右サイドバック→ 今回、SBとして選出されたのはインテルのDF長友、ハノーファー96のDF酒井宏、ハンブルガーSVのDF酒井高、G大阪のDF米倉の4人。ハリルホジッチ監督はDF酒井宏とDF酒井高の2人が右SBの候補で、DF長友とDF米倉の2人が左SBの候補と考えているようだが、G大阪ではほとんどの試合で右SBでプレーするDF米倉はもちろんのこと、DF長友も右SBでプレーできる。また、DF酒井高は左SBでもプレーできる。
まず、右SBについて考えていきたいと思うが、言うまでなくレギュラーの最有力候補はシャルケのDF内田篤である。経験値では他の選手を圧倒している。年齢的にもここからロシアW杯までの3年間がプレーヤーとしてのピークだと思われる。ただ、現在は怪我で長期離脱中。しばらくの間、プレーするのは難しいと言われている。DF内田篤がいない間に他の選手がどこまでアピールできるか?は興味深いところである。
ハリルホジッチ監督の言葉を信じると、次のカンボジア戦(H)の右SBのスタメンはDF酒井宏か、DF酒井高のどちらかとなるが、DF酒井高は移籍先のハンブルガーSVで出場機会に恵まれていない。普通に考えるとDF酒井宏がスタメンになるだろう。ハリルホジッチ監督はDF酒井宏の「サイズ」や「フィジカルの強さ」や「将来性」を高く評価している模様。DF内田篤がいない間に是非ともアピールしたいところである。
ブンデスリーガでのキャリアが長くなってきたDF酒井高も国際経験は豊富。左右両サイドを遜色なくこなす点はアピールポイントで、総合力で勝負するタイプのSBである。軽率なプレーが少なくない点は改善ポイントと言えるが、これだけ長い間、欧州の一流国でプレーし続けたSBというのは日本サッカー史を振り返ってみても数えるほど。次のステップとして日本代表でのレギュラー定着を狙いたいところである。
会見の席でハリルホジッチ監督は「MF遠藤航は中盤の選手」とコメントしたが、今度のカンボジア戦(H)でMF遠藤航が右SBに入る可能性は「ゼロではない。」と言える。東アジアカップの初戦の北朝鮮戦と2戦目の韓国戦は右SBで起用されたが、かなりいいプレーを見せた。本職はCBで、湘南では右ストッパーでプレーする機会がほとんど。右SBというのはほぼ未経験のポジションだったことを考えると上出来だった。
「効果的な縦パスを出すことができること」、「ミスを恐れることなくゴールに直結する鋭いクロスを蹴る勇気を持っていること」、「セットプレーのときにターゲットになれること」、「鋭い得点感覚を持っていること」がMF遠藤航の魅力と言える。当然のことながら、本職はCBなので守備力は一定以上。フィジカルと攻撃力は年々向上しており、野心を持って努力できることもサッカー選手として優れたところである。
「SBでもプレーすることが出来るCB」と表現できるが、こういうタイプの選手を日本代表は長らく探し続けてきた。178センチなので国際試合で4バックのCBでプレーするには身長が低すぎるが、本職のCBはもちろんのこと、ボランチでも、右SBでも、一定以上のパフォーマンスが期待できる。東アジアカップは0勝1敗2分けと極めて不本意な成績に終わったが、MF遠藤航を発掘できたことが最大の収穫と言えるだろう。
同様に「SBでもプレーすることが出来るCB」として期待されるのは広島のDF塩谷である。同じようにクラブでは右ストッパーでプレーしているが、積極果敢な攻撃参加は広島の武器の1つになっており、日本代表の右SBでプレーできる資質を持っているのは明らかである。怪我もあってここ最近は代表からは漏れているが、サイズや身体能力ではMF遠藤航を上回っている。代表復帰が期待される選手の1人である。
言うまでもなく、東アジアカップの3戦目の中国戦では左SBで先発起用されて同点ゴールをアシストを記録したDF米倉も右SBの候補と言える。中国戦は高い身体能力を生かしたプレーで強烈な印象を残したが、チャンスが限られる代表という舞台のデビュー戦でこれだけのプレーができたというのは見事。本職は攻撃的MF。SBとしてずっとプレーしてきた選手とは違った感覚を持っている点は大きな魅力と言える。
東アジアカップの3戦目の中国戦で右SBで先発したG大阪のDF丹羽大も候補の1人である。彼も本職はCB。DF丹羽大が右SBでプレーするときは守備的な布陣となるが、複数ポジションをこなす点をアピールできたのは良かった。どう頑張ってもチーム全体の高さが不足しがちな日本代表なので、「空中戦に強くてCBが本職となる選手を左右のSBに入れること」はオプションの1つとして是非とも用意しておく必要がある。
東アジアカップ2015の予備登録メンバーに選出された選手の中で他に右SBでプレーすることができるのは新潟のDF川口尚、同じく新潟のDF松原健、川崎FのDF武岡の3人。五輪世代のDF松原健は怪我もあって今シーズンはほとんどプレーしていないので早期の代表入りの可能性は限りなくゼロに近いが、新潟でポジションを奪回したDF川口尚は早い段階でのフル代表抜擢があっても何ら不思議はない選手である。
21歳のDF川口尚は「身体能力の高さ」と「縦への推進力」が武器となる。「ポジショニングを含めた守備が課題」と言われていたが、今シーズンは守備力が向上。年代別代表でもずっとポジション争いを繰り広げてきたDF松原健との争いを制して五輪代表にも復帰した。リオ世代の右SBの中では屈指の有望株で、新潟ユースの先輩であるDF酒井高と同様で欧州リーグでプレーするような選手に育つ可能性がある。
他に五輪世代のSBで注目すべきは福岡のDF亀川である。非常に身体能力が高くて左右両サイドをほぼ同レベルでこなす。福岡では左WBでプレーする機会が多くなっているが、怪我人が続出してCBが不足した時はCBでもプレーする。昨シーズンは湘南のJ1復帰に貢献したが、「もう一度、J1昇格という目標を持ってプレーしたい。」という考えから福岡に期限付き移籍。J2のサイドプレーヤーとしては指折りの選手である。
今シーズンは「絶好調」と言っても言い過ぎではないだろう。五輪代表では多くのゴールに絡んでおり、福岡ではどの試合もハイレベルなプレーを見せている。バランス型のSB/WBだったが、ここ1年ほどで攻撃力が格段にアップした。縦への推進力が増して、クロスの精度も著しく向上した。ここに来て五輪世代の選手がフル代表に抜擢されるケースが多くなっているが、DF亀川がフル代表に招集されても驚きはない。
東アジアカップの予備登録メンバー50人に入った川崎FのDF武岡も本来は攻撃的MFの選手である。横浜FC時代の2013年の途中に右SBにコンバートされたが、ちょうど同じくらいの時期に当時は千葉でプレーしていたDF米倉も攻撃的MFから右SBにコンバートされて新境地を開いた。この2人は歩みがよく似ている。「
赤帽の乱」と言われた2009年末の移籍騒動のとき、鳥栖から横浜FCに移籍した選手の1人である。
川崎Fの風間監督はシステムにはほとんどこだわらないタイプで、流れが良くないときは前半の早い段階からシステム変更を実施する。3バックで戦うときは右ストッパーでプレーすることが多くなるが、高度なテクニックを持っているのでビルドアップでの貢献度が高い。本来は攻撃的MFなので「守備面は課題」と言われているが、典型的なSBではないDF武岡を予備登録メンバーに選んでいる点は興味深いところである。
J1の舞台で目立った活躍を続ける右アウトサイドの選手というと浦和のMF関根貴である。抜群のスピードを駆使した縦への突破から多くのチャンスを演出して浦和の1stステージ制覇に大きく貢献した。1995年生まれなので五輪代表入りを期待する声は多いが、これだけの活躍を見せているのでフル代表に推す人も少なくない。ただ、彼のような選手をハリルホジッチ監督が右SBで起用する可能性は非常に低いと言える。
多くの場合、「右WBでプレーできる選手は右SBでもプレーできる。」と言えるが、MF関根貴に関しては未知数。右SBで起用してもあまり持ち味は出ないだろうと思われる。これは五輪代表でも同じことが言えるが、起用するのであれば右サイドハーフの方がベターである。U-19日本代表のときは「4-2-2-2」の右サイドハーフでプレーしたが、今後、ジョーカー的な存在としてクローズアップされる可能性がある。
MF関根貴とよく似た立場と言えるが、広島のMF柏については「SBでもプレーできる可能性がある。」と考えられる。広島にはMFミキッチがいるので「3-4-2-1」の左WBに入ることがほとんどであるが、「抜群のスピード」と「運動量」を持っている。極めて打開力の高い選手なので右SBで起用しても面白いのでは?と感じる。MF関根貴と比べると運動量を含めた走力で優るのでSBでもうまくプレーできるのではないか。
現実的には浦和ユース出身でJ1の神戸でプレーするDF高橋峻の方が代表に近い立場にいると言える。2ndステージの序盤にゴールやアシストを量産した時期があった。「縦への推進力」が最大の持ち味で、左右両サイドをこなすが、今シーズンはクロスとシュートの精度が格段に向上した。フル代表歴がなくて、かつ、予備登録メンバー等にも選出されていない選手の中ではDF高橋峻が最大の注目株と言えるだろう。
★ 現在の投票数 → 493票
→ 投票したい選手の名前を選択してから「投票」のボタンをクリックしてください。
→ 最大で8人までチョイスして投票することができます。
→ 「コメント」のところは何も書かなくてもOKです。(投票可能です。)
→ 記事内容に関係のないコメント(政治的な内容も含む。)はご遠慮ください。
→
【日本代表】 今後、ハリルJAPANに選出されることを期待する選手は? (GK編) → 443票
→
【日本代表】 今後、ハリルJAPANに選出されることを期待する選手は? (右SB編) → 493票
→
【日本代表】 今後、ハリルJAPANに選出されることを期待する選手は? (CB編) → 419票
→
【日本代表】 今後、ハリルJAPANに選出されることを期待する選手は? (左SB編) → 179票
→
【日本代表】 今後、ハリルJAPANに選出されることを期待する選手は? (ボランチ編) → 555票
→
【日本代表】 今後、ハリルJAPANに選出されることを期待する選手は? (トップ下編) → 273票
関連エントリー 2009/01/30
日本人のサイドバックを論ずる。 2009/02/24
フランスW杯 直前でカズを外した岡田監督の選択は正しかったと思いますか? 2009/10/18
フランスW杯 直前でカズを外した岡田監督の選択は正しかったと思いますか? (その2) 2011/04/15
内田篤人はドイツでどんな評価をされているのか? 2011/04/28
長友佑都はイタリアでどんな評価をされているのか? 2012/06/16
酒井宏樹のハノーファー96への移籍に関して 2014/06/22
【読エ】 「内田篤人の評価が5.0」 サカダイのギリシャ戦の採点を批判する。 2014/06/22
ギリシャ戦でMOM級の活躍を見せた内田篤人が酷評される不思議 2015/06/18
「なでしこの選手が好きな選手・目標とする選手 (日本人編)」 ~ 6位は内田篤人、5位は本田圭佑、4位は香川真司、3位は柿谷曜一朗、1位と2位は・・・。~ 2015/06/19
「なでしこの選手が好きな選手・目標とする選手 (外国人編)」 ~ 5位はカシージャス、4位はシャビ、3位はネイマール、2位はメッシ、果たして1位は・・・。~
- 関連記事
-