アメリカ軍事産業への中国の新たな制裁は、米軍に大きな損害を与える可能性がある
<記事原文 寺島先生推薦>
China’s new sanctions against American defence companies have the potential to cause major damage to the US military
RT 論説面 2020年10月26日
英国の作家であり、東アジアを中心とした政治と国際関係のアナリストであるトム・フォウディによる。
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>2020年12月15日

米国の台湾への武器販売について、北京は新たな制裁措置で警告した。今のところ、この動きは象徴的だが、中国が強硬な対処を望めば、制裁を受ける企業はサプライチェーンに大打撃を受ける可能性がある。
月曜日の午後、台湾への武器販売をめぐって、中国外務省は多くの米国企業および関係者に制裁を課すと発表した。ワシントンは先週、台湾に対して約50億ドル相当の記録的な武器販売を承認していた。
一覧表に載せられた企業には、ロッキード・マーティン社、ボーイング・ディフェンス社、レイテオン社が含まれ、「アメリカ軍事産業複合体」としばしば称される企業の中核に及んでいる。ただし、具体的な対策は何か、どうように実施されるのか、影響はどのようなものかについては明らかではない。
一見、これらの制裁はみせかけのように見える。それらの軍事企業は中国でのビジネスを求めてはいないため、アメリカ市場への影響はない。例外は、ボーイング社の民間部門だが、電子メールで、ボーイング社は中国市場に依然として関与していると述べている。
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A Russia-China military alliance would be a bulwark against America’s global imperialism. Is it time for Washington to panic?A Russia-China military alliance would be a bulwark against America’s global imperialism. Is it time for Washington to panic?
他方、そのような制裁が戦略的な意味を持たないということではない。第一に、中国は米国の国防兵器製造に必要な「レア・アース」資材で圧倒的な優位性を持っており、これらの制裁が実際に行われると、兵器製造のサプライチェーンは大きな影響を受ける可能性がある。
第二に、今回の措置がみせかけにすぎないとしても、米国の将来の行動に対して報復する可能性がある、という北京からの警告になる。
「レア・アース」とは何か?なぜそれらが重要なのか?レア・アースは、主に電子機器、車両、そしてもちろん軍事機器を含むあらゆる種類の製造に優先的に使用される17の物資を指す。
当然、これらの資源は、世界中の多くのサプライチェーンの基盤を形成している。中国はこの業界をほぼ完全に独占している。ある調査によると、中国は「世界のレア・アース酸化物の約85%、レア・アース金属、合金、永久磁石の約90%を生産している」とのことだ。 2018年には、アメリカのレア・アース輸入の80%までが中国からのものであった。ワシントンはこれを承知しており、不測の事態に懸命に備えようとしている。
これの戦略的意味は非常に明確だ。米軍は、中国から輸入した材料に大きく依存して、軍事機器を製造している。北京が望めば、これらの制裁は影響を受ける企業のサプライチェーンに大打撃を与える可能性がある。
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しかし、ワシントンがこの動きを大きなエスカレーションととらえ、ファーウェイ(Huawei)などの中国企業に対する厳しい報復を行うことを考慮すれば、北京が実際にそれを行うかどうかは、政治的意思の問題となる。このような動きは、特に選挙の準備段階では明らかに良い考えではなく、おそらく戦争に結びつくようなシナリオの最後の手段にすぎないであろう。そうであれば、この動きは中国が行う可能性があることについての「警告」、つまり中国は米国企業に対してより厳しく対応する準備ができているという証明、と理解する方がより正確かもしれない。
1か月前、中国は独自の「統一リスト」を公開した。これは、輸出企業のブラックリストだ。そのブラックリストに載せられている企業との貿易や輸出が禁止される可能性がある。その企業とは、中国の国家安全保障に対する脅威であると見なされた企業だ。中国のこの動きは、米国商務省が中国企業に対して以前行ったことを意図的に反映している。このリスト設定の目的は、中国企業を差別する国、あるいは中国企業の利益を損なう国に対して、自国市場を活用することだ。
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New American military base in Pacific would show how US-China cold war is heating up fast New American military base in Pacific would show how US-China cold war is heating up fast
これが、ボーイング・ディフェンス社をブラックリストの載せることの意味だ。その制裁措置は、商用航空機を供給し、中国で巨大なビジネスを行っているボーイング社の民間部門を慎重に回避している。しかし、ボーイング社が不可侵ではないという明確な警告だ。北京はCOMACC-919を含む独自の商用航空機を開発しようとしているため、さらに強行的になる可能性がある。
これらすべてを考慮すると、今回の米国兵器産業に対する中国の制裁は、実際には政策までに至っていないが、今後本格的に行うことも視野に入れているという表明である。北京はまだアメリカがレア・アースに依存している現状を利用するまでに至ってないが、中国が適切であると考えるとき、米国企業に対して制裁措置をとる準備があることを明確に示している。
一つには、台湾は、中国政府にとって大きなレッド・ラインだ。中国がその軍事演習で示したように、台湾が中国に対抗して前進しようとするならば、中国はいくつかの明確な結末を示さなければならない。しかし、極端に不安定になる手段に頼ることはない。
北京はツールキット(工具セット)を準備しており、特に必要な場合には、それを使う用意があることを我々に知らせたいと考えている。これらの陳列された制裁は、さまざまな方法で本物の牙となる可能性がある。我々は今後注視する必要がある。
China’s new sanctions against American defence companies have the potential to cause major damage to the US military
RT 論説面 2020年10月26日
英国の作家であり、東アジアを中心とした政治と国際関係のアナリストであるトム・フォウディによる。
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>2020年12月15日

米国の台湾への武器販売について、北京は新たな制裁措置で警告した。今のところ、この動きは象徴的だが、中国が強硬な対処を望めば、制裁を受ける企業はサプライチェーンに大打撃を受ける可能性がある。
月曜日の午後、台湾への武器販売をめぐって、中国外務省は多くの米国企業および関係者に制裁を課すと発表した。ワシントンは先週、台湾に対して約50億ドル相当の記録的な武器販売を承認していた。
一覧表に載せられた企業には、ロッキード・マーティン社、ボーイング・ディフェンス社、レイテオン社が含まれ、「アメリカ軍事産業複合体」としばしば称される企業の中核に及んでいる。ただし、具体的な対策は何か、どうように実施されるのか、影響はどのようなものかについては明らかではない。
一見、これらの制裁はみせかけのように見える。それらの軍事企業は中国でのビジネスを求めてはいないため、アメリカ市場への影響はない。例外は、ボーイング社の民間部門だが、電子メールで、ボーイング社は中国市場に依然として関与していると述べている。
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第二に、今回の措置がみせかけにすぎないとしても、米国の将来の行動に対して報復する可能性がある、という北京からの警告になる。
「レア・アース」とは何か?なぜそれらが重要なのか?レア・アースは、主に電子機器、車両、そしてもちろん軍事機器を含むあらゆる種類の製造に優先的に使用される17の物資を指す。
当然、これらの資源は、世界中の多くのサプライチェーンの基盤を形成している。中国はこの業界をほぼ完全に独占している。ある調査によると、中国は「世界のレア・アース酸化物の約85%、レア・アース金属、合金、永久磁石の約90%を生産している」とのことだ。 2018年には、アメリカのレア・アース輸入の80%までが中国からのものであった。ワシントンはこれを承知しており、不測の事態に懸命に備えようとしている。
これの戦略的意味は非常に明確だ。米軍は、中国から輸入した材料に大きく依存して、軍事機器を製造している。北京が望めば、これらの制裁は影響を受ける企業のサプライチェーンに大打撃を与える可能性がある。
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しかし、ワシントンがこの動きを大きなエスカレーションととらえ、ファーウェイ(Huawei)などの中国企業に対する厳しい報復を行うことを考慮すれば、北京が実際にそれを行うかどうかは、政治的意思の問題となる。このような動きは、特に選挙の準備段階では明らかに良い考えではなく、おそらく戦争に結びつくようなシナリオの最後の手段にすぎないであろう。そうであれば、この動きは中国が行う可能性があることについての「警告」、つまり中国は米国企業に対してより厳しく対応する準備ができているという証明、と理解する方がより正確かもしれない。
1か月前、中国は独自の「統一リスト」を公開した。これは、輸出企業のブラックリストだ。そのブラックリストに載せられている企業との貿易や輸出が禁止される可能性がある。その企業とは、中国の国家安全保障に対する脅威であると見なされた企業だ。中国のこの動きは、米国商務省が中国企業に対して以前行ったことを意図的に反映している。このリスト設定の目的は、中国企業を差別する国、あるいは中国企業の利益を損なう国に対して、自国市場を活用することだ。
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これが、ボーイング・ディフェンス社をブラックリストの載せることの意味だ。その制裁措置は、商用航空機を供給し、中国で巨大なビジネスを行っているボーイング社の民間部門を慎重に回避している。しかし、ボーイング社が不可侵ではないという明確な警告だ。北京はCOMACC-919を含む独自の商用航空機を開発しようとしているため、さらに強行的になる可能性がある。
これらすべてを考慮すると、今回の米国兵器産業に対する中国の制裁は、実際には政策までに至っていないが、今後本格的に行うことも視野に入れているという表明である。北京はまだアメリカがレア・アースに依存している現状を利用するまでに至ってないが、中国が適切であると考えるとき、米国企業に対して制裁措置をとる準備があることを明確に示している。
一つには、台湾は、中国政府にとって大きなレッド・ラインだ。中国がその軍事演習で示したように、台湾が中国に対抗して前進しようとするならば、中国はいくつかの明確な結末を示さなければならない。しかし、極端に不安定になる手段に頼ることはない。
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