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ジャスティン・カーゼル『アサシン クリード』
先日、少しTwitterでもつぶやいたが、映画『アサシン クリード』の先行上映会にいく機会があったので参加してきた。開催したのは映画の原作となるゲーム「アサシン クリード」シリーズを開発しているユービーアイソフト。
普段あまりゲームに縁がない方は知らないだろうが、実はこの原作のゲームがなかなか良シリーズなのである。
主人公は中世ヨーロッパに暗躍したアサシン(暗殺者)の子孫という設定。そして主人公はアニムスと呼ばれる遺伝子記憶を追体験する装置により、過去の世界でアサシンの活動を体験していく。
つまりゲームプレイは、この過去の時代でのさまざまな暗殺ミッションがメインとなる。あるときは屋根を駆け回り、あるときは壁をつたい登り、またあるときは高所からのダイビング。しかし、ここぞというときには人混みや風景に紛れ、アサシンブレードを利用してターゲットを瞬殺する。まさにアサシン。
このパルクール的なアクションと人目を忍ぶステルス性アクション、二つの要素を併せ持つのが、シリーズ最大の魅力であり、特色なのだ。
そんなシリーズの実写映画化ということで、最初はやや不安な部分もあった。
なんせゲームの実写映画化といえば、だいたいは悲惨な結果になることが多いのが定説。「バイハザード」シリーズや「トゥームレイダー」シリーズ」は比較的いい方だと思うが、基本、原作との関係性がかなり希薄になってしまうものが多く、そういうのは原作のネームバリューだけを必要としているのであって、原作へのリスペクトなどが感じられないのはやはり観ていて不快である。
さあ、その点、本作はどうだろう、というのがやはり大きな見どころ。
監督はジャスティン・カーゼル、主役はX-メンシリーズのマグニートー役でおなじみマイケル・ファスベンダーという布陣だ。
人間の自由意志をコントロールするという秘密が込められた”エデンの果実”。それを手に入れるため、中世ヨーロッパでは二つの組織の間で、長年にわたって争いが繰り広げられてきた。
組織の一方は、”エデンの果実”によって人類全体をコントロールしようとするテンプル騎士団。もう一方は、人間の自由意志を重んじ、あくまで”エデンの果実”を封印しておこうとするアサシン教団である。
ときは2016年。アブスターゴ財団のリッキン博士は、死刑囚カラム・リンチを獲得し、自らが開発した遺伝子記憶の追体験装置「アニムス」にカラムを接続させる。
カラムこそマスターアサシンとして暗躍したアギラールの子孫であり、アギラールは歴史上”エデンの果実”に最も近づいた男ともいわれ、アブスターゴ財団は彼に記憶を追体験させることで、”エデンの果実”の在処を知ろうと企んでいた。アブスターゴ財団こそテンプル騎士団が設立した多国籍複合組織であり、”エデンの果実”による人類支配をいまなお企てていたのである……。
なるほど。ドラマの部分はあくまで現代で進め、アクションシーンはほぼ中世で展開し、役目を切り分けているというのは、原作のゲームシステムをうまく反映させている。
それほど複雑なものではないとはいえ、二つの時代の因果関係をちゃんと一本のストーリーに集約させているのもお見事。このあたり、やりすぎてグダグダになる作品も多いので。
ストーリがそこそこしっかりしてくれれば、あとは本作最大のウリ、アクションシーンがどれだけ堪能できるかというところである。その点、パルクールを彷彿とさせるアクションは素晴らしい。
パルクールとは障害物を越えながら目的地に効率的に移動することを目的としたスポーツ。壁や障害物、屋根をとにかく躊躇せず超えてゆく。立ち止まって越え方を考えたりしないところが素晴らしく、それだけに危険だが魅力もあるわけで、中世スペインの街なみで繰り広げられるアクションはまさに目を奪われんばかり。
惜しいのはステルス系アクションについてはほとんど見せ場がないところ。まあ、あるにはあるのだが見せ方が弱くて、これは日本の必殺仕事人シリーズをぜひ参考にしてほしいぐらいである(笑)。ま、これは次作の課題といえるだろう。
ともあれトータルでは予想以上の良作であった。ゲームの映画化ベストテンなどがあれば、まずトップグループ入りは間違いなかろう。
ちなみにラストは続編のやる気満々な感じであったが、本作で現代におけるテンプル騎士団とアサシン教団の対立構造が明確になってしまったので、今後のストーリーはちと気になるところである。
普段あまりゲームに縁がない方は知らないだろうが、実はこの原作のゲームがなかなか良シリーズなのである。
主人公は中世ヨーロッパに暗躍したアサシン(暗殺者)の子孫という設定。そして主人公はアニムスと呼ばれる遺伝子記憶を追体験する装置により、過去の世界でアサシンの活動を体験していく。
つまりゲームプレイは、この過去の時代でのさまざまな暗殺ミッションがメインとなる。あるときは屋根を駆け回り、あるときは壁をつたい登り、またあるときは高所からのダイビング。しかし、ここぞというときには人混みや風景に紛れ、アサシンブレードを利用してターゲットを瞬殺する。まさにアサシン。
このパルクール的なアクションと人目を忍ぶステルス性アクション、二つの要素を併せ持つのが、シリーズ最大の魅力であり、特色なのだ。
そんなシリーズの実写映画化ということで、最初はやや不安な部分もあった。
なんせゲームの実写映画化といえば、だいたいは悲惨な結果になることが多いのが定説。「バイハザード」シリーズや「トゥームレイダー」シリーズ」は比較的いい方だと思うが、基本、原作との関係性がかなり希薄になってしまうものが多く、そういうのは原作のネームバリューだけを必要としているのであって、原作へのリスペクトなどが感じられないのはやはり観ていて不快である。
さあ、その点、本作はどうだろう、というのがやはり大きな見どころ。
監督はジャスティン・カーゼル、主役はX-メンシリーズのマグニートー役でおなじみマイケル・ファスベンダーという布陣だ。
人間の自由意志をコントロールするという秘密が込められた”エデンの果実”。それを手に入れるため、中世ヨーロッパでは二つの組織の間で、長年にわたって争いが繰り広げられてきた。
組織の一方は、”エデンの果実”によって人類全体をコントロールしようとするテンプル騎士団。もう一方は、人間の自由意志を重んじ、あくまで”エデンの果実”を封印しておこうとするアサシン教団である。
ときは2016年。アブスターゴ財団のリッキン博士は、死刑囚カラム・リンチを獲得し、自らが開発した遺伝子記憶の追体験装置「アニムス」にカラムを接続させる。
カラムこそマスターアサシンとして暗躍したアギラールの子孫であり、アギラールは歴史上”エデンの果実”に最も近づいた男ともいわれ、アブスターゴ財団は彼に記憶を追体験させることで、”エデンの果実”の在処を知ろうと企んでいた。アブスターゴ財団こそテンプル騎士団が設立した多国籍複合組織であり、”エデンの果実”による人類支配をいまなお企てていたのである……。
なるほど。ドラマの部分はあくまで現代で進め、アクションシーンはほぼ中世で展開し、役目を切り分けているというのは、原作のゲームシステムをうまく反映させている。
それほど複雑なものではないとはいえ、二つの時代の因果関係をちゃんと一本のストーリーに集約させているのもお見事。このあたり、やりすぎてグダグダになる作品も多いので。
ストーリがそこそこしっかりしてくれれば、あとは本作最大のウリ、アクションシーンがどれだけ堪能できるかというところである。その点、パルクールを彷彿とさせるアクションは素晴らしい。
パルクールとは障害物を越えながら目的地に効率的に移動することを目的としたスポーツ。壁や障害物、屋根をとにかく躊躇せず超えてゆく。立ち止まって越え方を考えたりしないところが素晴らしく、それだけに危険だが魅力もあるわけで、中世スペインの街なみで繰り広げられるアクションはまさに目を奪われんばかり。
惜しいのはステルス系アクションについてはほとんど見せ場がないところ。まあ、あるにはあるのだが見せ方が弱くて、これは日本の必殺仕事人シリーズをぜひ参考にしてほしいぐらいである(笑)。ま、これは次作の課題といえるだろう。
ともあれトータルでは予想以上の良作であった。ゲームの映画化ベストテンなどがあれば、まずトップグループ入りは間違いなかろう。
ちなみにラストは続編のやる気満々な感じであったが、本作で現代におけるテンプル騎士団とアサシン教団の対立構造が明確になってしまったので、今後のストーリーはちと気になるところである。
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