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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
2012年の経済展望 ① 日本
2012-01-01-Sun  CATEGORY: 政治・経済
◇ 政府見通しの達成はムリ = 政府が昨年末に作成した公式の経済見通しによると、12年度の実質成長率は2.2%、名目成長率は2.0%となっている。11年度の実質成長率はマイナス0.1%の見込みなので、ことしの景気は上向くと想定しているわけだ。過去5年間の平均値はマイナス0.2%だから、この想定通りなら「まずまず」と言えるだろう。

一方、民間の調査機関20社の予測を平均すると、12年度の実質成長率は1.8%で政府見通しよりはやや低い。その差は世界経済の動向、特にヨーロッパの状況をどう見るかで生じているようだ。この点について、政府は「EUの対策が効果を上げて持ち直しが進む」と判断している。

だが仮にギリシャ発の財政・金融不安が鎮静したとしても、その裏では各国の緊縮財政が着々と進行するはずだ。このため輸出市場という観点からみる限り、ことしのヨーロッパは期待薄。対ユーロでは、さらに円高が進むかもしれない。政府見通しは甘く、その達成はむずかしいと思われる。

プラス材料は被災地の復興が本格的に始まること。復旧・復興に対する財政支出は総額18兆円にのぼり、その景気刺激効果は小さくない。しかし半面、円高とエネルギー輸入の増大で、外需の景気刺激効果はほとんど期待できなくなる可能性が大きい。結局、成長率は民間推計の平均値に届くかどうか。数値は多少上がったとしても、残念ながら好況感が出ることはなさそうだ。


                                  (続きは明後日)

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2012年の経済展望 ② 中国
2012-01-03-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 成長率は8%台に減速 = 中国は一昨年10.3%の高い実質成長率を記録したが、昨年はやや減速した。非常に厳しい金融引き締め政策と輸出の鈍化が原因。引き締め政策はゆっくりと緩和される見通しだが、ADB(アジア開発銀行)では11年の実質成長率を9.3%、12年は8.8%に減速すると予測している。

厳しい金融引き締め政策は10年秋から始まった。11年7月までの短期間に預金・貸出金利は計5回、預金準備率にいたっては13回も引き上げられている。これは物価と不動産価格の急騰を抑えるための措置。消費者物価は昨年7月のピーク時には6.5%も上昇、特に食料品は14.8%も上がった。放置すれば国民の不満が爆発しかねないから、共産党・政府にとっては最優先の政策課題だったと言える。

その結果、物価は徐々に下がり始め、11月には4.2%の上昇にまで落ち着いた。このため政府は11月になって引き締めを解除する方向に姿勢を転換、預金準備率を2年ぶりに引き下げている。だが物価が再び上昇するようだと、元も子もなくなる。今後の金融緩和は慎重に、ゆっくりしたペースになると考えられる。

その一方、ヨーロッパでは財政・金融不安が発生。最大の輸出先であるEU経済の変調から、輸出の伸びが鈍化してしまった。このため輸出産業を中心に国内企業の倒産も相次ぎ、各地でデモやストが発生している。政府は財政支出を増やしてなんとか景気の落ち込みを防ごうとしているが、それでも成長率の鈍化は避けられないだろう。日本の中国向け輸出も、拡大は期待できそうにない。


                                  (続きは明日)

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2012年の経済展望 ③ 東アジア
2012-01-04-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 中国とよく似た動き = 東アジア諸国の経済は、全体として中国と同じような経過をたどっている。昨年後半からは経済成長率がやや鈍化したが、これは輸出の伸び悩みと金融引き締めが原因。輸出はヨーロッパとアメリカ向けが落ち込んだ。引き締めはインフレ対策として、多くの国が実施した。

たとえばインドネシア、フィリピン、マレーシア、タイのASEAN(東南アジア諸国連合)中核4か国をみると、昨年の実質成長率は前半の4.9%が後半は4.5%にやや減速した。ADB(アジア開発銀行)の予測によると、中国や韓国を含めた東アジア13か国の成長率は11年が平均7.5%、12年は7.2%になる見通し。昨年9月時点の予測より11年は0.1ポイント、12年は0.3ポイント下方修正された。

もっとも国によって状況は異なる。11年から12年にかけて成長率が上がると予測されるのは、タイとフィリピンとべトナムの3か国。特にタイは洪水の被害から回復するため、2%から4.5%に上昇する見込み。あとの10か国はすべて成長率が下落するなかで、この3か国は東アジア経済の下支え役になりそうだ。

物価の上昇もフィリピンとベトナムを除けば、ほぼ鎮静した。したがって、その他の諸国では早い機会に金融政策を引き締め解除の方向に転換する可能性が強い。今後はヨーロッパとアメリカの景気動向に左右される。そうしたなかでADBが、欧米の景気が仮にリーマン後の09年並みに低迷すると、13か国の成長率は12年に5.4%に下落するとわざわざ試算している点が少し気がかりだ。


                                    (続きは明日)

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2012年の経済展望 ④ ヨーロッパ
2012-01-05-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 信用不安と後退懸念の二重苦 = ヨーロッパの財政・金融不安は、年が明けても不気味にくすぶり続けている。市場はEU首脳が昨年末に合意した財政規律強化の総合対策を不十分だとみており、ギリシャやイタリアの国債利回りは下がる気配がない。特にギリシャの10年もの国債利回りは年末に36%を超えた。

市場関係者は1-3月が正念場だとみている。というのもユーロ圏各国の国債償還額が、この時期に3000億ユーロにも達する見込みだからだ。またギリシャは4月ごろにデフォルト(債務不履行)宣言を出すと考えられているが、それまでに域内銀行が自己資本の増強を完了できるかどうかも気にかかる。

ユーロ圏が財政再建に成功するためには、各国が厳しい緊縮政策を貫き通さなければならない。だが、その結果は景気後退を惹き起す可能性が十分にある。ヨーロッパ委員会は昨年11月、ユーロ圏17か国の成長率を11年は1.5%、12年は0.5%に下がると推定した。しかし現状から判断すると、この予測はかなり甘い。12年の成長率はマイナスに転落する可能性が高いと思われる。

厳しい緊縮政策に対して、各国では不満と抗議運動が高まっている。その結果が倒閣運動に結び付けば、政治的にも不安が増す。そして緊縮政策にほころびを生じれば、財政・金融不安を鎮めることが出来ない。ヨーロッパ諸国はこうしたジレンマを抱えながら、新年を迎えた。世界経済にとっては、ことしも最大の問題になるだろう。


                                    (続きは明日)

    ≪4日の日経平均 = 上げ +104.76円≫

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2012年の経済展望 ⑤ アメリカ
2012-01-06-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 薄明かりのなかで越年したが = 世界経済のなかで明るい希望を持って新年を迎えたのは、アメリカだけかもしれない。まず雇用情勢が改善した。昨年11月の失業率は8.6%に低下。まだ水準としては高いが、2年8か月ぶりの低さになった。失業保険の新規申請件数も3年半ぶりの低水準に落ちている。年末商戦の結果もまずまずだった。

雇用の回復が消費の拡大を促したことは間違いない。生産も上昇、主要500社の7-9月期の純利益は前年比20%の増加を記録している。昨年、世界中の株価が低迷するなかで、ニューヨークだけは上昇した。実質成長率も7-9月期は1.8%だったが、間もなく発表される10-12月期は3%台に乗りそうだ。

問題はこの薄明かりが、本物の景気回復につながって行くかどうか。雇用の改善が持続するとともに、アメリカ経済のもう1つのアキレス腱となっている住宅にも回復の兆しが現れるかどうか。それによって、ことしのアメリカ経済が回復軌道に乗れるかどうかが決まる。主要都市の住宅価格は13か月連続で下げているが、新築住宅の着工戸数は11月に前年比24.3%増加。上向く兆しも見せている。

アメリカ経済は、大統領選挙の年は好況になる。株価も上がるというのが、これまでの経験だった。選挙を控えて与党が財政支出を拡大し、景気の押し上げを図るからだ。ところが、ことしは、この経験値が生きないかもしれない。アメリカも財政赤字が急増しているうえに、野党の共和党が財政支出の拡大に強く反対しているからだ。そんな条件のなかでもアメリカ経済が順調に回復して行けば、世界経済全体にとっても大きなプラス材料になることは確かなのだが。


    ≪5日の日経平均 = 下げ -71.40円≫

    ≪6日の日経平均は? 予想 = 下げ

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サタデー自習室 -- 綱渡りの ユーロ圏 ⑩
2012-01-07-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ <問題点②>2つの南北問題 = ギリシャ政府が国債を償還できなくなり、EUに緊急融資を求めたのは一昨年の4月だった。そのときEU各国は、いち早く3年間で1100億ユーロの支援策を決定している。さらに財政・金融不安がスペインやイタリアに飛び火すると、EFSF(ヨーロッパ金融安定化基金)の資金を増強するなど防衛策に努力した。

ところがドイツをはじめ北ヨーロッパの国々では、国民の間に不満が広がった。ギリシャやスペインなど南ヨーロッパ諸国は、働かずに借金を増やした。そういう国を助けるのに「自分たちの税金が使われるのはおかしい」という不満である。一方、南の諸国では 「北の銀行を助けるために緊縮を押しつけられるのか」という疑問が噴出。この感情がデモやストを惹き起した。これがヨーロッパのなかでの南北問題。

もう1つは各国内での南北問題。たとえばイタリアは北部が工業地帯、南部は農業・観光業地帯。だから北部にとってはユーロ圏にとどまることが生存の基本条件。しかし南部にとっては、それほど必要性を感じない。だから財政再建のための緊縮政策に対する受け取り方も大きく違う。ギリシャも北と南が同じような関係にある。

このためイタリアでもギリシャでも、政府の緊縮政策に対する不満や反感は南部の方が強い。その不満が限度を超えて膨れ上がると、与党は政権を維持できなくなる。たとえばイタリアでもギリシャでも昨年、政権が交代した。だが新しい政権に対しても、国民の不満はくすぶり続けている。再び政変が起きると、緊縮政策は継続できないかもしれない。ユーロ圏の悩みの種である。


                             (続きは来週サタデー)

    ≪6日の日経平均 = 下げ -98.36円≫

    【今週の日経平均予想 = 3勝0敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2012-01-08-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第7章 銀行って、なんだろう? ①

◇ 預かったおカネを貸す仕事 = みなさんは、銀行へ行ったことがあるでしょう。お客さんが順番に窓口のところに行って、おカネを差し出したり、受け取ったりしています。奥の方では銀行の人たちが忙しく働いていますが、手にしているのはおカネと書類だけ。銀行って、なにをするところなのでしょうか。

銀行はいろいろな仕事をしていますが、いちばん重要なのは預金(よきん)と貸付け(かしつけ)という仕事です。預金というのは、お客さんのおカネを預かる仕事。また貸付けというのは、お客さんにおカネを貸す仕事です。このとき銀行は預金をしてくれたお客さんには金利を払い、貸し付けたおカネについては金利を払ってもらいます。

Aさんが銀行に100万円を預金します。またBさんが100万円を借りました。たとえば銀行がAさんの預金に払う金利を年3%とすれば、Aさんの預金は1年後103万円に。Bさんに貸すときの金利を5%とすれば、Bさんは1年後に105万円を返さなければなりません。その差額の2万円が、銀行の利益になるわけです。

ここでクイズ。Aさんが100万円を5年間続けて預金したとき、預金の合計はいくらになるでしょう。年3%の金利だから、5年たてば115万円? 答えは「ブー」です。1年目は103万円ですが、2年目は103万円の3%が金利になります。そうやって計算すると、5年後のAさんの預金は115万9274円になるのです。


                              (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2012-01-10-Tue  CATEGORY: 政治・経済
株式市場は昨年、ニューヨークの独り勝ちになった。ダウ平均株価は年間5.5%の上昇で、3年連続の上げ。日経平均は17%の下げ、ヨーロッパや中国も2ケタの下落となっている。アメリカの勝因は、南ヨーロッパ諸国に対する債権が少なかったこと、それに自国の経済が回復の兆しを強めたことだろう。特に年末には、雇用と消費の関連指標が明るさを増した。

日経平均は、アメリカの景気回復とヨーロッパの信用不安の間で綱引き状態が続いた。ユーロ圏内の国債償還額は、この1-3月期に3000億ユーロにのぼる。だから、まだ気は抜けない。一方、アメリカの回復は確実性を増して行く公算が大きい。そうなれば日経平均も、引っ張り上げられるだろう。

ことしは辰年。1950年以降、辰年の相場は平均29%の上昇で、十二支のなかで最高の成績だ。だからというわけでもあるまいが、ことしの日経平均は上がるという予想が多い。その最大の根拠は、18兆円にのぼる復旧・復興財源の支出だろう。ヨーロッパが大きく崩れず、アメリカの回復が着実に進めば、この予想は現実のものになるだろう。

今週は11日に、11月の景気動向調査。12日に、12月の景気ウォッチャー調査と11月の国際収支。アメリカでは10日に、11月の卸売り販売高。12日に、12月の小売り売上高。13日に、11月の貿易統計が発表になる。また中国が12日に、12月の消費者物価を発表する。この数値が下がれば、預金準備率の追加引き下げが行われるだろう。9日には独仏首脳会談、11日には独伊首脳会談がともにベルリンで開かれる。その結果も注目点。


    ≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ

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改善し始めた雇用 / アメリカ
2012-01-11-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 予想を上回った雇用者の増加 = 新年を迎えて初めての明るいニュースは、アメリカの雇用統計だった。米労働省が発表した昨年12月の雇用統計によると、完全失業率は8.5%と前月より0.2ポイント低下した。昨年10月まではずっと9%前後で推移してきたが、11月からは目に見えて下がり始めている。まだ水準としては高いが、それでも一昨年12月と比べれば0.9ポイントも改善した。

特に雇用者数の増加が、事前の民間予測を大きく上回った。農業を除く民間の雇用者総数は1億4079万人。前月に比べると21万2000人、前年比では190万人増加した。11月の増加数は10万人だったから、2倍以上の増え方になっている。ただ政府関係の雇用者数が1万2000人減少したため、雇用者総数では前月比20万人の増加となった。

ここで注目されるのは、政府関係の雇用者減少が小幅にとどまったこと。地方自治体が財政支出を削減したことから、これまでは月に3万人近くの減少をたどってきた。この人員削減が、どうやらピークを越えたようだ。もう1つは、就職をあきらめている人の数が激減したこと。12月は94万5000人で、前年より37万3000人も減った。

アメリカの雇用者数は、リーマン・ショック前から800万人も減少している。だから改善したとは言っても、まだ2割程度の回復でしかない。ティーンエイジャーの失業率は23.1%と高いまま。だが少なくとも改善に向かった動きが見えてきたことは確かだろう。反動減も予想されるが、ことしを通じて雇用の増加が続けば、世界経済にとっても大きな下支えになることは間違いない。


    ≪10日の日経平均 = 上げ +31.91円≫

    ≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ

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難題! ; イラン原油の輸入停止? (上)
2012-01-12-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 原油輸入量の1割弱 = 新年早々から、思わぬ難題が降りかかってきた。日本が輸入する原油の1割弱を占めるイラン産の原油が、近く輸入できなくなるかもしれない。アメリカやEUが年末年始の間にイランに対する経済制裁を強化、イラン原油の輸入禁止で結束したからだ。日本にも同調を求めてくることは必至。さあ、どうするか。

コトの起こりは昨年11月、IAEA(国際原子力機関)がイランの核兵器開発疑惑を認定したこと。これでアメリカの議会がイランに対する態度を急激に硬化させ、年末にはイラン原油の輸入禁止を含む国防権限法を一気に可決してしまった。新年に入るとEU27か国も禁輸を正式に合意、1月中には最終的に決定する見通しである。

イランの原油産出量は世界生産量のおよそ5%。日本の輸入相手国としてはサウジアラビア、UAE、カタールに次いで4番目。輸入量全体の10%弱をイランに依存している。もしイラン原油が輸入できなくなると、その分を他の産油国からの輸入増で埋めなければならない。現在は世界的な不況で原油は余り気味。量的な確保はできそうだが、価格の上昇は覚悟する必要がありそうだ。

こうした欧米諸国の制裁強化に対して、イランは猛反発している。1月2日にはホルムズ海峡でミサイルを発射、さらに2月には艦隊演習を行うと予告。ホルムズ海峡の封鎖も辞さない構えをみせている。米英両国は、仮にホルムズ海峡が封鎖されれば武力で対抗すると応じており、中東はまたキナ臭くなってきた。緊張が高まれば、国際的な原油価格は値上がりするに違いない。


                                 (続きは明日)

    ≪11日の日経平均 = 上げ +25.62円≫

    ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ

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難題! ; イラン原油の輸入停止? (下)
2012-01-13-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 段階的な削減の程度が問題 = アメリカ議会が成立させたイラン原油の禁輸法は「イラン中央銀行と決済取引のある外国銀行には、アメリカ国内の金融システムを利用させない」という内容。イランの民間銀行はすでに制裁措置の対象になっており、外国との取り引きができない。そこで原油の輸入国は、イランの中央銀行を通じて代金の決済をしている。つまり禁輸法は、イランと取り引きするかアメリカで金融活動をするか、どちらかを選べというわけだ。

オバマ大統領は、この禁輸法に乗り気ではなかった。原油の国際価格が高騰することを心配したからである。ところが議会が圧倒的多数で可決したため、やむなく年末に署名した。ただ議会と交渉して、例外措置を設けている。それは「決済額を大幅に減らした銀行には適用しなくてもいい」という規定。この“大幅に”が、なかなか曲者である。

アメリカのガイトナー財務長官が昨日12日、来日した。野田首相や安住財務相との会談では、日本もイラン原油の輸入を停止するよう強く要請。これに対して日本政府は、大災害の復興に努力している現状を説明し、イラン原油は「段階的に減らすので例外規定を適用してほしい」と主張した。だが“段階的”が5年でゼロにするのか、6か月でゼロにするのか、双方の“程度“に関する合意はなかったようだ。

イランは海上演習の予告に続いて、濃縮ウランの生産を近く開始すると発表。ますます態度を硬化させている。これに対するイスラエルの対応、米欧側の軍事的な動きなど、今後の展開は全く見通せない。ただ、そうしたなかで原油の国際価格だけは確実に上昇するだろう。日本はイラン原油の輸入禁止にどう対応するか。原油をどう確保するか。新たな難題であることに間違いはない。


    ≪12日の日経平均 = 下げ -62.29円≫

    ≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- 綱渡りの ユーロ圏 ⑪
2012-01-14-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ <問題点③>市場との闘い = 昨年12月、EU首脳は各国の財政規律を強化する新条約の締結で合意した。これを受けて各国の国債利回りは一斉に下がり、株価は上昇した。ところが、すぐに格付け会社がユーロ15か国の国債を格下げする可能性があると発表。国債利回りは上がり、株価も下落した。EUの対応策は、一夜にして吹っ飛んだ形となった。

ギリシャの財政不安が表面化して以来、EU側が対策を講じても国債の格下げが発表されて効果が帳消しになるという繰り返しが、何回となく続いている。この勝負はどうみても、EU側の分が悪い。たとえばギリシャ支援の融資をするにしても、財政規律強化の新条約にしても、EU側は各国議会の承認を必要とする。そのため決定から実行までには、時間がかかる。しかし格付け会社側は、決定し発表するのに時間はかからない。

EU側にとっては、格付け会社は目の上のたんこぶ。立ち入り検査をしたり、誤った格付けで損害を被った投資家が賠償を請求できる法律を作ったりして規制を試みてはいる。ところがアメリカやイギリスは、こうした規制に同調しない。ニューヨークやロンドンの市場が縮小することを恐れるからだ。

ただアメリカもリーマン事件の反省から、銀行に対してファンドへの投資を規制するなどの措置は講じた。あの“ウォール街を占拠せよ“運動もあって、銀行に対する規制は今後も強化される方向にある。だが格付け会社については動きがない。ここがEUの泣き所。決定に時間のかかる民主主義と、一瞬で大金を稼ごうとする金融資本主義との対決はまだ続く。


                          (続きは来週サタデー)

    ≪13日の日経平均= 上げ +114.43円≫

    【今週の日経平均予想 = 3勝1敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2012-01-15-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第7章 銀行って、なんだろう? ②

◇ 信用が商売の基本 = 銀行はお客さんから預金を集め、これを貸し出して利益を生み出すことは、前週お話しました。ですから、たくさん支店を持って多額の預金を集められる大きな銀行ほど、高い利益を出すことができるのです。この銀行本来の仕事を預貸(よたい)業務と言いますが、銀行はこの仕事をするときにすごいウラ業を使います。

たとえばAさんとBさんが、それぞれ500万円を預金したとします。銀行はこれを元手に、Cさんに900万円を貸し出しました。Cさんはこの900万円をいったん銀行に預けます。ところが銀行はこの900万円を元手に、Dさんに810万円を貸してしまうのです。さらに、この810万円を元手に・・・

こうして最初の預金は1000万円しかなくても、貸し出し額はどんどん増えて行くのです。どうして、こんなことができるのでしょうか。それはAさんやBさんをはじめ預金した数多くの人たちが、一斉に自分の預金をすぐに引き出すことはないと、銀行が考えるからです。ですから預かったおカネのごく一部だけを手許に残しておき、あとは貸してしまいます。

たしかに預金をする人は、銀行に長く預けておいて金利をもらおうとします。また銀行に預けておいた方が安全だとも考えるでしょう。しかし、もし銀行が経営に失敗して、おカネを返せなくなったら大変ですね。みんなが預金を下ろしにきて、銀行はお手上げになってしまいます。ですから銀行にとっては、預金者から信用されることが、なによりも大切だということになるのです。


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今週のポイント
2012-01-16-Mon  CATEGORY: 政治・経済
週末にまた、嫌なニュースが飛び込んできた。アメリカの格付け会社S&Pがフランスなどの国債を格下げするという予測記事が流れ、その数時間後には実際に引き下げが発表された。このため欧米市場の株価は一斉に値下がりしたが、下げ幅は比較的小さかった。13日のダウ平均は49ドル、ロンドンのFT100も26ポイントの下落にとどまっている。ダウ平均は週間62ドルの上昇に終わった。

日経平均は週間110円の値上がり。格下げのニュースが流れる前に市場が閉じたため、週末の終値は8500円を確保することができた。ただ国債格下げの影響でユーロが売られ、1ユーロ=97円20銭の円高になっている。先週も兜町ではユーロ安が嫌気されてヨーロッパ関連株が売られていたが、この流れは今週も尾を引きそうだ。

野田改造内閣が発足して「社会保障と税の一体改革」の実現へ向けての体制が整った。しかし市場は、政治のこの動きにあまり反応していない。政治に関心がないというよりも、関係者の間では「消費税の引き上げは困難だ」との見方が強いという。それよりも解散があるかどうか、その時期は何月か。そちらの方に強い関心があるそうだ。

今週は16日に、11月の機械受注と12月の消費者動向調査。17日に、11月の第3次産業活動調査。20日に、11月の全産業活動調査が発表される。アメリカでは18日に、12月の生産者物価と工業生産。19日に、12月の消費者物価と住宅着工戸数。20日に、12月の中古住宅販売戸数が発表になる。中国が17日に、昨年10-12月期のGDP速報を発表の予定。また20日はスペインの国債入札予定日。


    ≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ

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世界経済を破壊する 格付け会社 (上)
2012-01-17-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ ついにフランスも転落 = アメリカの格付け会社S&Pは先週末、フランスなどユーロ圏9か国の国債格付けを一斉に引き下げた。債務危機に対する「対応が不十分」というのが理由。特にフランスはユーロ圏でドイツに次ぐ二番目の大国であり、その影響はきわめて大きい。EUやIMFがこれまで積み上げてきた対策の信頼性が根底から覆される危険性もある。すでに通貨ユーロは大きく売り込まれた。ニューヨーク市場では1ユーロ=97円20銭にまで円が上昇、日本経済に対する悪影響も懸念される。

フランス政府やEU首脳は声明を発表、S&Pの決定を非難するとともに「あらゆる対応策を講じる」と強調した。しかし具体的に新たな対応策を講じることはムリ。9か国の国債利回りが上昇することは避けられそうにない。同時にヨーロッパの財政・金融不安が新たな局面を迎えたことは確かであり、見通しはいっそう不明瞭の度を増した。

格付け会社はもともと債券を発行する会社や自治体の財務状況を分析、投資した場合の安全度を投資家に知らせる目的で創設された。これが市場の健全な発展のために欠かせない業務であることは否定できない。ギリシャから始まった一連の債務危機も、格付け会社の“警告”がなかったらEU側の対応もずるずると遅れた可能性がある。

だから格付け会社の存在価値は認めるとしても、今回の発表は“暴走”と言わざるをえない。フランスもイタリアも政府は国民の不満を抑えながら、緊縮政策を進めている。EUも財政規律を守るための新条約を作ろうとしている。そのさなか、しかも昨年末から状況はほとんど変化していないのに「対応が不十分」という理由で格下げする。その結果は世界経済に混乱を招き、景気を悪化させる。得をするのは投機資金だけだ。良薬も飲みすぎると、健康に重大な被害を及ぼす。


                                (続きは明日)

    ≪16日の日経平均 = 下げ -121.66円≫

    ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ

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世界経済を破壊する 格付け会社 (下)
2012-01-18-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 理解できない格下げの目的 = S&P社は昨年12月6日にも「ユーロ圏15か国の国債格付けを引き下げる可能性がある」と発表して、市場に大きな波紋を投げた。EU首脳が「各国の財政規律を強化するための新条約を作る」ことで合意した、あくる日のことである。これで上がりかけた国債価格も株価も、すぐに下落してしまった。

今回は発表の数時間前に、一部の報道機関にリークしている。つまりS&Pはフランス国債などの格下げで、3回も市場に冷や水をかけたことになる。EUや各国政府に警鐘を鳴らすだけなら、こんなやり方は必要ないだろう。ここからは想像の域を出ないが、どこかのヘッジファンドと手を組んでいるのではないかと勘繰りたくなるほどだ。

ある市場関係者は「最近の格付け会社は、まるで神様のようだ」と嘆いている。理由の説明もなく“格下げ”のお告げをして、市場を混乱させてしまう。たしかに昨年12月6日と現在の状況にどんな変化があったのか。全く説明がないから、S&Pという単なる民間会社の主観的な判断と言うしかない。それなのに世界中が振り回されてしまうから不思議だ。

新聞も扱い方には困っているようにみえる。大きく取り上げれば、格付け会社のお先棒を担ぐ形になる。だが現実に国債やユーロや株価が値下がりするから、小さく扱うわけにもいかない。ただ新聞はニュースを伝えるだけではなく、物事の善悪を判定する責任も負っている。いつまでも「警鐘を鳴らす格下げ」と書くだけではなく、格付け会社の反社会性についても指摘すべきではなかろうか。


    ≪17日の日経平均 = 上げ +88.04円≫

    ≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ

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中国 > アメリカ+日本 / 新車販売台数
2012-01-19-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 1億台を超えた中国の自動車保有 = 昨年の新車販売台数は、中国がダン突の世界一。アメリカと日本の台数を加えても及ばなかった。
 中国―自動車工業会の集計によると、2011年の新車販売台数は前年比2.5%増の1850万5100台だった。政府による奨励金の打ち切りや大都市が公害対策で購入を制限したため、伸び率は大幅に縮小した。それでも2位のアメリカを570万台も上回って、世界一の座をゆうゆうと確保。日本勢では、日産自動車が21.9%も増加している。

 アメリカ ―調査会社オートデータ社の集計によると、11年の新車販売台数は前年比10.3%増の1277万8171台だった。景気の回復によって2年連続の2ケタ増加。リーマン・ショック前の8割にまで戻している。ビッグスリーと韓国の現代がシェアを拡大したが、日本勢は震災とタイ洪水の影響で伸びなかった。

 日本―自動車工業会の集計によると、11年の新車販売台数は前年比15.1%減の421万0220台だった。震災やタイ洪水の影響もあったが、景気の低迷も響いている。この販売台数は34年ぶりの低水準で、ピークだった90年の半分以下に落ち込んだ。中国やアメリカに比べると、極端に元気がない。

 中国の自動車保有台数は11年末で1億0600万台。昨年だけで1500万台の増加、過去5年間で倍増した。この台数は日本の7915万台より多いが、アメリカの2億4000万台には遠く及ばない。ただ中国の人口は日本の10倍、アメリカの4倍を超す。したがって普及率は、まだまだ低い。それだけに今後も販売台数は、大幅に伸びる余地を残していると言えるだろう。


    ≪18日の日経平均 = 上げ +84.18円≫

    ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ

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野田さん、もっと目を開けて
2012-01-20-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 国民は疑念を捨て切れない = どじょうの目が少しパッチリしてきた。社会保障と税の一体改革は「不退転の決意で臨む」と述べた野田首相の表情からは、政治家の覚悟が感じられた。また遅ればせながら、議員の定数削減や歳費の引き下げ、公務員給与のカットも実施すると言い始めた。これは大変な進歩だと評価したい。だが国民の多くは、まだ拍手を送る心境にはなれない。

というのも、野田首相の気持ちのなかにある一体改革政治・行政改革との間の微妙な格差。国民はそれを敏感に感じ取ってしまうからだ。たとえば議員定数の削減については次の通常国会に法案を出すと言うが、同時に「野党ともしっかり議論する」と発言している。要するに「野党が応じなければ仕方がない」と考えているように聞こえてしまう。

議員定数の削減や公務員給与の引き下げは、大震災の復興に必要な財源の負担を国民も政治家も役人もみんなで分かち合おうという発想から生まれた。だから国民の負担である増税だけは“不退転”だが、あとは野党しだいという姿勢ではおかしい。これまで何回となく経験したように継続審議になったり、結局はウヤムヤにされる恐れが十分にある。

野田さん、なぜ政治・行政改革も“不退転”と言わないのか。むしろ改革が行われなければ、増税はできないという姿勢をとってもらいたい。貴方は増税については「解散も辞さない」と野党に圧力をかけたが、政治・行政改革も同じと言うべきだ。解散・総選挙になったとき、増税だけが最大の争点になるより「一体改革政治・行政改革」が争点になった方が、ずっと有利になるはずだ。もう少し目を大きく開くべし。


    ≪19日の日経平均 = 上げ +89.10円≫

    ≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- 綱渡りの ユーロ圏 ⑫
2012-01-21-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ <展望①>ギリシャの行く末  EU首脳は昨年10月末、ギリシャの自力更生は困難だと判定。ギリシャの債務負担を軽減するため、民間に対する債務を強制的に50%削減することを決めた。明らかにギリシャのデフォルト(債務不履行)を容認したことになる。ただギリシャが直ちにデフォルト宣言をすると、大混乱を生じる。だから一定の準備が必要だった。

ヨーロッパの金融機関は大量に保有するギリシャ国債の価値が半減すると、経営破たんする可能性がある。そこで自己資本を積み増すなど、経営基盤を強化する必要に迫られた。EU首脳としては、ことし3月ごろまでにこの準備を完了し、4月ごろにギリシャがデフォルトを宣言するという“管理デフォルト”計画を想定していたに違いない。

ギリシャ自身も昨年11月にはパパデモス新首相の率いる大連立内閣を発足させ、緊縮政策を進めながら各国金融機関との債務削減交渉を続けてきた。ところが新年に入ってすぐ、事態は急変した。格付け会社S&Pが、フランスをはじめとするユーロ圏9か国の国債格付けを一斉に引き下げたからである。これでまた見通しは混とんとしてしまった。


今後の展望は大きく分けて2つ。最良のコースは事態に平静さが戻って、EU首脳の描いた管理デフォルトが実現する 可能性。この場合は、ギリシャがユーロ圏から除外されることはないだろう。最悪のコースはギリシャの債務がさらに拡大し、金融機関の資本増強もできなかった場合。ギリシャはおそらくユーロ圏にはとどまれない。紀元前6世紀に初めての貨幣社会を実現したギリシャの悲劇となる。


                             (続きは来週サタデー)  

    ≪20日の日経平均 = 上げ +126.68円≫

    【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2012-01-22-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第7章 銀行って、なんだろう? ③

◇ おカネの決済をする = 銀行には、いろんな人たちがやってきます。おカネを預ける人、預金を引き出す人。銀行からおカネを借りる人。このほか自分のおカネを、ほかの人に支払うためにやってくる人も多いのです。たとえばAさんが、遠くの町に住んでいるBさんに借りた20万円を返そうとします。

このとき銀行はAさんの預金から20万円を引き出し、それをBさんの預金通帳に移してくれるのです。また買った商品の代金を支払うこともできます。さらに会社がおおぜいの社員に、給料を払うときにも使われます。こうした銀行によるおカネの移動は、同じ銀行の支店と支店の間だけではありません。ちがう銀行の間、外国の銀行との間でも可能なのです。

このようにAさんの預金から20万円が引き出されて、Bさんの預金が増えることを「決済(けっさい)」と言います。つまり銀行に頼めば、現金のやりとりをしないで決済ができるわけです。むかしは銀行の人がそろばんで計算し、電話で相手の銀行に通知していました。しかし現在は計算も通知も記録も、すべてコンピュータがやってくれます。

人びとが銀行におカネを預けるのは、金利が付くからだけではありません。家におカネを置いておくと、泥棒に盗られたり、火事になったりしないか、心配ですね。そう、銀行に預けておけば安心なのです。ですから銀行はおカネを預かる、おカネを貸す。おカネの決済をする。そして安全も提供しているのです。

                              
                             (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2012-01-23-Mon  CATEGORY: 政治・経済
株式市場のムードが陽転した。先週のダウ平均は4日連騰して、週間298ドルの値上がり。昨年4月末に付けたリーマン後の最高値にあと100ドルという水準を回復した。日経平均も週間266円の値上がり。ドイツ市場は年初来8%、上海も5%高くなっている。理由はまずアメリカ経済の先行きが明るさを増してきたこと、加えてヨーロッパの金融不安が落ち着きをみせたことにある。

アメリカでは失業保険の新規申請数が急減、雇用情勢の改善が持続していることを裏付けた。また住宅関連の指標も好転した。ヨーロッパではS&Pがフランスなど9か国の国債を格下げしたにもかかわらず、ポルトガル以外の国債利回りは安定。フランスやオーストリア、イタリア、スペインの国債入札も順調に終了した。市場が国債格下げに対する“免疫力”を持ち始めたのかもしれない。

特にユーロ相場の反発は意外だった。ふつうはニューヨーク市場に資金が流れるとドルが強くなり、ユーロが下落。円の対ユーロ相場も上がってしまう。ところが今回はユーロが逆に反発し、円相場も1ユーロ=100円近辺にまで値下がりした。こうした株式市場を取り巻く好環境が長続きするかどうか。さっそく今週はそれが試される。

今週は25日に、12月の貿易統計。26日に、12月の企業向けサービス価格。27日に、12月の消費者物価。アメリカでは25日に、11月の住宅価格と12月の中古住宅販売。26日に、12月の新築住宅販売。27日に、昨年10-12月期のGDP速報が発表される。また24日には通常国会が召集され、野田首相の施政方針演説が行われる。同じ日、アメリカではオバマ大統領が一般教書を読み上げる。


    ≪23日の日経平均は? 予想 = 下げ

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ことしの世界経済 / 上向きは日米だけ
2012-01-24-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 全体は“ナベ底”へ : 世銀の予測 = 世界銀行は先週、2012年ー13年の世界経済見通しを発表した。それによると、世界全体の実質経済成長率は11年の2.7%から12年は2.5%にやや低下するが、13年には3.1%に回復する。つまり12年の景気は“ナベ底”型になると予測。このなかで①開発途上国はヨーロッパ金融不安の悪影響を被る心配が強い②ユーロ圏はマイナス成長に③アメリカと日本の景気は「比較的に強い」‐‐と指摘している。

地域・国別の予測をみると、途上国全体の成長率はは11年の6.0%から12年は5.4%に低下。そのあと13年には再び6.0%に戻る。このうち中国は11年から13年にかけて9.1%→8.4%→8.3%と減速気味だが、洪水の影響が薄れるタイは2.0%→4.2%→4.9%と経済の拡大が続くとみている。

先進国については、OECD(経済協力開発機構)加盟国の動きは1.4%→1.3%→1.9%だが、このうちユーロ圏は1.6%→マイナス0.3%→1.1%と厳しい見方。ことしはマイナス成長になると予測した。ちなみにユーロ圏のなかで最も経済力の強いドイツは、政府が11年の3.0%から12年には0.7%に落ち込むという経済見通しを発表している。

世銀はアメリカについて1.7%→2.2%→2.4%と予測。ゆるやかな拡大が続くとみている。また日本についてはマイナス0.9%→1.9%→1.6%の見通し。震災復興の影響で12年は回復するが、13年はその効果が薄れると考えているようだ。世銀の予測でみる限り、ことしは世界経済が減速するなかで、日米の経済だけが上向きになる。先進国のなかでも、二極化が進むようだ。


    ≪23日の日経平均 = 下げ -0.46円≫

    ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ

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フィンランド国民の良識
2012-01-25-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 反EU大統領候補が敗退 = このところ苦労が絶えないEU首脳たち。22日に行われた2つの投票結果をみて、秘かに胸をなで下ろしたに違いない。まずフィンランドの大統領選挙。ハロネン現女性大統領の任期満了に伴う選挙だったが、8人の立候補者の全員が過半数に達しなかった。そこで2月5日に、1位と2位の候補による決選投票が実施される。

フィンランドは北欧3国でいちばん東に位置する小国。面積は日本よりやや小さいが、人口は540万人しかいない。だがノキアに代表されるハイテク産業が盛んで、1人当たりGDPは日本より多い。ユーロ加盟国のなかでも経済の優等生。国債の格付けもドイツやオランダと並んで、最上級のAAAと評価されている。

ところが国内では、ギリシャやポルトガルに対する援助に反対する空気が強まり、昨年4月の総選挙ではEUに批判的な政策を掲げた政党が大躍進。これに刺激されて反EUに傾斜した政党も現れた。このため大統領選挙でも、反EU派の候補が善戦すると予想されていた。しかし結果は反EU政党の候補が3位と4位に。つまり決選投票でどちらが勝っても、親EUの大統領が誕生することが確定した。

もう1つは、クロアチアで行われた国民投票。EU加盟の是非が問われたが、結果は加盟に賛成の投票が66%に達した。これによりクロアチアは、来年7月に28番目のEU加盟国になる予定。仮にどちらも反対の結果だったとすると、EUの評判はさらに落ちたに違いない。メルケルさん、サルコジさん、よかったですね。


    ≪24日の日経平均 = 上げ +19.43円≫

    ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ

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大ピンチ ! 貿易立国・日本 (上)
2012-01-26-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ ついに31年ぶりの赤字 = 財務省が25日発表した貿易統計によると、2011年の輸出入差額は2兆4900億円の赤字だった。貿易収支の赤字は1980年以来31年ぶり。輸出が65兆5500億円で前年比2.7%減少したのに対し、輸入は68兆0500億円で12.0%も増加したため。赤字は今後も続きそうで、輸出に依存してきた日本の経済成長モデルは消滅する危険性が大きい。

商品別にみると、輸出は自動車が前年比10.6%の減少。半導体・電子部品は14.2%、船舶も8.7%減少した。輸入では、原油やLNG(液化天然ガス)などの鉱物性燃料が25.2%も増加している。輸出の減少は、欧米やアジアなど海外経済の不調とタイ洪水が主な原因。タイ洪水の影響は薄れたが、ヨーロッパを中心に輸出相手国の景気停滞はことしも続きそうだ。

輸入の増大は原発の稼働率が低下し、火力発電用の燃料輸入が急増したため。この傾向は、特に昨年10-12月期の貿易収支に顕著に現れている。10-12月期の鉱物性燃料の輸入額は5兆3050億円、前年比では30%も増えた。原発は全国54基のうち、いま稼働しているのは4基にすぎない。まだまだ燃料の輸入は増大しそうだ。

貿易統計の発表を受けて、外国為替市場では円相場が反落している。25日現在、東京市場では対ドルが1ドル=78円前後、対ユーロが1ユーロ=101円50銭近辺まで下落した。高すぎる円相場が反落したのは結構だが、世界中の投資家が貿易立国・日本の将来に疑問を感じ始めたのではないか。やや心配のしすぎかもしれないが、やっぱり気になってしまう。


                                  (続きは明日)

    ≪25日の日経平均 = 上げ +98.36円≫

    ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ

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大ピンチ ! 貿易立国・日本 (下)
2012-01-27-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 原発再稼働の行程表を = 東京電力の柏崎刈羽原発5号機は25日、定期検査に入るため運転を停止した。これで全国54基の原発のうち、稼働しているのはわずか4基だけに。仮に今後も再稼働する原発がないとすると、4月末には原発による発電はゼロになってしまう。その分を火力で埋めるから、原油やLNGの輸入はさらに増える。

原油やLNGなど鉱物性燃料の価格は、今後も値上がりする公算が大きい。イラン原油の禁輸問題も、これからじわじわと影響が出てくる。円相場が下落すれば、輸入代金はそれだけ膨らんでしまう。その結果は、さらなる貿易赤字の拡大と電力料金の上昇。日本経済に対する不信感が強まり、国債の利回りが急騰するかもしれない。

野田首相の国会における施政方針演説。いろいろ批判も聞かれるが、内容的にはそんなに悪くなかった。ただエネルギー問題については「化石燃料が高騰する中で、足元の電力需給の逼迫を回避しながら、温暖化ガスの排出を削減し、中長期的に原子力への依存度を最大限に低減させる」と、問題を羅列しただけで逃げてしまった。

こんな悠長な姿勢では、このピンチを乗り切れない。安全性の確認が終わった原発は、少しずつでも再稼働させる。同時に再生可能エネルギーによる発電量の増大を、国家プロジェクトとして最優先する。その結果、原発への依存度を減らして20年後の脱原発を目指す。--この程度の“施政方針”は示してほしかった。


    ≪26日の日経平均 = 下げ -34.22円≫

    ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- 綱渡りの ユーロ圏 ⑬
2012-01-28-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ <展望②>ユーロ圏の行く方 = ユーロ圏の命運は、やはりギリシャが握っている。ギリシャがEU首脳の計画通り管理デフォルトを実現できれば、ギリシャがユーロ圏を離脱することはないだろう。その場合でもヨーロッパの信用不安を克服するのにはかなりの時間を要するだろうが、ユーロ17か国の体制はなんとか維持される。これが考えられる最善のコースだ。

ギリシャが資金繰りに行き詰まって突然デフォルト宣言をした場合は、最悪のコースになる。ギリシャに融資していた金融機関は多くが経営難に陥り、信用不安は一段と増大する。またギリシャはユーロ圏にとどまれない公算が大きいが、そのときポルトガルやスペインの資金繰りも苦しくなってユーロ圏を離脱するかどうかの選択を迫られる。イタリアやフランスにも、大きな圧力が加わるだろう。

事態がそこまで進むと、EUやIMFも面倒を見切れなくなる。ユーロ圏は少なくとも縮小を余儀なくされる。通貨ユーロは暴落するだろう。世界経済に対する悪影響も計り知れない。アメリカや中国などの新興国もEU向けの輸出に大きく依存している。したがって、ユーロ発の世界不況が発生する危険性はきわめて高い。

現実の可能性は、こうした最善と最悪のコースの中間に存在するのかもしれない。また見通しが最悪のコースに近づけば、ECB(ヨーロッパ中央銀行)が無制限の国債買い入れに踏み切るかもしれない。だが、それはそれでインフレという新たな問題を惹き起す可能性がある。いずれにしてもヨーロッパ情勢からは、1日も目が離せない。


    ≪27日の日経平均 = 下げ -8.25円≫

    【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】   

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2012-01-29-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第7章 銀行って、なんだろう? ④

◇ 銀行のはじまり = 世界で初めての銀行は、会社もそうだったように、ヨーロッパで誕生しました。いちばん古い銀行については、いろいろな説があります。たとえば12世紀のころ、イタリアで栄えた両替商(りょうがえしょう)。両替商というのは、金貨を小銭に替えたりして手数料を取る商売です。このイタリアの両替商が、おカネを預かったり貸したりするようになったと言います。

みなさんは、銀行のことを英語でなんと言うか知ってますね。そう、バンク(bank)です。イタリアの両替商がおカネを数えるときに使った長い机。イタリア語でバンコ(banco)と言いますが、これがバンクになったそうです。

その少しあと、イギリスのロンドンでは金(きん)の商人が、お客から金を預かるときに預り証を渡しました。その預り証でモノを買ったり、借金を返す人たちが増えたのです。これが紙幣の始まりだとも言われています。ですから、このロンドンの金商人が銀行の先祖だと考える人もいます。

日本でも、江戸時代には両替商が栄えました。これが日本の銀行の始まりかもしれません。正式な銀行の第1号は、1873年(明治6年)に日本橋で開業した第一国立銀行です。その3年後には、153もの銀行が全国各地に生まれています。なお第1号の第一国立銀行はその後の合併などで、いまはみずほ銀行になっています。


                           (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2012-01-30-Mon  CATEGORY: 政治・経済
東京の株式市場が正常な状態に戻りつつある。東証1部の売買代金が1兆円台を回復、日中の値幅も拡大してきた。外国人投資家の買い越し額も増えており、1月は昨年4月以来の大きさになる見通し。ただ日経平均は昨年10月末の水準に近づいたため、利益確定の売り圧力も強まっている。先週は75円の値上がりにとどまった。

ニューヨーク市場も似たような状況にある。ダウ平均はリーマン・ショック後の高値に接近したため、利食い売りが先行した。先週は60ドルの下落。値下がりはしたものの、基礎的な環境は悪くない。ヨーロッパ情勢は小康状態を続けているし、アメリカ自身の経済見通しも少しずつ好転している。

日米両市場ともに、利食い売りのカベを突き破るためには好材料が欲しいところ。アメリカでは続々と発表されている企業決算と、今週発表される1月の雇用統計が好調ならば、株価の一段高が期待できる。そうなれば日本の株価も引きずられるだろう。ただし日本の場合は、円高・ドル安がこれ以上は進まないことが条件になる。

今週は31日に、12月の労働力調査、家計調査、鉱工業生産、住宅着工戸数。1日に、12月の毎月勤労統計、1月の新車販売。アメリカでは31日に、12月のSPケースシラー住宅価格、1月のコンファレンスボード消費者信頼感指数。1日に、1月のISM製造業指数、1月の新車販売。そして3日には1月の雇用統計と1月のISM非製造業指数が発表になる。


    ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ

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フに落ちない 年金支給の減額 (上)
2012-01-31-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 物価が下がったと言うけれど = 話を聞いたときには「なるほど」と納得した。また違う話を聞いて納得。だが後になって、2つの話を突き合わせて考えたら「なんだか妙だな」と感じることが世の中には少なくない。物価が下がったというニュースと年金の支給額を下げるというニュースを読んだら、こういう気分になった。

まず物価が下がったという話。総務省の発表によると、2011年の消費者物価は前年に比べて0.3%下落した。物価の下落は09年から3年間の連続。エネルギーの国際価格が高騰したためガソリン代や電気・ガス料金は上昇したが、薄型テレビなど家電製品の値下がりが大きく、全体の物価水準を引き下げたという。

次に年金の支給額を減らすという話。厚生労働省は11年の消費者物価が下落したのに合わせて、公的年金の支給額を4月分から0.3%引き下げると発表した。前年も10年の物価下落に合わせて0.4%減額している。さらに今回は10月分から0.9%の引き上げを上乗せする方針。これは99-01年に物価下落に連動した減額を据え置き、本来なら2.5%減額するはずだった分を取り戻すためだという。

デフレ構造が解消せず物価が下がった、というニュースを読めば「なるほど」と思う。年金の支給額は物価の変動に合わせて調整することになっている、というニュースも納得できないことはない。しかし、この2つの発表を突き合わせて考えると、どうも「妙だな」と考えてしまう。どこが納得できないのだろうか。


                                  (続きは明日)

    ≪30日の日経平均 = 下げ -48.17円≫

    ≪31日の日経平均は? 予想 = 上げ

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