■ 浦和移籍でスタイルが変化したFW興梠慎三現代サッカーでは最前線でプレーする選手がボールをキープして味方選手が攻め上がるための時間を作る必要がある。30年前や40年前の試合を見るとそこまで中盤の選手にプレッシャーがかからないので最前線でプレーする選手が(ゴール前を除くと)相手CBとガツガツとバトルを繰り広げるシーンは少ないが、現代ではセンターバックとセンターフォワードの勝負は勝敗の行方を左右する重要なポイントになることが多い。
センターフォワードの選手の中で「ポストプレーの技術がJリーガーの中では屈指」と言えるのはFW興梠(浦和)、FW前田遼(FC東京)、FWウェリントン(福岡)、FWジェイ(磐田)あたりになる。FW興梠は鹿島時代はどちらかというとスピードを生かしたスペースへの飛び出しを武器にしていたが2013年に浦和に移籍すると1トップのポジションではまった。体の使い方の巧みさは他の追随を許さないレベルである。
ザックJAPANのときに日本代表で活躍したFW前田遼(FC東京)もポストワークは一級品。こちらも若い頃は「技術の高いテクニシャンタイプ」という印象だったが、20代中盤あたりの時期にターゲットマンとして活躍するCFタイプにモデルチェンジした。184センチとサイズがあって体の大きさを生かしたボールキープもできるし、技術の高さを生かしたダイレクトパスも得意。さらには運動量の多さにも定評がある。
■ 典型的なポストプレーヤーのFW野田隆之介2014年は湘南、2015年は福岡のJ1昇格の立役者となったFWウェリントン(福岡)の武器は強靭なフィジカルである。186センチ/89キロという立派な体格で当たり負けることはほぼ無い。パスの技術も高くて時間を作ってから味方にスルーパスを出すこともできる。一方のFWジェイ(磐田)は懐の深さに定評がある。リーチが長くて体を預けてファールを獲得することも巧み。知的なタイプのポストプレーヤーである。
ポストプレーというと「足元でボールを受けてキープする。」というプレーが基本となるが、ハイボールに対して相手と競り合って味方にヘディングでつなぐプレーもポストプレーに含まれる。そういうプレーはFWウェリントンやFWジェイも得意にしているが、日本人では何と言ってもFW豊田(鳥栖)。跳躍力もあるので対峙するCBが競り勝つのはなかなか難しい。足元の技術も年齢を重ねるごとに上達している。
鳥栖でプレーしていたときにFW豊田といい関係を築いていたFW野田(名古屋)は典型的なポストプレーヤーである。FW前田遼やFW豊田のような選手はポストプレーヤーというよりはストライカーという印象が強くなるが、FW野田はポストプレーに特化したプレースタイルである。185センチ/79キロという体格が武器の1つとなるが足元の技術も確か。体の使い方も巧みでポストプレーヤーとしては非の打ち所がない。