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J・J・エイブラムス『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』
舞台はエピソードVI、ジェダイの復活から三十年後の世界。銀河帝国の残党により組織された「ファースト・オーダー」が、再び銀河の平和を脅かそうとしていた。レイア将軍は独自の軍事組織「レジスタンス」を結成し、新共和国の支援を受けつつ、ファースト・オーダーに立ち向かおうとしていた。そのためには唯一のジェダイであるり、レイアの双子の兄ルークの力が欠かせなかったが、ある理由からルークは消息不明となっていた。
そんなときレジスタンスのポーは砂漠の惑星ジャクーでルークの所在を示した地図を手に入れる。しかしファースト・オーダーに捕らえられそうになったため、ドロイドのBB-8に地図を託すのだが……。
以上は序盤中の序盤の展開。このあと物語はレジスタンスとファースト・オーダーの地図をめぐっての争奪戦という流れになるのだが、その過程で懐かしの面々が再登場し、新たなキャラクターがどのようなカギを握っているかが明らかになってくるという按配である。
この旧メンバーと新メンバーの比重がまずまず成功しており、新しいファンでも何とかついていけるかという感じ。細かいくすぐりをここかしこに盛り込むなど、世界観はきっちりと継承し、スタッフがシリーズの過去作品に相当気を遣っていることがわかる。
ただ、気を遣いすぎたのかどうか知らないが、思い切ったチャレンジはそれほどやっておらず、そういう意味での物足りなさは残る。
特にストーリーにそれが顕著で、要素を分解すると見事にエピソードIVの焼き直しである。歴史は繰り返すというが、こんな形で繰り返してはいかんだろう。序盤が砂漠のシーンでスタートすること、主人公のフォース覚醒、酒場での出会い、ダークサイドとの対決、デススターならぬキラースターの攻略などなど多数。少なくともこれではストーリーから刺激を受けることは難しい。
リスペクトもあるだろう。ファンの期待を裏切らないことは確かに重要だ。スタッフもいろいろ悩んだ上でのことだとは思うが、それでも無難に作った感はどうしても拭えないのである。
変に思い入れがない人はむしろ楽しめる作品なのだが、ううむ、難しいなこれは。
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Comments
Star Warsga
今年もよろしくお願いします。
観ていないので、本作については何もいえませんが、"Star Wars"に関する思いを…ちょっとだけ長くなります。
私は、初期3作までしか観ておりません。CGがSFXのメインになって以降は、興味を失ってしまいたました。
初期の作品もデジタルで再処理されたみたいでしたが、そうなってしまうと、「特撮」の醍醐味は薄れてしまって、ドキドキすることがなくなってしまったようです。
高校1年のときの第一作を観てどっぷりと浸かり、"Star Wars"がなければ、映像の仕事をすることはありませんでした。あんな映像を作ってみたい、特撮に関わりたいと思い続けて映像の仕事につくことになりました。
そう思っていたら、今はもうルーカスは全く関係してないということを知りました。
自分の思いと感性のすり減りをあらためて痛感しております。
Posted at 22:08 on 01 04, 2016 by Ksbc
少佐さん
>でもスター・ウォーズってもともとストーリーの基本線はぜんぶいっしょじゃないすか?w
まあ、程度問題ですよね。VIIを観るためにエピソードIVからVIまでわざわざ年末に予習しておいたのですが、それが裏目に出ました。
デススター壊すエピソードなんて、この一週間でこれで3回見ましたから(苦笑)。しかも毎回倒し方も同じで、なんでこんなに同じクライマックスばかりにするんでしょうか。これに関してはスタッフ頭悪すぎでしょう。結局、従来のファンやルーカスサイドに遠慮しすぎて設定で弾けることができなかったんでしょうね。
映像的にはハッとするシーンも多かったと思うので(特にミレニアムファルコンは宇宙以外での飛行シーンが多くてかっこよかったですね)、次はなんとか頑張って盛り返してほしいものです。でもルークの運命が心配ですが(苦笑)。
Posted at 23:03 on 01 03, 2016 by sugata
Ksbcさん
映像関係の方の感想はまた視点が違っていていいですね。特撮とSFX、それぞれの魅力があるでしょうが、絵的には今作は悪くないかなと思っています。厳密なところは素人にはわかりませんが、自然を生かしたシーンが比較的多くて、その点は好印象でした。
まあ、ストーリーには私も批判的なのですが(苦笑)。
Posted at 23:55 on 01 04, 2016 by sugata