彼らが我々に語らないシリア
ロレンツォ・マリア・パチーニ
2024年12月21日
Strategic Cultural Foundation
これは祖国と国民のために戦い、今や人生で最も悲惨な敗北を味わっているシリア人の証言だ。
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本記事は、シリア軍司令官だった古い友人との会話から生まれたものだ。その勇気は中東全域で高く評価され、認められていた。昔の時代の本物の社会主義者で、自分の意見を言うことを決して恐れず、矛盾や異なる政治見解にもかかわらず、国と政府への支持を裏切ることは決してなかった。
彼は海外で組織的活動に携わっており、名前を明かすのを好まないため、我々は彼を架空の名前ラムと呼ぶことにする。彼の言葉に同意するかどうかは別として、これは祖国と国民のために戦い、今や人生で最も悲惨な敗北を味わっているシリア人の証言だ。
ラムとの再会
ラムの個人書斎には充実した人生が漂っている。壁にはシリアの風景を描いた様々な絵画やコーランの祈祷文や彼が参加した戦闘を記念したテラコッタが掛けられている。本棚にはアラビア語の古い本が数冊、様々な言語で書かれた文書のポスターが多数置かれている。あちこちに迷彩服を着た男が砂漠で撮影した今や色あせた写真が飾られている。入り口の方を見ると、戦場から持ち去られ、すぐ旗竿に掲げられたかのようなバッシャール・アル・アサドの顔が描かれたシリア国旗が掲げられている。中央には、黒い喪服のケフィアを被った賢くハンサムなアラブ人の彼の父親の写真がある。
我々は何年も前から知り合いだった。私は地政学の古典を読み、世界を理解したいという思いで世界を眺めていた子供で、彼は信じられないような状況を生き抜いて私生活に戻り、脚光を浴びることなく他の方法で国のために働き続けた戦士だった。彼が毎回記憶から引き出す逸話を聞くのが大好きだった。それはまるで別の世界に飛び込むようで、西洋からどれほど「異質」であるかを考えると、ほとんどあり得ないようなものだった。何よりも、戦争、自由のための闘争、異なる政治状況が何十年も先のことではなく、傷跡がまだ開いて血を流している新鮮な出来事の世界だった。
彼はいつもシリアの大義に対する私の支持をとても尊敬してくれていたため、会うのを許してくれたのだ。彼は何千年もの間、歓迎と統合の能力で有名なシリア国民特有の温かさや尊敬や心のこもった対応で私を迎えてくれた。彼は私にコーヒーを勧め、我々は話を始めた。
「ラム、どう思う?」私は彼に尋ねる。
会った時の喜びは突然消えた。彼の顔は真剣なものになり深く考え込んでいるかのように頭を前に傾けた。数秒後、彼は顔を上げて言った。「今まで誰にも話したことがなかった。私が知っていたこと、私が見たことを話す時が来たのかもしれない。」
以下は、最初から最後の一言まで、大きな感情と明らかな痛みを伴って私に伝えられた彼の証言だ。
我々は既に全て知っていた。
「私のように、2011年というかなり昔から既にこの出来事の筋書きを垣間見ていた人や、信頼できる人脈から予想していた人を除いて、誰も予想していなかった出来事だった。我々は既に全てを知っていた。バッシャール・アル・アサドが他国指導者たちと何かを準備し、中東での支援が崩壊したり、状況が悪化したりしたら、すぐ退陣できるように準備していたことも知っていた」。会話の真剣さには皮肉や皮肉は入らない。ラムは真剣で、私のプロ意識と我々を結びつける信頼を信じ、自分の言葉の重大さを私に理解させようとした。
彼が支持し、私に詳細に説明してくれた説は、引用された情報の繊細さゆえ一部は報告できないが、バッシャール・アル・アサドが西洋人と親しすぎたということだ。銀行家の妻、イギリスでの晩餐会、フリーメーソンの匂い、政治家や軍高官の汚職に対するある種の消極的態度など。多くのシリア人が好まない要素が多すぎ、彼が権力を握った2000年には既に、ラムのように革命のため命を危険にさらした人々の間で疑念と失望を引き起こしていた。
2011年から2013年にかけての出来事、国内の反乱、ジハード主義テロは全て、過去の過ちの結果だった。アサドは欧米諸国に目配せしすぎた…だが東側諸国にも。たとえばロシアに対して。「告白するが、私はそれを信じていたし、期待していた。プーチンなら本当に状況が変わる可能性がある。私は他の支配者を信頼したことはなかったが、信頼した。なぜなら、彼はテロを打倒するために本当に不可欠な支援を提供し、シリアに最低限の国際安全保障を保証してくれたからだ」と彼は多くの記憶を振り返りながら私に語った。「だがロシアも合意に関与していたので、役に立たなかった。我々は二度裏切られた。国として、敵に攻撃を許したロシアに。シリア国民として、自分の身を守るために我々全員を売り渡した大統領に」。ラムの目には怒りが宿っていた。嘘を許さない厳粛な怒りだ。
「さらに言おう。私にとって、この協定はイスラエルとアメリカが協調して締結したものだ。アメリカのユダヤ人は大イスラエル計画と第三神殿の建設を実現するため中東に関心があり、ロシアのユダヤ人はウクライナ、旧ハザールに関心がある。どちらにしても彼らは勝利する。侵攻に軍隊を送る前からイスラエルは勝利していた」。実際に戦争を経験した指揮官にふさわしい力強く的確な言葉だ。
彼はその後、アサド大統領の逃亡やシリア奪取が何の苦労もなく行われるという情報が既に数ヶ月前から出回っていたが、余り信憑性がない噂で、事件の説明は矛盾したり不正確だったりすることもあったと私に説明した。だが何かが動いているのは明らかだった。
自分が戦っていた時に自分が守った都市や、他の国での紛争にも参加していた時の逸話を彼は私に語ってくれた。「私はこれまで、ベイルート、ダマスカス、アレッポ、ハマ、ホムスに敵がやってくるのを見てきた。敵が勝利したと我々に信じ込ませることに成功したものの、その後、我々の兵士の勇気に打ちのめされるのを見てきた。戦争はもう終わりだ、負けそうだと思ったこともあったが、その後、抵抗勢力に新たな勢いを与える出来事が起きた。この時、生涯で初めて、私は敗北を目の当たりにした。」
これが最も辛い点だ。「我々は負けたのではなく、敗北したのだ。これはもっと酷い。『敗者よ、悲しむべきことだ』とラテン人は言った。」長年の指揮官にとって敗北は最も恐ろしいことだ。シリア国民は常に英雄的抵抗を示してきたが、どこかで何かがおかしくなった。
「前回私があそこで見たものをご存知だろうか? 貧困、飢餓だ。電気も水もなく、食料も燃料もない。軍隊は極めて危険な状況で自力で生き延びなければならない」と彼は私に、約7千万人のシリアの若者が敵との戦いに命を捧げたと語った。
血、血、血。中東が常に血に浸らなければならないなどあり得るのだろうか?
それから彼は軍が監視もせず賄賂を受け取っていた検問所から、高級自家用車、別荘、西洋土産で買収された高官まで自分が目にしてきた腐敗について私に説明してくれた。
「かつてダマスカスからホムスに向かって車を運転していた時、道端で制服を着たとても若い少年2人に出会った。彼らは痩せていて、タバコを吸っていた。私は彼らを止めて、なぜそんな状態でそこにいるのかと尋ねた。彼らはホムスに行くお金も、24時間の休暇を過ごすお金もないし、食べるお金もないと答えた。私は彼らを車に乗せて出発した。道中、私たちは話をし、基地での悲惨な暮らしについて話してくれた。彼らの毎日の食料配給はトマトとジャガイモ一個だった。週に一回、8人で分け合うため鶏肉が与えられた。私がいた頃は食料があり、兵士には戦闘準備のために十分な食事を与えなければならなかった。どうしてこんなことが起きるのか? 過去13年、政府は軍を完全に破壊した。将校の腐敗、物資不足、国家の大義のための戦いへの無関心。」
ソレイマニ、ライシ、ナスララ。誰かが裏切ったのだ
「2020年に、私が若い兵士として知っていたソレイマニ将軍がアメリカの悪魔に殺された時、何かがおかしくなり始めているとすぐに感じた。彼は単なる将軍以上の存在だった。彼は真の人間で、指導者で、生きた模範だった。残念ながら、彼の後、抵抗枢軸には、様々な国や宗教や民族の何千人もの兵士を同じように調整できる兵士がいなかった。これは非常に大きな戦略的不利だった。」我々は抵抗枢軸の歴史を簡単に振り返り、中東全体への地政学的影響について一緒に考えた。
「ライシの死を聞いた時、信じたくなかった。あり得ないことのように思えた。その瞬間から、全てが悪化していった。私は毎日、更に恐ろしいことが起こるかもしれないという恐怖を抱きながらニュースを見ていた。そして実際に起きた。ヒズボラとハマスの指導者全員が次々と殺害されたのだ。」それは悲劇的真実で、私にはそれを確認することしかできなかった。
敵がレバノン抵抗軍の軍事指導者を次々抹殺した速度は信じられないほどで、CIA、MI6、モサドなどの機関が素晴らしい仕事をしたことを証明している。これは議論の余地のない事実だ。数か月間に、中東の政治地理全体が、何年も試みても成功しなかった変化を経験したのだ。
「ナスララのバンカーの座標を知っているのは誰だ? おそらく世界で3人、ハメネイ、ソレイマニ、アサド。ハメネイは裏切るくらいならライフルを手に死を覚悟しているはずだ。ソレイマニは既に排除されている。残るのは一人だけだ…」。この言葉を聞いて私は口をあんぐり開けた。この司令官は大統領の悪口を言ったことはなかったが、政治的に全てを支持しているわけではないことは知っていたが、国全体の利益のために常に指導者の戦いを支持していた。怒り、失望、痛みが真実の言葉を引き出した。賭けではあったが、真実だった。
なぜなら、未解決の大きな疑問の一つは一体「誰が」ナスララの正確な居場所を明かしたのかということだ。諜報員? スパイ? 金で手に入れた情報? それとも裏切り者? 事実ナスララはもういない。そしてラムの言葉によれば、これは次に陥落するのはレバノンで、その結果、パレスチナは世界中に散らばった最後のアラブ人の記憶の中にしか存在しなくなることを意味する。
「数日のうちにシリアは陥落した。なぜならシリアは既に国を裏切った支配者連中の意のままに陥落していたからだ。7万人の兵士が数時間で移動し、軍用車両ではなくタクシー(高額な費用がかかる)に乗ってイラク国境に向かった。全て計画通りだった。この侵攻で銃弾は一発も撃たれなかった。これは私が知るシリア軍ではない。この『もの』は品位のない倒錯だ」
彼は後ろの写真を指差した。軍服を着た兵士がちらり見えた。兵役に就いた際に両親に送ったはがき写真の一枚だ。「あそこの22歳の青年を見てくれ。喉を切り裂いたんだ」。彼は数分間固まり目には涙が浮かんでいた。それは彼の親しい友人の息子だった。
これから何が起きるのだろう?
ラムは、これからの数日、数週間、数か月について話す気はない。アラブと世俗シリアは、もはや存在しない。敗者の言葉にはほとんど価値がない。
「最近、考えられないようなことが起きている。とても生々しいことなので、このことについてメディアは何も報道していない。70年間の民族的、文化的、宗教的憎悪を想像願いたい。彼らは報復しているのだ。この言葉を発するのは、ほとんど恐怖だ。彼にはイスラム教聖職者の兄弟や甥や姪が何人かいるのを思い出し、少し心配しながら、彼らはどうなのかと尋ねると、彼はこう答えた。「親族をシリアから連れ出そうとしているが、12月8日以来、連絡すら取れない。あの土地の何千人もの人々が受けている悲劇だ。」
約一時間続いた会話の締めくくりに、ラムはあえて、ほぼ「予言的」予想をした。「私はこう言いたい。昨日はパレスチナ、今日はシリア。明日はレバノンが永久に陥落する。そしてイエメン。イエメンとレバノンが陥落したら次はイランだ。その間には何も残らない。イラクはアメリカ武装集団に包囲されたガソリンスタンドで、簡単に陥落する。トランプ大統領はイランを破壊する準備ができている。既に諜報機関はこれを知っている。ハメネイが死ねば、イランは崩壊する。」数秒の沈黙。ハメネイは、最後に残った「世界的」イスラムの権威で、抵抗枢軸最後の後援者だ。
「次はロシアの番だ。過激主義の匂いを漂わせた何百万人ものスンニ派イスラム移民が既にロシア都市の街頭にいる。無差別に入国させた国は、その悪影響を味わうことになるだろう。次はローマの番だ。その次は北京の番だ。『長ひげ』連中が赤の広場やサン・ピエトロ広場に行進してくる日を私は待っている。その恐ろしい日が来る前に死にたい」
ここで我々の会話は終わる。数分間続く深い沈黙。我々は別れを告げるために立ち上がる。私はため息をつき、正式に退場し、ラムが戦った祖国戦争の遺物を最後にもう一度見る。今日はもうここにはいないが、その模範は永遠に残るだろう多くの英雄や殉教者のように、私も自分の命を捧げる覚悟があるかどうか私は自問する。
記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/12/21/the-syria-they-didnt-tell-us-about/
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陰謀論?
Shocking Clues That PROVE Jolani is a CIA Agent 44:21今朝の孫崎享氏メルマガ題名
米国のウクライナ支援。米国世論調査ギャラップ。「領土で譲歩があったとしても、早期に終結」が「戦争が長引いてもウクライナが領土を回復するまで、ウクライナを支援」が51%対48%と従来を逆転。日刊IWJガイド
■はじめに~今年もあと1週間となりました! IWJが活動を続けられますように、無事に年を越せますように、歳末、緊急でのご寄付・カンパをよろしくお願いいたします! 12月は24日までの24日間で、60件、80万6200円のご寄付・カンパをいただきました。ありがとうございます! これは月間目標額の約23%に相当します。月間目標額の350万円には、あと77%、269万3800円が必要です! IWJの財政は大ピンチです! 11月からカンパの月間目標額を400万円から350万円に下げたのですが、8月からの今期第15期は、4ヶ月連続で未達です!「IWJしか報じていない情報」自体は激増中です!
■トランプ氏に続く、米国第二の権力者に成り上がったイーロン・マスク氏の行動が、次々と波紋!! 米議会で民主・共和両党が合意したつなぎ予算案を、Xへの150もの連続投稿で大幅削除させたマスク氏だが、その多くが「不正確」「誇張」の指摘も! 共和党議員からも反発! マスク氏が削除させた法案には、AI分野で中国への米国の投資を制限する条項も! 他方、マスク氏のスペースX社やチャットGPTのオープンAI社らは、米新興防衛企業と、AIを軍事利用する政府契約に入札するため、コンソーシアム(事業共同体)結成へ! マスク氏設立のAI企業xAI社は、60億ドル(約9440億円)を調達、評価額6兆円を突破!
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コメント
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でもこれら、長ヒゲの変な傭兵軍団は、エルサレムやワシントンは、行進しないんでしょうかね。
オーナー達の拠点なのに。
宗教なんて、インチキすぎて、笑えます。
投稿: %!$ | 2024年12月25日 (水) 20時23分