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ジョン・ディクスン・カー『バトラー弁護に立つ』(ハヤカワミステリ)
とりあえずジョン・ディクスン・カー邦訳全作読破をめざしているのに、ここ数ヶ月というものさっぱりご無沙汰。それというのも家の本を少し整理したときに、カーの積ん読分がどこかへいってしまい、まったく所在がわからなくなってしまったのである。そんなとき、ネットオークションでたまたま落札できたのが『バトラー弁護に立つ』。実に久々のカー読了とあいなった。
本作の主人公はフェル博士やH・M卿ではなく、『疑惑の影』にも登場するバトラー弁護士(と書きながら『疑惑の影』は未読だったりする)。作中でフェル博士について触れるところもあり、くすぐりは楽しい。だがいかんせん、それを帳消しにするのがカーお得意のドタバタ劇とロマンス。いつも以上の激しいお芝居に気持ちが入り込めず、正直、カーのいい読者でなかった頃を思い出してしまった。ややもすると読者を置いてきぼりにする危険をはらむところが、カーの欠点ではある。はまるときははまるんだけど、今回はダメ。
これでメインのネタである密室殺人とダイイング・メッセージがよければ救いはあるが、そちらもちょっと落ちるレベルで、とりわけダイイング・メッセージの方はいただけない。やや消化不良の読書であった。
本作の主人公はフェル博士やH・M卿ではなく、『疑惑の影』にも登場するバトラー弁護士(と書きながら『疑惑の影』は未読だったりする)。作中でフェル博士について触れるところもあり、くすぐりは楽しい。だがいかんせん、それを帳消しにするのがカーお得意のドタバタ劇とロマンス。いつも以上の激しいお芝居に気持ちが入り込めず、正直、カーのいい読者でなかった頃を思い出してしまった。ややもすると読者を置いてきぼりにする危険をはらむところが、カーの欠点ではある。はまるときははまるんだけど、今回はダメ。
これでメインのネタである密室殺人とダイイング・メッセージがよければ救いはあるが、そちらもちょっと落ちるレベルで、とりわけダイイング・メッセージの方はいただけない。やや消化不良の読書であった。
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