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大量移民がローマ帝国を滅ぼす。アメリカ帝国も同様か?

Mass migration brought down the Roman Empire. Can it bring down the American Empire?

John Wight
ジョン・ワイトは、様々な新聞やウェブサイトに寄稿している。インディペンデント紙、モーニング・スター、ハフィントン・ポスト、カウンターパンチ、ロンドン・プログレシブ・ジャーナル、フォーリン・ポリシー・ジャーナルなど。

RT Op-ed 2018年11月1日
(翻訳: 新見明 2018年11月21日)
<記事原文>https://www.rt.com/op-ed/442864-american-empire-migrant-caravan/


© Getty Images

中央アメリカからアメリカに北に向かっている移民キャラバンは、旧世界が死につつあり、新しい闘いが生まれているさらなる証拠である。

古代世界が我々に教えてくれることがたくさんある。その最も顕著な教訓は、大量移民というものは、紛争、社会崩壊、または極端な貧困の産物であるが、それが最も強力な帝国を破壊することができるということである。

ローマを考えてみよう。その軍隊は千年のあいだ巨像のように古代世界を支配した。そしてその偉大で残酷な、そして最も華々しい名前は、シーザー、ポンペイウス、アウグストス、ネロ、ハドリアヌス、ウェスパシアヌス、コンスタンチヌスなど、いまだ何千年が過ぎたにもかかわらず畏怖と驚嘆の念を引き起こす。

その最盛期、ローマは、イタリア半島からはるか西ヨーロッパに到り、北アフリカや中東にまでわたり、その帝国が歴史のページから消されうると主張することは愚の骨頂だったはずだ。

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© Reuters / Eric ThayerAmerican breakdown: Uncle Sam pays an overdue visit to the psychiatrist couch
アメリカの崩壊:精神科医を訪れるのが遅すぎたアンクル・サム。


しかしローマが消滅したのは476年だった。西ローマ帝国として当時知られていたものは、ついにゲルマン民族からなる蛮族の度重なる侵入に屈服し、ついに崩壊に到った。

ローマの権力の象徴である帝国の正服、王冠、紫のマントは、当時帝国の東半分を支配していたコンスタンチノープル(イスタンブール)に追いやられた。それは何百年もの歴史の幕を下ろし、どんな帝国も経済力や軍事力にも関わらす、永続することはないことを確認することとなった。

実際、ローマの崩壊はなかなかやって来なかった。帝国は奴隷制や貢ぎ物や略奪を下に成り立っていたが、その矛盾があまりに大きかったので、克服できなくなっていた。ローマの支配下では、何百万人が貧困と惨めさの中で暮らしていて、彼らがエリートの汚れきった富や虚飾を支えていたので、ますます維持できなくなった。

ここまでは、多少理解いただけたのではないか。

威圧と支配と過度の搾取に基づいた経済システムは抵抗を引き起こす。それがまた、帝国を維持するために、さらなる軍隊の派遣に到る。それはさらなる抵抗を刺激するだけで、それによって不安定化する。この不安定化が、自国民や他国民の大量移動をを引き起こすのだ。

要するに、これがローマを終焉させたことだ。我々の時代は、変化の初期段階であり、多くの難民危機が明らかに徐々に増加していて、欧米ヘゲモニーの基礎を次第に切り崩している。2015年の難民危機は、ヨーロッパを苦しめ、未だ解決されておらず、重大な問題である。そして後に述べる移民キャラバンは、現在中央アメリカからメキシコを通ってアメリカ国境に向かっている。

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中央アメリカの移民はアメリカに向かう。2018年10月21日、メキシコ。Ciudad Hidalgo © Global Look Press / Ivan Sanchez 共和党も民主党も大声で吠え、かみつくが、移民キャラバンは進む。


ここで我々は急いで寄り道をして、陰謀論を見に身にまとっている輩のことを考えてみよう。彼らの多くが、意識を高めるのでなく、狂気を高めている。

移民キャラバンが、ソロスに資金援助された芸当であるとか、アメリカの中間選挙前段階の民主党の計画であるという考えは、ばかげていなくとも無意味である。何世代にもわたってアメリカの軍国主義や経済支配のために、中米の人々が被ってきた苦悩は、途方もないものであり続けている。だから犠牲者達の活動を拒否することは、尊厳を拒否することに等しい。

移民キャラバンが発生したホンジュラスで、2009年にクーデターが起こった。そのクーデターで民主的に選ばれたマヌエル・セラヤの左翼政権を転覆させるのに成功した。

クーデターはロメオバスケス・ベラスケス将軍に率いられた。彼は悪名高いアメリカ陸軍米州学校(スクール・オブ・アメリカ)の卒業生だ(今は西半球安全保障協力研究所と2001年に改名)。中南米からの何千という軍事・保安要員が、第二次世界大戦以来そこで拷問、暗殺、鎮圧の訓練を受けてきた。

アメリカ外交の専門家スティーブン・ズネスズ教授によれば、ホンジュラスのクーデターは、オバマが見守る中、ヒラリー・クリントンが国務長官の地位にあるとき起きた。それは「恐ろしい抑圧と、何万にもの難民が安全を求めて逃亡するといううなぎ登りの殺害率の時期を導くこととなった。」

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FILE PHOTO © Instagram / US ArmyMigrants, militias, protesters & drug cartels: Pentagon braces for explosive clash at Mexico border
ペンタゴンはメキシコ国境で爆発的衝突に備える。


ズネスは控え目に、ワシントンのクーデターへの関与を言っていないが、その後の合法的大統領の地位回復をはっきり拒否していることは、我々が知るべきあるあらゆる事を物語っている。その計画では、遅れた地域の諸国家を、帝国の完全子会社化されたものと何世紀にもわたって見てきた。

だから移民キャラバンが北に向かって進んでいるとき、ワシントンのドナルド・トランプ大統領はそれを侵略といい、5000人の軍隊を国境に配備した。ホワイトハウスのどの住人も大昔から不正をしても居直ってきた。トランプを見ていると、ローマ時代の哲学者セネカの言葉が特に思い浮かぶ。「貪欲にとって、あらゆる自然は小さすぎる。」

家や権力や地位や名声の貪欲が、トランプのあらゆる策略をつき動かし、決定する。それは病んだ社会の兆候であり、彼を生み出した文化的価値である。それは移民キャラバンに責任がある価値観であり、やがて帝国の没落を生み出す価値観である。ローマが支配した世界のように。

たとえ国のプロパガンダが逆の報道をしようとも、アメリカの大量の貧困層と抑圧された人々が、彼ら自身の支配者階級よりも、この移民キャラバンの人々とははるかに共通点があることは否定できない。彼らが置かれ続けている危うい状態が解放に到らないように、彼らが決してこの事実を理解しないように仕組まれているのだ。それはこの大陸でも世界全体でも当てはまることは言うまでもない。

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