トルーマンは、広島は「軍事基地」だと思っていた?
トルーマンは、広島は「軍事基地」だと思っていた?
<記事原文 寺島先生推薦>
Hiroshima: A “Military Base” according to President Harry Truman
Global Research 2021年8月5日
ミシェル・チョスドフスキー(Prof Michel Chossudovsky)著
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年8月15日
この記事の初出は、2017年8月5日
〈前書き〉
76年前のことだった。世界で最初の原子爆弾がヒロシマに投下された。ただし、トルーマンによればヒロシマは「軍事基地」だった。
この原爆による一般人の被害はまだはっきりと分かっていない。ただ分かっているのは、爆発後の最初の7秒間で10万人の市民が亡くなったということだ。
マイケル・チョスフドスキー
ヒロシマの日に
2021年8月6日
***
〈記事本文〉
核戦争の危険は大手メディアにとっては、論議や分析の対象ではない。
世論は間違った方向に注意深く操作されている。「すべての選択肢が用意されている」と。核兵器は平和を実現するための爆弾として描かれている。
戦術核兵器や、いわゆる小型核兵器は、広島で使われた原爆の3分の1から6倍の爆破能力があると科学者たちが考えていることをご存知だろうか?一方米国防衛省はこれらの核兵器を「爆発は地下でおこるため、周りの市民たちには無害である」と言っている。
こんなのは真っ赤な嘘だ。
米国の武器庫には、地球を7回吹き飛ばせるだけの大量の核兵器が保管されている。
世界は、ヒロシマ(1945年8月6日)とナガサキ(同年8月9日)を祈念する73度目の夏を迎えている。
トルーマンは、ヒロシマが「軍事基地」だったと思っていたことをご存知だろうか?人類初の原子爆弾が、日本の人口の多い2つの都市に1945年8月に投下された時のことだ。その投下の目的はトルーマン大統領によると、無実の市民たちの命を守るためだった、とのことだ。
「世界は人類初の原子爆弾が、軍事基地ヒロシマに落とされたと記述するでしょう。この爆弾の投下はこの先制攻撃により、市民たちの殺害をできる限り抑えるためでした。(President Harry S. Truman in a radio speech to the Nation, August 9, 1945)」
[注: 人類初の原子爆弾は1945年8月6日に広島に、2番目は1945年8月9日に長崎に投下された。トルーマンの国民に向けたラジオ演説は、この8月9日に放送された]
(トルーマンの演説の音声はこちらのヒロシマ・オーディオ・ビデオを参照)
「一般市民を巻き込んで被害を与えた」という人類に対する罪は、刑を受けないままだ。
ハリー・トルーマン大統領は以下のように語っている。
(トルーマンの発言)
「私たちは世界史上最も恐ろしい武器を見出しました。この武器は、聖書でノアの方舟のエピソードの後のユーフラテスの谷時代に預言されていた、火による破壊を超えるものかもしれません...この武器は日本に対して使われるものです...私たちがこの武器を使うのは、軍事目的としてであり、その標的は兵士たちや海兵たちであって、婦女子たちではありません。ジャップが獰猛で、冷酷で、情がなく、狂信者であったとしても、世界共通の利益を求めている世界の指導者たる私たちは、日本の古都(訳注:京都や奈良のこと)や新都(訳注:東京のこと)にこんなひどい爆弾を落としたりはしません...標的は純粋な軍事施設になります...この爆弾は、今まで発見されたものの中で最もひどいもののようですが、これを最も効果的なものに変えることも可能です」
(President Harry S. Truman, Diary, July 25, 1945)
今日この日まで、米政府は日本国民に謝罪したことはないし、大手メディアがハリー・トルーマンが嘘つきで犯罪者であると取り上げたこともない。
トルーマンの7月25日の日記の内容によれば (上の画像を参照)、トルーマンは広島が都市であるとは思っていなかったようだ。トルーマンは助言者から「広島は軍事基地であり、爆発を投下しても大丈夫だ」という間違った情報をもらっていたのか?それとも、自分を自分で騙していたのか?トルーマンは愚かで、教育を受けていない人間だったのか?軍で高い地位にあった人なら誰でも、広島は(1945年の時点で)約35万人の住人がいる人口の多い都市部にあることを知っていた。
「ポツダム会議についてのラジオ報告」という題名がつけられたこのラジオ演説の全編は、ミズーリ大学ハリー・トルーマン図書館・博物館のサイトの「ハリー・S・トルーマン関連の公式文書リスト」の中にある。
特記すべきことは、トルーマンがヒロシマや原子爆弾に関して触れたのは、この長いラジオ演説の本当に最後の部分だけであり、この演説自体は概してドイツやポツダム会議のことに焦点が当てられていたという事実だ。もうひとつ特記すべきことは、米国がヒロシマへの原子爆弾を投下を決めたのは、ベルリンでの平和交渉の真っ最中だったという事実だ。2発目の原子爆弾が長崎に投下されたのは、トルーマンがワシントンに戻ってすぐのことだった。
(トルーマンのラジオ演説の音声はこちらのヒロシマ・オーディオ・ビデオを参照)
以下はトルーマンのラジオ演説において、原子爆弾について触れた部分の全編だ。 (強調は筆者):
「世界は人類初の原子爆弾が、軍事基地ヒロシマに落とされたと記述するでしょう。この爆弾の投下はこの先制攻撃により、市民たちの殺害をできる限り抑えるためでした。しかしこの原子爆弾の投下は、これから先に起こることへの警告でしかありません。日本が降伏しないのであれば、日本の軍需産業地域に落とされるでしょう。そして残念なことですが、何千もの一般市民の命を奪うことにもなるでしょう。日本の市民に強く求めるのは、工業都市からすぐに避難し、身の安全を確保することです。
私はこの原子爆弾が重大な惨劇をもたらすことを十分に理解しています。
原子爆弾の製造と使用については、我が国の政府から軽く受けとめられていたわけではありませんでした。しかし私たちは、敵国たちが原子爆弾の発見を模索していたことを掴んでいました。彼らがあと一歩で原子爆弾を発見するところだったということも承知しています。もし彼らが先に原子爆弾を発見していたならば、この国や、平和を愛するすべての国々や、その国民たちにどのような惨劇がもたらされていたかについても分かっていました。
だからこそ、私たちは、先が見通せない中、長い時間と費用をかけてこの原子爆弾の発見と製造に向けて努力を重ねざるをえなかったのです。
私たちはドイツとの原子爆弾発見競走に勝利したのです。
その爆弾を見出したから、使ったのです。その原子爆弾を使用した相手は、なんの警告もなしに真珠湾で私たちを攻撃してきた国でした。戦争捕虜になった米国民を餓死させ、打ち叩き、処刑した国です。 戦争に関する国際法に従うふりをすることさえ放棄した国です。 私たちが原子爆弾を使用したのは、悲惨な戦争を早く終わらせるためです。何千、何万もの若き米国民の命を救うためです。
日本の戦争を続けられる力を完全に破壊するまで、私たちは原子爆弾を使用します。私たちの攻撃を止めるには、日本が降伏するしかありません。
この原子爆弾を不法地帯に放つことはあまりに危険です。だからこそ、原子爆弾の製造法の秘密を所持している英国とカナダと米国は、この秘密の製造法を明らかにする意図は持っていません。世界のすべてが破壊される危機から、私たちや、私たち以外の世界の人々が守られるよう、原子爆弾を統制できる手段が見つかるまでは、です。
すでに昨年の5月から、私からの助言を受けたスティムソン陸軍大臣に、私の代理としてバーンズ国務長官を代表とする委員会を立ち上げるよう命じていました。その委員会の目的は、この先、原子爆弾の使用法を統制する計画を準備することです。議会には、原子爆弾の製造と使用が統制下に置かれ、原子爆弾の威力が世界平和に大きく貢献する体制が整うまで、協力をお願いします。
私たちは、この新しい力の正しい使用法に責任を負います。誤った使用法を止めなければなりません。そして原子爆弾の使用を、人類に貢献する方向に向けなければなりません。
私たちは、私たちが手中に収めたものに対して大いなる責任を有しているのです。
原子爆弾が敵ではなく、私たちの手中に入ったことを神に感謝します。そして神の御心と神の思し召しに従って、私たちが原子爆弾を使用することができるよう導いてくださることを祈念します。
<記事原文 寺島先生推薦>
Hiroshima: A “Military Base” according to President Harry Truman
Global Research 2021年8月5日
ミシェル・チョスドフスキー(Prof Michel Chossudovsky)著
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年8月15日
この記事の初出は、2017年8月5日
〈前書き〉
76年前のことだった。世界で最初の原子爆弾がヒロシマに投下された。ただし、トルーマンによればヒロシマは「軍事基地」だった。
この原爆による一般人の被害はまだはっきりと分かっていない。ただ分かっているのは、爆発後の最初の7秒間で10万人の市民が亡くなったということだ。
マイケル・チョスフドスキー
ヒロシマの日に
2021年8月6日
***
〈記事本文〉
核戦争の危険は大手メディアにとっては、論議や分析の対象ではない。
世論は間違った方向に注意深く操作されている。「すべての選択肢が用意されている」と。核兵器は平和を実現するための爆弾として描かれている。
戦術核兵器や、いわゆる小型核兵器は、広島で使われた原爆の3分の1から6倍の爆破能力があると科学者たちが考えていることをご存知だろうか?一方米国防衛省はこれらの核兵器を「爆発は地下でおこるため、周りの市民たちには無害である」と言っている。
こんなのは真っ赤な嘘だ。
米国の武器庫には、地球を7回吹き飛ばせるだけの大量の核兵器が保管されている。
世界は、ヒロシマ(1945年8月6日)とナガサキ(同年8月9日)を祈念する73度目の夏を迎えている。
トルーマンは、ヒロシマが「軍事基地」だったと思っていたことをご存知だろうか?人類初の原子爆弾が、日本の人口の多い2つの都市に1945年8月に投下された時のことだ。その投下の目的はトルーマン大統領によると、無実の市民たちの命を守るためだった、とのことだ。
「世界は人類初の原子爆弾が、軍事基地ヒロシマに落とされたと記述するでしょう。この爆弾の投下はこの先制攻撃により、市民たちの殺害をできる限り抑えるためでした。(President Harry S. Truman in a radio speech to the Nation, August 9, 1945)」
[注: 人類初の原子爆弾は1945年8月6日に広島に、2番目は1945年8月9日に長崎に投下された。トルーマンの国民に向けたラジオ演説は、この8月9日に放送された]
(トルーマンの演説の音声はこちらのヒロシマ・オーディオ・ビデオを参照)
「一般市民を巻き込んで被害を与えた」という人類に対する罪は、刑を受けないままだ。
ハリー・トルーマン大統領は以下のように語っている。
(トルーマンの発言)
「私たちは世界史上最も恐ろしい武器を見出しました。この武器は、聖書でノアの方舟のエピソードの後のユーフラテスの谷時代に預言されていた、火による破壊を超えるものかもしれません...この武器は日本に対して使われるものです...私たちがこの武器を使うのは、軍事目的としてであり、その標的は兵士たちや海兵たちであって、婦女子たちではありません。ジャップが獰猛で、冷酷で、情がなく、狂信者であったとしても、世界共通の利益を求めている世界の指導者たる私たちは、日本の古都(訳注:京都や奈良のこと)や新都(訳注:東京のこと)にこんなひどい爆弾を落としたりはしません...標的は純粋な軍事施設になります...この爆弾は、今まで発見されたものの中で最もひどいもののようですが、これを最も効果的なものに変えることも可能です」
(President Harry S. Truman, Diary, July 25, 1945)
今日この日まで、米政府は日本国民に謝罪したことはないし、大手メディアがハリー・トルーマンが嘘つきで犯罪者であると取り上げたこともない。
トルーマンの7月25日の日記の内容によれば (上の画像を参照)、トルーマンは広島が都市であるとは思っていなかったようだ。トルーマンは助言者から「広島は軍事基地であり、爆発を投下しても大丈夫だ」という間違った情報をもらっていたのか?それとも、自分を自分で騙していたのか?トルーマンは愚かで、教育を受けていない人間だったのか?軍で高い地位にあった人なら誰でも、広島は(1945年の時点で)約35万人の住人がいる人口の多い都市部にあることを知っていた。
「ポツダム会議についてのラジオ報告」という題名がつけられたこのラジオ演説の全編は、ミズーリ大学ハリー・トルーマン図書館・博物館のサイトの「ハリー・S・トルーマン関連の公式文書リスト」の中にある。
特記すべきことは、トルーマンがヒロシマや原子爆弾に関して触れたのは、この長いラジオ演説の本当に最後の部分だけであり、この演説自体は概してドイツやポツダム会議のことに焦点が当てられていたという事実だ。もうひとつ特記すべきことは、米国がヒロシマへの原子爆弾を投下を決めたのは、ベルリンでの平和交渉の真っ最中だったという事実だ。2発目の原子爆弾が長崎に投下されたのは、トルーマンがワシントンに戻ってすぐのことだった。
(トルーマンのラジオ演説の音声はこちらのヒロシマ・オーディオ・ビデオを参照)
以下はトルーマンのラジオ演説において、原子爆弾について触れた部分の全編だ。 (強調は筆者):
「世界は人類初の原子爆弾が、軍事基地ヒロシマに落とされたと記述するでしょう。この爆弾の投下はこの先制攻撃により、市民たちの殺害をできる限り抑えるためでした。しかしこの原子爆弾の投下は、これから先に起こることへの警告でしかありません。日本が降伏しないのであれば、日本の軍需産業地域に落とされるでしょう。そして残念なことですが、何千もの一般市民の命を奪うことにもなるでしょう。日本の市民に強く求めるのは、工業都市からすぐに避難し、身の安全を確保することです。
私はこの原子爆弾が重大な惨劇をもたらすことを十分に理解しています。
原子爆弾の製造と使用については、我が国の政府から軽く受けとめられていたわけではありませんでした。しかし私たちは、敵国たちが原子爆弾の発見を模索していたことを掴んでいました。彼らがあと一歩で原子爆弾を発見するところだったということも承知しています。もし彼らが先に原子爆弾を発見していたならば、この国や、平和を愛するすべての国々や、その国民たちにどのような惨劇がもたらされていたかについても分かっていました。
だからこそ、私たちは、先が見通せない中、長い時間と費用をかけてこの原子爆弾の発見と製造に向けて努力を重ねざるをえなかったのです。
私たちはドイツとの原子爆弾発見競走に勝利したのです。
その爆弾を見出したから、使ったのです。その原子爆弾を使用した相手は、なんの警告もなしに真珠湾で私たちを攻撃してきた国でした。戦争捕虜になった米国民を餓死させ、打ち叩き、処刑した国です。 戦争に関する国際法に従うふりをすることさえ放棄した国です。 私たちが原子爆弾を使用したのは、悲惨な戦争を早く終わらせるためです。何千、何万もの若き米国民の命を救うためです。
日本の戦争を続けられる力を完全に破壊するまで、私たちは原子爆弾を使用します。私たちの攻撃を止めるには、日本が降伏するしかありません。
この原子爆弾を不法地帯に放つことはあまりに危険です。だからこそ、原子爆弾の製造法の秘密を所持している英国とカナダと米国は、この秘密の製造法を明らかにする意図は持っていません。世界のすべてが破壊される危機から、私たちや、私たち以外の世界の人々が守られるよう、原子爆弾を統制できる手段が見つかるまでは、です。
すでに昨年の5月から、私からの助言を受けたスティムソン陸軍大臣に、私の代理としてバーンズ国務長官を代表とする委員会を立ち上げるよう命じていました。その委員会の目的は、この先、原子爆弾の使用法を統制する計画を準備することです。議会には、原子爆弾の製造と使用が統制下に置かれ、原子爆弾の威力が世界平和に大きく貢献する体制が整うまで、協力をお願いします。
私たちは、この新しい力の正しい使用法に責任を負います。誤った使用法を止めなければなりません。そして原子爆弾の使用を、人類に貢献する方向に向けなければなりません。
私たちは、私たちが手中に収めたものに対して大いなる責任を有しているのです。
原子爆弾が敵ではなく、私たちの手中に入ったことを神に感謝します。そして神の御心と神の思し召しに従って、私たちが原子爆弾を使用することができるよう導いてくださることを祈念します。
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