■ 第12節J2の第12節。4勝1敗とまずまずのスタートを切ったジェフ千葉がファジアーノ岡山の対戦。岡山は第11節で草津を2対1で下して今シーズン初勝利を挙げた。ここまでは1勝2敗2分けで勝ち点「5」を稼いでいる。前節は、共に後半のロスタイムに決勝ゴールを決めて勝利をつかんだ。
ホームの千葉は<4-2-3-1>。GK岡本。DF山口慶、竹内、ミリガン、坂本。MF佐藤勇、伊藤、青木孝、米倉、深井。FWオーロイ。MFファン・ゲッセル、MFマット・ラム、MF村井らがベンチスタート。トップ下のMF米倉はここまで3ゴールを挙げている。
対するアウェーの岡山は<3-6-1>。GK真子。DF後藤、ストヤノフ、近藤。MF竹田、千明、澤口、一柳、臼井、妹尾。FWチアゴ。MF金民均、MF岸田はベンチスタート。DFストヤノフは古巣との対戦となった。FWチアゴは2試合連続スタメン。10節の栃木SC戦は途中出場ながら2ゴールを挙げている。
■ ジェフ千葉が2対1で逆転勝利試合は立ち上がり早々に岡山が左サイドからセットプレーを獲得。DFストヤノフが右足で巻いたボールを蹴るとファーサイドのFWチアゴが頭で決めてアウェーの岡山が先制する。FWチアゴは今シーズン3ゴール目。
ビハインドの千葉は岡山にうまく守られてチャンスを作れなかったが、前半35分過ぎにセットプレーからチャンスを作る。最初のMF米倉のシュートはポストに当たるが、こぼれたボールをMF太田圭がシュート。「同点ゴール!」と思われたが、ゴールライン上で倒れていたDFストヤノフが手を出して止めてシュートを防ぐ。
当然のことながら、DFストヤノフにはレッドカードが提示されて一発退場。そのPKをMF深井が落ち着いて決めて同点に追いつく。MF深井は今シーズン3ゴール目。前半は1対1で折り返す。
後半は、数的優位の千葉が優勢。岡山はDFストヤノフの退場のあとは、ボランチのMF竹田を最終ラインに下げて3バックを継続していたが、後半の最初から、MF竹田をボランチに戻して4バックで対応。千葉はMF米倉らが何度もチャンスを作るが、岡山のGK真子もビッグセーブを連発してゴールならず。
試合は1対1のままで進んで「引き分け」も見え始めていたロスタイムに、千葉が左のコーナーキックを獲得。MF伊藤が右足で蹴ったボールをファーサイドのDF竹内がヘディングで決めて2対1と逆転に成功する。DF竹内はプロ初ゴール。試合は、そのまま2対1で終了。千葉は今シーズン5勝目を挙げた。
■ またしてもロスタイム弾11節のガイナーレ鳥取戦に続いて、後半のロスタイムにコーナーキックから決勝ゴールを奪ったジェフ千葉は、これで3連勝。10節の愛媛FC戦も後半ロスタイムのMF深井のゴールで勝利をつかんだので、これで3試合連続で後半ロスタイムに決勝ゴールを奪ったことになる。一歩間違えると、3試合で勝ち点「3」だったことを考えると、危うい気もするが、苦しだとはいえ、3試合で勝ち点「9」を奪えたのは非常に大きい。
J2からJ1に昇格するには、スタートダッシュが非常に大事であり、ここ最近で、スタートで躓きながらも昇格を果たしたチームは2007年の東京ヴェルディくらいである。6試合で勝ち点「15」というのは見事な数字であり、目標の昇格に向けて順調なスタートとなった。
2009年にJ1に昇格した湘南ベルマーレもロスタイム弾が非常に多かったが、当時、反町監督はこの点に関して、「偶然ではない。」とはっきりと言っていたが、確かに「まぐれ」という言葉だけでは片づけられない。試合内容については、まだしっくりはきていないが、ムードは非常にいい。
■ FWオーロイは不発気になるのは、FWオーロイがなかなかシュートを打ててないことである。最初の2試合で3ゴールを奪ったが、ここ最近はマークも厳しくて自由を与えられておらず、決定的なシュートすら打てていない。
「おとり役」としては抜群の存在感を示しているので、FWオーロイがいるのと、いないのでは大きな差が出るのは確実であるが、サイドからいいクロスが上がってきても、落下点に入れずに相手にクリアされることが多くなっている。クロスの精度はそれほど悪くはないが、やはり運動量が少なくて、スピードが無いので、得意のヘディングシュートまで持っていけなくなっている。
現状では、MF米倉とMF深井が3ゴールを挙げていて、周りの選手がシュートまでいけているので、大きな問題になってはいないが、心配な要素であり、FC東京を見ると、「FWオーロイの対策は不可能。」と思われたが、なかなかどうして、J2のDFもよく頑張っていて、204㎝のFWオーロイに対抗している。
■ DF竹内彬が決勝ゴール決勝ゴールは名古屋グランパスから加入のDF竹内だった。日本代表でレスターのMF阿部勇樹がフクアリに観戦に訪れている試合で、MF阿部を思い起こさせるような、見事なヘディングシュートを決めて見せた。
DF竹内は名古屋で5年間プレーしており、ストイコビッチ監督の1年目のシーズンはレギュラーポジションもつかんえいたのでちょっと意外だったが、これが「プロ初ゴール」ということで、記念すべきゴールになった。守備でも非常に落ち着いてプレーしており、レギュラーの座もグッと引き寄せた。
DF竹内も、DFミリガンも180㎝なので、最終ラインの高さ不足が気がかりで、この試合も192㎝のFWチアゴにヘディングでやられてしまったが、アグレッシブな守備を見せており、貴重な戦力になっている。
■ 岡山はロスタイムで失点一方で、岡山も、ここ2試合連続で後半終了間際にゴールを奪って勝ち点をつかんでいたが、この日は逆にロスタイムに失点して、勝ち点「1」を失ってしまった。10人になってからも集中して守っており、勝ち点「1」でも取れていれば、選手たちも自信になっていたと思われるので、悔しい失点だったといえる。
決勝ゴールのシーンで、DF竹内のマークに付いていたのはMF一柳だったが、この試合は、MF一柳が非常にいいプレーを見せており、守備だけでなく、攻撃でも効いていたので、ちょっと皮肉な結果になってしまった。ロングスローを含めて、前半の失点シーン以外はちゃんと守れていたが、最後のところで防ぎきれなかった。
岡山はもともと高さのあるチームで、DF近藤が187㎝、DF後藤が183㎝、DFストヤノフは182㎝で、MF一柳も183㎝。DFストヤノフは退場になったので最後のシーンでピッチにはいなかったが、後半の終了間際に188㎝のDF植田も投入し「対策は万全」と思われたが、なかなか思い通りにはいかなかった。
■ FWチアゴが3ゴール目岡山は、攻撃も悪くはなかった。前半35分で10人になったので、シュートまで持ち込めない時間帯もあったが、しっかりとパスも回っており、3バックのときも、4バックのときも、決して出来は悪くなかった。この試合はMF岸田がスタメンから外れて、MF妹尾とMF臼井をスタメンで起用してきたが、この二人のプレーの質が高くて、ドリブルと運動量が目立っていた。
期待のFWチアゴも、セットプレーからヘディングでゴールを記録。192㎝の高さはさすがに脅威であり、動きが重たいように感じられるシーンもあるが、キープ力もあるので、コンディションが上がっていけば、待望のエースストライカーになりうる選手である。
■ 3バックか?4バックか?岡山は、DFストヤノフが退場になった後、3バックを継続する or 4バックに変更する、という2つの選択肢があって、どうするのだろう?と思ったが、結局、前半の残り10分ほどは「3バック」で、後半開始から「4バック」となった。
岡山は、3バックであるが、5バックに近い3バックで、DFストヤノフが抜けたとしても、そのままDF澤口、DF後藤、DF近藤、DF一柳という「4バック」に移行できる。もともと、DFストヤノフが自由にプレーするタイプなので、彼が攻撃に参加してもバランスを崩れないような構成になっていても不思議ではないが、改めて、面白いチャレンジをしているチームだということを感じさせられた。
どうしても、岡山のサッカーを見ていると、両ウイングバックに目が行ってしまうので、「もう少し人選に工夫があったら面白いな。」と感じるが、DFストヤノフという選手を生かそうとすると、これがベストなのかなとも思ってしまう。
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