■ 5月10日に発表2010年5月10日に南アフリカワールドカップに出場する日本代表メンバー23人が発表される。1998年のフランス大会ではFWカズの落選、2002年の日韓大会ではベテランのDF秋田豊とFW中山雅史の選出、2006年のドイツ大会ではFW巻誠一郎の選出と、毎度、サプライズがあったが、今回はどうだろうか?
改めて考えてみると、代表メンバーを決める作業というものは非常に難しいものである。クラブチームとは違って、代表チームは基本的には4年という長期スパンである。2年・3年と時間をかけてチームを作っていく。たまに集まって、たまに合宿を行って、たまに試合をして、すぐに解散する、という流れで時間は進んでいく。
難しくするのは、選手達のパフォーマンスは、この間に、大きく変動するということである。チーム作りを進めていく中で、急激な成長を見せる選手もいるし、その逆に、急激な衰えを見せる選手もいる。2年前には絶対的な存在で必要不可欠だった選手が今は必要ないかもしれないし、その逆もあり得る。「旬」な選手を見極める能力が代表監督には必要とされる。
■ 2年前のコートジボワール戦①この点で見ると、日本代表の岡田監督はメンバーを固定しがちである。これまでのところ、14人から18人くらいが「レギュラーグループ」で、この枠から外れている選手が「レギュラーグループ」入りを果たすのは難しい。その一方で、一度、「レギュラーグループ」に入ってしまえば、かなり優遇されるのも特徴である。
ここで、2008年5月に行われたコートジボワール戦の先発イレブンを思い出してみる。
この試合のスタメンは、「GK楢崎。DF駒野・中澤・闘莉王・長友。MF今野・長谷部・松井・遠藤。FW玉田・大久保。」の11人であるが、見ての通りでこの11人は大きなアクシデントがなければ、全員が23人の最終メンバーに入ってくると予想されている選手であり、このイレブンがグループリーグ初戦のカメルーン戦の先発イレブンに選ばれる可能性はゼロとはいえない。
このコートジボワール戦というのは、その前に行われた3月のアウェーのバーレーン戦で0対1の敗戦を喫したことで岡田ジャパンに対する非難の声が非常に多くなってきていた時期である。このバーレーン戦の敗戦をきっかけに、岡田監督はオシム前監督のスタイルを捨てて「オレ流」を宣言し、本格的に第二次の岡田ジャパンを発足させた節目の試合といえる。
特徴的なのは、Jリーグにデビューしたばかりでほとんど実績の無かったDF長友の抜擢、オシム監督時代にはあまり代表に呼ばれなかったMF長谷部の起用、ジーコジャパン以後、代表から外れていたFW玉田のスタメン起用であるが、その一方で、MF鈴木啓太、MF羽生直剛、MF山岸智といったオシム監督時代に重宝されていた選手はメンバーから外れていった。
■ 2年前のコートジボワール戦②今、コートジボワール戦のスタメン11人を見ると、岡田監督の監督としての能力の優れている部分と、そうでない部分がはっきりと分かる。
結果的には、このメンバーを中心に南アフリカ行きを決めることが出来たので、監督就任当初から岡田監督の頭の中で描いていたプランの完成度の高さがうかがい知れる。この点では岡田監督の監督としての資質の高さを感じさせるが、一方で、2年が経過して、ほとんどそのメンバーと現状で変わっていないことからは、頑固さや柔軟性の乏しさも感じされる。この2年の間に、FW岡崎とMF本田圭がレギュラーメンバーに加わって来て、本大会でもスタメン出場を果たす可能性は高いが、コートジボワール戦からほとんどメンバーが変わっていないというのはマンネリ化を生んだ要因の1つであり、岡田ジャパンのメンバー選考に関する一番の特徴といえる。
■ 第3のセンターバックは誰か?①以上を踏まえて、23人枠のポイントとして挙げたいのは第3のセンターバックは誰か?ということである。
センターバックのレギュラー候補が、DF闘莉王とDF中澤の二人であることに疑いようはない。というよりも、現状ではこのセンターバックの組み合わせ以外は考えられない。DF中澤はドイツ以後、一時期、代表から引退していたが、2007年に代表に復帰すると不動の存在であり続ける。オシム監督時代に代表デビューを果たしたDF闘莉王も圧倒的な高さでその地位を不動にした。
問題は第3のセンターバックである。フランス大会ではDF中西が出場停止になって、(3バックだったので)第4のセンターバックだったDF小村に最終のジャマイカ戦では出番が回ってきた。日韓大会でも初戦のベルギー戦でDF森岡が負傷したため、その後はDF宮本が代役を務めることになった。ドイツ大会では大会直前にDF田中が負傷し、DF茂庭が緊急召集され、第1戦のオーストラリア戦でDF坪井に代わって途中から出場した。
いずれの大会でも、怪我やイエローカードの累積で第3、第4のセンターバックに出番が回ってきている。
■ 第3のセンターバックは誰か?②候補は何人かいる。第1候補は東アジア選手権の韓国戦でも途中出場した鹿島アントラーズのDF岩政だろうか。187cmの高さは対戦相手に大型フォワードので重宝するかもしれない。また、セルビア戦で先発出場したDF栗原も候補の1人である。セルビア戦では低調なパフォーマンスだったが、この時期に代表に呼ばれてスタメンで出場するというは相当に期待されているという証拠である。
スピードタイプのセンターバックとして、湘南ベルマーレのDF村松が選出される可能性もゼロとはいえない。岡田監督はロンドン世代屈指のセンターバックを高く評価しているようで、本大会で、FWエトーらスピードのあるストライカーと対峙することを考えると、オプションとしてスピードタイプのセンターバックを用意しておくことも必要になるかもしれない。
ただ、DF村松は若くてJリーグでの経験も1年余りと不安な部分はある。その点で言うと、検討してもいいのではないかと思われるのが京都サンガのDF水本。京都はここまで10試合で20失点と守備が崩壊しているようなイメージもあって、大きなアピールは出来ていないが、DF水本個人で見ると、そのパフォーマンスは低くはない。ポカミスもあるが、アプローチの早さは魅力である。
DF中澤とDF闘莉王で万全だと考えるなら、(リスクは大きいが、)本職のセンターバックは2枚だけで他のポジションに枠を回すということも考えられる。このときは、DF今野とDF阿部がセンターバックに入ることになる。DF今野はFC東京でもセンターバックでプレーしているが、DF阿部は浦和ではボランチでプレーしており、共に本職はボランチで、単純な高さ勝負では不安は大きい。
■ 槙野はどうか?この最後に、個人的な意見を書くと、第3のセンターバックとして広島のDF槙野を、ぜひ、召集してほしいと思っている。攻撃的なセンターバックで攻撃力ばかりがクローズアップされるが、ディフェンス力もなかなかである。そして、何よりもムードメーカーの役割を担えるキャラクターであり、暗いムードになりがちな岡田ジャパンにとって救世主になり得る。
DF今野あるいはDF阿部をセンターバックで起用することに関しては、スタメンで起用するとなるとかなり危険な感じは否めず、やはり、センターバックは本職の選手をDF闘莉王とDF中澤とあと一人を召集するのがベターではないかと思う。特にDF阿部については、今シーズンのパフォーマンスを考えるとボランチのスタメンで起用しても十分にやれるだけのプレーを見せていると思う。DF阿部はボランチのレギュラー候補で、中澤・闘莉王・槙野で第4のセンターバックで今野というのがベターではないかと考える。
最終メンバー発表まで、あと少し。
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