ゲイツはメディア界に3億1900万ドルもの資金を投入している
ゲイツはメディア界に3億1900万ドルもの資金を投入している
<記事原文 寺島先生推薦>
Revealed: Documents Show Bill Gates Has Given $319 Million to Media Outlet
Global Research 2021年11月18日
アラン・マクレオド(Alan MacLeod)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年12月15日
最近の不愉快な離婚劇が報じられるまで、ビル・ゲイツは企業メディアから都合の悪いことが報じられないような「フリーパス」を持っていたようだ。ゲイツの取り上げられ方はたいがい「気のいいオタク」が世界を救おうとしている、という取り上げられ方であり、ガーディアン紙に至っては、皮肉なしで大まじめに、ゲイツのことを「聖ビル様」と命名することまでしていた。
他の億万長者たちが所有しているメディアについては、メディア界にどれほど資金を投じているかについて比較的よく知られているのだが、ゲイツの場合はよく知られていない。ゲイツが助成金を出資している3万件以上の団体を調べて我がミントプレス社が突き止めたのは、ビル&メリンダ・ゲイツ財団(BMGF)がメディア業界に3億ドル以上の寄付を行っているという事実だ。
この資金を受け取った業者には、米国の最も有力なニュース会社がたくさん含まれている。具体的には、CNN、NBC、NPR、PBS、The Atlanticだ。さらにゲイツは、影響力の強い無数の海外メディア企業にも資金を提供している。具体的には、英国のBBCや、The GuardianやThe Financial TimesやThe Daily Telegraph、欧州の著名な新聞社であるフランスのLe Monde、ドイツのDer Spiegel、スペインのEl País、さらにはAl-Jazeeraのような世界規模で展開しているメディア企業だ。
以下、メディア業界に流れているゲイツ財団の資金を分野ごとに番号順で記載する。各企業が関連の助成金を受け取っていることが分かるリンク先もつけている。(訳者:リンクは原文を参照してください)
ゲイツ財団から資金が直接流れているメディア会社および金額の一覧:
NPR- $24,663,066
The Guardian (including TheGuardian.org)- $12,951,391
Cascade Public Media – $10,895,016
Public Radio International (PRI.org/TheWorld.org)- $7,719,113
The Conversation- $6,664,271
Univision- $5,924,043
Der Spiegel (Germany)- $5,437,294
Project Syndicate- $5,280,186
Education Week – $4,898,240
WETA- $4,529,400
NBCUniversal Media- $4,373,500
Nation Media Group (Kenya) – $4,073,194
Le Monde (France)- $4,014,512
Bhekisisa (South Africa) – $3,990,182
El País – $3,968,184
BBC- $3,668,657
CNN- $3,600,000
KCET- $3,520,703
Population Communications International (population.org) – $3,500,000
The Daily Telegraph – $3,446,801
Chalkbeat – $2,672,491
The Education Post- $2,639,193
Rockhopper Productions (U.K.) – $2,480,392
Corporation for Public Broadcasting – $2,430,949
UpWorthy – $2,339,023
Financial Times – $2,309,845
The 74 Media- $2,275,344
Texas Tribune- $2,317,163
Punch (Nigeria) – $2,175,675
News Deeply – $1,612,122
The Atlantic- $1,403,453
Minnesota Public Radio- $1,290,898
YR Media- $1,125,000
The New Humanitarian- $1,046,457
Sheger FM (Ethiopia) – $1,004,600
Al-Jazeera- $1,000,000
ProPublica- $1,000,000
Crosscut Public Media – $810,000
Grist Magazine- $750,000
Kurzgesagt – $570,000
Educational Broadcasting Corp – $506,504
Classical 98.1 – $500,000
PBS – $499,997
Gannett – $499,651
Mail and Guardian (South Africa)- $492,974
Inside Higher Ed.- $439,910
BusinessDay (Nigeria) – $416,900
Medium.com – $412,000
Nutopia- $350,000
Independent Television Broadcasting Inc. – $300,000
Independent Television Service, Inc. – $300,000
Caixin Media (China) – $250,000
Pacific News Service – $225,000
National Journal – $220,638
Chronicle of Higher Education – $149,994
Belle and Wissell, Co. $100,000
Media Trust – $100,000
New York Public Radio – $77,290
KUOW – Puget Sound Public Radio – $5,310
これらの寄付金の総額は1億6621万6526ドルに上る。概してこの寄付金は、ゲイツ財団の意向に沿う報道がなされるために使われている。例えば、3600万ドルの補助金を受けているCNNは、「発展途上国における性の平等に焦点を当てた、世界中の女性や少女たちが苦しんでいる不平等な日常の記事」を報じている。また何百万ドルもの補助金を受けているTexas Tribuneは「テキサス州における教育再編に対する人々の気づきや取り組み」についての記事を報じている。ビル・ゲイツがチャーター・スクールの導入にもっとも熱心な人物のひとりであるという事実から、批判的なものの見方をする人であれば、この記事が、客観的なニュース記事であることを装った、チャーター・スクールを導入したい企業側の宣伝のために書かれた記事だと取るだろう。
ゲイツ財団はさらに巨大メディア産業と密接に結びついている団体に6億3千万ドル近い寄付金を出している。具体的には、BBCMedia Action に約5300万ドル、MTVのStaying Alive Foundationに9百万ドル以上、The New York Times Neediest Causes Fundには百万ドルの寄付金を出している。これ以外にも、慈善団体としてのゲイツ財団から寄付金や資金をもらっているのに企業名が特定されていない企業もあることは、頭においておくべきだ。
ゲイツは記者養成センターにも影響力を与えるべく広く網を巡らしている。その投入資金の総額は3800万ドル以上だ。そのうちの半分以上がワシントンDCに本拠地を置くInternational Center for Journalistsに割り当てられているが、それはアフリカのメディア界の拡大と発展に寄与するよう意図されているものだ。
以下がそのようなセンターの一覧だ。
International Center for Journalists- $20,436,938
Premium Times Centre for Investigative Journalism (Nigeria) – $3,800,357
The Pulitzer Center for Crisis Reporting – $2,432,552
Fondation EurActiv Politech – $2,368,300
International Women’s Media Foundation – $1,500,000
Center for Investigative Reporting – $1,446,639
InterMedia Survey institute – $1,297,545
The Bureau of Investigative Journalism – $1,068,169
Internews Network – $985,126
Communications Consortium Media Center – $858,000
Institute for Nonprofit News – $650,021
The Poynter Institute for Media Studies- $382,997
Wole Soyinka Centre for Investigative Journalism (Nigeria) – $360,211
Institute for Advanced Journalism Studies – $254,500
Global Forum for Media Development (Belgium) – $124,823
Mississippi Center for Investigative Reporting – $100,000
このことに加えて、ゲイツ財団は出版機関や、報道機関に対して寄付金を山のように出資している。その規模は少なくとも1200万ドルにのぼる。例えば、200以上の団代を傘下に持つNational Newspaper Publishers Associationは、320万ドルを受け取っている。
以下はそのような機関のリストだ。
Education Writers Association – $5,938,475
National Newspaper Publishers Association – $3,249,176
National Press Foundation- $1,916,172
Washington News Council- $698,200
American Society of News Editors Foundation – $250,000
Reporters Committee for Freedom of the Press- $25,000
この総額は2億1640万ドルになる。
ゲイツ財団はさらに、世界中の記者養成機関にも資金を提供している。その名目は、奨学金や、コースや、講座に使用されるものとされている。こんにち、ゲイツ財団の寄付金のおかげで、個人が記者になるための学習をすることが可能になっている。さらにゲイツが出資しているメディア企業で就職したり、ゲイツが資金を出している関連メディア会社に所属することもできる。このことが特に当てはまるのは、健康や、教育や、国際発展の分野で働く記者たちだ。これらの分野はゲイツ自身がもっとも積極的に動いている分野であり、億万長者ゲイツがどのように活動し、どのような意図をもっているかについて、しっかり見ておく必要がある分野だ。
ゲイツ団体が補助金を出している記者養成機関の一覧は以下の通り:
Johns Hopkins University – $1,866,408
Teachers College, Columbia University- $1,462,500
University of California Berkeley- $767,800
Tsinghua University (China) – $450,000
Seattle University – $414,524
Institute for Advanced Journalism Studies – $254,500
Rhodes University (South Africa) – $189,000
Montclair State University- $160,538
Pan-Atlantic University Foundation – $130,718
World Health Organization – $38,403
The Aftermath Project- $15,435
BMGFはさらに世界中のメディアによるキャンペーンにおいても幅広く影響を与えている。例えば、2014年以来BMGFは570万ドルをインドのPopulation Foundation という報道機関に出資し、性や出産に関するドラマの製作に当たらせている。これは南アジアにおいて家族計画を広く普及させる意図をもったものだ。またBMGFはセネガルの報道機関に350万ドル以上を出資し、健康問題についてのラジオ番組やネット上のサイトを展開させようとしている。ゲイツの支持者たちは、このことを深刻な資金不足に悩む報道機関を支援していると捉えているが、億万長者が自分のカネを使うことにより、自分の意見や考えをマスコミに垂れ流そうとしているのでは、と考える批判者たちもいる。
ゲイツ財団が支援している報道関連のキャンペーンを行っている団体の一覧は以下の通り:
European Journalism Centre – $20,060,048
World University Service of Canada – $12,127,622
Well Told Story Limited – $9,870,333
Solutions Journalism Inc.- $7,254,755
Entertainment Industry Foundation – $6,688,208
Population Foundation of India- $5,749,826 –
Participant Media – $3,914,207
Réseau Africain de l’Education pour la santé- $3,561,683
New America – $3,405,859
AllAfrica Foundation – $2,311,529
Steps International – $2,208,265
Center for Advocacy and Research – $2,200,630
The Sesame Workshop – $2,030,307
Panos Institute West Africa – $1,809,850
Open Cities Lab – $1,601,452
Harvard university – $1,190,527
Learning Matters – $1,078,048
The Aaron Diamond Aids Research Center- $981,631
Thomson Media Foundation- $860,628
Communications Consortium Media Center – $858,000
StoryThings- $799,536
Center for Rural Strategies – $749,945
The New Venture Fund – $700,000
Helianthus Media – $575,064
University of Southern California- $550,000
World Health Organization- $530,095
Phi Delta Kappa International – $446,000
Ikana Media – $425,000
Seattle Foundation – $305,000
EducationNC – $300,000
Beijing Guokr Interactive – $300,000
Upswell- $246,918
The African Academy of Sciences – $208,708
Seeking Modern Applications for Real Transformation (SMART) – $201,781
Bay Area Video Coalition- $190,000
PowHERful Foundation – $185,953
PTA Florida Congress of Parents and Teachers – $150,000
ProSocial – $100,000
Boston University – $100,000
National Center for Families Learning – $100,000
Development Media International – $100,000
Ahmadu Bello University- $100,000
Indonesian eHealth and Telemedicine Society – $100,000
The Filmmakers Collaborative – $50,000
Foundation for Public Broadcasting in Georgia Inc. – $25,000
SIFF – $13,000
Total: $97,315,408
3億1940万ドル以上
すべて合計すると、ゲイツ財団が、メディアの行っている取組に付与している金額の総額は3億1940万ドルになる。しかし、資金の付与先を網羅しているこのリストには明らかな欠点がある。 つまり、本当の金額がずっと高いことは疑いがない、ということだ。まず、このリストでは準補助金については数に入れていない。準補助金とは、世界中のメディアが受け取っている補助金のことだ。さらにゲイツ財団は、自身の活動は公開しているような印象を演出してはいるが、実際のところ、同財団が行っていることについてはほとんど公表されていない。具体的には、それぞれの団体や企業に渡った寄付金がその後どうなったかはわからないのだ。というのも、同財団がホームページで明らかにしているのは、1~2文の短い説明だからだ。数に入れられているのは、ゲイツ財団が自ら報道機関に公表している寄付や、ゲイツ財団のホームページで特定することが可能なメディア企業に対する寄付計画で分かる範囲のことだけだ。つまり、メディア界に影響を与えるような何千件もの補助金に関しては、上のリストには入っていない、ということだ。
そのような例の一つは、BMGFと提携を結んでいるViacomCBS社だ。 この会社が影響を持っているのは、CBS Newsや、MTVや、VH1や、 Nickelodeonや、BETだ。当時のメディアの報道によれば、ゲイツ財団は娯楽産業の巨大企業に資金を渡し、その産業界が提供している番組に情報や、公共サービス情報を流させ、ゲイツが介入してERや、Law & Order: SVUといった人気ドラマの筋書きに手を加えた、とのことだ。
しかしBMFGによる補助金の一覧を見ても、「Viacom」や、「CBS」という企業名はどこにも見つからない。おそらく補助金であると思われる(総額600万ドル以上)資金は、単なるプロジェクトにかかった費用だと記述されている。例えば「高校生の卒業率や、生徒や保護者のための中等教育の修了者率の改善を目的とした公的な取り組み」といった書き方なのだ。つまりこの金は公的発表による補助金の総額には数えられていない、ということだ。このような例は確実にもっとたくさんある。「税金が課せられる慈善活動であれば、透明性が大事であると強調されるのだが、注視すべきことは、ゲイツ財団の資金の流れが非常に内密に保たれているという事実だ」。 このようにわがミントプレス社に語ってくれたのは、ティム・シュワブ記者だ。彼は、テック億万長者ゲイツのことを綿密に調査している数少ない記者の一人だ。
ほかにリストから除外されているのは、学術誌を出版することを目的とした補助金だ。学術誌で発表されるような記事は、多くの人々に届くよう意図されているものではないが、このような記事はたいてい主流メディアの報道の基礎となる記事となることが多く、重要な問題に関する世論形成の助けとなるものだ。ゲイツ財団は、これらの学術誌分野に広く厚く補助金を与えていて、少なくとも1360万ドルが著名な学術誌である「ランセット誌」の紙面を埋めるために付与されている。
そしてもちろん、純粋に研究目的のために様々な大学に付与されている寄付金についても、結局は学術誌を埋めることに使われており、最終的には、マスメディアの記事を下支えするものになるのだ。研究者たちは、著名な学術誌に掲載されるように強い圧力がかけられている。「学術誌に掲載されないなら去るしかない」というのは、学会の常套句だ。従ってこのような補助金でさえも、メディア対応にとって効果を生むことになるのだ。このような補助金や、本を出版したり、サイトに掲載したりするための補助金も、総額の中に入れられていない。このようなカネもメディアを手中に入れる一つの手段ではあるのだが。
顔は小さいが、触角は長い
他のIC系企業の億万長者たちのようすと比較すると、ゲイツはメディアを操ろうという自身の本性をなるべく見せないようにしているようだ。アマゾン社創設者のジェフ・ベゾスは2013年に2億5千万ドルでワシントン・ポストを買収したが、その様子は非常に見えやすく、ベゾスがメディアに対してとっている態勢を見抜くことも簡単だった。eBay社の創設者の founder ピエール・オミダイアがFirst Look Mediaというインターセプト紙を所有するメディア会社を立ち上げたときも同様だった。
水面下で動き回ってはいるのだが、ゲイツや彼の所有する複数の企業は、メディア業界に重大な影響力を築きあげている。すでに私たちはマイクロソフト社の商品に依存しているではないか。例をあげると(SkypeやHotmail), ソーシャルメディアのLinkedIn、ゲームのXboxだ。 さらに、私たちが伝達手段としてハードウエアやソフトウエアが使用できているのも、66歳のシアトルっ子、ゲイツのおかげだ。この記事を読むのに、いったいどれだけの人々がマイクロソフト社のPCであるSurfaceや、Windowsのスマートフォン上のWindows のOSを使っていることか。それだけではない。マイクロソフトはComcastや、AT&Tといった巨大メディア企業の株を所持している。さらにMSNBC社の“MS”という名称はマイクロソフト社のことだ。
メディアは門番(Gatekeeper)ならぬゲイツ番(Gates Keeper)だ
ゲイツ財団が、我々をとりまくメディア業界の多くに資金を提供し、支えているという事実は、報道の客観性の担保という観点で大きな問題を提起することになる。「同財団がメディア業界に対して補助金を与えているという問題は、利益相反が行われていないかという明白な疑念を生んでいる。巨大な黒幕が金蔓として存在している中で、報道機関が出す報道が偏らずにいれようか?」。2011年にこんな記事を出したのは、ゲイツの地元シアトルのSeattle Timesだ。この記事が出たのは、この新聞社がBMGFからの資金を受け取る前のことだったのだ。そしてその資金は同社の「教育担当」部門に使われた。
シュワブによる記事がつきとめたのは、このような利益相反行為が権力のまさに頂点までつながっている、という事実だった。ニューヨーク・タイムズ紙の2名の論説員がゲイツ財団についての輝かしい記事を何年も書き続けている。しかし両者が「Solutions Journalism Network」という団体に所属していることには触れられてはいない。これまで書いてきたとおり、この団体はIT億万長者のゲイツから700万ドル以上の資金を受け取ってきたのだ。
今年初旬に、シュワブは「Bureau of Investigative Journalism」というマスコミにCOVAX(訳注:WHOなどが主体となって行っている、Covidワクチンを世界に公平に分配することを目的とした取組)についての記事を共著という形で執筆することを拒んでいた。その理由は、メディア業界に流してきたカネのせいで、この件に関する正確な報道が出来ないとシュワブが考えたからだった。というのもCOVAXはゲイツの考えに非常に近いものだからだ。シュワブの考えの通り、先月この記事が発表されたとき、この記事は、COVAXの取組がうまくいかなかったことと、ゲイツの間にはほとんど関係がないという趣旨を繰り返していた。これはBMFGの立ち位置を反映したものであり、BMFGと同じことを言っているに過ぎなかった、5000字以上の記事の本当に最後のところで、少し触れられていたのが、このBureau of Investigative Journalismという団体を擁護していた組織であるBMFGが、この団体の職員に給料を出している、という事実だった。
「私はゲイツが「Bureau of Investigative Journalism」社にこんな記事を書くよう指示を出したとは思いません。この会社自身が、無意識かもしれませんが、暗黙の了解の中で、自分たちにお金を出してくれている団体を標的にしないような記事になる方法を模索しなければならなかったのです。補助金が支える利益相反関係によって記事に偏りを出させる手口を見いだすのは複雑ですが、実在し、信頼の置ける情報なのです」。シュワブはこう語り、このような状況を以下のように記述している。「これが、ゲイツが報道機関にカネを与えることによって生じている危険の一例です」と。
我がミントプレス社は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団にコメントを求めて連絡をとったが、返事はなかった。
ゲイツは、自身の知的財産権を独占的かつ、必死に守ることで、財産を積み上げているのだが、実はゲイツは世界中で展開されているコロナウイルスのワクチン接種計画の失敗において、重大な責任が問われている。COVAXでの大失態とは全く別のことだが、ゲイツはオックスフォード大学に圧力をかけ、開発したワクチンを税金でまかない、得られた知見を無償で解放することをさせなかった。そうはせず、民間企業のアストロゼネカ社と提携を結ばせたのだ。この決定が意味することは、ワクチンの費用を支払えない人々は、ワクチンを使用することから排除される、ということだ。ゲイツがオックスフォード大学に対して(総額何億ドルにもなる)100件以上の寄付を行っているという事実は、オックスフォード大学がこのような決定をした際の重要な要因となったと考えられる。今日にいたるまで、収入が少ない国々では、国民がCOVIDワクチンを少なくとも1度接種した割合は5%以下になっている。このことによりもたらされた死の数は計り知れない。
不幸にも、ゲイツやゲイツの関連業者について真の批判を加えようとする人々の多くは、ある勢力によりぼやかされているのだ。それは野蛮で、不実な陰謀論者たちだ。彼らが伝えているのは、ワクチンにマイクロチップを埋め込んで、人口削減を企んでいるなどという主張だ。このような陰謀論者たちのせいで、マイクロソフト社の共同創設者であるゲイツのことを真に批判しようという人々の声は、勢力を奪われ、順次抑圧されている。そしてメディアは、このような人々の声を報じないようになる。そうやって次第に、世界で二番目に裕福な人物であるゲイツを綿密に調査するような報道が少ないことが、奇妙な推測をうんでいくのだ。
ゲイツが、綿密な調査が必要となる人物であることは間違いない。悪名高いジェフリー・エプスタインとの親密で、おそらく長く続く関係だけではなく、アフリカ社会を根本的に変えてしまおうという計画もそうだし、物議を醸し出す化学会社の大手モンサント社への投資もそうだし、さらにアメリカにおけるチャーター・スクール導入においても影で重要な役割を果たしていると思われる。このチャーター・スクール導入計画というのは、米国の教育システムを完全に民営化しようという計画だ。チャーター・スクールは教職員組合からの評判がすこぶる悪い。教職員組合は、この動きを教員の自立性を損ない、学校で子どもたちが何を教わるか、どう教わるかについて、社会からの目が届かなくなることに警鐘をならしている。
儲かり過ぎて笑いが止まらない
報道によれば、ゲイツによる寄付は自分よりも他人の幸福を優先する行為として報じられることがほとんどだ。しかし、このような寄付を行う行為には、欠点もあることを指摘する人々も多い。というのは、寄付により億万長者たちが、自分のカネを自分の好きなように使うことで、公的事業における彼らの狙いを達成することができるようになるからだ。寄付により社会に対する巨大な力を有することができるようになるからだ。「慈善活動は経済搾取から人々の目を意図的にそらせることができるものです。そうやって今日世界で見られる不平等を固定することにつながっているのです」と語ったのは、英国エセックス大学社会学部教授で、「こんな贈り物が無料で行われる訳がない。ゲイツ財団と慈善活動の価格」という著書の執筆者であるマクゴイ教授だ。同教授は、さらにこう続けている。
「新しい「慈善資本主義」という手口は、民主主義にとっての脅威です。というのも、その手を使えば、公的機関に資金を使わせることで、民間企業の力を強めることができるからです。公的機関はますます予算を削減するよう迫られ、業務の一部を民間企業に委託し、公共サービスを代行させる流れがあるのですが、実は、民間の営利団体を入れない方が、安く済む場合もあるのです」
元英国首相クレメント・アトリーが書いている通り、慈善活動というのは、「冷酷で、色褪せた、愛のない行為なのです。金持ちが貧しい人々を救いたいのならば、喜んで税金を払ってくれればいいだけなのに。気まぐれにカネをばら撒くのではなくて。」
これまで書いてきたことは、ゲイツからカネを受け取っている団体(メディア関連やそれ以外の)が、取り返しのつかないくらい腐敗しているということではないし、ゲイツ財団が世界に対し 、留守て何の善もなしていない、ということでもない。しかし、両者の関係には、明らかな利益相反関係があるのだ。その利益相反関係によって、この地球上の歴史において最も裕福で、最も力強い人物の一人の責任を追求する際に、私たちが頼りにしている各種マスメディアが、その人物からこっそり資金提供を受けているのだ。このような利益相反関係のことは、企業マスコミはほとんど取り上げない。そんな中、自分よりも他人の幸福を優先すると思われている慈善家ゲイツはますます裕福になり続け、大儲けして笑いが止まらなくなっている。
<記事原文 寺島先生推薦>
Revealed: Documents Show Bill Gates Has Given $319 Million to Media Outlet
Global Research 2021年11月18日
アラン・マクレオド(Alan MacLeod)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年12月15日
最近の不愉快な離婚劇が報じられるまで、ビル・ゲイツは企業メディアから都合の悪いことが報じられないような「フリーパス」を持っていたようだ。ゲイツの取り上げられ方はたいがい「気のいいオタク」が世界を救おうとしている、という取り上げられ方であり、ガーディアン紙に至っては、皮肉なしで大まじめに、ゲイツのことを「聖ビル様」と命名することまでしていた。
他の億万長者たちが所有しているメディアについては、メディア界にどれほど資金を投じているかについて比較的よく知られているのだが、ゲイツの場合はよく知られていない。ゲイツが助成金を出資している3万件以上の団体を調べて我がミントプレス社が突き止めたのは、ビル&メリンダ・ゲイツ財団(BMGF)がメディア業界に3億ドル以上の寄付を行っているという事実だ。
この資金を受け取った業者には、米国の最も有力なニュース会社がたくさん含まれている。具体的には、CNN、NBC、NPR、PBS、The Atlanticだ。さらにゲイツは、影響力の強い無数の海外メディア企業にも資金を提供している。具体的には、英国のBBCや、The GuardianやThe Financial TimesやThe Daily Telegraph、欧州の著名な新聞社であるフランスのLe Monde、ドイツのDer Spiegel、スペインのEl País、さらにはAl-Jazeeraのような世界規模で展開しているメディア企業だ。
以下、メディア業界に流れているゲイツ財団の資金を分野ごとに番号順で記載する。各企業が関連の助成金を受け取っていることが分かるリンク先もつけている。(訳者:リンクは原文を参照してください)
ゲイツ財団から資金が直接流れているメディア会社および金額の一覧:
NPR- $24,663,066
The Guardian (including TheGuardian.org)- $12,951,391
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The Conversation- $6,664,271
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KCET- $3,520,703
Population Communications International (population.org) – $3,500,000
The Daily Telegraph – $3,446,801
Chalkbeat – $2,672,491
The Education Post- $2,639,193
Rockhopper Productions (U.K.) – $2,480,392
Corporation for Public Broadcasting – $2,430,949
UpWorthy – $2,339,023
Financial Times – $2,309,845
The 74 Media- $2,275,344
Texas Tribune- $2,317,163
Punch (Nigeria) – $2,175,675
News Deeply – $1,612,122
The Atlantic- $1,403,453
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Classical 98.1 – $500,000
PBS – $499,997
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Inside Higher Ed.- $439,910
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Nutopia- $350,000
Independent Television Broadcasting Inc. – $300,000
Independent Television Service, Inc. – $300,000
Caixin Media (China) – $250,000
Pacific News Service – $225,000
National Journal – $220,638
Chronicle of Higher Education – $149,994
Belle and Wissell, Co. $100,000
Media Trust – $100,000
New York Public Radio – $77,290
KUOW – Puget Sound Public Radio – $5,310
これらの寄付金の総額は1億6621万6526ドルに上る。概してこの寄付金は、ゲイツ財団の意向に沿う報道がなされるために使われている。例えば、3600万ドルの補助金を受けているCNNは、「発展途上国における性の平等に焦点を当てた、世界中の女性や少女たちが苦しんでいる不平等な日常の記事」を報じている。また何百万ドルもの補助金を受けているTexas Tribuneは「テキサス州における教育再編に対する人々の気づきや取り組み」についての記事を報じている。ビル・ゲイツがチャーター・スクールの導入にもっとも熱心な人物のひとりであるという事実から、批判的なものの見方をする人であれば、この記事が、客観的なニュース記事であることを装った、チャーター・スクールを導入したい企業側の宣伝のために書かれた記事だと取るだろう。
ゲイツ財団はさらに巨大メディア産業と密接に結びついている団体に6億3千万ドル近い寄付金を出している。具体的には、BBCMedia Action に約5300万ドル、MTVのStaying Alive Foundationに9百万ドル以上、The New York Times Neediest Causes Fundには百万ドルの寄付金を出している。これ以外にも、慈善団体としてのゲイツ財団から寄付金や資金をもらっているのに企業名が特定されていない企業もあることは、頭においておくべきだ。
ゲイツは記者養成センターにも影響力を与えるべく広く網を巡らしている。その投入資金の総額は3800万ドル以上だ。そのうちの半分以上がワシントンDCに本拠地を置くInternational Center for Journalistsに割り当てられているが、それはアフリカのメディア界の拡大と発展に寄与するよう意図されているものだ。
以下がそのようなセンターの一覧だ。
International Center for Journalists- $20,436,938
Premium Times Centre for Investigative Journalism (Nigeria) – $3,800,357
The Pulitzer Center for Crisis Reporting – $2,432,552
Fondation EurActiv Politech – $2,368,300
International Women’s Media Foundation – $1,500,000
Center for Investigative Reporting – $1,446,639
InterMedia Survey institute – $1,297,545
The Bureau of Investigative Journalism – $1,068,169
Internews Network – $985,126
Communications Consortium Media Center – $858,000
Institute for Nonprofit News – $650,021
The Poynter Institute for Media Studies- $382,997
Wole Soyinka Centre for Investigative Journalism (Nigeria) – $360,211
Institute for Advanced Journalism Studies – $254,500
Global Forum for Media Development (Belgium) – $124,823
Mississippi Center for Investigative Reporting – $100,000
このことに加えて、ゲイツ財団は出版機関や、報道機関に対して寄付金を山のように出資している。その規模は少なくとも1200万ドルにのぼる。例えば、200以上の団代を傘下に持つNational Newspaper Publishers Associationは、320万ドルを受け取っている。
以下はそのような機関のリストだ。
Education Writers Association – $5,938,475
National Newspaper Publishers Association – $3,249,176
National Press Foundation- $1,916,172
Washington News Council- $698,200
American Society of News Editors Foundation – $250,000
Reporters Committee for Freedom of the Press- $25,000
この総額は2億1640万ドルになる。
ゲイツ財団はさらに、世界中の記者養成機関にも資金を提供している。その名目は、奨学金や、コースや、講座に使用されるものとされている。こんにち、ゲイツ財団の寄付金のおかげで、個人が記者になるための学習をすることが可能になっている。さらにゲイツが出資しているメディア企業で就職したり、ゲイツが資金を出している関連メディア会社に所属することもできる。このことが特に当てはまるのは、健康や、教育や、国際発展の分野で働く記者たちだ。これらの分野はゲイツ自身がもっとも積極的に動いている分野であり、億万長者ゲイツがどのように活動し、どのような意図をもっているかについて、しっかり見ておく必要がある分野だ。
ゲイツ団体が補助金を出している記者養成機関の一覧は以下の通り:
Johns Hopkins University – $1,866,408
Teachers College, Columbia University- $1,462,500
University of California Berkeley- $767,800
Tsinghua University (China) – $450,000
Seattle University – $414,524
Institute for Advanced Journalism Studies – $254,500
Rhodes University (South Africa) – $189,000
Montclair State University- $160,538
Pan-Atlantic University Foundation – $130,718
World Health Organization – $38,403
The Aftermath Project- $15,435
BMGFはさらに世界中のメディアによるキャンペーンにおいても幅広く影響を与えている。例えば、2014年以来BMGFは570万ドルをインドのPopulation Foundation という報道機関に出資し、性や出産に関するドラマの製作に当たらせている。これは南アジアにおいて家族計画を広く普及させる意図をもったものだ。またBMGFはセネガルの報道機関に350万ドル以上を出資し、健康問題についてのラジオ番組やネット上のサイトを展開させようとしている。ゲイツの支持者たちは、このことを深刻な資金不足に悩む報道機関を支援していると捉えているが、億万長者が自分のカネを使うことにより、自分の意見や考えをマスコミに垂れ流そうとしているのでは、と考える批判者たちもいる。
ゲイツ財団が支援している報道関連のキャンペーンを行っている団体の一覧は以下の通り:
European Journalism Centre – $20,060,048
World University Service of Canada – $12,127,622
Well Told Story Limited – $9,870,333
Solutions Journalism Inc.- $7,254,755
Entertainment Industry Foundation – $6,688,208
Population Foundation of India- $5,749,826 –
Participant Media – $3,914,207
Réseau Africain de l’Education pour la santé- $3,561,683
New America – $3,405,859
AllAfrica Foundation – $2,311,529
Steps International – $2,208,265
Center for Advocacy and Research – $2,200,630
The Sesame Workshop – $2,030,307
Panos Institute West Africa – $1,809,850
Open Cities Lab – $1,601,452
Harvard university – $1,190,527
Learning Matters – $1,078,048
The Aaron Diamond Aids Research Center- $981,631
Thomson Media Foundation- $860,628
Communications Consortium Media Center – $858,000
StoryThings- $799,536
Center for Rural Strategies – $749,945
The New Venture Fund – $700,000
Helianthus Media – $575,064
University of Southern California- $550,000
World Health Organization- $530,095
Phi Delta Kappa International – $446,000
Ikana Media – $425,000
Seattle Foundation – $305,000
EducationNC – $300,000
Beijing Guokr Interactive – $300,000
Upswell- $246,918
The African Academy of Sciences – $208,708
Seeking Modern Applications for Real Transformation (SMART) – $201,781
Bay Area Video Coalition- $190,000
PowHERful Foundation – $185,953
PTA Florida Congress of Parents and Teachers – $150,000
ProSocial – $100,000
Boston University – $100,000
National Center for Families Learning – $100,000
Development Media International – $100,000
Ahmadu Bello University- $100,000
Indonesian eHealth and Telemedicine Society – $100,000
The Filmmakers Collaborative – $50,000
Foundation for Public Broadcasting in Georgia Inc. – $25,000
SIFF – $13,000
Total: $97,315,408
3億1940万ドル以上
すべて合計すると、ゲイツ財団が、メディアの行っている取組に付与している金額の総額は3億1940万ドルになる。しかし、資金の付与先を網羅しているこのリストには明らかな欠点がある。 つまり、本当の金額がずっと高いことは疑いがない、ということだ。まず、このリストでは準補助金については数に入れていない。準補助金とは、世界中のメディアが受け取っている補助金のことだ。さらにゲイツ財団は、自身の活動は公開しているような印象を演出してはいるが、実際のところ、同財団が行っていることについてはほとんど公表されていない。具体的には、それぞれの団体や企業に渡った寄付金がその後どうなったかはわからないのだ。というのも、同財団がホームページで明らかにしているのは、1~2文の短い説明だからだ。数に入れられているのは、ゲイツ財団が自ら報道機関に公表している寄付や、ゲイツ財団のホームページで特定することが可能なメディア企業に対する寄付計画で分かる範囲のことだけだ。つまり、メディア界に影響を与えるような何千件もの補助金に関しては、上のリストには入っていない、ということだ。
そのような例の一つは、BMGFと提携を結んでいるViacomCBS社だ。 この会社が影響を持っているのは、CBS Newsや、MTVや、VH1や、 Nickelodeonや、BETだ。当時のメディアの報道によれば、ゲイツ財団は娯楽産業の巨大企業に資金を渡し、その産業界が提供している番組に情報や、公共サービス情報を流させ、ゲイツが介入してERや、Law & Order: SVUといった人気ドラマの筋書きに手を加えた、とのことだ。
しかしBMFGによる補助金の一覧を見ても、「Viacom」や、「CBS」という企業名はどこにも見つからない。おそらく補助金であると思われる(総額600万ドル以上)資金は、単なるプロジェクトにかかった費用だと記述されている。例えば「高校生の卒業率や、生徒や保護者のための中等教育の修了者率の改善を目的とした公的な取り組み」といった書き方なのだ。つまりこの金は公的発表による補助金の総額には数えられていない、ということだ。このような例は確実にもっとたくさんある。「税金が課せられる慈善活動であれば、透明性が大事であると強調されるのだが、注視すべきことは、ゲイツ財団の資金の流れが非常に内密に保たれているという事実だ」。 このようにわがミントプレス社に語ってくれたのは、ティム・シュワブ記者だ。彼は、テック億万長者ゲイツのことを綿密に調査している数少ない記者の一人だ。
ほかにリストから除外されているのは、学術誌を出版することを目的とした補助金だ。学術誌で発表されるような記事は、多くの人々に届くよう意図されているものではないが、このような記事はたいてい主流メディアの報道の基礎となる記事となることが多く、重要な問題に関する世論形成の助けとなるものだ。ゲイツ財団は、これらの学術誌分野に広く厚く補助金を与えていて、少なくとも1360万ドルが著名な学術誌である「ランセット誌」の紙面を埋めるために付与されている。
そしてもちろん、純粋に研究目的のために様々な大学に付与されている寄付金についても、結局は学術誌を埋めることに使われており、最終的には、マスメディアの記事を下支えするものになるのだ。研究者たちは、著名な学術誌に掲載されるように強い圧力がかけられている。「学術誌に掲載されないなら去るしかない」というのは、学会の常套句だ。従ってこのような補助金でさえも、メディア対応にとって効果を生むことになるのだ。このような補助金や、本を出版したり、サイトに掲載したりするための補助金も、総額の中に入れられていない。このようなカネもメディアを手中に入れる一つの手段ではあるのだが。
顔は小さいが、触角は長い
他のIC系企業の億万長者たちのようすと比較すると、ゲイツはメディアを操ろうという自身の本性をなるべく見せないようにしているようだ。アマゾン社創設者のジェフ・ベゾスは2013年に2億5千万ドルでワシントン・ポストを買収したが、その様子は非常に見えやすく、ベゾスがメディアに対してとっている態勢を見抜くことも簡単だった。eBay社の創設者の founder ピエール・オミダイアがFirst Look Mediaというインターセプト紙を所有するメディア会社を立ち上げたときも同様だった。
水面下で動き回ってはいるのだが、ゲイツや彼の所有する複数の企業は、メディア業界に重大な影響力を築きあげている。すでに私たちはマイクロソフト社の商品に依存しているではないか。例をあげると(SkypeやHotmail), ソーシャルメディアのLinkedIn、ゲームのXboxだ。 さらに、私たちが伝達手段としてハードウエアやソフトウエアが使用できているのも、66歳のシアトルっ子、ゲイツのおかげだ。この記事を読むのに、いったいどれだけの人々がマイクロソフト社のPCであるSurfaceや、Windowsのスマートフォン上のWindows のOSを使っていることか。それだけではない。マイクロソフトはComcastや、AT&Tといった巨大メディア企業の株を所持している。さらにMSNBC社の“MS”という名称はマイクロソフト社のことだ。
メディアは門番(Gatekeeper)ならぬゲイツ番(Gates Keeper)だ
ゲイツ財団が、我々をとりまくメディア業界の多くに資金を提供し、支えているという事実は、報道の客観性の担保という観点で大きな問題を提起することになる。「同財団がメディア業界に対して補助金を与えているという問題は、利益相反が行われていないかという明白な疑念を生んでいる。巨大な黒幕が金蔓として存在している中で、報道機関が出す報道が偏らずにいれようか?」。2011年にこんな記事を出したのは、ゲイツの地元シアトルのSeattle Timesだ。この記事が出たのは、この新聞社がBMGFからの資金を受け取る前のことだったのだ。そしてその資金は同社の「教育担当」部門に使われた。
シュワブによる記事がつきとめたのは、このような利益相反行為が権力のまさに頂点までつながっている、という事実だった。ニューヨーク・タイムズ紙の2名の論説員がゲイツ財団についての輝かしい記事を何年も書き続けている。しかし両者が「Solutions Journalism Network」という団体に所属していることには触れられてはいない。これまで書いてきたとおり、この団体はIT億万長者のゲイツから700万ドル以上の資金を受け取ってきたのだ。
今年初旬に、シュワブは「Bureau of Investigative Journalism」というマスコミにCOVAX(訳注:WHOなどが主体となって行っている、Covidワクチンを世界に公平に分配することを目的とした取組)についての記事を共著という形で執筆することを拒んでいた。その理由は、メディア業界に流してきたカネのせいで、この件に関する正確な報道が出来ないとシュワブが考えたからだった。というのもCOVAXはゲイツの考えに非常に近いものだからだ。シュワブの考えの通り、先月この記事が発表されたとき、この記事は、COVAXの取組がうまくいかなかったことと、ゲイツの間にはほとんど関係がないという趣旨を繰り返していた。これはBMFGの立ち位置を反映したものであり、BMFGと同じことを言っているに過ぎなかった、5000字以上の記事の本当に最後のところで、少し触れられていたのが、このBureau of Investigative Journalismという団体を擁護していた組織であるBMFGが、この団体の職員に給料を出している、という事実だった。
「私はゲイツが「Bureau of Investigative Journalism」社にこんな記事を書くよう指示を出したとは思いません。この会社自身が、無意識かもしれませんが、暗黙の了解の中で、自分たちにお金を出してくれている団体を標的にしないような記事になる方法を模索しなければならなかったのです。補助金が支える利益相反関係によって記事に偏りを出させる手口を見いだすのは複雑ですが、実在し、信頼の置ける情報なのです」。シュワブはこう語り、このような状況を以下のように記述している。「これが、ゲイツが報道機関にカネを与えることによって生じている危険の一例です」と。
我がミントプレス社は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団にコメントを求めて連絡をとったが、返事はなかった。
1/ Months ago, I was asked to be a co-reporter on this story. I declined b/c the #GatesFoundation was a funder, which I knew would make it impossible to rigorously examine Gates's role in Covax. This story is a case study in the perils of Gates-funded journalism. 🧵Read on & RT: https://t.co/hkFQOBEGff
— Tim Schwab (@TimothyWSchwab) October 13, 2021
ゲイツは、自身の知的財産権を独占的かつ、必死に守ることで、財産を積み上げているのだが、実はゲイツは世界中で展開されているコロナウイルスのワクチン接種計画の失敗において、重大な責任が問われている。COVAXでの大失態とは全く別のことだが、ゲイツはオックスフォード大学に圧力をかけ、開発したワクチンを税金でまかない、得られた知見を無償で解放することをさせなかった。そうはせず、民間企業のアストロゼネカ社と提携を結ばせたのだ。この決定が意味することは、ワクチンの費用を支払えない人々は、ワクチンを使用することから排除される、ということだ。ゲイツがオックスフォード大学に対して(総額何億ドルにもなる)100件以上の寄付を行っているという事実は、オックスフォード大学がこのような決定をした際の重要な要因となったと考えられる。今日にいたるまで、収入が少ない国々では、国民がCOVIDワクチンを少なくとも1度接種した割合は5%以下になっている。このことによりもたらされた死の数は計り知れない。
不幸にも、ゲイツやゲイツの関連業者について真の批判を加えようとする人々の多くは、ある勢力によりぼやかされているのだ。それは野蛮で、不実な陰謀論者たちだ。彼らが伝えているのは、ワクチンにマイクロチップを埋め込んで、人口削減を企んでいるなどという主張だ。このような陰謀論者たちのせいで、マイクロソフト社の共同創設者であるゲイツのことを真に批判しようという人々の声は、勢力を奪われ、順次抑圧されている。そしてメディアは、このような人々の声を報じないようになる。そうやって次第に、世界で二番目に裕福な人物であるゲイツを綿密に調査するような報道が少ないことが、奇妙な推測をうんでいくのだ。
ゲイツが、綿密な調査が必要となる人物であることは間違いない。悪名高いジェフリー・エプスタインとの親密で、おそらく長く続く関係だけではなく、アフリカ社会を根本的に変えてしまおうという計画もそうだし、物議を醸し出す化学会社の大手モンサント社への投資もそうだし、さらにアメリカにおけるチャーター・スクール導入においても影で重要な役割を果たしていると思われる。このチャーター・スクール導入計画というのは、米国の教育システムを完全に民営化しようという計画だ。チャーター・スクールは教職員組合からの評判がすこぶる悪い。教職員組合は、この動きを教員の自立性を損ない、学校で子どもたちが何を教わるか、どう教わるかについて、社会からの目が届かなくなることに警鐘をならしている。
儲かり過ぎて笑いが止まらない
報道によれば、ゲイツによる寄付は自分よりも他人の幸福を優先する行為として報じられることがほとんどだ。しかし、このような寄付を行う行為には、欠点もあることを指摘する人々も多い。というのは、寄付により億万長者たちが、自分のカネを自分の好きなように使うことで、公的事業における彼らの狙いを達成することができるようになるからだ。寄付により社会に対する巨大な力を有することができるようになるからだ。「慈善活動は経済搾取から人々の目を意図的にそらせることができるものです。そうやって今日世界で見られる不平等を固定することにつながっているのです」と語ったのは、英国エセックス大学社会学部教授で、「こんな贈り物が無料で行われる訳がない。ゲイツ財団と慈善活動の価格」という著書の執筆者であるマクゴイ教授だ。同教授は、さらにこう続けている。
「新しい「慈善資本主義」という手口は、民主主義にとっての脅威です。というのも、その手を使えば、公的機関に資金を使わせることで、民間企業の力を強めることができるからです。公的機関はますます予算を削減するよう迫られ、業務の一部を民間企業に委託し、公共サービスを代行させる流れがあるのですが、実は、民間の営利団体を入れない方が、安く済む場合もあるのです」
元英国首相クレメント・アトリーが書いている通り、慈善活動というのは、「冷酷で、色褪せた、愛のない行為なのです。金持ちが貧しい人々を救いたいのならば、喜んで税金を払ってくれればいいだけなのに。気まぐれにカネをばら撒くのではなくて。」
これまで書いてきたことは、ゲイツからカネを受け取っている団体(メディア関連やそれ以外の)が、取り返しのつかないくらい腐敗しているということではないし、ゲイツ財団が世界に対し 、留守て何の善もなしていない、ということでもない。しかし、両者の関係には、明らかな利益相反関係があるのだ。その利益相反関係によって、この地球上の歴史において最も裕福で、最も力強い人物の一人の責任を追求する際に、私たちが頼りにしている各種マスメディアが、その人物からこっそり資金提供を受けているのだ。このような利益相反関係のことは、企業マスコミはほとんど取り上げない。そんな中、自分よりも他人の幸福を優先すると思われている慈善家ゲイツはますます裕福になり続け、大儲けして笑いが止まらなくなっている。
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