■ 開幕4連勝の後は大失速。2018年のJ3を制覇して初のJ2昇格を果たしたFC琉球は開幕4連勝を達成した。最高のスタートを切ったが開幕直後に攻撃の中心だったMF中川風(→横浜FM)を引き抜かれたのは痛恨だった。3試合で4アシストと目立った活躍を見せていたMF中川風が抜けた後はなかなか勝利を手にすることが出来ず。5節以降は4勝14敗7分けで勝ち点「19」のみ。25試合で勝ち点「19」というのは相当に低い勝ち点ペースになる。
22節から5連敗を喫して残留争いに巻き込まれつつある中、27節の長崎戦(H)はややラッキーな判定もあって逆転勝利。ここで連敗を止めることが出来たので少し落ち着くことが出来たが28節はホームで横浜FCに1対3で敗れて、29節はアウェイで徳島に1対6で大敗した。徳島戦(A)は前半にFW上門のゴールで先制に成功したが後半だけで何と6失点。退場者を出したわけではないがあっさりと失点を重ねてしまった。
得失点差が「-13」から「-18」に悪化したのも痛恨である。「-18」というのはJ2の22クラブの中では「-27」のFC岐阜に次いでワースト2位タイ。20位の鹿児島と同じ数字で、18位の町田ならびに21位の栃木SCの「-17」よりも悪い数字になった。気になるのは21位の栃木SCの動向になるがその差は「7」。2試合では逆転されない勝ち点差なのでまだ少し余裕はあるが最近のチーム状態を考えると楽観視は出来ない。
■ 2人のCFが流出してアタッカー3人を獲得。夏の移籍市場での選手の入れ替えはまずまず激しかったが27試合で15ゴールを挙げていたFW鈴木孝(→C大阪)が流出したのも痛恨だった。ここまでフルタイム出場を続けていた絶対的なエースが抜けてしまった。しかも、フォワードの2番手だったFW和田凌(→鹿児島)も流出となった。鹿児島を率いるのは昨シーズンまではFC琉球を指揮していた金鍾成監督になるがまたも鹿児島に選手を引き抜かれた。
鹿児島に対するサポーターのフラストレーションは溜まりつつあるが守備の要だったDF増谷(→岡山)も期限付き移籍となった。攻撃の中心となる選手と守備の中心となる選手が抜けたのでかなり苦しい夏になった。一方でアタッカーのMFハモン(フルミネンセ)とMF小野伸(札幌)とMF風間宏矢(FC岐阜)を獲得。風間兄弟の弟のMF風間宏矢はデビュー戦でゴールを決めるなど早くも新天地で主力として活躍している。
また、年代別のブラジル代表経験があるMFハモンは29節の徳島戦(A)で初スタメン。右SHで起用されたがテクニックがあってアイディアもある。身体のキレはあまり感じられなかったのでコンディションは万全ではないと思うがポテンシャルの高いアタッカーであることは間違いない。実力者のMF風間宏矢とMFハモンを獲得できたので2列目はさらに充実した。「CFをどうするのか?」というのがFC琉球の悩みの種だった。
■ トレードのような形になった。夏の移籍市場はクローズとなったので選択肢は限られたがJ3のC大阪U-23で15試合に出場して7ゴールと活躍していたFW山田寛(C大阪)を育成型期限付き移籍で獲得できたのは良かった。名古屋への移籍話が浮上したFW柿谷がC大阪に残留して、先のとおり、本格派のストライカーのFW鈴木孝が加入。一時はJ1のリーグ戦でベンチ入りを果たすケースが続いていたFW山田寛もここ最近は優先順位が下がっていた。
結局、FW鈴木孝をFC琉球から引き抜いたC大阪が若手有望株のFW山田寛を貸し出すことになったがエースを引き抜かれてC大阪に対する不満もあっただろうFC琉球のサポーターにとっては良いニュースと言える。2000年の早生まれなのでまだ19才。ロティーナ監督の評価も高かったストライカーを獲得できたことでFC琉球は希望の光が差してきた。各年代の日本代表で活躍してきたので国際経験も豊富な選手である。
FW鈴木孝が抜けた後、ここ2試合はアタッカーのFW上門がCFの位置で起用されている。27節から3試合連続ゴール中。得点の部分では目立っているが166センチ/63キロなので華奢な選手である。類まれなシュートセンスを持った選手であることは間違いないが、やはり、1トップの適性が高いとは思えない。CFのFW山田寛の加入は1トップでの起用が続いているFW上門にもプラスの効果をもたらす可能性が高い。
■ 高さのある選手が加わったのはプラス得点という部分だけをクローズアップするのであれば「3試合連続ゴール中のFW上門が流出したFW鈴木孝の穴を埋めている。」と言えるがFW鈴木孝が抜けた影響はセットプレーの守備力低下という部分で顕著に表れている。179センチとまずまずのサイズがあるFW鈴木孝はセットプレーの守備のときの貢献度が非常に高かったが先日の徳島戦(A)はセットプレーから4失点。FKから3失点、CKから1失点を喫した。
セットプレーから4失点した徳島戦(A)は「空中戦に強いCFが抜けてしまった。」という今のFC琉球の問題点が露呈する形になったが181センチのFW山田寛を獲得できたことでウイークな部分がある程度は解消されるだろう。FW鈴木孝とFW和田凌が抜けてCF系の選手で実績のある選手がベテランのFW上原慎くらいになっていたことを考えると育成型期限付き移籍でFW山田寛を獲得できたのは大きなことである。
もちろん、FW山田寛も空中戦にめちゃくちゃ強い選手ではない。181センチとサイズがあって身体的な能力は高いが裏に抜けるときのスピードやドリブルが武器となる選手である。サイズ的には一回り小さくなるがC大阪でも活躍したFW小松塁にフォワードとしての系統は似ている。最大の武器は高さではないがシュートテクニックも非常に高い選手なのでCFで困っていたFC琉球はいい補強が出来たと言える。
FW山田寛にとっても今回の移籍は大きなチャンスと言える。先のとおり、FC琉球は実績のあるCFがFW上原慎くらいである。直近の試合で6失点を喫して何かを変えないといけないタイミングでチームに合流することになるのも本人にはプラスに作用するだろう。2018年はJ3で15試合で3ゴールだったが2019年はJ3で15試合で7ゴール。飛躍的な成長を見せた選手なのでFC琉球の救世主になることが期待される。
・2019/08/06 【移籍市場】 MF小野伸二(コンサドーレ札幌→FC琉球)は目立った活躍は出来ないと思うが・・・。
・2019/08/14 【移籍市場】 「DF増谷幸祐(FC琉球→ファジアーノ岡山)の獲得が素晴らしい。」と思える理由は・・・。
・2019/08/15 【移籍市場】 エグイ補強になったFW和田凌(FC琉球→鹿児島ユナイテッド)の引き抜き
・2019/08/16 【移籍市場】 FW鈴木孝司(FC琉球→セレッソ大阪)がJ1で活躍できると面白い。
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