タッカー・カールソンはなぜ、体制側メディアが引きずり下ろせない巨人であり続けるのか?
<記事原文 寺島先生推薦記事>
Why Tucker Carlson remains a giant that the establishment media can’t pull down
フォックス・ニュースのスターは、何百万人もの人々の懸念を代弁している。
出典:RT
筆者:ロバート・ブリッジ
2022年12月19日
<記事翻訳 寺島メソッド飜訳グループ>
2023年1月8日
ロバート・ブリッジ(@Robert_Bridge)
ロバート・ブリッジは米国の作家、ジャーナリスト。著書に「Midnight in the American Empire, How Corporations and Their Political Servants are Destroying the American Dream」(『暗闇のアメリカ帝国』)がある。
タッカー・カールソン © Janos Kummer / Getty Images
米国メディア王国のジャングルは、しばしば主流メディアと呼ばれる体制側の巨大組織と、タッカー・カールソンという2つの強力な勢力に分かれているように見える。そして、予想に反して、カールソンが勝っているように見える。
フォックス・ニュースの司会者タッカー・カールソンほど、既存メディアにとって嫌な存在で、恐ろしい存在(人による)を挙げるのは、暴れん坊のドナルド・J・トランプを除けば難しいだろう。この人物は、5月にニューヨーク・タイムズ紙が2万語も使った記事を出し、彼の人格を抹殺しようとしたほど脅威とみなされている。皮肉なことに、この記事は裏目に出て、アメリカ人がもはや「既成メディア」を信用しなくなった理由を暴露してしまったのである。
グレイ・レディ(ニューヨーク・タイムズ紙の別名)のその記事には、はっきりこう書かれていた。「『タッカー・カールソン・トゥナイト』という番組で示されている支配的な話とは、アメリカの人種差別を書き直して、白人米国人は抑圧された階層である、というものだ。この番組に言わせれば、支配階級は、フェンタニル[鎮痛剤]などのオピオイド[アヘン樣合成麻薬剤]を使用して伝統的アメリカ人を中毒にして殺し、反白人人種主義を利用して伝統的アメリカ人を偏屈者と決めつけ、フェミニズムを使って伝統的アメリカ人の自尊心を傷つけ、移民を使って伝統的アメリカ人の政治力を低下させる、となるのである。さらに、共和党のエリートは、ありえないことだが、民主党が投票箱で必要とする有権者を輸入する手助けをしているとも主張している。カールソンは、アメリカは『支配する人々に対して長期的な義務を感じない傭兵によって支配されている』と視聴者に語っている。」
こうした感情は、この記事では荒唐無稽な陰謀論として即座に否定されているが、ジャーナリストや政治家に対する信頼がいまや史上最低のレベルにある何千万人もの平均的アメリカ人に共有されているのだ。
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「タッカー・カールソン・トゥナイト」はケーブル・ニュースの中で2番目に視聴率の高い番組である。9月、この午後8時のニュース討論番組の平均視聴者数は309万人だった。彼の提起する懸念は、毎夜、多くのアメリカ人の共感を呼んでいる。彼の仕事を攻撃し、否定するならば、それは、共感する何百万人ものアメリカ人を攻撃することになるのだ。つまり、既成のメディアがこうした懸念を消し去りたいと望んでいるかのように見える中で、国民はそのようなメディアの動きに気付いている、という構図だ。
ギャラップ社の最近の世論調査では、メディアが「完全に、正確に、公平に」報道していると信頼しているアメリカ人は、わずか34%であることが明らかになった。そして、民主党支持層の70%、共和党支持層の14%、無党派層の27%が第四の機関(ジャーナリズム)を信頼していると答えているのである。当然ながら、この70%の民主党支持層は、自分たちの大切な信念体系が毎晩カールソンによって暴露され、嘲笑されることを喜ばないし、彼らに忠実なメディアが民主党のために働く政治的プロパガンダ・マシンであることを暴露されることも望んでいないのである。
例えば、最近の「ブラック・ライブズ・マター(BLM)」運動について考えてみよう。ジョージ・フロイドが白人警官に殺された事件後、全米がリベラルの狂気に包まれ、正気を失った。西海岸から東海岸まで暴動が発生し、アメリカ国民はこの暴力的な運動(その後、この組織を設立したのは豪邸を買うためだった黒人の人々は別にして、間違いなく一人の黒人も助けたことのない詐欺であることが明らかになった)に賛同するだけではなく、警察への資金削減を支持することが期待されたのである。しかし、カールソンは、それを全く信じていなかった。
「この運動の目的はたくさんあるかも知れないし、その時、その時で目的が変わることもあるだろう。しかし、この運動の目的は、黒人の命を守ることでないことは間違いない。この運動が、あなたの側まできたときに、そのことを忘れないで。このままいけば、この運動は皆さんの近くに来ることになるだろうから」、とカールソンは言った。
「暴徒の怒りにさらされたことのある人なら、誰でもその気持ちを知っている」、と彼は続けた。「スズメバチに群がられたようなものだ。頭が働かなくなる。誘惑に負けてパニックになる。でも、パニックになってはいけない。もし弱みを見せたなら、やつらはあなた方を潰すだろう。」。彼は自身の体験談も語っていた。2018年、アンティファのデモ隊が彼の家を包囲し、家族を脅し、財産を破壊したのだ。
荒涼としたメディアにおけるカールソンの孤独な声は、大規模な反発を呼び、BLM運動にも数十億ドル規模で多額の投資をしている企業が彼の番組から広告を引き揚げ、既存メディアの襲撃部隊はすぐにFox Newsホストを冷血な差別主義者として描き出した。幸いなことに、カールソンには彼のメッセージに賛同する保守層が十分にあり、彼はその猛攻撃から生き延びることができた。
最近では、カールソンは、現在ウクライナとの激しい紛争に巻き込まれているウラジーミル・プーチンを「支持」しているとして、リベラル派の非難を浴びている。チンギス・ハーン以来、政治の世界でこのロシア大統領ほど悪者にされてきた人物はいない中で、カールソンは視聴者に簡単なことを尋ねた。「プーチンがこれほど直感的な憎しみの対象となるようなことを、個人的に行ったかどうかを考えてみてください」、と。
「この件は、かなり深刻になってきているので、自分自身に問いかけてみる価値はあるかもしれない。これは本当は何なのか?なぜ私はプーチンがそんなに嫌いなのか?プーチンは私を人種差別主義者と呼んだことがあるか?プーチンは私に人種差別主義者と言ったか?自分の住む町の中流階級の職をすべてロシアに移したか?彼は私のビジネスを破壊し、2年間私を屋内に閉じ込める世界的なパンデミックをでっち上げたのか?彼は私の子供たちに人種差別を受け入れるように教えているのだろうか?彼はフェンタニルを作っているのか?彼はキリスト教を消し去ろうとしているのだろうか?彼は犬を食べるのだろうか?いや、ウラジミール・プーチンはそんなことはしていない。」
カールソンは、ウラジーミル・プーチンが世界的な悪役として提示されていることについてよく考えるようリスナーに求めただけでなく、アメリカ国民の真の敵は、他でもない、ウラジーミル・ゼレンスキー大統領であると示唆した。しかし同大統領は、あらゆるメディアからへつらいの賞賛を受けている。
<関連記事>タッカー・カールソンは、ゼレンスキーが金を要求していると非難している。
米国とメキシコの国境が大きく開かれ、インフレが制御不能に陥っているときに、カールソンだけが、他の何百万ものアメリカ人も疑問に思っていることを、大胆にも問いかけた。「なぜ我々はまだその国に資金を提供しているのか?」 ロシアによるウクライナでの特別軍事作戦が始まって以来、アメリカとEUの同盟諸国はキエフに約1260億ドル相当の援助をしてきた。これはウクライナの2020年のGDP全体にほぼ等しい数字である。そして、日を追うごとに、ウクライナの指導者はさらなる要求を突きつけているようだ。ウクライナに送られる資金の多くは兵士の手に渡らないと報じられている中、無制限の支出によるインフレ圧力に対処しなければならないのはアメリカ国民である。このニュースに対して、ゼレンスキーはどう反応したのだろうか?カールソンは、このウクライナの指導者の言葉を引用した。「インフレなど何でもない。誰がインフレのことなど考えようか。そんなことは二の次だ」。二の次とは何の次のことなのだろう?自分の国からコートダジュール(南仏の保養地)に富を流出させることが先決だとでも言うのか?
「ウクライナの指導者たちは、もうそれを隠すこともなく、我々を完全に軽蔑している」、とカールソンは言う。「彼らはただ私たちのお金が欲しいだけなのです。米国を少しも気にしていない。これは民主主義の連帯などではない。これは詐欺だ」。
ところで、反ロシアの生々しいプロパガンダに汚染されていないという点で他にはないカールソンの仕事に対して、ロシアのテレビが賞賛の意を示したのは驚きではないだろうか?今週、ニューヨーク・タイムズ紙は、カールソンをはじめとする米国の保守派の声が、ロシアのさまざまなニュース放送で「内部ニュースのまとめ、原稿、放送の常連」になっているとする記事を掲載したばかりだ。どうやらこれは、クレムリンと共和党の間に存在するとされる邪悪な関係を改めて説明するためのものだったようだ。しかし実際にそれは、リベラル派がいかに必死になってカールソンとクレムリンを標的にし、民主党の政界進出を手助けしようとしているかを示しているに過ぎない。
既成のメディアもタッカーのような報道をし始めれば、間違いなく視聴率は底ばい状態から上がるだろう。しかし、過去20年間、アメリカの戦争で気に入らないものを報道したことがない既成メディアが、この代理戦争を批判することは絶対にないだろう。この戦争で、アメリカは、少なくとも数十億ドルの税金を失うだけだというのに。結局のところ、戦争屋の多くが信じたがっているように、ウクライナはソ連を崩壊させたとされるロシアの「アフガニスタン戦争」にされているのかもしれないし、アメリカがベトナム戦争で受けた屈辱的な敗北に相当するのかもしれないのだ。いずれにせよ、防衛産業は莫大な利益を得ることができるのだから、そんなことはどうでもよいのだ。
既成メディアが好むと好まざるとにかかわらず、タッカー・カールソンは、何百万人ものアメリカ人の真の懸念を代弁する、率直で正直な稀有な声であることに変わりはないが、既存のメディアはそれを記憶から消し去りたがっているのだ。
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