◇ 自然災害から紛争・戦争まで = 人間は未来を推測することは出来るが、完全に予知することは出来ない。だから常に予測不能の事象に脅かされているのだが、それにしても2024年は不明なことが多すぎる。そんななかで経済問題に限れば、まだある程度の推測が可能だ。たとえばFRBはことし何回か利下げし、アメリカ経済は不況に落ち込むことなくインフレの克服に成功する。その確率は5割を超えるかな--というように。
また日銀は4月以降にマイナス金利政策を離脱、日本にも「金利のある世界」が復活する。これによって経済は活性化するが、株価は一時的に下落するかもしれない。一方、ヨーロッパ経済はインフレが収まらず、ECB(ヨーロッパ中央銀行)は金融緩和に踏み切れない可能性がある。さらに中国経済は成長率を4%前後にまで落としそうだ。--こんな推測も成り立つに違いない。
ところが経済から離れてみると、予測不能の問題がなんと多いことか。たとえば地球温暖化がもたらす異常気象。23年も洪水や干ばつ、山火事などが異常に多く発生した。ことしは、どうなるのだろう。世界が温暖化ガス防止のための有効な対策を打てない状況からみて、自然災害の猛威はさらに激しくなるのか。それが人間の生活にどんな影響を及ぼすのか。残念ながら、全く推測できない。
視野を人類の紛争や戦争にまで広げると、予測はさらに困難さを増す。ウクライナ戦争やガザ戦争の行くえは、誰にも判らない。ロシアとNATO(北大西洋条約機構)との全面対決、イスラエルとイランの直接交戦、朝鮮半島での緊張、台湾を巡る危機・・・。こんなに多くの問題を抱え込んだことが、かつてあったろうか。問題が爆発する可能性は小さいかもしれないが、確率はゼロではない。年頭に当たって、こういう考え方も頭の片隅に入れておきたい。
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☆ 明けまして、おめでとうございます。ことしも、皆さまのご健勝をお祈り申し上げます。 M,I,
また日銀は4月以降にマイナス金利政策を離脱、日本にも「金利のある世界」が復活する。これによって経済は活性化するが、株価は一時的に下落するかもしれない。一方、ヨーロッパ経済はインフレが収まらず、ECB(ヨーロッパ中央銀行)は金融緩和に踏み切れない可能性がある。さらに中国経済は成長率を4%前後にまで落としそうだ。--こんな推測も成り立つに違いない。
ところが経済から離れてみると、予測不能の問題がなんと多いことか。たとえば地球温暖化がもたらす異常気象。23年も洪水や干ばつ、山火事などが異常に多く発生した。ことしは、どうなるのだろう。世界が温暖化ガス防止のための有効な対策を打てない状況からみて、自然災害の猛威はさらに激しくなるのか。それが人間の生活にどんな影響を及ぼすのか。残念ながら、全く推測できない。
視野を人類の紛争や戦争にまで広げると、予測はさらに困難さを増す。ウクライナ戦争やガザ戦争の行くえは、誰にも判らない。ロシアとNATO(北大西洋条約機構)との全面対決、イスラエルとイランの直接交戦、朝鮮半島での緊張、台湾を巡る危機・・・。こんなに多くの問題を抱え込んだことが、かつてあったろうか。問題が爆発する可能性は小さいかもしれないが、確率はゼロではない。年頭に当たって、こういう考え方も頭の片隅に入れておきたい。
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◇ 柏崎刈羽原発6-7号機の運転禁止解除 = 原子力規制委員会は年末27日、東京電力の柏崎刈羽原発に対する運転禁止命令を2年8か月ぶりに解除した。この原発は17年12月に6-7号機が安全審査に合格したが、その後IDカードの不正使用や侵入検知に関するトラブルが続発。規制委員会が核燃料の移動を禁止するという形で、事実上の運転禁止命令を出していた。東電側が対策を講じ、今回ようやく運転できることになった。
だが実際に原発を再稼働させるためには、地元の同意が必要。このため東電はこれから地元に説明し、同意を取り付けなければならない。いまのところ柏崎市長と刈羽村長は再稼働に同意しているが、花角新潟県知事は慎重な構え。最終的には「新潟県民の意志を明らかにするため、知事選挙か県民投票が必要になるかもしれない」と述べている。
柏崎刈羽原発6-7号機は、出力が合計270万㌔㍗。東京電力の全出力の約5%を占める。経営的にも大きなプラスとなり、収支を年1200億円ほど改善させる効果がある。したがって東電は懸命に地元を説得することになるが、微妙なことは新潟県が東北電力の管内であり、東京電力とは関係がない点。たとえば原発の効果で東京電力が料金の値下げをしても、その恩恵が及ばない。
ただし、この問題を地元民の意志に委ねていいかどうか。もちろん地元民の意志を尊重することは大事だが、目線をもっと高くすることも重要だ。つまり日本国の将来を左右する、エネルギー計画に直結する問題でもあるわけだ。にもかかわらず、政府はいまのところ静観の構え。じっくり見ているというよりは、面倒な問題には手を出さない。要するに、腰が引けている。
(続きは明日)
≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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だが実際に原発を再稼働させるためには、地元の同意が必要。このため東電はこれから地元に説明し、同意を取り付けなければならない。いまのところ柏崎市長と刈羽村長は再稼働に同意しているが、花角新潟県知事は慎重な構え。最終的には「新潟県民の意志を明らかにするため、知事選挙か県民投票が必要になるかもしれない」と述べている。
柏崎刈羽原発6-7号機は、出力が合計270万㌔㍗。東京電力の全出力の約5%を占める。経営的にも大きなプラスとなり、収支を年1200億円ほど改善させる効果がある。したがって東電は懸命に地元を説得することになるが、微妙なことは新潟県が東北電力の管内であり、東京電力とは関係がない点。たとえば原発の効果で東京電力が料金の値下げをしても、その恩恵が及ばない。
ただし、この問題を地元民の意志に委ねていいかどうか。もちろん地元民の意志を尊重することは大事だが、目線をもっと高くすることも重要だ。つまり日本国の将来を左右する、エネルギー計画に直結する問題でもあるわけだ。にもかかわらず、政府はいまのところ静観の構え。じっくり見ているというよりは、面倒な問題には手を出さない。要するに、腰が引けている。
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◇ 理念に欠ける政府の原発政策 = ウクライナ戦争がきっかけとなって、原油など燃料の国際価格が高騰した。このため日本の輸入価格も急騰、たとえば22年の鉱物性燃料の輸入額は33兆5000億円となっている。電気やガス、ガソリンの値段が上がり、個人や企業の負担が増大した。また貿易赤字が20兆円にのぼり、円安が進行。これも物価を押し上げ、個人や企業を苦しめている。
輸入燃料費の増加は、それだけ日本人の購買力が海外に流出したことを意味する。個人や企業が支払った燃料代金は、結局のところ産油国の収入となってしまう。仮に輸入代金が3分の2に減ったとすると、家計や企業の負担は11兆円も軽減される。その分が消費や投資に使われると、成長率がそれだけ上がり、景気がよくなるというわけだ。
輸入燃料費を減らす方法は節約を別とすれば、原子力か再生可能エネルギーを増やすしかない。政府も「30年度に原子力による発電を、全体の20-22%に増加させる」計画を策定している。ところが現在の比率は6.9%に過ぎず、計画の達成はきわめて難しそうだ。そんな状態のなかなので、柏崎刈羽原発6-7号機が動くことの意味は非常に大きい。
政府は原発について「最大限活用する」方針も決定している。だが、その意味は「原発を限りなく増やして行く」ことではなさそうだ。ドイツは原発の稼働をすべて停止したが、日本政府の理念はいま一つはっきりしない。たとえば「将来は原発ゼロを目指すが、いまは33基ある原発を全部動かしたい」とでも言えば、ずいぶん判りやすくなる。再稼働に対する地元民の反対も、かなり少なくなるのではないだろうか。
≪4日の日経平均 = 下げ -175.88円≫
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輸入燃料費の増加は、それだけ日本人の購買力が海外に流出したことを意味する。個人や企業が支払った燃料代金は、結局のところ産油国の収入となってしまう。仮に輸入代金が3分の2に減ったとすると、家計や企業の負担は11兆円も軽減される。その分が消費や投資に使われると、成長率がそれだけ上がり、景気がよくなるというわけだ。
輸入燃料費を減らす方法は節約を別とすれば、原子力か再生可能エネルギーを増やすしかない。政府も「30年度に原子力による発電を、全体の20-22%に増加させる」計画を策定している。ところが現在の比率は6.9%に過ぎず、計画の達成はきわめて難しそうだ。そんな状態のなかなので、柏崎刈羽原発6-7号機が動くことの意味は非常に大きい。
政府は原発について「最大限活用する」方針も決定している。だが、その意味は「原発を限りなく増やして行く」ことではなさそうだ。ドイツは原発の稼働をすべて停止したが、日本政府の理念はいま一つはっきりしない。たとえば「将来は原発ゼロを目指すが、いまは33基ある原発を全部動かしたい」とでも言えば、ずいぶん判りやすくなる。再稼働に対する地元民の反対も、かなり少なくなるのではないだろうか。
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◇ 実に重大な官民予測の相違 = 政府は昨年末の閣議で「24年度の経済見通し」を了承した。それによると実質GDPは568兆円となり、18年度の555兆円を抜いて過去最大になる。実質成長率はプラス1.3%で、23年度の見込みプラス1.1%を上回る見通し。賃上げと減税の効果によって個人消費が1.2%増加、企業の設備投資も3.3%増加する。一方、消費者物価は前年度比2.5%の上昇になると予測している。
日経センターは昨年末、民間エコノミスト38人が発表した24年度の経済見通しを集計した。それによると、実質成長率の平均予想値はプラス0.88%。消費者物価の上昇率は前年度比2.2%の上昇だった。毎年のことだが、政府の予測は民間より高く出る傾向がある。というのも成長率の予想を高めにしないと、税収の見積もりが増えず新年度予算を編成しにくくなってしまうからだ。だが、それにしても、今回は官民の相違が大きすぎる。
しかも、この相違はもっと重大な問題につながってくる。政府見通しによると、減税と賃上げの効果で、所得も3.8%増加する見込み。一方、物価は2.5%の上昇という見通しだから、所得の増加率が物価の上昇率を上回る。岸田首相が待望する「経済の好循環」が始まる予測になっているわけだ。しかし民間の予測では、そうならない。
最近は大幅賃上げを伝えるニュースも多い。しかし、主として大企業が中心の話だ。雇用の7割以上を支える中小企業の大多数は、そんなに大幅な賃上げは無理。したがって全体としての所得は、それほど増えない。その反面、人手不足で賃金が上がるとしても、その分は価格に転嫁される。だから物価はもっと高くなる可能性が大きい。すると「賃上げ>物価」の好循環は、実現しない。民間エコノミストの多くは、こう考えているのだろう。
≪5日の日経平均 = 上げ +89.13円≫
【今週の日経平均予想 = 2勝0敗】
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日経センターは昨年末、民間エコノミスト38人が発表した24年度の経済見通しを集計した。それによると、実質成長率の平均予想値はプラス0.88%。消費者物価の上昇率は前年度比2.2%の上昇だった。毎年のことだが、政府の予測は民間より高く出る傾向がある。というのも成長率の予想を高めにしないと、税収の見積もりが増えず新年度予算を編成しにくくなってしまうからだ。だが、それにしても、今回は官民の相違が大きすぎる。
しかも、この相違はもっと重大な問題につながってくる。政府見通しによると、減税と賃上げの効果で、所得も3.8%増加する見込み。一方、物価は2.5%の上昇という見通しだから、所得の増加率が物価の上昇率を上回る。岸田首相が待望する「経済の好循環」が始まる予測になっているわけだ。しかし民間の予測では、そうならない。
最近は大幅賃上げを伝えるニュースも多い。しかし、主として大企業が中心の話だ。雇用の7割以上を支える中小企業の大多数は、そんなに大幅な賃上げは無理。したがって全体としての所得は、それほど増えない。その反面、人手不足で賃金が上がるとしても、その分は価格に転嫁される。だから物価はもっと高くなる可能性が大きい。すると「賃上げ>物価」の好循環は、実現しない。民間エコノミストの多くは、こう考えているのだろう。
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◇ 新年は慎重なすべり出し = ダウ平均は先週223ドルの値下がり。火曜日には小幅に上げて史上最高値を更新したが、水曜日には300ドル近く反落した。FRBが12月のFOMC会議の内容を公表、委員の間で「追加的な利上げの可能性」を肯定する意見が強かったことが判明したためである。またダウは昨年14%、ナスダックは43%も上昇したことの反動も大きかった。
日経平均は先週87円の値下がり。ニューヨーク市場の軟調に加えて、能登地震が発生。最初は驚いたが、すぐに冷静さを取り戻した。為替相場が円安に振れたことも、株価を下支えしている。能登地震の影響は大きいが、すでに8割の工場が正常な稼働に復帰した。むしろインバウンドに対する長期的な影響の方が、心配されているようだ。
ダウは4万ドル、日経平均は3万8415円の史上最高値を更新。--年末の市場に出現した強気の目標だった。その活況は、年が明けると急に消えた。FRBによる利下げ期待も遠のいた。ただし、この慎重な空気が一時的なものか、それとも長引くのかはいまのところ不明。当面は強気と弱気が交錯しながら、状況判断を固めて行くことになりそうだ。
今週は9日に、12月の東京都区部・消費者物価、11月の家計調査。10日に、11月の毎月勤労統計。11日に、11月の景気動向指数。12日に、12月の景気ウオッチャー調査。アメリカでは9日に、11月の貿易統計。11日に、11月の消費者物価。12日に、11月の生産者物価が発表される。
≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日経平均は先週87円の値下がり。ニューヨーク市場の軟調に加えて、能登地震が発生。最初は驚いたが、すぐに冷静さを取り戻した。為替相場が円安に振れたことも、株価を下支えしている。能登地震の影響は大きいが、すでに8割の工場が正常な稼働に復帰した。むしろインバウンドに対する長期的な影響の方が、心配されているようだ。
ダウは4万ドル、日経平均は3万8415円の史上最高値を更新。--年末の市場に出現した強気の目標だった。その活況は、年が明けると急に消えた。FRBによる利下げ期待も遠のいた。ただし、この慎重な空気が一時的なものか、それとも長引くのかはいまのところ不明。当面は強気と弱気が交錯しながら、状況判断を固めて行くことになりそうだ。
今週は9日に、12月の東京都区部・消費者物価、11月の家計調査。10日に、11月の毎月勤労統計。11日に、11月の景気動向指数。12日に、12月の景気ウオッチャー調査。アメリカでは9日に、11月の貿易統計。11日に、11月の消費者物価。12日に、11月の生産者物価が発表される。
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◇ インフレは‟しぶとい”と知るべし = アメリカ労働省が5日に発表した12月の雇用統計。最も注目される非農業雇用者の増加数は21万6000人で、事前予想の17万人を大きく上回った。平均時給は前月比0.4%の上昇で、これも予想を上回る。また完全失業率は3.7%で、前月と変わりなし。雇用の状況はいぜん底堅く、これではFRBの利下げも遠のいてしまう。--投資家の半分近くはこう考えて、株式を売った。
しかし残りの半分近くは、そう考えなかった。労働省は10月と11月の非農雇用者数を、計7万1000人も下方修正した。とにかく月平均の雇用者増加数は、22年の40万人から大幅に減少している。したがって12月の雇用統計は「見た目よりは弱い」から、FRBも6月までには金利を下げるだろう。こう考えて、株式を買った。その結果、その日のダウ平均は26ドルの小幅な上昇となっている。
どちらの考え方が当たっているのかは、判定できない。肝心の物価動向をみても、インフレが収束したかどうかは、よく判らない。11月の消費者物価は前年比3.1%の上昇だった。8-9月の3.7%からはずいぶん下がってきたが、10月の3.2%からは下げ止まりの感じもする。食料やエネルギーを除いた指数では4.0%上昇と、まだまだ高い。
EU統計局が5日に発表したところによると、ユーロ圏の12月の消費者物価は2.9%の上昇。このところ下がっていた物価が、8か月ぶりに再び上昇した。このためECB(ヨーロッパ中央銀行)による政策金利の引下げは、遠のいたと考えられている。要するにアメリカもヨーロッパも、インフレの収束を確認できずにいる。どうやらインフレは、そんなに簡単には消え去らないようだ。
≪9日の日経平均 = 上げ +385.76円≫
≪10日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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しかし残りの半分近くは、そう考えなかった。労働省は10月と11月の非農雇用者数を、計7万1000人も下方修正した。とにかく月平均の雇用者増加数は、22年の40万人から大幅に減少している。したがって12月の雇用統計は「見た目よりは弱い」から、FRBも6月までには金利を下げるだろう。こう考えて、株式を買った。その結果、その日のダウ平均は26ドルの小幅な上昇となっている。
どちらの考え方が当たっているのかは、判定できない。肝心の物価動向をみても、インフレが収束したかどうかは、よく判らない。11月の消費者物価は前年比3.1%の上昇だった。8-9月の3.7%からはずいぶん下がってきたが、10月の3.2%からは下げ止まりの感じもする。食料やエネルギーを除いた指数では4.0%上昇と、まだまだ高い。
EU統計局が5日に発表したところによると、ユーロ圏の12月の消費者物価は2.9%の上昇。このところ下がっていた物価が、8か月ぶりに再び上昇した。このためECB(ヨーロッパ中央銀行)による政策金利の引下げは、遠のいたと考えられている。要するにアメリカもヨーロッパも、インフレの収束を確認できずにいる。どうやらインフレは、そんなに簡単には消え去らないようだ。
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◇ ことしの成長率は4%台に低下? = 日経新聞が、中国経済を専門とする内外のエコノミスト25人に「中国のことしの成長見通し」を聞いた。その予測の平均値は4.6%、昨年の見込み5.2%を大きく下回る。またアメリカの調査会社ムーディーズは、4.0%まで落ち込むという予測を発表した。深刻な不動産不況が回復せず、住宅価格の下落に直面した個人が消費支出を抑制し始めたことが大きい。
統計局が発表した11月の主要指標をみると、鉱工業生産は前年比6.6%の増加。自動車の生産が伸びて、10月の4.6%増加を上回った。小売り売上高は10.1%の増加、これも10月の7.6%増加を上回る。そこで一見すると改善に向かったように見えるが、実は前年がゼロ・コロナ政策の真っ最中。その反動で、数字が跳ね上がったに過ぎない。専門家はその分を割り引くと、実態はむしろ悪化しているとみている。
固定資産投資額は1-11月で、前年比2.9%の増加。国有企業のインフラ投資は5.9%伸びたが、民間企業の投資額は0.5%の減少だった。特に不動産開発投資は9.4%も減少している。新築住宅の販売面積も7.3%減少した。住宅価格は主要70都市のうち59都市で下落を続けた。中国では個人資産の約3割が不動産。その価格が下落しているため、家計は節約志向に傾いている。
すべての根源は、不動産バブルだった。政府がそのバブル抑制に乗り出すと、こんどは不動産不況に。大手の建設会社が次々と経営不振に陥り、地方政府は財源となる土地の貸し出しが出来なくなった。それに加えて最近では住宅価格の低落から、家計が節約志向に転じ、景気をいっそう悪化させている。民間企業の22%が赤字経営に陥り、これが失業の増大を産むことになった。
(続きは明日)
≪10日の日経平均 = 上げ +678.54円≫
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統計局が発表した11月の主要指標をみると、鉱工業生産は前年比6.6%の増加。自動車の生産が伸びて、10月の4.6%増加を上回った。小売り売上高は10.1%の増加、これも10月の7.6%増加を上回る。そこで一見すると改善に向かったように見えるが、実は前年がゼロ・コロナ政策の真っ最中。その反動で、数字が跳ね上がったに過ぎない。専門家はその分を割り引くと、実態はむしろ悪化しているとみている。
固定資産投資額は1-11月で、前年比2.9%の増加。国有企業のインフラ投資は5.9%伸びたが、民間企業の投資額は0.5%の減少だった。特に不動産開発投資は9.4%も減少している。新築住宅の販売面積も7.3%減少した。住宅価格は主要70都市のうち59都市で下落を続けた。中国では個人資産の約3割が不動産。その価格が下落しているため、家計は節約志向に傾いている。
すべての根源は、不動産バブルだった。政府がそのバブル抑制に乗り出すと、こんどは不動産不況に。大手の建設会社が次々と経営不振に陥り、地方政府は財源となる土地の貸し出しが出来なくなった。それに加えて最近では住宅価格の低落から、家計が節約志向に転じ、景気をいっそう悪化させている。民間企業の22%が赤字経営に陥り、これが失業の増大を産むことになった。
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◇ 長期停滞の危険性も = 中国政府も、景気対策を打ち出している。10月に開いた全国人民代表大会では、国債1兆元(約20.5兆円)の追加発行を承認。また12月中旬に開いた中央経済工作会議では「積極的な財政政策と柔軟な金融政策」の実施を確認した。しかし、その効果はまだ現われていない。対策の規模が不十分という批判も出ているが、すでに財政赤字のGDP比は3.8%に達しており、共産党が認める限度3%を大きく超えている。
これまで中国の景気対策は、中央政府の指示により主として地方政府がインフラ投資という形で実施してきた。ところが不動産不況で土地の使用権が売れず、財源がない。IMF(国際通貨基金)の発表によると、地方政府の‟隠れ債務”は71兆元(約1400兆円)に達しているという。要するに中央政府も地方政府も財政難で、かつてのように大規模な景気対策が打てなくなっている。
恒大産業などいくつもの大手ゼネコンが経営不振に陥り、建設素材メーカーや家具などの周辺メーカーにも不況の波が及んでいる。さらに住宅価格の低落で、消費者が財布のひもを締め始めた。しかし中央政府も地方政府も、十分な対策を打ち出せない。その結果、最近では失業者の増大が目立ってきた。特に若年層の失業率は20%を超え、政府はその発表を停止してしまったほどである。
そのうえ人口の減少という、構造的な問題も進み始めた。22年の出生数は960万人だったが、23年は900万人を割り込んだ模様。政府は定年延長を考えているが、労働力の不足は避けられそうにない。さらにウクライナ戦争を巡って、欧米諸国の制裁措置も続く。こうしたことから、専門家の間では「中国経済が正常化するには時間がかかる」「場合によっては、長期的な停滞状態に入るかもしれない」という予測さえ現われている。
≪11日の日経平均 = 上げ +608.14円≫
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これまで中国の景気対策は、中央政府の指示により主として地方政府がインフラ投資という形で実施してきた。ところが不動産不況で土地の使用権が売れず、財源がない。IMF(国際通貨基金)の発表によると、地方政府の‟隠れ債務”は71兆元(約1400兆円)に達しているという。要するに中央政府も地方政府も財政難で、かつてのように大規模な景気対策が打てなくなっている。
恒大産業などいくつもの大手ゼネコンが経営不振に陥り、建設素材メーカーや家具などの周辺メーカーにも不況の波が及んでいる。さらに住宅価格の低落で、消費者が財布のひもを締め始めた。しかし中央政府も地方政府も、十分な対策を打ち出せない。その結果、最近では失業者の増大が目立ってきた。特に若年層の失業率は20%を超え、政府はその発表を停止してしまったほどである。
そのうえ人口の減少という、構造的な問題も進み始めた。22年の出生数は960万人だったが、23年は900万人を割り込んだ模様。政府は定年延長を考えているが、労働力の不足は避けられそうにない。さらにウクライナ戦争を巡って、欧米諸国の制裁措置も続く。こうしたことから、専門家の間では「中国経済が正常化するには時間がかかる」「場合によっては、長期的な停滞状態に入るかもしれない」という予測さえ現われている。
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◇ なぜ全国の先行指標になるのか = 総務省は9日、東京都区部の12月の消費者物価を発表した。それによると、変動の大きい生鮮食品を除く指数は前年比で2.1%の上昇。前月の2.3%上昇より、伸び率がやや縮小した。また生鮮食品を含む総合指数は2.4%の上昇で、前月より0.3ポイント縮小した。この東京都区部の消費者物価は、中旬だけの速報値。全国の先行指標になるという理由で、総務省が特別に集計・発表している。
東京23区の物価が、本当に全国の先行指標になるのだろうか。そこで昨年の結果を調べてみると――。
東京都区部⇒全国(単位%) 1月4.4→4.3 2月3.4→3.3 3月3.3→3.2 4月3.5→3.5 5月3.3→3.2
6月3.2→3.3 7月3.2→3.3 8月2.9→3.2 9月2.8→3.0 10月3.2→3.3 11月2.7→2.8
このように、結構ちゃんと先行指標の役割を果たしていることが判る。
だが東京は人口の密集地で、物価が高い。たとえば22年の調査では、全国平均を100として東京都は104.7。いちばん物価が高い。ちなみに最低は宮崎県で96.1.その差はかなり大きい。それなのに、どうして東京の物価が全国の物価動向を予知する先行指標になるのだろうか。物価水準とは関係なく、その変動率だけがほぼ一致するのはなぜなのか。
いろいろ調べてみたが、理由は判らなかった。日経新聞も「都区部の中旬速報値は全国の先行指標とされる」と書くだけ。総務省もこの点には触れていない。ある意味では不思議な話である。しかし、その予測的中率はかなり高い。たとえば12月は2.4%の上昇だった。ここから推測すれば、19日に発表される全国の総合指数は2.5%の上昇ということになるだろう。
≪12日の日経平均 = 上げ +527.25円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】
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東京23区の物価が、本当に全国の先行指標になるのだろうか。そこで昨年の結果を調べてみると――。
東京都区部⇒全国(単位%) 1月4.4→4.3 2月3.4→3.3 3月3.3→3.2 4月3.5→3.5 5月3.3→3.2
6月3.2→3.3 7月3.2→3.3 8月2.9→3.2 9月2.8→3.0 10月3.2→3.3 11月2.7→2.8
このように、結構ちゃんと先行指標の役割を果たしていることが判る。
だが東京は人口の密集地で、物価が高い。たとえば22年の調査では、全国平均を100として東京都は104.7。いちばん物価が高い。ちなみに最低は宮崎県で96.1.その差はかなり大きい。それなのに、どうして東京の物価が全国の物価動向を予知する先行指標になるのだろうか。物価水準とは関係なく、その変動率だけがほぼ一致するのはなぜなのか。
いろいろ調べてみたが、理由は判らなかった。日経新聞も「都区部の中旬速報値は全国の先行指標とされる」と書くだけ。総務省もこの点には触れていない。ある意味では不思議な話である。しかし、その予測的中率はかなり高い。たとえば12月は2.4%の上昇だった。ここから推測すれば、19日に発表される全国の総合指数は2.5%の上昇ということになるだろう。
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◇ 東京市場はお祭り騒ぎ = ダウ平均は先週127ドルの値上がり。年初2日に付けた史上最高値を目指したが、少々及ばなかった。12月の消費者物価は予想を上回る上昇だったが、食料とエネルギーを除いたコア指数が下がったため悪材料とは見られなかった。ただ高値を警戒する利益確定売りは、着実に増えている。また週末に飛び込んできた米英軍によるイエメンのフーシ派拠点爆撃は、今週にも尾を引きそうな暗い材料となった。
日経平均は先週2200円の大幅な値上がり。終り値は3万5577円、実に34年ぶりの高値を記録した。4日間の営業日はすべて大幅高。東京市場はまるでお祭り騒ぎの様相となった。外国人投資家に加え、これまで逆張りの売りに徹してきた個人投資家も、買いに転じている。中国市場や台湾市場からも資金が流入しており、出来高は連日4兆円を超えた。
ニューヨーク市場は今週、中東情勢や台湾の選挙結果など、海外の状況に影響されそう。史上最高値の更新はあるかもしれないが、その後は反落する可能性が大きい。東京市場はお祭り騒ぎの余韻が残りそうだが、一気に3万6000円はちょっと無理だろう。冷静に考えれば、紅海を巡る緊張の増大は日本にとっては大問題。いつまでも手放しで騒いでいられる状況ではない。
今週は16日に、12月の企業物価。18日に、11月の機械受注。19日に、12月の消費者物価、11月の第3次産業活動指数。アメリカでは17日に、12月の小売り売上高と工業生産。18日に、12月の住宅着工戸数。19日に、12月の中古住宅販売、1月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が17日に、10-12月期のGDP速報、12月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。
≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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日経平均は先週2200円の大幅な値上がり。終り値は3万5577円、実に34年ぶりの高値を記録した。4日間の営業日はすべて大幅高。東京市場はまるでお祭り騒ぎの様相となった。外国人投資家に加え、これまで逆張りの売りに徹してきた個人投資家も、買いに転じている。中国市場や台湾市場からも資金が流入しており、出来高は連日4兆円を超えた。
ニューヨーク市場は今週、中東情勢や台湾の選挙結果など、海外の状況に影響されそう。史上最高値の更新はあるかもしれないが、その後は反落する可能性が大きい。東京市場はお祭り騒ぎの余韻が残りそうだが、一気に3万6000円はちょっと無理だろう。冷静に考えれば、紅海を巡る緊張の増大は日本にとっては大問題。いつまでも手放しで騒いでいられる状況ではない。
今週は16日に、12月の企業物価。18日に、11月の機械受注。19日に、12月の消費者物価、11月の第3次産業活動指数。アメリカでは17日に、12月の小売り売上高と工業生産。18日に、12月の住宅着工戸数。19日に、12月の中古住宅販売、1月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が17日に、10-12月期のGDP速報、12月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。
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◇ 消去法で買われてきたが = 日経平均株価は先週2200円も上昇した。年初からの上昇率は6.33%に達している。世界を見渡すと、年初からの上昇率がプラスだったのはアメリカのSP500ぐらいなもの。それも0.29%というわずかな上がり方である。あとはダウ平均が0.26%、ドイツが0.28%、中国が3.12%、韓国が4.90%と、いずれも下落している。まさに日本株の‟独り勝ち”だ。だが、こんな珍しい状態はいつまで続くのだろう。
ダウ平均は史上最高値を更新しようかという勢いだが、アメリカのインフレはなかなか収まらない。そこでFRBも利下げに踏み切れるかどうか、市場でも疑問が広がっている。ヨーロッパや中国では景気が下向き、株式市場に資金が流入する状態ではない。それに対して日本は長く続いたデフレから、脱出できそうな雰囲気が出ている。低い金利で円を調達できる。そんな国はほかにないというわけで、消去法的に買われたと考えられる。
日本株が上昇する理由の一つに「新NISA」を上げる人も多いが、これは間違い。というのも新NISAの積み立て型は、ほとんどが外国の証券に投資されているからだ。もっとも、そのためには円を売ってドルを買う。その結果は円安を助長し、それが株高につながったとは言えるだろうが。
だが1週間で2200円の上昇は、どう考えても上げ過ぎ。市場の内部でも警戒論が出始めたから、いったんは反落する可能性が大きい。しかしアメリカやヨーロッパ、中国や韓国などの状況が変わらなければ、やはり投資先は日本しかない。こう考えると、日経平均は春先までに3万7000円。さらに夏までには、89年12月に付けた3万8915円の史上最高値に接近する可能性も夢ではないだろう。
≪16日の日経平均 = 下げ ー282.61円≫
≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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ダウ平均は史上最高値を更新しようかという勢いだが、アメリカのインフレはなかなか収まらない。そこでFRBも利下げに踏み切れるかどうか、市場でも疑問が広がっている。ヨーロッパや中国では景気が下向き、株式市場に資金が流入する状態ではない。それに対して日本は長く続いたデフレから、脱出できそうな雰囲気が出ている。低い金利で円を調達できる。そんな国はほかにないというわけで、消去法的に買われたと考えられる。
日本株が上昇する理由の一つに「新NISA」を上げる人も多いが、これは間違い。というのも新NISAの積み立て型は、ほとんどが外国の証券に投資されているからだ。もっとも、そのためには円を売ってドルを買う。その結果は円安を助長し、それが株高につながったとは言えるだろうが。
だが1週間で2200円の上昇は、どう考えても上げ過ぎ。市場の内部でも警戒論が出始めたから、いったんは反落する可能性が大きい。しかしアメリカやヨーロッパ、中国や韓国などの状況が変わらなければ、やはり投資先は日本しかない。こう考えると、日経平均は春先までに3万7000円。さらに夏までには、89年12月に付けた3万8915円の史上最高値に接近する可能性も夢ではないだろう。
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◇ 台湾では「一つの中国」を認めない頼氏が勝利 = 台湾の総統選挙では、いま政権を握っている民進党副総統の頼清徳氏が当選した。このため中国との関係については「一つの中国」を認めない現在の政策が踏襲されることになる。仮に野党の国民党候補が勝利すれば、中国との関係は接近したはず。この結果にアメリカ・日本・韓国などは、ほっと一息。中国の習近平主席は「期待外れ」と悔しがったに違いない。
一方、アメリカでは早くも大統領選挙の前哨戦が始まった。共和党の候補者を決めるアイオワ州党員総会が15日、州都デモインで開幕。予想通りトランプ前大統領が圧勝した。これから11月の大統領選挙を目指して、各州での候補者選びが延々と続く。民主党は現職のバイデン大統領が候補者になることが、ほぼ決まり。したがって関心は共和党の候補者選びに集中するが、いまのところはトランプ前大統領が圧倒的な強さをみせている。
そのトランプ氏は、まだ選挙公約を発表していない。しかし過去の言動からみれば、やはり‟アメリカ・ファースト”の政策を貫くものと考えられる。すると台湾有事の場合、どういう態度をとるのか。アメリカは「強くは関与しない」という姿勢に転換するかもしれない。何としても任期中に台湾を併合したい習主席にとっては、願ってもないチャンスになる可能性がある。
同じことは、ウクライナについても言える。だからプーチン大統領も、トランプ氏の復帰を願っているかもしれない。ただウクライナについては、NATO(北大西洋条約機構)が控えている。たとえば、いまアメリカの支援は議会が予算を通さず滞りがち。しかし、その分はイギリスが援助を増額して補っている。ところが台湾の場合は、どうだろう。アメリカが引き気味になったとき、日本や韓国はどうすればいいのか。怖い話である。
≪17日の日経平均 = 下げ -141.43円≫
≪18日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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一方、アメリカでは早くも大統領選挙の前哨戦が始まった。共和党の候補者を決めるアイオワ州党員総会が15日、州都デモインで開幕。予想通りトランプ前大統領が圧勝した。これから11月の大統領選挙を目指して、各州での候補者選びが延々と続く。民主党は現職のバイデン大統領が候補者になることが、ほぼ決まり。したがって関心は共和党の候補者選びに集中するが、いまのところはトランプ前大統領が圧倒的な強さをみせている。
そのトランプ氏は、まだ選挙公約を発表していない。しかし過去の言動からみれば、やはり‟アメリカ・ファースト”の政策を貫くものと考えられる。すると台湾有事の場合、どういう態度をとるのか。アメリカは「強くは関与しない」という姿勢に転換するかもしれない。何としても任期中に台湾を併合したい習主席にとっては、願ってもないチャンスになる可能性がある。
同じことは、ウクライナについても言える。だからプーチン大統領も、トランプ氏の復帰を願っているかもしれない。ただウクライナについては、NATO(北大西洋条約機構)が控えている。たとえば、いまアメリカの支援は議会が予算を通さず滞りがち。しかし、その分はイギリスが援助を増額して補っている。ところが台湾の場合は、どうだろう。アメリカが引き気味になったとき、日本や韓国はどうすればいいのか。怖い話である。
≪17日の日経平均 = 下げ -141.43円≫
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◇ あまりにも座り心地のいい数字 = 中国の統計局は17日、23年のGDP速報を発表した。それによると、実質経済成長率は5.2%。習近平政権が目標として掲げた「5%前後」を達成した。ただ22年はゼロ・コロナ政策で都市閉鎖などが断行され、成長率は3.0%にまで落ち込んでいた。その反動で5%を超えたのだと、専門家は解説している。また名目成長率は4.6%で、22年の4.8%を下回った。これは物価が下落し、経済がデフレ状態に陥っていることを示している。
同時に発表された主要な経済指標をみると、鉱工業生産は前年比4.6%の増加。小売り売上高は7.2%の増加、固定資産投資額は3.0%の増加だった。ただ不動産開発投資は9.6%の減少と、深刻な不動産不況は継続中。輸出も4.6%減少しており、経済は低迷状態から抜け出せない。そんななかで前年の反動とは言え、生産や小売りがよく伸びたという感じがしないでもない。
不思議に思うことは、GDP速報の発表の早さだ。アメリカでも23年の速報値は1月25日に発表される予定。日本は2月15日が予定日だ。中国は面積も広いし、人口も極端に多い。しかも正月休みを考慮すれば、半月足らずで集計したことになる。結果の正確性はどうなのだろう。目標の「5%前後」に対して、「4.9%」でも「5.0%」でもない。「5.2%」という結果は、全く座り心地のいい数字だ。最初から「5.2%ありき」ではないかと、勘繰りたくなってしまう。
統計局は同日、人口統計も発表した。それによると、23年末の総人口は14億0967万人で前年より208万人減少した。これで2年連続の減少。中国もいよいよ本格的な人口減少局面に突入した。言うまでもなく、人口の減少は経済成長のマイナス要因になる。中国はいま直面している不動産不況と、長期的な人口減少にどう対応して行くのか。習政権が「24年の成長目標」をいくらにするのか、きわめて注目される。
≪18日の日経平均 = 下げ -11.58円≫
≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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同時に発表された主要な経済指標をみると、鉱工業生産は前年比4.6%の増加。小売り売上高は7.2%の増加、固定資産投資額は3.0%の増加だった。ただ不動産開発投資は9.6%の減少と、深刻な不動産不況は継続中。輸出も4.6%減少しており、経済は低迷状態から抜け出せない。そんななかで前年の反動とは言え、生産や小売りがよく伸びたという感じがしないでもない。
不思議に思うことは、GDP速報の発表の早さだ。アメリカでも23年の速報値は1月25日に発表される予定。日本は2月15日が予定日だ。中国は面積も広いし、人口も極端に多い。しかも正月休みを考慮すれば、半月足らずで集計したことになる。結果の正確性はどうなのだろう。目標の「5%前後」に対して、「4.9%」でも「5.0%」でもない。「5.2%」という結果は、全く座り心地のいい数字だ。最初から「5.2%ありき」ではないかと、勘繰りたくなってしまう。
統計局は同日、人口統計も発表した。それによると、23年末の総人口は14億0967万人で前年より208万人減少した。これで2年連続の減少。中国もいよいよ本格的な人口減少局面に突入した。言うまでもなく、人口の減少は経済成長のマイナス要因になる。中国はいま直面している不動産不況と、長期的な人口減少にどう対応して行くのか。習政権が「24年の成長目標」をいくらにするのか、きわめて注目される。
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◇ 戦争なんかしている場合か! = 「昨年の気温は最も高かった」--世界中の気象研究機関が、いっせいに観測の結果を発表している。たとえばNOAA(米海洋大気局)は先週12日「23年は観測史上最も暑い年だった」と発表。20世紀の平均に比べ1.18度高く、これまでの最高だった16年の平均気温を0.15度上回ったと説明している。また水深2000メートルまでの海水温も史上最高。ことしも最高を更新する確率は3割強にのぼると予測した。
WMO(世界気象機関)も同じ日「23年の世界平均気温が産業革命前に比べて1.45度上昇、観測史上最高になった」と発表。特に23年の後半は6月から12月までのすべての月で、月ごとの最高気温を記録したと解説した。なかでも驚かされたのは、EUの気象情報機関コペルニクスの発表。「過去12万5000年で最も気温が高かった」という研究結果を公表した。
気温上昇の原因は、地球温暖化の進行にエルニーニョ現象の影響が加わったため。その結果、大洪水や干ばつなどの異常気象・海面上昇といった破壊的な現象が続出している。WRI(世界資源研究所)によると、20-22年に山火事で焼失した森林は831万ヘクタール、東京都の約40倍にのぼった。またパナマ運河は水不足で、通過できる船舶数が大幅に減少している。
各国首脳は11年のパリ協定で「地球の平均気温を産業革命前の1.5%増に抑制すること」で合意した。科学者が「それ以上になると、異常気象や海面上昇が抑えられなくなる」と警告したからである。ところが温暖化ガスの排出量は、少しも少なくならない。そしてWMOによれば、昨年の気温は産業革命前に比べて1.45度の上昇。さらにコペルニクスによると、昨年11月17日の世界平均気温は産業革命前を2.06度も上回ってしまった。地球が壊れようとしているとき、戦争なんかしていていいのだろうか。
≪19日の日経平均 = 上げ +497.10円≫
【今週の日経平均予想 = 1勝4敗】
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WMO(世界気象機関)も同じ日「23年の世界平均気温が産業革命前に比べて1.45度上昇、観測史上最高になった」と発表。特に23年の後半は6月から12月までのすべての月で、月ごとの最高気温を記録したと解説した。なかでも驚かされたのは、EUの気象情報機関コペルニクスの発表。「過去12万5000年で最も気温が高かった」という研究結果を公表した。
気温上昇の原因は、地球温暖化の進行にエルニーニョ現象の影響が加わったため。その結果、大洪水や干ばつなどの異常気象・海面上昇といった破壊的な現象が続出している。WRI(世界資源研究所)によると、20-22年に山火事で焼失した森林は831万ヘクタール、東京都の約40倍にのぼった。またパナマ運河は水不足で、通過できる船舶数が大幅に減少している。
各国首脳は11年のパリ協定で「地球の平均気温を産業革命前の1.5%増に抑制すること」で合意した。科学者が「それ以上になると、異常気象や海面上昇が抑えられなくなる」と警告したからである。ところが温暖化ガスの排出量は、少しも少なくならない。そしてWMOによれば、昨年の気温は産業革命前に比べて1.45度の上昇。さらにコペルニクスによると、昨年11月17日の世界平均気温は産業革命前を2.06度も上回ってしまった。地球が壊れようとしているとき、戦争なんかしていていいのだろうか。
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◇ ダウもSP500も最高値を更新 = ダウ平均は先週271ドルの値上がり。終り値は3万7854ドルで、1月2日に付けた史上最高値を更新した。半導体関連株が値上がりを主導、SP500も2年ぶりに新高値を記録している。12月の小売り売上高や工業生産が予想以上に堅調だったところへ、FRBのウオラー理事が「政策の修正を急ぐ必要はない」と発言。利下げが遠のくという観測から売り物も増えたが、それを乗り切っての株高だった。
日経平均は先週386円の値上がり。終り値は3万6000円に接近した。ニューヨークの影響を受けて半導体関連株が上昇、また円安が進んだことから輸出関連株も見直された。相変わらず外国人投資家が積極的に買い、個人投資家も追随している。中国からの乗り換えも目立ち、たとえば上海市場では日本株が過熱、一時は取り引きが停止されたほどだった。
ただ日経平均は、ことしになってから2500円も上昇した。このため出遅れ感・割安感は急速に縮小している。たとえばプライム上場企業のPER(株価収益率)は15.9倍に上昇。過去10年平均の16.2倍に近付いた。PERのさらなる上昇を食い止めるには、利益の拡大が必要になってくる。その利益は円相場の動向に左右されやすい。こうした観点からも、23日の植田日銀総裁の記者会見には注目が集まる。
今週は24日に、12月の貿易統計。26日に、1月の東京都区部・消費者物価、12月の企業向けサービス価格。アメリカでは25日に、10-12月期のGDP速報、12月の新築住宅販売。26日に、12月の中古住宅販売が発表される。なお日銀の政策決定会合は22-23日、植田総裁の会見は23日の予定。
≪22日の日経平均 = 上げ +583.68円≫
≪23日の日経平均は? 予想 =≫
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日経平均は先週386円の値上がり。終り値は3万6000円に接近した。ニューヨークの影響を受けて半導体関連株が上昇、また円安が進んだことから輸出関連株も見直された。相変わらず外国人投資家が積極的に買い、個人投資家も追随している。中国からの乗り換えも目立ち、たとえば上海市場では日本株が過熱、一時は取り引きが停止されたほどだった。
ただ日経平均は、ことしになってから2500円も上昇した。このため出遅れ感・割安感は急速に縮小している。たとえばプライム上場企業のPER(株価収益率)は15.9倍に上昇。過去10年平均の16.2倍に近付いた。PERのさらなる上昇を食い止めるには、利益の拡大が必要になってくる。その利益は円相場の動向に左右されやすい。こうした観点からも、23日の植田日銀総裁の記者会見には注目が集まる。
今週は24日に、12月の貿易統計。26日に、1月の東京都区部・消費者物価、12月の企業向けサービス価格。アメリカでは25日に、10-12月期のGDP速報、12月の新築住宅販売。26日に、12月の中古住宅販売が発表される。なお日銀の政策決定会合は22-23日、植田総裁の会見は23日の予定。
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◇ 輸出台数では中国に抜かれる = 中国自動車工業協会が発表した23年の自動車生産台数は3011万台、前年比11.6%の増加。販売台数は3009万台、12.0%の増加だった。中国はいま不動産不況で悩んでいるが、自動車産業だけは順調に発展している。また輸出台数も491万台、前年比57.9%と大きく伸びた。中国の自動車輸出は20年時点で100万台にすぎなかったが、この3年間で5倍近くに増大したわけである。
日本自動車工業会が発表した23年の自動車販売台数は477万9080台で、前年比14%の増加だった。前年は半導体不足で供給不足だったことの反動が大きい。このうちEVは8万8535台で、前年比50%の増加。うち輸入車は2万2848台だった。一方、輸出は399万台だったから、中国に及ばない。日本は17年以来ずっと輸出台数で世界一を続けてきたが、昨年は中国に首位の座を譲ったことになる。
中国の自動車輸出先は、ロシアとメキシコ、それにヨーロッパと東南アジアに集中している。ロシアはウクライナ戦争の影響で欧米各国が現地生産を取りやめた後を埋める形。メキシコはアメリカ市場をにらんだ進出である。またヨーロッパと東南アジア向けはEV(電気自動車)が中心。ヨーロッパは脱炭素に熱心な点を考慮、東南アジアはガソリン車が中心の日本を意識した戦略である。
中国の自動車産業で目立つのは、EVメーカーの急速な成長である。なかでも目覚ましい発展を遂げたのが、BYD(比亜迪)だ。EVと言えば、アメリカのテスラがずっと世界一の座に。ところが昨年10-12月期に、BYDが販売台数でテスラを上回った。その製品は技術的にかなり水準が高いうえに、価格が安い。たとえば日本で売られている同クラスのSUV(多目的スポーツ車)でみると、テスラ製が500万円以上なのにBYD製は300万円程度となっている。
(続きは明日)
≪22日の日経平均 = 上げ +583.68円≫
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日本自動車工業会が発表した23年の自動車販売台数は477万9080台で、前年比14%の増加だった。前年は半導体不足で供給不足だったことの反動が大きい。このうちEVは8万8535台で、前年比50%の増加。うち輸入車は2万2848台だった。一方、輸出は399万台だったから、中国に及ばない。日本は17年以来ずっと輸出台数で世界一を続けてきたが、昨年は中国に首位の座を譲ったことになる。
中国の自動車輸出先は、ロシアとメキシコ、それにヨーロッパと東南アジアに集中している。ロシアはウクライナ戦争の影響で欧米各国が現地生産を取りやめた後を埋める形。メキシコはアメリカ市場をにらんだ進出である。またヨーロッパと東南アジア向けはEV(電気自動車)が中心。ヨーロッパは脱炭素に熱心な点を考慮、東南アジアはガソリン車が中心の日本を意識した戦略である。
中国の自動車産業で目立つのは、EVメーカーの急速な成長である。なかでも目覚ましい発展を遂げたのが、BYD(比亜迪)だ。EVと言えば、アメリカのテスラがずっと世界一の座に。ところが昨年10-12月期に、BYDが販売台数でテスラを上回った。その製品は技術的にかなり水準が高いうえに、価格が安い。たとえば日本で売られている同クラスのSUV(多目的スポーツ車)でみると、テスラ製が500万円以上なのにBYD製は300万円程度となっている。
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◇ 中国政府は「EVの世界制覇」を画策 = 中国自動車工業協会の発表によると、23年の新車販売台数は3009万4000台。前年比12%の増加だった。そのうちEVは668万5000台、前年比では24.6%も伸びている。ただ国内ではEVメーカーが乱立、競争が激しい。また不動産不況で景気は悪い。このため多くのEVメーカーが、本格的に海外市場の開拓に乗り出している。その一例がタイ。広州汽車集団など10社が、一挙に進出した。
この結果、タイの自動車販売に占めるEVの比率が急上昇。昨年11月で14.3%と、前年の5.9倍に増大している。タイは日本車の牙城。トヨタが販売台数全体の35%を抑えて第1位だが、EVについては中国車が9割を占める。日系メーカー全体でみると、昨年10月の販売シェアは75%だったが、前年比では8ポイント低下した。またEVのシェアは1%にも満たない。中国メーカーはこのタイを拠点に、東南アジア各国へ進出する計画だ。
中国製のEVは自動運転や人工知能の点では、まだテスラの水準に及ばない。しかしデザインの斬新性や機能性については、高い評価を得ている。そして何よりも強みなのが、価格の圧倒的な安さだ。たとえば同程度の機種で比べると、BYDはテスラの半分以下である。BYDはもともと電機メーカーだったから、車載電池は自社製。だから部品のうち最も高い電池を安く入手できる。これが大きい。
もう1つは、政府による手厚い支援。低利融資・資本注入・購入者への補助金・政府の買い付け・・・。その金額は不明だが、EV販売額の3分の1になるという試算もある。中国政府はガソリン車時代にも自動車産業の振興を図ったが、欧米や日本の製品には敵わなかった。そこへEV時代の到来。こんどこそは「EVで世界を制覇しよう」と目論んでいるわけ。今月11日にも「新車販売に占めるEVの割合を、27年までに45%へ引き上げる」と発表した。
(続きは明日)
≪23日の日経平均 = 下げ -29.38円≫
≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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この結果、タイの自動車販売に占めるEVの比率が急上昇。昨年11月で14.3%と、前年の5.9倍に増大している。タイは日本車の牙城。トヨタが販売台数全体の35%を抑えて第1位だが、EVについては中国車が9割を占める。日系メーカー全体でみると、昨年10月の販売シェアは75%だったが、前年比では8ポイント低下した。またEVのシェアは1%にも満たない。中国メーカーはこのタイを拠点に、東南アジア各国へ進出する計画だ。
中国製のEVは自動運転や人工知能の点では、まだテスラの水準に及ばない。しかしデザインの斬新性や機能性については、高い評価を得ている。そして何よりも強みなのが、価格の圧倒的な安さだ。たとえば同程度の機種で比べると、BYDはテスラの半分以下である。BYDはもともと電機メーカーだったから、車載電池は自社製。だから部品のうち最も高い電池を安く入手できる。これが大きい。
もう1つは、政府による手厚い支援。低利融資・資本注入・購入者への補助金・政府の買い付け・・・。その金額は不明だが、EV販売額の3分の1になるという試算もある。中国政府はガソリン車時代にも自動車産業の振興を図ったが、欧米や日本の製品には敵わなかった。そこへEV時代の到来。こんどこそは「EVで世界を制覇しよう」と目論んでいるわけ。今月11日にも「新車販売に占めるEVの割合を、27年までに45%へ引き上げる」と発表した。
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◇ 中国製EVに警戒強める欧米諸国 = 欧州自動車工業会の集計によると、ユーロ圏18か国の23年の新車販売台数は1284万台。前年比14%の増加だった。このうちEVは201万台、28%も増加している。脱炭素に厳しいEUだけに、EVの普及は順調。新車販売全体に占める比率はドイツが18%、イギリスとフランスは17%に上昇した。ここでも中国製EVの伸びが突出、価格の安さが強力な武器となっている。
ところが、この価格の安さは中国政府の手厚い補助金によるところが大きい。欧州委員会はこれを問題視、不当な補助金かどうかを調査することになった。ことし中に結論を出すが、もし不当と判定されれば、相殺関税がかけられることになる。EU側は、中国製EVが火力による発電で製造されていることも問題視する模様。中国メーカーは現地生産を増やして乗り切ろうとしているが、見通しはまだ藪の中だ。
アメリカは、中国製EVを完全に締め出している。マークラインズ社の集計によると、23年の新車販売台数は1550万台。前年比12%の増加だった。このうちEVは322万7000台、前年比8.1%の増加だった。新車販売に占める比率は8%で、ヨーロッパ諸国の半分にも満たない。EVの6割はテスラだが、最近は人件費の上昇で大幅な減益。GMやフォードも投資計画の縮小を発表した。
政府の政策はきわめて保守的。原則として北米産の部品を使い、北米で組み立てた車にしか補助金を出さない。特に中国製の部品には厳しく、中国製電池を搭載した車はアウト。この結果、最大7500ドル(106万円)の補助金を受けられるのは、現在8車種に限られてしまった。一般にEVに対する関心は薄く、関心のある人はもう購入してしまったという分析さえ飛び出している。
(続きは明日)
≪24日の日経平均 = 下げ -291.09円≫
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ところが、この価格の安さは中国政府の手厚い補助金によるところが大きい。欧州委員会はこれを問題視、不当な補助金かどうかを調査することになった。ことし中に結論を出すが、もし不当と判定されれば、相殺関税がかけられることになる。EU側は、中国製EVが火力による発電で製造されていることも問題視する模様。中国メーカーは現地生産を増やして乗り切ろうとしているが、見通しはまだ藪の中だ。
アメリカは、中国製EVを完全に締め出している。マークラインズ社の集計によると、23年の新車販売台数は1550万台。前年比12%の増加だった。このうちEVは322万7000台、前年比8.1%の増加だった。新車販売に占める比率は8%で、ヨーロッパ諸国の半分にも満たない。EVの6割はテスラだが、最近は人件費の上昇で大幅な減益。GMやフォードも投資計画の縮小を発表した。
政府の政策はきわめて保守的。原則として北米産の部品を使い、北米で組み立てた車にしか補助金を出さない。特に中国製の部品には厳しく、中国製電池を搭載した車はアウト。この結果、最大7500ドル(106万円)の補助金を受けられるのは、現在8車種に限られてしまった。一般にEVに対する関心は薄く、関心のある人はもう購入してしまったという分析さえ飛び出している。
(続きは明日)
≪24日の日経平均 = 下げ -291.09円≫
≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 車載電池が最後の決戦場 = 日本自動車工業会の集計によると、23年の新車販売台数は477万9080台。前年比14%の増加だった。このうちEVは8万8535台、前年比50%も伸びた。しかし全販売台数に占める割合はまだ2.22%に過ぎず、海外に比べると極端に低い。EVに関する限り、日本は後進国だ。トヨタの販売台数が昨年も世界一になるなど、日本のメーカーは不祥事を起こしたダイハツを除けば、好調を維持している。だが今後も伸び率が高いとみられるEVでは、明らかに周回遅れ。この点がどうしても気になってしまう。
言うまでもなく、自動車は日本の基幹産業。部品などの周辺企業を含めれば、製造業のおよそ2割。550万人の雇用を造り出している。近年では、ハイブリッド車(ガソリンと電気の供用)の技術で世界を圧倒してきた。日本メーカーがこの優位性に安心し、EV開発に全力を挙げなかったことは否定できない。同時に日本では、アメリカのテスラや中国のBYDのように、自動車以外の産業からEVメーカーが誕生することもなかった。
いま日本メーカーは、後れを取り戻そうと必死になっている。だが海外市場では、すでにEVも供給過剰状態に。激しい値下げ競争さえ起こっている。そこへ参入するのは容易なことではない。しかし日本の自動車産業が、起死回生の大きなチャンスをつかむ可能性もないではない。それはEVに搭載する全個体電池の究極的な開発だ。
EVの性能は、搭載する電池が左右する。これまではリチウムイオン電池が主流だったが、これからは全固定電池の時代に入る。全固定電池は安全で長持ちし、しかも軽い。だからいま各国は、その製造コストの引き下げに躍起となっている。幸いなことに、この分野での日本の技術水準はきわめて高い。だから官民学が力を合わせて、全固定電池の性能向上と価格の引き下げに全力を挙げるべきである。政府はもっと補助金を出していい。ただ、その目標は優秀な電池を積んだ日本車の販売増加というより、日本製電池を世界各国に供給することを目指すべきだろう。
≪25日の日経平均 = 上げ +9.99円≫
≪26日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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言うまでもなく、自動車は日本の基幹産業。部品などの周辺企業を含めれば、製造業のおよそ2割。550万人の雇用を造り出している。近年では、ハイブリッド車(ガソリンと電気の供用)の技術で世界を圧倒してきた。日本メーカーがこの優位性に安心し、EV開発に全力を挙げなかったことは否定できない。同時に日本では、アメリカのテスラや中国のBYDのように、自動車以外の産業からEVメーカーが誕生することもなかった。
いま日本メーカーは、後れを取り戻そうと必死になっている。だが海外市場では、すでにEVも供給過剰状態に。激しい値下げ競争さえ起こっている。そこへ参入するのは容易なことではない。しかし日本の自動車産業が、起死回生の大きなチャンスをつかむ可能性もないではない。それはEVに搭載する全個体電池の究極的な開発だ。
EVの性能は、搭載する電池が左右する。これまではリチウムイオン電池が主流だったが、これからは全固定電池の時代に入る。全固定電池は安全で長持ちし、しかも軽い。だからいま各国は、その製造コストの引き下げに躍起となっている。幸いなことに、この分野での日本の技術水準はきわめて高い。だから官民学が力を合わせて、全固定電池の性能向上と価格の引き下げに全力を挙げるべきである。政府はもっと補助金を出していい。ただ、その目標は優秀な電池を積んだ日本車の販売増加というより、日本製電池を世界各国に供給することを目指すべきだろう。
≪25日の日経平均 = 上げ +9.99円≫
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◇ 実質収入を下げていいのか = 厚生労働省は、24年度の公的年金支給額を「前年度比で2.7%引き上げる」と発表した。この引き上げ率は32年ぶりの大きさ。ただ本来なら3.1%の増額になるべきところが、マクロ経済スライドの適用によって0.4ポイント減額された。このため年金の増加率は物価の上昇率に及ばず、実質収入はマイナスになる。年金生活者の生活は、それだけ苦しくなるわけだ。
マクロ経済スライドは、年金の増加率を物価や賃金の上昇率より低く抑える措置。将来世代の負担が重くなりすぎないように、04年の年金改革で導入された。これによって、24年度は国民年金で年3100円、厚生年金は年1万1500円程度の目減りが生じる。だが将来世代の負担を考えると、この措置は仕方がないのかもしれない。
しかし少し目線を変えてみよう。政府は「物価の上昇を上回る賃上げによって、経済の好循環が生じること」を熱望している。岸田首相は22日に開いた政労使会議でも「昨年を上回る水準の賃上げをお願いする」と要望した。この観点からすると、年金生活者が実質的な減収となるのは歓迎できないのではないか。なにしろ公的年金の受給者は4000万人以上もいる。0.4%の目減りにしても、その影響はきわめて大きい。
仮に大企業の賃金引き上げ率が、ことしは5%に達したとしよう。だが雇用の7割を支える中小企業の賃上げが1%だったら、全体の賃上げ率が物価上昇率を超えることは難しくなるかもしれない。そのうえに年金受給者の実質所得マイナスが加わったら。こう考えると、経済の好循環など起こりえないのではないか。きわめて単純な疑問だが、政府や日銀の考え方を聞いてみたい。
≪26日の日経平均 = 下げ -485.40円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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マクロ経済スライドは、年金の増加率を物価や賃金の上昇率より低く抑える措置。将来世代の負担が重くなりすぎないように、04年の年金改革で導入された。これによって、24年度は国民年金で年3100円、厚生年金は年1万1500円程度の目減りが生じる。だが将来世代の負担を考えると、この措置は仕方がないのかもしれない。
しかし少し目線を変えてみよう。政府は「物価の上昇を上回る賃上げによって、経済の好循環が生じること」を熱望している。岸田首相は22日に開いた政労使会議でも「昨年を上回る水準の賃上げをお願いする」と要望した。この観点からすると、年金生活者が実質的な減収となるのは歓迎できないのではないか。なにしろ公的年金の受給者は4000万人以上もいる。0.4%の目減りにしても、その影響はきわめて大きい。
仮に大企業の賃金引き上げ率が、ことしは5%に達したとしよう。だが雇用の7割を支える中小企業の賃上げが1%だったら、全体の賃上げ率が物価上昇率を超えることは難しくなるかもしれない。そのうえに年金受給者の実質所得マイナスが加わったら。こう考えると、経済の好循環など起こりえないのではないか。きわめて単純な疑問だが、政府や日銀の考え方を聞いてみたい。
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◇ 史上最高値圏での綱引き = ダウ平均は先週246ドルの値上がり。3週間の連騰で、終り値は3万8109ドル。また史上最高値を更新した。月曜日にいきなり3万8000ドル台に乗せ、その後は反落したが週末に再び盛り返した。半導体・ハイテクから保険・製薬まで幅広い銘柄が買われている。昨年12月13日に3万7000ドル乗せだったから、40日間で1000ドル上げたことになる。だが過熱感はなく、利益確定売りをこなして着実に上げた。
日経平均は先週212円の値下がり。終り値は3万6000円を割り込んだ。月曜日にはニューヨークの流れを受けて大きく上げたが、火曜日に日銀が大規模緩和政策の継続を決めると、あとは軟調に。訪日外国人観光客の復活や時価総額10兆円を超す銘柄が15に増えたなどのニュースも伝えられたが、株価は冴えなかった。自民党の裏金問題が、なんとなく市場の空気を重くしているのだろうか。
アメリカではGDP速報や小売り売上高など、景気の堅調を示す指標が続出している。その一方で、物価は上昇率が縮小。このため景気後退なしでインフレが収束する‟軟着陸”への期待が高まった。これが株高の大きな原因。ただFRBによる利下げも遠のいたという見方もあって、これが売り要因となっている。ただこの綱引き、いまのところは強気の方が優勢。しかし株価が上がれば、弱気も次第に増えて行く。
今週は30日に、12月の労働力調査。31日に、12月の鉱工業生産、商業動態統計。1日に、1月の新車販売。アメリカでは30日に、11月のFAFH住宅価格指数。1日に、1月のISM製造業景況指数。2日に、1月の雇用統計。また中国が31日に、1月の製造業と非製造業のPMIを発表する。なお31日には、パウエルFRB議長の記者会見。
≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日経平均は先週212円の値下がり。終り値は3万6000円を割り込んだ。月曜日にはニューヨークの流れを受けて大きく上げたが、火曜日に日銀が大規模緩和政策の継続を決めると、あとは軟調に。訪日外国人観光客の復活や時価総額10兆円を超す銘柄が15に増えたなどのニュースも伝えられたが、株価は冴えなかった。自民党の裏金問題が、なんとなく市場の空気を重くしているのだろうか。
アメリカではGDP速報や小売り売上高など、景気の堅調を示す指標が続出している。その一方で、物価は上昇率が縮小。このため景気後退なしでインフレが収束する‟軟着陸”への期待が高まった。これが株高の大きな原因。ただFRBによる利下げも遠のいたという見方もあって、これが売り要因となっている。ただこの綱引き、いまのところは強気の方が優勢。しかし株価が上がれば、弱気も次第に増えて行く。
今週は30日に、12月の労働力調査。31日に、12月の鉱工業生産、商業動態統計。1日に、1月の新車販売。アメリカでは30日に、11月のFAFH住宅価格指数。1日に、1月のISM製造業景況指数。2日に、1月の雇用統計。また中国が31日に、1月の製造業と非製造業のPMIを発表する。なお31日には、パウエルFRB議長の記者会見。
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◇ 日銀はまだマイナス金利に固執しているが = 日銀は先週23日に開いた政策決定会合で「大規模金融緩和政策の維持」を決めた。相変わらずの現状維持である。植田総裁は記者会見で「賃金上昇を伴う持続的、安定的な物価上昇を実現する見通しの確度は少しずつ高まっている」としながらも「どの程度高まったかの判断、定量的な把握は非常に難しい」と説明した。要するに年が明けても変化はなし。日銀は石橋を叩いても渡らない。
ところが市場では、日銀が上半期中にもマイナス金利の解除に動くという観測が急激に広まっている。たとえばQUICKが外国為替市場を対象に実施した調査では、1-3月中が36%、4-6月中が43%という結果。石橋を叩いている日銀の尻を、民間が後押ししている格好だ。これはさすがの日銀も、そう長くは持ち切れないだろうという予想。それに金融環境を早く正常化してほしいという市場の要望を反映した動きに違いない。
そして実際に「金利のある時代」が、出現し始めた。たとえば三井住友信託銀行は、5年もの定期預金に0.6%、2年もの定期に0.4%の金利を付けると発表。またauじぶん銀行が1年もの定期に0.35%の金利を付与するなど、いくつかの銀行が定期預金の金利を大幅に引き上げた。この結果、銀行全体の預金残高は1年以上の定期預金が減少、1年未満の定期預金が急速に増えている。
これは今後さらに金利が上昇する場合に備えて、おカネを動きやすくしておく措置。預金者はすでに、金利はもっと上がると考えているわけだ。金利が上がれば預金者は喜ぶが、借金をしている企業や個人は負担が増す。いずれにしても金利の変動を予知して、行動することが大切になってくる。日銀が重い腰を上げたあとでは遅い、と考えるべきだろう。
≪30日の日経平均 = 上げ +38.92円≫
≪31日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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ところが市場では、日銀が上半期中にもマイナス金利の解除に動くという観測が急激に広まっている。たとえばQUICKが外国為替市場を対象に実施した調査では、1-3月中が36%、4-6月中が43%という結果。石橋を叩いている日銀の尻を、民間が後押ししている格好だ。これはさすがの日銀も、そう長くは持ち切れないだろうという予想。それに金融環境を早く正常化してほしいという市場の要望を反映した動きに違いない。
そして実際に「金利のある時代」が、出現し始めた。たとえば三井住友信託銀行は、5年もの定期預金に0.6%、2年もの定期に0.4%の金利を付けると発表。またauじぶん銀行が1年もの定期に0.35%の金利を付与するなど、いくつかの銀行が定期預金の金利を大幅に引き上げた。この結果、銀行全体の預金残高は1年以上の定期預金が減少、1年未満の定期預金が急速に増えている。
これは今後さらに金利が上昇する場合に備えて、おカネを動きやすくしておく措置。預金者はすでに、金利はもっと上がると考えているわけだ。金利が上がれば預金者は喜ぶが、借金をしている企業や個人は負担が増す。いずれにしても金利の変動を予知して、行動することが大切になってくる。日銀が重い腰を上げたあとでは遅い、と考えるべきだろう。
≪30日の日経平均 = 上げ +38.92円≫
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