「グレート・リセット」はこの世の終わりの一里塚。2030年に人類は「僕には何もないけど幸せだ!」という世界になっている?
<記事原文 寺島先生推薦>
Dystopian “Great Reset”: “Own Nothing and Be Happy”, Being Human in 2030
グローバル・リサーチ
2020年12月19日
コリン・トドハンター
世界経済フォーラム(WEF)の年一度の定例会が1月下旬、スイスのダボスで開催され、世界規模で展開している企業や指導的役割をはたしている政治家たちや、経済学者たちや、その他の著名な人々が一堂に会し、世界の諸問題についての話し合いが持たれた。強い影響力を持つ世界経済フォーラムの主宰者であるクラウス・シュワブの主導のもと、世界経済フォーラムは、世界を破滅へと導く「グレート・リセット」を推し進める主要な牽引力として機能している。この「グレート・リセット」とは、構造改革のことであり、そこには、我々の生活様式や働き方や交流の仕方まで変えさせようという意図がある。
「グレート・リセット」の具体的な中味は、社会構造を変えようということであり、個人がもつ基本的な自由は永久に制限され、市民に対する監視網が大規模に張り巡らされている、そんな社会になるという変化だ。そして実体経済はまるまる、ひと握りの独占企業に吸い込まれ、これらの独占企業の思うままの世界になる。その独占企業とは、巨大製薬会社であり、巨大データを扱う企業であり、アマゾン社であり、グーグル社であり、グローバル・チェーン(訳注 いくつかの部門別に世界各地で展開する生産活動のこと)を持つ主要な企業であり、デジタル貨幣業者であり、生物化学関連会社などだ。
COVID-19による都市封鎖措置やその他の制限措置を利用しながら「新しい日常」が推し進められ、「グレート・リセット」が、「第四次産業革命」という口実のもとに押し出されている。従来からの既存産業は倒産させられ、独占企業に吸収されることになり、COVID前の経済活動の大部分が都合よく閉鎖される。経済が「再建」されつつある中で、多くの職がAIに奪われていく。
以下の短い動画において、世界経済フォーラムが予見しているのは、2030年までには、人々が「所有物は何もないが幸せ」という世の中になっていると いう未来だ。幸せそうな笑顔の人物とともに、ドローンが宅配便を家に届ける場面が映し出される。きっとその荷物はオンラインで注文され、 アマゾン社の巨大倉庫でロボットが包装したものだろう。「この商品の製造過程でも包装過程でも配達過程でも人間が入り込む余地はない。ご安心ください。ウイルスやバクテリアの侵入の危険は全くありません」。なんと、2030年になっても、まだ「恐怖を煽るキャンペーン」を維持し続けないといけないのか。そうしないと、市民たちを完全に抑え込むことはできないようである。
職を失った人々には(そのような人々は多数となるであろう)基本給のようなものが支給され、さらに借金も負わされるであろう (借金や倒産が広範囲で見られるようになったのは、都市封鎖措置やその他の制限措置が行われた当然の帰結だ)。その借金は国家、いやもっと正確には金融機関に私有財産を譲渡することで棒引きになる。この流れに持ち込もうとすることこそがグレート・リセットなのだ。世界経済フォーラムによれば、一般市民たちは必要なもの全てを「レンタル」することになるようだ。所有物が「持続可能な消費」や「地球をまもろう」という名のもとに奪われていく。 もちろん、このグレート・リセットを動かしているごくひと握りのものたちは全てを私物化する。
世界の何億もの人々が「必要とされないおまけ」的存在におかれ、生計が奪われることになる(すでに現時点でもそうなっている)。我々のすべての行動や購買行為は監視され、人とのやり取りはオンライン上で行うことが基本となるだろう。
一市民に対するこの企みは、そのまま一国家に対しても応用される可能性がある。 一例をあげれば、世界銀行グループのディビッド・マルパス社長によれば、貧しい国々は「援助」を受け再建できるというのだ。しかもそれは様々な経済封鎖措置が行われた後の話だそうだ。この「援助」を受けている状況こそが、 新自由主義に基づく再建が導入され、公共福祉が削減されていくという状況が進み、さらに深みにはまっていくという状況だ。
4月20日、ウォール・ストリート・ジャーナル誌は、以下のような見出しの記事を載せた。「IMFと世界銀行は発展途上国から嵐のような救済要請を受けている。多数の国々が金融機関に対して資金援助や融資を要請している。その貸付総額は1兆2000億ドルにのぼっている」。発展途上国の依存度を上げるには格好の状況だ。
債務免除や「支援」の見返りに、世界規模で展開する複合企業は、ビル・ゲイツのような連中とともに、途上国の政策立案にさらに口出しできるようになり、すでにボロボロになっているその国の主権を木っ端微塵にしてしまうだろう。
市民のアイデンティティはどうなる?
我々の社会はどうなってしまうのだろう?また我々のアイデンティティは?人間の行動や我々が成すことすべてを商品化してしまおうという企みの中で、アイデンティティなどは消されてしまうのだろうか?
この企みを推し進めている億万長者たちは、自然や全人類を所有できる、しかも両者を支配できると考えているのだ。例えば彼らは大気を人工的に制御したり、遺伝子工学を使って土壌内の微生物を取り替えたり、生合成の技術を用いて、研究室でニセモノの食料を自然よりも上手にこしらえたりできる、と思っているのだ。
彼らは、これまで人類が成し遂げてきたことをもう一度ゼロにして、そこから新しい歴史を作り上げることができると考えているのだ。
そして彼らはそのようなことを2030年までに成し遂げられると考えているのだ。なんと恐ろしい冷淡な考え方だろうか。世も末に思えてくる。これまで何千年もかけて人類が作り上げてきた文化や伝統や実践を、たった一晩ほどで、すべて消し去ってしまおうと考えるなんて。
そしてこのように今まで人類が作り上げてきた文化や伝統や実践の多くは、食料や食料をどのように生産してきたかということや我々が自然とどのように関わってきたかということと密接に繋がっている。 考えて欲しいのは、我々の先祖の古代の儀式や祝祭の多くが、言い伝えや神話に基づいて始められたという事実だ。このような言い伝えや神話は、最も根本的な疑問である自分の存在について腑に落ちる拠り所になっていたものだ。存在に関する疑問とは、死や再生や種の繁殖についての疑問だ。このような文化に根ざした信念や実践は、自己と自然との関係を浄化し、人間生活を持続させる上で大きな役割を果たしてきた。
人類にとって、農業が生き残るための鍵となったため、穀物の種植えと収穫などの食料生産に関連した行事が、これらの風習の中核をなすものであった。例をあげれば、北欧のペイガニズム(訳注 全ての物に神が宿ると考える多神教的な考え)におけるフレイファクシという祭典は、収穫期の始まりに行われるものであるし、ゲール族のラマスやルーナスというお祭りは、その年最初の果実や穀物の収穫をお祝いするペイガニズムの祭典である。
人類は自然と自然の恵みである生命を祝福してきた。古代の信念や儀式には、希望や再生が埋め込まれていて、人々は以下のようなものと必然的につながり、一体化していた。それは、太陽、種子、動物たち、風、火、土、雨、それと季節の移ろいだ。これらのもののおかげで、生命が豊かになり、新たな生命も産み出されていく。我々は、農作物や関連する神々と文化的にも社会的にもつながりをもっていたが、それは健全な日々の行いがもとになっていた。
ロバート・W・ニコラス博士の説明によれば、北欧神話のトールやオーディンの祭事には、もっと古くもっと深く根強い信念が重ね合わせられているとのことだ。その信念が関連づけられているのは、太陽や大地、穀物や動物たち、そして明るく暖かい夏から冷たく暗い冬へと変わっていく季節の移ろいだ。
文化や農業の環境との重要な関係を理解したいのであれば、インドを見れば十分だ。というのも、インドは、いつモンスーンが来るか、いつ種をまくか、いつ収穫するかがとても重要な地域だからだ。 地域に根ざした信念や儀式が、自然と調和しており、それらの信念や儀式は、都市に住む人々の中にも息づいている。これらの信念や儀式は伝統的な知識体系の中に組み込まれているものであり、そこでは、生活や季節や、食料や、料理や、物事の過程や、種子の入れ替えや、医療や知識を後世に伝達することが互いに関連しあい、インド文化の多様性の本質が形成されている。
産業の発達のせいで、人々が都市部に移住し、食料や自然環境とのつながりが弱まっているが、伝統的な「食文化」(すなわち食料の生産や分配や消費をとりまく行為や態度や信念)はいまだに息づいており、我々と農業や自然とのつながりの大切さは脚光を浴び続けている。
「神の手による」帝国主義
1950年代の状況を振り返れば、面白い現象が見つかる。それは米国の化学会社であるユニオン・カーバイド社が或るイメージに基づく言説を垂れ流していたことだ。そのイメージとは、自社は空から降りてきた「神の手」であり、人類の諸問題を解決するためにやってきた、というイメージだ。中でも一番知られているイメージは、カーバイド社はインドの大地に化学肥料の雨を降らせる「神の手」である、というイメージだ。そして、そのイメージを使って、まるでそれまでの伝統的な農業のやり方がいくぶん「時代遅れ」であるかのように思わせていた。
逆に広く知らされていた主張にも関わらず、この化学的手法による農業は食糧生産を前進させなかったというのが、グレン・ストン博士の「緑の改革のもとでの新しい歴史」という研究の結果だ。しかし、この化学的手法による農業は、環境面でも社会面でも経済面でも、長期的な低迷をもたらすことになった。 (バンダナ・シバの著書『緑の革命がもたらした暴力』やバスカー・セイブがインド政府に宛てた公開書簡を参照。この書簡は今は非常に有名となり、深い洞察に基づく書簡という評価を受けている」)
『食料と文化の研究』(ボブ・アシュリー他)という著書を読めば、コカ・コーラ社が、テレビコマーシャルを使って視聴者に製品を売ろうとしたキャンペーンの手口が分かる。そのコマーシャルでは、砂糖漬け飲料水がいかにも近代的なものであり、従来のアボリジニの信念は、有害で無知で時代遅れなものだという刷り込みが意図されていた。雨が降らなくても コークを飲めば、旱魃に苦しむ人々の生命は救われるという構図だ。このような考え方を植え付けることは、伝統文化を軽視させようというもっと大きな狙いの一部だった。そして、伝統文化には欠陥があり、「神の手」をもつ企業の助けが必要だという刷り込みが行なわれたのだ。
2020年の我々が今目にしているのは、このような伝統文化の軽視の流れが急速に進んでいることだ。食料や農業に関していえば、インドのような地域における伝統的な農業は、進んだ技術をもつ巨大農業企業からますます以下のような技術を取り入れるように圧力をかけられることになるだろう。それらの技術とは、研究室で培養された食料や遺伝子組み換え作物や、遺伝子工学により操作された土壌内の微生物や、データ収集機器や、収穫の際の機械ドローンなどの「破壊的な」 技術のことだ。
グレート・リセットの概念には、人間なしで管理される農場も含まれている。どんな農場かというと、運転手のいない機械が管理し、ドローンが監視し、化学肥料漬けの農場だ。そこで栽培されるのは商用作物であり、植えられているのは、特許が取られている遺伝子組み換え種子であり、その作物は「産業生物」として加工され、何か食料に似たようなものになる。そんな社会では農家はどうなってしまうのだろう?
COVID後の世界において、世界銀行が再建に向けて助けの手を差し出す国は、構造改革を受け入れた国だけだ。何千万もの小規模農家たちは、自分たちの土地と引き換えに、個人の借金が帳消しされ、基本給のようなものの支給を受けるよう甘言をかけられてはいないか?このような農家たちが排除されていき、それに伴い地域の共同体や文化が崩壊させられる。この状況が、ゲイツ財団がかつて嘲笑うかのようにこう言っていた状況だ。それが「持ち主を簡単に移動できる不動産」と。
化けの皮を剥げば、ハッキリわかる。ビル・ゲイツたちグレート・リセットの裏側にいる大金持ち連中が、かつての植民地主義者と同類であることは。連中が支持しているのは、かつてと同じく、先住民から所有権を剥奪するという帝国主義だ。そしてその中身は、農民たちの知識を掘り下げ、独り占めし商品化してしまうことだ。 そうやって農業に関する研究の成果や種子という財産をますます企業が吸収し、農家たちの知的所有権を奪い、種子の商品化を進めようというのだ。そして、その実現のために使われるのが、知的所有権法や種子の一元化だ。
インドのような地域は今でも産業の中心は農業なのだが、そのような地域においても、(COVID以前から)すでに農家たちは、多額の借金に苦しんでいる。その農家たちの土地は、ハイテク技術をもつ巨大企業や金融機関や巨大農産業企業の手に渡ってしまうのだろうか?そしてその奪われた土地で、ハイテクを駆使したデータに基づいて栽培されるクズのような遺伝子組み換え作物が大量生産されるのだろうか?これが「何も持ち物はないけど、幸せ」な世界の一部なのか?これが世界経済フォーラムが推し進めている新しい世界の潮流なのか?
我々は食料生産や自然や文化に根ざした信念と完全に結びついて暮らしている。これらは我々に、生きる意義と自分がここで生きていることを主張する機会を与えてくれるものだ。それなのに、我々はそれらを奪われて一人取り残された存在になってしまうというのか?研究室でこしらえられたものを食べ、 国から与えられる手当で生活し、生産する喜びも奪われ、真の自己達成感も感じさせてもらえなくなるのか?
すでに技術の進歩のせいで、文化の多様性や有意義な社会とのつながりや農業に基づく環境は破壊され、軽視されている。これらのことは、何世紀もかけて蓄積されてきたことなのに。さらには食の安全をまもるための信頼のおける方策であるとますます評価が高まっているところなのに。(その一例が、『南アジア研究誌』掲載の「インドにおける食の安全と伝統的知識」)。 現在繰り広げられているような大規模な技術革新という視点から見れば人間は一商品にすぎなくなるのだ。 制御され監視される対象として。そうだ。命の息吹はないが発達した技術の結晶であるドローンや、今売り出し中のAIと同類に扱われるのだ。
しかしご心配なく。皆さんは持ち物が少なくなって幸福に暮らせるでしょう。檻のない牢獄の中で。そこにあるのは、仕事につけない人の群れであり、国家に対する依存であり、体内に埋め込まれた自身の健康の証明書のチップであり、現金のない世界であり、ワクチン接種にまみれた世界であり、人間が人間でなくなる世界だ。
Dystopian “Great Reset”: “Own Nothing and Be Happy”, Being Human in 2030
グローバル・リサーチ
2020年12月19日
コリン・トドハンター
世界経済フォーラム(WEF)の年一度の定例会が1月下旬、スイスのダボスで開催され、世界規模で展開している企業や指導的役割をはたしている政治家たちや、経済学者たちや、その他の著名な人々が一堂に会し、世界の諸問題についての話し合いが持たれた。強い影響力を持つ世界経済フォーラムの主宰者であるクラウス・シュワブの主導のもと、世界経済フォーラムは、世界を破滅へと導く「グレート・リセット」を推し進める主要な牽引力として機能している。この「グレート・リセット」とは、構造改革のことであり、そこには、我々の生活様式や働き方や交流の仕方まで変えさせようという意図がある。
「グレート・リセット」の具体的な中味は、社会構造を変えようということであり、個人がもつ基本的な自由は永久に制限され、市民に対する監視網が大規模に張り巡らされている、そんな社会になるという変化だ。そして実体経済はまるまる、ひと握りの独占企業に吸い込まれ、これらの独占企業の思うままの世界になる。その独占企業とは、巨大製薬会社であり、巨大データを扱う企業であり、アマゾン社であり、グーグル社であり、グローバル・チェーン(訳注 いくつかの部門別に世界各地で展開する生産活動のこと)を持つ主要な企業であり、デジタル貨幣業者であり、生物化学関連会社などだ。
COVID-19による都市封鎖措置やその他の制限措置を利用しながら「新しい日常」が推し進められ、「グレート・リセット」が、「第四次産業革命」という口実のもとに押し出されている。従来からの既存産業は倒産させられ、独占企業に吸収されることになり、COVID前の経済活動の大部分が都合よく閉鎖される。経済が「再建」されつつある中で、多くの職がAIに奪われていく。
以下の短い動画において、世界経済フォーラムが予見しているのは、2030年までには、人々が「所有物は何もないが幸せ」という世の中になっていると いう未来だ。幸せそうな笑顔の人物とともに、ドローンが宅配便を家に届ける場面が映し出される。きっとその荷物はオンラインで注文され、 アマゾン社の巨大倉庫でロボットが包装したものだろう。「この商品の製造過程でも包装過程でも配達過程でも人間が入り込む余地はない。ご安心ください。ウイルスやバクテリアの侵入の危険は全くありません」。なんと、2030年になっても、まだ「恐怖を煽るキャンペーン」を維持し続けないといけないのか。そうしないと、市民たちを完全に抑え込むことはできないようである。
職を失った人々には(そのような人々は多数となるであろう)基本給のようなものが支給され、さらに借金も負わされるであろう (借金や倒産が広範囲で見られるようになったのは、都市封鎖措置やその他の制限措置が行われた当然の帰結だ)。その借金は国家、いやもっと正確には金融機関に私有財産を譲渡することで棒引きになる。この流れに持ち込もうとすることこそがグレート・リセットなのだ。世界経済フォーラムによれば、一般市民たちは必要なもの全てを「レンタル」することになるようだ。所有物が「持続可能な消費」や「地球をまもろう」という名のもとに奪われていく。 もちろん、このグレート・リセットを動かしているごくひと握りのものたちは全てを私物化する。
世界の何億もの人々が「必要とされないおまけ」的存在におかれ、生計が奪われることになる(すでに現時点でもそうなっている)。我々のすべての行動や購買行為は監視され、人とのやり取りはオンライン上で行うことが基本となるだろう。
一市民に対するこの企みは、そのまま一国家に対しても応用される可能性がある。 一例をあげれば、世界銀行グループのディビッド・マルパス社長によれば、貧しい国々は「援助」を受け再建できるというのだ。しかもそれは様々な経済封鎖措置が行われた後の話だそうだ。この「援助」を受けている状況こそが、 新自由主義に基づく再建が導入され、公共福祉が削減されていくという状況が進み、さらに深みにはまっていくという状況だ。
4月20日、ウォール・ストリート・ジャーナル誌は、以下のような見出しの記事を載せた。「IMFと世界銀行は発展途上国から嵐のような救済要請を受けている。多数の国々が金融機関に対して資金援助や融資を要請している。その貸付総額は1兆2000億ドルにのぼっている」。発展途上国の依存度を上げるには格好の状況だ。
債務免除や「支援」の見返りに、世界規模で展開する複合企業は、ビル・ゲイツのような連中とともに、途上国の政策立案にさらに口出しできるようになり、すでにボロボロになっているその国の主権を木っ端微塵にしてしまうだろう。
市民のアイデンティティはどうなる?
我々の社会はどうなってしまうのだろう?また我々のアイデンティティは?人間の行動や我々が成すことすべてを商品化してしまおうという企みの中で、アイデンティティなどは消されてしまうのだろうか?
この企みを推し進めている億万長者たちは、自然や全人類を所有できる、しかも両者を支配できると考えているのだ。例えば彼らは大気を人工的に制御したり、遺伝子工学を使って土壌内の微生物を取り替えたり、生合成の技術を用いて、研究室でニセモノの食料を自然よりも上手にこしらえたりできる、と思っているのだ。
彼らは、これまで人類が成し遂げてきたことをもう一度ゼロにして、そこから新しい歴史を作り上げることができると考えているのだ。
そして彼らはそのようなことを2030年までに成し遂げられると考えているのだ。なんと恐ろしい冷淡な考え方だろうか。世も末に思えてくる。これまで何千年もかけて人類が作り上げてきた文化や伝統や実践を、たった一晩ほどで、すべて消し去ってしまおうと考えるなんて。
そしてこのように今まで人類が作り上げてきた文化や伝統や実践の多くは、食料や食料をどのように生産してきたかということや我々が自然とどのように関わってきたかということと密接に繋がっている。 考えて欲しいのは、我々の先祖の古代の儀式や祝祭の多くが、言い伝えや神話に基づいて始められたという事実だ。このような言い伝えや神話は、最も根本的な疑問である自分の存在について腑に落ちる拠り所になっていたものだ。存在に関する疑問とは、死や再生や種の繁殖についての疑問だ。このような文化に根ざした信念や実践は、自己と自然との関係を浄化し、人間生活を持続させる上で大きな役割を果たしてきた。
人類にとって、農業が生き残るための鍵となったため、穀物の種植えと収穫などの食料生産に関連した行事が、これらの風習の中核をなすものであった。例をあげれば、北欧のペイガニズム(訳注 全ての物に神が宿ると考える多神教的な考え)におけるフレイファクシという祭典は、収穫期の始まりに行われるものであるし、ゲール族のラマスやルーナスというお祭りは、その年最初の果実や穀物の収穫をお祝いするペイガニズムの祭典である。
人類は自然と自然の恵みである生命を祝福してきた。古代の信念や儀式には、希望や再生が埋め込まれていて、人々は以下のようなものと必然的につながり、一体化していた。それは、太陽、種子、動物たち、風、火、土、雨、それと季節の移ろいだ。これらのもののおかげで、生命が豊かになり、新たな生命も産み出されていく。我々は、農作物や関連する神々と文化的にも社会的にもつながりをもっていたが、それは健全な日々の行いがもとになっていた。
ロバート・W・ニコラス博士の説明によれば、北欧神話のトールやオーディンの祭事には、もっと古くもっと深く根強い信念が重ね合わせられているとのことだ。その信念が関連づけられているのは、太陽や大地、穀物や動物たち、そして明るく暖かい夏から冷たく暗い冬へと変わっていく季節の移ろいだ。
文化や農業の環境との重要な関係を理解したいのであれば、インドを見れば十分だ。というのも、インドは、いつモンスーンが来るか、いつ種をまくか、いつ収穫するかがとても重要な地域だからだ。 地域に根ざした信念や儀式が、自然と調和しており、それらの信念や儀式は、都市に住む人々の中にも息づいている。これらの信念や儀式は伝統的な知識体系の中に組み込まれているものであり、そこでは、生活や季節や、食料や、料理や、物事の過程や、種子の入れ替えや、医療や知識を後世に伝達することが互いに関連しあい、インド文化の多様性の本質が形成されている。
産業の発達のせいで、人々が都市部に移住し、食料や自然環境とのつながりが弱まっているが、伝統的な「食文化」(すなわち食料の生産や分配や消費をとりまく行為や態度や信念)はいまだに息づいており、我々と農業や自然とのつながりの大切さは脚光を浴び続けている。
「神の手による」帝国主義
1950年代の状況を振り返れば、面白い現象が見つかる。それは米国の化学会社であるユニオン・カーバイド社が或るイメージに基づく言説を垂れ流していたことだ。そのイメージとは、自社は空から降りてきた「神の手」であり、人類の諸問題を解決するためにやってきた、というイメージだ。中でも一番知られているイメージは、カーバイド社はインドの大地に化学肥料の雨を降らせる「神の手」である、というイメージだ。そして、そのイメージを使って、まるでそれまでの伝統的な農業のやり方がいくぶん「時代遅れ」であるかのように思わせていた。
逆に広く知らされていた主張にも関わらず、この化学的手法による農業は食糧生産を前進させなかったというのが、グレン・ストン博士の「緑の改革のもとでの新しい歴史」という研究の結果だ。しかし、この化学的手法による農業は、環境面でも社会面でも経済面でも、長期的な低迷をもたらすことになった。 (バンダナ・シバの著書『緑の革命がもたらした暴力』やバスカー・セイブがインド政府に宛てた公開書簡を参照。この書簡は今は非常に有名となり、深い洞察に基づく書簡という評価を受けている」)
『食料と文化の研究』(ボブ・アシュリー他)という著書を読めば、コカ・コーラ社が、テレビコマーシャルを使って視聴者に製品を売ろうとしたキャンペーンの手口が分かる。そのコマーシャルでは、砂糖漬け飲料水がいかにも近代的なものであり、従来のアボリジニの信念は、有害で無知で時代遅れなものだという刷り込みが意図されていた。雨が降らなくても コークを飲めば、旱魃に苦しむ人々の生命は救われるという構図だ。このような考え方を植え付けることは、伝統文化を軽視させようというもっと大きな狙いの一部だった。そして、伝統文化には欠陥があり、「神の手」をもつ企業の助けが必要だという刷り込みが行なわれたのだ。
2020年の我々が今目にしているのは、このような伝統文化の軽視の流れが急速に進んでいることだ。食料や農業に関していえば、インドのような地域における伝統的な農業は、進んだ技術をもつ巨大農業企業からますます以下のような技術を取り入れるように圧力をかけられることになるだろう。それらの技術とは、研究室で培養された食料や遺伝子組み換え作物や、遺伝子工学により操作された土壌内の微生物や、データ収集機器や、収穫の際の機械ドローンなどの「破壊的な」 技術のことだ。
グレート・リセットの概念には、人間なしで管理される農場も含まれている。どんな農場かというと、運転手のいない機械が管理し、ドローンが監視し、化学肥料漬けの農場だ。そこで栽培されるのは商用作物であり、植えられているのは、特許が取られている遺伝子組み換え種子であり、その作物は「産業生物」として加工され、何か食料に似たようなものになる。そんな社会では農家はどうなってしまうのだろう?
COVID後の世界において、世界銀行が再建に向けて助けの手を差し出す国は、構造改革を受け入れた国だけだ。何千万もの小規模農家たちは、自分たちの土地と引き換えに、個人の借金が帳消しされ、基本給のようなものの支給を受けるよう甘言をかけられてはいないか?このような農家たちが排除されていき、それに伴い地域の共同体や文化が崩壊させられる。この状況が、ゲイツ財団がかつて嘲笑うかのようにこう言っていた状況だ。それが「持ち主を簡単に移動できる不動産」と。
化けの皮を剥げば、ハッキリわかる。ビル・ゲイツたちグレート・リセットの裏側にいる大金持ち連中が、かつての植民地主義者と同類であることは。連中が支持しているのは、かつてと同じく、先住民から所有権を剥奪するという帝国主義だ。そしてその中身は、農民たちの知識を掘り下げ、独り占めし商品化してしまうことだ。 そうやって農業に関する研究の成果や種子という財産をますます企業が吸収し、農家たちの知的所有権を奪い、種子の商品化を進めようというのだ。そして、その実現のために使われるのが、知的所有権法や種子の一元化だ。
インドのような地域は今でも産業の中心は農業なのだが、そのような地域においても、(COVID以前から)すでに農家たちは、多額の借金に苦しんでいる。その農家たちの土地は、ハイテク技術をもつ巨大企業や金融機関や巨大農産業企業の手に渡ってしまうのだろうか?そしてその奪われた土地で、ハイテクを駆使したデータに基づいて栽培されるクズのような遺伝子組み換え作物が大量生産されるのだろうか?これが「何も持ち物はないけど、幸せ」な世界の一部なのか?これが世界経済フォーラムが推し進めている新しい世界の潮流なのか?
我々は食料生産や自然や文化に根ざした信念と完全に結びついて暮らしている。これらは我々に、生きる意義と自分がここで生きていることを主張する機会を与えてくれるものだ。それなのに、我々はそれらを奪われて一人取り残された存在になってしまうというのか?研究室でこしらえられたものを食べ、 国から与えられる手当で生活し、生産する喜びも奪われ、真の自己達成感も感じさせてもらえなくなるのか?
すでに技術の進歩のせいで、文化の多様性や有意義な社会とのつながりや農業に基づく環境は破壊され、軽視されている。これらのことは、何世紀もかけて蓄積されてきたことなのに。さらには食の安全をまもるための信頼のおける方策であるとますます評価が高まっているところなのに。(その一例が、『南アジア研究誌』掲載の「インドにおける食の安全と伝統的知識」)。 現在繰り広げられているような大規模な技術革新という視点から見れば人間は一商品にすぎなくなるのだ。 制御され監視される対象として。そうだ。命の息吹はないが発達した技術の結晶であるドローンや、今売り出し中のAIと同類に扱われるのだ。
しかしご心配なく。皆さんは持ち物が少なくなって幸福に暮らせるでしょう。檻のない牢獄の中で。そこにあるのは、仕事につけない人の群れであり、国家に対する依存であり、体内に埋め込まれた自身の健康の証明書のチップであり、現金のない世界であり、ワクチン接種にまみれた世界であり、人間が人間でなくなる世界だ。
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