■ 残留争いの直接対決J1の第21節。4勝9敗7分けで16位のジェフ千葉と3勝10敗7分けで17位の柏レイソルの対戦。ともに降格圏内で残留に向けて厳しい試合が続く。
ホームの千葉は江尻新監督の2試合目。初戦はジュビロ磐田に2対3で敗戦するも、3点ビハインドの後半に追い上げて1点差に迫るなど、チームが様変わりした姿を見せた。
新監督のホームの初戦は千葉ダービー。システムは<4-4-1-1>。GK櫛野。DF坂本、池田、福元、青木良。MF中後、工藤、深井、アレックス。FWネット・バイアーノ、谷澤。FW巻は出場停止で、FWネット・バイアーノがスタメン出場。FW谷澤が1.5列目に入る。
アウェーの柏のネルシーニョ監督も2試合目。GK菅野。DF蔵川、近藤、パク・ドンヒョク、小林。MF杉山、栗澤、ポポ、大津。FW菅沼、田中。順天堂大学在学中で強化指定選手のFW田中順也がJリーグデビュー。FWフランサ、FW北島、MF小林慶がベンチスタート。FW李忠成はベンチ外。
■ またしてもドロー試合は前半からホームの千葉ペースで進む。Jリーグ3試合目のFWネット・バイアーノを起点にポゼッションでも優勢で試合を優位に進める。しかし、前半29分にFWネット・バイアーノが相手に対する肘打ちで一発レッドカードで退場。10人となる。
その後は、数的優位の柏がボールを支配して攻め込むが、効果的な攻めは出来ない。唯一、左サイドハーフに入ったMF大津がボールを持ったときは可能性を感じさせる攻撃を見せたが、柏の攻撃はなかなか噛み合わない。
千葉もカウンターで何度かチャンスを作るが、ゴールは奪えず。結局、千葉ダービーは0対0のドローに終わった。
■ ネット・バイアーノのレッドカード超満員の17899人を集めたフクアリのムードは最高潮。ホームの声援を背に千葉は攻め込んだが、前半29分のFWネット・バイアーノの退場が痛かった。FW巻が出場停止にも関わらず、前半からFWネット・バイアーノをトップにいい攻撃を見せていただけに、大きな攻撃力ダウンとなった。
レッドカードの場面は、FWネット・バイアーノとしては、意図的なプレーではなく、相手をブロックしようとした不可抗力のプレーだったかもしれないが、運悪く、相手の顔にヒットしてしまって、レッドカードは妥当な判定だった。
ホームゲームであり、チャンスが多かっただけに千葉としては勝てる試合だった。数的不利の状況でよく無失点でしのいだが、勝ち点「2」を失ったといえる。
■ 背番号「10」の工藤浩平結果には結びつかなかったが、試合内容は悪くなかった。11対11の場面はもちろん、10対11になった後も、うまくリズムを作れない柏とは対照的に、千葉は意図したチームプレーが出来ていた。
特に中盤はミラー監督時代と大きくメンバーは変わっていないが、攻撃的な姿勢はアップしていて、ボール回しが非常にスムーズになった。MF工藤とMF中後というボールを持てるダブルボランチがいることでボランチから前線に際どいパスが渡るようになったことも、改善されたポイントである。
MF中後の出来も良かったが、MF工藤の出来も良かった。昨シーズンも、前半戦は不調でスタメンを外れることも多かった、後半戦に巻き返して残留に大きく貢献したMF工藤だが、今シーズンも、残留出来るかどうかのカギを握るだろう。
2008年に日本代表候補にも呼ばれていて、今シーズンはチームでは背番号「10」を背負うが、比較的、自身の出来がチーム状況に左右されやすい。チーム状況が悪いときはプレーが空回りしやすく、物足りなさも目立つ一方で、チーム状況が良くなると、途端に、自身のプレーも向上する。
背番号「10」を背負う選手としては、チーム状態が悪いときに自身のプレーで流れを呼び込むようなプレーも必要であるが、周囲を生かすことで自らも生きるタイプなので、仕方ない面もある。MF工藤がいいプレーをしている試合は千葉はうまく機能しているとみても、大きな間違いはない。
■ 大津頼みの攻撃陣一方で、ネルシーニョ監督になって2試合目の柏だが、大きく改善された様子は見られなかった。試合の3分の2の時間で数的優位であったが、攻撃においては生かしきることは出来なかった。
<4-2-2-2>のフォーメーションでサイド攻撃がやりやすいフォーメーションであるが、サイドアタッカータイプは不在。MFポポとMF大津も頻繁に中に入ってくるので、サイドに人数がいるようで人数はおらず、サイドから攻めるのか、中央から攻めるのか、非常に中途半端である。
MF大津が中央に入ってタメを作ってサイドに展開するとき大きなチャンスになったが、流れの中でチャンスになりかけたのは、このパターンのみだった。怪我人が続出しており、どれがベストメンバーなのか、まだ分からない部分はあるが、ネルシーニョカラーはまだ見られない。
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