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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
「?」 が多すぎる 補正予算
2022-06-01-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ やっぱり選挙前のバラマキとしか思えない = 22年度の補正予算案が、きのう31日の国会で成立した。歳出規模は2兆7000億円、全額を赤字国債の発行で賄う。使途は原油高騰対策に1兆1739億円、4月に先行支出した分の補てんに1兆5200億円。これでガソリン・軽油・灯油・重油・航空機燃料に対する補助金の累計額は、1兆8822億円に達することになる。

だが、この補正予算には疑問点が多すぎる。なぜ燃料類に対してだけ、補助金を出すのか。電気料金やガス代は、上がり続けても構わないのか。政府が一括輸入して卸売りする小麦に、なぜ補助金を出さないのか。原油価格の高騰が続いた場合、政府はまた補正予算を編成して燃料類に補助金を出し続けるのか。

22年度の当初予算は、歳出規模が107兆6000億円で過去最大。成立したばかりで、予備費もまだ使われていない。ふつう補正予算は年度の後半、予算が足りなくなって編成される。それなのに、なぜこんな早い時期に、補正が必要なのか。いまでなければ、選挙に有効ではない。燃料に集中することで、票を集められるという計算ではないのか。

燃料費が値上がりすると、その消費が抑制される。逆に言うと、燃料に対する補助金は‟脱炭素”に逆行するのではないか。現に欧米諸国では「補助金など、とんでもない」というのが常識。その結果、年初からのガソリン値上がり率はアメリカが24%、ドイツが25%なのに対して、日本は補助金のおかげで4%にとどまっている。これを善政と言えるかどうか、はなはだ疑問である。

        ≪31日の日経平均 = 下げ -89.63円≫

        ≪1日の日経平均は? 予想 = 下げ


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新高値を目指す勢い : 原油の国際価格
2022-06-02-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 上昇する要因が集中してきた = 原油の国際価格が、また上昇軌道に乗ってきた。ニューヨーク商品取引所のWTI(テキサス産軽質油)先物相場をみると、今週は1バレル=120ドルに迫る勢い。ことし1月の安値83ドルから、上下動を繰り返しながらも着実に上向いている。特に最近は価格を押し上げる要因が重なり合ってきたため、専門家の間では08年の最高値145ドルまで行くのではないかという観測さえ出始めた。

価格を上昇させる供給サイドの要因は3つ。アメリカやEUが、ロシア産の原油や天然ガスの禁輸方針を打ち出したこと。またOPEC(石油輸出国機構)とロシアなどの産油国が、大幅な増産には応じないこと。さらにアメリカのシェール生産が、環境規制などの影響で急激には伸びないこと。こうした結果、アメリカの原油在庫は、最近8年ぶりの低水準に落ち込んだ。

需要サイドの要因は4つ。まずコロナ規制の解除で、各国の経済活動が正常化しつつあること。特に中国の規制解除で、燃料の消費が急拡大する。また北半球では、夏のドライブ需要が増加する。さらにウクライナ戦争が長期化しそうなこと。そこへ投機資金が、原油市場に流入している。株式や債券市場が頭打ちの状態で、資金が商品市場に移動しやすい。

こうした需給両面からの圧力で、原油価格は上がりやすくなっている。どこまで上がるか正確には予測しがたいが、当分は上昇し続けるだろう。日本の輸入価格も上昇し、それだけ購買力が産油国に流出する。物価は上がり、景気にとっては重しになる。政府は補助金で、ガソリンの高騰を抑えるだけ。日銀も打つ手がない。やっぱり、この際は原発の再稼働に頼るしかないのではないか。

        ≪1日の日経平均 = 上げ +178.09円≫

        ≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ


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5円玉 貯めたら儲かるかしら?
2022-06-03-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 資源の高騰で実質価値が急上昇 = 黄色い5円玉。いま約100億枚が流通しているのだそうだ。その材料は黄銅、銅と亜鉛の合金である。1枚が3.75グラムの5円玉のなかには、銅が平均2.44グラム含まれている。その銅や亜鉛の値段が急騰中。EV(電気自動車)や電線の需要増に加えて、ウクライナ戦争の影響でロシアからの輸出が減少すると見込まれているためだ。

ロンドン金属取引所の銅先物価格は、3月に1トン=1万0800ドル台の史上最高値を付けた。つれて日本国内の建値も4月下旬に、1トン=137万円の新高値を記録している。過去2年間で2.3倍も値上がりした。亜鉛も高値を更新している。この結果、5円玉の金属としての価値は額面の84%に上昇した。

専門家によると、銅の需給はこれからも逼迫し、価格は上昇を続けるという。そして国内の建値が1トン=205万円に達すると、5円玉の実質価値が額面を超える。さらに専門家は「50年後には、これらの金属がレアメタルになる」とも指摘した。--日経新聞が載せた記事である。

この記事を読んで「5円玉を貯めたら儲かるかも」と考えた人がいるかもしれない。たしかに仮に5円玉の実質価値が6円になれば、2割の儲けになる。だが、そこで1000万円を儲けるには、5円玉を1000万枚貯めなければならない。つまり5000万円の元手が必要になる。だから、この記事は現在の資源インフレを実感させてはくれるが、貧乏人の財テクには役立たない。

        ≪2日の日経平均 = 下げ -44.01円≫

        ≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ


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 死者が語る コロナ肺炎の危険度 (115)
2022-06-04-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 感染爆発の国がなくなった = 世界の感染者は累計5億3072万人、この1週間で333万人増加した。この増加数は前週より131万人多いが、それでも小康状態と言える。死亡者は629万4630人で、週間1万1404人の増加。全体として、落ち着いた推移が続いている。死亡者数が多い上位10か国で前週より死亡者数が上回ったのは、アメリカとメキシコだけ。それも微増にとどまっている。

国別の死亡者数をみると、アメリカは累計100万7703人。この1週間で3920人増加した。この増加数は前週より1400人多い。次いでブラジルが66万人台、インドが52万人台、ロシアが37万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが17万人台、イタリアが16万人台、インドネシアが15万人台、フランスとイランが14万人台となっている。このうち1週間の増加数がインドは116人、インドネシアは41人にまで縮小した。

厳重な都市封鎖を実施した中国。その効果が表われて、この1週間の感染者は2万2000人の増加。死亡者は1人の増加にとどまった。上海市などの都市封鎖も、ほぼ解除されている。この結果、世界を見渡しても、感染が爆発的に拡大している国は皆無となった。その一方、厳重な規制を実施しなかったインドやインドネシアでも、感染は下火になった。その理由は、まだ明らかになっていない。

日本の感染者は累計889万6606人、この1週間で15万1102人増加した。この週間増加数は、ことし1月中旬以来の最少。死亡者は3万0682人で、週間215人の増加だった。この増加数は1月下旬以来の最少。ワクチンの3回接種率が6割に達した効果だろうか。しかし10日からは、いよいよ外国人観光客の受け入れが再開される。気を抜かずに、段階的な正常化を進めることが肝要だろう。

        ≪3日の日経平均 = 上げ +347.69円≫

        【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】     


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今週のポイント
2022-06-06-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 悪材料で上げ、好材料で下げ = ダウ平均は先週313ドルの値下がり。市場には、また奇妙な現象が出現した。民間の調査会社が2日「5月の雇用状況は芳しくない」という予測を発表すると、株価は435ドルも上昇。労働省が3日「5月の雇用は予想以上に好調」という統計を発表すると、株価は349ドル下げた。株価は悪材料を好感して上げ、好材料は嫌気して下げたことになる。景気がよければFRBによる金融引き締めが加速され、悪ければ手心が加えられると考えたためだ。

日経平均は先週980円の値上がり。ニューヨークが下げたにもかかわらず、大きく上げた。終り値は4月上旬以来の2万7700円台に戻している。中国で上海市などの都市封鎖が解除されたこと、それに外国人観光客の受け入れ再開が決まったことが、買いの材料になっている。このところ目立っている出遅れ株の物色も、大きく貢献した。

ニューヨーク市場の奇妙な現象は、もう少し続くかもしれない。しかしマクロの経済指標ならともかく、実際に企業の業績見通しが悪化すれば、そんなことは言っていられないだろう。一方、東京市場の出遅れ感は薄れてきた。次の目標は2万8000円台の回復だが、意外に手間取る可能性もないではない。原油高が、やはり重しになっている。

今週は7日に、4月の家計調査、毎月勤労統計、景気動向指数。8日に、1-3月期のGDP確定値、5月の景気ウオッチャー調査。10日に、5月の企業物価。アメリカでは7日に、4月の貿易統計。10日に、5月の消費者物価、6月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が9日に、5月の貿易統計。10日に、5月の消費者物価と生産者物価を発表する。

        ≪6日の日経平均は? 予想 = 下げ


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正常化はゆっくりが いい / 中国
2022-06-07-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 急激な回復は世界インフレに拍車 = 上海市の厳重きわまる都市封鎖が、2か月ぶりにほぼ解除された。市民2500万人の約9割が外出自由となり、地下鉄やバスなどの公共交通機関も動き出したという。コロナの新規感染者が、ピークだった4月の1日2万人から最近は15人に減ったためだ。ただ経済活動は再開されたものの、完全な正常化には時間がかかりそうだと新聞やテレビは報じている。

中国最大の経済都市、上海の完全封鎖は予想以上の損失をもたらした。上海市の小売り売上高は、1-4月で前年比14.2%の減少。4月の新車販売は、なんとゼロ台になった。鉱工業生産は61.4%も低下、コンテナの取扱量は17.2%減少した。この結果、中国経済全体にも悪影響が及び、習政権が目標とする22年の成長率5.5%の達成は難しいのではないかという予測さえ広がっている。

さらに外国企業にも、大きな損失を与えた。まず現地に進出した工場や商店が、2か月にわたって営業停止。加えて部品や製品の輸出が止まったため、多くの国で生産活動に支障が生じた。日本でもトヨタやスバルの国内工場が一時閉鎖されたり、半導体の不足でエアコン・洗濯機などの電気製品が品薄になっている。

こうした状況だから「正常化は早く」と願うのは、人情かもしれない。新聞やテレビも、そういう姿勢で解説している。たしかに早く正常化すれば、供給不足は早く解消するだろう。しかし回復が早すぎると、こんどはエネルギーや資源の奪い合いが始まり、世界インフレを助長することになりかねない。したがって上海市の経済正常化は「ゆっくり、着実に」の方がいい。

        ≪6日の日経平均 = 上げ +154.32円≫

        ≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ


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動く原発 ・ 動かぬ原発 (上)
2022-06-08-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 北海道電力と中国電力の落差 = 原子力発電所の再稼働をめぐる重要な決定が、相次いで発表された。札幌地裁による北海道電力・泊原発に対する運転差し止め命令と、島根県知事による中国電力・島根原発の再稼働に対する同意の表明である。これによって島根原発2号機は来年にも動き出すが、泊原発1-3号機の再稼働は難しくなった。この夏や冬の電力不足が真剣に心配されている状況で、泊原発が動けなくなったことは非常に痛い。

札幌地裁は5月31日、泊原発の運転差し止めを命令した。理由は「津波に対する安全性の基準を満たしていない」こと。この裁判は10年も続いてきたが、北海道電力は裁判所が求めた説得力のある資料を提出しなかったようだ。判決文をみると、地裁側はかなり憤慨している様子がうかがえる。一方、島根原発の方は、中国電力が松江市や島根県など地元の説得に成功したらしい。

日本の原発は、東日本大震災の前には54基あった。それがいま、規制委員会の審査に合格したのは17基。地元の同意も得て再稼働できるのは、わずか10基にすぎない。合計した発電量は584㌔㍗、日本の電力消費量の6%にも満たない。しかも定期検査中の原発を除くと、実際に再稼働しているのは4基のみ。あとは東北電力の女川原発2号機が審査に合格、地元の同意も得て24年春の再稼働に向けて準備中だ。

泊原発1-3号機の出力は合計210㌔㍗。もし動けば、北海道の電力需要の約4割を賄うことができる。全国の電力需給は非常に逼迫しており、たとえば冬の電力不足は350万㌔㍗、110万世帯分にのぼるという予測もある。こうしたなかで泊原発が稼働できなくなったことは、大きな打撃と言えるだろう。その原因は、北海道電力の努力不足だけではない。根底には、政府の原発に対する方針の欠如がある。

                        (続きは明日)

        ≪7日の日経平均 = 上げ +28.06円≫

        ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ

         
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動く原発 ・ 動かぬ原発 (下)
2022-06-09-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 経済産業省の責任は重い = 三権分立の趣旨から言っても、政府が札幌地裁に圧力をかけることは出来ない。しかし北海道電力に対して、もっとしっかりした対策を作り、説得力のある資料の提出をうながすことは可能だった。だが所管官庁である経済産業省が、そうしなかったことは明かだ。原発に対する政府の基本的な方針が定まっていないために、そう出来なかったのだろう。

たとえば岸田首相は、しばしば「原発は安全性を第一に、出来る限り活用して行く」と述べている。だが具体論は、全くなし。だから出先官庁としても、北海道電力を強力に指導するための指針がなかったのではないか。たとえば「原発は40年までに全廃する。したがって新規の建設や建て替えもしない」ことを基本方針として確定。ただし現在は非常事態だから「出来るだけ多くの原発を動かす」と宣言したら、どうだろう。

こうすれば国民も納得し、地元民の同意も得やすくなるに違いない。これまで政府はこの問題をタブー視して、避けてきた。このため最近は原油や天然ガスなどの燃料輸入費が急増し、貿易収支も赤字基調になっている。電気料金やガソリン代も急増、家計や企業の負担は大きい。その分だけ購買力が海外に流出し、景気を押し下げる一因ともなっている。

欧米諸国は、すでに原発に対する方針を明確にしている。アメリカ・イギリス・フランスは原発の新増設に踏み切った。ドイツ・スペインは原発ゼロを目指しているが、その計画をいったん中断した。だが日本政府は、具体的な方針を作成しない。エネルギーを所管する経済産業省の責任は、きわめて重い。

        ≪8日の日経平均 = 上げ +290.34円≫

        ≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ


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過剰な期待は 禁物 : 外国人観光客
2022-06-10-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ コロナ前には戻らない = 外国人観光客の受け入れがきょう10日、2年2か月ぶりに再開された。受け入れの対象となるのは、アメリカや中国など98の国・地域。ワクチン接種の有無にかかわらず、入国時の検査や待機が免除される。ただし入国できるのは、コロナの無秩序な感染を防ぐため旅行会社が主催する団体旅行だけ。個人旅行は認められない。

政府は同時に、1日あたり入国者の上限を1万人から2万人に拡大した。このなかにはビジネス目的の来日、留学生や技能実習生、さらには帰国する日本人も含まれる。したがって観光客がどのくらい入国してくるかは、ビザの発給をどう配分するかしだい。ビジネス客や留学生を重視すれば、観光客は少なくなる。

コロナ前の19年、日本を訪れた外国人観光客は3200万人にのぼった。全国の観光地が外国人で埋まり、いわゆる‟インバウンド景気”に沸いた。いま多くの宿泊・飲食・小売り・交通関係者はその当時の活況を思い出し、期待に胸を弾ませている。だが1日平均1万5000人としても、年間の訪日客は500万人ほど。当時の2割にも及ばない。もちろん上限の引き上げはあるだろうが、それでもコロナ前への道のりは遠い。

経済環境の面からみると、いまの円安は外国人観光客にとって大きま魅力。アメリカ人やヨーロッパ人は、円安が続いているうちに日本へ行きたいと思うに違いない。ところが最大のお客さんである中国人の様子は、ちょっと違う。まず日本円が中国元に対して安くなっていない。また中国政府は景気浮揚のため国内での消費を増加させたいから、国民の海外旅行には消極的だ。こうしたことも頭に入れて、過大な期待はしない方が賢明だろう。

        ≪9日の日経平均 = 上げ +12.24円≫

        ≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ


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 死者が語る コロナ肺炎の危険度 (116)
2022-06-11-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 新興国ではほぼ沈静、原因は不明 = 世界の感染者は累計5億3367万人、この1週間で294万人増加した。この増加数は前週より38万6000人少ない。死亡者は630万4835人で、週間1万0205人の増加だった。この増加数は昨年2月以来の最少。全体としてゆっくりではあるが、引き続き改善傾向にある。特に新興国の改善が著しい。

国別の死亡者数をみると、アメリカは累計101万0520人。この1週間で2817人増加した。次いでブラジルが66万人台、インドが52万人台、ロシアが37万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが17万人台、イタリアが16万人台、インドネシアが15万人台、フランスとイランが14万人台となっている。ブラジルが微増したほかは、各国とも前週の増加数を下回った。

注目すべき点は、新興国で死亡者数が激減したこと。一時は1日で数万人もの死亡者を出していたが、そろって沈静した。たとえば、この1週間の死亡者数はブラジルが846人、メキシコが104人。インドは82人、インドネシアは10人といったぐあい。日本や韓国よりも、ずっと少ない。ワクチンが行き渡ったり、都市封鎖のせいではない。人口の過半数が感染し、自然免疫ができたのだろうか。専門家による検証は、まだ発表されていない。

日本の感染者は累計901万0558人。この1週間で11万3952人増加した。この増加数は、ことし1月中旬以来の最少。死亡者は3万0847人で、週間165人の増加だった。前週より50人減っている。外国人観光客の受け入れ再開で、来月からは入国者が増えるだろう。ワクチン接種は2回が8割、3回が6割に達したが、安心は出来ない。水際対策の徹底が肝要である。

        ≪10日の日経平均 = 下げ -422.24円≫

        【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】     


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今週のポイント
2022-06-13-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 金融引き締めを急ぐFRB = ダウ平均は先週1507ドルの大幅な値下がり。終り値は3万2000ドルを割り込んだ。週の後半になって、ECB(ヨーロッパ中央銀行)が利上げする方針を発表。またアメリカの5月の消費者物価が40年ぶりの高さに。これで今週15日に、FRBが0.5%の利上げを決定することが、完全に確定した。市場はこうみて、売りに回っている。

日経平均は先週63円の値上がり。ニューヨークが大きく下げた割に、東京は頑張った。円の対ドル相場が134円台まで下落、輸出関連株が買われた。また外国人観光客の受け入れ再開で、インバウンド関連の銘柄も物色されている。ただ円安による物価高で、一般企業の経営は苦しくなってきた。そちらの方に目が行くと、株価は上がりにくくなる。

ニューヨーク市場では「FRBは6月に続いて、7月も0.5%の利上げを強行する」という予想が強まっている。このため15日の利上げ発表が過ぎても、重苦しい空気は続くだろう。またFRBが保有資産の縮小を、今後どのような規模で実施して行くかにも関心が集まっている。東京市場は別行動、というわけにはいかないだろう。

今週は13日に、4-6月期の法人企業景気予測調査。15日に、4月の機械受注、第3次産業活動指数。16日に、5月の貿易統計。アメリカでは14日に、5月の生産者物価。15日に、5月の小売り売上高、6月のNAHB住宅市場指数。16日に、5月の住宅着工戸数。17日に、5月の工業生産。また中国が15日に、5月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。なお15日には、FRBが利上げを発表する予定。

        ≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ


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置いてきぼりの 日本 : 金融引き締め
2022-06-14-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 円安はどこまで進行するのか = FRBはあす15日、政策金利の大幅な引き上げを決定する。市場は早くから0.5%の引き上げを織り込んできたが、5月の消費者物価が予想を上回って上昇したため、状況は大きく変わった。インフレ防止を最優先するFRBは、0.75%の引き上げに踏み切るかもしれない。量的引き締めについても、テンポを速めるかもしれない。市場の警戒は強まり、先週末の株価は急落した。

今後の見通しも、大きく揺らいでいる。これまで市場は「6月と7月は0.5%の利上げ。9月からは0.25%の引き上げ。その一方、量的引き締めは6-8月は軽く、9月からは重くなる」と読んでいた。この予想が崩れ「9月以降は0.5%の利上げと本格的な保有資産の縮小が重なるかもしれない」という見方も、急激に強まっている。

アメリカの金融引き締めが速いテンポで進むなか、世界各国も金利の引き上げに踏み切っている。ECB(ヨーロッパ中央銀行)は先週「7月から金融引き締めに向かう」と発表。これによりマイナス金利から、8年ぶりに抜け出す見込みだ。またイギリス・カナダ・スイスをはじめ、多くの新興国が政策金利を引き上げている。この結果、マイナス金利政策にしがみついているのは、日本だけということになった。

内外の金利差は拡大する方向にあるから、円安はまだ続くという見方が強い。その一方で円相場は下がり過ぎという評価もあって、先行きの予測は困難だ。しかし円安で輸入物価が上昇し、その悪影響が拡大しつつあることは確か。たとえばトヨタは1円の円安で450億円の差益を生じるが、原材料価格の上昇による損失は1兆4500億円にのぼっている。この現実は、はっきり認識しなければならない。

        ≪13日の日経平均 = 下げ -836.85円≫

        ≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ


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骨がない ‟骨太の方針” (上)
2022-06-15-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 問題の羅列にとどまった = 骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)②新しい資本主義の実行計画③規制改革の実施計画④デジタル田園都市国家構想基本方針--政府は先週7日の閣議で、この4つの計画を決定した。いずれも日本の将来を決定づける、きわめて重要な政策目標である。ところが書かれた内容は、問題の羅列に過ぎない。また問題がダブっている個所もあって、計画をこの4つに種分けした意図も明かではない。

選挙公約のような文言が、ずらりと並ぶ。人への投資、資産所得倍増プラン、コロナ・ワクチンの開発、薬局の調剤業務を外部委託・・・。大きい問題も小さい問題もごっちゃに並べたから、政府が何を重視しているのかが全く判らない。しかも実現できそうにない問題も、堂々と顔を出している。やや踏み込んでいる問題もあるが、多くは言いっ放しの状態だ。

たとえば「人への投資」には、3年で4000億円を投じると内容に踏み込んでいる。これで100万人を対象に、能力開発や再就職の支援をするという。だが1年にすれば1300億円強。とても十分な予算とは言えないだろう。また唐突な感じで「国民皆歯科検診」構想が飛び出したが、これには何兆円もの費用がかかる。財源をどこに求めるのか、見当もつかない。

このほか資産所得倍増計画の具体的な方策は、これから考える。子ども政策も、こども家庭庁が出来てから考えるといった具合。その一方で、岸田首相が施政方針演説で力説した‟分配”の問題は、姿を消した。物議をかもした高所得者に対する課税強化についても、言及なし。だから、この4つの政府計画は、どうしても選挙対策のようにみえてしまう。

                       (続きは明日)

        ≪14日の日経平均 = 下げ -357.58円≫

        ≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ


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骨がない ‟骨太の方針” (下)
2022-06-16-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 将来像が全く見えてこない = いま日本は、数多くの問題を抱え込んでいる。コロナ禍やウクライナ戦争が惹き起こしたエネルギー・資源・食料の高騰。少子高齢化ガもたらした年金・介護制度の弱体化。そして低成長が続くなかでの人々の生活不安・将来不安・・・。しかし政府が決定した4つの計画を読んでも、これらの問題を解決するための具体策はほとんど見当たらない。

たとえばエネルギー・資源・食料の高騰については「緊急対策を講じる」「ロシア以外の調達先を多角化する」と書いてあるだけ。また原発については「脱炭素効果の高い電源を最大限活用する」と、従来の言い分を繰り返しただけ。景気対策についても「賃上げや価格転嫁など成長と分配の好循環に向けた動きを確かなものとしていく」と、きわめて素っ気ない。年金や介護問題、あるいは経済成長率への言及はなかった。

たとえばの話。原発は「将来的には全廃を目指すが、いまは非常時なので出来るだけ多くの原発を動かす」とか。経済成長率については「年平均2%の成長を目標にして、そのための財政金融政策を進める」とか。こういう具体的な表現があれば、国民も政府の姿勢を知ることが出来たはずだ。

日本人はいま「先が見えない」ことに困惑している。大停電はないのか、食料は不足しないのか。物価はいつまで上がるのか、賃金は上がるのか。年金や介護制度は大丈夫なのか。そして10年後、日本はどんな国になっているのか--政府はこうした疑問や不安に応える義務を負っている。だが今回の4計画では、それが欠落してしまった。骨のない‟骨太の方針”だったわけである。

        ≪15日の日経平均 = 下げ -303.70円≫

        ≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ≫ 


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タテ割り行政の見本 : 男女白書
2022-06-17-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ ‟少子化”は別の問題なのか? = 政府は14日の閣議で、22年版の「男女共同参画白書」を決定した。まず結婚の状況について「婚姻件数は15-19年には約60万件で推移していたが、20-21年には約51-52万件と戦後最少」になった。また1980年から2020年にかけて「未婚・離別の人口比は大幅に増加」。この結果「30歳時点での未婚割合は、20年で女性が40.5%、男性が50.4%になった」など、実に詳細な統計を紹介している。

さらに家族の状況も、大きく変化した。たとえば1985-2021年の間に、共働き世帯は718万世帯から1177万世帯に急増。専業主婦のいる世帯は936万世帯から458万世帯へと半減した。こうした人生設計や家族構成の多様化は「もはや昭和ではない」ことの証しであると表現。その一方で「さまざまな政策や制度は昭和のまま」だとして、改革の推進を訴えている。

このほか白書は女性の社会進出に関して、税金や健康の面などあらゆる角度から問題を分析。政府が公表する数多くの白書のなかでも、水準はかなり高い。そういう意味では評価に値するが、ただ1つ見逃せない欠点があった。それは、いま大問題になっている‟少子化”との関連について、全く触れていないことだ。

「女性の社会進出、独立性の向上は大変けっこう。だが出生率は落ちるのではないか」--国民の多くはこう考えている。それなのに、この白書にはこの観点がなかった。白書を書いたのは、内閣府の男女共同参画局。だから‟少子化”とは関係がない、というのだろうか。だとしたら、これはタテ割り行政の弊害と言わねばならない。閣議には少子化担当相も出席していたはず。何も発言しなかったのだろうか。

        ≪16日の日経平均 = 上げ +105.04円≫

        ≪17日の日経平均は? 予想 = 下げ


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 死者が語る コロナ肺炎の危険度 (117)
2022-06-18-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 世界の死亡者数が週間1万人を割る = 世界の感染者は累計5億3735万人、この1週間で369万人増加した。この増加数は前週より75万人多い。まだ高水準での横ばいが続いている。しかし死亡者は631万4405人で、週間9570人の増加だった。1週間の死亡者数が1万人を割ったのは、新型コロナが発症してから初めてのこと。死亡者でみる限り、コロナの勢いは確実に弱まっている。

死亡者の増勢がピークに達したのは、21年6月上旬。このときの死亡者数は、1週間で19万3000人にも及んでいる。それに比べれば、死亡者は20分の1に減少した。当時の感染者数は週間326万人で、現在とあまり変わっていない。にもかかわらず、死亡率は激減した。コロナの変異株がそういう特徴を持っているのかもしれないが、ワクチンの効果も大きかったと考えられる。

国別の死亡者数をみると、アメリカは累計101万2607人。この1週間で2087人増加した。続いてブラジルが66万人台、インドが52万人台、ロシアが37万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが18万人台、イタリアが16万人台、インドネシアが15万人台、フランスとイランが14万人台となっている。ブラジルとメキシコが微増したほかは、すべて死亡者数が減少。特にインドネシアは死亡者がゼロになった。

日本の感染者は累計911万0239人、この1週間で9万9681人増加した。この増加数は、ことし1月以来の最少。また死亡者は3万0985人で、週間138人の増加だった。前週より27人少なくなっている。ピークだったことし3月の週間1608人に比べると、大幅に減少したことが判る。行動規制は大幅に解除されたが、この夏も改善傾向が持続するよう、一人一人が心がけたい。

        ≪17日の日経平均 = 下げ -468.20円≫

        【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】    


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今週のポイント
2022-06-20-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 利上げ↠景気不安で、株価は大幅安 = ダウ平均は先週1504ドルの値下がり。3週連続の下落で、この間の下げ幅は3300ドルを超えた。終り値は2万9889ドル。3万ドルを割り込んだのは、昨年1月以来のこと。ナスダックとSP500指数も、大きく下げている。ただダウ平均でみると、年初来の下げは717ドルにとどまっている。それだけ最近の株価上昇は急激だったとも言えるわけだ。

日経平均は先週1861円の値下がり。終り値は2万5963円。2万6000円を割ったのは、5月中旬以来。年初来では2829円の下落となっている。先週の動きだけからみると株価は暴落したような感じさえあるが、実際はそれほど大きく下げてはいない。日本株が出遅れていたためでもあるようだ。いずれにしても、今後はニューヨーク次第ということになってくる。

株価が大幅に下落したきっかけは、FRBが政策金利を0.75%も引き上げたこと。これでアメリカの景気に対する先行き不安が一気に強まった。さらにイギリスやスイスが追随して利上げに踏み切ったため、世界経済の先行きにも警戒感が広まっている。こうした感触が持続すれば、今週も株価は下がる。だが市場が下げ過ぎを意識すれば、いったん反発するかもしれない。ここからは底値を模索する動きが始まるだろう。

今週は24日に、5月の消費者物価、企業向けサービス価格。アメリカでは21日に、5月の中古住宅販売。24日に、5月の新築住宅販売。なお25-26日には、ドイツでG7(主要7か国)首脳会議が開かれる。

        ≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ

         
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奇妙な現象が多発 : 世界の市場
2022-06-21-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 100年に1度の偶然も出現 = FRBが大幅な利上げに踏み切ったことで、いま世界の株式・為替・商品市場は緊張状態にある。こんなとき市場には不可解な動きが出現しがちだが、はたして先週は奇妙な現象が続出した。まずはニューヨーク株式市場。FRBが0.75%の利上げを発表した15日、ダウ平均株価は6日ぶりに反発して304ドル高となった。市場では「1%の利上げがなかったから」という解説。どうもおかしいなと考えていたら、あくる16日には700ドルを超す値下がりとなった。

次は東京外国為替市場。同じ15日、円の対ドル相場が2-3円上昇した。日米間の金利差が拡大したのに、円高とは不思議だった。市場では「ヨーロッパの利上げで、ドルの対ユーロ相場がやや下がったため」という理由付け。だが円ドル相場には関係がないはずだと首をひねっていたら、あくる日からはやっぱり円安基調に戻っていた。

さらに原油の国際市場。たとえばWTI(テキサス産軽質油)先物相場は、1バレル=120ドル前後だったものが、110ドル近くにまで急落している。中国の経済活動が正常化すると需要が増大、価格は上昇するとみられていたのに、どうしてなのか。市場では「各国の利上げで世界の景気が後退。需要が減る」予想なのだという。だが、それにしても下げ幅が大きすぎる。投機筋が仕掛けたワナではないのか。

最後は100年に1度の偶然。やはりFRBが利上げを発表した15日のこと。日経平均は終り値で「303円70銭の下落」だった。ところが驚いたことに、その日のダウ平均は「303ドル70セントの上昇」で終わっている。上昇と下落の違いはあるが、日米の株価が5桁まで一致することは珍しい。おそらく100年に1度の偶然だろう。

        ≪20日の日経平均 = 下げ -191.78円≫

        ≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ


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日経新聞の世論調査が 教えること
2022-06-22-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 国民の真意を率直に受け止めるべし = 日経新聞が実施した6月の世論調査によると、岸田内閣の支持率は60%で前回5月調査より6ポイントも低下した。不支持率は32%に上昇している。また政党支持率でも、自民党は45%で前回より6ポイント低下した。ただ2位の日本維新の会に対する支持率は8%で、自民党の圧倒的な優位は変わっていない。

この調査では、2つの重大な問題点が明らかになった。その1つは物価上昇に対する厳しい反応。最近の物価上昇について「許容できない」と答えた人は64%にのぼり、「許容できる」の29%を大きく上回った。国民の関心はこの1か月でコロナから物価に移行しており、内閣や自民党の支持率を引き下げる要因になったと考えられる。

もう1つは、日銀の金融緩和政策に対する批判。現在の緩和政策を続けるべきかどうかの質問に「続けるべきではない」が46%に達し、「続けるべきだ」の36%を10ポイントも上回った。日銀の緩和政策で内外金利差が拡大、その結果は円安が進んで物価上昇を加速している。この事実を、多くの国民が理解し始めた証拠と言えるだろう。

政府の物価対策は、ガソリンに対する補助金の支出ぐらい。もっと根本的な対応策、たとえば原発や再生可能エネルギーについての具体的な姿勢が示されていない。また日銀の緩和政策で、得をしている人は誰なのか。たとえばスローペースで金利を1%程度に引き上げた場合、もっと多くの企業や個人の収入が増えるのではないのか。世論調査の結果は、こうした点を政府・与党に問いかけている。

        ≪21日の日経平均 = 上げ +475.09円≫

        ≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ


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底値を探る展開 : 株式市場
2022-06-23-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 船頭多くして、見通しは混沌 = FRBの0.75%利上げをきっかけとして、ニューヨーク株式市場は完全な弱気相場に突入している。ダウ平均株価は先週末3万ドルを割り込み、SP500やナスダックの株価指数も年初来安値に落ち込んだ。こうしたなかで、市場の関心は「いつ下げ止まるのか」に集中。いろいろな見方が飛び交っているが、まだ見通しは固まらないようだ。

「株価の調整はほぼ終わった」と、考える市場関係者も少なくない。こうした人たちは、PER(株価収益率)の低下に注目する。たしかにSP500のPERは、一時の40倍から最近は18倍程度まで低下した。つまり‟買われ過ぎ”の状態からは抜け出したというわけである。だがPERは企業の収益が減少すれば、また上がってしまう。こう考える人は「まだ底値は先だ」と主張する。

こうなると、問題はこの先の景気見通しに移行する。FRBは22-23年の成長率を1.7%と予測しているが、実際はもっと悪くなると考えればPERは予想以上に上がるかもしれない。その半面、コロナ禍で溜まった消費支出が出るから、景気はそんなに悪化しないという見方もある。それならPERは、それほど上昇しないだろう。

最も慎重な見方は「現在の株安は、金融バブルの崩壊を表している」という考え方。となると、バブルの大きさをどう評価するかは、人によってもまちまち。ダウ平均で言えば、3万ドルとみる人もいれば、2万ドルと考える人もいる。こうした数多くの思惑が、いま市場で交錯している状態。どの予想が真実に近いのか。あと1週間もすれば、しだいに見えてくるだろう。

        ≪22日の日経平均 = 下げ -96.76円≫

        ≪23日の日経平均は? 予想 = 下げ


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岸田さん、それダメ!
2022-06-24-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ あなたの発言は矛盾している = 参院選では、物価の問題が論争のマトになっている。この物価騰貴について、岸田さんは「適切な対策を打ったから、日本の物価上昇率は欧米よりずっと低い」と、たびたび発言した。自民党の選挙公約にも「政府の緊急対策で、日本の物価上昇は欧米の4分の1程度に収まっている」と書いてあるから、自民党幹部の一致した考え方でもあるのだろう。だが、この考え方は間違っている。

たしかに直近の消費者物価上昇率をみると、アメリカの8.6%に対して日本は2.5%にとどまっている。しかし、これは政府の対策が効果を挙げたからではない。政府の対策はガソリンに補助金を出したぐらい。これでは物価指数を0.1%も下げられなかったろう。物価の上昇が抑えられた原因は、景気が悪いために高騰した輸入物価を小売り段階に転嫁できないことにある。

日銀の集計によると、5月の企業物価は前年比9.1%の上昇。うち輸入物価は43.3%も上昇した。だが、これを急速に転嫁できないため、消費者物価が2%台の上昇に抑えられていることは明かだ。おかしなことに岸田さんも自民党も、この価格転嫁の問題はよく認識しているようだ。たとえば選挙公約でも「労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分について、中小企業の取引価格の転嫁対策を徹底する」と書いている。

一方で「物価上昇の低さ」を自慢しながら、他方ではその原因である「転嫁の遅れ」をなくそうとする。どう考えても、論理の矛盾としか言いようがない。価格転嫁を促進して消費者物価が欧米並みに上昇すれば、岸田さんも自民党も大いに困ることになることは明かだ。優秀な自民党の幹部諸氏は、そんなことは十分に認識しているに違いない。にもかかわらず「物価は抑えられている」と強調するのは、選挙対策としか考えられない。だが矛盾した論理はダメである。

        ≪23日の日経平均 = 上げ +21.70円≫

        ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ


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 死者が語る コロナ肺炎の危険度 (118)
2022-06-25-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日本の死亡率はアメリカの15分の1 = 世界の感染者は累計5億4137万人、この1週間で402万人増加した。この増加数は前週より33万人多い。死亡者は632万4101人で、週間9686人増加した。前週に続いて1万人を割っている。いぜん高水準での横ばい状態が続いており、終息の兆しはまだない。

国別の死亡者数をみると、アメリカが101万4835人。この1週間で2228人増加した。続いてブラジルが66万人台、インドが52万人台、ロシアが37万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが18万人台、イタリアが16万人台、インドネシアとフランスが15万人台、イランが14万人台の順となっている。アメリカ・ロシア・イギリス・インドネシア・フランスの5か国が、前週より微増した。

日本の感染者は累計921万0050人。この1週間で9万9811人増加した。この増加数は、前週より130人増えている。死亡者は3万1093人で、週間108人の増加だった。増加数は4週連続で縮小している。行動規制の撤廃と夏の行楽シーズンを迎えて、感染者はやや増加の傾向に転じている。選挙戦に入って関心はコロナより物価高に移っているが、まだ気は抜けない。

コロナによる死亡者数が人口に占める比率を計算してみた。アメリカが最も高く、死亡率は約0.3%にのぼる。あとイギリス・フランス・ロシアなどは、だいたい0.2%台。中国は0.0003%で、極端に低い。こうしたなかで日本は0.02%ほど。アメリカは1000人中3人なのに対いて、日本は10000人に2人の割合。アメリカの15分の1という結果だった。

        ≪24日の日経平均 = 上げ +320.72円≫

        【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】     


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今週のポイント
2022-06-27-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ まず強気派が反撃、今週は慎重派か = ダウ平均は先週1611ドルの大幅な値上がり。終り値で3万1000ドル台を回復した。先々週までの3週間で3324ドル下落したのを、半分近く取り戻したことになる。パウエルFRB議長が22日、議会で「景気後退の可能性はある」と証言。その日はやや下げたが、あとは上昇した。長期金利が反落したことも、株価の押し上げ要因となった。

日経平均は先週529円の値上がり。前週の1800円を超す値下がりの、約3分の1を取り戻した。ニューヨーク市場の急反発に支えられ、個人の逆張り買いも復活したようだ。しかし重荷は、物価の上昇と円安の進行。選挙戦が始まって各党の公約も明らかになったが、株価にはあまり影響していない。

ニューヨーク市場では「株価の調整は終わった」という強気派が、一斉に買いに出た。だがアメリカの景気先行きに対する警戒感は、少しも和らいでいない。景気後退を見越して、原油の国際価格も大きく下げた。今週は慎重派が売りを仕掛けてくる公算が大きい。強気派の買いも続くなかで、株価は上下動するだろう。仮に今週も株高になれば、弱気相場はかなり解消する。

今週は29日に、5月の商業動態統計、6月の消費動向指数。30日に、5月の鉱工業生産、住宅着工戸数。1日に、6月の日銀短観、新車販売、5月の労働力調査。アメリカでは27日に、5月の中古住宅販売。28日に、4月のFHFA住宅価格指数、6月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。29日に、1-3月期のGDP確定値。1日に、6月のISM製造業景況指数。また中国が30日に、6月の製造業と非製造業のPMIを発表する。

        ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ


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ついに大規模停電の 恐怖 (上)
2022-06-28-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 注意報は序の口、警報や制限令も = カラ梅雨だった。日本列島は連日、各地で最高気温が35度を超える猛暑日に襲われている。特に関東地方の気温は異常に高く、東京都心でも観測史上最高の暑さが続く。このため冷房はフル回転する。政府は27‐28日、東京電力の管内1都8県に対して、電力需給ひっ迫注意報を初めて発令。午後3-6時の電力使用を出来るだけ少なくするよう要請した。

電力は需要量が供給量を上回ると、広域の大停電を起こしやすい。通常は供給量が需要量を上回っている必要があり、この余裕分を予備率と呼んでいる。予備率が5%を下回る見通しになると、注意報が。また3%を下回る見通しになると、警報が発令される仕組み。27日は5%を割る見込みとなったため、注意報が発令された。

でも注意報は、まだ序の口。関東地方の天気予報をみると、この先ずっと猛暑の予想が続いている。経済産業省もこの夏の電力予備率は「東北・東京・中部電力の管内では3.1%にまで下がる」という予測を発表した。こうなると、さらに厳しい要請を盛り込んだ電力需給ひっ迫警報が発令される。それでも危ないと、業界ごとに使用量を規制する電力使用制限令。そこまで行くと、計画停電の一歩前だ。

脱炭素を目指して、電力各社は旧式の火力発電所を次々と廃棄した。加えて3月の東北地震で、新鋭の大型火力発電所が運転不能になった。さらに原発も思うように動かない。そこへウクライナ戦争で、原油や天然ガスの価格が急騰。いま日本のエネルギー事情は滅茶苦茶になっている。こんな状態で、もし1-2か所の火力発電所が故障したら、大規模停電は免れない。綱渡りの状況なのである。

                      (続きは明日)

        ≪27日の日経平均  = 上げ +379.30円≫

        ≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ


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ついに大規模停電の 恐怖 (下)
2022-06-29-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 料金は急騰、供給力は低下 = 大停電の危険があろうとなかろうと関係なく、電気料金の高騰が続いている。たとえば東京電力の場合、標準家庭の月額料金は8月に9120円となる見込み。昨年1月の料金と比べると2804円の値上げ、率にすると4割を超える。これは原油や天然ガスの価格高騰を反映した結果だ。だから仕方がないと言ってしまえばそれまでだが、消費者は高い料金を払いながら停電も心配しなければならない。

政府は6月7日、電力確保に向けた総合対策を決定した。その内容は、企業や家庭に節電を呼びかけること。電力会社に対して、休止中の旧式な火力発電所を稼働させること。また政府部内では、節電した家庭に対してポイントを付与する案も検討されているらしい。とにかく総合対策と言うには、あまりにもお粗末。開いた口が塞がらない内容だった。

実効性のある対策を打ち出せないのは、政府に明確なエネルギー計画がないためである。たとえば原発をとってみても「安全性を重視し、出来るだけ活用する」と言うだけ。それ以上は踏み込めない。だから原発の再稼働も、遅々として進まない。この際、政府は思い切って「原発の新設や建て替えはしない」方針を打ち出したらどうだろう。

そのうえで、現在の非常事態を乗り切るために、原発の再稼働を促進する。地震対策としては、国が二重三重の電源を確保する。テロ対策には、自衛隊を駐屯させる。こうすれば国民の理解や地元民の同意も得やすくなるのではないか。その結果、10基の原発を動かすことが出来れば、電力の供給力不足は完全に解消する。

        ≪28日の日経平均 = 上げ +178.20円≫

        ≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ


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お年寄りに厳しい 物価騰貴
2022-06-30-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 参院選の票にも影響が? = 総務省が発表した5月の消費者物価は、総合指数で前年比2.5%の上昇だった。これで9か月連続の上昇。また生鮮食品を除いた指数は2.1%の上昇だった。ともに4月から横ばいとなっている。生鮮食品を除いた食料品が2.7%、エネルギー関連が17.1%と大きく上昇した。この2つで、物価指数を2.32%分引き上げている。

岸田首相はさっそく遊説で「食料とエネルギーに対して重点的な対策を講じる」と力説した。だが、その内容はガソリンに対する補助金の支出と同じ。小麦などにも補助金を出すほか、節電に協力した企業や家庭にポイントを付与することを考えているようだ。やはり‟対症療法”的なやり方で、あまり迫力は感じられない。

物価指数でみると、上昇率は2%台だ。しかし多くの人は「物価はもっと上がっている」と感じているに違いない。それは正しく、理由もちゃんとある。それは購買頻度の高い品目ほど、大きく値上がりしているからだ。たとえばガソリンや一部の食品など、月に1回以上購入する品目だけをみると、価格は5%の上昇。ソファーやパソコンなど年に0.5回未満しか買わない品目だけだと、上昇率は1.7%にとどまっている。

特に高齢者の場合は、負担感が大きい。多くの高齢者は年金など収入が限られており、支出に占める食費や光熱費の割合が高い。そのうえ年金支給額が減らされ、介護保険料は上がった。10月からは医療費の窓口負担も、引き上げられる人が多い。こうした高齢者に、自民・公明の与党を支持する人が多いことは事実。だが物価騰貴の負担に耐えかねて、参院選では不支持に回る人も出てくるのではないか。

        ≪29日の日経平均 = 下げ -244.87円≫

        ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ


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