■ でも、何も変わらない・・・”悔いが残る戦い”というほかない。WBC(ワールドベースボールクラシック)に出場している日本代表は、韓国代表に敗れて、準決勝進出の可能性がほとんどなくなった。
オールプロフェッショナルのスター選手を集めて挑んだ大会で、隣国の韓国に連敗というのは屈辱的なことだが、日本プロ野球界の構造はきっとこれからも変わらないだろう。シドニー五輪で韓国に敗れても、アテネ五輪でオーストラリアに敗れても何も変わらなかったように。
王貞治という人物が凡庸な監督だということは、普段パシフィックリーグの試合を見ているファンにはよく知られていることだが、何の議論もなく、いつの間にか、ネームバリューがあるからといって代表監督という重役を任せた野球界のトップのお偉方には、将来の野球界に対してのビジョンは何もなく、次は野村克也、その次は星野仙一とメディア受けする監督を、順番に送り込んでくるだろう。
■ すべてにおいて未熟だったとはいったものの、この結果を選手や監督の責任だけに押し付けるのはフェアではないだろう。代表の試合でも空席の目立つスタンド、相手の好守に(高みの気持ちから)軽々しく歓声を上げる生ぬるい空気、野球の日本代表を取り巻くサポート体制は、全てにおいて未熟だったといわざる得ない。
かといって、「野球の実力でも韓国に追い抜かれてしまった」とか、「日本の野球のレベルは思ったほど高くなかった」とかいうつもりはない。ボクは、ライオンズのファンなので、正直に言って、松坂大輔や和田一浩が試合に出場していないのなら、日本代表の試合結果よりも、ライオンズのオープン戦の試合結果の方がずっと気になる。もし、許や張やカブレラが母国の代表として試合に出場していれば、全力でサポートするし、日本代表相手の試合でも活躍してほしいと願う。
代表の試合は確かに注目度も高いし大切なものだが、それ以上に、レギュラーシーズンの方が大切だ。メジャーでもトップスターのイチロー以外の日本人メジャーリーガーが、シーズンに悪影響が出るのを恐れて出場を辞退した。その気持ちは、理解できる気がする。
■ 勝手に注目して勝手に批判する構造世界中のほとんどのサポーターは、毎週末に行われるひいきチームの試合を楽しみにして、週を過ごす。そういう観点から言うと、今のサッカー日本代表に対して浴びせられる、「ドイツワールドカップでグループリーグ敗退に終わったら日本サッカーはおしまいだ。」的な論調には、大いに疑問を感じる。
トリノ五輪のあと、メダル獲得が期待されながら、思ったような成績を残せなかった選手に対して、「バンクーバーでは是非メダルを・・・。」という声が聞かれたが、幸いにして、野球もサッカーもそんな過酷な状況ではない。大舞台(注目される試合)だけ勝手に期待して、勝手に失望するのは、もうやめにしよう。そんな見方じゃつまんない。
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