■ 第10節J2の第10節。2連勝スタートを切ったものの、9節で徳島ヴォルティスに0対1で敗れて初黒星を喫したジェフ千葉が、同じく2勝1敗の愛媛FCと対戦。愛媛FCも9節でギラヴァンツ北九州に0対3で敗れて初黒星を喫した。ともに連敗だけは避けたい。
ホームの千葉<4-2-3-1>。GK岡本。DF山口慶、竹内、ミリガン、坂本。MF佐藤勇、伊藤、青木孝、米倉、深井。FW久保。怪我のFWオーロイはベンチスタートで、明治大学卒でルーキーのFW久保がスタメン出場。FW久保は名古屋グランパスの下部組織出身で日本代表でVVV所属のDF吉田麻也と同期になる。
対するアウェーの愛媛FCは<4-2-2-2>。GK川北。DF関根、池田、高杉、前野。MF渡邊、越智、赤井、杉浦。FW齋藤学、ジョジマール。MF田森とMF小笠原がスタメンを外れて、MF杉浦とMF渡邊がスタメン出場。DF前野は立命館大出身のルーキー。
■ ジェフ千葉が勝利試合の序盤は互角の展開。千葉は初先発のFW久保が前線で起点になって攻め込んでいく。愛媛FCも左サイドからの攻撃が機能して、何度かチャンスを作る。先制したのは千葉で、前半27分にMF佐藤勇がゴール前の絶好の位置でFKを獲得すると、これを大卒2年目のMF伊藤が右足で直接決めて先制する。MF伊藤はJリーグ初ゴール。前半は1対0で千葉がリードして折り返す。
後半は愛媛FCが立ち上がりから攻め込んでいく。開始2分にFW齋藤学が中央で起点になって右サイドに展開。DF関根がボールを持つと、右足のアウトサイドで意表を突くミドルシュートを放つと、これが鮮やかに決まって1対1の同点に追いつく。DF関根は2006年以来のゴールで5年ぶりのゴールとなった。
追いつかれた千葉は後半24分に切り札のWオーロイを投入。FWオーロイを中心に勝ち越しゴールを狙う。試合の流れが動いたのは後半33分で、愛媛FCのDF前野が2枚目のイエローカードを受けて退場。千葉が数的優位となる。これで完全に愛媛FCが引いて守ってきて、勝ち点「1」を狙う守備的な戦い方にシフトチェンジする。
千葉は終盤にDFミリガンのロングスローで立て続けにゴール前でチャンスを作るが、愛媛FCのGK川北が落ち着いて対応し、このまま1対1で終了するかと思われた後半45分に、FWオーロイが競ったボールをMF深井が左サイドから左足で強烈なシュートを放つと、これが豪快に勝ち越しに成功する。MF深井は今シーズン2ゴール目。
結局、このゴールが決勝ゴールとなって2対1で千葉が勝利。今シーズン3勝目を挙げて2位に浮上した。一方の愛媛FCは、あと少しのところで勝ち点「1」を逃して2勝2敗。11位に転落した。
■ FWオーロイは途中出場1対1のままで終了するかと思われた試合は、千葉が勝ち点「3」をつかんだ。後半24分にFWオーロイを投入したが、愛媛FCも182㎝のDF高杉がうまく対応しており、FWオーロイにシュートは打たせなかったが、やはり、FWオーロイが起点になって決勝ゴールが生まれた。
FWオーロイは3試合目の出場であるが、3試合で3ゴール2アシスト。チームが挙げた8ゴールのうち、7ゴールに絡んでいる。しかしながら、意外とシュートは打てておらず、放ったシュートは3本のみ。したがって、3本シュートを放って3ゴールを決めているので決定率100%となる。面白いデータとなるが、シュートを打てなくても、チームにしっかりと貢献できている。
204㎝で紳士的に見えるが、プレー中はかなり熱い。よく言うと「クレバー」、悪く言うと「ずる賢い」ところがあって、相手のファールを誘うのも上手い。FWオーロイと競り合うときは、どうしても相手DFは先に飛んでFWオーロイを押さえつけるようにして飛ぶしかないが、そうなると、レフェリーの観方によっては、DF側のファールを取られる可能性も高くなってくる。かなり厄介な選手である。
■ MF深井が決勝ゴール決勝ゴールを決めたのはMF深井。161㎝しかないので、FWオーロイとの差は43㎝となるので、Jリーグ史上でも屈指の凸凹コンビとなるが、このコンビが決勝ゴールを生み出した。後半2分にDF関根が同じようにアウトサイドを駆使したファインゴールを決めているが、どちらも素晴らしいゴールで甲乙つけがたいほどのスーパーゴールだった。
右サイドには、1節、8節、9節はMFマット・ラムを起用し、この試合はMF青木孝を使ってきたが、左サイドはMF深井で固定されており、ドワイト監督の信頼も厚い。
千葉は、「右サイドのMF太田」、「左サイドのMF村井」と、J2で屈指のサイドアタッカーを擁するので、FWオーロイの高さだけに頼るのであれば、右サイドにMF太田、左サイドにMF村井を起用するのがベターな選択のように思われるが、そうなると攻撃の幅がなくなるので、「チーム状況は良くない。」という信号となる。MF深井本人は「月に1点」と言っているが、二桁ゴールが自身のノルマとなる。
■ MF伊藤がFKで初ゴール先制ゴールを決めたのはボランチのMF伊藤で、右足のFKが直接ネットを揺らした。DF関根のゴール、MF深井のゴールの影に隠れてしまったが、MF伊藤のゴールも見事なゴールであった。その後も、同じようにFKでポストを叩くシュートを作るなど、この日のキックは精度も高く、フィーリングのよさそうで愛媛FCの脅威となった。
初先発のFW久保もまずまずの出来で、FWオーロイの代わりに1トップでスタメンに入ったが、落ち着いたポストワークでしっかりと起点になった。FWオーロイがいないときにどれだけ勝ち点を取りこぼさずに行けるかが千葉の課題だったので、FW久保に目途が立ったのは大きいといえる。
トップ下にはMF米倉がいるので、FWオーロイが万全であれば、FW久保がスタメンで起用されることは考えにくいが、今後も、途中出場ではチャンスはあるだろう。この日もヘディングシュートで惜しいシーンを作ったが、早い時期に初ゴールを決めたいところである。
■ 愛媛FCは惜敗一方、愛媛FCはアウェーなのでドローに持ち込めればOKであったが、最後のところでMF深井に決められて勝ち点「1」を逃してしまった。
試合終了後にバルバリッチ監督がピッチまで出てきて抗議をしていたが、前半から愛媛FCに不利な判定が多く、レフェリーとの相性が悪かったのは気の毒な部分があったが、不必要なファールが多く、ファールでリズムを崩す時間帯もあった。9節でホームで北九州に敗れた嫌な流れを断ち切りたかったが、ストップさせることはできなかった。
ただ、内容的には悪くはない。アウェーで千葉を相手にこれだけできたということは自信にもつながるはずである。昨シーズンは36試合で34失点とリーグでも屈指の守備力を誇ったが、今シーズンは、そこに攻撃力が上積みされていて、着実にチームは進歩している。11節に湘南ベルマーレ(A)、12節に徳島ヴォルティス(H)、13節に栃木SC(A)と力のあるチームとの対戦が続くが、どのくらいできるかは見物である。
■ DF前野は好プレーを見せるも・・・新戦力では大卒ルーキーのDF前野がスタメン出場。持ち味の攻撃力を発揮し、好プレーを見せていたが、後半に2枚目のイエローカードを受けて退場。2枚とも必要のないイエローだったので、不用意だった。クレバーにプレーしていただけに、残念なシーンだった。ただ、3試合目の先発でも力を発揮し、レギュラー定着には大きくアピールできたといえる。
DF前野は愛媛FCの下部組織出身で大学を卒業してから、再び、愛媛FCに帰ってきた選手である。先制ゴールを決めたジェフ千葉のMF伊藤も同様のケースであり、ユースからトップチームに上がれなかった選手が、大学を経由して、再び、プロの世界に入ってくるということは多くなってきている。日本の場合、大学サッカーも力を持っているので、本人の自覚次第であるが、大学の4年間というのも、遠回りにはならないこともある。
特に、即戦力の選手が必要なJ2のクラブにとって、大学生は貴重な選手の供給源になっており、ここ最近、たくさんの大卒ルーキーが活躍しているのは、喜ばしいことである。ユース育ちだけ、高校卒だけではないところが、日本サッカーの幅の広さを感じさせるところであり、誇れるところである。
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