所得を20年までに1兆円に」「黒字の中小企業を20年までに140万社に」・・・。なかなか元気のいい目標が並んだ。だが、これらの目標を実現する方策が示されない。だから実現性を疑われてしまう。国家戦略特区にしても、名前がいかめしい割りには建物の容積率緩和ぐらいしか内容が説明されなかった。

しかも羅列された成長戦略の項目は、ここ数日の間にすべて報道されてしまっている。「国民総所得を150万円増やす」方針も「薬のネット解禁」も、各紙が大々的に取り上げた。それなのに方法論についての言及もなかったから、厳しく言うと安倍首相の演説は“鮮度の落ちた刺身の大安売り”になってしまった感じが濃い。

一方、市場の方は日銀の“異次元緩和”で、予想外のサプライズを味わったばかり。それだけに“第3の矢”に対する期待も膨らみすぎていたと言えるだろう。官邸側の演出失敗と、市場側の過大な期待。この両者のミスマッチが、株価の大幅安につながった。安倍首相が態勢を挽回するためには、公表した1つ1つの項目について、できるだけ早くその行程表具体策を作り上げるしかない。


    ≪6日の日経平均 = 下げ -110.85円≫

    ≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ

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サタデー自習室 -- シェール革命の衝撃 ⑥
2013-06-08-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 貿易収支が劇的に改善 = 世界最大のエネルギー消費国であるアメリカは、最大のエネルギー輸入国でもある。過去10年ほどの実績をみると、国内で消費した原油の6割、また天然ガスの1割を輸入に頼ってきた。それがシェール・ガスとシェール・オイルの生産増加で、いま様変わりしつつある。

米商務省の統計によると、12年の原油輸入量は前年より6.9%減少した。13年1-3月期の輸入額は669億ドルで、昨年同期より173億ドルも減った。この結果、貿易収支の赤字も昨年1-3月期の1486億ドルから、ことしの1-3月期には1269億ドルに減少している。この傾向はさらに加速しそうだ。

米エネルギー省によると、05年に石油の輸入比率は60%だったが、11年には49%に低下。35年には36%まで下がると推定している。また天然ガスについては、11年の輸入比率が11%。これが20年にはゼロとなり、35年になると5%を輸出するとみている。オバマ大統領が一般教書のなかで「エネルギーに関する自分たちの将来を、自分たちで決める体制ができた」と述べたゆえんだ。

シェール革命は貿易収支だけではなく、財政面にも好影響を及ぼしつつある。民間調査会社の推計によると、シェール生産の影響で昨年は国の税収が618億ドル増加した。生産地帯とその周辺では地方税の収入も増えている。アラスカ州では全税収の65%、ワイオミング州では40%がシェール関連税だという。

                               (続きは来週サタデー)


    ≪7日の日経平均 = 下げ -26.49円≫

    【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2013-06-09-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第13章 都市鉱山って、なんだろう? ⑥

◇ 自然破壊や公害も防げる = 都市鉱山からの金属回収が軌道に乗れば、その分だけ日本が輸入する金属は減ることになりますね。ところで、いま日本が輸入している金属は、すべてが鉱山から掘り出された鉱石を精錬して造られたものです。では、いったい1トンの金属を造るのに、どのくらいの岩石や土砂が掘り出されるのでしょう。

答えを知れば、びっくり。銀は4800トン、インジウムは4500トン。これらはまだ少ない方です。プラチナは52万トン、パラジウムは81万トン。金にいたっては、なんと110万トン。これだけの岩石や土砂を掘り出さないと、1トンの金属が造れません。穴が掘られ、山が崩され、森林が消滅する。人間は自然を破壊して、金属を手に入れているのです。

私たちがゴミとして捨てた家電の一部は、金属ゴミとして輸出されています。主としてアジアの貧困地帯に運ばれ、そこでは子どもたちが選別と分解に使われているそうです。金属のなかには有害なものもあって、子どもたちの健康が心配されています。環境省の推定では、エアコン、テレビなど4品目だけで、こうした不法な輸出は11年度中に362万台もありました。

家電リサイクルが軌道に乗れば、日本は金属の輸入を減らすことができます。そうなれば世界の貴重な資源を節約できますし、自然破壊や公害も防ぐことにもつながるわけです。では、どうしたら家電リサイクルを進めることができるでしょうか。みなさんも、いっしょに考えてみてください。

                                 (続きは来週日曜日)


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今週のポイント
2013-06-10-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 株価は下げ止まった? = 日経平均は先週897円と大きく値下がりした。週間の下げ幅としては、11年3月の大震災以来の大きさである。終り値の1万2878円は、最近の高値だった5月22日に比べると2749円の下落。昨年11月から急ピッチで上げた分の約4割を失ったことになる。

今回の急落は初めのうち調整色が強かったが、後半は円相場の反転が株価の下げを主導した。円の対ドル相場は、5月半ばの103円台から97円台に急騰している。特に先週末7日には、ニューヨーク市場で一時94円台に突入した。にもかかわらず、この日の日経平均は26円の下げにとどまっている。ここから株価の底入れを感じ取るのは、まだ時期尚早だろうか。

ダウ平均は先週133ドルの値上がり。週末に発表された5月の雇用統計をめぐって、市場は揺れ動いた。結果は予想をやや上回るものだったが、市場はFRBが金融緩和の修正を早めるほどの影響力はないと判断したようだ。今週もその判断が変わらず、円相場に上昇圧力がかからないことを期待したい。

今週は10日に、1-3月期のGDP改定値、4月の国際収支、5月の消費者態度指数、景気ウォッチャー調査。11日に、4-6月期の法人企業景気予測調査。12日に、5月の企業物価と4月の機械受注。アメリカでは13日に、5月の小売り売上高。14日に、5月の工業生産と生産者物価、それにミシガン大学の6月・消費者信頼感調査が発表になる。


    ≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ

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政府の“隠し玉” / 年金基金が出動
2013-06-11-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ ねらいは株高と円安 = 世界でも最大級の投資ファンドが突然、国内株式と外国債券への投資を増やすと発表した。このファンドは年金積立金管理運用独立行政法人、略称はGPIF。なにしろ昨年末の運用総額が111兆9000億円という巨大ファンドであるだけに、市場に対する影響力はきわめて大きい。

GPIFは厚生年金や国民年金の保険料を元手に、将来の支払いに備えて管理・運用する機関。厚生労働省の管理下にある。そのGPIFが先週末、中期的な運用方針を変更すると発表した。変更の内容は、①国内債券の組み入れ比率を67%から60%に落とす。これによる投資額の減少は7兆8000億円②その減少分を国内株式に回し、比率を11%から12%に引き上げる。投資額の増加は1兆1000億円③同様に外国債券・株式の比率を17%から23%に。増加額は6兆7000億円--というもの。

この変更が実行されれば、当然ながら国内債券には下げ、国内株式と外国債券・株式には上げの力が働く。だがGPIFは実行の時期については触れていない。こうした計画の変更について、GPIFは「運用利回りを上げることが目的で、前々から準備してきたことだ」と説明している。だがGPIFが運用計画を途中で変更するのは初めてだ。

いまアベノミクスは“第3の矢”を放ったところで、つまずいた形。円相場は急激に反転し、株価も大幅安になっている。そこでGPIFの出動となった。国債価格は下がっても、日銀が買い支える。その分を株価の押し上げに回す。さらに外国債券・株式を買えば、円安・ドル高につながる。GPIF出動の裏に政府の意図が働いていない、とみるのはむしろ難しい。


    ≪10日の日経平均 = 上げ +636.67円≫

    ≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ

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美人投票に迷う ウォール街 (上)
2013-06-12-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 数時間で変わる評価 = 「景気がよければ株価は上がる」というのが、一般的な常識だ。ところが最近のウォール街では、この常識が必ずしも通用しなくなっている。つまり「景気が悪くなりそうだと、株価が上がる」現象がしばしば起きている。こんな“想定外”の現象が、なぜ起きるのだろうか。

たとえば5月31日。この日、シカゴの購買担当者協会が大幅に好転した5月の景況指数を発表した。このニュースを受けて、株価は急落。ダウ平均株価は209ドルの値下がりとなった。6月3日は、その反対の現象に見舞われている。ISM(供給管理者協会)が製造業景況指数の50%割れを発表すると、株価は反発。ダウ平均は138ドル値上がりした。

さらに6月7日。米労働省が5月の雇用統計を、寄り付き30分前に発表した。株価は初め大きく下落、数時間後には上昇に転じた。最初は景気好転と判断した市場が、すぐに判断を覆したからである。この日のダウ平均は208ドルの値上がり。為替市場では円が買われて一時95円台まで上昇したが、3時間後には97円台に下げる大波乱を演じている。

景気がよくなると、FRBによる金融緩和政策の見直しが早まる。だから株は売りと考える“金融派”が、想定外の現象を惹き起す。この“金融派”は、景気が悪くなりそうだと緩和が長引くと考えて、株を買う。その半面で、景気がよければ株を買う“常識派”も健在だ。いまウォール街ではこの2派が拮抗しており、ときどき“金融派”の力が勝ると、常識外の現象が起こってしまう。

                                   (続きは明日)


    ≪11日の日経平均 = 下げ -196.58円≫

    ≪12日の日経平均は? 予想 = 下げ

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美人投票に迷う ウォール街 (下)
2013-06-13-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ ケインズなら、どう評価? = “金融派”の育成に一役買ったのは、FRBのバーナンキ議長である。同議長は5月22日の議会証言で「雇用の回復が確信できれば、数か月のうちに資産購入を縮小できる」と言明した。FRBは昨年9月以来、量的緩和のために毎月850億ドルの資産を市場から購入している。その縮小は、緩和政策の見直しを意味するわけだ。

有名な経済学者のジョン・メイナード・ケインズは「株式投資は美人投票だ」と喝破した。その意味は「上がる銘柄を見つけるには、自分の予想ではなく、多くの人がどう予想するかを見抜くことが大事」ということだ。この見方からすると、いまのウォール街は“金融派”の推す美人と“常識派”が推奨する美人が伯仲。一般の投資家は、どちらに組すれば勝てるのか判断が難しい状況だろう。

ケインズ卿が生きていれば、間違いなく“常識派”に軍配を上げるだろう。というのも、この大先生は実体経済を重視する主義だからだ。たしかに「景気が悪くなれば株高」という路線は、理屈から言っても長く続くはずはない。結局はカネ余りによる株価の上昇であり、金融緩和も永久には続けられない。

アメリカ経済の回復傾向が持続すれば、そう遠くないうちに金融緩和政策は見直される。それまでに“金融派”が、何度か勢いを盛り返すことは十分にありうるだろう。しかし、それは“金融相場”が“業績相場”に変わって行く過程だと考えることができる。この結論は、あまりにも“常識的”にすぎるだろうか。


    ≪12日の日経平均 = 下げ -28.30円≫

    ≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ

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杜撰になってきた アベノミクス
2013-06-14-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 忙しくて勉強不足? = アベノミクス“第3の矢”となる成長戦略。政府の産業競争力会議がまとめた素案のなかで「1人当たりのGNIを10年後には150万円以上増やす」ことが明記された。ところが安倍首相は、その後の街頭演説で「1人当たり平均所得を150万円増やす」と何度も繰り返した。菅官房長官は「首相はやさしく言おうとしただけ」と釈明したが、冗談ではない。

GNIというのは国民総所得。よく使われるGDPに、日本の企業や個人が海外で得た所得を加えた経済統計だ。12年度のGNIは490兆円、1人当たりでは約384万円になる。これに比べて、1人当たりの平均所得はずっと低い。厚生労働省の調査によると、10年の1人当たり平均所得は200万4000円だった。その差は歴然としており、安倍首相はGNIの勉強不足だったに違いない。

また政府が公表した中期計画「骨太の方針」では、経済成長率の目標として「今後10年間の平均で、名目3%、実質2%程度」が掲げられた。単純に計算すると、物価は平均1%上昇することになる。その一方で、政府と日銀は2年以内に物価上昇率を2%にすると約束した。この間の整合性は、いったいどうなるのだろうか。

杜撰(ずさん)というのは、宋の詩人が作詩の規則に合わない詩ばかりを作ったという故事に由来する。物事がいいかげんで、誤りが多いという意味。安倍首相は、とにかく忙しそうだ。周囲の人がよく連携し、首相を支えないと、アベノミクスはダメノミクスになってしまう危険性をはらんでいる。


    ≪13日の日経平均 = 下げ -843.94円≫

    ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- シェール革命の衝撃 ⑦
2013-06-15-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 北方領土にもシェールの影 = モスクワで4月末に行われた日ソ首脳会談。共同声明では「北方領土問題の交渉を加速させる」と明記された。このロシア側の柔軟な姿勢に「オヤッ」と感じた人も多かったのではないか。実は“シェール革命”が、プーチン大統領の言動に大きな影響を与えたとみることができる。

いまから10年前、だれもが「アメリカは近くエネルギーの大幅な不足に陥る」と予想していた。世界最大級のガス産出国である中東カタールはこれに目を付け、年間7000万トンのLNG生産設備を増設した。ところが突如として起こった“シェール革命”。売り先を失ったカタールは、このLNGをヨーロッパ諸国に安値で売り込んだ。同時にアメリカも、シェールの使用で余った石炭をヨーロッパに売り込む。

慌てたのはロシアだ。世界最大のガス産出国であるロシアは、これまで財政収入の半分近くをガスの輸出に頼ってきた。現在のロシアの経済計画は、こうしたガスや原油の輸出見通しを基礎に作られている。また東ヨーロッパ諸国へのガス供給をめぐって、値上げや供給停止で政治的な圧力を加えたこともあった。その立場が崩壊してしまう。

プーチン大統領は、春の最高幹部会議で大号令を発した。「LNGを極東に売り込め。さもないと、競争相手に市場を根こそぎ奪われる」と。こうしてウラジオストクと北部のヤマル半島に、それぞれ年産1500万トンのLNG基地が建設され始めた。前者は日本をはじめとする極東諸国向け、後者は中国向けである。シェールのおかげで、日本に対してもリップサービスが必要になったわけである。

                             (続きは来週サタデー)


    ≪14日の日経平均 = 上げ +241.14円≫

    【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2013-06-16-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第13章 都市鉱山って、なんだろう? ⑦

◇ 奪い合いで価格が高騰 = 貴金属やレアメタルの価格は20年ほど前から上昇し始め、ここ10年ほど前からは上昇のスピードが速まっています。これは中国やインド、ブラジルなど新興国の工業化が進み、金属資源の需要が一気に増加したからです。いま世界の各国は、貴金属やレアメタルを奪い合っている状態だと言えるでしょう。

たとえば金や銀や銅の価格は、この10年間で2-4倍になりました。レアメタルは軒並み5-8倍に値上がりしています。もちろん世界経済が不況になると、価格は一時的に下がります。しかし長期的にみると、金属の価格は今後とも上昇して行くと考えられるでしょう。

地球上で、貴金属やレアメタルが存在する地域はとても偏っています。たとえば金はロシアや南アフリカ。コバルトはザンビアやオーストラリア。リチウムはボリビアやチリ。そしてレアアース類は中国といったぐあい。その中国が自国で使用するレアアース類を確保するため輸出を制限して、大きな問題を起こしたこともありました。

残念なことに、日本は貴金属もレアメタルもほとんど産出しません。すべて輸入に頼っているのです。ところが早くから家電が普及したために、“都市鉱山”の資源埋蔵量は世界でも最大級。この鉱山をうまく活用しない手はありませんね。

                             (続きは来週日曜日)


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今週のポイント
2013-06-17-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ おカネはどこに消えた? = 日銀の買い入れ資産残高は5月末で159兆円。FRBは昨年9月から本年4月の間に3兆ドルの資産を購入した。日米を合わせると、450兆円に近い資金が市場に供給されたことになる。このカネ余りで株価は急騰してきたが、5月22日から潮目が変わった。

引き潮は先週も継続。日経平均は191円の下げ。ダウ平均も178ドルの値下がりとなった。ところが株式市場から逃げ出したおカネは、債券市場にも商品市場にも流れていない。つまり投資家はFRBの金融緩和が終了することを恐れて、ファンドも個人もおカネを手許に温存し始めたと考えられる。

そのFRBが、今週18-19日にFOMC(公開市場委員会)を開く。その結果しだいで、投資家がいっそうリスク回避の姿勢を強めるか、それともおカネを再び市場に注入するかが決まるだろう。したがって今週の焦点は、このFOMCに集中する。結果は日本時間20日未明に予定されるバーナンキ議長の会見で明らかになる。

今週は17日に、4月の第3次産業活動指数。19日に、5月の貿易統計。アメリカでは17日に、6月のNAHB住宅市場指数。18日に、5月の消費者物価と住宅着工戸数。20日に、5月の中古住宅販売とコンファレンスボードの景気先行指数が発表になる。そして18-19日にはFRBがFOMCを開く。


    ≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ

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カネから逃げた アベノミクス (上)
2013-06-18-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 問題点の羅列に終始 = 政府は14日の閣議で、アベノミクス“第3の矢”を正式に決定した。その中身は①経済財政運営の基本姿勢となる「骨太の方針」②成長戦略となる「日本再興戦略」③規制改革の実施計画--の3本柱から構成されている。経済成長からエネルギー問題、国民の健康から女性の活用まで、内容は驚くほど盛り沢山だ。

たとえば「骨太の方針」では、「今後10年間の平均GDP成長率を、名目3%、実質2%に」「基礎的財政収支の対GDP赤字を、10年度に比べて15年度までに半減。20年度までに黒字化」すると明記した。また「成長戦略」では、「思い切った投資減税で、企業の設備投資を3年で現在の63兆円から70兆円に増加」「1人当たりGNI(国民総所得)を10年で150万円以上増やす」とも書いている。

さらに「インフラ輸出の受注額を20年に30兆円に」「耕作放棄地を集約、貸し出す方針」。問題の社会保障費については「聖域にせず見直す」と約束した。また規制緩和では、「過度の規制を取り除く」とし、市販薬のネット販売解除など140項目を挙げている。

とにかく羅列された項目は膨大。一見すると、いまの日本が抱えている問題を思いつくだけ並べたという感じ。さすがの大新聞も、そのなかからいくつかの項目をつまみ食いして報道するだけにとどまっている。これらの項目がすべて実現すれば、日本は大変身を遂げるだろう。しかし実現性は疑問だと、新聞も考えているのではないか。

                                 (続きは明日)


    ≪17日の日経平均 = 上げ +346.60円≫

    ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ

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カネから逃げた アベノミクス (下)
2013-06-19-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 値段を書かない豪華メニュー = アベノミクスが放った“第1の矢”と“第2の矢”は金融緩和と財政支出であり、その的はしっかり見えていた。しかし“第3の矢”は、的が大きすぎて明瞭でない。矢というよりは、まるで投網のように感じられる。しかも不思議なことに、すべての政策項目に数字の裏付けがない。このため実現性には、どうしても疑問が生じてしまう。

たとえば名目成長率を3%に引き上げるには、財政面からの刺激が必要だろう。投資減税や農地の集約にもカネがかかる。保育所の待機児童をゼロにするのも、タダではできない。すべての項目について必要な原資を計算すれば、膨大な出費になるだろう。ところが、その試算は全くない。

逆に基礎的財政収支を大きく改善するには、消費税の引き上げだけでは足りない。国民のさらなる負担が必要なことは明らかだ。社会保障費の抑制にも、同じことが言える。この“第3の矢”では、いったい国民負担の増加をどのくらいと想定しているのか。この点についても、試算は全く示されていない。

要するに、“第3の矢”を実行すると、どれだけおカネがかかるのか。どれだけ国民が負担するのかが、全く判らない。立派なレストランで豪華なメニューが出た。しかし料理の値段が書いてない。国民は困惑するだけだ。値段を書かなかった理由は、ただ1つ。参院選の焦点になっては困るから。だから参院選のあとが怖い。
 

    ≪18日の日経平均 = 下げ -25.84円≫

    ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ

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投票率は伸びない? : 東京都議選
2013-06-20-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ まるで国政選挙 = 東京都議選の投票日23日が、目前に迫ってきた。議員定数127に対して、立候補者は253人。ほぼ2倍の競争率だ。しかし選挙の争点が拡散してしまい、選挙戦は盛り上がりに乏しい。その原因は、各党が都議選を7月の参院選の前哨戦と位置づけたことにある。

各党党首の応援演説を聞いても、自民党の安倍総裁と公明党の山口代表は「参院のねじれ解消」を、いちばん強く訴えている。一方、民主党の海江田代表は「働く人の生活を豊かに」。共産党の志位委員長は「所得増へ政策転換を」。生活の党・小沢代表は「国民の生活を守る」といったぐあい。

都議選に勝った勢いで参院選に臨みたいという各党の意気込みは判らないでもないが、これではまるで国政選挙だ。マスコミまでが「アベノミクスの是非を問う」などと悪乗りするものだから、全く参院選の前哨戦になってしまった。このため東京都が抱える問題は、どこかへ吹き飛んでしまった感じが強い。

たとえば震災対策。高速道路・橋・下水管・都営住宅の老朽化。保育所不足。環状道路の建設や築地市場の移転問題。そして都の財政や税制問題、オリンピック招致など。この大都会が抱える固有の問題をどうするのか。いちばん大事な都議選の争点が、よく見えなくなってしまった。これで都民の投票率は上がるのだろうか。前回の投票率54.49%を上回るとは、とても思えない。


    ≪19日の日経平均 = 上げ +237.94円≫

    ≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ

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“金融離れ”を促した バーナンキ議長
2013-06-21-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 9月には緩和縮小の公算 = FRBのバーナンキ議長は19日の記者会見で「経済状態の好転が続けば、FRBは年内にも証券買い入れのペースを緩やかなものにする」と言明した。さらに「来年前半を通して購入の減額を進め、来年央には購入を終了したい」と述べ、初めて量的金融緩和の終了に言及した。市場では、9月にも証券購入の減額が始まるとみている。

バーナンキ議長は1か月前の5月22日、議会の証言でで「今後数か月のうちに証券購入を減額する可能性」に触れ、市場は大きく動揺した。この発言をきっかけに、株価は下げ歩調に。円相場の反転もあって、特に日経平均は大きく急落した。それにもかかわらず、バーナンキ議長は今回さらに踏み込んだ発言をしたわけである。

最近のウォール街は、金融緩和に頼り切っていた。たとえば景気指標が悪化すると金融緩和が長引くと考えて、株価は上昇するといった異常な現象もしばしば。だが金融緩和は永久に続けられるわけではない。バーナンキ議長は、市場に多少の動揺を与えるとしても、緩和頼みからの脱却を促そうとしたのだろう。

その一方で、バーナンキ議長は「住宅市場が大きく回復するなど、経済のファンダメンタルズは良好だ」と指摘。市場に金融よりも実体経済を重視することを示唆している。その姿は、まるで親鳥が雛に巣立ちを促しているかのよう。雛たちが親鳥の真意を素直に受け入れるかどうかは、今後の株価動向に表われてくる。


    ≪20日の日経平均 = 下げ -230.64円≫

    ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ

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サタデー自習室 -- シェール革命の衝撃 ⑧
2013-06-22-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日本への輸出を認可 = 米エネルギー省は5月17日、シェール・ガスの日本向け輸出を初めて認可した。認可されたのは、中部電力と大阪ガスが参画している米フリーポート社のLNG(液化天然ガス)輸出事業。ヒューストン近郊に基地を建設し、17年から輸出を開始する。

認可の内容は、年間900万トンを上限に20年間にわたって輸出できるというもの。フリーポート社は17年に中部電力と大阪ガスに220万トンずつ、合計440万トンを供給する計画。この数量は、日本のLNG年間輸入量の約5%に当たる。しかも価格が大幅に安いから、日本経済にとって大きなメリットになることは間違いない。

アメリカ政府には、ほかに15件の輸出事業が申請されている。このうち日本関係は2件。三井物産と三菱商事がルイジアナ州から。また住友商事と東京ガスがメリーランド州からの対日輸出を計画している。これらの計画が承認されれば、アメリカからのLNG輸入量は1470万トンになる計算だ。しかしアメリカ政府がいつ認可するかは、全く判っていない。

仮に1470万トンが輸入されれば、日本のLNG輸入量の2割近くに達する。ただし認可を受けた中部電力・大阪ガスの計画も含めて、実際に輸入が始まるのは4年後のこと。シェール・ガスの液化工場や積み出しに必要な港湾の整備に時間がかかるからだ。また4年後の価格がどうなっているかも、いまから予想はできない。

                          (続きは来週サタデー)


    ≪21日の日経平均 = 上げ +215.55円≫

    【今週の日経平均予想 = 1勝4敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2013-06-23-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第13章 都市鉱山って、なんだろう? ⑧

◇ 細菌を使う回収法も = “都市鉱山”の開発を軌道に乗せるためには、2つの大きな問題を解決しなければなりません。その1つがコストの引き下げです。集められた家電製品は分解・粉砕されて、まず磁石で鉄を回収。さらに軽いアルミニウムは風で吹き飛ばし、高温で溶かしたりして金属を取り出します。この過程で電気代などのコストがかかり、現状では採算がとれません。

特に量が少ないレアメタルは回収しにくく、コストも高くつきます。そこでコストを下げる研究が、多くの大学や企業で進められています。なかでも驚くのは、なんと細菌を使う方法です。たとえばリチウムイオン電池から、特殊な細菌を使ってリチウムやマンガンを取り出す方法は、すでに実験では成功しました。

細かく砕いて薬品で溶かした電池にこの細菌を加えると、細菌がリチウムやマンガンを吸収してくれるのだそうです。この方法では、プラチナやパラジウムの回収にも成功しました。高温で溶かす必要がなくなるため、回収コストは半分以上も安くなるそうです。

このほかメタノールや水酸化ナトリウムを使って、リチウムを回収する研究も進んでいます。ただ関係者によると、こうした画期的な方法によるコストの引き下げは、実用化まで5年ぐらいかかると言います。それまでは現在の方法で、できるだけコストを下げる努力をするしかありません。

                              (続きは来週日曜日)


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今週のポイント
2013-06-24-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 下値1万3000円は確認 = 日経平均は先週末21日、実に印象的な値動きをみせた。午前の初めは1万2700円すれすれまで下げたが、10時すぎから急反発。終り値は1万3230円まで戻している。前日のダウ平均は350ドルを超す、ことし一番の下げ。朝方は円相場も97円で、円高気味に推移していた。円相場は株価の反発に引きづられた形で、午後は98円に下げている。

ダウが急落、円相場も高め。ほかに株価を刺激する材料は見当たらない。こんな環境で日経平均が急反発したことは、きわめて珍しい。結局、その日はアジア各国の株価も一斉に下げたなかで、日経平均だけが大幅に上昇して終わった。理由は、日経平均の割安感以外に考えられない。1万3000円の下値が確認されたとみることもできる。日経平均は週間544円の値上がり。

ダウ平均はバーナンキ・ショックが尾を引いて、先週は271ドルの値下がり。“金融緩和相場”は終わりつつあるが、実体経済の先行きにもまだ自信が持てないといった状況だ。今週の住宅関連、消費者信頼感調査、さらに来週の雇用統計に注目が集まる。結果がよければ“業績相場”への移行が進むだろう。

今週は25日に、5月の企業向けサービス価格。27日に、4月の全産業活動指数。28日に、5月の鉱工業生産、雇用統計、家計調査、消費者物価、商業販売統計が発表される。アメリカでは25日に、4月のSPケースシラー住宅価格、5月の新築住宅販売、コンファレンス・ボードによる6月の消費者信頼感指数。26日に、1-3月期のGDP改定値。27日に、5月の中古住宅販売。28日に、ミシガン大学・6月の消費者信頼感指数が発表になる。


    ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ

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おカネを貯め込む 法人企業 (上)
2013-06-25-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 借入金も返済中 = 日銀の集計によると、法人企業が保有する現金・預金残高は13年3月末の時点で225兆円に達した。前年に比べると5.8%の増加で、過去最高。これに対外直接投資残高などを加えた金融資産の総残高は842兆円で、前年比3.8%増えている。家計の金融資産1571兆円には及ばないが、伸び率は企業の方がやや高い。

円安や株高の影響で、大企業の利益は高水準を維持している。日経新聞が金融・電力を除く上場企業1500社の決算を集計したところによると、13年3月期の経常利益は前期比9.4%の増加。税引き後の最終利益は15.8%の増加だった。14年3月期も経常利益が23.6%、最終利益は55.2%増加の見込みとなっている。

企業が保有する現金・預金残高は、10年3月末時点では203兆円だった。したがって、この3年間で22兆円を貯め込んだことになる。このことは企業が利益を出している割には、設備投資など積極的な支出を抑えている現状の反映とも言えるわけだ。

当然ながら、企業の資金需要は鈍い。日銀の調査だと、金融機関からの借入額は336兆円で、前年より1.7%減った。一般的に言って、企業は儲けの大半を流動性の高い現預金で手許に保有し、金融機関からの借り入れも返済する方向で努力中というわけだ。

                               (続きは明日)
 

    ≪24日の日経平均 = 下げ -167.35円≫

    ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ

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おカネを貯め込む 法人企業 (下)
2013-06-26-Wed  CATEGORY: 政治・経済
上場企業の半分以上が無借金 = 日経新聞の調査によると、13年3月末の時点で上場企業のうち1749社が「無借金企業」になっている。「無借金企業」というのは、現金・預金に短期保有目的の証券を加えた手元資金が、借入金など有利子負債の総額を上回っている経営状態の企業。つまり借金はあっても返済しようとすれば、すぐに返せる状態にあるわけだ。

この無借金企業の数は、金融を除いた上場企業の52%に当たる。10年3月末時点での無借金企業は1146社。全体に占める割合は47%だった。それだけ多くの企業がこの3年間で手許に資金を蓄積し、利子を支払わなければならない借金を減らしたことになる。

本来ならば、いちばん困るのは銀行のはずだ。ところが、たとえば5大銀行の3月期決算をみると、純利益は2兆6000億円で前年比9%増となっている。本業の貸し出し業務は伸びないが、国債の売買と保有株式の含み益で利益を上げた。これも異常な状態だと言えるだろう。

企業が手元流動性の積み上げに努めるようになったのは、08年のリーマン・ショックが契機だった。それからヨーロッパの信用不安、東日本大地震と、“想定外”の大事件が続発。それで何が起きても大丈夫なように、内部留保を厚くしておこうと考えたのだろう。しかし企業が資金を温存することは、それだけ経営の効率が悪化することを意味する。アベノミクスは、こうした経営者の“思想”を変えられるのか。問われる点の1つである。
    

    ≪25日の日経平均 = 下げ -93.44円≫

    ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ

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こんどは中国? / 金融危機
2013-06-27-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 中小銀行の倒産も覚悟? = 中国の金融情勢が、急におかしくなってきた。原因は資金の逼迫。中央銀行の引き締め政策に加えて、アメリカFRBの緩和修正宣言でリスク・マネーの引き揚げが加速。短期金利が急騰して、銀行経営に対する不安が増大した。このため株価が急落、世界の市場にも大きな影響を与えている。

今週初24日の金融市場で、翌日物の銀行間取り引き金利が先週末の7%台から、一気に13%台に跳ね上がった。このため株式市場では金融株を中心に売り物が殺到、上海総合株価指数は5.3%も下落した。これを受けてダウ平均は140ドル、日経平均も167円の値下がりとなっている。

ところが中央銀行は、完全に静観の態度を貫いている。これはここで金融を緩和し、資金の供給を増やせば、不動産バブルが復活しかねないこと。さらに当局の監視の目をくぐって、このところ急成長している一種のヤミ金融を退治する意図があるものとみられている。

このヤミ金融は、融資を規制されている銀行が貸出債権を小口化した証券を企業や個人に販売。この資金が不動産や地方の公共事業に流れているという。金利が高騰すれば、この商法は破綻する。政府・中央銀行は、結果として中小銀行が倒産することも覚悟しているという見方も多い。ただ、こうした金融不安が銀行界全体に波及することはないのか。今後の注意点だろう。


    ≪26日の日経平均 = 下げ -135.33円≫

    ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ

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学習しない 民主党の行くえ
2013-06-28-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 参院選でも大敗は確実 = 民主党が東京都議選で惨敗した。前回の選挙では54議席を獲得して第1党となったが、今回は15議席しか取れなかった。共産党にも抜かれて第4党に没落した姿は、なんとも痛々しい。だが今回の惨敗は、負けるべくして負けたと言える。なぜなら昨年12月の総選挙で大敗したあと、負けた原因の追究と反省を全く行ってこなかったからだ。

総選挙で負けた原因はいろいろあるが、最大の要因は「景気がよくならなかったこと」だろう。民主党政権の経済政策は、所得の低い個人や企業を救済することに重点が置かれた。たとえば児童手当や農家の所得保障など。いわば経済の川下に財政資金を投入することで、景気を浮揚させようとしたわけである。

だが結果は失敗に終わった。この川下を重視する政策理念が間違っていたのか、それとも方法が悪かったのか。民主党はこの程度の分析や検証も、ほったらかしてきた。したがって有権者の目から見れば、民主党の考え方や姿勢には何の変化も映らない。要するに“死に体”のままで、都議選に突入してしまった。

同じ態勢のまま、民主党は来月の参院選を戦おうとしている。だが公表された選挙公約をみても、反省の色は全く見られない。したがって新味も進歩もない。だから参院選でも大敗するだろう。そこまで行ってから、ようやく学習するのか。それとも党は分裂・消滅に向かうのか。


    ≪27日の日経平均 = 上げ +379.54円≫

    ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- シェール革命の衝撃 ⑨
2013-06-29-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 波紋は世界中に = 最近、ロシアからのエネルギー輸入に関する記事が多い。ウラジオストックにLNG基地を建設して、日本へ輸出。オホーツク油田を日ロが共同開発。ロシアが電力を海底ケーブルで稚内に送る計画を提案。東北電力が石炭の輸入価格を2割下げることでロシアと合意。これらはアメリカの“シェール革命”で、ロシアが日本への関心を高めている証拠だと言えるだろう。

ヨーロッパでも、動きは活発だ。イギリスは環境への悪影響を恐れて禁止していたシェール・ガスの開発を解禁。優遇税制さえ導入した。ポーランド政府は500億ズルチ(約1兆5000億円)の開発投資を決めている。EU首脳会議でも、シェール・ガス開発についての検討を始めた。

これまで世界のエネルギー需給を支配してきたOPEC(石油輸出国機構)も、内心は穏やかでない。まだ組織的な動きはみせていないが、加盟国のなかには中国とインドとの関係強化に乗り出したところもある。ベネズエラではアメリカ向けの原油輸出が3割減り、中国向けが3割増えたという。

そのほかオーストラリアは昨年10月から、シェール・ガスの商業生産を開始した。またインドネシアも20年の完成を目標に、スマトラ北部でガス田の掘削に乗り出している。このようにアメリカの“シェール・ガス革命”は、世界各国を揺さぶり始めた。あと数年もすると、世界のエネルギー需給地図は完全に塗り替えられるかもしれない。

                        (続きは来週サタデー)


    ≪28日の日経平均 = 上げ +463.77円≫

    【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2013-06-30-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第13章 都市鉱山って、なんだろう? ⑨

◇ みんなも協力してください = “都市鉱山”の開発を軌道に乗せるために解決しなければならないもう1つの問題は、使わなくなった家電製品を大量に集めること。個々の家電に含まれる貴金属やレアメタルは微量だから、たくさん集まらないと効率が上がりません。

いま全国で最も家電の回収に力を入れているのは秋田県です。県内の160か所に回収ボックスを設け、集まった家電を大館市に造った工場に送り込む。この工場は、ほとんど自動的に分解・粉砕して金属を取り出すことができる最新の機能を備えています。しかし、それでも回収される家電が少ないために、この工場はまだ赤字だそうです。

家電の回収を促進する目的で作られたのが「小型家電リサイクル法」でしたね。ところが実際に作業を行う市町村は、予算や人手が足りません。全国で回収の作業を始めたのは、自治体の3分の1にも達しないのが現状です。こういう状態が続いたのでは、工場も赤字のまま。“都市鉱山”の開発は、うまく行かないかもしれません。

そこで、小学生や中学生のみなさんに提案があります。みなさんのクラスで、どうしたら不用になった家電を回収できるか。考えてみてください。この仕事は地域の人が一体にならないと、成功しないでしょう。中学生や小学生でも、その旗を振ることはできますね。どこかの町でこんな運動が起きると、それは全国に広がる可能性もあるでしょう。


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