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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
穀物価格が高騰 / デフレは解消 !? (上)
2012-08-01-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ アメリカが非常事態宣言 = 小麦、大豆、トウモロコシ――穀物の国際市場価格が高騰している。シカゴ商品取引所では先週、小麦の先物相場が1㌴(35.24㍑)=9ドル台、大豆=17ドル台、トウモロコシ=8ドル台と、そろって史上最高値を更新した。中国など新興国の需要増加や投機資金の流入も価格上昇の要因だが、最も大きい原因はアメリカが歴史的な大干ばつに襲われたことだ。

ビルサック米農務長官は先週「全米の6割が干ばつの被害を受けており、作況は25年ぶりの大減産になる可能性がある」と事実上の“非常事態宣言”を発表。政府が低利融資や補助金を出す自然災害地域に、29州の1373郡を指定した。海洋大気局によると、干ばつは中西部を中心にカリフォルニア州からフロリダ州に及び、1956年以降で最悪の状態だという。

アメリカは大豆とトウモロコシの生産量で、世界の4割を占める。その国内在庫が減少するにつれて、価格は急激に上昇した。またアメリカだけではなく、ロシアも干ばつで小麦の生産量が2割減る見通し。インドも干ばつでサトウキビの生産が急減している。その一方、ブラジルでは多雨の影響でコーヒー豆が不作だと伝えられる。

小麦やトウモロコシは飼料にも使われるから、その値上がりは豚肉などの食肉価格にも影響する。日本の場合、輸入に占めるアメリカの比重はトウモロコシが94%、大豆が68%、小麦が52%、豚肉が40%ときわめて高い。すでに飼料用トウモロコシや食料油は値上がりしており、農水省も10月分から輸入小麦の放出価格を引き上げる方針だ。年末に向けて、しょう油・マヨネーズ・バター・豆腐・パン・コーヒーなどの値上がりが心配される。


                                   (続きは明日)

    ≪31日の日経平均 = 上げ +59.62円≫

    ≪1日の日経平均は? 予想 = 下げ

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穀物価格が高騰 / デフレは解消 !? (下)
2012-08-02-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 今回は生産減少が特徴 = 穀物の国際価格はちょうど4年前、08年の春から夏にかけても高騰した。当時は中国など新興国の需要が急増。これに目を付けた投機資金が大量に流入して、価格を吊り上げている。しかし秋になってリーマン・ショックが発生。世界的な不況で需要が減退したため、穀物バブルは崩壊した。

今回の価格高騰は、当時の状況とよく似ている。投機資金も流入しており、砂糖やトウモロコシの先物に対するファンドなどの買い越し量は、この2か月で2倍になったという。しかし根本的に異なるのは、その原因だ。当時は需要超過だったのに対し、今回は供給不足。したがって正常な状態に戻るのには、かなりの時間がかかると考えられている。

したがって穀物の国際価格は、今後も当分の間は上昇するという見方が強い。そのほとんどを輸入に頼っている日本にとっては、大問題である。なにしろ国内自給率は、小麦が9%、大豆が6%、トウモロコシにいたっては1%未満という有様だ。輸入価格が上がっても、対抗手段はない。

乳製品から食肉、豆腐からパンに至るまで、これから年末にかけて多くの食料品が値上がりするだろう。すでにバターや食用油の値上げを発表したメーカーもある。加えて電気料金の引き上げ。消費者物価は上昇するに違いない。そのときデフレからの脱却を目標に掲げている日銀は、どう釈明するのか。まさか「穀物価格の高騰で、デフレが解消して良かった」とは言えないだろう。


    ≪1日の日経平均 = 下げ -53.21円≫

    ≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ

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ボタンかけ違えた 原発再稼働
2012-08-03-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 曖昧な政府の原発政策 = 首相官邸前に集まった小人数の原発反対デモ。それから4か月で人数は1万人を超える規模に膨れ上がり、毎週金曜日には国会を取り巻いている。デモに参加した人たちが原発の危険性を重視し、脱原発に賛成していることは確かだ。しかし具体的な考え方には、大きな差異があることも事実だろう。

たとえば原発は1基たりとも稼働させるべきではない、と考える人。安全確認ができた原発だけを稼働することはやむをえない、と考える人。いずれにしても10年、20年後には原発をゼロにすべきだ、と考える人。これらの人たちが、みな原発反対の旗印の下でデモに参加しているのではないか。

実は政府の曖昧な原発政策が、これらの人びとを結集させたと言えるだろう。政府は6月に、関西電力・大飯原発3-4号機の再稼働を決定した。ところが決定の理由は、夏の電力不足が最も厳しくなりそうな関西電力の域内で、地元の同意を得やすそうな原発を選んだことは明白である。安全確認の順位などは、全く無関係だった。

このため十分な安全確認もされないまま、他の原発も次々と再稼働されるのではないか。また政府は残る49基の原発も稼働させるつもりなのか。将来は原発をゼロにする方針なのかどうか。こうした疑問が国民の間に広まってしまった。国会を囲むデモ隊の“公約数”は、政府の原発政策に対する疑問と不信である。


    ≪2日の日経平均 = 上げ +11.33円≫

    ≪3日の日経平均は? 予想 = 下げ

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サタデー自習室 -- 危ない! 老朽化インフラ ①
2012-08-04-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 怖ろしいその実態 = 道路や橋、上下水道や港湾設備、それに学校や病院、公民館などの公共施設。国民が快適で便利な生活を送るための公共的な建造物を、インフラストラクチャー(社会基盤)と呼んでいる。このインフラの老朽化が進み、大々的な補修や造り直しの必要に迫られているものが急増中だ。調べてみると、その実態は怖ろしいとしか言いようがない。

たとえば橋の老朽化。徳島県の吉野川大橋は全長1137㍍。1972年に完成したから40年しか使われていないが、鋼材の溶接部分240か所に亀裂が見つかり、ことし1月に通行止めとなった。国土交通省によると、老朽化によって通行止めとなった橋は、昨年4月時点で全国216か所に及ぶ。また耐用年数を過ぎた下水管は、全国で延べ1万㌔㍍に達すると推定されている。

インフラの多くは、高度成長期の60年代から70年代にかけて建設された。そのほとんどが、近く老朽化する。たとえば首都高速道路の中心部は、東京オリンピックの開催に合わせて64年に開通した。それから50年近く、最近では老化が著しく補修が追いつかない状態だ。今後20年以内に、建設後50年を超えるインフラが全体の5割を上回るという試算もある。

部分的な補修の継続で、インフラの寿命をある程度は延ばすことができる。だが耐震性の観点から考えると、多くのケースで更新が必要になってくるだろう。しかし問題は、その財源。国土交通省では60年までに補修・更新の費用は190兆円かかると試算した。これらの財源を、どのようにして確保するか。各政党は、まだ議論を始めていない。


                          (続きは来週サタデー)

    ≪3日の日経平均 = 下げ -98.07円≫

    【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2012-08-05-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第10章 景気って、なんだろう? ①

◇ 景気がいいとか悪いとか = みなさんも「景気(けいき)」という言葉は、よく耳にするでしょう。たとえば近所のお母さんたちが、立ち話をしています――「あの家は、とっても景気がいいらしいわ。だって、また新しい車を買ったじゃない」なんて。駅前通りでは、お店の主人がブツブツ言ってます――「近ごろは、どうも景気が悪くってかなわないよ」

このとき景気という言葉は、どんな意味で使われてるのでしょうか。どちらも家やお店の「経済状態」という意味のようですが、状態がどのくらいいいのか悪いのか。その程度については、あまりはっきりはしません。このように、ふつうの会話で使われるときの「景気」は、その程度がかなりあいまいです。

ところが「日本の景気は回復中」とか「世界の景気は下降している」と言う場合には、程度があいまいでは困りますね。ですから世界や国全体や地域の景気を表現するときには、きちんとした物差しが必要になってくるのです。この物差しで見ることによって、景気の状態をはっきり知ることができるわけです。

景気を測るこの物差しを、景気指標(しひょう)あるいは経済指標と言います。この景気指標はとてもたくさんあって、何を見たらいいのか迷ってしまうほど。でも、この章では大事な指標をいくつか説明しますから、みなさんも新聞を読んで景気の物差しについて勉強してみてください。

                                 
                             (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2012-08-06-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ “予想外”に揺れた市場 = 株式市場は先週、2つの“予想外”に直面した。1つはドラギECB(ヨーロッパ中央銀行)総裁に対する期待外れ。同総裁の「私を信じて」発言から、市場は2日のECB理事会でスペインなどの国債買い入れが決まると思い込んでいた。ところが具体的な決定は何もなし。予想が外れて、株価は大きく下落した。

あくる3日、こんどは予想がいい方に外れた。アメリカ労働省が発表した7月の雇用統計で、非農業雇用者が16万3000人も増えたからである。市場は10万人程度の増加と予想していたので、株価は大幅に反発した。ダウ平均は週間21ドルの値上がりに戻している。

日経平均は週間12円の値下がりだった。これはドラギ総裁に対する予想外は反映したものの、アメリカの雇用統計は時差の関係で反映できなかったため。その分は、きょう6日の取引で評価される形になっている。“予想外”に揺さぶられた市場だが、今週は景気指標や企業業績を重視する本来の動きに戻るのではないだろうか。

今週は6日に、6月の景気動向指数。8日に、6月の国際収支と7月の景気ウォッチャー調査。10日に、7月の企業物価。アメリカでは9日に、6月の貿易統計。また中国が9日に、消費者物価、生産者物価、鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資。10日に、7月の貿易統計を発表する。


    ≪6日の日経平均は? 予想 = 上げ

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雇用増加は アダ花 ? : アメリカ
2012-08-07-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 7月は予想を上回ったが = 米労働省の発表によると、7月の非農業雇用者数は前月より16万3000人増えた。事前の予想は10万人程度の増加だったため、市場はびっくり。発表があった3日のダウ平均は217ドルの大幅な上昇となった。これでアメリカの景気見通しは明るくなったという解説も見られるが、そんな楽観はできそうにない。

労働省は発表文のなかで「非農業雇用者の増加数は1-7月を平均すると15万1000人。これは昨年同期の15万3000人とほぼ同じ」だと説明している。なるほどとも思えるが、実はこうした比較よりも最近の趨勢の方が重要だ。たとえば1-3月の平均増加数は22万6000人だったが、5-7月は10万5000人に落ちている。

失業率も8.3%で、前月より0.1ポイント上昇してしまった。これは失業者が4万5000人増加したためである。しかも7月には雇用を増やした小売り業を中心に、企業の間では人員整理を計画しているところが多くなっている。景気の先行きを警戒し始めたためだ。

アメリカの実質成長率は4-6月期に1.5%まで低下した。年の後半に大きく反転上昇する気配は、いまのところ見られない。もし7月の雇用者増加数が10万人を割り込んでいたら、FRBはさらなる金融緩和に動かざるをえなかったと思われる。したがって予想外の増加を示した7月の雇用統計は、緩和の追加策を先送りさせただけ。真夏に咲いたアダ花に終わる公算が大きい。


    ≪6日の日経平均 = 上げ +171.18円≫

    ≪7日の日経平均は? 予想 = 下げ

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「健康寿命」 を育てよう (上)
2012-08-08-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 平均寿命は2年連続で縮む = 厚生労働省が発表した11年の簡易生命表によると、日本人の平均寿命は女性が85.90歳で前年より0.40歳縮小。男性は79.44歳で0.11歳縮小した。この結果、過去26年にわたって世界一の座を占めてきた女性の平均寿命は香港(86.70歳)に抜かれて第2位に転落。男性の順位も4位から8位に下がっている。東北大震災で多数の死者を出したことが響いた。

日本人の平均寿命は09年の女性86.44歳、男性79.59歳が最近のピーク。そのあと10年は異常な猛暑によって高齢者の死亡が多く、平均寿命は縮小した。11年は大震災が原因だったから、日本人の平均寿命は2年続けて自然の猛威に影響されて縮小したことになる。

平均寿命というのは、その年に生まれた赤ちゃんが何歳まで生きられるかを統計的に算出した数字。栄養状態や生活環境、それに医療・衛生の状態が向上するにつれて延びてきた。日本ではこうした一般的な環境に変化はないから、今後は災害などがない限り再び伸長するものと思われる。

たとえば3大疾患と言われるがん、心疾患、脳血管疾患を克服し、これらの病気による死亡がゼロになったと仮定する。この場合、日本人の平均寿命は女性で6.22歳、男性で7.38歳延びると、厚生労働省では試算している。このように病気の克服が次の課題になるが、これに関連して厚労省は「健康寿命」という新しい考え方を打ち出した。


                                  (続きは明日)

    ≪7日の日経平均 = 上げ +77.02円≫

    ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ

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「健康寿命」 を育てよう (下)
2012-08-09-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 平均寿命より健康寿命 = 「健康寿命」というのは、「介護が必要なく自立して元気に過ごせる年齢」という新しい概念。厚生労働省が国民生活基礎調査をもとに試算した。それによると10年の場合、女性が73.62歳、男性が70.42歳だった。10年の平均寿命との差は、女性が12.68年、男性が9.13年ということになる。

言い換えると、女性は13年近く、男性は9年以上にわたって介護が必要になるわけだ。この平均寿命と健康寿命との差は、地域的な格差も大きい。差が最も小さかったのは女性が群馬県の10.61年、男性は秋田県の7.79年。最も大きかったのは女性が広島県の14.55年、男性は大分県の10.3年だった。

厚労省は今後、この差の縮小を目指したいと言っている。だが具体的にどんな政策を実行するかは、これからの課題。日本人が長寿で世界のトップクラスにあることは結構だが、元気で暮らせればそれに越したことはない。さらに平均寿命と健康寿命の差を縮小できれば、医療費の節減にも大きく貢献できる。

こう言っては失礼かもしれないが、厚労省にしてはヒット作品だと思う。まずは「健康寿命」の統計をもっと正確なものに仕上げ、国民へのPRを続けること。また平均寿命との差を縮める方策について、民間のチエも借りながら、早急に検討を進めること。単なる思い付きで終わらせないように。


    ≪8日の日経平均 = 上げ +77.85円≫

    ≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ

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それで自民党は 勝てるのか?
2012-08-10-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 政争に国民はうんざり = 野田首相と谷垣自民党総裁が会談し、消費増税を含む社会保障・税の一体改革法案がきょう10日にもに国会で成立することになった。仮に成立しなかったとすれば、世界は日本の財政再建に疑いの目を注ぐことになったろう。日本の国民も露骨な政争に嫌気が差し、ますます政治離れの方向へと進んだに違いない。

そういう意味では、野田首相の解散は「近いうちに」という言質と引き換えに、不信任案や問責決議案を一応は引っ込めた谷垣総裁の決断は評価されるべきだろう。だが、どうしても理解できないのは、谷垣氏が執拗なほどに早期解散を迫ったことだ。いまなら選挙に勝てると考えたのだろうか。しかし朝日・読売・日経の3紙が実施した最近の世論調査で、自民党の支持率は平均18%にすぎない。自民党は、ほんとうに勝てるのか。

本来ならば財政再建、年金改革、原発政策、TPP参加、議員定数などの重要問題について党の方針を打ち出し、民主党がそれに応じないという理由で内閣不信任案を出すべきだろう。こうした重要な問題で党内をまとめることもできず総選挙に臨んでも、国民は自民党が政権を奪回して何をやるのか全く分からない。

民主党の支持率も下がっているから、自民党の獲得議席は民主党を上回るかもしれない。しかし過半数はムリで、いくつかの政党との連立内閣になる公算が大きい。するとまた政策調整に手間取り、何も決められない政治が継続する。国民に対してマニフェストも示さず解散・総選挙だけを求めるいまの自民党は、自滅の道を歩んでいるのではないか。


    ≪9日の日経平均 = 上げ +97.44円≫

    ≪10日の日経平均は? 予想 = 下げ

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サタデー自習室 -- 危ない! 老朽化インフラ ②
2012-08-11-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 道路橋 :10年後には4万本が老朽化 = 1967年、米ウエストバージニア州の幹線道路にかかるシルバー橋が崩落、46人が死亡するという大惨事が起きた。この事故をきっかけにアメリカでは道路橋の一斉点検が始まり、日本でも橋の老朽化に対する関心が強まった。しかし老朽化のスピードが速く、補修などの対策は追い付かないというのが現状である。

国土交通省によると、長さ15㍍以上の道路橋は全国で15万7000本ある。これら橋の平均的な寿命は50年と言われているが、現在すでに建設後50年を超えたものは全体の約8%。これが10年後には全体の26%、20年後には53%に達する見込みだという。10年後には4万本の道路橋が老朽化することになる。

また国土交通省によると、老朽化のため通行止めになっている橋は216本。重量制限などを実施している橋は1162本で、4年前に比べると1.7倍に増えている。こうした通行止めや重量制限は、今後も急速に増大する見込みだ。近くに代替する橋がないケースも多く、その地域の経済活動や住民の行動に悪影響を及ぼすことも予想される。

いま橋の補修が必要な個所は6万か所以上。このうち補修済みなのは6500か所にすぎない。このように1割ほどしか補修できないのは、予算が足りないためだ。このため地域によっては、老朽化した橋を補修せずに廃止するところも出ている。


                           (続きは来週サタデー)

    ≪10日の日経平均 = 下げ -87.16円≫

    【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2012-08-12-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第10章 景気って、なんだろう? ②

◇ おカネの増え方が大事 = 景気がいいか悪いかは、すべておカネと関係しています。おカネが予想よりたくさん入ってくる状態だと、景気はいい。予想より入り方が少ないと、景気は悪くなります。みなさんも、いつもは2000円のお小遣が3000円になったら嬉しいでしょう。それが景気のいい状態です。

お父さんの給料についても、同じことが言えます。30万円だった給料が33万円に上がれば、その家の景気はそれだけ良くなるでしょう。会社やお店も売上げや利益が増えれば景気がいいし、減るようなことがあれば景気は悪くなります。

会社の利益が増えると、その会社で働いている人の給料も上がりやすくなります。給料が上がると、こんどはその家の買い物が増え、近所のお店の売り上げが増える。こうしておカネがぐるぐる回り、世の中全体の景気がよくなっていくのです。

ですから景気がいいか悪いかは、収入の大きさではなく収入の増え方で決まると言えるでしょう。お小遣いが同じ3000円の人でも、2000円から3000円に上がった人は嬉しい。でも4000円から3000円に減らされた人は嬉しくありませんね。だから多くの景気指標は収入の金額だけではなく、その増え方や減り方をきちんと計算して表示しているのです。


                                (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2012-08-13-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 無風状態のなかの株高 = ダウ平均は先週、1日の値幅が最大で51ドルという小幅な値動きに終始した。夏休みで大口の売買が手控えられたためである。またヨーロッパも夏休みで、ユーロ問題に関する材料が極端に減少した。いわば無風状態だったが、それでもダウ平均は小幅高を続けて週間では112ドル値上がりした。

日経平均も増税法案が成立して一安心の状態。最終日には中国の輸出が大幅に鈍化して売られたが、それでも週間では336円の値上がり。一時は8900円を回復した。市場では「近いうち」の解散は、株価にとってはプラスに働くとみている。各党が選挙目当ての景気浮揚策を打ち出すと期待しているからだ。

ただ日本の景気は下り坂。きょう発表の4-6月期GDP速報をみれば、その感じが強まるだろう。また企業の経常利益も、4-6月期は前年比2%の増加にとどまっている。夏休みが明けると、市場の関心は景気の見通しと政局の行方に集中するだろう。そしてヨーロッパからの情報も、再び流入し始める。

今週は13日に、4-6月期のGDP速報。14日に、6月の第3次産業活動指数。アメリカでは14日に、7月の生産者物価と小売り売上高。15日に、7月の消費者物価と工業生産。16日に、7月の新築住宅着工。17日に、ミシガン大学による8月の消費者信頼感指数とコンファレンスボードの7月・景気先行指数が発表になる。またEUが14日、ユーロ圏の4-6月期GDP速報を発表する。


    ≪13日の日経平均は? 予想 = 下げ

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超低空飛行の GDP 
2012-08-14-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 景気の先行きに黄信号 = 内閣府が発表した4-6月期のGDP速報によると、実質経済成長率は前期比0.3%の増加だった。年率換算では1.4%の成長で、1-3月期の5.5%から大幅に縮小している。プラス成長が4四半期続いたこともあって、内閣府は「内需が成長を押し上げる姿に変わりはない」とコメントしているが、ほんとうに大丈夫なのだろうか。

内訳をみると、最も金額の大きい個人消費は年率0.5%の増加。1-3月期の5.1%増加から目立って減退した。政府の公共投資は7.2%の増加だったが、これも前期の15.2%増加に比べると半分以下になっている。これらの需要低下を補ったのが企業の設備投資支出。前期は6.2%の減少だったが、4-6月期は6.3%の増加に転じている。

このうち個人消費の伸び率鈍化は、エコカー補助金の効果が一巡した影響が大きい。政府の公共投資は災害復興事業によるものだが、これも力を失いつつある。また企業の設備投資は、復興事業の進捗で建設機械や資材関連の投資が拡大した。これら内需関連の項目は、7月以降に大きく伸びる要因が見当たらない。

外需をみると、輸出は1-3月期の14.3%増から4.8%増に減退。輸入も9.1%増から6.4%増に縮小した。EUやアメリカ、それに中国経済の減速で、今後も輸出が伸長する見込みは小さい。その半面で、輸入は電力用の燃料を中心に今後は増加する可能性が大きい。こう考えると、4-6月期に水面すれすれの超低空飛行になった経済成長率が7月以降、水没する危険性はないのか。きわめて心配である。


    ≪13日の日経平均 = 下げ -6.29円≫

    ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ

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日本からの輸入が激減 : 中国
2012-08-15-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 中国側は地震のせいと分析 = 中国税関総署が発表した7月の貿易統計によると、輸出が前年比1.0%しか伸びなかった。6月の11.3%増加に比べると、大幅に鈍化している。最大の輸出先であるEUなどの景気下降が響いた。一方、輸入は前年比4.7%の増加。輸出の伸び悩みで、原材料や部品の輸入が減少した。特に日本からの輸入が大きく落ち込んでいる。

ことし1-7月間の数字をみると、輸出は前年比7.8%の増加。輸入は6.4%の増加となっている。輸出面ではASEAN向けが16.2%増、アメリカ向けが11.4%増と順調だった。しかしEU向けは3.6%減少している。注目されるのは日本との貿易。日本向け輸出は6.6%の増加だったのに対し、日本からの輸入は5.2%も減少した。これについて税関総署は「東日本大震災の影響が大きい」とコメントしている。

輸入が減退した理由は2つある。1つは中国が組み立て・加工型の産業構造であるため、輸出が減ればその材料となる原材料や部品の輸入が減る。もう1つは、中国自体の成長率が落ちて需要が減ることだ。日本からの輸入減少は、前者の影響が大きいと考えられる。大震災の影響という分析は、ちょっと理解しにくい。

内需の減退については、よく判らない点がある。というのは、中国が金融緩和の手を休めてしまったことだ。たとえば7月の消費者物価は1.8%上昇にまで鎮静した。にもかかわらず、このところ利下げも預金準備率の引き下げも見送っている。これは中国政府が国内経済の回復に自信を持っているためか、それとも何か緩和できない障害があるのか。もう少し様子をみないと、なんとも言えない。


    ≪14日の日経平均 = 上げ +44.73円≫

    ≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ

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息切れする 個人消費支出
2012-08-16-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ エコカー補助金も効果なし = 内閣府が7月に実施した消費動向調査によると、一般世帯の消費者態度指数は前月より0.7ポイント低下して39.7となった。これは昨年12月以来の低い水準である。内閣府では、前月までの「ほぼ横ばい」という評価を「弱含みになっている」と下方修正した。

この調査では、暮らし向き・収入の増え方・雇用環境・耐久消費財の買い時の4項目を聞いている。7月の調査では、これら4項目のすべてが前月より低くなった。このうち暮らし向きは前月比0.7ポイントの低下。電気・ガス料金の値上げや穀物の国際価格高騰による食料品の値上がりが、暮らし向きの悪化につながると心配しているようだ。

収入の増え方は前月比0.3ポイントの低下。夏のボーナス支給額の減少が響いている。経団連の集計によると、大手160社の平均妥結額は前年を2.54%下回った。また雇用環境は1.2ポイントの低下。多くの企業が競争の激化と利益の縮小に直面して、再びリストラを進めている現状を反映した結果だろう。

耐久消費財の買い時は0.5ポイントの低下。エコカー補助金の効果も薄れ、7月の新車販売台数は前月比1.5%の増加にとどまっている。4-6月期のGDP速報をみても、個人消費の伸びは前期比0.1%しかない。景気の中核を担う消費の息切れは明らかだが、政府・民主党はどう対応する気なのだろう。


    ≪15日の日経平均 = 下げ -4.84円≫

    ≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ

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日本の政治に “ギリシャ化”の危険
2012-08-17-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 予想される少数政党の乱立 = 秋の総選挙が確実の情勢になってきた。すでに各政党は、その準備に入っている。ところで政党は、いまいくつあるのだろう。民主・自民・公明・共産・社民・国民新・みんなの・新党日本・たちあがれ日本・新党改革。さらに民主党を離脱した国民の生活が第一。それに橋下大阪市長の維新と河村名古屋市長の減税日本が加われば、なんと13になる。

最新の世論調査によると、各党の支持率は最大でも20%に満たない。多くは1-3%の支持率である。もちろん選挙の結果はまだ予測できないが、これでは単独で議席の過半数を獲得できる政党は現れないのではないか。自民党と公明党が組んでも、過半数に達しない可能性さえある。すると3党以上の連立内閣が出現するのかもしれない。

ギリシャはことし4月と6月に、総選挙を2回実施した。1回目の選挙で過半数を上回った政党がなく、連立工作にも失敗。2回目の選挙でも過半数を超えた政党はなかったが、大統領のあっせん工作でやっと3党による連立内閣が成立した。議席獲得数で1位と3位と6位の連立という苦しいワク組みである。

多数の政党が誕生したことは、国民の意識が多様化したことの反映かもしれない。だが結果として複数の政党による連立内閣が生まれれば、政策の調整に時間がかかり、何も決められない政治が継続してしまう危険性がある。消費増税法案の成立によって、経済・財政のギリシャ化は少し遠のいた。しかし政治のギリシャ化は回避できるのだろうか。 


    ≪16日の日経平均 = 上げ +167.72円≫

    ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- 危ない! 老朽化インフラ ③
2012-08-18-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 道路橋 : 震度7で1400本が崩落 = 東日本大震災では7本の橋が完全に崩落、合計354本の橋が損傷を受けた。たとえば茨城県の行方市と鉾田市を結ぶ全長405㍍の鹿行大橋が落ちて、緊急物資の輸送などに大きな障害を与えたことは記憶に新しい。

国土交通省が全国を調査したところ、緊急輸送道路上の橋のうち震度7以上の地震で崩落する恐れがあるものは1400本あることが判明した。このうち400本は首都圏にある橋だという。耐震基準がなかったころに造られたものが多く、やはり大多数が老朽化している。

緊急輸送道路というのは、災害時に緊急車両を優先的に通行させる道路。いわば幹線道路で、この道路上にある全長15㍍以上の橋は全国で約5万5000本。このうち耐震基準を満たしていない橋は1万3000本あったが、現在までに1万1600本は補強工事を終了した。

橋梁の耐震化は橋脚に鋼板を巻いたり、橋脚と桁をケーブルでつないで落下しないようにする。かなりの費用がかかり、たとえばいま工事中の和歌山県・田辺大橋(206㍍)は3億1020万円の予算を投じた。幹線道路以外の橋は地方自治体の管轄下にあって、予算は不足がち。耐震補強をしていない橋は、2000本以上にのぼるとみられている。


                               (続きは来週サタデー)

    ≪17日の日経平均 = 上げ +69.74円≫

    【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2012-08-19-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第10章 景気って、なんだろう? ③

◇ 個人と会社と外国人と政府 = 駅前のパン屋さん。近ごろはお客さんが、いつもいっぱいです。このパン屋さんは、売れ行きも伸びて景気がよさそう。国全体の景気も、このパン屋さんと同じと考えたらいいのです。みんなが前よりも、おカネをたくさん使うようになると、国全体の景気もよくなります。

国全体でみた場合、だれがおカネを使うのでしょうか。第1は、みなさんのような個人。お父さんもお母さんも、お兄さんもお姉さんも、あなたも毎日おカネを使いますね。食べ物や着る物、電気代や交通費。ときには冷蔵庫を買ったり、住宅を建てたりもします。

第2は会社。原料や材料を買ったり、機械を新しくしたり、工場やお店を作ったりします。働いている社員には、給料も払いますね。第3は外国人。そのほとんどは、日本が輸出した製品を買う代金の形で、おカネを使っています。

第4は政府。道路を造ったり、学校や病院の建設。年金を払ったり、警察や消防にも、おカネをかけています。この4つのルートを通って、おカネは毎日どこかに支払われているのです。ですから、この4つのルートを通って支払われるおカネの合計が増えているときには、国全体の景気はいいと言えるでしょう。
 

                                (続きは来週日曜日)           

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今週のポイント
2012-08-20-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ 薄商いのなかの株価上昇 = 夏休みで薄商いのなか、日経平均は先週271円値上がりした。週末には1か月半ぶりに9100円を回復している。株価を押し上げた原動力は、円安が進行したこと。対ドル相場は1か月ぶりに79円半ばまで下落、対ユーロ相場も98円台まで売られた。

為替相場が落ち着くと、日本株の出遅れ感に注目が集まる。年初来安値の6月4日から現在まで、日経平均の上昇率は約8%。ダウ平均の9%、ドイツDAXの17%に比べると、まだ回復は鈍い。先週末の東証1部でみると、PBR(純資産倍率)は0.94倍で相変わらず1倍を割り込んでいる。そこへ目を付けた外国人投資家の買いが戻ってきたようだ。

ダウ平均は閑散のなか、先週は67ドル値上がりした。週末の1万3275ドルは、3か月半ぶりの高値水準である。7月の雇用、生産、小売り、住宅などの関連指標が順調だったことが買い材料になった。このため金融緩和は遠のいたという観測が強まり、為替市場ではドルが買い戻されたわけ。今週もこうした流れが持続するかどうか。

今週は21日に、6月の全産業活動指数。22日に、7月の貿易統計。24日に、7月の企業向けサービス価格が発表になる。アメリカでは22日に、7月の中古住宅販売戸数。23日に、7月の新築住宅販売戸数が発表される。まだ夏休み気分は抜け切れないが、9月に入るとヨーロッパが動き出す。今週は嵐の前の静けさかもしれない。


    ≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ

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EUは 不況に耐えられるのか ? (上)
2012-08-21-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 事実上の景気後退入り = EU統計局が発表した4-6月期のGDP成長率は前期比で、ユーロ圏17か国とEU27か国がともにマイナス0.2%だった。昨年10-12月期はともにマイナス0.3%、また本年1-3月期はともに0%だったから、この9か月間は全く成長しなかったことになる。景気後退の定義は2四半期続けてのマイナス成長だから、定義上は景気後退ではない。しかし実質的には景気後退に入っていると言えるだろう。

国別にみると、やはり財政再建の重荷を背負う南ヨーロッパ諸国の後退が大きい。たとえばイタリアはマイナス0.7%で、4四半期連続のマイナス成長。スペインもマイナス0.4%で、3四半期連続のマイナス成長だった。奇妙なことに、このEUの発表にギリシャは入っていない。しかしギリシャ政府は、4-6月期の成長率を前年比マイナス6.2%と公表している。

問題なのは、ドイツやフランスの成長率も落ちてきたことだ。ドイツはプラス0.3%だが、前期のプラス0.5%よりも減速した。フランスは3四半期続けて0%の横ばいである。ドイツの場合は、輸出の伸び悩みに加えて個人消費や設備投資の減退も目立ち始めてきた。6月の工業生産は0.8%減少している。

輸出の伸び悩みは、中国などの新興国とアメリカの景気低迷によるところが大きい。だが加えて、EU域内の不況も影響を及ぼし始めている。一例を挙げると、7月のベンツの輸出台数は前年比3.1%の減少だったが、EU域内向けは10.2%の減少となった。南の財政問題が、北の経済にも悪影響を及ぼし始めたことを意味している。


                                  (続きは明日)

    ≪20日の日経平均 = 上げ +8.66円≫

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EUは 不況に耐えられるのか ? (下)
2012-08-22-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 迫られるドイツの決断 = 緊縮政策を実行して増税をしたり、公共事業を凍結したり、公務員の人数を減らせば、景気は悪くなる。イタリア・スペイン・ギリシャなど南ヨーロッパ諸国がマイナス成長に落ち込んだのは、このためだ。だが景気が悪くなると税収が減少し、財政再建は困難になる。失業者が増えて、国民の不満が増大する。

この悪循環を打開しようと、フランスのオランド新大統領は「成長政策を加味する必要性」を訴えた。EU首脳もこの提案を受け入れ、6月下旬には1200億ユーロの支出で合意した。ところが、その後は動きがばったり止まっている。支援する側の中核となるべきドイツが、国内事情で何も決められないからである。

ドイツ国内では、南ヨーロッパ支援に対する国民の反対がかなり強い。ある世論調査によると、EU共同債の発行については8割が反対。ギリシャのユーロ圏残留についても、6割が反対という結果が出ている。またユーロ防衛のための恒久的な金融機関ESM(ヨーロッパ安定メカニズム)の創設についても、国民からの訴訟で憲法裁判所がいま審理中。9月12日の判決までは、動きがとれない。

そうしたなかで、南の不況がドイツ自体の足を引っ張り始めた。ESM が違憲だという判断はまさか出ないだろうが、メルケル首相は重大な判断を迫られることになる。国民の反対を押し切っても、ユーロ防衛のためにドイツが力を貸すのか。それとも国内の景気を支えるために、財政支出を拡大するのか。その判断が、世界経済にも大きな影響を与えることは間違いない。


    ≪21日の日経平均 = 下げ -14.24円≫

    ≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ

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増税でデフレ脱却? / 奇妙な政府の見通し
2012-08-23-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 「名実逆転」は16年ぶりに解消 = 政府は17日の閣議で、12-13年度の経済見通しを了承した。それによると実質成長率は12年度が2.2%、13年度は1.7%になる見込み。また名目成長率は12年度、13年度ともに1.9%になると予測している。この通りになれば13年度は名目成長率が実質成長率を上回り、いわゆる「名実逆転」現象は16年ぶりに解消することになる。

名目成長率というのは、時価で計算したGDPの増加率。実質成長率は物価の動きを調整したGDPの増加率。したがって物価が下落していると、名目より実質の方が高い数値になる。こうした状態は「名実逆転」と呼ばれ、98年から続いてきた。デフレの象徴的な現象であり、その解消はデフレからの脱却を意味する。

この政府見通しを作成した内閣府によると、個人消費などの内需が堅調で需給ギャップが縮小し、物価が上昇して「名実逆転」が解消するという。翌年度の予算編成を前に毎年この時期に作成される経済見通しだが、名目成長率が高いと税収見込みも大きくなる。それだけ歳入見積もりを増やし、予算編成が楽になるわけだ。

だが、ほんとうに内需の堅調でデフレから脱却するのだろうか。よく考えてみると、13年度末には消費税の引き上げが予定されている。したがって13年度後半には、増税前の駆け込み需要が増大するだろう。これを“内需の堅調”と言えるのだろうか。また14年度は増税の影響で物価が上がる。それをもって「デフレの克服に成功した」などと言わないでほしいものだ。


    ≪22日の日経平均 = 下げ ー25.18円≫

    ≪23日の日経平均は? 予想 = 下げ

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対案のない自民党は ダメだ!
2012-08-24-Fri  CATEGORY: 政治・経済
議員定数の削減には反対なのか = 夏休み明けの国会が、また活動を停止している。民主党が提出した衆議院の選挙制度改革法案に自民党が反対して、審議を拒否しているからだ。民主党の案は、小選挙区の「0増5減」と比例定数の40議席削減。これに対して自民党は「0増5減」だけを先行するよう主張している。そこで民主党の案には乗れないと、審議に応じない。

与党が提出した案に野党が反対することは、決して不思議ではない。だが現在の自民党の態度は、きわめて判りにくい。なぜ「0増5減」を先行させるのか、理由がはっきりしないからである。さらに国民にとっては、自民党が議員定数の削減に反対しているように思えてしまう。定数削減についての具体的な対案が、見えてこないからだ。

自民党は特別公債法案の審議も拒否している。この法案が成立しないと、今年度予算の赤字国債が発行できず、政府の財源は10月中にも枯渇してしまう。災害復興や国民生活にも、重大な影響が及ぶことは免れない。自民党も、そのことは十分に承知しているはず。ただ野田内閣を困らせ、解散に追い込む道具として使っているように、国民には感じられる。

尖閣や竹島問題についても、自民党は「政府の対応はひどすぎる」と批判している。しかし自民党だったら「こうする」という具体的な対案は全く口にしない。これでは国民も、自民党にやらせてみようという気にはならないのではないか。解散・総選挙を迫るのはいいが、政権を獲ったら「こうする」が示せないようでは、選挙には勝てない。


    ≪23日の日経平均 = 上げ +46.38円≫

    ≪24日の日経平均は? 予想 = 下げ

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サタデー自習室 -- 危ない! 老朽化インフラ ④
2012-08-25-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 首都高 : 大規模な改修が必要に = 道路の老朽化も進んでいるが、なかでも東京の首都高速道路は損傷が著しい。現在の総延長は322.5㌔㍍。東京オリンピックに備えて、まず京橋-芝浦間4.5㌔㍍が1962年12月に開通した。ことし12月には50周年を迎えるわけで、それだけに老朽化の現象は隠せない。

95年の阪神・淡路大震災のあと、首都高速道路会社は3000億円を投じて耐震化工事を実施した。しかし総延長の半分に近い140㌔㍍が建設後30年以上を経ている。そのうち環状線と羽田線の90㌔㍍は、40年以上の酷使に耐えてきた。高速道路会社によると、02年以降に全体で26万件の損傷が見つかったが、そのうちの7万件は建設後40年以上の部分で発生したという。

損傷個所を補修しても、老朽化は着々と進行する。しかも車両の大型化で、損傷個所は増え続ける。もはや補修工事では追いつけない状態だ。そこで高速道路会社は、1兆円の予算で大規模な改修を行うことを決めた。年内には具体的な工事計画を作成する方針。一部の区間では、新しい道路を建設するという。

より根本的な更新計画も持ち上がっている。更新が必要なのは環状線や3号線など延べ75㌔㍍、全体の4分の1に及ぶ。ただ都心のビルに挟まれた部分などは、建て替えることができない。地下道にするしか方法はないが、その費用は莫大なものに。ここでも財源の問題がネックになってくる。 


                             (続きは来週サタデー)

    ≪24日の日経平均 = 下げ -107.36円≫

    【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2012-08-26-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第10章 景気って、なんだろう? ④

◇ 個人の消費支出 = 個人が使うおカネは、どうやって調べるのでしょう。いちばん早く調べられるのは、全国のデパートやスーパーの売上げ金額です。すべての支店が毎日の売上高を本部に報告していますから、毎月の初めには前の月の売上高がわかります。早いので便利ですが、デパートやスーパーの売上げだけで個人の支出を正確にとらえることはできません。

みなさんは、もっといろいろなお店で買い物をしますね。パン屋さん、洋服屋さん、電気屋さん。そんな日本中の小売店の販売額を計算しているのが、商業動態統計という経済指標です。たとえば12年6月の販売額は11兆1660億円、前年の6月に比べると0.2%の増加でした。あまり景気がいいとは言えないことになります。

お店が受け取ったおカネではなく、個人が支出する金額を集めた統計もあります。日本中の家庭が1か月にいくら使ったのか。この経済統計は、家計調査と呼ばれています。たとえば12年6月に、2人以上がいる世帯の支出は平均で26万9810円、前年の同じ月より1.5%増えていました。この統計からみると、景気は少しだけいいことがわかるでしょう。

全国に数え切れないほどある小売店や家庭を、一軒一軒すべて調べるわけにはいきません。そこで、こうした統計はサンプル調査と言って、8000から2万ぐらいのお店や家庭を選んで調べています。みなさんの学校に生徒が600人いるとします。そのなかから30人を選んで身長を計り平均すると、その数字は全校生徒の身長にほぼ一致するのです。


                               (続きは来週日曜日)

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今週のポイント
2012-08-27-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ バーナンキの魔術 = ダウ平均は先週初めから4日間続落、金曜日に101ドル反発して終わった。週間では117ドル値下がりして、7週間ぶりの下落。住宅関連の底入れを示す指標が相次いだのに株価が続落したのは、これで金融緩和が遠のいたと市場が判断したためだ。なんとも理解しにくい市場心理である。

金曜日の反発は、バーナンキFRB議長の議会あて書簡が原因。この書簡でバーナンキ議長は「緩和の追加政策を実施する余地はある」と述べている。市場心理はこれで一変した。感心するのは、そのタイミングのよさ。これまでも同議長は記者会見や講演などで口先だけの“緩和”を表明、何度も株価を反発させてきた。今回は書簡という新しい手段を使って、見事な成果をあげている。

日経平均は週間92円の値下がりだった。東証1部の売買代金が連日1兆円を割り込む薄商いのなか、なんとなく値を崩したという感じである。ただ9月に入るとヨーロッパが動き出す。アメリカでも大統領選挙が終盤に。国内では国会の会期末を迎えて、政局は不穏な状況に突入する。今週はその前哨戦と捉えることができる。市場も夏休み気分から抜け出すことになるだろう。

今週は30日に、7月の商業動態統計。31日には、7月の鉱工業生産、雇用統計、家計調査、、消費者物価、住宅着工戸数が発表になる。アメリカでは28日に、6月のSPケースシラー住宅価格指数とコンファレンスボードによる8月の消費者信頼感指数。29日に、4-6月期のGDP改定値と7月の中古住宅販売。31日には、ミシガン大学による8月の消費者信頼感指数が発表される。またEUは31日、7月の雇用統計と8月の消費者物価を発表する。31日にはバーナンキ議長がジャクソンビルで講演の予定。


    ≪27日の日経平均は? 予想 = 上げ

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歯止め失った 国債買い入れ / 日銀
2012-08-28-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ “銀行券ルール”を逸脱 = 中央銀行が無制限に国債を買い入れれば、財政節度が失われ日銀の信用にもキズが付く。そこで国債の保有額は、日銀券の発行残高以下に抑える。日銀が自ら作った“銀行券ルール”である。そのルールが、いとも簡単に破られてしまった。

日銀の発表によると、8月10日時点の銀行券発行残高は80兆7876億円。これに対して長期国債の保有残高は80兆9697億円で、銀行券の発行残高を上回った。これは金融緩和政策の一環として実施している、資産買い入れ基金による国債の買い入れが増大したため。基金による買い取りは今後も続き、年末の国債保有残高は24兆円、来年6月末には29兆円に達する見込みだ。ルールは完全に破られたままとなる。

このルール破りについて、日銀は「基金による買い入れは臨時の措置であり、ルールには抵触しない」と弁明した。しかし通常のオペレーションによって買い取った国債も基金が買った国債も、国債であることに変わりはない。このまま行くと、今年度の日銀による国債買い入れ額はおよそ43兆円に。政府が発行する44兆円の国債を、ほとんど引き受けてしまうことになる。

問題はこの結果が、日本国債に対する信用低下につながらないかである。日銀は“臨時の措置だから”などという説得力のない姑息な弁明よりも、この大問題をもっと究明すべきだ。買い入れ基金による購入は別ワクなどと言っていると、日銀の国債保有額は無限に増大してしまうだろう。


    ≪27日の日経平均 = 上げ +14.63円≫

    ≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ

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9月は 忙しくなるぞ ! (上)
2012-08-29-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ ヨーロッパが動く = 残暑は厳しいが、間もなく9月入り。夏休みが明けて、世界経済は大きく動く気配を見せている。ユーロ経済が、一つのヤマ場を迎えることは確実だ。大統領選挙を目前にして、アメリカ経済も試練のときを迎える。日本も“政治の秋”に突入する。全体として、いい方向に進むのか、悪い方向に進むのか。それはまだ判らない。

9月初旬、EU・IMF・ECBの合同査察団がアテネに入る。ギリシャ政府が約束した2年間で115億ユーロの歳出削減策が、計画通りに実行されているかどうかを検証するためだ。実行されていないという判定が出れば、EUなどによる資金援助は停止される可能性がある。そうなればギリシャのユーロ圏離脱が、再び現実の問題として浮かび上がるだろう。すでにヨーロッパでは「9月危機説」が流れ始めている。

9月12日、ドイツの憲法裁判所はESM(ヨーロッパ安定メカニズム)が憲法違反かどうかについて判決を下す。仮に違憲の判決が出れば、EUの南ヨーロッパ諸国に対する支援政策は根底から覆ることになる。スペインの銀行に対する融資も、ECBによるイタリアやスペインの国債購入も道を閉ざされることになるだろう。ユーロ圏あるいはEU全体が危機に陥る可能性を秘めている。

同じ9月12日、オランダでは下院の選挙が実施される。いまのところ、反緊縮財政を掲げる野党の社会党が第1党をうかがう勢い。仮に社会党を中心とする内閣が成立すると、これまでドイツとともに財政再建を重視してきたオランダが、再建派から脱落する。こうした動きが、ドイツの姿勢にどんな影響を与えるのか。市場がどう反応するのか。


                                  (続きは明日)

    ≪28日の日経平均 = 下げ -52.10円≫

    ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ

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9月は 忙しくなるぞ ! (中)
2012-08-30-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ アメリカ経済は崖っぷち = 9月に入ると、アメリカでは大統領選挙戦が最高潮に達する。今回はオバマ、ロムニーの両氏が、いまのところ全く伯仲。政権の行く方は予断を許さない。そんななか、最近よく聞かれる言葉が「財政の崖」。その意味は、財政支出の急減によってアメリカ経済は「来年早々、崖から不況の谷へ飛び込む危険がある」というのだから、なんとも怖ろしい。

財政支出が急減するかもしれない理由は3つある。1つはブッシュ減税と呼ばれる大型減税が、ことしの年末で期限切れになること。この年間2000億ドルにのぼる減税がなくなると、来年から実質的に2000億ドルの増税が実施されることになってしまう。2つ目は給与税や各種の優遇税制も、年末で失効する。その総額は約1000億ドル。さらに3つ目は、財政再建のための歳出削減1100億ドルが始まること。

アメリカ予算局によると、その他の措置を含めて来年1月からの財政支出は合計6070億ドルの減少になるという。仮にそうなると100万人以上の雇用が失われ、株価は3割も下落するという試算も出ている。この“財政の崖”問題を乗り越えるためには、議会が減税を継続させるための法律を作らねばならない。

だが減税については、オバマ大統領が年収25万ドル以上の富裕層は減税の打ち切り。ロムニー氏は富裕層を含む全面的な継続を公約。大統領選挙の大きな争点になってしまった。したがって選挙前に、与野党が妥協する可能性はきわめて小さい。選挙後になれば、新議会の招集は来年1月に。ウォール街などは、この9月に妥協が成立する奇跡に頼るしかなくなっている。 


                                    (続きは明日)

    ≪29日の日経平均 = 上げ +36.52円≫

    ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ

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