■ 罰金は1,000万円J1のヴィッセル神戸が6月27日のナビスコカップの横浜FM戦で「ベストメンバー規定」に反したとして、けん責と制裁金1000万円を課せられた。同規定は、「直前のリーグ戦5試合で1試合以上先発した選手を6人以上、先発メンバーに起用しなければならない。」となっているが、4人しか該当しなかったという。
ベストメンバー規定については、以前より、「必要ないのでは?」という意見は多い。この試合は、ナビスコカップの最終節で、神戸にとっては消化試合だったので、モチベーションを保ちにくい試合であり、大きくメンバーを入れ替えてきたと思うが、ルールはルールなので、守らなければ、罰せられても仕方がない。
直近のリーグ戦の5試合ということで、11節の名古屋戦、12節の広島戦、13節の鹿島戦、14節の磐田戦、15節の新潟戦の5試合が対象になると思うが、西野監督が指揮を執るようになったのは、13節の鹿島戦からなので、気の毒なところもあるが、こういう決まりがあるので、しっかりと各クラブはチェック機能を働かせていると思っていたが、ルーズなところもあるようだ。
ベストメンバー規定の是非はともかくとして、1000万円という金額は、バカにできない額であり、クラブ内でチェック体制が働いていないのであれば、これは問題であると言わざる得ない。
■ 同じ日の鳥栖のスタメンこの件を聞いて、「どうだったかな?」と思って、改めて確認したのが、同じ日のC大阪と鳥栖の試合のスタメンである。この試合は、鳥栖に2人の退場者が出たこともあって、ホームのC大阪が5対0で勝利しているが、このときの鳥栖のスタメンは、以下のとおりである。
GK 赤星拓 → OK
DF 小林久晃 → OK
DF 犬塚友輔
DF 呂成海 → OK
DF 坂井達弥
MF 水沼宏太 → OK
MF 國吉貴博
MF 清武功暉
MF 黒木晃平
FW トジン → OK
FW 野田隆之介 → OK
このとおりで、スタメンは控え組が中心となっているが、直近のリーグ戦5試合でスタメンで出場しているのは、GK赤星、DF小林、DF呂成海、MF水沼、MFトジン、FW野田の6人で、ベストメンバー規定はギリギリで満たしているが、開始2分でDF小林がベンチに下がって、MF黒木恭平が投入されている。
アクシデントがあったわけではないので、そのときは、「何で開始2分で交代するのか?」と思ったが、MF黒木恭平は直近5試合でスタメンで起用されておらず、MF黒木恭平が先発の場合、ベストメンバー規定を満たさなくなる可能性がある。
厳密に言うと、それ以後の5試合の出場状況も加味されるので、「即、アウト」というわけではないが、ここでは、尹晶煥監督はベストメンバー規定を守ることを意識した選手起用を行ったように思われる。
■ ベストメンバー規定は必要か?とはいっても、鳥栖のやり方も、好ましいことではない。交代枠を開始2分で、1つ削ってしまうわけで、勝利の可能性は下がってしまう。当然、ルールなので、守らなければならないものであるが、ベストメンバー規定を守るためだけに、こういった選手起用がなされたら、本末転倒である。
結局のところ、どの試合に力を入れるべきか、どのタイミングで新しい選手を起用するのか、そういった判断は、各クラブにゆだねられるべきで、「直前のリーグ戦5試合」という決まりも、「1試合以上」という決まりも、「6人以上」という気まりも、誰が、どういう理由で決めたのか、はっきりせず、その妥当性の判断も難しい。
ベストメンバー規定が必要だった時期もあったとは思うが、各クラブの保有する選手数も減ってきて、今、現在、誰がこの規定で恩恵を受けているのかというと、答えるのは難しい。現状は、誰も得をしておらず、そろそろ、廃止の方向で動いてもいいのでは?と思われる。
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