■ ACLが開幕2013年のACLが開幕して、Jリーグ王者のサンフレッチェ広島が登場。初戦はホームのビッグアーチでウズベキスタンのブニョドコルと対戦した。ブニョドコルはウズベキスタンの首都のタシュケントをホームタウンにしている。ACLは6年連続6回目の出場で、過去5回はすべて決勝トーナメントに進出しているアジア屈指の強豪チームである。
ホームの広島は「3-4-2-1」。GK西川。DF塩谷、千葉、水本。MF青山敏、岡本、石川、山岸、石原、高萩。FW佐藤寿。土曜日にゼロックスの柏レイソル戦が行われたので、中3日となったが、MF清水と森崎兄弟がベンチスタートで、MF石原とMF岡本とMF山岸の3人がスタメンで起用された。右WBのMFミキッチは怪我のため欠場が続いている。
対するアウェーのブニョドコルは「4-2-3-1」。GKネステロフ。DFガフロフ、フィリポシャン、カリモフ、ジュラエフ。MFイブロヒモフ、ムサエフ、ブラジッチ、トゥラエフ、ハサノフ。FWピシュル。1トップのFWピシュルは196センチの長身で、高さを武器としている。ウズベキスタン代表の選手が多くて、カシモフ監督は代表監督とクラブの監督を兼任している。
■ ブニョドコルが2対0で勝利・・・ともにボールを大事にするスタイルなので、似たチームカラーと言えるが、ホームの広島は全体の運動量が少なくて、広島らしいサッカーができない。0対0のままで試合は進んでいくが、終了間際にブニョドコルはFKの流れからDFガフロフが右からクロスを入れると、これを196センチのFWピシュルが豪快にヘディングで決めてブニョドコルが先制。1対0とリードして前半を折り返す。
ホームで負けは許されない広島は、MF森崎浩やMF清水を投入。圧倒的にボールを支配して攻め込む時間帯もあったが、相手キーパーのGKネステロフの好セーブもあって同点ゴールは奪えず。すると、逆に後半41分にカウンターからMFムサエフにキーパーと1対1のチャンスを作られると、これを確実に決められて2失点目。0対2となる。
結局、試合はアウェーのブニョドコルが2対0で勝利して、貴重な勝ち点「3」を獲得した。一方の広島は、前回の2010年大会もACLの初戦をホームで落としているが、今回も同じ結果となった。グループGは、北京国安・浦項スティーラース・サンフレッチェ広島・ブニョドコルの4チームで構成されているが、広島は苦しいスタートとなった。
■ 失点に絡んだ千葉和彦広島は2010年大会はGLを突破できなかったので、今回は、並々ならぬ意気込みでACLに臨んでいるが、いきなり躓いてしまった。ゼロックスからメンバーを入れ替えて、MF石原とMF岡本とMF山岸をスタメンで起用し、MF岡本とMF山岸はまずまずだったが、MF石原はうまく攻撃に絡めずに力を出し切れなかった。後半になると、全体の運動量が増えて、圧倒する時間帯もあったが、ゴールは遠かった。
今オフは、即戦力の補強がほとんどなかったので、「鳥栖から戻ってきたMF岡本が戦力になりそうだ。」ということが分かったのは、収穫と言えるが、MFミキッチが不在の影響は大きかった。中央からのパスワークでチャンスを作れるときは問題ないが、こういう強敵と対戦するときは、彼がいるのか、いないのかは、大きな差になって表れてくる。
失点シーンは、ともにDF千葉の対応が十分ではなかった。1失点目は最初の空中戦で負けて、さらには、2回目のクロスに対する対応も十分ではなかった。DF千葉は183センチなので、高さのある選手と言えるが、相手は196センチなので、空中戦の勝負になると分が悪い。2失点目もDF千葉がクリアできそうなところをクリアしきれずに決定機を作られており、2つの失点に絡んだ。
■ 代表クラスを揃えるブニョドコルウズベキスタンというと、ちょうど1年前にW杯の三次予選で日本代表と対戦して1対0で勝利している。現在進行中の最終予選では、日本とは別のグループに入ったが、韓国やイランを抑えて首位を走っている。ブニョドコルもACLで好成績を残しており、最近のウズベキスタンは、代表も、クラブも結果を残している。特に、代表はW杯初出場のチャンスが膨らんでいるので、国内は盛り上がっているだろう。
先のとおり、カシモフ監督がウズベキスタン代表監督とブニョドコルの監督を兼任しているが、ブニョドコルの選手がウズベキスタン代表でも中心になっているので、効率よく強化ができている。スタメンのほぼ半分がウズベキスタン代表で占められており、ウズベキスタン代表に近い実力を備えているので、広島にとっては、かなり難しい相手だったが、経験の差が出てしまった。
日本代表は、レギュラーのほとんどが欧州のクラブに在籍しており、所属チームもバラバラであるが、ウズベキスタン代表はブニョドコルに代表メンバーが集まっている。ここ最近は、欧州でも、スペイン代表はバルセロナの選手が中心になっていて、ドイツ代表はバイエルンの選手が中心になっているが、こういうパターンが増えてきた。
日本でも、Jリーグの創生期は、FW三浦知、MFラモス、MF北澤、DF柱谷、DF都並など、ヴェルディ川崎の主力選手が日本代表でも中心となった時期があったが、同じようなことを、今、Jリーグのクラブがやろうと思っても、資金的な問題があって、絶対に無理である。ウズベキスタン代表とブニョドコルの関係は、羨ましく感じるところもある。
■ 1勝2敗1分けのスタート26日(火)と27日(水)にACLの1節が行われたが、浦和は中国の広州恒大に0対3で敗れて黒星スタートとなった。ACL初出場の仙台もホームでタイのブリーラムを相手に1対1のドローだったので、結果を出すことができたのは、中国の貴州人和にアウェーで1対0と勝利した柏だけで、トータルでは1勝2敗1分け。日本勢は出遅れてしまった。
今年からラウンド16もホーム&アウェー方式になって、「GLで1位になったチームのホームで行われる一発勝負」ではなくなった。そのため、グループリーグを1位で通過することで得られるアドバンテージは小さくなっているので、2位通過でも全く問題ない。よって、焦る必要はないが、ホームで敗れた広島はやや難しい立場になったと言える。
Jリーグはクラブ数が多くて、戦力が分散しているので、ACLのような国際大会では不利に働く。リーグ全体のレベルが、KリーグCリーグと比べて劣っているとは思わないが、近年、上位に入ることができないので、「Jリーグのレベルが落ちているのではないか?」という声もある。こういった声を封じるためにも、広島・仙台・浦和・柏のいずかにアジアを制覇してほしいと思うが、そんなに簡単な話ではない。
韓国のクラブはもちろんのこと、近年は、中国のクラブも豊富な資金力をバックに力を付けており、GLを突破することも大変である。ACLに詳しくない人は、「ACLのGLは突破して当たり前」という感覚を持っているが、そんなに甘くないので、日本サッカー協会や各チームのサポーターや放送権を持っている日本テレビ系列には、さらなるバックアップを期待したいところである。
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