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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
噛み合わない 円安論議
2022-07-01-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 切れ味が鈍い野党の理屈 = 日銀の金融緩和政策が、参院選を巡る与野党間の論争テーマになっている。金融政策が選挙戦で議論されることは珍しいが、その原因は現在の物価高。エネルギーや食料の価格が高騰し、国民の生活を苦しめている。日銀がゼロ金利政策に固執しているために円相場が急低下、それが物価の上昇に拍車をかけている。選挙戦では、特に共産党や社民党が「ゼロ金利の廃止」を訴えている。

この問題は国会でも取り上げられ、出席した黒田日銀総裁は「金利を上げると、中小企業の経営が苦しくなる。景気も悪化する」と答弁した。選挙戦で自民・公明党は、この理屈を使って反論している。国民民主や維新の会など野党の多くは、どちらかというと傍観。この理屈で反論されると、それ以上は突っ込めないと知っているからだろう。

だが視点を変えてみたら、どうだろう。ゼロ金利政策のプラスとマイナスを比較する方法だ。たしかにゼロ金利で恩恵を受けている中小企業、住宅ロ-ンを借りている個人は、存在する。しかし企業や個人の多くは、いま巨額の預金や現金を保有している。これらの資産にもし年1%の利子が付けば、個人や企業の利子収入は優に10兆円を超えるだろう。

そうなれば消費も増えて、景気は上向く。結果として円安も多少は是正される。経営が苦しくなった中小企業には、必要に応じて救済策を講じればいい。このように攻め方を変えたら、日銀や与党はどう答えるのだろう。特に野党を応援するつもりはないが、ゼロ金利政策はない方が日本経済にはプラスだと考えている。

        ≪30日の日経平均 = 下げ -411.56円≫

        ≪1日の日経平均は? 予想 = 上げ


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 死者が語る コロナ肺炎の危険度 (119)
2022-07-02-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 強まったコロナの感染力 = 世界の感染者は累計5億4639万人、この1週間で502万人増加した。前週の増加数より100万人多い。週間の増加数が500万人を超えたのは、5月中旬以来のこと。死亡者は633万4351人で、週間1万0250人の増加だった。1万人を超えたのは3週間ぶり。全体として感染者は増勢に転じている。多くの国が規制を緩和したこと、それにBA・4、BA・5と呼ばれる変異株の流行が原因のようだ。

国別の死亡者数をみると、アメリカは累計101万7467人。この1週間で2632人増加した。続いてブラジルが67万人台、インドが52万人台、ロシアが37万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが18万人台、イタリアが16万人台、インドネシアとフランスが15万人台、イランが14万人台となっている。アメリカ・ブラジル・インド・イギリス・イタリアで、前週より増加した。

感染力は明かに強まっている。特にブラジルやメキシコなどの中南米諸国、それにイギリスやフランスなどヨーロッパ諸国での感染者増加が目立つ。ただ重症化率や死亡率は、それほど高まっていない。ワクチンの接種率が上昇したためとも考えられるが、インドやメキシコでも死亡率は低い。BA・4などの変異株が、そういう特性を持っているのだろう。各国はその特性を利用して、規制を解除していると言える。

この世界的な傾向は、日本にも当てはまる。日本の感染者は累計933万2478人。この1週間で12万2428人増加した。この増加数は前週より2万2600人多い。また死亡者は3万1281人、この1週間で188人増加した。週間増加数は4週間ぶりに拡大している。第7波が始まったと言う見方も出ているが、とにかくヤマをどこまで低く抑えられるかが勝負。緊急事態宣言は、なんとしても避けたいものだ。

        ≪1日の日経平均 = 下げ -457.42円≫

        【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】     


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今週のポイント
2022-07-03-Sun  CATEGORY: 政治・経済
◇ 円安でも自動車株が下落 = ダウ平均は先週403ドルの値下がり。終り値で3万1000ドルをかろうじて維持した。先々週は強気派が買いに出て1600ドルを超す上昇だったが、先週は慎重派が売りに出た。それでも先々週の上昇分の4分の1を失った形でとどまっている。しかしアメリカの景気先行きに対する警戒感はむしろ強まっているから、今週の動きは重いだろう。

日経平均は先週556ドルの値下がり。こちらは先々週の上昇分を、すべて吐き出した。終り値は2週間ぶりに2万6000円を割っている。注目されたのは、円安が続いたにもかかわらず、自動車株が大きく売られたこと。投資家が円安によるプラスの効果よりも、世界的な景気の減速で販売台数が減少することの方を重視した結果だと考えられる。

景気の先行き見通しが悪化すると、FRBによる金融引き締めの手綱が緩む。そういう予想から、株価は上がるかもしれない。しかし景気が本当に悪化すれば、企業の業績が低下する。だから株価は短期的に反発することはあっても、長期的には下落する。その程度は、景気後退の大きさしだい。結局は4-6月期の企業業績によって、左右されることになるだろう。

今週は7日に、5月の景気動向指数。8日に、5月の家計調査、6月の景気ウオッチャー調査。アメリカでは6日に、6月のISM非製造業景況指数。7日に、5月の貿易統計。8日に、6月の雇用統計。また中国が9日に、6月の消費者物価と生産者物価を発表する。なお10日は、参議院議員選挙の投開票日。

        ≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ


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景気後退は不可避 / アメリカ (上)
2022-07-05-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ インフレと金融引き締めで = 「景気後退は避けられそうもない」--こんな声がアメリカの経済界で急速に強まってきた。このため株式市場も、このところ元気がない。非鉄金属などの商品市況も下がり気味だ。ただ景気後退の時期や深さについての見方は、まだバラバラ。一致しているのは「景気後退がやってくる」という警戒感だけである。

景気の下降傾向は、いくつかの経済指標にも表れている。たとえば5月の小売り売上高は6729億ドル、前月より0.3%減少した。住宅着工戸数は14.4%の減少。また6月のISM製造業景況指数は53.0で、2年ぶりの低さとなった。このほかダウ平均株価は6月中に2200ドルの値下がり、銅の国際相場は1年3か月ぶりの安値に沈んでいる。

原因は最近の物価騰貴とFRBによる金融引き締め。物価の上昇で消費者は支出の見直しを余儀なくされ、たとえば自動車や家電、家具などを買い控えるようになった。特にガソリン価格の高騰は、消費者の心理に大きな悪影響を与えている。加えて金融引き締め政策は、当然ながら消費や設備投資を抑制する方向に働く。

そのFRBは「景気よりもインフレの抑制を優先する」姿勢を明確にしている。パウエル議長は最近の討論会でも「労働市場は非常に強く、金融引き締めに耐えうる状態だ」と強調した。したがって、経済界では「景気が多少悪化しても、金融引き締めは続く」と覚悟し始めている。専門家は「政策金利は、この秋のうちに3%になるだろう」と予測している。

                        (続きは明日)

        ≪4日の日経平均 = 上げ +218.19円≫

        ≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ


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景気後退は不可避 / アメリカ (下)
2022-07-06-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 年内の後退入りはほぼ確実 = アメリカでは「実質成長率が2四半期続けてマイナスになれば、景気後退」という定義が確立している。すでに発表された、ことし1-3月期の実質成長率はマイナス1.4%だった。したがって仮に4-6月期の成長率がマイナスになれば、景気後退ということになる。また4-6月期がプラスになったとしても、7-9月期と10-12月期がマイナスになれば、やはり景気後退。そのどちらの可能性も高いから、年内の後退入りはほぼ確実という結論になる。

そこで問題は、景気後退の長さと深さになる。ただ、この点の見方はまだ固まっていない。市場では「浅くて長い」とか「深くて短い」とか、様々な見方が飛び交っている。このうち楽観論の根拠は、コロナの行動規制で消費者の懐には約3兆ドルの過剰貯蓄が存在すると考えられること。この資金が支出に向かえば、消費の落ち込みは小さくなる。その結果、景気後退の深さも浅くなるという理屈だ。

一方、慎重論の根拠は金融引き締めの悪影響。インフレが収まらず引き締めが強化されると、個人消費も出にくくなる。その結果、景気後退が長く、深くなる可能性もないではない。最悪の場合はスタグフレーション、つまり物価高と不況の併存という状態に落ち込みかねない。FRBはいわゆる‟軟着陸”に失敗するかもしれないとみるわけだ。

アメリカでは、個人消費がGDPの7割を占める。このため楽観派も慎重派も、消費の動向を最重視する点では同じだ。アメリカの景気動向は貿易や為替の面を通じて、直ちに日本経済へも大きな影響を及ぼす。したがって当分は、小売り売上高や消費者物価などアメリカの消費に関連した経済指標から目を離せない。

        ≪5日の日経平均 = 上げ +269.66円≫

        ≪6日の日経平均は? 予想 = 下げ


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‟死に金” 1400兆円を 動かせ!
2022-07-07-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 政府が最新鋭技術基金を立ち上げる = 日銀の集計によると、個人の金融資産は3月末時点で2005兆円だった。前年比2.4%の増加。このうち現金・預金は1088兆円と相変わらず多く、全体の54.3%を占めている。一方、金融機関を除く民間企業の金融資産は1253兆円。このうち現金・預金は323兆円だった。個人と企業を合わせた現金・預金は1411兆円にも達するが、そのほとんどが日本経済にとっては何の役割も果たしていない。

いま仮に1000万円を定期預金しても、年間100円の利子しか貰えない。だから個人や企業の現金保有が多くなる。だが、このおカネは何の働きもしておらず、全くの‟死に金”。銀行も貸出金利が低いから、貸しても儲からない。だから積極的に貸出先を探さず、国債や海外の証券に投資してしまう。日本経済のためには、ほとんど役立っていない。

こんな‟死に金”の1400兆円が半分でも動き出せば、日本経済は再び世界経済の先頭に立てるだろう。政府はこの点に注目し、努力を傾注すべきではないのか。それにはまず大量の‟死に金”が発生している原因を追究し、それを生きた経済に放出するための施策を構築する。早急にやってもらいたい。

思い付きの一例を挙げる。GPIF(年金積立金管理運営独立行政法人)や政策投資銀行など、それに民間企業も参加して、最新鋭技術開発基金を設立。年利2%の債券を発行する。総額は100兆円。政府が元本を保証する。債券を購入できるのは、個人と中小企業だけ。たとえば各種電池の技術開発と新製品の製造に特化する。こうすれば‟死に金”の多くが生き返り、日本経済の将来に大きく貢献できるのではないか。すぐ実行すべし。

        ≪6日の日経平均 = 下げ -315.82円≫

        ≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ


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アテにするな! サハリン2 
2022-07-08-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 逃げ腰では何も出来ない = プーチン大統領は6月末、極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」の運営会社を接収する命令を下した。現在はロシア国営ガス会社ガスプロム、イギリス・シェル、それに三井物産、三菱商事などが出資しているサハリンエナジーが運営しているが、その資産や従業員、各種の権利などいっさいを新しく設立する法人企業に譲渡させる。三井物産などはロシア政府が提示する条件を呑めば、新会社の株主になれるという内容。

サハリン2のLNG(液化天然ガス)生産量は年間1000万トン。日本は600万トンを輸入しており、その半分程度が発電用の燃料として使われている。したがって仮にこの輸入契約が破棄されると、日本はその分を割高なスポット契約で買い付けなければならなくなり、貿易赤字が拡大する。またエネルギーの国際価格がさらに上昇すれば、負担は一層増大する。

「なんという暴挙だ」と怒りの声が挙がるのは当然だ。しかし冷静に観察してみれば、G7(主要7か国)やNATO(北大西洋条約機構)の会議では「ロシアは直接の脅威」と認定、敵国視したばかり。日本も同意した。そうした相手に「暴挙だ」と怒ってみても始まらない。もちろんロシア側と粘り強い交渉を続けることは必要だが、政府はもっと真剣に根本的なエネルギー対策を考えるべきだろう。

日本のエネルギー自給率は、わずか12%程度。輸入が困難になれば、原発や再生エネルギーを増やして自給率を上げるしかない。たとえば欧米諸国は、みな原発に対する基本的な姿勢を明確にして、そのなかで努力を重ねている。それなのに日本政府は、原発をどうするのか。いまの選挙中でも逃げ回っている。その弱腰が、ロシアに付け込まれたとも言えるだろう。

        ≪7日の日経平均 = 上げ +382.88円≫

        ≪8日の日経平均は? 予想 = 上げ


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 死者が語る コロナ肺炎の危険度 (120)
2022-07-09-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 小池都知事は‟第7波”と断定 = 世界の感染者は累計5億5250万人、この1週間で611万人増加した。この増加数は前週より109万人多い。4週連続の増加で、週間600万人を超えたのは4月中旬以来のこと。死亡者は634万4720人で、週間1万0369人の増加だった。前週より119人多いが、ほぼ横ばいで推移している。変異株BA・5が拡大、感染力は強いが重症化率は低いのが特徴。日本でも感染が急拡大している。

国別に死亡者数をみると、アメリカが累計101万9083人。この1週間で1616人増えた。続いてブラジルが67万人台、インドが52万人台、ロシアが37万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが18万人台、イタリアが16万人台、インドネシアとフランスが15万人台、そしてドイツがイランを抜いて14万人台。このうちアメリカとロシア以外は、すべて増加数が拡大した。

日本の感染者は累計955万0584人、この1週間で21万8106人増加した。この増加数は前週のほぼ2倍。前回‟第6波”のときよりも、増加のスピードは速い。ただ死亡者は3万1379人で、週間98人の増加。この増加数は前週より90人少なくなっている。東京都の場合、感染者の増加数は前週の2.2倍に達し、小池都知事は「第7波の襲来」を確認した。

しかし東京都が「まん延防止措置」などの規制を、国に求める気配はない。政府も「自治体からの要請がないから、規制は考えない」と言っている。変異株BA・5は重症化率が低いから、いまのところ病床の逼迫はない。だから規制は考えないのか、それとも参院選の前には動きたくないのか。いずれにしても、手遅れにならないようにしてもらいたい。

        ≪8日の日経平均 = 上げ +26.66円≫

        【今週の日経平均予想 = 5勝0敗】     


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今週のポイント
2022-07-10-Sun  CATEGORY: 政治・経済
◇ NY市場は「いつか来た道」 = ダウ平均は先週241ドルの値上がり。FRBによる利上げは7月も0.75%という予想が固まるなかで、長期金利が下落したこともあって株価は上昇した。また失業保険の申請件数が増加したり、景況感指数が下がったりしたが、これは買い材料に。「景気が悪くなればFRBの引き締めテンポが遅くなる」という、いつものやや倒錯した論理が顔を出したようだ。

日経平均は先週582円の値上がり。ニューヨークの上昇にも引きずられたが、前週の下げに対する反発の面が強い。円相場が横ばいで落ち着いたことも、市場を安心させた。週末には安倍元首相が凶弾に倒れる事件が発生。株価は下落したが、終り値では小幅高となった。政局に対する影響を心配したというより、事件の意外性に驚いた結果だと専門家は分析している。

ニューヨーク市場の「悪材料は買い」という論理は、まだ少し続くかもしれない。しかし、こういう奇妙な理屈がいつまでも続くわけはない。結局は物価高と金融引き締めで、景気がどの程度まで悪化するか。企業の業績に、どんな変化をもたらすか。そこに帰着するだろう。その意味で、株価の上値はいぜんとして重苦しい。

今週は11日に、5月の機械受注。12日に、6月の企業物価。15日に、5月の第3次産業活動指数。アメリカでは13日に、6月の消費者物価。14日に、6月の生産者物価。15日に、6月の小売り売上高、工業生産、7月のミシガン大学・消費者信頼感指数。また中国が13日に、6月の貿易統計。15日に、4-6月期のGDP速報、6月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資額を発表する。

        ≪11日の日経平均は? 予想 = 上げ


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野党が大敗した 理由3つ
2022-07-12-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 自民党の弱点を攻められなかった = 参院選挙では、自民党が圧勝した。野党が大敗した理由としては候補者の一本化に失敗したことなど、いろいろ挙げられている。だが経済問題に関しても、3つの大きな敗因があったと思う。その1つは電力不足問題。結局は原発の再稼働に頼るしかないが、自民党は「出来るだけ活用する」と言うだけで逃げ回った。しかし野党の多くは原発反対だから、この自民党の弱点を攻められない。このため国民は最後まで電力不足にどう対処するのか、知ることが出来なかった。

2つ目は物価高の問題。なかでも日銀のゼロ金利政策で、円の対ドル相場が急落。これが物価高に拍車をかけている。日銀は「金利を上げたら景気が悪くなる」と主張し、自民党もこれに同調。しかし専門家の多くは「ゼロ金利政策の継続は、日本経済にとってはマイナス」と批判し始めた。これも自民党にとっては弱点になるところだったが、野党は勉強不足。ほとんど口を出せなかった。

物価高について、野党の多くが「消費税の引き下げ」を主張した。きわめて判りやすい内容だから、有権者に受けると考えたに違いない。ところが有権者の多くは、納得しなかった。自民党の「では福祉財源はどうするのか」という反論の方に、耳を傾けたのである。いま国民は、将来の生活に不安を持っている。そんなところへ、年金の将来を危うくするような政策には乗れない。有権者は野党の公約は安易すぎると判断したわけだ。

世論調査などによると、選挙戦を通じて国民は経済問題に高い関心を寄せていた。具体的に言えば、エネルギー・賃金・物価・老後の生活など。しかし与野党が論戦を極めたにもかかわらず、明らかになったことは全くなかったと言えるだろう。これは与党側が巧みに弱点を覆い隠したとも言えるが、野党側が問題を掘り起こせなかったとも言うことが出来る。野党の大敗は自明の理だった。

        ≪11日の日経平均 = 上げ +295.11円≫

        ≪12日の日経平均は? 予想 = 下げ


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景気後退を織り込む 市場
2022-07-13-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ NY株式市場だけは変則行動 = 多くの金融・商品・為替市場が景気後退の到来を織り込み始め、このところ値を下げている。ウクライナ戦争がもたらした物価の上昇に、インフレを阻止するための金融引き締め政策が重なって、消費が頭打ちに。景気後退は避けられないという見方が強まっている。世界銀行もことしの世界経済の実質成長率見通しを4.1%から2.9%へと、大幅に下方修正した。

ロシアの供給停止が懸念されることから、ヨーロッパでは天然ガスの価格が急騰している。ところがニューヨーク商品市場のWTI(テキサス産軽質油)先物価格は急落。12日には1バレル=95ドル台まで下落した。これは世界的な景気後退で、原油の需要が減少するという予想が広がったため。また鋼材や銅、アルミなどの金属類、それに綿花や木材の相場も大幅に下落した。このところ堅調に推移してきた金価格も下げている。

円の対ドル相場は最近、136-137円で推移している。日本の自動車メーカーにとっては、大儲けが出来る環境。だが東京市場では先週、自動車株が大きく売り込まれた。アメリカが景気後退に陥り、自動車の販売が急減するという観測が強まったためである。もちろん、こうした環境の変化は自動車だけではない。すべての輸出品について言えることである。

こうしたなかで、やや趣を異にするのはニューヨーク株式市場だ。全体としては不況を警戒して下げているが、いまは景気後退を歓迎するムード。失業保険の申請者が増えたり、景況見通しの悪化が報道されると、株価は上がる。景気の見通しが悪化すると、FRBによる金融引き締めのテンポがゆっくりになるという期待が強まるからである。ニューヨーク市場ではしばしば現われる倒錯した論理だが、いずれは景気後退を心配する正常な感覚に戻るだろう。

        ≪12日の日経平均 = 下げ -475.64円≫

        ≪13日の日経平均は? 予想 = 上げ


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爆発した 世界の人口 (上)
2022-07-14-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ ことし11月15日に80億人を突破 = 「もの凄い数字だ」としか言いようがない。国連の推計によると、世界の人口はことしの11月15日、80億人を超える。1900年には16億5000万人だったものが、2011年には70億人に増えていた。今後は30年に85億人、50年には97億人。増加率がしだいに下がるため、80年代には104億人でピークを迎える見通しだという。

そうしたなかで、人口の変動は地域や人種間で大きな差を生じる。たとえば、いま最も人口が多い中国はすでに縮小期に入っており、来年中にはインドが代わって世界一の人口大国にのし上がる。また一般にアメリカを除く先進国の人口は減少する一方、アフリカを中心とした途上国の人口が増加を続ける。特に22-50年の間、後発発展途上国と呼ばれる46か国の人口が11億1000万人から19億1000万人に増加する見通しだ。

具体的にみると、今後も人口が大きく増える国はインド・ナイジェリア・コンゴ・エチオピアなど。日本を筆頭に少子化で人口減に悩む先進国とは、全く対照的だ。先進国のなかで、唯一の例外はアメリカ。人口の自然減少を、移民によって補っている。20年の国勢調査によると、白人の人口が初めて減少、全人口に占める白人の比率も6割を切った。

世界人口の増大は、2つの重大な問題を提起する。1つは食料の問題。いまウクライナ戦争の影響で食料不足が問題となっているが、これは供給不足が原因。その裏では、人口増による需要増を原因とする食料不足という問題が着々と進行しているわけである。もう1つは、貧富の差がますます拡大しかねないこと。人口の少ない富者と人口の多い貧者の対立が、激化する危険はないのだろうか。

                       (続きは明日)

        ≪13日の日経平均 = 上げ +142.11円≫

        ≪14日の日経平均は? 予想 = 下げ


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爆発した 世界の人口 (下)
2022-07-15-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 過剰人口と格差の大問題が発生 = 世界の人口爆発は、①100億人という多すぎる人口が惹き起こす問題②その内部で必然的に生じる格差の問題--を発生させる。まず過剰な人口が惹き起こす問題は、食料・エネルギー・資源が不足して奪い合いが起こる危険性。国連によると、いまのウクライナ危機だけで世界で16億人がその危機に曝されているという。ウクライナ戦争が終結したとしても、それよりずっと厳しい状態に陥る危険性は決して否定できない。特に多くを輸入に頼る日本は、どう対処したらいいのか。

いま日本は電力不足の危機に見舞われ、食料や資源の高騰に悩まされている。しかし政府も一般の国民も、ウクライナ戦争が終われば正常な状態に戻ると信じているようだ。だが長期的にみれば、食料・エネルギー・資源の奪い合いが続くことは避けられないのではないか。政府は安易な‟対症療法”ではなく、食料・エネルギー・資源の自給率を少しずつでも引き上げる戦略的な政策を重視すべきではないのか。

もう1つは、格差の問題。人口が少ない先進国に、富が集中していることは事実である。そして貧しい国の人口が、ますます増えて行くことも事実である。当然ながら、格差は拡大する。この傾向が、どのような結果をもたらすのか。国や地域、あるいは人種や宗教や言語の違いによる対立が、ますます強まる危険性はないのだろうか。

いまウクライナ戦争を巡って、アメリカ・EU・日本は一致して民主主義を守ろうと努力している。だが世界を見渡すと、いわゆる民主主義国の人口は約35億人。これに対して非民主主義国の人口は40億人を超えている。推計によれば、民主人口は減り気味。非民主人口は大幅に増えそうだ。こうした状況をどう乗り切って行くのか。人類にとって史上最大の試練なのかもしれない。

        ≪14日の日経平均 = 上げ +164.62円≫

        ≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ


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 死者が語る コロナ肺炎の危険度 (121)
2022-07-16-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ ‟第7波”は‟第6波”よりも強烈 = 世界の感染者は累計5億5954万人、この1週間で704万人増加した。この増加数は4月上旬以来の大きさ。死亡者は636万3300人で、週間1万8580人増加した。この増加数は5月中旬以来の大きさ。オミクロンの変異種BA・5の拡大によるもので、重症化率は低いものの、感染者が増加したことで死亡者も増える傾向にある。コロナ禍は新たな局面に入ったと言えるだろう。

国別の死亡者数をみると、アメリカが累計102万3620人。この1週間で4537人増加した。続いてブラジルが67万人台、インドが52万人台、ロシアが37万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが18万人台、イタリアが16万人台、インドネシアとフランスが15万人台、ドイツが14万人台となっている。特筆すべき点は、これら上位10か国のすべてで死亡者数が前週より増えたことだ。

日本の感染者は累計1001万5012人。ついに1000万人を超えた。この1週間で46万4428人増加している。この増加数は2月下旬以来の大きさ。死亡者は3万1534人で、週間155人の増加。前週より57人増えている。1日当たりの新規感染者数をみると、‟第6波”のピークが2月1日の10万4483人。先週は9万7000人を数えており、間もなく‟第6波”のピークを超えることは確実。しかも増加のスピードは‟第6波”よりも、かなり速い。

こうした状況のなか、政府の分科会は「行動規制は実施しないこと」を決めた。経済の正常化を優先する政府の方針を反映したのだろう。また政府関係者は「自治体から要請がないためだ」とも説明している。ところが、たとえば東京都は事態を重視し、警戒レベルを「最も深刻な状態」に引き上げた。コロナ対策の責任は、政府にあるのか自治体にあるのか。国民にはきわめて解りにくい。

        ≪15日の日経平均 = 上げ +145.08円≫

        【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】     


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今週のポイント
2022-07-17-Sun  CATEGORY: 政治・経済
◇ 復元力も見せた株式市場 = ダウ平均は先週50ドルの値下がり。週初から下げ続けたが、金曜日には650ドル以上も反発した。続落したのは、6月の消費者物価が9.1%も上昇。FRBが大幅な利上げを続けるという観測が強まったため。週末の反発は、6月の小売り売上高が堅調だったことを材料にしている。消費の堅調は大幅な利上げに繋がるから、市場の論理としては必ずしも一貫していない。

日経平均は先週271円の値上がり。ニューヨークが下げ基調だったにもかかわらず、火曜日を除いて上昇している。6月の企業物価が9.2%上昇、円安の進行、中国経済の失速などの悪材料にも動揺しなかった。参院選で与党が圧勝したための安心感も作用したようだが、それにしても予想以上の強さ。ただ買い手はほとんど海外投資家で、国内勢はむしろ売りに回っていたようだ。

FRBが来週26-27日の政策決定会合で、政策金利の0.75%引き上げを決めることは確実。その結果、アメリカの景気は下降を余儀なくされるという予想も強まっている。一方、引き締めは始まったばかりだから、市中の資金はまだまだ十分。だが金(きん)や原油などの商品市場には、先行き警戒感が広がってきた。残るのは、株式市場だけ。これが予想外の反発力となっているのではないだろうか。

今週は20日に、6月の訪日外国人客数。21日に、6月の貿易統計。22日に、6月の消費者物価。アメリカでは18日に、7月のNAHB住宅市場指数。19日に、6月の住宅着工戸数。20日に、6月の中古住宅販売が発表される。        


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経済成長に急ブレーキ / 中国
2022-07-19-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 4-6月期の成長率はマイナス10% = 中国統計局の発表によると、4-6月期の実質成長率は前年比で0.4%だった。上海市などの都市封鎖で経済活動が阻害された結果で、1-3月期の4.8%から大きく減速している。中国ではGDP統計を前年同期比で発表するが、これを欧米や日本と同様に前期比の年率換算で計算してみると、マイナス10.0%に。習政権が目標として掲げた「ことし5.5%成長」は達成が困難になったという見方が強まっている。

同時に発表された主要な経済指標をみると、1-6月期の鉱工業生産は前年比3.4%の増加で、1-3月期の6.5%増から減速。小売り売上高は1-3月期の3.3%増から、1-6月期では0.7%の減少に転落した。また固定資産投資額は1-6月期で6.1%の増加だったが、不動産投資額は激減した。都市部を中心に失業者が急増しており、国民の不満も増大している。

習政権は地方政府によるインフラ投資の拡大で、景気の立て直しを急ぐ方針。都市封鎖も6月以降は解除されてきたため、7-9月期の成長率が欧米方式でみてもプラスになることは確実だろう。ただ上半期がマイナスとなっているから、年間を通しては3%台の成長にとどまるのではないだろうか。

こうした中国経済の動向について、日本の新聞やテレビは「世界経済にとっては悪い材料」だと論評している。たしかに間違ってはいない。しかし、いま世界経済はインフレと闘っている。この見地からすれば、中国によるエネルギーや資材の需要が抑制される方が望ましい。ことし3%成長ぐらいが、いちばん好ましいのではないだろうか。

        ≪19日の日経平均は? 予想 = 上げ


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‟将来”が見えないよ! 岸田さん (上)
2022-07-20-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 原発政策は新味ゼロ = 「冬の電力不足を解消するため、最大9基の原発を稼働させるよう、萩生田経産相に指示した」--岸田首相は14日の記者会見で、こう言明した。これまで「原発は安全性を重視しながら、最大限に活用する」の一点張りだった首相も、参院選が終わってようやく前に一歩を踏み出したか。そんな思いでテレビ中継を見ていたが、これは完全な誤解。調べてみると、この首相発言には何の意味もなかった。

原子力規制委員会に再稼働を要請した原発は、これまでに25基。そのうち10基が安全審査をパスしている。しかし定期点検や改良工事で5基が運転を停止中。いま稼働しているのは5基だけ。さらに九州電力の玄海4号機はテロ対策工事が遅れて、9月以降は運転が出来なくなる。したがって、冬までに運転が可能なのは9基という計算。岸田首相の発言は、こうした原発の現状を説明したに過ぎず、一歩前進でも何でもなかった。

それどころか「最大9基」というのは、何を意味するのだろう。本来ならば「最低9基」と言うべきだが、首相みずからが「10基以上の稼働はムリ」と白状しているようにも受け取れる。たしかに規制委員会の審査は厳しさを増し、地元住民の同意を取り付ける作業も難しくなっている。だが総理大臣としては現状を‟非常時”として認識し「10基以上の原発稼働」を、関係者のみなさんにお願いすべきではなかったか。

それが出来なかったのは、政府が原発の‟将来像”を描いていないためだろう。日本はこの先もずっと原発を持ち続けるのか。それとも将来は原発をゼロにするのか。この長期ビジョンが示されないから、国民の不安も解消されない。たとえば「2050年の原発ゼロ」を目指すが、いまは15基の原発を動かしたいとでも言えば、国民や地元住民の考え方も大きく変わったはずだ。

                        (続きは明日)

        ≪19日の日経平均 = 上げ +173.21円≫

        ≪20日の日経平均は? 予想 = 上げ


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‟将来”が見えないよ! 岸田さん (下)
2022-07-21-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ ‟その場しのぎ”の政策ばかり = 岸田首相は同じ記者会見で「火力発電についても、追加的に10基を確保する」と述べた。電力会社は老朽化で効率が落ちた火力発電所を、廃棄する予定で運転を停止している。これを修理させて動かそうというものだ。たしかに、これで消費電力の5%以上は賄える計算になる。

だが老朽化した火力発電所は、大量のCO₂を発生させる。すると政府は「脱炭素政策を中断あるいは放棄するのだろうか」という疑問が湧く。しかし岸田首相は、この点についてひと言も説明していない。つまり差し迫った電力不足という危機に対して、応急措置は施した。しかし、その後はどうするのか。将来展望が全くない。

たとえばガソリンの高騰に対しては、補助金を出して店頭価格の値上がりをある程度は抑制した。これも応急措置である。だが電力やガソリンの不足・価格の高騰は、この夏冬だけの問題なのだろうか。もし来年もこうした状況が続いたら、政府は応急措置を繰り返すのだろうか。その辺が全く不明だから、家計も企業も心配で支出を増やすことが出来ない。

3年・5年・10年後のエネルギー不足は、大丈夫なのか。政府は将来の目標を鮮明にして、そのための対策を積み上げるべきではないのか。同じことは食料についても言える。小麦については同様の補助金を支出した。だが長期的に自給率を引き上げるための政策は見えてこない。岸田政策の最大の欠点は、将来が見えないこと。だから国民の不安は解消されない。

        ≪20日の日経平均 = 上げ +718.58円≫

        ≪21日の日経平均は? 予想 = 下げ


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たったの252人! 訪日観光客
2022-07-22-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 観光局は数字を公表せず = 観光局は20日、6月の訪日外国人客数を発表した。それによると、6月中に来日した外国人客数は12万0400人で、コロナ前の19年6月に比べると95.8%も減少している。1-6月間でみると、訪日客は50万7600人。19年6月比では96.9%の減少だった。政府は3月に観光目的以外の外国人を条件付きで受け入れ開始、また6月10日からはパッケージ・ツアー観光客の入国を解禁したが、効果はまだ表われていないようだ。

ところが、この発表にはおかしな点がある。1-6月間の訪日客を国別にみると、ベトナムからの入国が10万4800人で第1位。次いでインドネシアが3万3900人、アメリカが2万8600人などとなっている。ここからみると、ビジネス目的の来日者よりも、実習生や留学生の方がずっと多かったのではないか。それなら‟訪日客数”とくくるのは変で、単に‟訪日外国人数”とすべきだろう。

もっと不可解なのは、観光局が「観光を目的とした訪日客」の数字を公表しなくなったこと。発表文書のどこを探しても、その数字は見当たらない。しかし読売新聞の記事には、「6月の観光客は252人にとどまった」と書いてある。おそらくは担当記者が独自に取材した数字なのだろう。観光局はあまりにも少数だったので、発表しなかったのだろうか。

いま旅行・宿泊・小売り関係者の間では、外国人観光客の再来を心待ちしている人も少なくない。そういう関係者はインバウンド景気をどのくらい期待できるのか。そのために、どの程度まで準備をしたらいいのか。大いに迷っている。観光局はそういう人たちに、正しいデータを提供することが仕事のはず。悪いことは隠したがる役人根性は、止めてもらいたい。

        ≪21日の日経平均 = 上げ +122.74円≫

        ≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ


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 死者が語る コロナ肺炎の危険度 (122)
2022-07-23-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 突出した日本の感染者増加数 = 世界の感染者は累計5億6678万人、この1週間で725万人増加した。この増加数は前週より20万8000人多い。死亡者は638万0790人で、週間1万7490人の増加だった。この増加数は前週より1090人少ない。全体として高水準の横ばい状態が続いており、大きな変化はみられない。こうしたなかで、日本の感染者が突出して急増したことが目立っている。

国別の死亡者数をみると、アメリカが累計102万5741人。この1週間で2121人増加した。次いでブラジルが67万人台、インドが52万人台、ロシアが37万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが18万人台、イタリアが17万人台、インドネシアとフランスが15万人台、ドイツが14万人台となっている。各国とも微増しているが、大きな変化はない。

日本の感染者は累計1081万6140人。この1週間で80万1128人増加した。この週間増加数は過去最大。死亡者は3万1750人で、週間216人増加した。この増加数は8週間ぶりの大きさ。ほぼ全国に拡散した変異株BA・5の重症化率は低いが、感染者数が激増したため死亡者も増え始めた。感染者は1日で15万人を超えており、沖縄県や大阪府では医療体制がひっ迫している。

新規感染者が1週間で80万人を超えたのは、初めての経験。たとえばアメリカの増加数は、この1週間で82万5000人。人口比でみれば日本は3倍に近い。規制を完全に取り払ったイギリスも、週間で14万人の増加。人口比で見れば、日本は約2倍だ。その原因は全く不明。政府も規制に踏み切るべきかどうか、判断に迷っているようだ。手遅れにならなければいいが・・・。

        ≪22日の日経平均 = 上げ +111.66円≫

        【今週の日経平均予想 = 3勝1敗】     


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今週のポイント
2022-07-24-Sun  CATEGORY: 政治・経済
◇ 「底入れした」とは誰も思わない = ダウ平均は先週611ドルの値上がり。木曜日には6週間ぶりに3万2000ドルを回復した。週初は6月の消費者物価が40年ぶりの高さとなったことから、FRBによる引き締めの加速が警戒された。その後は景気後退は不可避だとの見方が強まり、引き締めの減速期待が株高につながっている。しかし市場では、株価がこのまま上昇すると考える人はほとんど見受けられない。

日経平均は先週1126円の値上がり。3週連続の上昇で、この間の上げ幅は2000円に近い。特に大きな好材料はなく、むしろ企業物価の大幅な上昇や貿易収支の大赤字など、悪材料の方が目についた。市場では「もう少し上がるのでは」という期待も出ているが、それでも「株価が底入れした」という声は聞こえてこない。

問題は景気後退の深さ。それがまだ掴めないから、株価の先行きも見通せない。浅ければ「株価はすでに織り込んだ」とも考えられるが、深ければ「もう一段の調整も」ということになる。その辺の判断材料となるのが、今週27日に発表される政策金利の引き上げ幅。それに4-6月期の企業業績と7-9月期の見通し。いまニューヨーク市場では、エネルギーを除けば4-6月期の純利益は3%程度の減益という予測が広まっている。今週のマイクロソフトやアップルの決算発表に注目が集まる。

今週は26日に、6月の企業向けサービス価格。29日に、6月の労働力調査、鉱工業生産、商業動態統計、住宅着工戸数、7月の消費動向調査。アメリカでは26日に、5月のFHFA住宅価格指数、6月の新築住宅販売、7月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。27日に、6月の中古住宅販売。28日に、4-6月期のGDP速報。またEUが29日に、4-6月期のGDP速報を発表する。なお27日にはFRBが利上げを発表する。

        ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ


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‟四面楚歌”の 日本銀行 (上)
2022-07-26-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 世界でひとりゼロ金利政策に固執 = 大昔。蓁を滅ぼした楚の項羽が、こんどは漢の劉邦に負けて包囲された。劉邦は深夜、漢軍に楚の歌を唄わせたため、項羽は楚の兵士がすべて降伏したと勘違いして落胆したという。中国の故事である。最近の日銀をみていると、この故事を思い出す。世界の中央銀行がそろって金融引き締めへと向かうなかで、日銀だけがゼロ金利政策にしがみ付いているからである。

アメリカではFRBがあす27日、政策金利の0.75%引き上げを発表する予定。ことし3月から始めた本格的な金融引き締めで、政策金利は2.5%に上昇する。強力な量的引き締めも、合わせて実行中。一方、ECB(ヨーロッパ中央銀行)は先週21日、政策金利の0.5%引き上げを決定、14年に導入したゼロ金利政策に別れを告げた。

このほかイギリス、カナダ、オーストラリア、韓国なども、すでに金融政策を引き締めに転換している。日経新聞の調査によると、世界84の中央銀行のうち、1-6月間で63の中央銀行が金利の引き上げを断行した。こうしたなかで日銀だけが、いまだにゼロ金利政策に固執し続けている。黒田総裁は21日の記者会見で「利上げは全く考えていない」と、重ねて強調した。

世界の中央銀行が利上げに踏み切ったのは、インフレを阻止するため。たとえば直近の消費者物価をみると、アメリカは9.1%、ユーロ圏は8.6%、カナダと韓国は6.0%と、きわめて高い。これに対して日本は、まだ2.5%の上昇。日銀がゼロ金利にしがみ付いていられるのも、このためだ。しかし日本でも企業段階の物価は9.2%にまで上昇しており、消費者物価の見通しもじり高傾向となっている。

                      (続きは明日)

        ≪25日の日経平均 = 下げ -215.41円≫

        ≪26日の日経平均は? 予想 = 上げ


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‟四面楚歌”の 日本銀行 (下)
2022-07-27-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 利上げ出来ない環境に追い込まれた = 先進国も新興国も、インフレを阻止するために金融を引き締め。そうしたなかで、日本だけがゼロ金利政策を頑固に継続。まさに‟四面楚歌”の状況に陥っている。日本経済の先行きは、どうなるのか。初めての経験だけに予測はしがたいが、難しい問題に直面しそうなことは確かなようだ。すでに、その兆候は表れてきている。

金融を引き締めれば、景気は悪化する。この鉄則は今回もすぐに通用して、アメリカでは「景気後退は不可避」という予測が早くも定着した。ヨーロッパでも「景気後退の危険が高まる」という見方が、急速に広まっている。この結果、アメリカでもヨーロッパでも株価が大幅に下落した。それでも中央銀行はインフレの抑制を最重視し、引き締めの手綱を緩める気配はない。

日米間の金利差が拡大すれば、円の対ドル相場は下落する。これも鉄則だと考えられたが、今回は様子がちょっと違う。対ドル相場は、いまのところ逆に2円ほど上昇している。これはアメリカの景気見通しが急速に悪化したため、アメリカの長期金利が下がり、金利差が縮小したことによる。ただFRBが利上げを続けて行けば金利差は拡大し、円安の進行は免れないだろう。

世界の景気が下降すれば、日本の景気にも下向きの圧力がかかる。その一方で円安が続けば、物価は上昇しやすい状態が続く。いわゆるスタグフレーション(不況とインフレの併存)という、やっかいな状態に落ち込む危険性が強まるに違いない。そうした状況下で、金融の引き締めはやりにくい。これまでゼロ金利に固執してきた日銀は、ゼロ金利を‟余儀なくされる”ことになりそうだ。

        ≪26日の日経平均 = 下げ -44.04円≫

        ≪27日の日経平均は? 予想 = 下げ


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景気後退への 瀬戸際 / アメリカ
2022-07-28-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ イエレン財務長官の意味シンな発言 = アメリカではきょう28日(日本時間29日)、ことし4-6月期のGDP速報が発表される。事前の予測では前期比横ばいの見方が多く、プラス成長を維持するかマイナス成長に落ち込むか微妙なところ。だが、その結果は非常に大きな影響力を持つと考えられるため、経済界だけでなく政界からも注視されている。

アメリカでは「実質成長率が2四半期にわたってマイナス成長になると、景気後退」と断定される。実際には著名な経済学者で構成する委員会が精査したあと最終的に判断されるが、それには時間がかかる。このため「2四半期のマイナス成長=景気後退」と言われやすい。ことし1-3月期の成長率はマイナス1.4%だったから、仮に4-6月期が0.1%のマイナスだとしても、マスコミは一斉に「景気後退入り」と伝えるだろう。

仮に4-6月期の成長率がプラス0.1%になったとすると、景気後退は消える。FRBの金融引き締めによって7-9月期と10-12月期の成長率がマイナスになっても、その結果が出るのは来年になってから。すると11月の中間選挙では、景気後退が表面には現われない。民主党にとっては、大きな悪材料が一つ減る。だから政界も28日の発表に、多大の関心を寄せるわけだ。

こうしたなか、イエレン財務長官はテレビ番組で「労働市場が非常に強いから、マイナス成長が2四半期続いても景気後退ではない」と発言した。景気後退の判定は経済学者の委員会が最終的に決定するという制度を、単に解説した発言のようにも受け取れる。だが、もしかするとイエレンさんは4-6月期がマイナス成長になることを知っており、テレビや新聞が即「景気後退入り」と報道することを牽制したのかもしれない。憶測は飛び交うが、真相は判らない。

        ≪27日の日経平均 = 上げ +60.54円≫

        ≪28日の日経平均は? 予想 = 上げ


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埋蔵金12兆6000億円 を使おう
2022-07-29-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日銀が株の買い入れで巨額の含み益 = 日銀は金融緩和の手段として大量のETF(上場投資信託)を市場から買い入れてきたが、株価の値上がりで巨額の含み益を生じている。日銀の発表によると、6月末時点でETFの保有残高は49兆4724億円だった。しかし、その買い入れ価格は36兆8745億円。その差額12兆5979億円が含み益となっている。国民1人当たりにしても、約10万円という大きさだ。

この‟埋蔵金”を有効に使おうという声が、各方面から挙がっている。その1つは「ETFそのものを国民に無償で配布したら」という提案。国民1人につき、10万円の金融資産が配られることになる。しかし多くの人々が、現金化するために売り出したらどうなるか。市場は大混乱に陥る危険が強い。だから実行はムリ。

それなら有償にしたらどうか。たとえば時価より1割ほど安い値段で、希望者に売却する。だが希望者が殺到して大混乱になるだろう。また、この場合も一斉に売り出されたら、株価は暴落してしまう。だから、この方法も実行は難しい。あとは日銀が市場で売って現金化するしかないが、これも株価の急落を招くことは避けられそうにない。

巨額にのぼった日銀の含み益を、なんとか使いたい。しかし方法が見付からない、というのが現状のようだ。たとえば日銀の含み益を担保として、新しい基金を創設。その基金が送電線の敷設や固定電池の研究開発を、重点的に支援する。そんな体制は築けないものだろうか。とにかくグズグズしていて株価が下がってしまえば、元も子もなくなってしまう話なのだ。

        ≪28日の日経平均 = 上げ +99.73円≫

        ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ


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 死者が語る コロナ肺炎の危険度 (123)
2022-07-30-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 日本で新変異種ケンタウロスが拡大 = 世界の感染者は累計5億7381万人、この1週間で703万人増加した。この増加数は前週より21万4000人少ない。死亡者は639万3435人で、週間1万2645人増加した。この増加数は前週より4800人少ない。相変わらず高水準のまま横ばいの状態だが、感染者も死亡者もやや増勢が衰えた。ところが日本だけは例外。WHO(世界保健機構)も「日本が世界で最悪の状態」だと認定した。

国別の死亡者数をみると、アメリカは累計102万8819人。この1週間で3078人増加した。続いてブラジルが67万人台、インドが52万人台、ロシアが37万人台、メキシコが32万人台。さらにイギリスが18万人台、イタリアが17万人台、インドネシアとフランスが15万人台、ドイツが14万人台となっている。各国ともに大きな変化は認められない。

日本の感染者は累計1215万4258人、この1週間で133万8118人増加した。この増加数は新記録。アメリカの週間増加数90万6000人をはるかに超えた。感染者は1日で33万人を数え、第6波のピークを大きく上回っている。死亡者は3万2308人で、週間558人の増加だった。この死亡者の増加数は、4月上旬以来の大きさとなっている。

なぜ日本でコロナの感染が加速したのか。検査数が多いとか、ケンタウロスと呼ばれる新しい変異株BA・2.75の流入とかが言われているが、理由は全く不明。困ったことは感染者の激増で、医療・交通・育児などの関係者が不足し始めたこと。感染防止と経済活動の再生が、両立しにくくなってきた。

        ≪29日の日経平均 = 下げ -13.84円≫

        【今週の日経平均予想 = 2勝3敗】     


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