■ 第23節J2の第23節。10勝4敗8分けで勝ち点「38」のジェフ千葉と、14勝1敗7分けで勝ち点「49」のガンバ大阪がフクダ電子アリーナで対戦した。千葉は徳島(A)、東京V(H)、富山(A)に勝利して3連勝中と調子を上げてきた。一方のG大阪は日本代表に召集されていたMF遠藤とMF今野が戻って来て、22節のFC岐阜戦はJ2の新記録となる8ゴールを挙げるなど、攻撃陣が好調で首位を走っている。
ホームの千葉は「4-2-3-1」。GK岡本。DF米倉、キム・ヒョヌン、山口智、高橋峻。MF伊藤大、佐藤健、田中佑、大塚、谷澤。FWケンペス。攻撃的なポジションの選手に怪我人が続出しており、MF兵働とMF深井はベンチ外となった。FWケンペスは得点ランキングでトップタイとなる13ゴールを挙げている。守備の要のDF山口智とトップ下のMF大塚の2人は古巣との対決となった。
対するアウェーのG大阪は「4-2-3-1」。GK藤ヶ谷。DF加地、岩下、丹羽、藤春。MF遠藤、今野、阿部、二川。FWパウリーニョ、平井。13ゴールを挙げているFWレアンドロが6月末で契約満了となって、7ゴールを挙げているMF倉田も怪我で長期離脱中と苦しい台所事情のG大阪はFWパウリーニョとFW平井の2トップとなった。FWパウリーニョは5ゴール、FW平井は4ゴールを挙げている。
■ 3対0で千葉が勝利!!!試合の立ち上がりはアウェーのG大阪ペースとなって、前半11分にはMF遠藤のパスを受けたFWパウリーニョが得意の左足で強烈なシュートを放つが、クロスバー直撃で先制ならず。すると、直後の前半12分にMF大塚のスルーパスを受けた右SBのDF米倉が最終ラインの裏に抜け出して、最後は鮮やかなループシュートを決めて劣勢だった千葉が先制に成功する。DF米倉は今シーズン3ゴール目となった。
さらに前半23分には左サイドでDF高橋峻が粘ってボールを保持して前方のMF大塚にパスを送ると、MF大塚が右足で強烈なシュートを決めて2対0とリードを広げる。G大阪の下部組織出身のMF大塚は今シーズン2ゴール目で、初の古巣対決で1ゴール1アシストという活躍を見せた。その後、G大阪も何度か決定機を作るが、ゴールを奪うことはできない。前半は2対0と千葉がリードして折り返す。
後半になると、ボランチのMF遠藤が積極的に前方に飛び出すようになって、G大阪が攻撃を行う時間が長くなるが、後半13分に千葉が左サイドでFKを得ると、MF伊藤大のボールにDF山口智が合わせてダメ押しの3ゴール目を奪う。DF山口智は今シーズン3ゴール目で、こちらも古巣相手にゴールを決めた。結局、試合は3対0でホームの千葉が勝利して4連勝を飾った。一方のG大阪は今シーズン2敗目となった。
■ 古巣対決となる大塚が大活躍チケットは2009年のFC東京以来というソールドアウトで、15,982人で埋まった昇格候補同士の対決は、3対0という意外なスコアで千葉が勝利した。ここ最近、怪我人が多く出ているので、鈴木監督はメンバーのやり繰りに苦労しているが、G大阪の下部組織出身で年代別代表でも活躍してきた23歳のMF大塚が1ゴール1アシストと大活躍を見せて、この試合のヒーローとなった。
MF大塚は2006年にアジア制覇を成し遂げたU-16日本代表でフォワードの軸としで活躍した選手である。このときは現甲府の城福監督がチームを率いており、C大阪のFW柿谷や鳥栖のMF水沼らが攻撃の中心を担ったが、MF大塚も欠かせない戦力だった。高校年代のときは将来を嘱望されていたが、G大阪のトップチームに上がってからは出場機会を得ることはできなくて、2012年3月に千葉にレンタル移籍することになった。
結局、昨オフにG大阪から千葉に完全移籍することになったが、古巣を相手にこれ以上ないほどの鮮やかな活躍を見せた。フォワードでプレーすることが多かったが、オールラウンド型の選手で、際立つ武器がなかったので、層の厚いG大阪の攻撃陣の中で埋没していたが、ここ最近、千葉ではトップ下で起用されており、ドリブルも、パスも、シュートも、何でもこなす万能性でチームに貢献している。
■ 右SBで活躍するDF米倉先制ゴールを挙げたのは右SBのDF米倉だったが、この場面は、DFキム・ヒョヌン→MF田中佑→MF大塚→DF米倉とテンポよくパスが回って、完全に守備陣を崩した。最後のDF米倉の飛び出しも、MF大塚のスルーパスも、DF米倉のループシュートも全て完璧で、相手のG大阪のお株を奪うような見事なパスワークから先制ゴールを奪って、試合の主導権を握ることができた。
それにしても、ここ最近は、DF米倉のところからゴールが生まれるシーンが目立っていて、4連勝の立役者の1人と言える。ここ数年は右サイドハーフでプレーする機会が多かったが、シーズン途中に右SBにコンバートされて、新しいポジションで新たな一面を見せている。DF大岩やDF高橋峻がいるので、DF米倉を右SBにコンバートするというのは、なかなか予想のできないことだったが、見事にハマっている。
DF米倉は身体能力の高い選手であるが、1対1の守備でもマッチアップする選手を封じることが多くて、攻撃的な良さを発揮しつつ、守備でも力を見せている。チーム生え抜きの期待のアタッカーなので、「2列目で攻撃の中心となって、たくさんのゴールに絡むこと。」を期待しているサポーターが多いと思うが、ここ最近は、右SBでチームのストロングポイントになっている。
チームとしても、この勝利で得た勢いを持続させて、G大阪と神戸の2チームを追いかけていきたいところである。もちろん、6位以内であればプレーオフに進むことができるが、プレーオフは一発勝負なので、勝ち抜いてJ1昇格の切符を手にするのは、かなり大変であり、その難しさは千葉の選手やサポーターが、一番、良く分かっていると思うので、自動昇格となる2位以内に入って、J1復帰を決めたいところである。
■ 今シーズン2敗目となったG大阪一方のG大阪は13節の神戸戦(A)以来の敗戦で、今シーズン2敗目となった。14節以降の9試合は8勝1分けという好成績で、独走しそうな気配もあったが、ブレーキがかかった。前半の決定機の数は同じくらいで、G大阪の攻撃も悪くなかったが、チャンスを確実にゴールに結びつけた千葉とは対照的に、G大阪はMF阿部やFW平井のシュートが惜しいところで決まらなかった。
この日のフクアリは超満員で、相変わらず、G大阪戦の入りは凄まじいものがあるが、15,982人という大観衆は千葉に追い風となった。地方のクラブでJ1昇格経験の無いチームの場合、G大阪戦が一大イベントのような雰囲気になって、「G大阪がやってくる。」とお祭り騒ぎのようになるが、大観衆の前でプレーすることに慣れていない選手が多いので、異様な雰囲気がマイナスに働いてしまう。
この微妙な心理というのは、今シーズンのG大阪が完全アウェーの試合でも結果を残している理由の1つと言えるが、千葉の場合、経験豊富な選手が多いので、大観衆で埋まったとしても、変なプレッシャーを感じることはないので、マイナスでなくて、プラスのエネルギーに変えることができた。久々にフクアリが熱気を帯びていたが、離れつつあったサポーターを、再び、引き寄せる試合になるかもしれない。
G大阪は力のあるチームで、さらに3位以下との差はまだまだ大きいので、G大阪が2位以内に入って昇格を決めるのは、間違いないと思うが、神戸と千葉というJ2の中では規模が大きくて、J1経験の豊富なクラブにアウェーで負けているのは、気になることである。初挑戦のJ2で、格下相手に確実に勝利している点は見事であるが、昇格候補と言われるチームとの対戦は勝ちきれていないことが多い。
当然、J1復帰というのが、今シーズンのG大阪の目標となるが、G大阪には高いレベルが求められるので、今度、J1に戻ったときは、1年目から優勝争いに絡むことが期待される。そのためには、J2で勝つだけではなくて、J1でも優勝争いができるレベルにチーム力を引き上げる必要があるが、こういう試合を見ると、「J1で17位になった2012年とあまり変わっていないのではないか?」という疑念も生まれてくる。
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