■ プレミアリーグの第14節高校年代の真の日本一を決める「高円宮杯U-18サッカーリーグ2016」のWESTで優勝争いに絡んでいるセレッソ大阪U-18と東福岡高が激突した。昨年度の冬の高校選手権を制した東福岡高は8勝2敗3分けで勝ち点「27」。10勝1敗2分けで勝ち点「32」の広島ユースに次いで2位と好位置に付けている。一方のC大阪U-18は8勝3敗2分けで勝ち点「26」。3位のC大阪U-18と2位の東福岡高の直接対決となった。
ホームのC大阪U-18は「4-2-2-2」。GK井上。DF梅木、DF中土井、DF小林洵、DF舩木翔。MF荒木、MF上畑、MF有水、MF印藤。FW齋藤、FW松岡。U-16アジア選手権に出場しているDF瀬古、MF喜田陽、MF鈴木冬、MF谷本、FW山田寛の5人が不在。U-18日本代表のFW中島元は怪我でベンチスタート。左SBのDF舩木翔は10月に行われるU-19アジア選手権の日本代表メンバーに選ばれる可能性がある。
対するアウェイの東福岡高は「4-1-4-1」。GK前島。DF砂原、DF児玉、DF阿部、DF小田。MF鍬先、青木、田尻、嶋元、野寄。FW藤井。冬の高校選手権を制した昨年度のチームでも大活躍した3年生のMF藤川は欠場。G大阪への入団が内定しているMF高江も欠場ということでこちらも主力数名を欠いている。左SBのDF小田はJ1の鹿島への入団が発表されている。身体能力が高くて対人の強さに定評がある。
■ 3対0でホームのセレッソ大阪U-18が完勝試合はホームのC大阪U-18がペースを握る展開になる。持ち味であるアグレッシブな守備からボールを奪って縦に早いサッカーでチャンスを作っていく。すると前半10分に左SBのDF舩木翔が左足でグラウンダーの鋭いクロスを入れると誰も触ることが出来ず。そのままゴールに決まりそうな雰囲気もあったがDF児玉がライン上で懸命のクリア。何とか防いだがポストに当たったところをMF印藤が押し込んだ。
前半は1対0とC大阪U-18がリードしてハーフタイムに突入する。迎えた後半3分に裏のスペースに出てきたボールに対して右SBのDF砂原とGK前島の連携が不十分で懸命にクリアしようとしたGK前島のキックが空振りに近いミスキック。ボールを追いかけていたFW齋藤が無人のゴールに流し込んで貴重な追加点を奪った。セットプレーの場面で後方に待機していた右SBのDF砂原の判断がマズかった。
さらに後半29分にはMF有水のFKから187センチのDF小林洵が頭で合わせて3点目を奪った。東福岡高は途中出場したFW佐藤が奮闘。何度か見せ場を作ったがゴールを奪うことは出来なかった。結局、3対0でC大阪U-18が勝利した。勝ち点「3」を上積みしたC大阪U-18が2位に浮上した。首位の広島ユースも勝利したためその差は縮まらず。プレミアリーグは残り4試合で勝ち点「6差」となっている。
■ 上位対決を制したのはセレッソ大阪U-18高校年代の日本一を決めるプレミアリーグに関してはEASTとWESTを制覇したチームによるチャンピオンシップが毎年TV中継されているが、普段のリーグ戦が放送されるのは非常に珍しい。2週間前に行われた鹿島ユース vs 市立船橋高の試合が史上初めてだったのではないかと思う。新しい試みと言えるが、Jリーグのクラブの下部組織と冬の高校選手権で馴染みのある高校サッカーの強豪校が激突する戦いは興味深い。
育成に定評のあるC大阪U-18と昨年度の冬の高校選手権を制した東福岡高というカードは屈指の目玉カードと言えるが、3対0でC大阪U-18が勝利した。5月7日に東福岡高のグラウンドで行われた5節の試合もC大阪U-18が4対1で勝利しているのでダブル達成となった。東福岡高との上位対決を制したC大阪U-18は大きな目標であるプレミアリーグのWEST制覇ならびに高校日本一に望みをつないだ。
C大阪U-18についてはU-16日本代表に召集されている5人が不在で、年代別代表に選ばれているFW斧澤やDF森下怜の2人はJ3リーグに参戦しているC大阪U-23のレギュラー格になっているのでそちらが優先されている。ベストメンバーを組むことが出来れば「年代別代表を経験した選手が大半」となる豪華メンバーになるが今シーズンは選手のやり繰りの部分で苦労は絶えない。そういう中での見事な勝利だった。
■ U-19日本代表のレギュラー格の左SBであるDF舩木翔U-17日本代表の常連になっている2年生のFW中島元も怪我のためベンチスタートだったので注目を集めている選手の多くが試合に出場することができなかったがU-19日本代表の左SBのレギュラー争いをしているDF舩木翔が格の違いを見せた。U-19日本代表ではDF古賀(柏U-18)やDF初瀬(G大阪)などとポジション争いを繰り広げているが左足のキックに定評のある選手で有望視されている選手の1人である。
1点目のMF印藤のゴールをお膳立てしたのもDF舩木翔だったがキックの精度が高くてかついろいろな球質のボールを蹴ることが出来る。ボールの持ち方も良いので効果的な楔のパスを出すこともできるし、右サイドにサイドチェンジして局面を変えることもできる。JFAの公式サイトでは身長は177センチとなっているので日本人の左SBとしては標準以上のサイズがある点も武器の1つになるだろう。
「キックが上手な選手なのか否か?」についてはボールを蹴っているところを何回か見ると何となく分かる。もちろん、毎度、狙った通りのキックが出来るわけではないのでスピードやコースが狂うケースもあるが、ボールの置き方やボールを蹴ったときのフォームを見るだけである程度は予測することができる。C大阪U-18のDF舩木翔に関しては「キックが上手な選手だ。」ということはすぐに伝わってくる。
その他では10番のFW松岡の奮闘も目立った。運動量が多くてドリブルもできてパスも出せる。言うまでもなくC大阪のエースナンバーは10番ではなくて8番である。本来であれば8番のFW斧澤がエースと言えるが彼はC大阪U-23の大半の試合で出場機会を得ている。プレミアリーグに関してはエース格の選手を欠く状況になっているがFW松岡に関しては技術が高くてファイトできる点が大きな魅力と言えるだろう。
■ 名門の鹿島入りが発表された左SBのDF小田一方の東福岡高は対戦相手のC大阪U-18に対して苦手意識があるのか持ち味を出し切れなかった。当然のことながら、中心選手であるMF藤川とMF高江を欠いた影響は大きかった。冬の高校選手権を制した昨年度のチームは当時は2年生だったアンカーのMF鍬先を中心にテンポよくボールが回って次々にチャンスを作っていったが3年生になったMF鍬先のところでゲームが落ち着くことはほぼなかった。
C大阪U-18は縦に早いサッカーを志向しており、東福岡高はどちらかというと丁寧にボールを回したいタイプのチーム。スタイルは大きく異なるので「どちらが自分たちのリズムのサッカーで試合を進めることが出来るのか?」が1つのポイントだったが90分を通してC大阪U-18がやりたいサッカーを実行できたといえる。3位に転落した東福岡高は首位の広島ユースとの差が「8」となった。優勝は難しくなってきた。
東福岡高にも名前が売れている選手が何人もいるが、J1の鹿島入りが発表されたばかりの左SBのDF小田にもっとも注目が集まった。鹿島のサポーターも注目して試合を観ていたと思うが粘り強い守備が目立った。C大阪U-18の攻撃はDF舩木翔のいる左サイドからスタートすることが多かったのでDF小田のいるサイドから攻める機会は多くなかったが「さすがにJ1の鹿島が目を付けるだけの選手である。」と言える。
近年の鹿島は左SBが泣き所になっている。DF山本脩はよく頑張っているが彼の控えがほぼいない状態が続いている。DF昌子を左SBに回したり、DF西大伍を左SBに回したり、レギュラーのDF山本脩が怪我等で欠場することがあると台所事情が厳しくなる。「若手が成長しやすい環境が整っていること」、「最も手薄なポジションであること」の2点を踏まえるとDF小田にとっては最適なクラブと言えるのではないか。
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