■ J1第5節J1リーグの第5節。ともに2勝2敗のスタートとなったジュビロ磐田と浦和レッズの対戦。浦和はエンゲルス新監督になってから、リーグ戦では2連勝中。
ホームの磐田は<3-5-2>。GK川口。DF加賀・大井・茶野。MF河村・犬塚・駒野・成岡・上田。FW萬代とFWジウシーニョの2トップ。MF西は怪我のため欠場。MF犬塚がボランチに入り、MF上田がトップ下。
アウェーの浦和はGK都築。DF堤・・堀之内・阿部。MF闘莉王・鈴木・平川・相馬・梅崎。FW高原とエジミウソン。闘莉王がボランチで梅崎がトップ下。高原が久々の先発出場でエジミウソンと2トップを組む。
■ 1ゴール1アシストの活躍試合は前半から磐田が優勢。厳しいプレスで浦和に自由を与えず、攻撃ではトップ下の上田がうまくボールを受けて展開し、多くのチャンスを作った。先制点は前半2分。MF駒野のクロスからFWジウシーニョが頭で決めて、自身は3試合連続ゴールとなった。浦和はFW高原が不調でなかなかボールを受けられずに、ほとんどいい形を作れなかった。
後半も磐田ペースだったが、追加点のチャンスにFW萬代やジウシーニョが決め切れない。すると、浦和は後半19分にFW高原とMF梅崎に代えて、FW永井とMF細貝を投入。MF闘莉王をトップ下に近い位置に上げると、後半26分にサイドからのクロスをMF闘莉王が頭で落としてそこに走り込んだDF阿部がボレーで決めて同点に追いつくと、さらに後半34分にもMF平川のクロスをMF闘莉王が豪快にヘディングで決めて勝ち越す。
結局、2対1で浦和が勝利し3連勝。4位に浮上した。
■ 見えない連動性浦和はこれでリーグ戦で3連勝と息を吹き返したように見えるが、内容的にはイマひとつだった。後半途中に闘莉王をトップ下に上げる奇策が成功して見事に逆転を果たしたが、攻守に連動性はなく、試合全体を通してみると磐田の方が質の高いサッカーを見せていた。
特に、この試合は闘莉王と鈴木がダブルボランチを組んだが、この2人の関係が悪く、磐田のトップ下のMF上田を自由にさせ過ぎていい形を作られた。後半途中でMF細貝を投入したことで守備面でのバランスは多少は改善されたが、試合開始から相手のボールホルダーに対するプレッシャーが甘く、守備面で課題は多い。
また、攻撃でもMF梅崎が機能せず、FWエジミウソンはやや良好の兆しは見えているが、FW高原は全盛期の動きとはほど遠く、DF茶野のマークを受けてシュートゼロに終わった。
■ 闘莉王の起用方法この試合の闘莉王は圧倒的な空中戦の強さを武器に1ゴール1アシストという大活躍を見せたが、ただ、やはり彼を本職のポジションではないボランチやトップ下で起用することは、彼自身のことを考えても、チーム全体を考えても好ましいことではない。ビハインド状況でパワープレー要因として前線に上げる選択はオプションとしては「有り」だが、闘莉王の武器は最終ラインの位置からいつの間にかゴール前に上がってシュートシーンに絡むようなプレーであって、スタートから前目のポジションを取ってプレーすることは、彼の能力をピンポイントで利用しているような状況であって、フルに発揮させているとは言えない。
ボランチのポジションでは絶対的な存在であるMF鈴木啓太がいて、さらには進境著しいMF細貝も控えている。腰をつけてリーグ戦をこなしていくためにも、もう一度、しっかりとしたビジョンを監督が示さなければならない。
■ 進化の問われる鹿島戦何とか勝利をもぎ取った浦和だったが、厳しい見方をすると、戦い方自体はオジェック監督時代のものとそれほど変わっておらず、多くの問題は改善されないままである。結果こそ出ているが、新潟・清水・磐田といずれも難敵ではあるが、今シーズン、開幕から結果の出ていないチームであって、だからこそ、大きな問題にならなかったという考え方もできる。
だからこそ、次節のホームの鹿島戦は、エンゲルス監督のサッカーは実際にどうなのかを判断するいい材料となるだろう。ナビスコも含めて開幕から4試合は、横浜FM・名古屋・神戸・京都といずれも戦い方に芯の通ったチームであり、この4チームを相手にしたとき結果が出なかった。現状の鹿島は、この4チームよりもさらにレベルの高い戦いを見せている。さて、どうなるか???
■ 追加点が欲しかった磐田磐田としては戦い方はほぼ予定通りで、いい形で先制ゴールを奪って勝利が近づいたかに見えたが、追加点が奪えずに「勝ち点3」のチャンスを逃した。攻守ともによく戦ったが、やはりFW前田ら欠場組の存在の大きさを感じずにはいられない試合となった。
仙台から加入したFW萬代は開幕からFW前田の代わりにセンターフォワードに入って悪くないプレーを見せているが、やはりJ1のDFの強さを前に簡単に封じられるケースが目立つ。
■ もう1ランク上が求められる上田トップ下に入ったMF上田はこの試合は非常に良かった。浦和のマークが甘かったという側面もあるが、いいエリアでボールを受けて、いい形で展開し、チームにリズムを作った。ここ最近、ベテランのMF名波が途中出場ながらうまい具合に組み立てに絡んでチームに貢献しているのが目立つが、技術的にはMF上田であれば、(今の)名波に引けを取るとは思えない。だから、常にこの試合のようなプレーが出来でもおかしくないはずである。
ドリブル突破など、1人で局面を打開するような力はない選手なだけに、チームメイトとうまく絡んで仕掛けを行う必要があるが、コンスタントにいいプレーを続けて信頼を勝ち取っていくしかない。
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