■ 高校サッカー 12月31日に行われた高校サッカー選手権の1回戦。愛知代表の中京大中京高校と、京都代表の久御山高校の試合。14:10キックオフでニッパツ三ツ沢球技場で行われた試合である。
中京大中京は昨年の大会え神村学園に2対10で惨敗したリベンジも燃える。プレミアリーグのアーセナル入りが決定したFW宮市亮が注目の選手。
■ 久御山が4ゴール試合は前半10分にFW宮市が左サイドを突破し左足でクロスを上げると、フリーのFW竹野が決めて中京大中京が先制。しかし、前半16分に久御山は左サイドからFW坂本がシュートを放つと、FW鍋野がうまくゴール前で合わせて同点に追いつく。中京大中京は前半20分にFW宮市が左サイドからワンツーで抜け出してシュート。これが決まって2対1と勝ち越しに成功する。前半は2対1の中京大中京のリードで終了する。
後半は久御山のペースとなる。まず後半3分にFW鍋野が強引なドリブルからゴール前に侵入し、味方のシュートのこぼれ球を押し込んで同点に追いつくと、後半14分にもFW安川がうまく裏に向けだしてゴール。3対2と逆転に成功する。その後、後半21分にもMF林がミドルシュートを決めて4対2とリードを広げる。
結局、4対2で久御山が勝利し、2回戦に進出。一方の中京大中京は初戦敗退が決定。FW宮市は1ゴール1アシストの活躍も、高校最後の大会を飾ることは出来なかった。
■ 久御山が逆転勝利立ち上がりからFW宮市のスピードに手を焼いて劣勢だった久御山だったが、前半16分に高い位置でボールを奪って1対1の同点に追いつくとリズムを取り戻すと、後半に3ゴールを挙げて勝利を飾った。中京大中京の守備がそれほどタイトではなかったことも幸いし、中盤でフリーになる選手が多く、細かいパス回しが冴えて、いい形で4つのゴールを奪った。
ヒーローとなったのは2ゴールを挙げたFW鍋野。1点目のシュートはゴール前にいいタイミングで侵入し、FW坂本のシュートに合わせてファインゴールだった。前半10分に先制ゴールを奪われて苦しい展開だったが、このゴールが不安定だったチームを救う価値あるものとなった。
■ 初戦敗退の中京大中京 一方の中京大中京は守備がルーズだった。<4-1-2-3>的な布陣で、フィールドをいっぱいに使った攻撃的なサッカーを目指す意図は感じられたが、選手間の距離が広くて、中盤で相手を自由にさせ過ぎてしまった。昨年は10失点で今年も4失点。全国で勝ち抜くには守備が甘かった。
ただ、タレントは豊富で、FW宮市以外にも、背番号10のMF浜田康寿や1年生のMF藤橋弘貴は非常に面白い選手であり、クラブユースの場合、チームの勝敗以上にどれだけのタレントを輩出できるかが評価の対象となるが、同じ目線で見ると、全国では結果は残せなかったが、中京大中京の方針も悪くはない。
■ アーセナル・宮市亮の可能性①注目のFW宮市は左のウイングでプレー。チームを勝利に導くことは出来なかったが、1ゴール1アシストと結果を残した。際立つのは爆発的なスピードであり、実況アナウンサーによると、100メートルが10秒8ということであるが、高校生のレベルではどうしようもないくらいのスピードであった。サイドで相手と1対1になったら、イーブンの状態からでも仕掛ければ抜いてクロスまで持って行けるレベルであり、日本人の中で、これだけ速い選手というのは本当に珍しい。
また、単純に速いだけではなくて、しっかりと状況判断も出来ており、右足でも、左足でもキックが正確な点も見事であり、後半に決定的なシュートを2度外してしまったが、アーセナルが目をつけるのも納得の素材であることは間違いなく、これだけスピードでぶっちぎることができる選手は観ていて面白いし、魅力がある。
■ アーセナル・宮市亮の可能性②高校を卒業して入団するのはプレミアリーグの強豪のアーセナルとなった。これまでも、Jリーグのチームに入団せず海外のクラブと契約した選手はいたが、なかなか成功できていないのが現状であり、ギャンブル的な感じもするが、これだけのタレントだと、成功してもらわないと日本サッカーにとっては大きな損失となってしまう。
やはり、観ていると、フランス代表のFWティエリ・アンリのプレーと重なってくる。ストライカーにコンバートされる前のFWアンリである。当時のFWアンリは、サイドでボールを持つと、長いストライドを生かした突破力のあるウインガーとして活躍していたが、183㎝と日本人のサイドプレーヤーとしてはサイズもあって、スピードもある今のFW宮市とかぶる部分が多い。
FWアンリはモナコからユベントスに移籍し、さらに1999年にアーセナルに移籍。そこでアーセーヌ・ヴェンゲル監督によってストライカーにコンバートされて世界屈指のストライカーとなったが、当然、ヴェンゲル監督はFW宮市の獲得にも関わっており、同じようにストライカータイプに育てるのか、このままウイングとして育てていくのか、興味深いところ。2000年初めの頃は、3トップを採用していたチーム自体が少なかったが、現代サッカーでは3トップを採用するチームは多く、絶滅寸前だったウインガーも復活しており、事情は異なるが果たしてどうなるか?
プレミアリーグの場合は、外国人選手は労働ビザの問題もあって、いきなりアーセナルでプレーする可能性はほとんどゼロであり、どこかのチームにレンタルで出される可能性が高いが、スケールの大きな選手に育っていってほしいところである。
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