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経済に関する話題なんでも。ニュースの分析・批評・解説など。大胆な予想や提言も。ご意見、ご批判は大歓迎です。
経済なんでも研究会
生産統計が教える 問題点
2014-07-01-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 自動車と情報通信に不安が = 経済産業省は30日、5月の鉱工業生産統計を発表した。それによると、生産は前月比0.5%の増加。出荷が1.2%減少したため、在庫は2.9%増加している。同時に発表した生産の予測調査では、6月に0.7%減少するものの7月は1.5%の増加に戻る見通し。こうした結果を受けて、経産省では「生産は横ばいの傾向を続けている」という基調判断を変えなかった。

ただ統計の内容をよく読むと、心配な点もいくつかある。まず自動車を中心とする輸送機械工業の在庫が、大幅に積み上がったこと。5月の生産は1.9%増加したが、出荷は4.8%の減少。この結果、在庫が27.3%も増えてしまった。このため生産の予測も6月は4.1%、7月も1.0%の減少になる見通し。消費増税の影響が尾を引くことになる。

もう1つは、情報通信機械工業の動向。主な製品はパソコンやデジタル伝送装置など。5月の生産は9.3%の大幅な減少だった。出荷は4.8%減って、在庫は1.1%増加している。生産は2月から4か月連続で減少した。予測をみても、6月は5.7%、7月は10.3%の減少が続くと見込まれている。

鉱工業生産全体に占めるウェートは、輸送機械が19%、情報通信が4.5%。この2つの業種で4分の1近くを占める。したがって、この2つの業種の生産調整が長引けば、鉱工業全体の生産も上がりにくい。結果として4-6月期と7-9月期のGDP成長率も、頭を抑えられる心配がある。


      ≪30日の日経平均 = 上げ +67.10円≫

      ≪1日の日経平均は? 予想 = 下げ

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企業の利益は大幅減少 / 日銀短観
2014-07-02-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 経営者の慎重さを反映? = 日銀は1日、6月の企業短期経済観測調査を発表した。それによると、大企業・製造業の業況判断指数はプラス12で、3月調査より5ポイント悪化した。大企業・非製造業もプラス19で、同じく5ポイント悪化している。これは消費増税に伴う駆け込み需要の反動減による低下。ほぼ事前に予測されていた通りの結果だった。

3か月先の予測をみると、大企業・製造業はプラス15に改善。大企業・非製造業はプラス19で、6月と変わらない見通し。この予測通りなら、9月には景気が回復軌道に復帰することになる。この見通しを受けて、1日の東京市場では株価が大幅高。消費増税の影響は長引かないことが、再確認された形となった。

設備投資についての調査も、こうした楽観論を裏付けている。14年度の設備投資計画は大企業・全産業で7.4%の増加、13年度の実績2.5%増をかなり上回っている。ただし中小企業・全産業の場合は、13年度の21.0%増から、14年度は19.7%減に落ち込むのがやや気がかりだ。

それ以上に納得しにくいのは、経常利益の見通しである。大企業・製造業では13年度の実績48.7%増加に対して、14年度は3.0%減に落ち込む予想。全産業‣全規模ベースでみても、28.4%の増益が5.4%の減益になってしまう。業況判断や設備投資計画とは整合しにくい感じだ。その原因が、先行きに慎重な日本人経営者の特異な姿勢にあるのなら、話はまた別だが・・。 


      ≪1日の日経平均 = 上げ +164.10円≫

      ≪2日の日経平均は? 予想 = 上げ

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物価上昇の 読み方 (上)
2014-07-03-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 32年ぶりの大幅な上昇 = 総務省が発表した5月の消費者物価は、変動の激しい生鮮食品を除いた総合指数で前年比3.4%の上昇だった。4月の3.2%より上昇幅はやや拡大している。日銀は消費増税による上昇分を、4月は1.7ポイント、5月は2.0ポイントと計算。この分を差し引くと、増税分を除いた上昇率は4月が1.5%、5月が1.4%ということになる。

消費者物価がこんなに大きく上昇したのは、1982年(昭和57年)4月以来のこと。世界では、イギリスとアルゼンチンの間でフォークランド紛争が発生。国内では第1次中曽根内閣が発足、500円コインがお目見えした年である。石油ショックの後遺症が残って景気はあまりよくなく、実質GDP成長率は3.0%だった。

この32年ぶりの物価上昇。中身を点検してみると、最も上昇したのは電気料金で前年比11.4%の上昇。ガソリンが9.6%上がるなど、エネルギー全体で10.1%上昇した。またエアコンが19.4%、宿泊料が4.2%、食料品も5.3%値上がりしている。これらの物価上昇にはもちろん増税分も含まれているが、その大きさについては試算されていない。

昨年5月の生鮮食品を除いた総合指数は、前年と全く変わらなかった。その後も毎月1%未満の上昇率にとどまっていたが、昨年11月からは1.2%-1.3%に上昇率が拡大している。したがって、この数字が増税分を除いた4月の1.5%、5月の1.4%に続いていると考えていいだろう。そこで、こうした物価上昇をどうみたらいいのか。

                                 (続きは明日)


      ≪2日の日経平均 = 上げ  +43.77円≫

      ≪3日の日経平均は? 予想 = 上げ

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物価上昇の 読み方 (下)
2014-07-04-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 3通りの考え方 = 政府や日銀は、最近の物価上昇について「デフレ克服に向けて前進した」と解説する。たしかに1年前にはほとんど上昇しなかった物価が、増税分を差し引いても1.5%程度にまで上がってきた。その背景には景気の回復に伴う需給の改善があるから、デフレの度合いが縮小したことは否定できない。日銀は目標とする物価2%上昇は近いと、自信を深めている。

だがエネルギーと食料を除いた5月の物価は、前年比2.2%しか上昇していない。増税分を差し引けば0.2%という計算になる。エネルギーや食料は、国際価格の高騰や円安で価格が押し上げられた。つまり消費者物価の上昇は輸入価格の高騰によるところが大きく、国内の需給改善による部分は政府や日銀が言うほど大きくはない。これが2番目の考え方で、経済学者やエコノミストに多い意見だ。

3番目の考え方は、消費増税や輸入価格など物価を上昇させた理由はどうでもいい。理由はどうであれ、5月の物価は3.4%上昇した。結果として国民の購買力は、その分だけ低下する。最近は賃上げやボーナスの支給が増えているようだが、物価の上昇で実質所得はむしろ減少しているのではないか。

政府や日銀、あるいは学者やエコノミストの主張を受けて、新聞や経済誌にはデフレに着目した第1と第2の意見が紹介される。これに対して第3の意見は、その多くがサラリーマンや年金生活者が抱いている感想に近いものだ。だから、ほとんど聞こえてこない。しかし仮に国民投票を行えば、圧倒的多数で第3の考え方が当選するのではないか。


      ≪3日の日経平均 = 下げ -21.68円≫

      ≪4日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- ヨーロッパ経済の復調 ⑨
2014-07-05-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ ユーロ高は抑えたが = ユーロ相場を下落させて輸出を伸ばし、景気の回復を促進する。ECB(ヨーロッパ中央銀行)のゼロ金利政策が狙った大きな目標の一つだったことは、間違いない。しかし政策を発動する直前の対ドル相場は1ユーロ=1.40ドル。それが1か月後の現在は1.36ドル前後だから、ECBの狙いは達成されていないと言えるだろう。ただユーロ相場の上昇には、なんとか歯止めがかかった形になっている。

EUの共通通貨ユーロは99年1月に導入された。現在はEU加盟28か国のうちの18か国と、EUに加盟していないモナコやバチカンなど6か国の計24か国が使用している。市場での値動きはかなり激しく、たとえば対円相場は00年10月の88円87銭が最安値。最高値は08年7月の169円93銭だった。現在の対円相場は1ユーロ=139円前後で推移している。

ユーロ圏を構成する各国は経済構造がみな異なっており、経済力にも大きな差がある。したがって、どの水準のユーロ相場がいちばん適切なのかを算定することが難しい。たとえば現在の相場水準でも、ドイツなどは十分な輸出競争力を維持できる。しかしフランスやイタリアなどでさえ、いまの相場は高すぎると感じてしまう。

輸出が伸びなければ、ECBはさらなる金融緩和策を打ち出すかもしれない。こうした予測が、ユーロ相場の上昇を抑えているのが現状だ。しかし緩和策を追加すれば、ドイツなどは圧倒的な競争力を持つことになる。おそらくEUの一員ではあるがユーロを使用していないイギリスなどからは、強い批判が飛び出すだろう。ECBの深刻な悩みである。

                                  (続きは来週サタデー)
 

      ≪4日の日経平均 = 上げ +88.84円≫

      【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2014-07-06-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第17章 国際収支って、なんだろう? ⑥

◇ 外貨準備の働き = 国際収支というのは、外国との間でおカネをやりとりした国の家計簿でしたね。家計簿の場合、収入が支出より多いと貯金が増えるでしょう。逆に支出が収入より多ければ、貯金は減ってしまいます。国の場合も同様で、たとえば輸出が大幅に伸びて国際収支が黒字になると、外国の通貨がたまって貯金が増えます。

この貯金のことを、外貨準備(がいかじゅんび)と呼んでいます。いろいろ例外もあるのですが、一般に国際収支が黒字なら、外貨準備は増加します。逆に赤字なら減少します。外貨準備は、政府と日本銀行が管理しています。

外国の通貨を売買する市場でドルやユーロなどの外貨が不足した場合に、ここから外貨を供給します。もし外貨準備がなくなって市場への供給ができなくなると、どういうことになるでしょうか。日本の会社や個人が円を外貨に替えて外国から品物を輸入しようとしても、できなくなってしまいます。

そんなときには、IMF(国際通貨基金)や世界銀行、あるいは外国から借金しなくてはなりません。また輸入を減らして外貨の流出を防ぐために、国内を不況にする政策をとる必要も出てきます。ですから、どこの国にとっても、ある程度の外貨準備を持っていることは、とても大切だと言えるでしょう。  

                               (続きは来週日曜日)


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今週のポイント
2014-07-07-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ ダウ平均は1万7000ドル乗せ = 7月4日はアメリカの独立記念日。その前日、ウォール街には大きなプレゼントが届けられた。6月の雇用統計で、非農業雇用者数が28万8000人も増加。失業率は6.1%に低下した。いずれも事前の予測をはるかに上回り、アメリカの景気回復が想定以上に力強いことを物語っている。このプレゼントによって、ダウ平均は1万7000ドル台乗せを達成した。

ダウ平均は先週216ドルの値上がり。1万5000ドルに到達してから14か月、1万6000ドルを超えてからは8か月で、次の階段をのぼったことになる。リーマン・ショック後に記録した最安値に比べると、株価は2.6倍に上昇した。しかし、この1年ほどは緩やかなペースで上昇を続けたため、バブル的な雰囲気は全くない。市場では利益確定売りが出るにしても、好調な企業業績に支えられて株価はまだ上がるという見方が強い。

日経平均は先週342円の値上がり。順調なニューヨーク市場の動き、消費増税の影響が予想より小さそうなこと、それに法人減税を含む安倍内閣の成長戦略が、株価を押し上げた。この結果、日経平均は6月中529円の上昇となっている。海外投資家も買い越しに転じているが、東証1部の売買代金は1日平均1兆9100億円とやや低調。こちらも今後の株価は企業の業績見通し次第ということになりそうだ。

今週は7日に、5月の景気動向指数。8日に、5月の国際収支と6月の景気ウォッチャー調査。10日に、5月の機械受注と第3次産業活動指数、6月の企業物価と消費動向調査が発表される。また中国が9日に、6月の生産者物価と消費者物価。10日に、6月の貿易統計を発表する予定。


      ≪7日の日経平均は? 予想 = 上げ

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出来すぎの 雇用統計 / アメリカ
2014-07-08-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 波乱要因はインフレ = アメリカの雇用情勢が、驚くべき勢いで改善している。米労働省が発表した6月の雇用統計によると、最も注目されている農業を除いた雇用者数は前月に比べて28万8000人増加した。事前の予想21万人程度を、はるかに上回っている。過去3か月間の平均も27万2000人の増加となった。失業率も前月より0.2ポイント改善して6.1%まで低下している。

雇用者の増加は小売り業を筆頭に、製造業・建設業・医療・健康業まで幅広い分野に及んでいる。失業者は947万人で、前月より32万5000人減った。1年前に比べると230万人も減少している。こうした雇用情勢の目覚ましい改善は、だれも予想していなかった。市場にも嬉しい驚きが走り、ダウ平均は1万7000ドルの大台に達した。

だが花は満開になるほど、嵐が心配になる。ウォール街では、新たな心配事が持ち上がってきた。それは雇用の改善が素晴らしすぎたため、FRBによる金利の引き上げが早まるのではないかという懸念である。FRBはいま量的金融緩和の縮小を着々と進めており、10月には縮小が完了する予定だ。すると次は政策金利の引き上げに移行する。

イエレンFRB議長は「量的緩和が終了しても、当分の間はゼロ金利政策を転換する必要はない」と講演。市場の心配を払拭しようとしている。しかし景気の回復が予想以上に速く、物価が上昇するようになれば話は別だろう。今後1年のうちに、インフレ傾向が現われるかどうか。それがFRBの政策決定を左右することは確かである。市場は“出来すぎ”の雇用統計に喜びながらも、これからは物価の動きに神経を尖らしそうだ。


      ≪7日の日経平均 = 下げ -57.69円≫

      ≪8日の日経平均は? 予想 = 下げ

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剰余金は1兆4000億円 : 13年度決算 (上)
2014-07-09-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 何に使うかで大論争 = 財務省が発表した13年度の決算見通しによると、税収の上振れや予算の使い残しなどで余った剰余金は1兆3987億円になった。政府部内ではこの剰余金をめぐって、早くも使い道についての大論争が巻き起こっている。法人減税の財源、新規国債発行の減額、それとも10%消費税の実現に向けて景気対策に使うのか・・・。

景気の回復によって、税収は想定を1兆5989億円上回った。内訳をみると、所得税が7458億円、法人税が4287億円、消費税が1802億円などとなっている。いずれも景気の回復を反映した結果だが、所得税の場合は14年度から株式の売却益に対する課税が強化されたため、13年度中に利益を確定する売りが膨らんだという一時的な原因も貢献した。

ほかに日銀納付金などの税外収入が6230億円。さらに歳出面で、金利の低下で国債費が5172億円、不用になった予備費などを含めて1兆6630億円の財源が使い残された。これらを合計すると、13年度は決算上3兆8850億円のおカネが浮いたことになる。

ただ財務省は、ここから例によって2兆0075億円を先取りして、13年度の新規国債発行を減額してしまった。すると残りは1兆8775億円。さらに法律で決められている地方交付税交付金への支出4788億円を差し引くと、政府が14年度に使える剰余金は1兆3987億円になるという計算だ。

                                 (続きは明日)


      ≪8日の日経平均 = 下げ -65.03円≫

      ≪9日の日経平均は? 予想 = 下げ

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剰余金は1兆4000億円 : 13年度決算 (下)
2014-07-10-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 優先度は景気対策か = 景気回復のおかげで政府の手元に残った13年度の決算剰余金は、合計1兆4000億円。甘利経済財政相や経済産業省は「法人減税の財源に使用すべきだ」と強調する。これに対して、麻生財務相や財務省は“待った”をかける。たとえば「法人税の増収は円安効果に負うところが大きく、一時的な現象。恒久財源としてはふさわしくない」と反論している。

麻生大臣はじめ財務省幹部は、もちろん「国債発行を減らし、財政再建を進めるべきだ」という主張。財政法の「前年度剰余金の半分以上は国債減額に充てる」という規定をちらつかせるが、これは13年度に国債発行を2兆円減らしているので、あまり説得力はない。

一方、官邸周辺には「景気対策費に使いたい」という意見が多い。来年10月には消費税を10%に再引き上げするが、それで景気が悪くなっては元も子もない。だから剰余金は景気対策用に、とっておくという考え方だ。安倍首相は何とも発言していないが、消費増税を重視する立場から言えば、この景気対策論にいちばん関心があるのではないか。

いまの時点で、大胆な予測をしてみよう。まずは早々と使途は決めずに、来年の景気動向を見定める。景気が怪しければ、景気対策に使う。景気が大丈夫そうなら半分を国債減額に、半分を法人減税に充当する。法人減税は数年間にわたって段階的に実施するので、この方式で財源は十分だろう。


      ≪9日の日経平均 = 下げ -11.76円≫

      ≪10日の日経平均は? = 上げ

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ガソリンは まだ上がるのか?
2014-07-11-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 店頭レギュラー価格は170円に = 資源エネルギー庁の集計によると、7日時点のレギュラー・ガソリン全国平均価格は1リットル=169円70銭だった。前週より1円30銭の上昇。これで11週連続の値上がりとなった。全都道府県で上がっており、171円になった東京都を筆頭に、18都府県が170円台に乗せている。

値上がりの主な原因は、イラク情勢の緊迫で原油の国際価格が上昇していること。イラクは原油の埋蔵量で世界第5位。南部の油田地帯が武装勢力の手に落ちると、供給量が激減する恐れがある。このため国際原油価格の指標となっているWTI(ウエストテキサス・インターメディエート)は6月、1バレル=108ドルと9か月ぶりの高値を付けた。しかし7月に入ってイラク情勢の緊迫感が薄れると、103ドルにまで反落している。

にもかかわらずガソリンの小売価格が上昇したのは、6月の高い価格で原油を輸入した元売り会社が、それにスライドして卸し価格を引き上げたため。したがって、このあと当面は店頭価格も値下がりするはずだ。ただ国内はこれから夏の需要期に入る。加えて製油所の定期修理で原油の処理能力が落ちているから、大幅な値下がりは期待できない。

もう1つ、ウクライナ情勢も原油の国際価格に影響する。ロシアがウクライナ経由のEU向け天然ガスを遮断する危険性が残っているからだ。このためイラクやウクライナでの緊張が再び高まれば、投機資金がすぐに原油の国際市場に流れ込む。国内のガソリン価格は当面、上げ止まるだろう。しかしイラクとウクライナ情勢が完全に落ち着くまで、安心はできない。


      ≪10日の日経平均 = 下げ -86.18円≫

      ≪11日の日経平均は? 予想 = 下げ

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サタデー自習室 -- ヨーロッパ経済の復調 ⑩
2014-07-12-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ アメとムチの金融政策 = ECB(ヨーロッパ中央銀行)はゼロ金利政策を断行すると同時に、金融機関に対して2つの措置を実施した。1つは金融機関の預け金に利子を付けず、逆に手数料を徴収するというマイナス金利政策。もう1つは企業への貸し出しを増やした金融機関に対して、低金利の資金を十分に供給するという政策。いわばアメとムチの対応策である。

これによって企業への資金流入が増え、企業の設備投資などが増加することを狙った政策だ。ところが肝心の企業側には、いまのところ積極投資への意欲が乏しい。トムソン・ロイター社の集計によると、主要600社の業績は昨年10-12月期に5四半期ぶりで増益に転じた。さらに、ことし1-3月期の1株あたり利益は、前年比2.0%の増加となっている。

金融危機は克服し、景気も上向きにはなっている。このため企業の業績も回復傾向にはあるが、その勢いは弱々しい。特に輸出企業は、ユーロ高が大きな足かせとなっている。たとえばオランダの電機大手フィリップスやドイツのスポーツ用品で有名なアディダスも、1-3月期は販売の減少から減益に落ち込んだ。

格付け会社ムーディーズによると、1-3月期に格上げとなった企業は16社で、格下げとなった企業の10社を上回った。この現象は08年以降では初めてだという。たとえば、これまで格下げが続いていた北欧のスカンジナビア航空、フランスの小売り大手カルフールなども格上げされている。こうした企業の状態が、ECBのアメとムチでどう変わるか。ことし後半の注目点になっている。

                                 (続きは来週サタデー)


      ≪11日の日経平均 = 下げ -52.43円≫

      【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2014-07-13-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第17章 国際収支って、なんだろう? ⑦

◇ 日本の保有高は世界第2位 = 国際収支というのは、国の対外的な家計簿。黒字が続いてたまった貯金が、外貨準備でしたね。では日本は、どのくらい外貨準備を持っているのでしょうか。政府の発表によると、ことし3月末の外貨準備保有高は1兆2794億ドルでした。円に直すと、ほぼ100兆円を超えています。ずいぶん多いですね。

1年前の13年3月末には1兆2544億ドルでしたから、この1年間で少し増えたことになります。ただ10年前に比べると、日本の外貨準備はほぼ2倍に増加しました。そして、つい最近までは世界でいちばん多くの外貨準備を保有していたのです。

いま世界でいちばん多くの外貨準備を持っている国は、中国です。その金額は12末で3兆3120億ドルに達しています。このところ中国の外貨準備は急速に増えており、今後も増えて行くものと思われます。第2位は日本、3位はEU(ヨーロッパ連合)、あとはロシア、インドと続きます。

一般の家庭にとっては、たくさん貯金があることはいいことでしょう。しかし一国の外貨準備は、多ければいいというわけでもありません。通貨の価値を維持して、輸入代金の支払いに困るようなことがなければ、それ以上は必要ないという考え方がふつうです。

                                (続きは来週日曜日)


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今週のポイント
2014-07-14-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ ポルトガルの銀行危機 = 日経平均は先週月‐金の5日間、すべて値下がりした。5日間の続落は12年11月以来1年8か月ぶり。ただ週間の下落幅は273円で、それほど大きくはない。ニューヨーク株式が軟調だったことに加えて、国内の年金買いが途絶えたことも響いた。投資家は下旬から本格化する決算発表の結果を見たがっている。

ダウ平均は週間124ドルの値下がり。先々週1万7000ドルに届いたことから、利益確定売りが増大した。新しい材料は、ポルトガルの最大手銀行バンコ・エスピリト・サントの経営不安。これが投資家の高値警戒感を増幅した。その根底には、順調すぎる雇用情勢の改善で、FRBによる金利引き上げの時期が前倒しされるのではないかという不安感が流れている。

ポルトガルの銀行危機でイタリアやスペインの株価も下落した。しかし信用不安が拡大する可能性は小さい。ただニューヨーク市場で株を売った資金が債券に流れ、これがドル安・円高という経路をたどって、東京市場にも重苦しさを与えている。今週はニューヨーク、東京ともに、反発モードに入るのか。それとももう少し様子見を続けるのか。

今週、国内では主要な指標の発表なし。アメリカでは15日に、6月の小売り売上高。16日に、6月の工業生産と生産者物価。7月のNAHB住宅市場指数。17日に、6月の住宅着工戸数。18日に、7月のミシガン大学・消費者信頼感指数と6月のカンファレンス・ボード景気先行指数。また中国が16日に、6月の鉱工業生産、小売り売上高、固定資産投資。それに4-6月期のGDP速報を発表する。


      ≪14日の日経平均は? 予想 = 上げ

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ポルトガルの 遠雷 : 信用不安なし
2014-07-15-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 首をすくめた株式市場 = ポルトガルで先週、一発の雷鳴がとどろいた。最大の銀行バンコ・エスピリト・サントの持ち株会社が、デフォルト(債務不履行)を引き起こした事件である。ポルトガルといえば、4年前にはギリシャに続いて財政危機に陥り、南ヨーロッパの信用不安を増大させた国。その連想があるから、世界の株式市場では一気に警戒感が高まった。

バンコ・エスピリト・サントの総資産は806億ユーロ(約11兆円)。創業者一族が持ち株会社を作って、銀行のほか病院やホテルなどを傘下に置いている。バンコ・エスピリト・サントの株式を87.5%保有しているが、その経営内容はよく判らない。ただコエリョ首相によると、銀行自体の経営内容は健全だという。

ポルトガル経済の状態も、4年前に比べてかなり改善している。GDP成長率は13年のマイナス1.4%から、14年はプラス1.2%に上昇する見込み。ことし5月には、EUやIMFによる支援状態から抜け出している。したがってバンコ・エスピリト・サントが行き詰まる可能性は小さいうえに、仮に銀行が経営不振に陥ってもポルトガル国債が売り叩かれるような事態は想定しにくい。

先週は雷鳴に驚いて、イタリアやスペインの株価が下落。ユーロ相場も低落した。ニューヨーク市場でもダウ平均の足を引っ張り、ドル相場を下げている。このため円相場が対ユーロ、対ドルともに上昇して、日経平均を5日間続落させる一因となった。しかし今週まで、その状況が継続することはないだろう。


      ≪14日の日経平均 = 上げ +132.78円≫

      ≪15日の日経平均は? 予想 = 上げ

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合格第1号を公表 : 九電・川内原発 (上)
2014-07-16-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 運転は早くても10月 = 原子力規制委員会はきょう16日、九州電力の川内原子力発電所1-2号機(鹿児島県)に対して、安全審査の“合格証”を出す予定である。きびしい安全基準に則って審査されたなかでの合格第1号。ただ使用前検査や地元の同意が必要なので、実際に運転が再開されるのは早くても10月になる見込みだ。

地震や津波などへの対策強化を義務付けた、原発に対する安全基準の厳格化が決まったのは昨年7月。規制委員会は9電力の12原発19基について審査の優先順位を決め、川内原発を最優先に審査を続けてきた。それからちょうど1年、やっと安全性に関する“お墨付き”が出たことになる。

川内原発の出力は1号機、2号機ともに89万㌔㍗。合計178万㌔㍗で、原発の規模としてはやや小型。1号機は最初に運転を始めてから30年、2号機は29年ということで、日本の原発としてはほぼ平均的な運転年数と言える。ちなみに大震災で事故を起こした福島第1原発1号機は、運転開始から40年たっていた。

大震災の前、日本には54基の原発があって、その発電能力は合計4884万7000㌔㍗に及んでいた。震災によって福島第1原発の1-6号機が失われ、いまは48基、4415万1000㌔㍗の設備を保有している。ただし稼働はゼロ。川内原発が秋に再稼働されるとすれば、この能力の4%がやっと使われる計算になる。

                             (続きは明日) 


      ≪15日の日経平均 = 上げ +98.34円≫

      ≪16日の日経平均は? 予想 = 上げ

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合格第1号を公表 : 九電・川内原発 (中)
2014-07-17-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 地元調査は 反対>賛成 = 川内原発の再稼働には、関係者の同意が必要である。まず政府は「原子力規制委員会が安全と認めた原発は再稼働する方針」だから、今後は表立って川内原発の再稼働に向けた行動を開始するだろう。特に地元の説得には、全力をあげることになると予想される。

伊藤鹿児島県知事は、これまでのところ再稼働に対する姿勢を明らかにしていない。しかし自治省の出身で、選挙母体は自民党だから最終的には賛成に回る可能性が強い。また原発の立地自治体である薩摩川内市の岩切市長は、早くから再稼働賛成の立場を表明。市の商工会議所や青年会議所とともに、規制委員会にも働きかけてきた。原発の停止で、市が年間25億円の損失を受けていることも公表している。

その一方で、反対運動も決して弱くはない。原発が位置する薩摩川内市よりも、鹿児島市など周辺自治体の住民による運動の方が盛んなようにみえる。これは再稼働で立地自治体は経済的な恩恵にあずかれるが、周辺自治体の方は万一の危険性ばかりが強調されるからだろう。反対派は、国会や官邸周辺でもデモを始めた。

地元の南日本新聞が5月に実施した世論調査では「反対・どちらかといえば反対」が59.5%で、「賛成・どちらかといえば賛成」の36.8%を上回った。政府・自民党や九州電力が、これから数か月の間に反対派をどこまで説得できるか。再稼働には、最後の胸突き八丁を越えなければならない。

                                (続きは明日)


      ≪16日の日経平均 = 下げ -15.86円≫

      ≪17日の日経平均は? 予想 = 上げ

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合格第1号を公表 : 九電・川内原発 (下)
2014-07-18-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ この夏は原発ゼロ = 川内原発の再稼働は、早くても10月になる。昨年の夏は関西電力の大飯原発だけが動いていたが、9月には停止した。このため、ことしは需要が最も多い8月に原発は1基も動かないことになる。1965年以来はじめての経験だ。ピーク時の8月を無事に乗り切れるのだろうか。

需給がいちばん逼迫するとみられているのは、関西電力と九州電力管内である。電力会社が円滑に電力を供給するためには、供給力にある程度の余裕を持っていることが必要だ。この余裕を予備率というが、西日本の場合は昨年の予備率が5.9%だったのに対して、ことしは3.4%しかない。もし火力発電所が故障したら、計画停電という事態を引き起こしかねない状態にある。

大震災の前、10年度の発電構成は原子力が31.8%で、電力の3分の1近くを生み出していた。それが現在はゼロ。その分を火力発電が肩代わりしている。このためにLNG(液化天然ガス)などの燃料輸入が急増して、貿易収支は大幅な赤字に。同時に燃料価格の高騰で電気料金が急上昇。企業経営と家計を圧迫している。

川内原発の再稼働が、こうした状態を改善するための第1歩になることは明らかだ。しかし、それでも原子力の発電構成は2%にも及ばない。規制委員会は次に関西電力の高浜3-4号機を優先審査する方針だが、高浜は地内に断層がある。合格証が出るまでには、少なくとも半年はかかるだろう。第1歩は踏み出したものの、日本経済のゆがんだエネルギー需給状態は、まだ当分続くと覚悟しなければならない。


      ≪17日の日経平均 = 下げ -9.04円≫

      ≪18日の日経平均は? 予想 = 下げ

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サタデー自習室 -- ヨーロッパ経済の復調 ⑪
2014-07-19-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ EUが失ったもの = EUは4年の歳月をかけて、あの悪夢のような経済危機を克服した。まだ経済には失業率を低下させるほどの力はないが、それでも再び信用不安を引き起こすような恐れはなくなっている。しかし、この復活を目指した4年間のうちに、EUは非常に重要なものを失った。それは域内の結束力である。

結束力の欠如は、3つの形で現われたと言えるだろう。第1は、多くの国で見受けられた政権に対する国民の離反。経済危機を引き起こした南ヨーロッパの国々では、緊縮財政による景気の悪化に国民が耐えられなかった。いくつかの政権が倒れ、後を継いだ政権は財政再建の手を緩めざるをえなかった。その結果、景気は上向いたが、国民の不満はまだ多くの国でくすぶり続けている。

一方、南を支援した北ヨーロッパ諸国でも、国民の不満は増大した。われわれの税金を使って、なぜ南の国民を助けなければならないのか。いわゆる“アリとキリギリス”の理屈である。最大の経済大国であるドイツでも大きな問題となり、メルケル政権もこの議論を抑えるのに大汗をかいた。

ここから第2の対立が生じる。南ヨーロッパの国民は、われわれが緊縮財政と不況に耐えなければならないのは、北の圧力があるためだと感じる。その一方で北ヨーロッパの国民は、南がしっかりしないから、われわれが支援しなければならないと憤慨する。。これがヨーロッパの新しい“南北問題”である。

                                 (続きは来週サタデー)


      ≪18日の日経平均 = 下げ -154.55円≫

      【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2014-07-20-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第17章 国際収支って、なんだろう? ⑧

◇ 最大のお客はアメリカ = こんどは13年の経常収支を、地域別に調べてみましょう。まず経常収支の総計は7899億円の黒字でした。このうちアジア地域に限ってみると、黒字は6兆9000億円。香港、台湾、韓国など多くの国に対しては黒字でしたが、中国とマレーシアについては赤字でした。

アメリカとの経常収支は8兆9000億円の黒字。貿易収支では6兆円の黒字を出しています。やはりアメリカは、日本にとって最大のお客さんですね。また中南米地域との経常収支は3兆1000億円の黒字。貿易収支は2500億円の黒字でした。

EUとの経常収支は、2兆2000億円の黒字。オランダやドイツ、イギリスに対しては黒字でしたが、スイスやイタリア、フランスに対しては赤字となっています。このように世界の大半の国に対しては黒字でしたが、中東諸国に対しては大赤字。これは原油の輸入価格が高騰したためです。

13年の経常収支は7899億円の黒字でしたが、この黒字幅は12年より81%も縮小しています。火力発電用の燃料輸入が増えて貿易収支が大幅な赤字になったことが、その主な原因と言えるでしょう。いまの日本の国際収支状態をひと言で表せば、大幅な貿易赤字と小幅な経常黒字。この状態は、まだ当分続きそうです。

                              (続きは来週日曜日)

             
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今週のポイント
2014-07-22-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ “第3の矢”への不信感 = マレーシア航空機の撃墜という想定外の事件。イスラエル地上軍のガザ侵攻。先週半ばには史上最高値を更新したダウ平均株価も、きなくさいニュースに脅えて木曜日には大きく下落した。だが金曜日にはすぐに反発。結局、週間では157ドルの値上がりで終わっている。この腰の強さは、アメリカ経済の先行きに対する期待感から生じていると言えるだろう。

日経平均は先週52円の値上がり。国際情勢の緊迫化で安全資産と目される円と日本国債が買われ、株価は売られた。しかもダウ平均のような反発力に乏しい。この1か月間、1万5000円台の前半で行ったり来たりしている。先週は原子力規制委員会が、ようやく九州電力の川内原発にゴー・サインを出した。だが株価は全く反応しなかった。

ニューヨークとちがって東京の場合は、日本経済の先行きに対する期待感が薄いようだ。アベノミックスと騒がれた財政・金融面からの”第1、第2の矢”は、とっくに賞味期限切れ。ある程度の賃上げは実現したが、物価の上昇で実質的な購買力はむしろ低下している。そして”第3の矢”は目玉の法人減税が5年計画になるなど、迫力がなくなってしまった。市場の頼みの綱は、企業業績の上方修正だけということになるが・・・。

今週は22日に、5月の全産業活動指数。24日に、6月の貿易統計。25日に、6月の消費者物価。アメリカでは22日に、5月のFHFA住宅価格、6月の消費者物価と中古住宅販売。24日に、6月の新築住宅販売。また中国が24日に、7月のHSBC製造業PMIを発表する。


      ≪22日の日経平均は? 予想 = 上げ

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“好循環”は 生まれるのか? (上)
2014-07-23-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ 減少した実質所得 = 安倍首相は「経済の好循環を実現するために、企業も賃上げをしてほしい」と、なんども強調。経団連にも協力を強く要請した。賃上げによって家計の収入が増えれば、個人消費が増加する。企業の売り上げが伸びて、利益も増える。その利益を設備投資や人件費に回せば、景気はさらに拡大する--これが安倍首相の描く“経済の好循環”である。

賃上げや夏のボーナスの季節はすでに終わったが、この構想は実現するのだろうか。経団連が5442社を対象に労使交渉の最終集計をしたところ、平均の賃上げ額は5928円。前年比では2.07%の上昇だった。15年ぶりの大幅な賃上げ率となっている。厚生労働省が調べた従業員30人未満の中小企業でも、時給が1.1%上がっている。

日経新聞が6月末時点で581社を対象に調査したボーナス支給額は、平均で79万3849円。前年に比べて8.48%増加した。リーマン・ショック前の08年夏には及ばないが、久しぶりの高額になったことは間違いない。特に鉄鋼、機械、自動車、不動産、住宅産業の支給額が大きかった。

ところが総務省が発表した5月の家計調査では、実質所得がむしろ減っている。2人以上の勤労者世帯の実収入は42万1117円で、前年比4.6%の減少だった。世帯主の場合、ボーナスなどの臨時収入は0.32%増加したが、定期収入は2.93%減っている。税金や社会保険料を差し引いた可処分所得は3.4%の減少。消費増税に伴う駆け込みの反動もあって、支出は8.8%と大幅に縮小した。

                             (続きは明日)


      ≪22日の日経平均 = 上げ +127.57円≫

      ≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ

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“好循環”は 生まれるのか? (下)
2014-07-24-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 物価引き上げ政策の矛盾 = 総務省が発表した5月の消費者物価は、生鮮食品を除いた総合指数で前年比3.4%の上昇だった。増税分の2.0%を含んでいるが、32年ぶりの大幅な上昇となっている。物価が上がれば通貨の価値が下がり、その分だけ実質所得も目減りする。賃金は2%あまり増えたが、物価上昇がその分を食いつぶしてしまった。

安倍首相は「賃上げがまだ足りない」と感じるかもしれない。しかし競争が激しい現在の状況で、これ以上の人件費増を企業に求めるのは難しいだろう。その一方で、増税による物価高は来年3月まで続く。したがって冬のボーナスが驚くほど増加でもしない限り、サラリーマンの実収入が減少する現象は持続する可能性が高い。仮にその減少幅が大きくなると、実収入の減少⇒消費の減退⇒景気の低迷という“悪循環”に陥る危険性さえある。

こう考えてくると、理解しにくいのが日銀の物価政策である。日銀はデフレ克服のため、物価の2%上昇を目標とした金融政策を実施している。物価が上がれば上がるほど、実収入は減少してしまう。だから一般のサラリーマンは、日銀の姿勢を応援できない。通貨の価値が下がればもっと困る年金生活者は、日銀を恨むのではないか。

アベノミックス第1の矢と第2の矢は、すでに効力を失った。第3の矢である成長戦略は、まだ形が整わない。実施されても、効果が出るのには時間がかかる。安倍首相はその間隙を埋める手立てとして、賃上げに期待した。しかし物価が上がって、サラリーマンの実収入は減少している。このため景気回復の持続力に疑問が出てきた。株価の動きが鈍いのも、外国人投資家がこの点に不安を感じているためではないか。


      ≪23日の日経平均 = 下げ -14.72円≫

      ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ

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ことしの赤字は18兆円? : 貿易収支
2014-07-25-Fri  CATEGORY: 政治・経済
◇ 輸出は伸び悩み、輸入は大幅増加 = 財務省は24日、ことし1-6月期の貿易統計を発表した。それによると、貿易収支は7兆6000億円の大赤字。昨年同期より赤字幅は58%も拡大し、半年間としては過去最大の赤字になった。輸出が伸び悩んだ一方で、輸入が急増したことが赤字幅を拡大している。

輸出は35兆円で、前年比3.2%増加した。品目別にみると、輸送用機器は1.9%の伸び。乗用車は5.5%増加したが、船舶が20%減少した。また電気機器も3.1%しか増えなかった。その一方、輸入は42兆6000億円。前年比10.0%の増加だった。一般機械や鉄鋼の輸入も増えたが、火力発電用の燃料になるLNG(液化天然ガス)が11.6%増加するなど、鉱物性燃料の輸入が5.9%増えている。

輸出を地域別にみると、EU向けが前年比12.6%増と改善。中国向けも8.5%増と健闘した。日中間の政治的摩擦の影響はかなり薄れたようにも感じられる。ただアジア全体としては2.3%しか伸びなかった。またアメリカ向けも4.0%増で、前年の11.4%増から大きく減速している。

アメリカの景気回復が持続することから、ことし7-12月期の輸出はもう少し伸び率を高めるだろう。しかし輸入の方も、夏の電力需要期を迎えて燃料輸入は落ち込みそうにない。したがって、ことしの年間では貿易赤字が17兆円、あるいは18兆円に達する可能性が大きい。GDPの3.5%にも当たる金額が、海外へ流出しているわけだ。この状況を平然と黙視している政府の姿勢は、どうにも理解できない。


      ≪24日の日経平均 = 下げ -44.14円≫

      ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ

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サタデー自習室 -- ヨーロッパ経済の復調 ⑫
2014-07-26-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 反EU勢力の台頭 = 第3の対立は、EUそのものを否定する反EU政党の進出となって現われた。5月下旬に行われたヨーロッパ議会の選挙は、驚くべき結果だった。ヨーロッパ議会というのは各国の議会とは別に、加盟28か国から選出される議員で構成されるEUの立法機関。議員定数751人の2割を超す議席が、反EU政党で占められることになってしまった。

国別でみると、フランスでは反EUの国民戦線が得票率25%で首位。オランド大統領が率いる社会党は14%しか獲得できなかった。ほかにイギリスではEU離脱を主張する独立党が首位。デンマークやギリシャでも、反EUを掲げた政党が最大議席を獲得している。

この結果、ヨーロッパ議会ではEU擁護派の中道右派・人民党が60議席を減らしたものの、212議席を獲得して第1党の座を死守している。また各国から選出された反EU政党の議員は極右と極左に分かれているため、協力する可能性はない。したがって、こんどの選挙でヨーロッパ議会の性格が大きく変わるとは考えられない。

しかし選挙で反EU政党が台頭したことに、各国政府は強い衝撃を受けている。反EU勢力の進出は、景気回復の遅れが基本的な原因だと分析。フランスやイタリア、それにスペインでも、政府は減税を実施することになった。こうした観点からも、EUの景気回復は不可欠の課題と目されている。だが景気対策を講じれば、財政再建には支障が出かねない。EUの悩みは果てしなく続く。


      ≪25日の日経平均 = 上げ +173.45円≫

      【今週の日経平均予想 = 2勝2敗】

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サンデー実験室 = 新・孫に聞かせる経済の話
2014-07-27-Sun  CATEGORY: 政治・経済
第17章 国際収支って、なんだろう? ⑨

◇ 所得収支は大幅な黒字 = 日本の貿易・サービス収支は、このところ大幅な赤字を続けています。それでも、日本の国債や株式が売り込まれるようなことはありません。それは所得収支が大幅な黒字を出して、経常収支をなんとか黒字にしているからです。

日本の企業は海外の会社に資金を出して経営に参加したり、海外に子会社を作って営業しています。また個人も含めて、海外の株式や債券を購入しています。こうした投資先から得られる配当や利子、これが所得収支に計上される収入です。この収入が最近は、とても多くなっているのです。

13年度の実績でみると、所得収支は15兆2320億円の黒字でした。貿易・サービス収支は14兆4422億円の赤字でしたが、この所得収支の黒字によって、その両方を合わせた経常収支は7899億円の黒字となっています。それだけ海外への投資が増え、そこから得られる配当や利子が多額になったわけですね。

10年前と比べてみると、その様子がよく判ります。03年度の貿易・サービス収支は9兆6000万円の黒字。所得収支は8兆2000億円の黒字でした。それが13年度は貿易・サービス収支が14兆円を超える大赤字に。ところが所得収支は10年前の倍近い黒字を出して、貿易・サービス収支の大赤字を補いました。

                                  (続きは来週日曜日)


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今週のポイント
2014-07-28-Mon  CATEGORY: 政治・経済
◇ ボックス圏から いつ脱出? = 日経平均は先週242円の値上がり。終り値の1万5458円は、1月23日以来の高値となった。この半年間の安値は4月14日の1万3910円。したがって株価はこの6か月間、1500円ほどしか動いていない。出来高も細っており、ある意味ではボックス圏内での膠着状態にあると言えるだろう。

ダウ平均は先週140ドルの値下がり。1万7000ドル台に乗せて先々週は史上最高値を更新したが、その後は利益確定売りに押されて冴えない。こちらも、ことしに入ってからは700ドルほど上昇しただけ。ウォール街でも、株価は膠着状態に入ったという見方が強くなっている。

日米ともに、景気の回復基調は続いている。だから下値への抵抗力は強い。しかし景気の将来展望には、確たるものが欠けている。だからボックス圏を破れない。いま頼りになるのは、企業業績だけになっている。今週からは、日本でも4-6月期の決算発表が本格化する。その結果を原動力に、株価は上放れできるかどうか。

今週は29日に、6月の雇用統計、家計調査、小売り売上高。30日に、6月の鉱工業生産。31日に、6月の毎月勤労統計と住宅着工戸数。1日に、7月の新車販売台数。アメリカでは28日に、6月の中古住宅販売。29日に、5月のSPケースシラー住宅価格と7月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。30日に、4-6月期のGDP速報。1日に、7月の雇用統計とISM製造業景況指数。また中国が1日に、7月の製造業PMI。EUが31日に、6月の失業率と消費者物価を発表する。


      ≪28日の日経平均は? 予想 = 下げ

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夜9-11時にも取り引き : 東証
2014-07-29-Tue  CATEGORY: 政治・経済
◇ 秋までには最終決定 = 東京証券取引所は、取り引き時間の拡大を検討中。研究会を設けて議論してきたが、その報告書がまとまった。具体的な拡大案は、①午後9-11時の夜間取り引き②午後3時30分-5時の夕方取り引き③午後3時の終了時を4時に延長--の3つ。このうち夜間取り引きの新設が最有力となっている。

現在の取り引き時間は、午前9-11時30分と午後0時30分-3時で、合計5時間。ニューヨーク市場の6時間半、ロンドン市場の8時間に比べると短い。このため東証は、取り引き時間の拡大を検討してきた。研究会がまとめた3案について経営的な見地から議論を重ね、秋までには最終的な結論を出す見通し。

拡大案3つのうち、午後3時の終了時間を4時に延長する案は、実際問題としてあまり意味はない。また現在3時の終了時間はその日の終り値を確定し、企業会計の株価評価や投信の基準価格を算定するために必要だ。したがって夕方取り引きを新設するにしても、3時スタートというわけにはいかない。

夜間取り引きの新設は、仕事を終えたサラリーマンを市場に取り込むという目的がはっきりしている。だから実現性は最も大きいが、人件費などのコストもかかる。この辺を東証の経営者が、どう判断するか。しかし市場のイメージ・チェンジには、これしかないだろう。9-11時ならば、ロンドン市場も開いている。


      ≪28日の日経平均 = 上げ +71.53円≫

      ≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ

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反動減は小さいが : 小売り販売高
2014-07-30-Wed  CATEGORY: 政治・経済
◇ カギ握る自動車の売れ行き = 経済産業省が29日発表した6月の商業販売統計によると、商業販売額は総計38兆0500億円。前年比で0.7%減少している。このうち卸売り業は26兆7000億円で0.7%の減少。小売り業は11兆3500億円で0.6%の減少だった。消費増税に伴う駆け込み需要の反動減は、かなり縮小してきたと言える。

商品別にみると、自動車が3.9%%の減少。機械類が6.5%減、衣類・身の回り品も2.5%減少した。6月は例年に比べて雨の日が多く、エアコンや夏物衣料の売れ行きが悪かったという。業態別では大型小売店が1.2%減、うちデパートは2.4%の減少だった。またスーパーが1.4%減少したのに対して、コンビニは4.9%増加している。

小売り販売高の推移をみると、駆け込み需要によって昨年10-12月期は前年比3.0%の増加。ことし1-3月期は6.6%の増加だった。増税後に現われる反動減の大きさが心配されていたが、4-6月期は1.8%の減少にとどまったことになる。4-6月期でみても大型店は減少、コンビニは増加となった。このことは単価の低い品物については、反動減が終了したことを示している。

単価の高い品物は自動車。5月の小売り額は3.8%の減少だったが、6月も3.9%減少した。この自動車の売れ行きが、いつから前年比プラスに戻るか。それによって7月以降の小売り販売高が、前年比増加の局面に戻れるかどうかが決まるだろう。7月の新車販売台数は今週8月1日に発表される。


      ≪29日の日経平均 = 上げ +88.67円≫

      ≪30日の日経平均は? 予想 = 上げ

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不可解な 実収入の減少 : 家計調査
2014-07-31-Thu  CATEGORY: 政治・経済
◇ 9か月間も減少が続く = 総務省が発表した6月の家計調査によると、2人以上世帯の消費支出は平均27万2791円。前年比は名目値で1.3%増加したが、実質値では3.0%の減少となった。消費増税などで物価が上昇したために、実際に支払ったおカネは増えたが購入できたモノは減ったということになる。

消費増税に伴う駆け込み需要の反動に、世の中の関心が集まっている。この観点からみると、6月の実質消費支出は3.0%減少したが、5月の8.0%減少からは大きく改善した。このため新聞も「反動減は和らぐ」とか「消費は緩やかに回復」という見出しで大きく報道した。それはそれでいい。

だが家計調査は、2人以上の勤労者世帯についても収支を集計している。それによると、6月の実収入は71万0375円だった。この前年比は名目で2.5%、実質では6.6%の減少である。実収入というのは、給料などのほか内職収入や社会保険給付など、すべての収入を合計した金額。この実収入が昨年10月から、ずっと減り続けているのだ。

実収入から税金や社会保険料を差し引いた手取りの収入を、可処分所得と言う。この可処分所得は56万8874円。昨年6月に比べると2万3000円も減ってしまった。ことし話題になった賃上げやボーナスは、どこへ行ってしまったのだろう。こんな収入の減少が続いたのでは、消費が盛り上がるわけはない。新聞はこちらの問題を解明すべきではないか。


      ≪30日の日経平均 = 上げ +28.16円≫

      ≪31日の日経平均は? 予想 = 上げ

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