◇ 許されない誤報 = 大新聞は東京での日米首脳会談に備えて、大々的な取材チームを編成した。官邸や外務省詰めを中心に、関係省庁や与党の担当記者、それにオバマ大統領に随行してきたホワイトハウス詰めの記者。総勢は各社ともに100人をはるかに上回ったものと思われる。
これらの記者たちが昼夜を問わず、取材源に接触する。そのなかで、読売新聞は何かしら特別な情報を入手したのだろう。特別な情報は、おそらく1人だけの取材源から得たものではない。複数の取材源から同様の情報が引き出せたのでなければ、あれだけ断定的な「実質合意」の記事は印刷できない。
これほど慎重に精査し判断するのは、万が一にも誤報であった場合には、恥を天下にさらすことになるからである。その新聞の信頼性が低下することは、言うまでもない。その場合は、社内で責任問題が発生する可能性さえある。逆に報道の内容が正しければ、新聞の評価は上がるだろう。
首脳会談で実質合意したのに、これを公表しなかったのは鹿児島の衆院補選を控えて、日本側が要請したからだとも書いている。ふつうは解説記事のなかで、そういう事情もあったらしいと推測する。ところが、この点もきわめて断定的に書き込んだ。読売は「実質合意」に、相当な確信を持っているようだ。
(続きは明日)
≪30日の日経平均 = 上げ +15.88円≫
≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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これらの記者たちが昼夜を問わず、取材源に接触する。そのなかで、読売新聞は何かしら特別な情報を入手したのだろう。特別な情報は、おそらく1人だけの取材源から得たものではない。複数の取材源から同様の情報が引き出せたのでなければ、あれだけ断定的な「実質合意」の記事は印刷できない。
これほど慎重に精査し判断するのは、万が一にも誤報であった場合には、恥を天下にさらすことになるからである。その新聞の信頼性が低下することは、言うまでもない。その場合は、社内で責任問題が発生する可能性さえある。逆に報道の内容が正しければ、新聞の評価は上がるだろう。
首脳会談で実質合意したのに、これを公表しなかったのは鹿児島の衆院補選を控えて、日本側が要請したからだとも書いている。ふつうは解説記事のなかで、そういう事情もあったらしいと推測する。ところが、この点もきわめて断定的に書き込んだ。読売は「実質合意」に、相当な確信を持っているようだ。
(続きは明日)
≪30日の日経平均 = 上げ +15.88円≫
≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ プレゼントの先出し = 首脳会談に入る前から、オバマ大統領は安倍首相に対して「尖閣諸島は日米安保条約の適用対象である」「日本が集団的自衛権の行使について検討していることを歓迎する」と伝えた。この2点は共同声明にも、きちんと盛り込まれている。安倍首相にとっては、何ものにも勝る大きなプレゼントだったろう。
これはアメリカ側の巧妙な作戦だ。安倍首相としては先に大きなプレゼントを貰ってしまったから、当然お返しをしなくてはならなくなった。お返しはTPP交渉での日本側の譲歩しかありえない。その結果として、日本側が農畜産物の輸入関税について、想定以上の譲歩をした可能性はありうると考えられる。
想定以上の譲歩となったために、その内容をいま公表したら国内では蜂の巣をつついたような騒ぎが起こりかねない。それが鹿児島補選もあることだし、公表は待ってほしいという日本側の要請にもつながってくる。こうした状況証拠からみても、読売新聞の「実質合意」報道はいちがいに切り捨てられない。
もし実質合意説が正しければ、政府は早急に農業関係者などの説得を始めるだろう。そのときになって、はじめて関税引き下げ率など具体的な“合意内容”が少しずつ洩れ始める。読売新聞の記事の評価は、それまでお預けになる可能性が高い。それにしても、いろいろなことを考えさせてくれた「実質合意」の紙面だった。
≪1日の日経平均 = 上げ +181.02円≫
≪2日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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これはアメリカ側の巧妙な作戦だ。安倍首相としては先に大きなプレゼントを貰ってしまったから、当然お返しをしなくてはならなくなった。お返しはTPP交渉での日本側の譲歩しかありえない。その結果として、日本側が農畜産物の輸入関税について、想定以上の譲歩をした可能性はありうると考えられる。
想定以上の譲歩となったために、その内容をいま公表したら国内では蜂の巣をつついたような騒ぎが起こりかねない。それが鹿児島補選もあることだし、公表は待ってほしいという日本側の要請にもつながってくる。こうした状況証拠からみても、読売新聞の「実質合意」報道はいちがいに切り捨てられない。
もし実質合意説が正しければ、政府は早急に農業関係者などの説得を始めるだろう。そのときになって、はじめて関税引き下げ率など具体的な“合意内容”が少しずつ洩れ始める。読売新聞の記事の評価は、それまでお預けになる可能性が高い。それにしても、いろいろなことを考えさせてくれた「実質合意」の紙面だった。
≪1日の日経平均 = 上げ +181.02円≫
≪2日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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第16章 失業率って、なんだろう? ⑭
◇ 失業率は4.0%に低下 = 総務省が発表した13年の労働力調査をみて、最近の雇用情勢や失業の状況を考えてみましょう。まず15歳以上の人口は1億1088万人、12年より10万人減っています。これは少子化の影響ですね。何らかの形で働いている就業者は6311万人、前年より41万人増えています。男性は6万人減少しましたが、女性は47万人増加しました。女性の社会進出ぶりが判ります。
就業者のうち、会社などに雇われている人を雇用者と言います。雇用者は5201万人で、前年より47万人増えました。このうち正規の職員・従業員は46万人減りましたが、非正規の雇用者は93万人増えています。非正規の雇用者というのは、パートタイム、アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託など、長期にわたる雇用が保証されていない人を指します。
完全失業者は265万人で、前年より20万人減りました。男性が11万人、女性も9万人減少しています。この結果、完全失業率も前年より0.3ポイント下がって4.0%になりました。この水準は5年前の08年と同じです。男性の失業率が4.3%だったのに対して、女性は3.7%にまで下がりました。
こうした雇用関係の数字は、景気の回復を反映したものです。就業者や雇用者が増加、失業者は減少しました。ただ企業はまだ積極的な人員増加には慎重で、正規雇用者は減り非正規雇用者が増えています。14年も景気の回復が続けば、正規雇用者も増加するのではないでしょうか。なお紹介した数字は、すべて13年の平均値です。
(続きは来週日曜日)
≪2日の日経平均 = 下げ -27.62円≫
【先週の日経平均予想 = 4勝0敗】
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◇ 失業率は4.0%に低下 = 総務省が発表した13年の労働力調査をみて、最近の雇用情勢や失業の状況を考えてみましょう。まず15歳以上の人口は1億1088万人、12年より10万人減っています。これは少子化の影響ですね。何らかの形で働いている就業者は6311万人、前年より41万人増えています。男性は6万人減少しましたが、女性は47万人増加しました。女性の社会進出ぶりが判ります。
就業者のうち、会社などに雇われている人を雇用者と言います。雇用者は5201万人で、前年より47万人増えました。このうち正規の職員・従業員は46万人減りましたが、非正規の雇用者は93万人増えています。非正規の雇用者というのは、パートタイム、アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託など、長期にわたる雇用が保証されていない人を指します。
完全失業者は265万人で、前年より20万人減りました。男性が11万人、女性も9万人減少しています。この結果、完全失業率も前年より0.3ポイント下がって4.0%になりました。この水準は5年前の08年と同じです。男性の失業率が4.3%だったのに対して、女性は3.7%にまで下がりました。
こうした雇用関係の数字は、景気の回復を反映したものです。就業者や雇用者が増加、失業者は減少しました。ただ企業はまだ積極的な人員増加には慎重で、正規雇用者は減り非正規雇用者が増えています。14年も景気の回復が続けば、正規雇用者も増加するのではないでしょうか。なお紹介した数字は、すべて13年の平均値です。
(続きは来週日曜日)
≪2日の日経平均 = 下げ -27.62円≫
【先週の日経平均予想 = 4勝0敗】
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◇ 金融緩和離れしたNY? = ダウ平均は先週151ドルの値上がり。週央には昨年末に付けた史上最高値を、ちょうど4か月ぶりに更新した。ピークにさしかかった決算発表が予想を上回る内容になっていることが、株価を押し上げる原動力となっている。またアメリカ経済の先行き見通しが好転していることも、株価を下支えした。
週末に発表された雇用統計は、予想をはるかに上回る内容だった。ところが、こうした実体経済の好転を示す材料が出ても、今回は金融緩和政策の縮小を警戒する声は全く聞かれなかった。それどころかFRBが30日に緩和政策の縮小を決定しても、市場はそれだけ経済の回復が進行しているというFRBの説明を素直に受け入れている。この変化は今後の市場動向をみるうえで、大きな要素になるに違いない。
連休の影響もあって、東京市場は元気がない。日経平均は先週28円の値上がり。ダウが4か月前の史上最高値を取り戻したのに対し、日経平均はこの4か月間で1800円以上も下落した。企業の決算内容は、アメリカよりも日本の方がいい。消費増税にもかかわらず、今後の景気見通しも悪くはない。連休明けには、この遅れを取り返す動きが表れるのだろうか。
今週は9日に、3月の景気動向指数。アメリカでは6日に、3月の貿易統計が発表された。また中国が7日に、4月のHSBCサービス業PMI。8日に、4月の貿易統計。9日に、4月の生産者物価と消費者物価を発表する。
≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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週末に発表された雇用統計は、予想をはるかに上回る内容だった。ところが、こうした実体経済の好転を示す材料が出ても、今回は金融緩和政策の縮小を警戒する声は全く聞かれなかった。それどころかFRBが30日に緩和政策の縮小を決定しても、市場はそれだけ経済の回復が進行しているというFRBの説明を素直に受け入れている。この変化は今後の市場動向をみるうえで、大きな要素になるに違いない。
連休の影響もあって、東京市場は元気がない。日経平均は先週28円の値上がり。ダウが4か月前の史上最高値を取り戻したのに対し、日経平均はこの4か月間で1800円以上も下落した。企業の決算内容は、アメリカよりも日本の方がいい。消費増税にもかかわらず、今後の景気見通しも悪くはない。連休明けには、この遅れを取り返す動きが表れるのだろうか。
今週は9日に、3月の景気動向指数。アメリカでは6日に、3月の貿易統計が発表された。また中国が7日に、4月のHSBCサービス業PMI。8日に、4月の貿易統計。9日に、4月の生産者物価と消費者物価を発表する。
≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 予想をはるかに上回る = アメリカ労働省が先週2日に発表した4月の雇用統計。市場関係者ばかりでなく、エコノミストたちもびっくり仰天した。失業率は前月より0.4ポイントも下がって6.3%に。注目された非農業雇用者の増加数は28万8000人。事前の予測20万人程度をはるかに上回った。雇用の増加は建設、小売り、医療など広範な分野に及んでいる。
労働省は2月の雇用者増加数を19万7000人から22万2000人へ、また3月も19万2000人から20万3000人へそれぞれ上方修正した。この結果、2-4月平均では月23万8000人。過去1年間では平均19万人の雇用者増加となっている。また失業者は過去1年間で190万人の減少。失業率は1.2ポイント下落した。
雇用情勢が予想以上に好転したことで、今後は個人消費が伸びて景気の回復も持続する公算が大きくなった。アメリカ経済の前途は、いっそう明るさを増したと言えるだろう。しかし心配な面もないではない。それは雇用環境が大きく好転したにもかかわらず、賃金の上昇がきわめて鈍いことだ。
たとえば4月の雇用者1人当たり平均時給は24ドル31セント。前月と全く変わっていない。1年前に比べても、わずかに1.9%上昇しただけ。パートタイマーが異常に多いという特殊事情もあるが、企業は賃上げに厳しい姿勢で臨んでいる。ボーイングやキャタピラーといった大会社でさえも、この春は実質的な賃下げを断行した。
(続きは明日)
≪7日の日経平均 = 下げ -424.06円≫
≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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労働省は2月の雇用者増加数を19万7000人から22万2000人へ、また3月も19万2000人から20万3000人へそれぞれ上方修正した。この結果、2-4月平均では月23万8000人。過去1年間では平均19万人の雇用者増加となっている。また失業者は過去1年間で190万人の減少。失業率は1.2ポイント下落した。
雇用情勢が予想以上に好転したことで、今後は個人消費が伸びて景気の回復も持続する公算が大きくなった。アメリカ経済の前途は、いっそう明るさを増したと言えるだろう。しかし心配な面もないではない。それは雇用環境が大きく好転したにもかかわらず、賃金の上昇がきわめて鈍いことだ。
たとえば4月の雇用者1人当たり平均時給は24ドル31セント。前月と全く変わっていない。1年前に比べても、わずかに1.9%上昇しただけ。パートタイマーが異常に多いという特殊事情もあるが、企業は賃上げに厳しい姿勢で臨んでいる。ボーイングやキャタピラーといった大会社でさえも、この春は実質的な賃下げを断行した。
(続きは明日)
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◇ 次の大問題は金利の引き上げ = 絶好調の雇用統計が発表された2日前、FRBは金融緩和政策のさらなる縮小を決定した。具体的には、5月から国債などの買い入れを月450億ドルに減額する。2月に緩和政策の縮小を決断してから毎月100億ドルずつ減額、これで合計400億ドルの買い入れ削減となった。この決定に際して、FRBは「消費回復のテンポは加速するだろう」と述べている。
量的緩和の縮小は、市場に対する資金供給がそれだけ細ることを意味する。このため市場は、これまで緩和の縮小は売り材料だと考えてきた。ところが今回は「景気が確実に回復路線を歩んでいるから、緩和政策の縮小を続ける」というFRBの言い分を素直に受け取っている。ダウ平均は1万6581ドルまで上昇、史上最高値を更新した。
アメリカ経済の順調な回復は、日本経済にとっても大きなプラス。金融の量的緩和という非常時対策が解除されることは、アメリカの金融政策が正常化する兆しでもある。だが市場は、ここで大きな問題に直面せざるをえない。というのも、この調子で量的緩和が縮小されて行くと、この10月にはFRBによる資金供給が終了してしまう。量的緩和が終われば、あとはゼロ金利の見直し。つまり政策金利の引き上げ局面を迎えることになる。
先読みをする株式市場だから、すでに考え始めたに違いない。予想をはるかに上回った雇用統計。景気の先行きは明るくなった。しかし、それだけに利上げの局面が近づいてきたことは確か。金利が上がれば国債価格は下がり、ドル相場は上昇する。この方程式をどう解くか。それによって、ダウ平均が史上最高値の更新を続けるかどうかが決まってくる。
≪8日の日経平均 = 上げ +130.33円≫
≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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量的緩和の縮小は、市場に対する資金供給がそれだけ細ることを意味する。このため市場は、これまで緩和の縮小は売り材料だと考えてきた。ところが今回は「景気が確実に回復路線を歩んでいるから、緩和政策の縮小を続ける」というFRBの言い分を素直に受け取っている。ダウ平均は1万6581ドルまで上昇、史上最高値を更新した。
アメリカ経済の順調な回復は、日本経済にとっても大きなプラス。金融の量的緩和という非常時対策が解除されることは、アメリカの金融政策が正常化する兆しでもある。だが市場は、ここで大きな問題に直面せざるをえない。というのも、この調子で量的緩和が縮小されて行くと、この10月にはFRBによる資金供給が終了してしまう。量的緩和が終われば、あとはゼロ金利の見直し。つまり政策金利の引き上げ局面を迎えることになる。
先読みをする株式市場だから、すでに考え始めたに違いない。予想をはるかに上回った雇用統計。景気の先行きは明るくなった。しかし、それだけに利上げの局面が近づいてきたことは確か。金利が上がれば国債価格は下がり、ドル相場は上昇する。この方程式をどう解くか。それによって、ダウ平均が史上最高値の更新を続けるかどうかが決まってくる。
≪8日の日経平均 = 上げ +130.33円≫
≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ ギリシャが自力で国債発行 = 最近、ヨーロッパから明るいニュースが届くようになった。まずは4月10日、あのギリシャが4年ぶりに国債の発行を再開。見事に30億ユーロ(約4200億円)の調達に成功した。4年前のいまごろは、国債の償還や利払いができなくなって、デフォルト(債務不履行)寸前にまで追い詰められていた国である。
続いてポルトガルも4月23日、国債の発行に踏み切った。こちらも7億5000万ユーロ(約1050億円)を無事に消化している。ポルトガルの国債発行は3年ぶり。当時はギリシャと並んで、財政破たんの道を歩んでいた。さらにアイルランドも3月中旬に国債発行を再開、37億5000万ユーロ(約5250億円)の資金を調達している。
こうした国々が3-4年ぶりに自力での資金調達に成功したことは、ヨーロッパが09年秋に始まった経済危機を何とか乗り切ったことの証し。少なくとも最悪期を脱出し、正常化への道を進み始めた象徴的な出来事だと言えるだろう。仮にヨーロッパ経済がこのまま順調に回復して行けば、世界経済全体にとっても大きなプラス要因になることは言うまでもない。
ただヨーロッパ諸国が、まだまだ大きな不安材料を抱えていることは確かだ。当面のウクライナ情勢はさておくとしても、南ヨーロッパ諸国のなかには財政再建が進まない国もある。景気の低迷や高止まりしたままの失業率。国民の不満も消え去ってはいない。その不満が政治の不安定につながる危険性も、決して減ってはいない。
(続きは来週サタデー)
≪9日の日経平均 = 上げ +35.81円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝0敗】
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続いてポルトガルも4月23日、国債の発行に踏み切った。こちらも7億5000万ユーロ(約1050億円)を無事に消化している。ポルトガルの国債発行は3年ぶり。当時はギリシャと並んで、財政破たんの道を歩んでいた。さらにアイルランドも3月中旬に国債発行を再開、37億5000万ユーロ(約5250億円)の資金を調達している。
こうした国々が3-4年ぶりに自力での資金調達に成功したことは、ヨーロッパが09年秋に始まった経済危機を何とか乗り切ったことの証し。少なくとも最悪期を脱出し、正常化への道を進み始めた象徴的な出来事だと言えるだろう。仮にヨーロッパ経済がこのまま順調に回復して行けば、世界経済全体にとっても大きなプラス要因になることは言うまでもない。
ただヨーロッパ諸国が、まだまだ大きな不安材料を抱えていることは確かだ。当面のウクライナ情勢はさておくとしても、南ヨーロッパ諸国のなかには財政再建が進まない国もある。景気の低迷や高止まりしたままの失業率。国民の不満も消え去ってはいない。その不満が政治の不安定につながる危険性も、決して減ってはいない。
(続きは来週サタデー)
≪9日の日経平均 = 上げ +35.81円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝0敗】
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第16章 失業率って、なんだろう? ⑮
◇ 希望する仕事が見つからない = 13年平均の失業率は4.0%で、前年より0.3ポイント低下しました。リーマン・ショックのあとの09年、10年はともに5.1%でしたから、この3年間で1.1ポイント改善したことになります。それでも東京オリンピックが開催された1964年ごろの1.2%、25年前の84年の2.3%には、とても及びません。
失業率が高くなってしまった最大の原因は、日本の経済成長率が鈍化したためです。しかし原因は、必ずしもそれだけではありません。失業している人に「なぜ就職できないのか」を聞いてみると「年齢などの条件が合わない」とか「勤務時間などの希望が合わない」などの答えのなかで「希望する仕事が見つからない」という回答がいちばん多くなっています。
たとえば、かつての高度成長期には、仕事もたくさんあったことは確かです。しかし同時に人々は生活水準の向上に必死で、仕事の選り好みなどはしていられませんでした。これに対して現代は、世の中が豊かになって「希望しない仕事には就かない」人が増えていることも事実でしょう。
もちろん、どんな仕事でもいいと懸命に職を探している人も少なくありません。13年の場合、過去1年間に職を失った人は95万人。そのうち前職が正規雇用者だった人が46万人もいます。その多くは、一家を支える大黒柱なのではないでしょうか。労働力調査は、こんな数字まで描き出しているのです。
(続きは来週日曜日)
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◇ 希望する仕事が見つからない = 13年平均の失業率は4.0%で、前年より0.3ポイント低下しました。リーマン・ショックのあとの09年、10年はともに5.1%でしたから、この3年間で1.1ポイント改善したことになります。それでも東京オリンピックが開催された1964年ごろの1.2%、25年前の84年の2.3%には、とても及びません。
失業率が高くなってしまった最大の原因は、日本の経済成長率が鈍化したためです。しかし原因は、必ずしもそれだけではありません。失業している人に「なぜ就職できないのか」を聞いてみると「年齢などの条件が合わない」とか「勤務時間などの希望が合わない」などの答えのなかで「希望する仕事が見つからない」という回答がいちばん多くなっています。
たとえば、かつての高度成長期には、仕事もたくさんあったことは確かです。しかし同時に人々は生活水準の向上に必死で、仕事の選り好みなどはしていられませんでした。これに対して現代は、世の中が豊かになって「希望しない仕事には就かない」人が増えていることも事実でしょう。
もちろん、どんな仕事でもいいと懸命に職を探している人も少なくありません。13年の場合、過去1年間に職を失った人は95万人。そのうち前職が正規雇用者だった人が46万人もいます。その多くは、一家を支える大黒柱なのではないでしょうか。労働力調査は、こんな数字まで描き出しているのです。
(続きは来週日曜日)
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◇ ダウ平均は最高値を更新 = ニューヨークの株価は実にしぶとい。東京の株価は実にもろい。ダウ平均は先週70ドルの値上がり。週末の終り値は1万6583ドルとなって、またまた史上最高値を更新した。ウクライナ情勢の緊迫化で下げても、すぐに取り戻す。爆発的な上昇力はないが、着実に値を切り上げている。
日経平均は先週258円の値下がり。円高の進行で大きく下げた分を、なかなか取り戻せない。アベノミックスが始まった12年12月以来ずっと前年比でプラスを維持してきた株価だったが、先週はとうとうマイナスに落ち込んでしまった。市場は完全に目標を見失っている。要するに買いの手掛かりがつかめない。
ニューヨーク市場の粘り腰は、雇用情勢などアメリカ経済の実体が好転していることから生じている。企業の業績も悪くはない。一方、日本経済は当面、消費増税の影響が出て一時的に落ち込む。しかし株価は、この点についてはすべて織り込み済みだろう。企業業績はアメリカよりも、はるかにいい。にもかかわらず株式市場に元気がないのは、なぜだろう。「5月は売り」という経験則だけでは説明できない、何かがありそうだ。
今週は12日に、3月の国際収支と4月の景気ウォッチャー調査。14日に、企業物価。15日に、1-3月期のGDP速報と3月の第3次産業活動指数。アメリカでは13日に、4月の小売り売上高。14日に、4月の生産者物価。15日に、4月の消費者物価、工業生産、5月のNAHB住宅市場指数。16日に、4月の住宅着工戸数と5月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が13日に、4月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資。EUが15日に、1-3月期のGDP速報を発表する。
≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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日経平均は先週258円の値下がり。円高の進行で大きく下げた分を、なかなか取り戻せない。アベノミックスが始まった12年12月以来ずっと前年比でプラスを維持してきた株価だったが、先週はとうとうマイナスに落ち込んでしまった。市場は完全に目標を見失っている。要するに買いの手掛かりがつかめない。
ニューヨーク市場の粘り腰は、雇用情勢などアメリカ経済の実体が好転していることから生じている。企業の業績も悪くはない。一方、日本経済は当面、消費増税の影響が出て一時的に落ち込む。しかし株価は、この点についてはすべて織り込み済みだろう。企業業績はアメリカよりも、はるかにいい。にもかかわらず株式市場に元気がないのは、なぜだろう。「5月は売り」という経験則だけでは説明できない、何かがありそうだ。
今週は12日に、3月の国際収支と4月の景気ウォッチャー調査。14日に、企業物価。15日に、1-3月期のGDP速報と3月の第3次産業活動指数。アメリカでは13日に、4月の小売り売上高。14日に、4月の生産者物価。15日に、4月の消費者物価、工業生産、5月のNAHB住宅市場指数。16日に、4月の住宅着工戸数と5月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が13日に、4月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資。EUが15日に、1-3月期のGDP速報を発表する。
≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 目標なくした日本経済 = ダウ平均が史上最高値を更新した先週、日経平均は前年の水準を割り込んだ。12年12月に第2次安倍政権が発足して以来、株価は常に前年の水準を上回ってきた。それが前年比マイナスに転落した原因は、なんだろう。ずばり言えば、これまで株価を押し上げてきたアベノミックスの効果が出尽くし、賞味期限切れになったことにある。
たしかに消費増税の影響で、景気はいま一時的に後退している。ただGDP成長率は4-6月期に年率マイナス4%程度に落ち込んだ後、7-9月期にはプラス2.5%程度に回復するという見方が一般的だ。株式市場はこの状況をすでに織り込んでいる。企業収益も13年度は3割を超す増益。この勢いは14年度も持続すると予想されている。株価にとっての環境は、決して悪くない。
問題は巨額の資金を手元に貯めこんだ企業が、積極的に動かないこと。一部の企業は自社株の買戻しや増配で、株主への還元を実行している。しかし全体として、設備投資などへの意欲はあまり強くない。これは「経済の先行きが不透明」という理由からではなく、むしろ「将来の目標を見失った」結果だと考えられる。
アベノミックスの“第3の矢”が、いつまでたっても出てこない。大騒ぎしたTPP(環太平洋経済連携協定)は藪のなか。原発の再稼働も見通しが立たない。法人減税も時間がかかりそう。オリンピックはまだ先の話。そんななかで安倍内閣は、このところ憲法やら自衛権やら政治問題に熱中し始めた。そしてアベノミックスの“第1の矢”と“第2の矢”は、時間がたって賞味期限切れに。経営者が熱中できるような経済目標が、皆無になってしまった。
≪12日の日経平均 = 下げ -50.07円≫
≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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たしかに消費増税の影響で、景気はいま一時的に後退している。ただGDP成長率は4-6月期に年率マイナス4%程度に落ち込んだ後、7-9月期にはプラス2.5%程度に回復するという見方が一般的だ。株式市場はこの状況をすでに織り込んでいる。企業収益も13年度は3割を超す増益。この勢いは14年度も持続すると予想されている。株価にとっての環境は、決して悪くない。
問題は巨額の資金を手元に貯めこんだ企業が、積極的に動かないこと。一部の企業は自社株の買戻しや増配で、株主への還元を実行している。しかし全体として、設備投資などへの意欲はあまり強くない。これは「経済の先行きが不透明」という理由からではなく、むしろ「将来の目標を見失った」結果だと考えられる。
アベノミックスの“第3の矢”が、いつまでたっても出てこない。大騒ぎしたTPP(環太平洋経済連携協定)は藪のなか。原発の再稼働も見通しが立たない。法人減税も時間がかかりそう。オリンピックはまだ先の話。そんななかで安倍内閣は、このところ憲法やら自衛権やら政治問題に熱中し始めた。そしてアベノミックスの“第1の矢”と“第2の矢”は、時間がたって賞味期限切れに。経営者が熱中できるような経済目標が、皆無になってしまった。
≪12日の日経平均 = 下げ -50.07円≫
≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 輸出は健闘しているが = 財務省は12日、13年度(13年4月-14年3月)の国際収支状況を発表した。それによると、モノ・サービス・配当金など海外とのおカネのやり取りを示す経常収支は、わずかに7899億円の黒字。前年度の黒字額を3兆4000億円も下回り、過去最少となった。最大の原因は貿易面で、燃料の輸入が激増したことにある。
貿易収支の赤字額は10兆8600億円にのぼった。この赤字額は前年度の2倍に近い。輸出は69兆8000億円。前年度より12.2%増加した。最近「日本が貿易赤字国に転落したのは、輸出力がなくなったため」という説が横行している。しかし輸出は1割以上も伸びており、赤字を輸出のせいにするのは間違いだ。
赤字の原因は輸入にある。輸入は80兆6700億円、前年度を19.6%も上回った。輸入が増加したのは、言うまでもなく火力発電用の燃料輸入が主因。たとえば原油・粗油の輸入額は2兆3000億円で、前年比18.4%の増加。LNG(液化天然ガス)は1兆1300億円で、18.2%の増加だった。
このほかサービス収支は3兆6000億円の赤字。しかし利子や配当を中心にした所得収支が15兆2300億円の黒字を稼いで、経常収支をなんとか黒字の領域にとどめている。ただ電力需要が増大する夏場に向けて、燃料輸入はさらに増大するかもしれない。円安が進んでも、輸入額は増えてしまう。経常収支がいつまで黒字の領域にとどまれるか。非常に心配な情勢である。
≪13日の日経平均 = 上げ +275.92円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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貿易収支の赤字額は10兆8600億円にのぼった。この赤字額は前年度の2倍に近い。輸出は69兆8000億円。前年度より12.2%増加した。最近「日本が貿易赤字国に転落したのは、輸出力がなくなったため」という説が横行している。しかし輸出は1割以上も伸びており、赤字を輸出のせいにするのは間違いだ。
赤字の原因は輸入にある。輸入は80兆6700億円、前年度を19.6%も上回った。輸入が増加したのは、言うまでもなく火力発電用の燃料輸入が主因。たとえば原油・粗油の輸入額は2兆3000億円で、前年比18.4%の増加。LNG(液化天然ガス)は1兆1300億円で、18.2%の増加だった。
このほかサービス収支は3兆6000億円の赤字。しかし利子や配当を中心にした所得収支が15兆2300億円の黒字を稼いで、経常収支をなんとか黒字の領域にとどめている。ただ電力需要が増大する夏場に向けて、燃料輸入はさらに増大するかもしれない。円安が進んでも、輸入額は増えてしまう。経常収支がいつまで黒字の領域にとどまれるか。非常に心配な情勢である。
≪13日の日経平均 = 上げ +275.92円≫
≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ もう少し頑張っていたら = 「直近の景気の谷は12年11月だった」--政府は近く景気動向指数研究会を開いて、こう認定する。つまり最近の景気は12年11月が底、12年12月からは上昇期に入ったことになる。記憶をたどれば12年11月は民主党の野田首相が衆議院の解散を表明した月。12年12月は総選挙で自民党が圧勝、安倍内閣が発足した月だ。
日本は戦後15回の景気循環を経験した。景気は財政・金融政策によっても上昇・下降するが、経済の自律的な力でも変動する。たとえば設備投資や在庫投資の過剰や不足、建築物の耐用年数など、さまざまな要因が重なることによって、景気は変動すると考えられている。
周知のように、現在の景気回復はアベノミックスが原動力となっている。だが安倍内閣の誕生は12年の12月末。その効果が現われ始めたのは、どんなに早くみても13年になってからだ。景気が自律的な回復を始めた直後のアベノミックス。だから景気を押し上げる力は大きくなったと言えるだろう。
仮に野田首相がもう少し我慢していたら、どうだろう。やはり景気は12年12月から上向き始めていたに違いない。したがって、あと数か月後の解散・総選挙だったら景気は上り基調。それでも民主党は負けたに違いないが、あれほどの惨敗は喫しなかったかもしれない。民主党は、運にも見放されたようだ。
≪14日の日経平均 = 下げ -19.68円≫
≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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日本は戦後15回の景気循環を経験した。景気は財政・金融政策によっても上昇・下降するが、経済の自律的な力でも変動する。たとえば設備投資や在庫投資の過剰や不足、建築物の耐用年数など、さまざまな要因が重なることによって、景気は変動すると考えられている。
周知のように、現在の景気回復はアベノミックスが原動力となっている。だが安倍内閣の誕生は12年の12月末。その効果が現われ始めたのは、どんなに早くみても13年になってからだ。景気が自律的な回復を始めた直後のアベノミックス。だから景気を押し上げる力は大きくなったと言えるだろう。
仮に野田首相がもう少し我慢していたら、どうだろう。やはり景気は12年12月から上向き始めていたに違いない。したがって、あと数か月後の解散・総選挙だったら景気は上り基調。それでも民主党は負けたに違いないが、あれほどの惨敗は喫しなかったかもしれない。民主党は、運にも見放されたようだ。
≪14日の日経平均 = 下げ -19.68円≫
≪15日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 心配な4-6月期の反動減 = 内閣府は15日、本年1-3月期のGDP速報を発表した。それによると、前期比を年率換算した実質成長率は5.9%で、11年7-9月期以来の大幅な伸びとなった。事前の民間調査機関による予測値は4.5%程度、それをはるかに上回っている。成長率が急増した原因は、言うまでもなく消費増税前の駆け込み需要によるものだ。
その個人消費は、年率換算で8.6%も増加した。また企業の設備投資も21.0%、住宅投資も12.9%伸びている。その半面で貿易赤字が増大したため、外需はマイナス要因として働いた。つまり駆け込み需要による内需の増大は、結果としての成長率5.9%を大きく上回ったと考えられる。駆け込み需要が大きければ大きいほど、その反動減も大きくなると覚悟しなければならない。
反動減は4-6月期に現われる。民間調査機関は3.8%程度のマイナス成長になると予測していた。しかし1-3月期の駆け込み需要が予想を上回ったため、4-6月期の反動減も予測より大きくなる可能性が強い。その先の7-9月期について、民間調査機関は2.6%程度のプラス成長に戻ると予測していた。しかし4-6月の反動減が予想より大きくなれば、7-9月期の成長率はプラス2%に達しないかもしれない。
安倍首相は11月17日に発表される7-9月期のGDP成長率をみて、来年10月の消費税再引き上げを決断するようだ。この成長率が2%以上なら、まず問題はない。だが2%に届かないとすると、反対論も強まる可能性がある。したがって、きのう発表された1-3月期の成長率が予想を大きく上回ったことを、いちばん気にしているのは安倍首相なのかもしれない。
≪15日の日経平均 = 下げ -107.55円≫
≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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その個人消費は、年率換算で8.6%も増加した。また企業の設備投資も21.0%、住宅投資も12.9%伸びている。その半面で貿易赤字が増大したため、外需はマイナス要因として働いた。つまり駆け込み需要による内需の増大は、結果としての成長率5.9%を大きく上回ったと考えられる。駆け込み需要が大きければ大きいほど、その反動減も大きくなると覚悟しなければならない。
反動減は4-6月期に現われる。民間調査機関は3.8%程度のマイナス成長になると予測していた。しかし1-3月期の駆け込み需要が予想を上回ったため、4-6月期の反動減も予測より大きくなる可能性が強い。その先の7-9月期について、民間調査機関は2.6%程度のプラス成長に戻ると予測していた。しかし4-6月の反動減が予想より大きくなれば、7-9月期の成長率はプラス2%に達しないかもしれない。
安倍首相は11月17日に発表される7-9月期のGDP成長率をみて、来年10月の消費税再引き上げを決断するようだ。この成長率が2%以上なら、まず問題はない。だが2%に届かないとすると、反対論も強まる可能性がある。したがって、きのう発表された1-3月期の成長率が予想を大きく上回ったことを、いちばん気にしているのは安倍首相なのかもしれない。
≪15日の日経平均 = 下げ -107.55円≫
≪16日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 増えた国債の買い手 = ギリシャの国債発行再開をみて驚いたのは、その入札金利が十分に低くなったことだ。5年債で30億ユーロを調達したが、その平均利回りは4.95%だった。09年の政権交代で、政府による債務隠しが発覚。財政資金が底をついたときには、金利が40%を超えても国債を消化できなかった。
国債はふつう入札によって売りさばかれる。たとえば額面100ユーロの10年もの国債が入札で発行されたとき、その政府の財政状態が悪ければ、10年後にちゃんと償還されるかどうかが心配になる。だから投資家は手を出さない。すると入札価格はどんどん下がって行き、利回りは高くなる。4年前のギリシャでは、利回りが40%になっても売れなかった。
それが今回は5%を割る金利で消化されたわけだ。購入したのは、ほとんどが海外の金融機関やファンド。このことは基本的に、海外のギリシャ政府に対する信用度が回復したことを示している。ポルトガルやアイルランドについても同様だ。金利の低下という点からだけみれば、これら諸国はEUやIMFの支援を必要としなくなったと言えるだろう。
ただ、こうした金利の大幅な下落は行き過ぎだという見方も強い。これら諸国の経済や財政状態が、目立って改善したわけではない。政治的に不安定な国もあって、国民の不満が解消したわけでもない。今回は中国やインドをはじめとする新興国の経済に不安を感じた投資資金が、小康状態を続けている南ヨーロッパ諸国などに流入しただけ。したがって、いつまた資金が流出するか判らない、と指摘する専門家も少なくない。
(続きは来週サタデー)
≪16日の日経平均 = 下げ -201.62円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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国債はふつう入札によって売りさばかれる。たとえば額面100ユーロの10年もの国債が入札で発行されたとき、その政府の財政状態が悪ければ、10年後にちゃんと償還されるかどうかが心配になる。だから投資家は手を出さない。すると入札価格はどんどん下がって行き、利回りは高くなる。4年前のギリシャでは、利回りが40%になっても売れなかった。
それが今回は5%を割る金利で消化されたわけだ。購入したのは、ほとんどが海外の金融機関やファンド。このことは基本的に、海外のギリシャ政府に対する信用度が回復したことを示している。ポルトガルやアイルランドについても同様だ。金利の低下という点からだけみれば、これら諸国はEUやIMFの支援を必要としなくなったと言えるだろう。
ただ、こうした金利の大幅な下落は行き過ぎだという見方も強い。これら諸国の経済や財政状態が、目立って改善したわけではない。政治的に不安定な国もあって、国民の不満が解消したわけでもない。今回は中国やインドをはじめとする新興国の経済に不安を感じた投資資金が、小康状態を続けている南ヨーロッパ諸国などに流入しただけ。したがって、いつまた資金が流出するか判らない、と指摘する専門家も少なくない。
(続きは来週サタデー)
≪16日の日経平均 = 下げ -201.62円≫
【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】
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第16章 失業率って、なんだろう? ⑯
◇ 若い層ほど高い失業率 = 失業率は年齢層によって、大きく異なります。13年の統計でみると、15-24歳が6.9%でいちばん高く、年齢が上がると低下して行き45-54歳では3.3%になっています。そのあと55-64歳は3.7%、65歳以上は2.3%で、いずれも平均値の4.0%を下回っているのです。
この傾向は長いこと変わっていません。たとえば10年の場合、15-24歳は9.4%、65歳以上は2.1%でした。30歳代から50歳代にかけては働き盛り。仕事に愛着を感じており、一家の生活を支えている人も多いでしょう。このため失業率は低くなる傾向があるようです。また65歳以上の失業率が低いのは、職を求める人が少ないためだと考えられます。
反対に若い人の失業率は、なぜ高いのでしょう。若年層と呼ばれる15-34歳グループを取り出して考えてみます。まず13年の場合、若年層の人口は2684万人でした。このうち失業者は102万人、失業率は5.8%でした。この年齢層で注目されるのは、いわゆるフリーターとその希望者が182万人もいること。学生や子育て中の主婦が、限られた時間内で働きたいと考えているからでしょう。
さらに全く職に就かず、家事も通学もしていない無業者と呼ばれる人たち。無業者はどの年齢層にも存在しますが、若年層には特に多いのです。13年の場合、若年層の無業者は60万人。このうち25-34歳の年齢層で36万人を数えました。富裕な人が増えたのか、働く気持ちのない人が増えたのか。詳細は判りません。
(続きは来週日曜日)
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◇ 若い層ほど高い失業率 = 失業率は年齢層によって、大きく異なります。13年の統計でみると、15-24歳が6.9%でいちばん高く、年齢が上がると低下して行き45-54歳では3.3%になっています。そのあと55-64歳は3.7%、65歳以上は2.3%で、いずれも平均値の4.0%を下回っているのです。
この傾向は長いこと変わっていません。たとえば10年の場合、15-24歳は9.4%、65歳以上は2.1%でした。30歳代から50歳代にかけては働き盛り。仕事に愛着を感じており、一家の生活を支えている人も多いでしょう。このため失業率は低くなる傾向があるようです。また65歳以上の失業率が低いのは、職を求める人が少ないためだと考えられます。
反対に若い人の失業率は、なぜ高いのでしょう。若年層と呼ばれる15-34歳グループを取り出して考えてみます。まず13年の場合、若年層の人口は2684万人でした。このうち失業者は102万人、失業率は5.8%でした。この年齢層で注目されるのは、いわゆるフリーターとその希望者が182万人もいること。学生や子育て中の主婦が、限られた時間内で働きたいと考えているからでしょう。
さらに全く職に就かず、家事も通学もしていない無業者と呼ばれる人たち。無業者はどの年齢層にも存在しますが、若年層には特に多いのです。13年の場合、若年層の無業者は60万人。このうち25-34歳の年齢層で36万人を数えました。富裕な人が増えたのか、働く気持ちのない人が増えたのか。詳細は判りません。
(続きは来週日曜日)
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◇ 格言の5連勝か? = 5月も半ばを過ぎたが、株価は上がらない。市場では「5月は株を売れ」の相場格言が、ことしも当たりそうだという感じが強まってきた。もしそうなれば、5月の株価下落は5年連続。格言の5連勝ということになる。ところで、この「5月は売り」という格言は日米共通だ。
アメリカの場合、投資ファンドの多くが中間決算で5月に成績を確定するために売る。だから5月は下がるのだという。ダウ平均をみると、先週は92ドルの値下がり。5月に入ってからは90ドルの下落。まだ史上最高値の域内で頑張っており、格言との勝負は不明である。
日本では3月決算が終わったあと、経営者が先行きに慎重な発言をすることが多い。これが5月下落説の理由だと言われる。日経平均は先週103円の値下がり。5月の成績は、ここまで207円の下落だ。だがアメリカと違って、市場には熱気がない。アベノミックスの“第3の矢”が出てこないため、企業も投資家も将来の目標を見失ったように思われる。
今週は19日に、3月の機械受注。20日に、3月の全産業活動指数。21日に、4月の貿易統計。アメリカでは22日に、4月の中古住宅販売戸数。23日に、4月の新築住宅販売戸数が発表される。また中国では22日に、5月のHSBC製造業PMIが発表される予定。
≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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アメリカの場合、投資ファンドの多くが中間決算で5月に成績を確定するために売る。だから5月は下がるのだという。ダウ平均をみると、先週は92ドルの値下がり。5月に入ってからは90ドルの下落。まだ史上最高値の域内で頑張っており、格言との勝負は不明である。
日本では3月決算が終わったあと、経営者が先行きに慎重な発言をすることが多い。これが5月下落説の理由だと言われる。日経平均は先週103円の値下がり。5月の成績は、ここまで207円の下落だ。だがアメリカと違って、市場には熱気がない。アベノミックスの“第3の矢”が出てこないため、企業も投資家も将来の目標を見失ったように思われる。
今週は19日に、3月の機械受注。20日に、3月の全産業活動指数。21日に、4月の貿易統計。アメリカでは22日に、4月の中古住宅販売戸数。23日に、4月の新築住宅販売戸数が発表される。また中国では22日に、5月のHSBC製造業PMIが発表される予定。
≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 離職率はどうだろう = 文部科学省と厚生労働省は、この春卒業した大学生の就職率を共同で調査し発表した。それによると、4月1日時点での就職率は94.4%だった。3年連続の上昇で、昨年の実績を0.5ポイント上回っている。リーマン・ショック前の08年の96.9%には及ばないが、就職戦線は完全に“売り手市場”になっていた。
就職率を男女別にみると、男性が93.8%だったのに対して女性は95.2%と女性上位。また文科系が94.0%だったのに対し、理科系は96.4%だった。ことし就職を希望した大学生は40万5000人で、卒業者全体の71.5%を占めていた。ここでも女性の比率は81.0%と高くなっている。
就職率の上昇は、景気の回復を反映している。特に建設、流通、サービス部門での採用増加が目立った。また中小企業が人材確保に積極的だったことも、ことしの特徴。その背景には、景気の回復だけでなく、長期的な労働人口の減少に備える意識が働いたのかもしれない。
このように、ことしの新卒は採用増加の波に乗ることができた。しかし最近は新入社員が職場になじめず、早期に辞めてしまうケースが増えている。仕事の内容や職場の雰囲気に抵抗感があるとか、通勤そのものに耐えられない若者も増えているようだ。文科省と厚労省は、入社後1年ないし3年での離職率も調査すべきだろう。
≪19日の日経平均 = 下げ -90.15円≫
≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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就職率を男女別にみると、男性が93.8%だったのに対して女性は95.2%と女性上位。また文科系が94.0%だったのに対し、理科系は96.4%だった。ことし就職を希望した大学生は40万5000人で、卒業者全体の71.5%を占めていた。ここでも女性の比率は81.0%と高くなっている。
就職率の上昇は、景気の回復を反映している。特に建設、流通、サービス部門での採用増加が目立った。また中小企業が人材確保に積極的だったことも、ことしの特徴。その背景には、景気の回復だけでなく、長期的な労働人口の減少に備える意識が働いたのかもしれない。
このように、ことしの新卒は採用増加の波に乗ることができた。しかし最近は新入社員が職場になじめず、早期に辞めてしまうケースが増えている。仕事の内容や職場の雰囲気に抵抗感があるとか、通勤そのものに耐えられない若者も増えているようだ。文科省と厚労省は、入社後1年ないし3年での離職率も調査すべきだろう。
≪19日の日経平均 = 下げ -90.15円≫
≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 2万5476円も減った = 厚生労働省が発表した13年度(昨年4月ー本年3月)の毎月勤労統計によると、現金給与総額の月平均は31万3995円だった。前年度に比べると、わずかに0.1%増加しただけ。業種別で伸びが大きかったのは、運輸・郵便業の2.3%増、建設業の1.6%増、製造業の0.8%増など。景気の回復で賞与や残業代は増えたが、基本給はむしろ減少している。
内訳をみると、基本給に当たる所定内給与は24万1064円で前年度より0.5%減った。その半面、残業代に当たる所定外給与は1万9338円で3.6%の増加。賞与も5万3593円で1.7%増えた。企業の業績は絶好調だが、13年度に関する限りは給与面にも恩恵が及んだとは言いがたい。
給与が伸びない大きな理由の一つは、パートタイマーが増加したこと。13年度のパート比率は前年度より0.56ポイント上昇して29.53%になった。全労働者の約3割がパートタイマーということになる。このパートを除く一般労働者の給与総額は40万4976円で、前年度より0.7%増加した。パートの給与は9万6825円で、前年度と変わらなかった。
10年前の03年度と比較してみよう。当時の給与総額は33万9471円で、13年度より2万5476円も多い。パートの比率は23.4%で低かったが、一般労働者の給与は41万3573円。13年度はそれより8600円ほど低くなっている。したがってパートの影響を調整してみても、この10年間は“賃下げの時代”だったと言える。最近は賃上げのニュースも増えているが、4月の統計で現金給与総額はどのくらい上がるのだろうか。
≪20日の日経平均 = 上げ +68.81円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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内訳をみると、基本給に当たる所定内給与は24万1064円で前年度より0.5%減った。その半面、残業代に当たる所定外給与は1万9338円で3.6%の増加。賞与も5万3593円で1.7%増えた。企業の業績は絶好調だが、13年度に関する限りは給与面にも恩恵が及んだとは言いがたい。
給与が伸びない大きな理由の一つは、パートタイマーが増加したこと。13年度のパート比率は前年度より0.56ポイント上昇して29.53%になった。全労働者の約3割がパートタイマーということになる。このパートを除く一般労働者の給与総額は40万4976円で、前年度より0.7%増加した。パートの給与は9万6825円で、前年度と変わらなかった。
10年前の03年度と比較してみよう。当時の給与総額は33万9471円で、13年度より2万5476円も多い。パートの比率は23.4%で低かったが、一般労働者の給与は41万3573円。13年度はそれより8600円ほど低くなっている。したがってパートの影響を調整してみても、この10年間は“賃下げの時代”だったと言える。最近は賃上げのニュースも増えているが、4月の統計で現金給与総額はどのくらい上がるのだろうか。
≪20日の日経平均 = 上げ +68.81円≫
≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 問題は実現性に = 政府の有識者委員会「選択する未来」は先週発表した中間報告書のなかで「70歳までを新しい生産年齢人口と定義すること」を提案した。これに関連して田村厚生労働相は、さらに一歩を進め「年金の受給開始時期を75歳まで繰り下げ選択ができるよう検討する」と明言した。
生産年齢人口というのは、生産活動に携われる中心的な年齢層。現在は15-64歳と定義されている。ところが日本では、つい最近まで55歳あるいは60歳定年が一般的だった。いまは65歳定年にし、同時に年金の受給開始時期も65歳に繰り下げる動きが進行中だ。それを一気に70歳定年、あるいは年金受給を75歳まで繰り下げられるようにするのだから、画期的な提案と言えるだろう。
仮にこれらの提案が実現したとすると、3つの点で大きなメリットがあると考えられる。その1つ目は、生産年齢人口の縮小が緩和されること。総務省の推計によると、13年10月時点の生産年齢人口は7900万人で、32年ぶりに8000万人を割り込んだ。このまま行けば60年には4400万人にまで減少するが、70歳までを働き手に含めると4800万人への減少にとどまるという。
2つ目のメリットは、年金事業の収支が改善すること。田村厚労相は「75歳以後は割り増し支給になるので、年金収支には影響がない」と述べているが、これは違うだろう。残念ながら75歳以前あるいは以後でも、早めに亡くなる人が出てくるからである。3つ目は、働く意欲のある元気な高齢者の生き甲斐が確保されることだ。このように1石3鳥のアイディアと言えるが、問題は実現できるかどうかだろう。
(続きは明日)
≪21日の日経平均 = 下げ -33.08円≫
≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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生産年齢人口というのは、生産活動に携われる中心的な年齢層。現在は15-64歳と定義されている。ところが日本では、つい最近まで55歳あるいは60歳定年が一般的だった。いまは65歳定年にし、同時に年金の受給開始時期も65歳に繰り下げる動きが進行中だ。それを一気に70歳定年、あるいは年金受給を75歳まで繰り下げられるようにするのだから、画期的な提案と言えるだろう。
仮にこれらの提案が実現したとすると、3つの点で大きなメリットがあると考えられる。その1つ目は、生産年齢人口の縮小が緩和されること。総務省の推計によると、13年10月時点の生産年齢人口は7900万人で、32年ぶりに8000万人を割り込んだ。このまま行けば60年には4400万人にまで減少するが、70歳までを働き手に含めると4800万人への減少にとどまるという。
2つ目のメリットは、年金事業の収支が改善すること。田村厚労相は「75歳以後は割り増し支給になるので、年金収支には影響がない」と述べているが、これは違うだろう。残念ながら75歳以前あるいは以後でも、早めに亡くなる人が出てくるからである。3つ目は、働く意欲のある元気な高齢者の生き甲斐が確保されることだ。このように1石3鳥のアイディアと言えるが、問題は実現できるかどうかだろう。
(続きは明日)
≪21日の日経平均 = 下げ -33.08円≫
≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 健康と意欲が不可欠 = 元気なお年寄りに働いてもらう案は、実現すれば一石三鳥のメリットが期待できる。だが、よほど工夫を凝らさないと成功は覚束ない。まず企業が70歳定年に踏み切れるかどうか。たとえば65-70歳の雇用に対しては、その人件費を法人税の課税金額から控除するくらいの支援策が必要だろう。
次に高齢者の働く意欲を、どのようにして高めるか。幸いにして、日本人は年をとっても働く意欲は強い。13年の場合、65‐69歳の就業率は37%。先進国のなかでは最も高い。今後、65-70歳の人に働いてもらうには、どうしたらいいのか。たとえば年1回の人間ドック費用を、国が負担するくらいの見返りがあってもいいのではないか。
いまや平均寿命は男性80歳、女性86歳の時代。長寿化に合わせて、生産年齢人口の定義を新しくすることは理に適っている。ただ、その基本は高齢者が健康で元気であることだ。そこで以前にも提案したことだが、政府は国勢調査や労働力調査の項目に「地域別の年齢別・健常者数」を加えてもらいたい。この数値を上げる政策が、すべての基礎になければならない。
生産年齢人口の上限が70歳になると、いわゆる老齢人口は71歳以上ということになる。日本人全体が若返るわけで、こんなにおめでたい話はない。しかし「労働力不足を補うため」といった視点からだけでは、この改革は成功しないだろう。世間一般が状況を理解し、高齢就業者を尊敬するくらいの雰囲気が生まれるといい。高齢者が働く動機は“働き甲斐”にあることを忘れてはならない。
≪22日の日経平均 = 上げ +295.62円≫
≪23日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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次に高齢者の働く意欲を、どのようにして高めるか。幸いにして、日本人は年をとっても働く意欲は強い。13年の場合、65‐69歳の就業率は37%。先進国のなかでは最も高い。今後、65-70歳の人に働いてもらうには、どうしたらいいのか。たとえば年1回の人間ドック費用を、国が負担するくらいの見返りがあってもいいのではないか。
いまや平均寿命は男性80歳、女性86歳の時代。長寿化に合わせて、生産年齢人口の定義を新しくすることは理に適っている。ただ、その基本は高齢者が健康で元気であることだ。そこで以前にも提案したことだが、政府は国勢調査や労働力調査の項目に「地域別の年齢別・健常者数」を加えてもらいたい。この数値を上げる政策が、すべての基礎になければならない。
生産年齢人口の上限が70歳になると、いわゆる老齢人口は71歳以上ということになる。日本人全体が若返るわけで、こんなにおめでたい話はない。しかし「労働力不足を補うため」といった視点からだけでは、この改革は成功しないだろう。世間一般が状況を理解し、高齢就業者を尊敬するくらいの雰囲気が生まれるといい。高齢者が働く動機は“働き甲斐”にあることを忘れてはならない。
≪22日の日経平均 = 上げ +295.62円≫
≪23日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 各国がプラス成長に = EU委員会は今月5日、春季経済予測を発表した。それによると、14年のEU28か国のGDP成長率は前期比の年率で1.6%に。また15年は2.0%になる見通し。13年の0.1%成長に比べれば、景気は確実に上向く姿を想定している。各国別にみても、14年は26か国がプラス成長になると予想した。
ただ各国間の成長見通しには、かなりのバラつきがある。大国では1.8%を見込むドイツと2.7%のイギリスが優良組。フランスは1.0%、イタリアは0.6%とやや出遅れている。そのほかオランダは1.2%、スペインは1.1%、ギリシャも0.6%。域内28か国のうち、キプロスとクロアチアを除くすべての国がプラス成長となっている。
この経済予測に関連して、EUのカラス副委員長は「一部を除いて、景気回復の動きが全体に行き渡り始めている。その動きは定着した」とコメントした。やや政治的な発言ではあるが、たしかに財政難で問題を起こした諸国が国債を発行できるようになったこと。それに13年は域内で11を数えたマイナス成長国が2まで減ったこと。これらをみれば、ヨーロッパ経済が復活に向けて歩み始めたことは確かだろう。
ただ復活への歩みは始まったばかり。問題は山積している。まず財政状態を目立って改善できた国は少ない。景気の回復も十分ではなく、特に失業率が異常に高い水準のまま推移している。高い失業率は国民の不満を醸成し、これが政権の土台を揺るがす危険性は現在でも減っていない。
(続きは来週サタデー)
≪23日の日経平均 =上げ +124.38円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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ただ各国間の成長見通しには、かなりのバラつきがある。大国では1.8%を見込むドイツと2.7%のイギリスが優良組。フランスは1.0%、イタリアは0.6%とやや出遅れている。そのほかオランダは1.2%、スペインは1.1%、ギリシャも0.6%。域内28か国のうち、キプロスとクロアチアを除くすべての国がプラス成長となっている。
この経済予測に関連して、EUのカラス副委員長は「一部を除いて、景気回復の動きが全体に行き渡り始めている。その動きは定着した」とコメントした。やや政治的な発言ではあるが、たしかに財政難で問題を起こした諸国が国債を発行できるようになったこと。それに13年は域内で11を数えたマイナス成長国が2まで減ったこと。これらをみれば、ヨーロッパ経済が復活に向けて歩み始めたことは確かだろう。
ただ復活への歩みは始まったばかり。問題は山積している。まず財政状態を目立って改善できた国は少ない。景気の回復も十分ではなく、特に失業率が異常に高い水準のまま推移している。高い失業率は国民の不満を醸成し、これが政権の土台を揺るがす危険性は現在でも減っていない。
(続きは来週サタデー)
≪23日の日経平均 =上げ +124.38円≫
【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】
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第16章 失業率って、なんだろう? ⑰
◇ 低いのは東海、高いのは沖縄 = 失業率は地域によっても、かなり違います。労働力調査では全国を11の地域に分けていますが、13年の結果をみると、失業率が最も低かったのは東海地方で3.3%でした。続いて北陸、北関東・甲信、中国、四国地方までが、全国平均の4.0%を下回っています。
反対に最も失業率が高かったのは沖縄地方の5.7%。次いで北海道と九州、近畿と南関東地方が全国平均を上回っています。震災の被害を受けた東北地方は4.0%で、全国平均と同じでした。少しびっくりしたのは前年比でみると、北関東・甲信と中国地方の失業率がやや増加したことです。
3年前の状態と比べてみましょう。沖縄が変わらなかったのを除けば、あとの10地域ではすべて失業率が改善しています。いちばん改善したのは東北地方で、5.7%が4.0%へ。2番目は近畿地方で5.9%⇒4.4%。3番目は九州地方で5.7%⇒4.5%でした。東北地方は大震災の復興事業が貢献したためです。
失業率は、景気の状態をよく反映する経済指標です。各地域の失業率に差が出るのは、地域によって景気の状態が異なることを示しています。前年あるいは3年前との比較は、景気回復のスピードを表わしていると言えるでしょう。消費増税の影響で、今後の失業率はどう変わって行くのか。みなさんも注意してみてください。
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◇ 低いのは東海、高いのは沖縄 = 失業率は地域によっても、かなり違います。労働力調査では全国を11の地域に分けていますが、13年の結果をみると、失業率が最も低かったのは東海地方で3.3%でした。続いて北陸、北関東・甲信、中国、四国地方までが、全国平均の4.0%を下回っています。
反対に最も失業率が高かったのは沖縄地方の5.7%。次いで北海道と九州、近畿と南関東地方が全国平均を上回っています。震災の被害を受けた東北地方は4.0%で、全国平均と同じでした。少しびっくりしたのは前年比でみると、北関東・甲信と中国地方の失業率がやや増加したことです。
3年前の状態と比べてみましょう。沖縄が変わらなかったのを除けば、あとの10地域ではすべて失業率が改善しています。いちばん改善したのは東北地方で、5.7%が4.0%へ。2番目は近畿地方で5.9%⇒4.4%。3番目は九州地方で5.7%⇒4.5%でした。東北地方は大震災の復興事業が貢献したためです。
失業率は、景気の状態をよく反映する経済指標です。各地域の失業率に差が出るのは、地域によって景気の状態が異なることを示しています。前年あるいは3年前との比較は、景気回復のスピードを表わしていると言えるでしょう。消費増税の影響で、今後の失業率はどう変わって行くのか。みなさんも注意してみてください。
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◇ 6月入りでムード変わるか = いまの東京市場に何を聞いても、まともな答えは返ってこない。「上がりそう? 判らない」「下がりそう? 判らない」「何が材料? 判らない」--方向感を全くなくしてしまっている。それでも日経平均は先週366円値上がりした。相場は2月以来、1万4000円‐1万5000円の間で浮動している。
どうやら株価は1万4000円を、下値の抵抗線としているようだ。もう1つ、先週はニューヨーク市場に追随する展開だった。ダウが上がれば日経平均も上がる。下がれば下がる。これも東京市場が、方向感をなくしたための現象だろう。そのダウ平均は先週115ドル値上がりした。ウクライナをめぐって、ロシア軍が動きを止めたことが大きい。
過去の経験からすると、膠着感が長引くと株価はどこかで大きく振れる。今週は後半から、6月受け渡しの商いになる。この月替わりが株価に新風をもたらすのか。6月には、アベノミックス“第3の矢”がお目見えする。それが市場を満足させる内容であれば、株価は大きく上放れるだろう。
今週は27日に、4月の企業向けサービス価格。29日に、4月の商業販売統計。30日に、4月の雇用統計、家計調査、消費者物価、鉱工業生産、それに住宅着工戸数。アメリカでは27日に、3月のFHFA住宅価格と5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数。29日に、1-3月期のGDP改定値と4月の中古住宅販売戸数が発表される。
≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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どうやら株価は1万4000円を、下値の抵抗線としているようだ。もう1つ、先週はニューヨーク市場に追随する展開だった。ダウが上がれば日経平均も上がる。下がれば下がる。これも東京市場が、方向感をなくしたための現象だろう。そのダウ平均は先週115ドル値上がりした。ウクライナをめぐって、ロシア軍が動きを止めたことが大きい。
過去の経験からすると、膠着感が長引くと株価はどこかで大きく振れる。今週は後半から、6月受け渡しの商いになる。この月替わりが株価に新風をもたらすのか。6月には、アベノミックス“第3の矢”がお目見えする。それが市場を満足させる内容であれば、株価は大きく上放れるだろう。
今週は27日に、4月の企業向けサービス価格。29日に、4月の商業販売統計。30日に、4月の雇用統計、家計調査、消費者物価、鉱工業生産、それに住宅着工戸数。アメリカでは27日に、3月のFHFA住宅価格と5月のコンファレンスボード消費者信頼感指数。29日に、1-3月期のGDP改定値と4月の中古住宅販売戸数が発表される。
≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 経常利益は36%増加 = 「自動車・部品、電機は2ケタの増益」「3メガ銀行は最高益」「主要証券は増益」「製薬、製紙は増収」「非製造業も空運除き増益」--最近の新聞紙面には景気のいい記事が連日のように載っている。日経新聞が3月期決算を終えた1516の上場企業を調べたところ、全体の連結経常利益は前年比36%の増益となった。
この利益水準は、リーマン・ショック前の08年3月期の96%に相当するという。経常利益で過去最高を記録した企業は345社を数えた。また15年3月期の予想については、経常利益で2%の増加。伸び率は鈍化するが、増益基調は維持するとみている。企業の業績は絶好調と言っていい。
増益決算が続いたため、企業の手元資金は過去最高の水準に膨れている。日銀の調査によると、昨年9月末時点で企業が保有する現金・預金残高は224兆円にのぼった。それに13年度の税引き後利益が追加される。リーマン前の08年3月期を3割以上も上回ったという試算もある。
ところが手元資金が潤沢であるにしては、企業はおカネを使いたがらない。最近はさすがに自社株の買い入れや増配、あるいは賃上げ・ボーナス増の動きも見え始めた。しかし、たとえば日銀の短観によると企業の設備投資計画は、14年度に4.2%減少する見通しとなっている。なぜ、企業は慎重なのだろう。
(続きは明日)
≪26日の日経平均 = 上げ +140.35円≫
≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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この利益水準は、リーマン・ショック前の08年3月期の96%に相当するという。経常利益で過去最高を記録した企業は345社を数えた。また15年3月期の予想については、経常利益で2%の増加。伸び率は鈍化するが、増益基調は維持するとみている。企業の業績は絶好調と言っていい。
増益決算が続いたため、企業の手元資金は過去最高の水準に膨れている。日銀の調査によると、昨年9月末時点で企業が保有する現金・預金残高は224兆円にのぼった。それに13年度の税引き後利益が追加される。リーマン前の08年3月期を3割以上も上回ったという試算もある。
ところが手元資金が潤沢であるにしては、企業はおカネを使いたがらない。最近はさすがに自社株の買い入れや増配、あるいは賃上げ・ボーナス増の動きも見え始めた。しかし、たとえば日銀の短観によると企業の設備投資計画は、14年度に4.2%減少する見通しとなっている。なぜ、企業は慎重なのだろう。
(続きは明日)
≪26日の日経平均 = 上げ +140.35円≫
≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 最大のネックは電力料金 = 企業は一般的に自社の先行き景況感が良好だと、設備投資を増大する。工場を増設したり、新しい店舗を開いて収益の拡大を図るわけだ。逆に先行きが不透明だと、業務の拡張には慎重になる。現状は先行きが不透明だと考えている企業が多い。だから設備投資や人員の拡大には慎重さが付きまとう。
先行き見通しに関連して、いま企業経営者が気にしているのは①消費増税の影響②中国など新興国の経済③円相場の動向④アベノミックス“第3の矢”の内容⑤人手不足⑥電力料金――などだろう。これらがいずれも、将来の不安定要因であることは間違いない。ただ、このなかで経営者が最も心配しているのは電力料金ではないだろうか。
経済産業省の集計によると、13年度の電力料金は家庭向けが1㌔㍗時あたり24.33円。企業向けが17.53円だった。この水準は震災前の10年度に比べると、それぞれ19.4%、28.4%上昇している。さらに14年度に入っても、電力料金は毎月のように上がっている。これは輸入燃料価格の上昇と、電力会社の再生可能エネルギー強制買い付け負担を反映したものだ。
生産工場はむろんのこと、スーパーなどの店舗でも、光熱費はコストのかなりの部分を占める。その電力料金が、今後どこまで上がり続けるか判らない。こんな状態では、多くの経営者が強気の計画を立てられない。200兆円を超すおカネが企業に滞留し、経済は好循環の波に乗れない。政府・与党は、この問題をどう考えているのだろうか。
≪27日の日経平均 = 上げ +34.00円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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先行き見通しに関連して、いま企業経営者が気にしているのは①消費増税の影響②中国など新興国の経済③円相場の動向④アベノミックス“第3の矢”の内容⑤人手不足⑥電力料金――などだろう。これらがいずれも、将来の不安定要因であることは間違いない。ただ、このなかで経営者が最も心配しているのは電力料金ではないだろうか。
経済産業省の集計によると、13年度の電力料金は家庭向けが1㌔㍗時あたり24.33円。企業向けが17.53円だった。この水準は震災前の10年度に比べると、それぞれ19.4%、28.4%上昇している。さらに14年度に入っても、電力料金は毎月のように上がっている。これは輸入燃料価格の上昇と、電力会社の再生可能エネルギー強制買い付け負担を反映したものだ。
生産工場はむろんのこと、スーパーなどの店舗でも、光熱費はコストのかなりの部分を占める。その電力料金が、今後どこまで上がり続けるか判らない。こんな状態では、多くの経営者が強気の計画を立てられない。200兆円を超すおカネが企業に滞留し、経済は好循環の波に乗れない。政府・与党は、この問題をどう考えているのだろうか。
≪27日の日経平均 = 上げ +34.00円≫
≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ 銀行・郵便局だと20%課税 = NISA(少額投資非課税制度)がスタートしてから5か月。日経新聞が証券10社を対象に調査したところ、3月末時点でNISAを経由した資金の流入額は5000億円に達した。口座の開設数は323万件。このうち女性の割合が4割で、通常の2-3割をかなり上回っている。
口座を開設した人のうち、実際に株式や投信を購入した人は77万人。1口当たりの平均購入額は62万円だった。その6割が株式、4割が投信となっている。調査の対象外だった証券会社や銀行・郵便局を含めれば、これらの数字はもっと多くなる。ことしに入ってから株価は下げ気味だが、そんな環境のなかでは健闘したと評価できるだろう。
制度の定着に伴って、使い勝手についての注文もいろいろ出てきた。最大の要望は、非課税期間が5年しかない現行制度の恒久化。次いで売却後の非課税ワクを再利用できるようにすること。さらに現行では1社に限定している金融機関の複数化。そして株式配当の完全な無税化という要望も強い。
そろそろ3月期決算企業の配当を受け取る時期に。しかし配当金に20%の税金をかけられ「こんなはずでは」とボヤく人も少なくないのでは。というのも現行制度では、証券会社に開設した口座で受け取らないと課税される。銀行・郵便局で受け取ると税金がかかるわけだ。これは不公平な制度なので、金融庁に改正の意図があるかどうかを問い合わせてみたが「お答えできません」の一点張りだった。
≪28日の日経平均 = 上げ +34.43円≫
≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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口座を開設した人のうち、実際に株式や投信を購入した人は77万人。1口当たりの平均購入額は62万円だった。その6割が株式、4割が投信となっている。調査の対象外だった証券会社や銀行・郵便局を含めれば、これらの数字はもっと多くなる。ことしに入ってから株価は下げ気味だが、そんな環境のなかでは健闘したと評価できるだろう。
制度の定着に伴って、使い勝手についての注文もいろいろ出てきた。最大の要望は、非課税期間が5年しかない現行制度の恒久化。次いで売却後の非課税ワクを再利用できるようにすること。さらに現行では1社に限定している金融機関の複数化。そして株式配当の完全な無税化という要望も強い。
そろそろ3月期決算企業の配当を受け取る時期に。しかし配当金に20%の税金をかけられ「こんなはずでは」とボヤく人も少なくないのでは。というのも現行制度では、証券会社に開設した口座で受け取らないと課税される。銀行・郵便局で受け取ると税金がかかるわけだ。これは不公平な制度なので、金融庁に改正の意図があるかどうかを問い合わせてみたが「お答えできません」の一点張りだった。
≪28日の日経平均 = 上げ +34.43円≫
≪29日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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◇ カギ握る自動車販売 = 経済産業省が29日発表した4月の商業販売統計によると、小売り業の売上高は11兆0110億円で、前年同月を4.4%下回った。これは言うまでもなく、消費増税に伴う駆け込み需要の反動減。駆け込みで3月は11.0%増加したが、そこから予想通り急降下した。この落ち込みを大きいとみるか、小さいとみるかは判断が難しい。
増税前の駆け込みは、昨年秋から少しずつ始まっていた。ことしに入ってからの小売販売高をみると、1月が前年比4.4%増、2月が3.6%増、そして3月が11.0%増。これらのうち駆け込み分がどれだけなのかは、正確には判らない。しかし4月の4.4%減が、5月、6月と進むにつれて縮小するようであれば、反動減は小さいと判定できるだろう。その意味では、5月の減少幅が注目される。
4月の結果を業態別にみると、卸売業は25兆8100億円で前年比3.7%の減少。小売り業を合わせた商業販売全体は36兆8210億円で3.9%の減少だった。またデパートは10.6%減、スーパーは3.9%減。そうしたなかで、コンビニは4.2%の増加となった。コンビニが扱う品物には、買い溜めるようなものが少なかったのだろう。
業種別で落ち込みが大きかったのは、自動車小売業の10.2%減と家電など機械器具小売業の12.3%減だった。売上高としては食料・飲料小売業の方が多いが、こちらは多量の買い溜めはできない。金額も大きく、駆け込み需要の最大の対象になったのは、やはり自動車だったろう。その自動車の販売減少幅が、5月にはどこまで縮小するか。全体を象徴するような動きになるのではないか。
≪29日の日経平均 = 上げ +10.77円≫
≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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増税前の駆け込みは、昨年秋から少しずつ始まっていた。ことしに入ってからの小売販売高をみると、1月が前年比4.4%増、2月が3.6%増、そして3月が11.0%増。これらのうち駆け込み分がどれだけなのかは、正確には判らない。しかし4月の4.4%減が、5月、6月と進むにつれて縮小するようであれば、反動減は小さいと判定できるだろう。その意味では、5月の減少幅が注目される。
4月の結果を業態別にみると、卸売業は25兆8100億円で前年比3.7%の減少。小売り業を合わせた商業販売全体は36兆8210億円で3.9%の減少だった。またデパートは10.6%減、スーパーは3.9%減。そうしたなかで、コンビニは4.2%の増加となった。コンビニが扱う品物には、買い溜めるようなものが少なかったのだろう。
業種別で落ち込みが大きかったのは、自動車小売業の10.2%減と家電など機械器具小売業の12.3%減だった。売上高としては食料・飲料小売業の方が多いが、こちらは多量の買い溜めはできない。金額も大きく、駆け込み需要の最大の対象になったのは、やはり自動車だったろう。その自動車の販売減少幅が、5月にはどこまで縮小するか。全体を象徴するような動きになるのではないか。
≪29日の日経平均 = 上げ +10.77円≫
≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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◇ 頭が痛い高失業率 = EUが最も頭を痛めている問題は、高い失業率がなかなか下がらないことだ。域内28か国の13年の失業率は10.8%。EU委員会の予測でも、14年が10.5%、15年が10.1%と下がり方はきわめて鈍い。ユーロ圏18か国に限ると、13年が12.0%、14年の予測は11.8%でもっと悪い。
EU全体よりもユーロ圏の失業率が高いのは、ユーロ圏内のギリシャとスペインの失業率が飛び抜けて高いからだ。13年の失業率はギリシャが27.3%、スペインが26.7%だった。ともに4人に1人以上が失業していたことになる。14年の予測をみても、ギリシャが26.0%、スペインは25.5%という状態。
14年の予測で失業率が低いのは、ドイツの5.1%、オーストリアの4.8%など。他の主要国ではフランスが10.4%、イタリアが12.8%、ユーロ圏外のイギリスは6.6%などとなっている。失業率が高い諸国で特に目立つのが、若年層の失業率。たとえばギリシャとスペインの若年層は、なんと失業率が50%を超えている。
こうした失業率の高さは、当然ながら国民の不満を増大させる。デモやストが頻発し、選挙のたびに政権側が敗北することも珍しくなくなった。失業率を下げるためには、景気をもっとよくするしかない。しかし多くのヨーロッパ諸国は財政に余裕がない。そこでECB(ヨーロッパ中央銀行)は数日中にも政策金利を引き下げ、日本やアメリカと同様にゼロ金利政策を断行するものとみられている。
(続きは来週サタデー)
≪30日の日経平均 = 下げ -49.34円≫
【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】
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EU全体よりもユーロ圏の失業率が高いのは、ユーロ圏内のギリシャとスペインの失業率が飛び抜けて高いからだ。13年の失業率はギリシャが27.3%、スペインが26.7%だった。ともに4人に1人以上が失業していたことになる。14年の予測をみても、ギリシャが26.0%、スペインは25.5%という状態。
14年の予測で失業率が低いのは、ドイツの5.1%、オーストリアの4.8%など。他の主要国ではフランスが10.4%、イタリアが12.8%、ユーロ圏外のイギリスは6.6%などとなっている。失業率が高い諸国で特に目立つのが、若年層の失業率。たとえばギリシャとスペインの若年層は、なんと失業率が50%を超えている。
こうした失業率の高さは、当然ながら国民の不満を増大させる。デモやストが頻発し、選挙のたびに政権側が敗北することも珍しくなくなった。失業率を下げるためには、景気をもっとよくするしかない。しかし多くのヨーロッパ諸国は財政に余裕がない。そこでECB(ヨーロッパ中央銀行)は数日中にも政策金利を引き下げ、日本やアメリカと同様にゼロ金利政策を断行するものとみられている。
(続きは来週サタデー)
≪30日の日経平均 = 下げ -49.34円≫
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