■ 暫定首位7勝1敗2分けと暫定首位に立つ浦和レッズと川崎フロンターレの対決。優勝候補同士の注目の一戦である。
ホームの浦和は<4-2-3-1>。GK都築。DF山田暢、闘莉王、坪井、細貝。MF鈴木、阿部、エスクデロ、山田直、原口。FWエジミウソン。大黒柱のMFポンテが負傷のため欠場。前節の柏戦でリーグ戦初ゴールを記録したMFエスクデロが代役。
アウェーの川崎Fは<4-2-2-2>。GK川島。DF森、寺田、菊地、村上。MF横山、谷口、中村憲、ヴィトール・ジュニオール。FW鄭大世、ジュニーニョ。FWレナチーニョがベンチから出番を待つ。
■ 鄭大世の決勝ゴール立ち上がりは静かな展開となったが、前半31分に均衡が破れる。MFエスクデロの左CKからFWエジミウソンがヘディングで決めて先制。FWエジミウソンが今季6ゴール目。
先制ゴールを奪われてエンジンのかかった川崎Fは鋭いカウンターでチャンスを演出。後半12分にFW鄭大世がポストとなって落としたボールをフリーで走りこんだFWジュニーニョが右足で決めて同点に追い付く。FWジュニーニョは4ゴール目。
追いつかれた浦和は後半19分にセットプレーの流れからDF闘莉王が左足でファインゴールを決めて勝ち越しに成功するが、後半28分にFWレナチーニョがPKを決めて追いつかれると、さらに、後半31分にもFW鄭大世にカウンターからゴールを奪われて失点。2対3で敗れた浦和は今季初黒星となった。
■ 切れ味鋭いカウンターACLで戦った中国から帰国して間もない試合であり、疲労が心配された川崎Fだったが、相性のいい埼玉スタジアムで逆転勝利。まだ序盤戦とはいえ、優勝争いから取り残されないためにも大事な試合で見事な結果を残した。
3ゴールともに前線のスピードが生きた川崎Fらしいサッカーから生まれたゴールであったが、特に、攻撃的MFヴィトール・ジュニオールの切れ味が抜群で、運動量も豊富。浦和のサイドバックは90分を通して1対1での対応に苦しんだ。
■ ケガ人続出の守備陣FW鄭大世がやや流れに乗り切れない部分もあったが、攻撃に関しては大きな問題はなさそうな川崎Fであるが、反対に守備陣は不安いっぱい。DF伊藤が怪我で戦列を離れていて、DF寺田もこの試合で怪我をして途中退場。
もともと選手層の薄いポジションであるが、かなり苦しい陣容になっている。DF井川、DF横山、DF菊地といった選手を起用して乗り切りたいが、ある程度の失点はやむ終えないところであるが、リーグ戦は中断まであと2試合。何とか、攻撃陣がカバーしたい。
■ ポンテを欠いたレッズMFポンテを欠いたものの浦和は2ゴールを挙げて、リードした状態で試合を進めていたが、終盤にバランスを崩したところを攻め込まれて連続ゴールを許し、今季、ホームで初黒星となった。
MFポンテの代わりに起用されたMFエスクデロは先制アシストのコーナーキックなど、幾つかの見せ場は作ったが、流れの中でボールに絡むシーンは少なく、スタメン出場という大きなチャンスを生かしきれなかった。
MFポンテに代わって攻撃をリードしたMF山田直は、相手の厳しいプレッシャーにもかかわらず、落ち着いたプレーで攻撃を司った。その対応能力の高さを見せたが、ラストのエリアではややアイディアを欠いて決定的な仕事は出来ず、やはり、MFポンテの穴を埋めきれなかった。
■ 闘莉王の攻撃参加昨シーズンと比べると攻撃参加の機会が減っていて、最終ラインにとどまる機会が多いDF闘莉王だが、この試合は見事なシュートで勝ち越しのゴールを奪った。今シーズン2ゴール目で得点センスの高さを見せたが、一方で、2失点目につながるPKを与えたプレーと3失点目のFW鄭大世の動きを捕まえ切れなかったプレーの2つの失点に絡んだ。
2失点目はFWジュニーニョのスピードに対応しきれなかったのが問題であったが、3失点目は攻撃に意識が傾いていて、2対2の同点ゴールを許してからの時間帯はあまりにも守備をおろそかにし過ぎていた。
DF闘莉王の攻撃参加は大きな武器であるが、大前提として、ボールを奪われた後は、しっかりと戻って守備をしなければならないが、この試合の最後の時間帯は上がりっぱなしになって、川崎Fのカウンターの脅威にさらされた。
■ 後味の悪さ試合自体は上位候補らしい白熱した展開となったが、試合後は後味の悪さを残した。試合後に浦和のGK都築がレフェリーにクレームをつけたとしてイエローカードを受けて、ホームのサポーターもレフェリーをブーイングで送り出した。
クレームの要因として考えられるのは川崎FのPKのシーンであるが、リプレーを見る限り、ペナルティエリア内で、かつ、DF闘莉王がファールでFWジュニーニョを倒しているのは間違いないところであり、肉眼で見る限りは分かりにくいシーンであったが、西村レフェリーのファインジャッジだった。
90分を通して見ると、どちらかというと川崎F側がクレームをつけたくなるような判定が多かったが、許容範囲のレベルであった。敗因をレフェリーに押しつけるのはある意味で簡単であるが、よくよく考えると、それが真実ではないことも少なくない。
■ ロスタイムのひとコマ最後のセットプレーのチャンスで浦和の同点ゴールが決まらなかったので取り立てて大きな問題にはならなかったが、MFヴィトール・ジュニオールのレッドカードにつながるシーンは色々な解釈が出来るプレーであった。
問題のシーンは、後半46分に浦和の攻撃で右からのクロスをDF闘莉王がシュートを狙うがGKにキャッチされたシーンから始まるが、このシーンでDF闘莉王と競り合ったMF谷口が足を痛めて治療が必要となった。そのため、GK川島がキャッチしたボールをタッチラインに蹴り出してプレーを止めた。
時間は4分のロスタイムの半分を過ぎていたが、川崎Fとしては自分たちでタッチラインに蹴り出したのでボールが返却されるもの思っていて、スローインを入れたDF細貝も、相手エリアに蹴り出したMF三都主も緩いボールで返却を行ったが、そのボールに誰も川崎Fの選手が急いでは追いかけなかったため、浦和のFWエジミウソンがボールをルーズになっているボールを奪って攻撃を開始し、結局、そのボールをリターンで受けたFWエジミウソンがファールを受けて、コーナー付近からの浦和のセットプレーで再開された。
仮にこのセットプレーでゴールが生まれていたら大きな問題になっていたはずのプレーであり、川崎Fとしてはこのプレーが原因でMFヴィトール・ジュニオールがレッドカードで退場になってしまった。普通に考えると、FWエジミウソンのプレーはフェアプレーではないが、一方で、試合終了が近づくにつれて選手の心理状態も普通ではなくなるので、全ての選手がフェアプレーを実施するとは限らず、川崎Fもやや不注意であったと思われる。また、改めて、GK川島は自チームの選手の治療のためにボールを外に出しているということを考えると、浦和側がボールを返却する必要がなかったのかとも考えられる。
なかなか、難しい問題である。
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