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2026-05-11

きびだんご福利厚生に含まれます

からまれた男は、いまや株式会社オニシマソリューションズの鬼退治プロジェクト推進室長通称桃太郎であった。

昔は「日本一きびだんご」で人心を掌握できたが、現代はそうもいかない。

業務委託契約書にサインをお願いします」

桃太郎は、犬・猿・キジの三名を会議室「きび」に呼び出した。

犬は正社員だった。首から社員証を下げ、名刺入れを持ち、社用PCには会社指定セキュリティシールが貼られている。福利厚生歯石除去まで出るらしい。

猿とキジ派遣社員だった。

猿の社員証には大きく「派遣」と書かれ、キジに至っては首にかけるタイプではなく、クリップ式で羽に挟むと微妙に痛い仕様だった。

桃太郎は咳払いをした。

「今回の鬼退治案件ですが、犬さんには現場リーダーをお願いします。猿さん、キジさんは犬さんの指示を受けて動いてください」

犬がうなずいた。

承知しました。ではまず、猿さんは鬼ヶ島入口監視キジさんは上空からの偵察をお願いします。あと、日報17時までに共有フォルダへ」

猿が手を挙げた。

「共有フォルダアクセス権ないんですけど」

「ああ」

犬は少し困った顔をした。

派遣の方はセキュリティ上、社内フォルダに入れないので、日報は僕に口頭でお願いします。僕がそれを転記します」

「じゃあ僕が書いたこと、犬さんの成果になるんですか?」

制度上はそうなります

キジが小さく鳴いた。

「キッ……」

それは鳥語で「社会の闇」という意味だった。

出発前、桃太郎は人数分のきびだんごを配った。

犬には箱入りの高級きびだんご黒蜜きなこ味、個包装、社名ロゴ入り。

猿とキジには透明な袋に入った業務きびだんごが一個ずつ。

猿がそれを見比べた。

桃太郎さん、これ、犬さんのだけ箱が違いません?」

桃太郎笑顔で言った。

「犬さんは正社員なので、退職金前払い相当分のきびだんごポイント付与されています

きびだんごポイント

「猿さんとキジさんは派遣元さんの規定に従ってください」

派遣元はバナナ現物支給です」

「うちは関知できません」

キジがまた鳴いた。

「キッ……」

今度は「言い方が人事」という意味だった。

道中、犬はリーダーらしく的確に指示を出した。

「猿さん、そこの枝に登って敵情確認を。キジさん、低空飛行で周辺警戒をお願いします」

了解です」

「あと、作業中にケガをした場合、犬さんは労災申請フローA、猿さんとキジさんは派遣元経由でフローBです」

猿が枝から落ちかけた。

「いまそれ言う?」

大事ことなので」

キジは空を飛びながら尋ねた。

「休憩は?」

犬は手帳を開いた。

「犬は11時半から時間。猿さんとキジさんは業務委託ではないですが、就業場所が屋外なので、派遣契約書上は“適宜”となっています

「適宜って、誰が決めるんですか」

現場判断です」

現場って誰ですか」

犬は胸を張った。

「私です」

猿は枝の上で遠い目をした。

「じゃあ最初から“犬判断”って書けよ」

昼になり、桃太郎たちは浜辺で休憩した。

そこには会社支給ウォーターサーバーが置いてあった。冷水と温水が出る、最新型である

犬が紙コップを取った。

「あ、猿さん、キジさん」

はい?」

申し訳ないんですが、こちらのウォーターサーバー正社員福利厚生設備なので、派遣の方は使用をお控えください」

猿は波の音を聞いた。

海水飲めってことですか?」

「いや、そういう意味ではなく」

「じゃあ何を飲めと」

犬は気まずそうにリュックを探った。

派遣の方向けに、常温の水道水があります

キジが羽でペットボトルを受け取った。

「これ、ラベルに“来客用”って書いてありますけど」

派遣の方は、契約上、来客に準ずる扱いです」

毎日来てる来客って何?」

桃太郎は黙ってきびだんごを食べていた。なぜなら桃太郎上長だが、こういう話になると急に「制度問題から」と言って遠くを見るタイプ上長だった。

猿がぼそっと言った。

「鬼より先に倒すべきもの、見えてきたな」

鬼ヶ島に着くと、門番の鬼が出てきた。

「何者だ!」

犬は一歩前に出た。

株式会社オニシマソリューションズとの契約不履行および近隣村落へのコンプライアンス違反について、是正勧告に参りました」

鬼はひるんだ。

「なんだその怖い言葉は」

猿は横から飛びかかり、鬼の金棒を奪った。キジは上空から鬼の目をつついた。犬は後方で叫んだ。

「猿さん、ナイスです! ただし金棒の持ち帰りは備品管理規程に抵触します!」

戦闘中に規程読むな!」

キジが鬼の頭上を旋回した。

「キッ、キッ!」

それは鳥語で「現場を見ろ」という意味だった。

三匹の活躍により、鬼たちはあっという間に降参した。

桃太郎は宝を回収し、満足げに言った。

「皆さんのおかげです。特に犬さん、リーダーシップが光りましたね」

猿が眉をひそめた。

「いや、最前線で殴ったの僕ですけど」

キジも羽を広げた。

「偵察と目つぶし、私ですけど」

犬は申し訳なさそうに尻尾を下げた。

「でも評価シート上、派遣の方は桃太郎さんの直接評価対象外なので……」

「知ってた」

帰り道、猿とキジは黙っていた。

桃太郎はさすがに空気を読んだ。

「今回の件を受けて、社内制度見直し検討します」

猿が言った。

検討って便利な言葉ですよね。鬼の金棒より重い」

キジが言った。

「キッ」

これは鳥語で「検討はだいたいやらない」という意味だった。

村に戻ると、桃太郎は全社向けに発表した。

「鬼退治プロジェクトは無事成功しました。今後は雇用形態を問わず、同じ現場で戦う仲間として尊重する文化を醸成していきます

犬が拍手した。

猿とキジも、少しだけ拍手した。

その翌週、社内のウォーターサーバーには新しい貼り紙がされた。

“どなたでもご利用いただけます

猿はそれを見て、少し笑った。

「お、進歩じゃん」

キジも嬉しそうに水を飲もうとした。

するとその下に、小さな文字があった。

“ただし紙コップは正社員用です”

猿は静かに桃太郎を見た。

キジは静かに翼を鳴らした。

犬は静かに目をそらした。

そして桃太郎は、誰よりも静かに、新しいプロジェクト名を考えていた。

「第二次鬼退治プロジェクト――対象社内規程

犬が言った。

桃太郎室長、それは稟議通りますかね」

桃太郎は腰の刀を抜いた。

「通すんだよ」

猿とキジは顔を見合わせた。

それから三匹は、今度は同じウォーターサーバーの水を飲んだ。

紙コップはなかったので、手と羽と舌で。

それでも水は、まあまあうまかった。

2026-04-24

オニ茶があるのにオネ茶がないのはなんでやねん…😟

anond:20260424190245

オニチャ売れ残ってるってことなんだから救われてないだろ

セブンイレブンシステム障害

何件か見たけど品薄の棚なかったな

オニチャがズラッと並んでたけど

ヒカキンに救われたんじゃね

2026-04-23

お伽草紙

太宰治


「あ、鳴つた。」

 と言つて、父はペンを置いて立ち上る。警報くらゐでは立ち上らぬのだが、高射砲が鳴り出すと、仕事をやめて、五歳の女の子に防空頭巾かぶせ、これを抱きかかへて防空壕にはひる。既に、母は二歳の男の子を背負つて壕の奥にうずくまつてゐる。

「近いやうだね。」

「ええ。どうも、この壕は窮屈で。」

「さうかね。」と父は不満さうに、「しかし、これくらゐで、ちやうどいいのだよ。あまり深いと生埋めの危険がある。」

「でも、もすこし広くしてもいいでせう。」

「うむ、まあ、さうだが、いまは土が凍つて固くなつてゐから掘るのが困難だ。そのうちに、」などあいまいな事を言つて、母をだまらせ、ラジオの防空情報に耳を澄ます

 母の苦情が一段落すると、こんどは、五歳の女の子が、もう壕から出ませう、と主張しはじめる。これをなだめる唯一の手段絵本だ。桃太郎、カチカチ山、舌切雀、瘤取り、浦島さんなど、父は子供に読んで聞かせる。

 この父は服装もまづしく、容貌も愚なるに似てゐるが、しかし、元来ただものでないのである物語創作するといふまことに奇異なる術を体得してゐる男なのだ

 ムカシ ムカシノオ話ヨ

 などと、間まの抜けたやうな妙な声で絵本を読んでやりながらも、その胸中には、またおのづから別個の物語が※(「酉+榲のつくり」、第3水準1-92-88)醸せられてゐるのである

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瘤取り

ムカシ ムカシノオ話ヨ

ミギノ ホホニ ジヤマツケナ

コブヲ モツテル オヂイサン

 このお爺さんは、四国阿波剣山のふもとに住んでゐたのである。(といふやうな気がするだけの事で、別に典拠があるわけではない。もともと、この瘤取りの話は、宇治拾遺物語から発してゐものらしいが、防空壕の中で、あれこれ原典を詮議する事は不可能である。この瘤取りの話に限らず、次に展開して見ようと思ふ浦島さんの話でも、まづ日本書紀にその事実がちやんと記載せられてゐるし、また万葉にも浦島を詠じた長歌があり、そのほか、丹後風土記やら本朝神仙伝などといふものに依つても、それらしいものが伝へられてゐるやうだし、また、つい最近於いては鴎外の戯曲があるし、逍遥などもこの物語舞曲にした事は無かつたかしら、とにかく、能楽歌舞伎芸者の手踊りに到るまで、この浦島さんの登場はおびただしい。私には、読んだ本をすぐ人にやつたり、また売り払つたりする癖があるので、蔵書といふやうなものは昔から持つた事が無い。それで、こんな時に、おぼろげな記憶をたよつて、むかし読んだ筈の本を捜しに歩かなければならぬはめに立ち到るのであるが、いまは、それもむづかしいだらう。私は、いま、壕の中にしやがんでゐるのである。さうして、私の膝の上には、一冊の絵本がひろげられてゐるだけなのである。私はいまは、物語の考証はあきらめて、ただ自分ひとりの空想を繰りひろげるにとどめなければならぬだらう。いや、かへつてそのはうが、活き活きして面白いお話が出来上るかも知れぬ。などと、負け惜しみに似たやうな自問自答をして、さて、その父なる奇妙の人物は、

ムカシ ムカシノオ話ヨ

 と壕の片隅に於いて絵本を読みながら、その絵本物語と全く別個の新しい物語を胸中に描き出す。)

 このお爺さんは、お酒を、とても好きなのである。酒飲みといふものは、その家庭に於いて、たいてい孤独ものである孤独から酒を飲むのか、酒を飲むから家の者たちにきらはれて自然孤独の形になるのか、それはおそらく、両の掌をぽんと撃ち合せていづれの掌が鳴つたかを決定しようとするやうな、キザな穿鑿に終るだけの事であらう。とにかく、このお爺さんは、家庭に在つては、つねに浮かぬ顔をしてゐるのである。と言つても、このお爺さんの家庭は、別に悪い家庭では無いのである。お婆さんは健在である。もはや七十歳ちかいけれども、このお婆さんは、腰もまがらず、眼許も涼しい。昔は、なかなかの美人であつたさうである若いから無口であつて、ただ、まじめに家事にいそしんでゐる。

「もう、春だねえ。桜が咲いた。」とお爺さんがはしやいでも、

「さうですか。」と興の無いやうな返辞をして、「ちよつと、どいて下さい。ここを、お掃除しまから。」と言ふ。

 お爺さんは浮かぬ顔になる。

 また、このお爺さんには息子がひとりあつて、もうすでに四十ちかくになつてゐるが、これがまた世に珍しいくらゐの品行方正、酒も飲まず煙草も吸はず、どころか、笑はず怒らず、よろこばず、ただ黙々と野良仕事、近所近辺の人々もこれを畏敬せざるはなく、阿波聖人の名が高く、妻をめとらず鬚を剃らず、ほとんど木石ではないかと疑はれるくらゐ、結局、このお爺さんの家庭は、実に立派な家庭、と言はざるを得ない種類のものであつた。

 けれども、お爺さんは、何だか浮かぬ気持である。さうして、家族の者たちに遠慮しながらも、どうしてもお酒を飲まざるを得ないやうな気持になるのであるしかし、うちで飲んでは、いつそう浮かぬ気持になるばかりであつた。お婆さんも、また息子の阿波聖人も、お爺さんがお酒を飲んだつて、別にそれを叱りはしない。お爺さんが、ちびちび晩酌をやつてゐる傍で、黙つてごはんを食べてゐる。

「時に、なんだね、」とお爺さんは少し酔つて来ると話相手が欲しくなり、つまらぬ事を言ひ出す。「いよいよ、春になつたね。燕も来た。」

 言はなくたつていい事である

 お婆さんも息子も、黙つてゐる。

「春宵一刻、価千金、か。」と、また、言はなくてもいい事を呟いてみる。

「ごちそうさまでござりました。」と阿波聖人は、ごはんをすまして、お膳に向ひうやうやしく一礼して立つ。

「そろそろ、私もごはんにしよう。」とお爺さんは、悲しげに盃を伏せる。

 うちでお酒を飲むと、たいていそんな工合ひである

アルヒ アサカラ ヨイテンキ

ヤマヘ ユキマス シバカリ

 このお爺さんの楽しみは、お天気のよい日、腰に一瓢をさげて、剣山にのぼり、たきぎを拾ひ集める事である。いい加減、たきぎ拾ひに疲れると、岩上に大あぐらをかき、えへん! と偉さうに咳ばらひを一つして、

「よい眺めぢやなう。」

 と言ひ、それから、おもむろに腰の瓢のお酒を飲む。実に、楽しさうな顔をしてゐる。うちにゐる時とは別人の観がある。ただ変らないのは、右の頬の大きい瘤くらゐのものである。この瘤は、いまから二十年ほど前、お爺さんが五十の坂を越した年の秋、右の頬がへんに暖くなつて、むずかゆく、そのうちに頬が少しづつふくらみ、撫でさすつてゐると、いよいよ大きくなつて、お爺さんは淋しさうに笑ひ、

「こりや、いい孫が出来た。」と言つたが、息子の聖人は頗るまじめに、

「頬から子供が生れる事はござりません。」と興覚めた事を言ひ、また、お婆さんも、

いのちにかかはるものではないでせうね。」と、にこりともせず一言、尋ねただけで、それ以上、その瘤に対して何の関心も示してくれない。かへつて、近所の人が、同情して、どういふわけでそんな瘤が出来たのでせうね、痛みませんか、さぞやジヤマツケでせうね、などとお見舞ひの言葉を述べる。しかし、お爺さんは、笑つてかぶりを振る。ジヤマツケどころか、お爺さんは、いまは、この瘤を本当に、自分可愛い孫のやうに思ひ、自分孤独を慰めてくれる唯一の相手として、朝起きて顔を洗ふ時にも、特別にていねいにこの瘤に清水をかけて洗ひ清めてゐるのであるけふのやうに、山でひとりで、お酒を飲んで御機嫌の時には、この瘤は殊にも、お爺さんに無くてかなはぬ恰好の話相手である。お爺さんは岩の上に大あぐらをかき、瓢のお酒を飲みながら、頬の瘤を撫で、

「なあに、こはい事なんか無いさ。遠慮には及びませぬて。人間すべからく酔ふべしぢや。まじめにも、程度がありますよ。阿波聖人とは恐れいる。お見それ申しましたよ。偉いんだつてねえ。」など、誰やらの悪口を瘤に囁き、さうして、えへん! と高く咳ばらひをするのである

ハカニ クラク ナリマシタ

カゼガ ゴウゴウ フイテキテ

メモ ザアザア フリマシタ

 春の夕立ちは、珍しい。しかし、剣山ほどの高い山に於いては、このやうな天候の異変も、しばしばあると思はなければなるまい。山は雨のために白く煙り、雉、山鳥があちこちから、ぱつぱつと飛び立つて矢のやうに早く、雨を避けようとして林の中に逃げ込む。お爺さんは、あわてず、にこにこして、

「この瘤が、雨に打たれてヒンヤリするのも悪くないわい。」

 と言ひ、なほもしばらく岩の上にあぐらをかいたまま、雨の景色を眺めてゐたが、雨はいよいよ強くなり、いつかうに止みさうにも見えないので、

「こりや、どうも、ヒンヤリしすぎて寒くなつた。」と言つて立ち上り、大きいくしやみを一つして、それから拾ひ集めた柴を背負ひ、こそこそと林の中に這入つて行く。林の中は、雨宿りの鳥獣で大混雑である

はい、ごめんよ。ちよつと、ごめんよ。」

 とお爺さんは、猿や兎や山鳩に、いちいち上機嫌で挨拶して林の奥に進み、山桜大木の根もとが広い虚うろになつてゐるのに潜り込んで、

「やあ、これはいい座敷だ。どうです、みなさんも、」と兎たちに呼びかけ、「この座敷には偉いお婆さんも聖人もゐませんから、どうか、遠慮なく、どうぞ。」などと、ひどくはしやいで、そのうちに、すうすう小さい鼾をかいて寝てしまつた。酒飲みといふものは酔つてつまらぬ事も言ふけれど、しかし、たいていは、このやうに罪の無いものである

ユフダチ ヤムノヲ マツウチニ

ツカレガ デタカ オヂイサン

イツカ グツスリ ネムリマ

オヤマハ ハレテ クモモナ

アカルイ ツキヨニ ナリマシタ

 この月は、春の下弦の月である。浅みどり、とでもいふのか、水のやうな空に、その月が浮び、林の中にも月影が、松葉のやうに一ぱいこぼれ落ちてゐる。しかし、お爺さんは、まだすやすや眠つてゐる。蝙蝠が、はたはたと木の虚うろから飛んで出た。お爺さんは、ふと眼をさまし、もう夜になつてゐるので驚き、

「これは、いけない。」

 と言ひ、すぐ眼の前に浮ぶのは、あのまじめなお婆さんの顔と、おごそかな聖人の顔で、ああ、これは、とんだ事になつた、あの人たちは未だ私を叱つた事は無いけれども、しかし、どうも、こんなにおそく帰つたのでは、どうも気まづい事になりさうだ、えい、お酒はもう無いか、と瓢を振れば、底に幽かにピチヤピチヤといふ音がする。

「あるわい。」と、にはかに勢ひづいて、一滴のこさず飲みほして、ほろりと酔ひ、「や、月が出てゐる。春宵一刻、――」などと、つまらぬ事を呟きながら木の虚うろから這ひ出ると、

オヤ ナンデセウ サワグコヱ

ミレバ フシギダ ユメデシヨカ

 といふ事になるのである

 見よ。林の奥の草原に、この世のものとも思へぬ不可思議光景が展開されてゐるのである。鬼、といふものは、どんなものだか、私は知らない。見た事が無いかである。幼少の頃から、その絵姿には、うんざりするくらゐたくさんお目にかかつて来たが、その実物に面接するの光栄には未だ浴してゐないのである。鬼にも、いろいろの種類があるらしい。××××鬼、××××鬼、などと憎むべきものを鬼と呼ぶところから見ても、これはとにかく醜悪性格を有する生き物らしいと思つてゐると、また一方に於いては、文壇鬼才何某先生の傑作、などといふ文句新聞新刊書案内欄に出てゐたりするので、まごついてしまふ。まさか、その何某先生が鬼のやうな醜悪の才能を持つてゐるといふ事実暴露し、以て世人に警告を発するつもりで、その案内欄に鬼才などといふ怪しむべき奇妙な言葉使用したのでもあるまい。甚だしきに到つては、文学の鬼、などといふ、ぶしつけな、ひどい言葉を何某先生に捧げたりしてゐて、これではいくら何でも、その何某先生も御立腹なさるだらうと思ふと、また、さうでもないらしく、その何某先生は、そんな失礼千万醜悪綽名をつけられても、まんざらでないらしく、御自身ひそかにその奇怪の称号を許容してゐるらしいといふ噂などを聞いて、迂愚の私は、いよいよ戸惑ふばかりである。あの、虎の皮のふんどしをした赤つらの、さうしてぶざいくな鉄の棒みたいなものを持つた鬼が、もろもろの芸術の神であるとは、どうしても私には考へられないのである鬼才だの、文学の鬼だのといふ難解な言葉は、あまり使用しないはうがいいのではあるまいか、とかねてから愚案してゐた次第であるが、しかし、それは私の見聞の狭い故であつて、鬼にも、いろいろの種類があるのかも知れない。このへんで、日本百科辞典でも、ちよつと覗いてみると、私もたちまち老幼婦女子の尊敬の的たる博学の士に一変して、(世の物識りといふものは、たいていそんなものである)しさいらしい顔をして、鬼に就いて縷々千万言を開陳できるのでもあらうが、生憎と私は壕の中にしやがんで、さうして膝の上には、子供絵本が一冊ひろげられてあるきりなのである。私は、ただこの絵本の絵に依つて、論断せざるを得ないのである

 見よ。林の奥の、やや広い草原に、異形の物が十数人、と言ふのか、十数匹と言ふのか、とにかく、まぎれもない虎の皮のふんどしをした、あの、赤い巨大の生き物が、円陣を作つて坐り、月下の宴のさいちゆうである

 お爺さん、はじめは、ぎよつとしたが、しかし、お酒飲みといふものは、お酒を飲んでゐない時には意気地が無くてからきし駄目でも、酔つてゐる時には、かへつて衆にすぐれて度胸のいいところなど、見せてくれるものである。お爺さんは、いまは、ほろ酔ひである。かの厳粛なるお婆さんをも、また品行方正の聖人をも、なに恐れんやといふやうなかなりの勇者になつてゐるのである。眼前の異様の風景に接して、腰を抜かすなどといふ醜態を示す事は無かつた。虚うろから出た四つ這ひの形のままで、前方の怪しい酒宴のさまを熟視し、

「気持よささうに、酔つてゐる。」とつぶやき、さうして何だか、胸の奥底から、妙なよろこばしさが湧いて出て来た。お酒飲みといふものは、よそのものたちが酔つてゐるのを見ても、一種のよろこばしさを覚えるものらしい。所謂利己主義者ではないのであらう。つまり隣家の仕合せに対して乾盃を挙げるといふやうな博愛心に似たものを持つてゐるのかも知れない。自分も酔ひたいが、隣人もまた、共に楽しく酔つてくれたら、そのよろこびは倍加するもののやうである。お爺さんだつて、知つてゐる。眼前の、その、人とも動物もつかぬ赤い巨大の生き物が、鬼といふおそろしい種族のものであるといふ事は、直覚してゐる。虎の皮のふんどし一つに依つても、それは間違ひの無い事だ。しかし、その鬼どもは、いま機嫌よく酔つてゐる。お爺さんも酔つてゐる。これは、どうしても、親和の感の起らざるを得ないところだ。お爺さんは、四つ這ひの形のままで、なほもよく月下の異様の酒宴を眺める。鬼、と言つても、この眼前の鬼どもは、××××鬼、××××鬼などの如く、佞悪の性質を有してゐ種族のものでは無く、顔こそ赤くおそろしげではあるが、ひどく陽気で無邪気な鬼のやうだ、とお爺さんは見てとつた。お爺さんのこの判定は、だいたいに於いて的中してゐた。つまり、この鬼どもは、剣山隠者とでも称すべき頗る温和な性格の鬼なのである地獄の鬼などとは、まるつきり種族が違つてゐるのである。だいいち、鉄棒などといふ物騒なものを持つてゐない。これすなはち、害心を有してゐない証拠と言つてよい。しかし、隠者とは言つても、かの竹林賢者たちのやうに、ありあまる知識をもてあまして、竹林に逃げ込んだといふやうなものでは無くて、この剣山隠者の心は甚だ愚である。仙といふ字は山の人と書かれてゐから、何でもかまはぬ、山の奥に住んでゐる人を仙人と称してよろしいといふ、ひどく簡明の学説を聞いた事があるけれども、かりにその学説に従ふなら、この剣山隠者たちも、その心いかに愚なりと雖も、仙の尊称を奏呈して然るべきものかも知れない。とにかく、いま月下の宴に打興じてゐるこの一群の赤く巨大の生き物は、鬼と呼ぶよりは、隠者または仙人呼称するはうが妥当のやうなしろものなのである。その心の愚なる事は既に言つたが、その酒宴の有様を見るに、ただ意味も無く奇声を発し、膝をたたいて大笑ひ、または立ち上つて矢鱈にはねまはり、または巨大のからだを丸くして円陣の端から端まで、ごろごろところがつて行き、それが踊りのつもりらしいのだから、その智能の程度は察するにあまりあり、芸の無い事おびただしい。この一事を以てしても、鬼才とか、文学の鬼とかい言葉は、まるで無意味ものだといふことを証明できるやうに思はれる。こんな愚かな芸無しどもが、もろもろの芸術の神であるとは、どうしても私には考へられないのである。お爺さんも、この低能の踊りには呆れた。ひとりでくすくす笑ひ、

「なんてまあ、下手な踊りだ。ひとつ、私の手踊りでも見せてあげませうかい。」とつぶやく

ヲドリノ スキナ オヂイサン

スグニ トビダシ ヲドツタラ

コブガ フラフラ ユレルノデ

トテモ ヲカシイ オモシロ

 お爺さんには、ほろ酔ひの勇気がある。なほその上、鬼どもに対し、親和の情を抱いてゐるのであるから、何の恐れるところもなく、円陣のまんなかに飛び込んで、お爺さんご自慢の阿波踊りを踊つて、

むすめ島田年寄りやかつらぢや

赤い襷に迷ふも無理やない

嫁も笠きて行かぬか来い来い

 とかい阿波俗謡をいい声で歌ふ。鬼ども、喜んだのなんの、キヤツキヤツケタケタと奇妙な声を発し、よだれやら涙やらを流して笑ひころげる。お爺さんは調子に乗つて、

大谷通れば石ばかり

笹山通れば笹ばかり

 とさらに一段と声をはり上げて歌ひつづけ、いよいよ軽妙に踊り抜く。

オニドモ タイソウ ヨロコン

ツキヨニヤ カナラズ ヤツテキテ

ヲドリ ヲドツテ ミセトクレ

ソノ ヤクソクノ オシルシ

ダイジナ モノヲ アヅカラウ

 と言ひ出し、鬼たち互ひにひそひそ小声で相談し合ひ、どうもあの頬ぺたの瘤はてかてか光つて、なみなみならぬ宝物のやうに見えるではないか、あれをあづかつて置いたら、きつとまたやつて来るに違ひない、と愚昧なる推量をして、矢庭に瘤をむしり取る。無智ではあるが、やはり永く山奥に住んでゐるおかげで、何か仙術みたいなものを覚え込んでゐたのかも知れない。何の造作も無く綺麗に瘤をむしり取つた。

 お爺さんは驚き、

「や、それは困ります。私の孫ですよ。」と言へば、鬼たち、得意さうにわつと歓声を挙げる。

アサデス ツユノ ヒカルミチ

コブヲ トラレタ オヂイサン

ツマラナサウニ ホホヲ ナデ

オヤマヲ オリテ ユキマシタ

 瘤は孤独のお爺さんにとつて、唯一の話相手だつたのだから、その瘤を取られて、お爺さんは少し淋しい。しかしまた、軽くなつた頬が朝風に撫でられるのも、悪い気持のものではない。結局まあ、損も得も無く、一長一短といふやうなところか、久しぶりで思ふぞんぶん歌つたり踊つたりしただけが得とく、といふ事になるかな? など、のんきな事を考へながら山を降りて来たら、途中で、野良へ出かける息子の聖人とばつたり出逢ふ。

「おはやうござります。」と聖人は、頬被りをとつて荘重に朝の挨拶をする。

「いやあ。」とお爺さんは、ただまごついてゐる。それだけで左右に別れる。お爺さんの瘤が一夜のうちに消失てゐるのを見てとつて、さすがの聖人も、内心すこしく驚いたのであるが、しかし、父母の容貌に就いてとやかくの批評がましい事を言ふのは、聖人の道にそむくと思ひ、気附かぬ振りして黙つて別れたのである

 家に帰るとお婆さんは、

「お帰りなさいまし。」と落ちついて言ひ、昨夜はどうしましたとか何とかいふ事はいつさい問はず、「おみおつけが冷たくなりまして、」と低くつぶやいて、お爺さんの朝食の支度をする。

「いや、冷たくてもいいさ。あたためるには及びませんよ。」とお爺さんは、やたらに遠慮して小さくかしこまり、朝食のお膳につく。お婆さんにお給仕されてごはんを食べながら、お爺さんは、昨夜の不思議出来事を知らせてやりたくて仕様が無い。しかし、お婆さんの儼然たる態度に圧倒されて、言葉が喉のあたりにひつからまつて何も言へない。うつむいて、わびしくごはんを食べてゐる。

「瘤が、しなびたやうですね。」お婆さんは、ぽつんと言つた。

「うむ。」もう何も言ひたくなかつた。

「破れて、水が出たのでせう。」とお婆さんは事も無げに言つて、澄ましてゐる。

「うむ。」

「また、水がたまつて腫れるんでせうね。」

「さうだらう。」

 結局、このお爺さんの一家於いて、瘤の事などは何の問題にもならなかつたわけである。ところが、このお爺さんの近所に、もうひとり、左の頬にジヤマツケな瘤を持つてるお爺さんがゐたのである。さうして、このお爺さんこそ、その左の頬の瘤を、本当に、ジヤマツケなものとして憎み、とかくこの瘤が私の出世のさまたげ、この瘤のため、私はどんなに人からあなどられ嘲笑せられて来た事か、と日に幾度か鏡を覗いて溜息を吐き、頬髯を長く伸ばしてその瘤を髯の中に埋没させて見えなくしてしまはうとたくらんだが、悲しい哉、瘤の頂きが白髯の四海波の間から初日出のやうにあざやかにあらはれ、かへつて天下の奇観を呈するやうになつたのである。もともとこのお爺さんの人品骨柄は、いやしく無い。体躯は堂々、鼻も大きく眼光も鋭い。言語動作は重々しく、思慮分別も十分の如くに見える。服装だつて、どうしてなかなか立派で、それに何やら学問もあるさうで、また、財産も、あのお酒飲みのお爺さんなどとは較べものにならぬくらゐどつさりあるかいふ話で、近所の人たちも皆このお爺さんに一目いちもく置いて、「旦那」あるいは「先生」などといふ尊称を奉り、何もかも結構、立派なお方ではあつたが、どうもその左の頬のジヤマツケな瘤のために、旦那は日夜、鬱々として楽しまない。このお爺さんのおかみさんは、ひどく若い。三十六歳である。そんなに Permalink | 記事への反応(0) | 18:24

2026-04-10

ヒカキンの鬼茶のネーミングが謎

なんで麦茶に鬼と名付けた?

子供のためにワクワクした麦茶を作った、と言うストーリーから、鬼が結びつかないんだよね。

麦茶イメージ→ノンカフェイン子供でも安心して飲めるもの

ほかのブランドでも「やさしい」「ミネラル」など体に良いイメージが全面に出されている。

鬼のイメージ地獄ナマハゲ豆まき等こどもが恐れる存在

配信の暗い海から赤い稲妻鬼ヶ島は「怖い」「強い」感が強い。

そこでカテキンガンガンの目バキバキ冴える濃いお茶!鬼茶!だったらまだわかるけど。

一週間垂れ流しの後で可愛い鬼出してギャップ狙い?

それでも麦茶に鬼はわからない。

ローマ字にしても鬼はオニだし。

SNSで言われているけど、ミソキンに対して鬼茶はヒカキンの信念が薄い感じがするよね。

全部後付け感がある。

ヒヨコだしてピヨ茶の方がまだ理解できる。

2026-03-28

コンビニへの逆襲

今まで散々搾取されてきたので最近Amazonの受け取りで無料で利用させてもらっている。

ついでにオニギリでも買っていくとでも思ったか? ハッハッハ

2026-03-17

オニギリよりもパン屋の焼き立てがどれもこれも200円台300円台になってんのを騒ぐべき

2026-03-09

映画BLOOD THE LAST VAMPIRE を見た

う~ん、連載前提のお試し読み切り版って感じで一作の映画としては評価不能ってのが誠実な気がする50点。

 

米軍的な組織と組んでオニ狩りをしている始祖吸血鬼SAYA組織の指示により横田基地内の高校に潜入、そこで出会った2人の生徒に扮したオニオカマバーで働くオニと戦う。

 

マジでこんだけの話。

SAYAが始祖吸血鬼っていうのも「らしいよ」程度にしか語られないし、敵のオニも「そういう設定」以上のものは出てこない。SAYA所属している組織も2人のハンドラーがいてなんか指示は出してて米軍より上の階級組織だってことはわかるけどバックボーン不明

キリンマシーンSAYA高校に入ったことでゴタゴタが起きたりクラスメイト教師すったもんだする中で人間性を獲得するみたいなドラマ特にない。

目を付けたら保健室ですぐに襲い掛かって取り逃がして仮装パーティ会場に逃げ込んだオニと戦おうとするもまた失敗して取り逃がして~となるんだけど、こっちの期待感としてはせっかくパーティ会場に入ったらそこでの惨劇を所望だがそれも叶えられない。

まぁアニメーション結構頑張っていて、SAYAがなんかカリカチュアされた黒人みたいなタラコなのは俺的には気に入らないが、海外に売っていくための施策としてはそういうもんなんだろうけど、登場するキャラクターがみんなぬるぬるとよく動くしアクションも上々。色彩も舞台背景(1970年くらい)を意識してかかなり抑えられた色調で特にライティングが良い。短い中でアニメーションとして気が抜けている時間ほとんどなかったと思う。

ただ最後に大ボスが空を飛んで逃げ米軍輸送機に取りつこうとする展開をどう捌くかと思ったら車で追いついて横薙ぎ一閃というのも2体目と同じ殺し方で工夫がないなとちょっと残念。なんかいい感じの空中殺法見せてくれてもよかったやん?

とまぁ、よーするに「女子高生コスプレした女(吸血鬼オリジン)が日本刀を振り回してバケモンをバッタバッタと切り殺す」という設定の作品を作りますよ。そしてアクションに関してはこんだけやれますよ俺ら。だから予算(連載)くださいねというパイロットフィルムって感じだったかな。

実際これが実写映画ゲーム、そして怪作と名高いBlood-Cに繋がっていくのだから、役目は果たしたということか。

 

そんなわけでぬるぬるアニメーションして女子高生コスプレした女が日本刀を振り回してバケモンをバッタバッタと切り殺すアニメーションをご所望の方には普通にオススメはできるけど、映画見たいなって人には微妙本質的にはProduction I.Gプロモーションビデオだと思って見るべきだと思いました。

2026-02-22

桃太郎モスバーガーで働く

むかしむかし、日高屋での激務を乗り越え、接客の極意を極めた桃太郎は、次なる修行の場を求めて旅に出た。

さらなる高みへ行くには、新たな戦場必要じゃ」

そうして辿り着いたのが、緑の看板がまぶしい店――モスバーガーだった。

店先にはこう書かれていた。

「一つ一つ、心を込めて作ります」**

桃太郎はうなずいた。

「これは強敵の予感」

---

採用面接

店長志望動機を教えてください」

桃太郎「鬼を倒すより難しそうだからです」

店長採用

---

■初めての洗礼

モス厨房戦場だった。

テリヤキバーガー一つ!」

ポテトS!」

オニポテ変更!」

注文はまるで鬼の軍勢のように押し寄せる。

桃太郎「……これは鬼ヶ島より忙しいのでは?」

だが桃太郎は逃げなかった。

一つ一つのバーガーを、まるで宝物を扱うように丁寧に包む。

パンを置く。

具を重ねる。

ソースを整える。

その動きはもはや武術だった。

---

■再び集う仲間

噂を聞きつけ、あの三匹がまた現れた。

犬「接客なら任せてください!」

猿「包み紙折り世界一になります!」

雉「ドライブスルー上空警備を!」

店長採用

こうして

犬 → レジ係(尻尾振り接客

猿 → 包装担当(折り精度100%

雉 → 外案内(視界半径2km)

という布陣が完成した。

---

■最大の試練

ある日、伝説級の注文が入った。

客「全部抜きバーガーください」

店内がざわつく。

パンだけでいいのか。

それはバーガーなのか。

哲学なのか。

桃太郎は静かに頷いた。

桃太郎承知いたしました」

数秒後、完璧な“パンのみバーガー”が完成。

客は受け取ると、深くうなずいた。

客「……分かってるな」

去っていった。

スタッフ全員が桃太郎を見た。

店長「今のは…?」

桃太郎「鬼の中にも、色々おるのです」

---

■噂になる

「あの店、包みが美しすぎる」

接客武将

スマイル将軍

売上は右肩上がり

常連は口を揃えて言った。

「ここ、気がいい」

---

閉店後、桃太郎は空を見上げた。

(鬼退治で得た力は、人を喜ばせるためにあったのかもしれぬ)

犬が尻尾を振り、猿が拍手し、雉が一声鳴いた。

そして今日桃太郎は言う。

「できたてをお持ちしました!」

その声は、かつて鬼ヶ島に響いた名乗りよりも、ずっと優しかった。

桃太郎モスバーガーで働く

むかしむかし、日高屋での激務を乗り越え、接客の極意を極めた桃太郎は、次なる修行の場を求めて旅に出た。

さらなる高みへ行くには、新たな戦場必要じゃ」

そうして辿り着いたのが、緑の看板がまぶしい店――モスバーガーだった。

店先にはこう書かれていた。

「一つ一つ、心を込めて作ります」**

桃太郎はうなずいた。

「これは強敵の予感」

---

採用面接

店長志望動機を教えてください」

桃太郎「鬼を倒すより難しそうだからです」

店長採用

---

■初めての洗礼

モス厨房戦場だった。

テリヤキバーガー一つ!」

ポテトS!」

オニポテ変更!」

注文はまるで鬼の軍勢のように押し寄せる。

桃太郎「……これは鬼ヶ島より忙しいのでは?」

だが桃太郎は逃げなかった。

一つ一つのバーガーを、まるで宝物を扱うように丁寧に包む。

パンを置く。

具を重ねる。

ソースを整える。

その動きはもはや武術だった。

---

■再び集う仲間

噂を聞きつけ、あの三匹がまた現れた。

犬「接客なら任せてください!」

猿「包み紙折り世界一になります!」

雉「ドライブスルー上空警備を!」

店長採用

こうして

犬 → レジ係(尻尾振り接客

猿 → 包装担当(折り精度100%

雉 → 外案内(視界半径2km)

という布陣が完成した。

---

■最大の試練

ある日、伝説級の注文が入った。

客「全部抜きバーガーください」

店内がざわつく。

パンだけでいいのか。

それはバーガーなのか。

哲学なのか。

桃太郎は静かに頷いた。

桃太郎承知いたしました」

数秒後、完璧な“パンのみバーガー”が完成。

客は受け取ると、深くうなずいた。

客「……分かってるな」

去っていった。

スタッフ全員が桃太郎を見た。

店長「今のは…?」

桃太郎「鬼の中にも、色々おるのです」

---

■噂になる

「あの店、包みが美しすぎる」

接客武将

スマイル将軍

売上は右肩上がり

常連は口を揃えて言った。

「ここ、気がいい」

---

閉店後、桃太郎は空を見上げた。

(鬼退治で得た力は、人を喜ばせるためにあったのかもしれぬ)

犬が尻尾を振り、猿が拍手し、雉が一声鳴いた。

そして今日桃太郎は言う。

「できたてをお持ちしました!」

その声は、かつて鬼ヶ島に響いた名乗りよりも、ずっと優しかった。

2026-02-03

anond:20260203200601

節分豆まきって非合理だよな、と思っていた。男に限ったことではないが。

福とか鬼とかが実在するなら、自動豆まきマシンをつくって mp3

オニはーーーー外! フクはーーーー内!」

と喋らせればいい。

誰も本気でやらないのは、みんな薄々ウソだって気づいてるから

2025-12-29

anond:20251228180617

丸亀丼(無料) の作り方

1 空いてる丼を拝借して家から持ってきたオニギリを入れる

ネギ天かすだし用醤油すりごまふりかけ

2 丸亀丼(0円)完成

0円でこれはコスパ最強

普段の昼飯と比べてみろよ

2025-11-26

ニャー

ニャオーン

ニャニャニャ

ニャーン

ニャヮワ

ニャオニャオーン

ウニウニ

2025-11-25

オニホルダー

くだらなすぎる。これ最初に買った人が損するだけじゃん。 知らないキーボルダー付いてた。って宣伝じゃねえの?これ

2025-11-15

anond:20251114211943

そんなBL嫌か?

俺は中学の時に少女小説だと思って買った小説オニショタBLで読んでそっちに目覚めた。

ホモなわけじゃなくその頃はクラス女子で抜いてたし、ブルーシード紅葉で抜いた。

その後は兄の影響でオタクになった女の幼馴染からギャルゲーBLの手解き受けてどっちもいけるようになったから色々楽しめてお得。

なんで、BL無罪とか腐ェミの態度とかは不快だしぶん殴りたいくらい嫌ってるけどBL不快感とかはないかジャンル自体に対して怒ってる人の気持ちわからんのよ。

2025-10-23

たまにやるやつ

何気なくいつも置いておくとこじゃないとこにモノを置く、忘れてモノがないとパニック

いつもやらないことを何気なくして失敗の種を自分で蒔くやつ。

昨日夕方何気なくコンビニで値引きなってたからって買ったオニギリ、カバンの中から発見してガッカリしてる。

どうすれば治るんだ、こういう行動

2025-09-22

お兄ちゃん、おにいちゃんオニイチャン、ONIICHAN、哥哥、오빠、frère、hermano、おーにーいーちゃーんー、お↑に↓い↑ちゃ↓ん↑、おniiちゃん、0111010011お兄ちゃん010110、兄兄兄兄兄兄兄兄兄兄兄兄兄兄兄兄兄兄兄兄兄兄兄兄兄兄、にぃにぃにぃにぃにぃにぃにぃにぃ、ニーサマ、兄上様、あにき、アニジャ、ブラザー、おにいたま、おにーたん、にいやん、兄ちゃま、お兄様、兄くん、にいにい、にーちゃん、にーさん、兄貴兄者、兄御、あんちゃん

おおおおおおおおおにいいいいいいいいちゃんんんんんんん、お兄ちゃん?お兄ちゃん!お兄ちゃん…お兄ちゃん。お兄ちゃん~♪お兄ちゃん♡お兄ちゃん★お兄ちゃん◎お兄ちゃん※お兄ちゃん#お兄ちゃん@お兄ちゃん&お兄ちゃん%お兄ちゃん

オニイチャンオニイチャンオニイチャンオニイチャン御兄茶庵鬼威ちゃん音兄ちゃん尾荷胃ちゃん汚似異ちゃん

んゃちいにお、ンャチイニオ、ちゃんおにい、チャンオニイ、いちゃんおに、イチャンオニ、にいちゃんお、ニイチャンオ

お  に  い  ち  ゃ  ん

 お  に  い  ち  ゃ  ん

  お  に  い  ち  ゃ  ん

   お  に  い  ち  ゃ  ん

【お兄ちゃん】〔お兄ちゃん〕《お兄ちゃん》〈お兄ちゃん〉「お兄ちゃん」『お兄ちゃん

お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんちゃんちゃんちゃんちゃんゃんゃんんんん…

ぉにぃちゃん、ォニィチャン、ぉにぃちゃぁん、ぉにぃちゃぁぁぁん

お兄ちゃんがお兄ちゃんでお兄ちゃんとお兄ちゃんのお兄ちゃんをお兄ちゃんにお兄ちゃんはお兄ちゃんもお兄ちゃんよりお兄ちゃんからお兄ちゃんまで

おににににににににいいいいいいいちゃちゃちゃちゃちゃちゃんんんんんん

0兄ちゃん、お2ちゃん、お兄3ん、お兄ち4ん、お兄ちゃ5

兄↗ちゃ↘ん↗、に↘い↗ちゃ↘ん↗、お↗に↘い↗ちゃ↘ん↗

お兄ちゃん.exe、お兄ちゃん.txt、お兄ちゃん.jpg、お兄ちゃん.mp3、お兄ちゃん.avi

おっ、にっ、いっ、ちゃっ、んっ!

お兄ちゃん?お兄ちゃん!?お兄ちゃん…?お兄ちゃん!!!お兄ちゃん???お兄ちゃん…!お兄ちゃん!?!?

オ゛ニ゛イ゛チ゛ャ゛ン゛、オ゜ニ゜イ゜チ゜ャ゜ン゜、オ゚ニ゚イ゚チ゚ャ゚ン゚

おにいちゃんおにいちゃんおにいちゃんにいちゃんちゃんちゃんゃんんん     

兄様兄様兄様兄様兄兄兄兄兄

おにいちゃん

2025-09-18

anond:20250918110447

オニポテオニポテオニポテオニポテ!!!

あれのためにモスバーガーにいく

モスバーガー接客態度が全然違う、大変気配りを感じる

あとコーンスープも美味しいよ

サイドばっかりだけど

2025-09-08

不登校にならなくてよかった

うちは母親オニババアだったので不登校は許されず、たとえいじめられようが浮いていようが小中高と通わされた

20代後半なんだけど、今にして思えば毎日学校に行っていてよかった

いわゆる人間関係の失敗というかアラみたいなもの他人から感じさせられて辟易したこともあったけど、自分もたくさん失敗したんだよな

特に中学生くらいの、イキって痛い時期を同世代と過ごせたのは非常に良かった

人生絶対にイキってダサいことして周りからボコボコにされる時期が必要だと思うんだけど、それを周りもイキってダサくなる時期に済ませられたのがデカ

それから恋愛の、特に「恋に恋する」時期を過ごせたのも大きかった

ハッキリ言って身の程知らずな相手特攻して打ち砕かれて、それでも許されたのはまだ中学生だったからだし、

性欲に振り回されてあんまり好きでもない相手と付き合ってみて「なんか違う…」ってなって後腐れなく別れられたのは高校生だったからだ

今、不登校になっている子どもや、不登校になりたいと思っている子どもにこれだけは言いたい

周りがガキで辟易するかもしれないけど、それはボーナスタイムなんだ

自分も同じくらいガキで許される短い期間なんだ

中高と引きこもって、大人になってから社会に出たら、当然周りも大人から過ごしやすくはなるけど

その分、恋愛とかイキリみたいな人間としての粗を丸出しにできるチャンスはなくなるんだ

からやっぱり、歯を食いしばってでも学校には行っといた方がいいと思う

正直、昔いじめられてたこととか、大人になってから出会った人には言わなきゃバレないしな!笑

恥ずかしい思いをしたことって、大人になったら笑い話にもなるし、正直マイナスない

2025-09-05

うちには時間に超几帳面な猫がいる。

今年で3才になる、サビ柄の雌の体内時計すげーとなっている。

以下タイムスケジュール

5時、餌を要求

餌をやって食べ終わると、6時までナデナデやマッサージ要求

6時、家の中の探索を始める。

11時、家のどこかにはいる私を探し出し餌を要求

12時まで待てないでしょうかと猫語で会話。

ただニャアニャア言い合ってるだけだが。

12時、餌を食べると14時までそばから離れず、私の足や腕に身体スリスリさせ続ける。

14時から16時まで箪笥の上で昼寝。

16時からまた餌をください、17時まで待ってくださいのニャオニャオ応酬

17時に餌、18時までナデナデとマッサージ要求

18時、夜の定期巡回開始。

19時、私を探し出し、スリスリを開始。

21時、夜の巡回パート2

23時、箪笥の上で就寝。

2時、私の就寝に合わせ布団に降りてきて足もとで丸くなる。

猫ってもう少しルーズな生き物だった気もするんだが…と、几帳面に欲に忠実で甘ったれなのがとても面白い

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