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経済なんでも研究会
サタデー自習室 -- シェール革命の衝撃 ⑦
2013-06-15-Sat  CATEGORY: 政治・経済
◇ 北方領土にもシェールの影 = モスクワで4月末に行われた日ソ首脳会談。共同声明では「北方領土問題の交渉を加速させる」と明記された。このロシア側の柔軟な姿勢に「オヤッ」と感じた人も多かったのではないか。実は“シェール革命”が、プーチン大統領の言動に大きな影響を与えたとみることができる。

いまから10年前、だれもが「アメリカは近くエネルギーの大幅な不足に陥る」と予想していた。世界最大級のガス産出国である中東カタールはこれに目を付け、年間7000万トンのLNG生産設備を増設した。ところが突如として起こった“シェール革命”。売り先を失ったカタールは、このLNGをヨーロッパ諸国に安値で売り込んだ。同時にアメリカも、シェールの使用で余った石炭をヨーロッパに売り込む。

慌てたのはロシアだ。世界最大のガス産出国であるロシアは、これまで財政収入の半分近くをガスの輸出に頼ってきた。現在のロシアの経済計画は、こうしたガスや原油の輸出見通しを基礎に作られている。また東ヨーロッパ諸国へのガス供給をめぐって、値上げや供給停止で政治的な圧力を加えたこともあった。その立場が崩壊してしまう。

プーチン大統領は、春の最高幹部会議で大号令を発した。「LNGを極東に売り込め。さもないと、競争相手に市場を根こそぎ奪われる」と。こうしてウラジオストクと北部のヤマル半島に、それぞれ年産1500万トンのLNG基地が建設され始めた。前者は日本をはじめとする極東諸国向け、後者は中国向けである。シェールのおかげで、日本に対してもリップサービスが必要になったわけである。

                             (続きは来週サタデー)


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