◇ 勝手な解釈で上げたニューヨーク株 = ダウ平均は先週946ドルの値上がり。終り値は3万2800ドル台を回復した。水曜日にはFRBが0.75%の利上げを発表したが、株価は400ドルを超えて上昇。パウエル議長が「引き締めが進むにつれて、利上げペースを緩めることが適切となる可能性が高い」と述べたことに飛びついた。木曜日には4-6月期のGDP成長率がマイナス0.9%と発表されたが、株価は続伸した。
日経平均は先週113円の値下がり。前週の大幅な上昇に対する反動もあって、ニューヨークの活況に乗り切れなかった。それでも7月は1409円、率にして5.3%の上昇となっている。今週はニューヨークの後を追う動きになるかもしれない。ただ円の対ドル相場が1週間で5円も上昇した。市場はこの動向を、うまく消化できずにいるようだ。
パウエル議長の発言はきわめて常識的な内容で、特に引き締めの手綱を緩めると断言したわけではない。だが市場は都合のいいように解釈し、大きく買い進んだ。この間、GAFAMの決算発表があり、増益はマイクロソフトだけだった。これに対しても、市場は「予想より悪くなかった」と、楽観的に受け止めている。こうした強気を、どこまで持続できるのだろうか。
今週は1日に、7月の新車販売。5日に、6月の家計調査、毎月勤労統計、景気動向指数。アメリカでは1日に、7月のISM製造業景況指数。3日に、7月のISM非製造業景況指数。4日に、6月の貿易統計。5日に、7月の雇用統計。また中国が1日に、7月の製造業と非製造業のPMI。7日に、7月の貿易統計を発表する。
≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
日経平均は先週113円の値下がり。前週の大幅な上昇に対する反動もあって、ニューヨークの活況に乗り切れなかった。それでも7月は1409円、率にして5.3%の上昇となっている。今週はニューヨークの後を追う動きになるかもしれない。ただ円の対ドル相場が1週間で5円も上昇した。市場はこの動向を、うまく消化できずにいるようだ。
パウエル議長の発言はきわめて常識的な内容で、特に引き締めの手綱を緩めると断言したわけではない。だが市場は都合のいいように解釈し、大きく買い進んだ。この間、GAFAMの決算発表があり、増益はマイクロソフトだけだった。これに対しても、市場は「予想より悪くなかった」と、楽観的に受け止めている。こうした強気を、どこまで持続できるのだろうか。
今週は1日に、7月の新車販売。5日に、6月の家計調査、毎月勤労統計、景気動向指数。アメリカでは1日に、7月のISM製造業景況指数。3日に、7月のISM非製造業景況指数。4日に、6月の貿易統計。5日に、7月の雇用統計。また中国が1日に、7月の製造業と非製造業のPMI。7日に、7月の貿易統計を発表する。
≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒

◇ 次のトンネルは企業業績の悪化 = FRBが0.75%の利上げを実施したにもかかわらず、ダウ平均は大幅に値を上げた。0.75%の利上げは織り込み済み、市場はパウエル議長が「将来の引き締めペース緩和」に言及したことを好感している。だが、これは市場の勝手な解釈だという見方も強い。それよりも8月は政策決定会合が休みで、次の利上げは9月。だから2か月ほどはFRBの動きを心配しなくていい。トンネルを1つ抜けたという感覚の方が強かったのではないだろうか。
しかし安心してはいられない。景気後退⇒企業業績の悪化という次のトンネルが差し迫っているからだ。4-6月期のGDP成長率がマイナス0.9%になったことで、一般的には「アメリカ経済は景気後退に陥った」と考えられている。しかし政府は雇用情勢が堅調なことから「景気後退ではない」と反論。だが、いずれにしても企業の業績は下向くに違いない。市場にとっては、そこが最大の関心事になってくる。
GAFAMと呼ばれる巨大IT5社の決算が発表された。増益だったのはマイクロソフトだけ。アマゾンは赤字で、あとのアルファベット・メタ・アップルは減益だった。これについても、市場は「予想よりは悪くない」と余裕をみせた受け取り方。というのも投資家はまだまだ豊富な資金を持っており、その運用先を潰したくないという気持ちが強いからだろう。
だがFRBによる量的な金融引き締めも、確実に進行している。このためカネ余り状態が縮小してくると、まず信用度の低い債券が売られる。また上場企業の業績も悪化する。その程度が市場の予想より悪いかどうか、これが次のトンネルでは問われることになるだろう。ニューヨーク市場の株価はもう1回、試練を受けなければならない。
≪1日の日経平均 = 上げ +191.71円≫
≪2日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
☆Please click here ⇒
しかし安心してはいられない。景気後退⇒企業業績の悪化という次のトンネルが差し迫っているからだ。4-6月期のGDP成長率がマイナス0.9%になったことで、一般的には「アメリカ経済は景気後退に陥った」と考えられている。しかし政府は雇用情勢が堅調なことから「景気後退ではない」と反論。だが、いずれにしても企業の業績は下向くに違いない。市場にとっては、そこが最大の関心事になってくる。
GAFAMと呼ばれる巨大IT5社の決算が発表された。増益だったのはマイクロソフトだけ。アマゾンは赤字で、あとのアルファベット・メタ・アップルは減益だった。これについても、市場は「予想よりは悪くない」と余裕をみせた受け取り方。というのも投資家はまだまだ豊富な資金を持っており、その運用先を潰したくないという気持ちが強いからだろう。
だがFRBによる量的な金融引き締めも、確実に進行している。このためカネ余り状態が縮小してくると、まず信用度の低い債券が売られる。また上場企業の業績も悪化する。その程度が市場の予想より悪いかどうか、これが次のトンネルでは問われることになるだろう。ニューヨーク市場の株価はもう1回、試練を受けなければならない。
≪1日の日経平均 = 上げ +191.71円≫
≪2日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
☆Please click here ⇒

◇ 時給は全国平均961円に = 厚生労働省の諮問機関である中央最低賃金審議会は1日、22年度の最低賃金の目安を「全国平均で時給961円」とすることを決めた。前年度比では31円の引き上げで過去最大、上昇率は3.3%となっている。都道府県の審議会がこの目安をもとに、それぞれの実額を決定。10月ごろから実施される見込み。
現在の全国平均は時給930円。これが961円に引き上げられる。このうち東京都・大阪府・京都府など17都府県は31円、また北海道・福岡県など30道県は30円の引き上げになる見通し。すでに東京都と神奈川県の時給は1000円に達しているが、こんどの改定で大阪府も最低時給が1000円を超す。
中央審議会では労働者側が大幅な引き上げを要求、使用者側は原材料などの値上がりで企業の経営は圧迫されていると述べて引き上げの抑制を主張。大揉めに揉めたが、最後は公益委員側が提案した31円の引き上げで決着した。やはり光熱費や食料品の値上げラッシュが続く現状に、押し切られたと言えるだろう。
この改定で、ある労働者の時給が30円上がったと仮定してみよう。1週間に40時間働いたとすれば、週給は1200円増加する。1年にすれば約6万円。労働者の生活はそれだけ楽になり、会社側の人件費負担はそれだけ重くなるはずだ。これが経済全体に、どんな影響を与えることになるか。考え方はいろいろあるが、結局はよく判らないというのが真実だろう。
(続きは明日)
≪2日の日経平均 = 下げ -398.62円≫
≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
現在の全国平均は時給930円。これが961円に引き上げられる。このうち東京都・大阪府・京都府など17都府県は31円、また北海道・福岡県など30道県は30円の引き上げになる見通し。すでに東京都と神奈川県の時給は1000円に達しているが、こんどの改定で大阪府も最低時給が1000円を超す。
中央審議会では労働者側が大幅な引き上げを要求、使用者側は原材料などの値上がりで企業の経営は圧迫されていると述べて引き上げの抑制を主張。大揉めに揉めたが、最後は公益委員側が提案した31円の引き上げで決着した。やはり光熱費や食料品の値上げラッシュが続く現状に、押し切られたと言えるだろう。
この改定で、ある労働者の時給が30円上がったと仮定してみよう。1週間に40時間働いたとすれば、週給は1200円増加する。1年にすれば約6万円。労働者の生活はそれだけ楽になり、会社側の人件費負担はそれだけ重くなるはずだ。これが経済全体に、どんな影響を与えることになるか。考え方はいろいろあるが、結局はよく判らないというのが真実だろう。
(続きは明日)
≪2日の日経平均 = 下げ -398.62円≫
≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒

◇ 経済に及ぼす影響は予測不能 = 政府は安倍内閣の時代から「全国平均の時給1000円」を目指してきた。その意味では、今回の改定は一歩前進。だが国際的にみると、日本の最低賃金はまだまだ低い。たとえばドイツやフランスは1400円を超えている。またアメリカは州によってさまざまだが、カリフォルニア州は2000円に近い。中国や東南アジア諸国の賃金も上昇しており、出稼ぎに来る国としての日本の魅力は低下したといわれる。
最低賃金が上がれば、働く人が増えるかもしれない。所得の増加が消費の拡大につながり、景気は上向く。企業は人件費の増大を消化するため、生産性の向上にいっそう努力するだろう。その結果、設備投資も増える。こんなに、いいことはない--これが政府の思惑だろう。安倍元首相がしばしば口にした‟好循環”の始まりでもある。
だが時給の増加に対処するため、企業は労働時間の短縮を図るかもしれない。人員を減らすかもしれない。また結局は倒産してしまうかもしれない。そうなると働く人の数は減少し、所得も減ってしまう。その結果、景気は下降する。‟好循環”とは全く逆の現象が起きうるわけだ。現に韓国では18-19年に最低賃金を30%も引き上げた結果、失業者が急増してしまった。
雇用が増大して消費が増え、景気が上向く。その結果がさらに雇用を増やし、消費を拡大する。これが最善のケース。一方、物価が3.3%以上も上がって、最低賃金の上昇分を食い尽くす。これが最悪のケース。実際のケースは、この2つの間のどこかに落ち着くはずだ。その着地点を決めるのは、まずインフレの度合。さらにGDP成長率を、平均3%に近づけられるかどうかだろう。
≪3日の日経平均 = 上げ +147.17円≫
≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
最低賃金が上がれば、働く人が増えるかもしれない。所得の増加が消費の拡大につながり、景気は上向く。企業は人件費の増大を消化するため、生産性の向上にいっそう努力するだろう。その結果、設備投資も増える。こんなに、いいことはない--これが政府の思惑だろう。安倍元首相がしばしば口にした‟好循環”の始まりでもある。
だが時給の増加に対処するため、企業は労働時間の短縮を図るかもしれない。人員を減らすかもしれない。また結局は倒産してしまうかもしれない。そうなると働く人の数は減少し、所得も減ってしまう。その結果、景気は下降する。‟好循環”とは全く逆の現象が起きうるわけだ。現に韓国では18-19年に最低賃金を30%も引き上げた結果、失業者が急増してしまった。
雇用が増大して消費が増え、景気が上向く。その結果がさらに雇用を増やし、消費を拡大する。これが最善のケース。一方、物価が3.3%以上も上がって、最低賃金の上昇分を食い尽くす。これが最悪のケース。実際のケースは、この2つの間のどこかに落ち着くはずだ。その着地点を決めるのは、まずインフレの度合。さらにGDP成長率を、平均3%に近づけられるかどうかだろう。
≪3日の日経平均 = 上げ +147.17円≫
≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒

◇ 日本人の平均寿命も縮小中 = 厚生労働省が先週、21年時点の日本人の平均寿命を発表した。それによると、男性の平均寿命は81.47歳、女性は87.57歳。女性は世界第1位、男性は第3位だったが、3年前に比べると男性は0.09歳、女性は0.14歳だけ短くなっている。がんや脳疾患などの死亡率は低下したが、コロナによる死亡者が1万6700人にのぼったため、平均寿命をやや押し下げた。
日本人の平均寿命が低下したのは、東日本大震災で多くの死亡者を出した11年以来のこと。ことしもコロナによる死亡者は、すでに3万人を超えている。したがって22年の平均寿命は、もっと大きく縮小するに違いない。世界的にみてもコロナは各国の平均寿命を短縮している。たとえばアメリカ人の平均寿命は1.8歳も縮んだという。
コロナは日本人の平均寿命を短縮中だ。では健康寿命は、どうなったのだろう。厚労省によると、19年の健康寿命は男性が72.68歳、女性が75.38歳だった。健康寿命というのは、「健康上の問題で日常生活に何も問題がない」人の上限年齢。つまり平均寿命との差は、介護が必要な非健康期間ということになる。
コロナで健康寿命がどうなったかは、非常に知りたいところだ。医療や介護の財政負担にもかかわってくる問題。それなのに厚労省は、健康寿命の調査を3年に1度しか実施しない。だからコロナが健康寿命に及ぼす影響は、24年末にならないと判らない。平均寿命と一緒に、なぜやらないのか。やっぱり、お役所仕事なんだろうか。
≪4日の日経平均 = 上げ +190.30円≫
≪5日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
☆Please click here ⇒
日本人の平均寿命が低下したのは、東日本大震災で多くの死亡者を出した11年以来のこと。ことしもコロナによる死亡者は、すでに3万人を超えている。したがって22年の平均寿命は、もっと大きく縮小するに違いない。世界的にみてもコロナは各国の平均寿命を短縮している。たとえばアメリカ人の平均寿命は1.8歳も縮んだという。
コロナは日本人の平均寿命を短縮中だ。では健康寿命は、どうなったのだろう。厚労省によると、19年の健康寿命は男性が72.68歳、女性が75.38歳だった。健康寿命というのは、「健康上の問題で日常生活に何も問題がない」人の上限年齢。つまり平均寿命との差は、介護が必要な非健康期間ということになる。
コロナで健康寿命がどうなったかは、非常に知りたいところだ。医療や介護の財政負担にもかかわってくる問題。それなのに厚労省は、健康寿命の調査を3年に1度しか実施しない。だからコロナが健康寿命に及ぼす影響は、24年末にならないと判らない。平均寿命と一緒に、なぜやらないのか。やっぱり、お役所仕事なんだろうか。
≪4日の日経平均 = 上げ +190.30円≫
≪5日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
☆Please click here ⇒

◇ インフルエンザ並みの扱いにするのか? = 世界の感染者は累計5億8060万人、この1週間で679万人増加した。この増加数は前週より24万3000人少ない。死亡者は640万9680人で、週間1万6245人の増加だった。この増加数は前週より3600人多い。感染者はやや縮小、死亡者はやや拡大した。いぜんとして高水準での横ばい状態が続く。日本の状況は引き続き最悪。感染者と濃厚接触者の急増が、多くの部門で人手不足を惹き起こしている。
国別の死亡者数をみると、アメリカが103万2097人。この1週間で3278人増加した。次いでブラジルが67万人台、インドが52万人台、ロシアが37万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが18万人台、イタリアが17万人台、インドネシアとフランスが15万人台、ドイツが14万人台となっている。国によって多少の変動はあるが、全体として大きな変化はみられなかった。
日本の感染者は累計1363万4510人、この1週間で148万0252人増加した。前週より14万2000人増えている。この増加数は過去最大。世界でも感染者数は11番目の多さとなった。死亡者は3万3180人、この1週間で872人増加した。この増加数は3月中旬以来の大きさ。1日で25万人に近い新規感染者が出ている。自宅・民泊療養者は179万人と、第6波の2倍を超えた。
感染者と濃厚接触者の急増で、医療機関・鉄道・郵便局・保育所など、多くの部門で人手が不足。経済活動にブレーキがかかってきた。政府は「高齢者や基礎疾患のある人に外出自粛を要請」する新制度を発令。専門家の一部は、医療機関の負担を軽減するため「コロナをインフルエンザ並みの扱い」にすることを政府に要望した。切羽詰まってきたとはいえ、それが正しい方向なのかどうかはもっと精査する必要があるだろう。
≪5日の日経平均 = 上げ +243.67円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
☆Please click here ⇒
国別の死亡者数をみると、アメリカが103万2097人。この1週間で3278人増加した。次いでブラジルが67万人台、インドが52万人台、ロシアが37万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが18万人台、イタリアが17万人台、インドネシアとフランスが15万人台、ドイツが14万人台となっている。国によって多少の変動はあるが、全体として大きな変化はみられなかった。
日本の感染者は累計1363万4510人、この1週間で148万0252人増加した。前週より14万2000人増えている。この増加数は過去最大。世界でも感染者数は11番目の多さとなった。死亡者は3万3180人、この1週間で872人増加した。この増加数は3月中旬以来の大きさ。1日で25万人に近い新規感染者が出ている。自宅・民泊療養者は179万人と、第6波の2倍を超えた。
感染者と濃厚接触者の急増で、医療機関・鉄道・郵便局・保育所など、多くの部門で人手が不足。経済活動にブレーキがかかってきた。政府は「高齢者や基礎疾患のある人に外出自粛を要請」する新制度を発令。専門家の一部は、医療機関の負担を軽減するため「コロナをインフルエンザ並みの扱い」にすることを政府に要望した。切羽詰まってきたとはいえ、それが正しい方向なのかどうかはもっと精査する必要があるだろう。
≪5日の日経平均 = 上げ +243.67円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
☆Please click here ⇒

◇ ペロシ・台湾問題は消化不良 = ダウ平均は先週42ドルの値下がり。前週の大幅高で利益確定売りも出たが、小幅な反落にとどまった。経済界では「FRBの引き締めが軟着陸に成功するかどうか」の論争が盛り上がっている。しかし株価にはあまり響いていない。市場は政策決定会議が8月は休みなので一息ついた格好だ。またペロシ下院議長の台湾訪問では緊張感が高まったが、結局は消化不良。成り行きを注視ということに落ち着いたようだ。
日経平均は先週374円の値上がり。終り値では2万8000円を回復した。アメリカの金利下落などを手掛かりに、決算が好調だった銘柄に買いが集中している。台湾情勢はやはり消化できず、株価にはほとんど影響していない。ただ中国との関係が悪化したため、今後は中国関連の銘柄に注意が必要になってきている。
アメリカでは週末に発表された7月の雇用統計で、非農業雇用者数が52万8000人も増加した。事前の予想の2倍以上であり、市場では9月の利上げも0.75%になるという観測が急速に拡大している。景気の底堅さが確認された一方、インフレの終息には時間がかかるという見方も強まった。今週の市場は、どんな評価を下すのか。
今週は8日に、7月の景気ウオッチャー調査。10日に、7月の企業物価。アメリカでは10日に、7月の消費者物価。11日に、7月の生産者物価。12日に、8月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が10日に、7月の消費者物価と生産者物価を発表する。
≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
日経平均は先週374円の値上がり。終り値では2万8000円を回復した。アメリカの金利下落などを手掛かりに、決算が好調だった銘柄に買いが集中している。台湾情勢はやはり消化できず、株価にはほとんど影響していない。ただ中国との関係が悪化したため、今後は中国関連の銘柄に注意が必要になってきている。
アメリカでは週末に発表された7月の雇用統計で、非農業雇用者数が52万8000人も増加した。事前の予想の2倍以上であり、市場では9月の利上げも0.75%になるという観測が急速に拡大している。景気の底堅さが確認された一方、インフレの終息には時間がかかるという見方も強まった。今週の市場は、どんな評価を下すのか。
今週は8日に、7月の景気ウオッチャー調査。10日に、7月の企業物価。アメリカでは10日に、7月の消費者物価。11日に、7月の生産者物価。12日に、8月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が10日に、7月の消費者物価と生産者物価を発表する。
≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒

◇ 白熱する経済論争の火に油 = アメリカの雇用情勢が、予想をはるかに上回るスピードで改善している。米労働省の発表によると、7月の非農業雇用者は前月に比べて52万8000人増加した。この増加数は事前予測の2倍を超える驚異的な大きさ。また失業率も3.5%と、実に53年ぶりの低さにまで下がっている。コロナによる各種の規制が解除されたためで、娯楽や接客サービス、保健部門など広範な分野で雇用が増大した。
注目されている平均時給も、7月は前月比で0.5%と大幅に上昇した。年率でみれば6%の賃上げになる。こうした発表を受けて、多くの人々は「個人消費の堅調は持続する。人件費の上昇で物価の騰貴は衰えない」と考え始めた。その結果、市場では「FRBの厳しい引き締めは続き、9月の利上げも0.75%になる」という見方が一気に拡散した。
それでも「秋になれば、物価も落ち着き始める。一方で雇用は堅調だから、景気後退にはならない」と考える人も少なくない。いわゆる‟軟着陸”派だ。これに対して「インフレは収まらず、強力な金融引き締めが続くから、やはり景気後退は避けられない」とみる人も多い。「前者ならば、中間選挙で民主党が有利。後者なら共和党」という注釈まで付いている。
関心を集めたのは、失業率の論争。FRBが「雇用は強いから、3.9%以上には高まらない」と宣言したのに対して、サマーズ元財務長官は「経験からみて6%台まで上がる」と反論した。これも一種の‟軟着陸”論争と言えるだろう。物価はいつ上げ止まるのか。金利はどこまで上がるのか。消費や設備投資は落ち込まないのか。論争のタネは尽きない。
≪8日の日経平均 = 上げ +73.37円≫
≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
☆Please click here ⇒
注目されている平均時給も、7月は前月比で0.5%と大幅に上昇した。年率でみれば6%の賃上げになる。こうした発表を受けて、多くの人々は「個人消費の堅調は持続する。人件費の上昇で物価の騰貴は衰えない」と考え始めた。その結果、市場では「FRBの厳しい引き締めは続き、9月の利上げも0.75%になる」という見方が一気に拡散した。
それでも「秋になれば、物価も落ち着き始める。一方で雇用は堅調だから、景気後退にはならない」と考える人も少なくない。いわゆる‟軟着陸”派だ。これに対して「インフレは収まらず、強力な金融引き締めが続くから、やはり景気後退は避けられない」とみる人も多い。「前者ならば、中間選挙で民主党が有利。後者なら共和党」という注釈まで付いている。
関心を集めたのは、失業率の論争。FRBが「雇用は強いから、3.9%以上には高まらない」と宣言したのに対して、サマーズ元財務長官は「経験からみて6%台まで上がる」と反論した。これも一種の‟軟着陸”論争と言えるだろう。物価はいつ上げ止まるのか。金利はどこまで上がるのか。消費や設備投資は落ち込まないのか。論争のタネは尽きない。
≪8日の日経平均 = 上げ +73.37円≫
≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
☆Please click here ⇒

◇ ロシアに電力供給のキモを握られていいのか = プーチン大統領が、サハリン2の運営会社サハリン・エナジーの全権利を、新らしく設立する会社に委譲するよう命令した。サハリン・エナジーには三井物産が12.5%、三菱商事が10%を出資している。ロシア政府はこの2社に対して、新会社にも同じ比率で出資するかどうかを問いただしてきているという。出資しなければ、2社はサハリン2の権利を失う。ただ出資しても、どんな権利を得られるのか明確ではない。
サハリン2は、サハリンの天然ガスをLNG(液化天然ガス)に加工して輸出するプロジェクト。その運営会社サハリン・エナジーを通じて、日本は年間600万トンのLNGを輸入している。日本が発電用に使うLNGの比率は約4割。そのうちの約9%がロシア産となっている。逆算すると、ロシア産のLNGは発電に必要なエネルギー全体の4%弱を占める計算だ。
いま日本の電力需給は、きわめて逼迫している。政府は原発9基を再稼働させ、さらに老朽化した火力発電所10基を動かすことによって、なんとか停電を回避しようと画策中。ここで4%分のロシア産LNGが輸入できなくなれば、一大事だ。ウクライナ戦争でLNGの国際価格は高騰しており、スポットで輸入すれば2倍以上の代金を支払わなければならない。
ロシアの新会社に出資するかどうかは、物産と商事の問題だ。しかし政府は両社に対して、出資するよう働きかけている。4%分のLNGを失いたくないからだろう。だが、これは大問題。出資したとしても、ロシアはいつでも輸出を止めることが出来る。これはドイツに対する天然ガスの輸出をみても明らかだ。冬に電力不足で停電するかどうか。その微妙な供給分をロシアに握られていいのか。政府は原発や太陽光など、もっと地道な方法に全力を挙げるべきではないのか。
≪10日の日経平均 = 下げ -180.63円≫
☆Please click here ⇒
サハリン2は、サハリンの天然ガスをLNG(液化天然ガス)に加工して輸出するプロジェクト。その運営会社サハリン・エナジーを通じて、日本は年間600万トンのLNGを輸入している。日本が発電用に使うLNGの比率は約4割。そのうちの約9%がロシア産となっている。逆算すると、ロシア産のLNGは発電に必要なエネルギー全体の4%弱を占める計算だ。
いま日本の電力需給は、きわめて逼迫している。政府は原発9基を再稼働させ、さらに老朽化した火力発電所10基を動かすことによって、なんとか停電を回避しようと画策中。ここで4%分のロシア産LNGが輸入できなくなれば、一大事だ。ウクライナ戦争でLNGの国際価格は高騰しており、スポットで輸入すれば2倍以上の代金を支払わなければならない。
ロシアの新会社に出資するかどうかは、物産と商事の問題だ。しかし政府は両社に対して、出資するよう働きかけている。4%分のLNGを失いたくないからだろう。だが、これは大問題。出資したとしても、ロシアはいつでも輸出を止めることが出来る。これはドイツに対する天然ガスの輸出をみても明らかだ。冬に電力不足で停電するかどうか。その微妙な供給分をロシアに握られていいのか。政府は原発や太陽光など、もっと地道な方法に全力を挙げるべきではないのか。
≪10日の日経平均 = 下げ -180.63円≫
☆Please click here ⇒

◇ 経常収支の黒字が激減した = 財務省が発表した1-6月期の国際収支統計によると、経常収支の黒字額は3兆5057億円。昨年同期に比べると63.1%も減少した。実額でみると6兆0021億円も減っている。原因は貿易収支が5兆6688億円の大幅な赤字になったため。その原因は原油や資源などの価格騰貴と円安の影響で、輸入代金が前年比40.8%も増加したためである。
経常収支は、日本と外国とのおカネのやり取りをまとめた統計。貿易収支と第1次所得収支、サービス収支の3部門で成り立っている。このうち貿易収支が大赤字となったが、外国との投資のやり取りを示す第1次所得収支は12兆8728億円の黒字。サービス収支は外国人観光客の減少で2兆4947億円の赤字だった。所得収支の黒字によって、経常収支はなんとか黒字を保った格好となっている。
居酒屋‟ニッポン”の経営状態はこうだ。客の入りはまずまずで、売り上げは順調に伸びている。ただ材料費が高騰、特に光熱費が大幅に増加した。このコスト高のため、大幅な減益に陥っている。ただ巨額の株式を保有、多額の配当収入がある。その結果、決算上は黒字を維持することが出来た。だが、こういう経営状態なので、従業員の賃上げには消極的にならざるをえない。
光熱費の値上がりは、今後も続きそうだ。しかし経営者は、効率の悪い旧式の調理設備を新しくしようとは考えない。また太陽光発電などを取り入れて、少しでも電気代を安くしようという気もない。つまり経営努力という点では、かなり問題があると言えるだろう。世界的なインフレが収まり、原材料や光熱費が値下がりすることだけを待っているようにも思われる。こうした居酒屋、先行きはどうなることやら。心配である。
≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
経常収支は、日本と外国とのおカネのやり取りをまとめた統計。貿易収支と第1次所得収支、サービス収支の3部門で成り立っている。このうち貿易収支が大赤字となったが、外国との投資のやり取りを示す第1次所得収支は12兆8728億円の黒字。サービス収支は外国人観光客の減少で2兆4947億円の赤字だった。所得収支の黒字によって、経常収支はなんとか黒字を保った格好となっている。
居酒屋‟ニッポン”の経営状態はこうだ。客の入りはまずまずで、売り上げは順調に伸びている。ただ材料費が高騰、特に光熱費が大幅に増加した。このコスト高のため、大幅な減益に陥っている。ただ巨額の株式を保有、多額の配当収入がある。その結果、決算上は黒字を維持することが出来た。だが、こういう経営状態なので、従業員の賃上げには消極的にならざるをえない。
光熱費の値上がりは、今後も続きそうだ。しかし経営者は、効率の悪い旧式の調理設備を新しくしようとは考えない。また太陽光発電などを取り入れて、少しでも電気代を安くしようという気もない。つまり経営努力という点では、かなり問題があると言えるだろう。世界的なインフレが収まり、原材料や光熱費が値下がりすることだけを待っているようにも思われる。こうした居酒屋、先行きはどうなることやら。心配である。
≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒

◇ 日本の感染者が1500万人を超えた = 世界の感染者は累計5億8747万人、この1週間で688万人増加した。この増加数は前週より8万7000人多い。死亡者は642万7326人で、週間1万7646人の増加だった。この増加数は前週より1401人多い。感染者、死亡者ともにやや増加しているが、全体としてはピークの状態での横ばいが続いている。
国別の死亡者数をみると、アメリカは累計103万5549人。この1週間で3452人増加した。続いてブラジルが68万人台、インドが52万人台、ロシアが37万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが18万人台、イタリアが17万人台、インドネシアとフランスが15万人台、ドイツが14万人台となっている。国によって多少の変動はあるが、総じて大きな変化はみられない。
日本の感染者は累計1514万2831人、この1週間で150万8321人増加した。ことし2月28日に500万人、7月14日に1000万人を超えたが、そこから1か月も経たないのに1500万人を超えてしまった。この感染者数は、スペイン・メキシコ・インドネシアよりも多い。今週10日には25万人を超える新規感染者が出ており、20道県で過去最大を記録した。
死亡者は累計3万4583人、この1週間で1403人増加した。この増加数は前週より531人多く、3月上旬以来の多さとなっている。ただ東京都だけをみると、感染者の増加数が6日連続で前週を下回った。このため「日本のコロナ感染もピークに達した」という見方も流れ始めている。しかし死亡者の増加ぶりから判断すると、ピーク到達説は尚早だろう。
≪12日の日経平均 = 上げ +727.65円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】
☆Please click here ⇒
国別の死亡者数をみると、アメリカは累計103万5549人。この1週間で3452人増加した。続いてブラジルが68万人台、インドが52万人台、ロシアが37万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが18万人台、イタリアが17万人台、インドネシアとフランスが15万人台、ドイツが14万人台となっている。国によって多少の変動はあるが、総じて大きな変化はみられない。
日本の感染者は累計1514万2831人、この1週間で150万8321人増加した。ことし2月28日に500万人、7月14日に1000万人を超えたが、そこから1か月も経たないのに1500万人を超えてしまった。この感染者数は、スペイン・メキシコ・インドネシアよりも多い。今週10日には25万人を超える新規感染者が出ており、20道県で過去最大を記録した。
死亡者は累計3万4583人、この1週間で1403人増加した。この増加数は前週より531人多く、3月上旬以来の多さとなっている。ただ東京都だけをみると、感染者の増加数が6日連続で前週を下回った。このため「日本のコロナ感染もピークに達した」という見方も流れ始めている。しかし死亡者の増加ぶりから判断すると、ピーク到達説は尚早だろう。
≪12日の日経平均 = 上げ +727.65円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】
☆Please click here ⇒

◇ 原油価格の下落がすべて = ダウ平均は先週958ドルの値上がり。終り値は3万3761ドルで、5月9日以来の高値を回復した。7月の消費者物価が前年比8.5%の上昇と発表された10日から、株価は一気に上昇している。この上昇率は6月より0.6ポイント低下しており、FRBの金融引き締めテンポが緩むのではないかという期待が盛り上がった。市場では、9月の利上げが0.5%にとどまるという予測が広がっている。
日経平均は先週371円の値上がり。終り値は2万8500円台を回復した。1月12日以来の高値である。ニューヨーク市場の活況にも引きずられたが、4-6月期の企業決算が予想よりも好調だったことが株価を支えた。原油価格の下落と行き過ぎた円安の修正も、好材料になっている。市場の関心は、岸田改造内閣が打ち出す経済対策に移ってきた。
アメリカの物価上昇が頭打ちになったのは、ほとんど原油の値下がりによるものだ。その原油価格は先々週から大きく下げ、WTI(テキサス産軽質油)の先物価格は一時87ドルにまで低落している。だが、そのとき株価は反応しなかった。原油価格の下落はアメリカの景気後退を懸念したもの。だったらFRBの引き締め緩和を連想してもいいはずだが、消費者物価の発表まで動かなかったのは、いかにも理屈を重んじる市場らしい行動だった。ただ原油価格が、さらに下落する可能性は小さい。
今週は15日に、4-6月期のGDP速報。16日に、6月の第3次産業活動指数。17日に、7月の貿易統計、訪日外国人客数、6月の機械受注。19日に、7月の消費者物価。アメリカでは15日に、8月のNAHB住宅市場指数。16日に、7月の工業生産、住宅着工戸数。17日に、7月の小売り売上高。18日に、中古住宅販売。また中国が15日に、7月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。
≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
日経平均は先週371円の値上がり。終り値は2万8500円台を回復した。1月12日以来の高値である。ニューヨーク市場の活況にも引きずられたが、4-6月期の企業決算が予想よりも好調だったことが株価を支えた。原油価格の下落と行き過ぎた円安の修正も、好材料になっている。市場の関心は、岸田改造内閣が打ち出す経済対策に移ってきた。
アメリカの物価上昇が頭打ちになったのは、ほとんど原油の値下がりによるものだ。その原油価格は先々週から大きく下げ、WTI(テキサス産軽質油)の先物価格は一時87ドルにまで低落している。だが、そのとき株価は反応しなかった。原油価格の下落はアメリカの景気後退を懸念したもの。だったらFRBの引き締め緩和を連想してもいいはずだが、消費者物価の発表まで動かなかったのは、いかにも理屈を重んじる市場らしい行動だった。ただ原油価格が、さらに下落する可能性は小さい。
今週は15日に、4-6月期のGDP速報。16日に、6月の第3次産業活動指数。17日に、7月の貿易統計、訪日外国人客数、6月の機械受注。19日に、7月の消費者物価。アメリカでは15日に、8月のNAHB住宅市場指数。16日に、7月の工業生産、住宅着工戸数。17日に、7月の小売り売上高。18日に、中古住宅販売。また中国が15日に、7月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。
≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒

◇ 4-6月期は2.2%のプラス成長だったが・・・ = 内閣府は15日、ことし4-6月期のGDP速報を発表した。それによると、実質成長率は年率換算で2.2%、名目成長率は1.1%となっている。コロナによる行動規制が解除され、個人消費が増加して成長率を押し上げた。個人消費は年率換算で4.7%伸びている。企業の設備投資も5.8%増加した。ただ住宅投資は7.3%減少している。
実質GDPの実額は542兆円。コロナ前の19年10-12月期は540兆円だったから、ようやくコロナ前の水準を取り戻したことになる。また4-6月期の成長率はアメリカがマイナス0.9%、中国がマイナス10.0%、ユーロ圏はプラス2.8%だったから、日本の成績はまずまずと言えるかもしれない。ただしアメリカとユーロ圏は昨年中にコロナ前の水準に戻っており、この点では日本がいちばん遅い。
またプラス2.2%成長になったと言われても、景気がよくなったという実感は乏しい。名目成長率が1.1%しか増加しなかったからである。雇用者報酬も名目ではプラス0.5%だったが、実質ではマイナス0.9%だった。ここで1つの疑問。雇用者報酬では物価が上昇したため、実質値がマイナスになった。しかしGDP統計では、実質値が名目値を上回っている。なぜだろう。
さらにGDP速報では輸出が3.7%の増加、輸入は2.7%の増加となっている。輸出の伸びの方が大きいから、その分が成長率を押し上げたと考えられる。だが財務省が集計した貿易統計をみると、4-6月期の前期比の伸び率は輸入の方が輸出よりずっと大きい。この食い違いは、なんなのか。もっともらしい説明はあるのだろうが、なんとなくフに落ちない。
≪15日の日経平均 = 上げ +324.80円≫
≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
☆Please click here ⇒
実質GDPの実額は542兆円。コロナ前の19年10-12月期は540兆円だったから、ようやくコロナ前の水準を取り戻したことになる。また4-6月期の成長率はアメリカがマイナス0.9%、中国がマイナス10.0%、ユーロ圏はプラス2.8%だったから、日本の成績はまずまずと言えるかもしれない。ただしアメリカとユーロ圏は昨年中にコロナ前の水準に戻っており、この点では日本がいちばん遅い。
またプラス2.2%成長になったと言われても、景気がよくなったという実感は乏しい。名目成長率が1.1%しか増加しなかったからである。雇用者報酬も名目ではプラス0.5%だったが、実質ではマイナス0.9%だった。ここで1つの疑問。雇用者報酬では物価が上昇したため、実質値がマイナスになった。しかしGDP統計では、実質値が名目値を上回っている。なぜだろう。
さらにGDP速報では輸出が3.7%の増加、輸入は2.7%の増加となっている。輸出の伸びの方が大きいから、その分が成長率を押し上げたと考えられる。だが財務省が集計した貿易統計をみると、4-6月期の前期比の伸び率は輸入の方が輸出よりずっと大きい。この食い違いは、なんなのか。もっともらしい説明はあるのだろうが、なんとなくフに落ちない。
≪15日の日経平均 = 上げ +324.80円≫
≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
☆Please click here ⇒

◇ ソフトバンクが大混乱要因に = 上場企業の4-6月期決算がほぼ出そろった。ところが集計したSMBC日興証券は「純利益が18%の増加」と発表。日経新聞は「26%の減益」と報じている。SMBCは旧東証1部の1237社、日経は東証プライムの1160社を対象にしているが、なんで正反対の結果が出たのか。答えはソフトバンクが異常に大きな損失を計上したためである。
SMBCによると、製造業の利益は前年比で横ばい。非製造業はコロナ規制の解除で、49.7%の増益だった。また22年度の通期としては、世界経済の停滞により横ばいになるとみている。一方、日経は自動車・電機・食品が減益。商社・石油・鉄鋼が増益。通期では4%の増益になると予想した。そして最大の違いは、SMBCがソフトバンクを集計から除外、日経は算入していることだ。
ソフトバンクは3兆1627億円の損失を計上した。保有する株価の値下がりが主な原因。とにかく四半期の赤字がこんなに巨大になったことは、初めての経験だ。これを全体の集計から除外した方がいいのか。それとも算入すべきなのか。物価高や経済の正常化が企業業績に与えた影響をみるには、ソフトバンクを除いた方がいいかもしれない。だがソフトバンクも上場企業の1員であることに違いはない。
この問題は、あとあとまで尾を引く。たとえば7-9月期の決算が増益になったとしよう。この場合「2期連続の増益」とは書きにくい。しかし「一転して増益」でもなさそうだ。さらに来年の4-6月期についても、全く同様の事態が発生する。その結果、「ソフトバンクを入れたら増益、入れないと減益」なんて判りにくい発表になりませんように。
≪16日の日経平均 = 下げ -2.87円≫
≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
SMBCによると、製造業の利益は前年比で横ばい。非製造業はコロナ規制の解除で、49.7%の増益だった。また22年度の通期としては、世界経済の停滞により横ばいになるとみている。一方、日経は自動車・電機・食品が減益。商社・石油・鉄鋼が増益。通期では4%の増益になると予想した。そして最大の違いは、SMBCがソフトバンクを集計から除外、日経は算入していることだ。
ソフトバンクは3兆1627億円の損失を計上した。保有する株価の値下がりが主な原因。とにかく四半期の赤字がこんなに巨大になったことは、初めての経験だ。これを全体の集計から除外した方がいいのか。それとも算入すべきなのか。物価高や経済の正常化が企業業績に与えた影響をみるには、ソフトバンクを除いた方がいいかもしれない。だがソフトバンクも上場企業の1員であることに違いはない。
この問題は、あとあとまで尾を引く。たとえば7-9月期の決算が増益になったとしよう。この場合「2期連続の増益」とは書きにくい。しかし「一転して増益」でもなさそうだ。さらに来年の4-6月期についても、全く同様の事態が発生する。その結果、「ソフトバンクを入れたら増益、入れないと減益」なんて判りにくい発表になりませんように。
≪16日の日経平均 = 下げ -2.87円≫
≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒

◇ もたつく景気の回復 = 中国の景気回復が予想以上にもたつき、特に若者の雇用環境が最悪となった。統計局が発表した7月の完全失業率は5.4%で、6月よりも0.1ポイント改善した。ところが若年層(16-24歳)だけをとってみると、失業率は19.9%と過去最悪になっている。5人に1人は失業しているわけで、大学を卒業しても職に就けない人が多い。政府も頭を痛めて手を打っているが、効果はなかなか表われない。
コロナによる上海市などの完全封鎖は終了したものの、景気は好転しない。統計局が発表した7月の主要な経済指標をみると、鉱工業生産は前年比3.8%の増加で、6月の3.9%増をやや下回った。小売り売上高も2.7%の増加で、6月の3.1%増から縮小。固定資産投資額も1-7月は5.7%の増加、1-6月間の6.1%増に達しなかった。政府のインフラ投資は伸びているが、民間の不動産投資が6.1%も減少した。
人民銀行15日、金融機関に貸し出す金利を0.1%引き下げ2.75%にした。インフラ投資に加えて、金融面からも景気を刺激しようとしている。特にコロナ不況に際して、政府は金融機関に返済の猶予を要求。このため中小金融機関の経営が苦しくなっている。その救済と住宅ローンの引き下げで、不動産投資の回復を図ることが狙いのようだ。じっさい、7月の住宅販売面積は前年比30%減、住宅ローン貸出額は63%減となっている。
中国は10月下旬に、第20回共産党大会を開く予定。習近平主席は、この大会で異例の3期続投を狙う。その習氏にとっての難関は、コロナと景気と物価。コロナは7月から再拡大し始めたし、消費者物価も7月は2.7%上昇と2年ぶりの高さとなった。そのうえ若年層の失業が増えて、国民の不満が高じては一大事。その意味では、正念場を迎えている。
≪17日の日経平均 = 上げ +353.86円≫
≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
☆Please click here ⇒
コロナによる上海市などの完全封鎖は終了したものの、景気は好転しない。統計局が発表した7月の主要な経済指標をみると、鉱工業生産は前年比3.8%の増加で、6月の3.9%増をやや下回った。小売り売上高も2.7%の増加で、6月の3.1%増から縮小。固定資産投資額も1-7月は5.7%の増加、1-6月間の6.1%増に達しなかった。政府のインフラ投資は伸びているが、民間の不動産投資が6.1%も減少した。
人民銀行15日、金融機関に貸し出す金利を0.1%引き下げ2.75%にした。インフラ投資に加えて、金融面からも景気を刺激しようとしている。特にコロナ不況に際して、政府は金融機関に返済の猶予を要求。このため中小金融機関の経営が苦しくなっている。その救済と住宅ローンの引き下げで、不動産投資の回復を図ることが狙いのようだ。じっさい、7月の住宅販売面積は前年比30%減、住宅ローン貸出額は63%減となっている。
中国は10月下旬に、第20回共産党大会を開く予定。習近平主席は、この大会で異例の3期続投を狙う。その習氏にとっての難関は、コロナと景気と物価。コロナは7月から再拡大し始めたし、消費者物価も7月は2.7%上昇と2年ぶりの高さとなった。そのうえ若年層の失業が増えて、国民の不満が高じては一大事。その意味では、正念場を迎えている。
≪17日の日経平均 = 上げ +353.86円≫
≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
☆Please click here ⇒

◇ これでは景気はよくならない = 財務省は17日、7月の貿易統計を発表した。それによると、輸出は8兆7528億円で前年比19.0%の増加。輸入は10兆1896億円で47.2%の増加だった。その結果、貿易収支は1兆4368億円の赤字となっている。原油・LNG(液化天然ガス)・石炭などエネルギーの価格急騰に円安の影響が加わって、輸入額が異常に膨張した。
貿易収支の赤字は、これで12か月連続。かつて東日本大震災で、すべての原発が停止したとき以来の記録である。このときと同様に今回も鉱物性燃料の輸入増加が、大赤字の原因。ただ7月の場合をみると、輸入数量はやや減ったが、価格が高騰して輸入額を膨張させた。たとえば原粗油の価格は1キロリットル=9万9667円で、昨年の約2倍となっている。
貿易収支の赤字は、昨年8月から続いている。その間の赤字額を合計してみると、11兆4224億円にのぼる。1か月平均で約1兆円だ。これだけのおカネが電気・ガス料金やガソリン代の値上がりという経路を通じて、海外に支払われている。その金額は消費税の5%分を上回るから、国民は15%の消費税を払っているようなものだ。
日本は輸入エネルギーに頼らざるをえない。だから国民は、かなりの負担を覚悟しなければならない。だが、それにしてもコロナ禍にあって‟消費税5%分”の負担は痛い。この負担を少しでも和らげるためには、原発と再生エネルギーを活用するしか方法はない。ところが政府は、この点での努力を全く怠ってきた。その結果が11兆円にのぼる貿易赤字となって表われている、と考えるべきだろう。
≪18日の日経平均 = 下げ -280.63円≫
≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
貿易収支の赤字は、これで12か月連続。かつて東日本大震災で、すべての原発が停止したとき以来の記録である。このときと同様に今回も鉱物性燃料の輸入増加が、大赤字の原因。ただ7月の場合をみると、輸入数量はやや減ったが、価格が高騰して輸入額を膨張させた。たとえば原粗油の価格は1キロリットル=9万9667円で、昨年の約2倍となっている。
貿易収支の赤字は、昨年8月から続いている。その間の赤字額を合計してみると、11兆4224億円にのぼる。1か月平均で約1兆円だ。これだけのおカネが電気・ガス料金やガソリン代の値上がりという経路を通じて、海外に支払われている。その金額は消費税の5%分を上回るから、国民は15%の消費税を払っているようなものだ。
日本は輸入エネルギーに頼らざるをえない。だから国民は、かなりの負担を覚悟しなければならない。だが、それにしてもコロナ禍にあって‟消費税5%分”の負担は痛い。この負担を少しでも和らげるためには、原発と再生エネルギーを活用するしか方法はない。ところが政府は、この点での努力を全く怠ってきた。その結果が11兆円にのぼる貿易赤字となって表われている、と考えるべきだろう。
≪18日の日経平均 = 下げ -280.63円≫
≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒

◇ 死亡者はウソをつかない = 世界の感染者は累計5億9328万人、この1週間で580万人増加した。この増加数は前週より107万人少ない。死亡者は644万5398人で、週間1万8072人増加した。この増加数は前週より426人多い。新規感染者はやや減ったが、死亡者はやや増えた。感染者数は今月中に6億人に達するだろう。世界的にみて、コロナが鎮静化する兆候はまだ見えない。
国別の死亡者数をみると、アメリカは累計103万9026人。この1週間で3477人増加した。続いてブラジルが68万人台、インドが52万人台、ロシアが37万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが18万人台、イタリアが17万人台、インドネシアとフランスが15万人台、ドイツが14万人台となっている。アメリカ・ブラジル・ロシアで、増加数がやや拡大した。
日本の感染者は累計1646万4925人、この1週間で132万2094人増加した。この増加数は前週より18万6000人少ない。しかし18日には、過去最大25万5534人の新規感染者を出している。死亡者は3万6289人で、週間1706人の増加だった。この増加数は前週より303人多く、第6波のピークを上回った。お盆休みの影響もあって、コロナの勢いは衰えていない。
感染者の急増で、医療体制が逼迫し始めた。このため政府は感染者の全数把握を放棄、病院や保健所の負担を軽減する方針。一部の医療機関だけに報告させる定点把握に切り替える見込みだが、それだけ精度が落ちることは避けられない。するとコロナの状況を判断するためには、死亡者の増減をみることが必須になってくる。死亡者は正確に算出されるからそれでもいいが、判断が遅れがちになる危険性は免れない。
≪19日の日経平均 = 下げ -11.81円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
☆Please click here ⇒
国別の死亡者数をみると、アメリカは累計103万9026人。この1週間で3477人増加した。続いてブラジルが68万人台、インドが52万人台、ロシアが37万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが18万人台、イタリアが17万人台、インドネシアとフランスが15万人台、ドイツが14万人台となっている。アメリカ・ブラジル・ロシアで、増加数がやや拡大した。
日本の感染者は累計1646万4925人、この1週間で132万2094人増加した。この増加数は前週より18万6000人少ない。しかし18日には、過去最大25万5534人の新規感染者を出している。死亡者は3万6289人で、週間1706人の増加だった。この増加数は前週より303人多く、第6波のピークを上回った。お盆休みの影響もあって、コロナの勢いは衰えていない。
感染者の急増で、医療体制が逼迫し始めた。このため政府は感染者の全数把握を放棄、病院や保健所の負担を軽減する方針。一部の医療機関だけに報告させる定点把握に切り替える見込みだが、それだけ精度が落ちることは避けられない。するとコロナの状況を判断するためには、死亡者の増減をみることが必須になってくる。死亡者は正確に算出されるからそれでもいいが、判断が遅れがちになる危険性は免れない。
≪19日の日経平均 = 下げ -11.81円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
☆Please click here ⇒

◇ 株式市場は楽観ムード = ダウ平均は先週54ドルの値下がり。終り値は3万3707ドルだったが、火曜日には3万4000ドルに到達した。5月上旬以来の高値である。さすがに利益確定売りが増えて株価はやや反落したが、市場は楽観ムードに包まれている。物価の上昇率がわずかに鈍化し、長期金利も2.8%台で落ち着いているためだ。パウエルFRB議長の「いずれ引き締めの程度は和らぐだろう」という発言も、楽観論を元気づけた。
日経平均は先週383円の値上がり。終り値は2万8930円だったが、17日には2万9000円台に到達した。1月上旬以来の高値である。東京市場でも、楽観論が優勢となっている。その1つの要因は、ドル・ベースでみるとまだ1月の高値に比べて13%も低いこと。それだけ割安感が強く、外国人投資家にとっては魅力が大きい。
ニューヨークでも東京でも楽観論が強いから、重大なマイナス材料が発生しないかぎり、株価は上昇基調を続けそうだ。ダウ平均は3万5000ドル、日経平均はことしの新高値を目指すことになる。ただ、そこまで上昇すると、利益確定の動きも活発になるだろう。株価がそこを突き抜けて新たな環境に進めるかどうかは、主として企業業績の見通しにかかってくると言えそうだ。
今週は25日に、7月の企業向けサービス価格。26日に、7月の東京都区部・消費者物価。アメリカでは23日に、7月の新築住宅販売。24日に、7月の中古住宅販売。25日に、4-6月期のGDP改定値が発表される。
≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
☆Please click here ⇒
日経平均は先週383円の値上がり。終り値は2万8930円だったが、17日には2万9000円台に到達した。1月上旬以来の高値である。東京市場でも、楽観論が優勢となっている。その1つの要因は、ドル・ベースでみるとまだ1月の高値に比べて13%も低いこと。それだけ割安感が強く、外国人投資家にとっては魅力が大きい。
ニューヨークでも東京でも楽観論が強いから、重大なマイナス材料が発生しないかぎり、株価は上昇基調を続けそうだ。ダウ平均は3万5000ドル、日経平均はことしの新高値を目指すことになる。ただ、そこまで上昇すると、利益確定の動きも活発になるだろう。株価がそこを突き抜けて新たな環境に進めるかどうかは、主として企業業績の見通しにかかってくると言えそうだ。
今週は25日に、7月の企業向けサービス価格。26日に、7月の東京都区部・消費者物価。アメリカでは23日に、7月の新築住宅販売。24日に、7月の中古住宅販売。25日に、4-6月期のGDP改定値が発表される。
≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
☆Please click here ⇒

◇ 債券・商品市場は景気後退を警戒 = 株式市場の空気が明るい。ニューヨーク市場では先週、ダウ平均が一時的に3万4000ドル台を回復。次の目標は3万5000ドルだという楽観論も広まった。東京市場でも日経平均が2万9000円前後まで戻し、あと400円ほどでことしの最高値を更新しそうな勢い。利益確定売りは出そうだが、市場の楽観論は消えそうにない。
ところが、債券市場や商品市場の空気は重苦しい。アメリカでは10年もの国債が買われて、長期金利はひところの3.5%から2.8%前後に下落した。WTI(テキサス産軽質油)の先物相場も、1バレル=114ドルから90ドル前後に低落。金や非鉄金属も値を下げている。いずれも景気の先行きを警戒した動きだ。このように株式市場と債券・商品市場の空気が全く違ってきたのは、なぜだろう。
いまアメリカやユーロ圏では金融引き締め政策が進行しており、景気後退は避けられないという見方が強まっている。加えて中国の景気回復も遅れがちだ。すると需要が伸びないから、商品の価格は下がる。また比較的に安定した国債を買う動きも出る。これらは自然の成り行きだとも言えるだろう。だが、どうして株式は売られないのだろう。
たとえばアメリカの場合。金融引き締めは始まったばかりだから、市中にはまだ豊富な資金が存在する。したがって投資家は、その資金をどこかで運用しなければならない。景気が後退するとしても、企業業績が悪化するまでには時間がかかる。FRBの引き締めが和らぐかもしれない。それまでは株式を買えるのでは。こうして現在の株式市場は‟別世界”となりつつある。もちろん、そんな時間はきわめて短く、株式市場もすぐに暗転するという見方も少なくない。現実がどうなるかは、間もなく判るだろう。
≪22日の日経平均 = 下げ -135.83円≫
≪23日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
☆Please click here ⇒
ところが、債券市場や商品市場の空気は重苦しい。アメリカでは10年もの国債が買われて、長期金利はひところの3.5%から2.8%前後に下落した。WTI(テキサス産軽質油)の先物相場も、1バレル=114ドルから90ドル前後に低落。金や非鉄金属も値を下げている。いずれも景気の先行きを警戒した動きだ。このように株式市場と債券・商品市場の空気が全く違ってきたのは、なぜだろう。
いまアメリカやユーロ圏では金融引き締め政策が進行しており、景気後退は避けられないという見方が強まっている。加えて中国の景気回復も遅れがちだ。すると需要が伸びないから、商品の価格は下がる。また比較的に安定した国債を買う動きも出る。これらは自然の成り行きだとも言えるだろう。だが、どうして株式は売られないのだろう。
たとえばアメリカの場合。金融引き締めは始まったばかりだから、市中にはまだ豊富な資金が存在する。したがって投資家は、その資金をどこかで運用しなければならない。景気が後退するとしても、企業業績が悪化するまでには時間がかかる。FRBの引き締めが和らぐかもしれない。それまでは株式を買えるのでは。こうして現在の株式市場は‟別世界”となりつつある。もちろん、そんな時間はきわめて短く、株式市場もすぐに暗転するという見方も少なくない。現実がどうなるかは、間もなく判るだろう。
≪22日の日経平均 = 下げ -135.83円≫
≪23日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
☆Please click here ⇒

◇ 重要法案が相次いで成立 = アメリカで2つの重要な経済法案が、次々と成立した。半導体法案とインフレ抑制法案(歳出・歳入法案)である。いずれもアメリカ経済の構造改革を促進する力を持っており、企業活動や国民生活に及ぼす影響は大きい。議会で与野党の勢力が拮抗するなか、中間選挙を前にバイデン大統領が得点を挙げたとみられている。
半導体法案は、半導体の生産や研究開発に527億ドル(約7兆1000億円)を支出する内容。中国との競争を意識したもので、特に半導体の国内生産を重視する。このため国内の生産工場に対して、5年間で390億ドルの補助金を支給することになった。これまでアメリカの半導体メーカーは中国を含む海外生産の拡張に努力してきたが、今後は国内回帰に転換することになりそうだ。
インフレ抑制法案は歳入・歳出法案とも呼ばれてきたが、最終的にインフレ抑制法案に統一された。予算規模は4300億ドル(約60兆円)。その内容は、気候変動対策と大企業に対する課税強化の2つに分かれる。このうち気候変動対策は、EV購入者への税額控除と再生エネルギー普及のための補助金が主柱。EV購入者は最大7500ドル(約100万円)の税額控除を受けられるが、対象となるエコカーは「北米で最終組み立てが行われた車」に限られる。
半導体とEVは、急速な発展が期待される最も重要な戦略産業。これらを国内に囲い込もうとするバイデン政権の政策が、きわめて明瞭になった。こうした政策はこれまで中国の独擅場だったが、アメリカも政府が先頭に立ってこれら産業の育成を支援する。ここでも米中の対決が始まるわけで、日本の半導体・自動車メーカーにとっても大きな影響は免れない。
(続きは明日)
≪23日の日経平均 = 下げ -341.75円≫
≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
半導体法案は、半導体の生産や研究開発に527億ドル(約7兆1000億円)を支出する内容。中国との競争を意識したもので、特に半導体の国内生産を重視する。このため国内の生産工場に対して、5年間で390億ドルの補助金を支給することになった。これまでアメリカの半導体メーカーは中国を含む海外生産の拡張に努力してきたが、今後は国内回帰に転換することになりそうだ。
インフレ抑制法案は歳入・歳出法案とも呼ばれてきたが、最終的にインフレ抑制法案に統一された。予算規模は4300億ドル(約60兆円)。その内容は、気候変動対策と大企業に対する課税強化の2つに分かれる。このうち気候変動対策は、EV購入者への税額控除と再生エネルギー普及のための補助金が主柱。EV購入者は最大7500ドル(約100万円)の税額控除を受けられるが、対象となるエコカーは「北米で最終組み立てが行われた車」に限られる。
半導体とEVは、急速な発展が期待される最も重要な戦略産業。これらを国内に囲い込もうとするバイデン政権の政策が、きわめて明瞭になった。こうした政策はこれまで中国の独擅場だったが、アメリカも政府が先頭に立ってこれら産業の育成を支援する。ここでも米中の対決が始まるわけで、日本の半導体・自動車メーカーにとっても大きな影響は免れない。
(続きは明日)
≪23日の日経平均 = 下げ -341.75円≫
≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒

◇ 格差の是正にも乗り出す = インフレ抑制法案のなかで、最も重視されているのは大企業に対する課税強化。アメリカの法人税は21%だが、大企業のなかには各種の控除制度を活用して節税しているところも多い。たとえばアマゾンやインテルは13%、ファイザーは7%の法人税しか払っていない。この大企業優遇を是正するため、どんな場合でも最低15%の法人税を支払わせることにした。
さらに企業の自社株買いに対しても、来年から1%を課税する。また個人の富裕層についても、徴税を強化するため税務署の体制を見直すことになった。その一方で個人に対しては、主として医療の面から負担を軽減する。薬価の引き下げと医療保険への補助金が、その中心。こうして国民の間で不満が高まっている貧富の格差を是正することに、一歩を踏み出したと言える。
こうした結果、財政面でも歳入が歳出を上回り、10年間で3000億ドルの赤字が削減される。これがインフレ抑制につながるというわけだ。ただ、これでアメリカの格差是正が大きく進むとは考えられない。その一歩を踏み出したという方向性が、重要なのだろう。現地のメディアは「資本主義の修正だ」と解説した。いわば‟新しい資本主義”である。
大企業寄りの共和党議員が議会で半数を占めるなか、バイデン大統領は健闘したという評価が高い。最近の世論調査では、支持率が40%にまで回復した。アメリカ経済の構造改革にもつながると考えられたからだろう。一転して日本の状態をみると、岸田首相の‟新しい資本主義”は言いっ放しの感じ。少しも具体化されていない。だから岸田内閣の支持率も下がっている。
≪24日の日経平均 = 下げ -139.28円≫
≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
さらに企業の自社株買いに対しても、来年から1%を課税する。また個人の富裕層についても、徴税を強化するため税務署の体制を見直すことになった。その一方で個人に対しては、主として医療の面から負担を軽減する。薬価の引き下げと医療保険への補助金が、その中心。こうして国民の間で不満が高まっている貧富の格差を是正することに、一歩を踏み出したと言える。
こうした結果、財政面でも歳入が歳出を上回り、10年間で3000億ドルの赤字が削減される。これがインフレ抑制につながるというわけだ。ただ、これでアメリカの格差是正が大きく進むとは考えられない。その一歩を踏み出したという方向性が、重要なのだろう。現地のメディアは「資本主義の修正だ」と解説した。いわば‟新しい資本主義”である。
大企業寄りの共和党議員が議会で半数を占めるなか、バイデン大統領は健闘したという評価が高い。最近の世論調査では、支持率が40%にまで回復した。アメリカ経済の構造改革にもつながると考えられたからだろう。一転して日本の状態をみると、岸田首相の‟新しい資本主義”は言いっ放しの感じ。少しも具体化されていない。だから岸田内閣の支持率も下がっている。
≪24日の日経平均 = 下げ -139.28円≫
≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒

◇ 自給率が低いと輸送費が高くなる = 「全国で食料費がいちばん高いのは東京」と、ずっと思い込んできた。ところが日経新聞の調査によると、この思い込みは間違い。21年の消費者物価から計算すると、全国でいちばん食料費が高いのは福井県。次いで沖縄県、石川県の順。東京都はこの3県に続く4番目だった。ちなみに食料費がいちばん安いのは長野県、次いで宮崎県、奈良県。福井県と長野県では、8-9%ほどの差があった。
東京都に続いて食料費が高い県は、山口・山形・島根・徳島の順。大阪府は29番目で、全国平均を下回っている。、京都府は13番目だった。こうみてくると、食料費が高そうに思える大都市がそれほどでもなく、安そうにみえる地方の県がけっこう高い。このような一般常識を覆すような結果が出たのは、なぜだろう。
日経新聞は2つの理由を挙げている。1つは生産額ベースの食料自給率。20年度の統計でみると、福井県は54%、沖縄県も64%と低かった。自給率が低ければ、県外あるいは海外からの輸入が増える。その輸送費や円安の影響が加算されることになる。もう1つは、大型スーパーの数が少なく競争原理が働きにくいこと。たしかに言われてみれば、納得がゆく。
ただし家計の支出は、食料品に限らない。光熱費や交通費、さらには医療費や教育費まで含めた‟生活のしやすさ”は、どんな順番になるのだろうか。住宅費まで入れたら、東京都が一番高くなることは間違いない。やっぱり、東京がいちばん住みにくい?
≪25日の日経平均 = 上げ +165.54円≫
≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒
東京都に続いて食料費が高い県は、山口・山形・島根・徳島の順。大阪府は29番目で、全国平均を下回っている。、京都府は13番目だった。こうみてくると、食料費が高そうに思える大都市がそれほどでもなく、安そうにみえる地方の県がけっこう高い。このような一般常識を覆すような結果が出たのは、なぜだろう。
日経新聞は2つの理由を挙げている。1つは生産額ベースの食料自給率。20年度の統計でみると、福井県は54%、沖縄県も64%と低かった。自給率が低ければ、県外あるいは海外からの輸入が増える。その輸送費や円安の影響が加算されることになる。もう1つは、大型スーパーの数が少なく競争原理が働きにくいこと。たしかに言われてみれば、納得がゆく。
ただし家計の支出は、食料品に限らない。光熱費や交通費、さらには医療費や教育費まで含めた‟生活のしやすさ”は、どんな順番になるのだろうか。住宅費まで入れたら、東京都が一番高くなることは間違いない。やっぱり、東京がいちばん住みにくい?
≪25日の日経平均 = 上げ +165.54円≫
≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
☆Please click here ⇒

◇ 日本の死亡者が異常に増加 = 世界の感染者は累計5億9853万人、この1週間で525万人増加した。この増加数は前週より55万1000人少ない。死亡者は646万1601人で、週間1万6203人増加した。この増加数は前週より1869人少ない。感染者、死亡者ともにやや減少したが、いぜん高水準で推移している。コロナが収束する兆しは、まだ見えない。
国別の死亡者数をみると、アメリカは累計104万2398人。この1週間で3372人増加した。次いでブラジルが68万人台、インドが52万人台、ロシアが37万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが18万人台、イタリアが17万人台、インドネシアとフランスが15万人台、ドイツが14万人台となっている。各国ともに、大きな変化はみられない。
日本の感染者は累計1802万4376人、この1週間で155万9471人増加した。この増加数は過去最大。累計も世界で10番目となっている。死亡者は3万8248人で、この1週間に1959人増加した。この増加数も過去最大。週間の増加数としてはアメリカに次ぐ大きさ。人口当たりでみると、世界でいちばん多くなっている。
「感染者が増えたために、死亡者も増えた」と解説されている。だが感染者の割に、重症者は増えていない。それなのに、死亡者は急増している。これは「肺炎による重症者が少ない半面、基礎疾患による死亡者が多いからだ」と説明されている。なるほどとは思うが、アメリカやヨーロッパ諸国ではそうした傾向がみられない。この疑問について、専門家はまだ答えを出していない。
≪26日の日経平均 = 上げ +162.37円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
☆Please click here ⇒
国別の死亡者数をみると、アメリカは累計104万2398人。この1週間で3372人増加した。次いでブラジルが68万人台、インドが52万人台、ロシアが37万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが18万人台、イタリアが17万人台、インドネシアとフランスが15万人台、ドイツが14万人台となっている。各国ともに、大きな変化はみられない。
日本の感染者は累計1802万4376人、この1週間で155万9471人増加した。この増加数は過去最大。累計も世界で10番目となっている。死亡者は3万8248人で、この1週間に1959人増加した。この増加数も過去最大。週間の増加数としてはアメリカに次ぐ大きさ。人口当たりでみると、世界でいちばん多くなっている。
「感染者が増えたために、死亡者も増えた」と解説されている。だが感染者の割に、重症者は増えていない。それなのに、死亡者は急増している。これは「肺炎による重症者が少ない半面、基礎疾患による死亡者が多いからだ」と説明されている。なるほどとは思うが、アメリカやヨーロッパ諸国ではそうした傾向がみられない。この疑問について、専門家はまだ答えを出していない。
≪26日の日経平均 = 上げ +162.37円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
☆Please click here ⇒

◇ パウエル発言で1000ドルの急落 = ダウ平均は先週1423ドルの値下がり。終り値は3万2283ドルで、ちょうど1か月前の水準に逆戻りした。特に金曜日にはパウエルFRB議長の強硬な発言を受けて、1000ドルを超える下落となっている。パウエル議長はジャクソン・ホールでの講演で「インフレ抑制はやり遂げるまでやり続けなければならない」と、金融引き締めの継続へ強い決意を表明した。
市場はこの1か月間、FRBが‟軟着陸”に成功するという見方を強めてきた。その結果、来年には「利下げもありうる」という観測さえ流れたほどである。だがパウエル発言は、この楽観論を完全に打ち砕いた。このため株価は、1か月前の水準にまで逆戻りしたわけである。しかしパウエル議長は「ある時点で利上げペースを緩めることが適切となる可能性もある」とも言っている。市場はこの表現に飛びつき、今週は反発に転じるのではないか。
日経平均は先週289円の値下がり。時差の関係で、パウエル発言は取引終了後のニュースとなった。このところ2万8000円台でのボックス相場が続いていたが、今週は下落のスタートとなりそうだ。その後はニューヨークしだいの動きとなるだろう。ただアメリカの長期金利が再び3%台まで上昇してきたので、円安が進むかもしれない。やっぱり2万9000円のカベは厚そうだ。
今週は30日に、7月の労働力調査。31日に、7月の鉱工業生産、8月の消費動向調査、6月の住宅着工戸数。1日に、4-6月期の法人企業統計、8月の新車販売。アメリカでは30日に、6月のFHFA住宅価格、8月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。1日に、8月のISM製造業景況指数。2日に、8月の雇用統計。また中国が31日に、8月の製造業と非製造業のPMIを発表する。
≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
市場はこの1か月間、FRBが‟軟着陸”に成功するという見方を強めてきた。その結果、来年には「利下げもありうる」という観測さえ流れたほどである。だがパウエル発言は、この楽観論を完全に打ち砕いた。このため株価は、1か月前の水準にまで逆戻りしたわけである。しかしパウエル議長は「ある時点で利上げペースを緩めることが適切となる可能性もある」とも言っている。市場はこの表現に飛びつき、今週は反発に転じるのではないか。
日経平均は先週289円の値下がり。時差の関係で、パウエル発言は取引終了後のニュースとなった。このところ2万8000円台でのボックス相場が続いていたが、今週は下落のスタートとなりそうだ。その後はニューヨークしだいの動きとなるだろう。ただアメリカの長期金利が再び3%台まで上昇してきたので、円安が進むかもしれない。やっぱり2万9000円のカベは厚そうだ。
今週は30日に、7月の労働力調査。31日に、7月の鉱工業生産、8月の消費動向調査、6月の住宅着工戸数。1日に、4-6月期の法人企業統計、8月の新車販売。アメリカでは30日に、6月のFHFA住宅価格、8月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。1日に、8月のISM製造業景況指数。2日に、8月の雇用統計。また中国が31日に、8月の製造業と非製造業のPMIを発表する。
≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
◇ こんどの冬には間に合わない = 岸田首相は先週の記者会見で、原子力発電所に対する新しい方針を発表した。その骨子は①いま再稼働が可能な10基の原発に加えて、7基の再稼働を目指す②新増設や建て替え、さらに次世代型原子炉の開発について、年末までに結論を出す③最長60年の規制に関して、安全審査中の期間を除外する形で実質的に延長できるかどうか検討する--というもの。
これまで政府は「原発は出来る限り活用する」「新増設や建て替えは考えない」の方針を貫いてきた。したがって岸田首相のこの発言は、原発に関して政府が方針を大転換したことを意味する。しかし一般の受け取り方は、どちらかというと冷ややかだ。「なんで、いまごろになって」という感触が強い。
ウクライナ戦争の影響で、原油・天然ガス・石炭の国際価格が暴騰した。エネルギーの多くを輸入に頼る日本は「原発に対する依存度を高めるしかない」という主張は早くから聞こえていた。ところが政府は、これまでずっと口を閉ざしてきた。だから「いまごろになって」という感触が拭えない。そのうえ岸田首相の会見では、こんどの冬に予想される電力不足については全く触れられなかった。
経済産業省は「新たに目指す7基の再稼働は、来年夏以降のことだ」と説明している。だから岸田首相の新方針は方向性は正しいとしても、喫緊の問題である冬の対策には間に合わない。早めに原発対策を講じたイギリスやフランスに比べると、日本の対応は少なくとも1年以上は遅れることになる。そして岸田首相の会見には、まだ抜け落ちた点がいろいろ・・・。
(続きは明日)
≪29日の日経平均 = 下げ -762.42円≫
≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ》

にほんブログ村
これまで政府は「原発は出来る限り活用する」「新増設や建て替えは考えない」の方針を貫いてきた。したがって岸田首相のこの発言は、原発に関して政府が方針を大転換したことを意味する。しかし一般の受け取り方は、どちらかというと冷ややかだ。「なんで、いまごろになって」という感触が強い。
ウクライナ戦争の影響で、原油・天然ガス・石炭の国際価格が暴騰した。エネルギーの多くを輸入に頼る日本は「原発に対する依存度を高めるしかない」という主張は早くから聞こえていた。ところが政府は、これまでずっと口を閉ざしてきた。だから「いまごろになって」という感触が拭えない。そのうえ岸田首相の会見では、こんどの冬に予想される電力不足については全く触れられなかった。
経済産業省は「新たに目指す7基の再稼働は、来年夏以降のことだ」と説明している。だから岸田首相の新方針は方向性は正しいとしても、喫緊の問題である冬の対策には間に合わない。早めに原発対策を講じたイギリスやフランスに比べると、日本の対応は少なくとも1年以上は遅れることになる。そして岸田首相の会見には、まだ抜け落ちた点がいろいろ・・・。
(続きは明日)
≪29日の日経平均 = 下げ -762.42円≫
≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ》

にほんブログ村
◇ 首相は脱炭素の問題にも触れなかった = いま日本には33基の原発が存在する。そのうち原子力規制委員会の安全審査を通過したのが17基。うち10基が地元の同意を取り付け、7基が再稼働している。地元の同意が得られず稼働できない7基を、来年夏以降をメドに稼働させたいと考えているのが経産省。だが、これまで地元の同意取り付けは電力会社と地方自治体頼み。岸田首相は会見で「政府も真剣に取り組む」と言うべきだったろう。
また原発の新増設や建て替えに関して、避けて通れないのは放射性廃棄物、いわゆる核のゴミをどう処理するかの問題だ。これについても、首相は言及しなかった。政府がこの問題に真剣に取り組まないと、原発に対する反対論はなかなか収まらない。さらにいちばん重大なのは、首相が脱炭素との関連性に触れなかった点だろう。
新増設や建て替え、また次世代型原子炉を推進した場合、石炭火力はどうするのか。いまの段階で具体的な数値を挙げるのはムリだとしても「石炭火力は出来るだけ縮小する」程度の発言はあってしかるべきだった。要するに首相の頭のなかには、日本のエネルギー計画が存在しないとみられても仕方がない。
とにかく首相が原発に対する方針の大転換を表明したことは確か。これを受けて経産省の審議会が、これから具体策を検討することになる。だが地元同意の取り付けから脱炭素の問題まで、審議会で結論が出せるのかどうか。年末までに結論が出せないと、日本のエネルギー対応はまたまた遅れてしまう。
≪30日の日経平均 = 上げ +316.62円≫
≪31日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

にほんブログ村
☆ お知らせ = 人気投票の集計会社 BLOG RANKING の不具合が直らないため、別の集計会社に乗り換えました。
今後も
にほんブログ村 をクリックしてください。よろしくお願いします。 池内正人 2020.08.31
また原発の新増設や建て替えに関して、避けて通れないのは放射性廃棄物、いわゆる核のゴミをどう処理するかの問題だ。これについても、首相は言及しなかった。政府がこの問題に真剣に取り組まないと、原発に対する反対論はなかなか収まらない。さらにいちばん重大なのは、首相が脱炭素との関連性に触れなかった点だろう。
新増設や建て替え、また次世代型原子炉を推進した場合、石炭火力はどうするのか。いまの段階で具体的な数値を挙げるのはムリだとしても「石炭火力は出来るだけ縮小する」程度の発言はあってしかるべきだった。要するに首相の頭のなかには、日本のエネルギー計画が存在しないとみられても仕方がない。
とにかく首相が原発に対する方針の大転換を表明したことは確か。これを受けて経産省の審議会が、これから具体策を検討することになる。だが地元同意の取り付けから脱炭素の問題まで、審議会で結論が出せるのかどうか。年末までに結論が出せないと、日本のエネルギー対応はまたまた遅れてしまう。
≪30日の日経平均 = 上げ +316.62円≫
≪31日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

にほんブログ村
☆ お知らせ = 人気投票の集計会社 BLOG RANKING の不具合が直らないため、別の集計会社に乗り換えました。
今後も

にほんブログ村 をクリックしてください。よろしくお願いします。 池内正人 2020.08.31
| ホーム |