■ J1の第25節J1の第25節。7勝13敗4分けで勝ち点「25」の清水エスパルス(13位)と、12勝8敗4分けで勝ち点「40」のガンバ大阪(5位)がIAIスタジアム日本平で対戦した。好調のG大阪は首位の浦和との差は「10」と離れているが、2位の川崎Fと3位の鳥栖との差は「4」で、4位の鹿島との差は「3」なので、十分にACL出場を狙える位置に付けている。
ホームの清水は「3-4-3」。GK櫛引。DFブエノ、平岡、三浦弦。MF本田拓、六平、石毛、吉田豊。FW大前、ノヴァコヴィッチ、水谷。ここ最近は3バックを採用しているが、1995年3月生まれのDF三浦弦が左ストッパーでスタメン出場となった。FWノヴァコヴィッチは24試合で10ゴール、FW大前は24試合で6ゴールを挙げている。
対するアウェーのG大阪は「4-2-2-2」。GK東口。DFオ・ジェソク、岩下、丹羽、藤春。MF遠藤、今野、阿部浩、二川。FW佐藤晃、宇佐美。10試合で4ゴールのFWパトリックはベンチスタートで、前節の大阪ダービーで2点目のゴールを挙げたFW佐藤晃がスタメンで起用された。新・ダービー男のMF阿部浩は20試合で7ゴールを挙げている。
■ G大阪は4試合連続で完封勝利試合は立ち上がりからアウェーのG大阪が優勢となる。すると、前半21分にFW佐藤晃とのワンツーから自らシュートチャンスを作ったFW宇佐美がドリブルで左サイドに流れながら左足でシュートを決めてG大阪が先制に成功する。開幕から数試合は怪我で欠場していたFW宇佐美は17試合で8ゴールとなった。前半は1対0とG大阪がリードして折り返す。
前半の30分あたりからシュートチャンスを作るようになった清水は後半も同じようにFWノヴァコヴィッチやFW大前を中心に攻撃を仕掛ける。G大阪が先制した後はどちらかというと清水ペースと言えたが、後半39分にやや劣勢だったG大阪が右サイドでFKを獲得すると、MF遠藤の高精度のボールをDF丹羽が決めて貴重な2点目を挙げる。
さらに後半50分にはFW宇佐美のパスを受けた途中出場のFWリンスがペナルティエリア内でドリブルで相手をかわしてからシュートを決めてダメ押しの3点目を挙げる。FWリンスは今シーズン4ゴール目となった。結局、3対0でG大阪が勝利してこれで4試合連続完封勝ちとなった。一方の清水はリーグ戦は6試合勝ちなしと苦しんでいる。
■ 今シーズン8ゴール目の宇佐美貴史試合前の段階で残り10試合で10差を付けられているので、ここから首位の浦和を逆転するというのはかなり難しいが、「ACLの出場権獲得は十分に可能」と言えるG大阪はこれで4連勝となった。過密日程の影響もあって、この日は内容はあまり良くなかったが、確実にチャンスをものにして、終わってみると3対0というスコアに落ち着いた。
圧巻だったのは1点目のFW宇佐美のゴールである。下がりの位置でボールを受けたが、FW佐藤晃とのワンツーでバイタルエリアに侵入していくと、ドリブルで左方向に切れ込みながら左足でのシュートチャンスを作ると、ブラインドになるためキーパーのGK櫛引が処理するのが難しいタイミングでシュートを放って先制ゴールを記録した。
これで8ゴール目となったが、シュートセンスというのは日本人の中では図抜けたものがある。中学年代の頃からドリブルが注目されており、相手選手を次々とかわす天才的なプレーが多くのサッカーファンを虜にしたが、ドリブル突破だけで終わらないのがFW宇佐美という選手である。この日のゴールは「彼らしいゴール」だったと思う。
■ 日本代表入りと欧州への再チャレンジこれだけの活躍を見せていると、アギーレジャパン入りを期待する声が高まるのは確実で、再度の欧州移籍を期待する人も増えてくるのも間違いないが、2018年のロシアW杯に向けて「日本代表に復帰して活躍すること」と「もう一度、欧州のクラブに移籍して活躍すること」の2つというのはFW宇佐美にとっては「ノルマ」に近い話である。
以前、ドイツでプレーしたときはバイエルンでも、ホッフェンハイムでも苦労した。最初にMFリベリであったり、MFロッベンであったり、MFトマス・ミュラーであったり、世界最高峰の選手が同ポジションに何人もいるバイエルンに移籍したことが苦労した理由で、順風満帆だったFW宇佐美はサッカー人生で初めてとも言える挫折を味わった。
結局、バイエルンでほとんど出場機会を得ることができなくて、自信を失ったままでホッフェンハイムに移籍することになった。ホッフェンハイムでも活躍できなかったが、有り余るような自信をバックボーンにしてある意味では相手を小ばかにするようなプレーがFW宇佐美の特徴なので、あのときの精神状態であれば、どのクラブでも難しかっただろう。
昨シーズンの途中にG大阪に戻って来てからは失われていた自信を取り戻しており、なおかつ、守備で貢献したり、味方選手がプレーしやすい環境を整えたり、いろいろな部分で大人になってきている。欧州への再チャレンジというのは、G大阪に復帰したときからずっと考えてきたことだと思うが、再チャレンジの準備は整ってきている。
■ 1勝6敗1分けと苦しむ大榎監督一方の清水は8月2日(土)に行われたJ1の第18節のFC東京戦(A)から大榎監督が指揮を執っている。ゴトビ監督を解任した当時は12位という順位で、残留争いに巻き込まれていたわけではなかった。さらに上の順位を目指すためにクラブOBである大榎監督に託したが、ここまでのリーグ戦は8試合で1勝6敗1分けと散々な成績になっている。
天皇杯では3回戦で札幌(H)、4回戦ではFC東京(A)に勝利してベスト8入りを決めたが、肝心のリーグ戦は最下位の徳島にホームで1対0で勝利しただけ。8試合で8得点22失点なので、「さらに上を目指す。」というフロントの目論見は外れてしまった。結果もさることながら、内容の良くない試合が続いているのは気になるところである。
J1の残留争いは名古屋が抜け出しつつある。清水・仙台・甲府・C大阪・大宮の5チームで「残留」という3つの椅子を争う形になっているが、しばらくの間、リーグ戦での勝利がなくて、9月13日(土)に行われたJ1の第23節の試合で久々に勝利を挙げた甲府やC大阪や大宮と比べても清水の状態の悪さというのは目立ってしまう。
次の26節は大宮戦(A)で、その次の27節はC大阪戦(H)ということで、ここから残留争いをするライバルチームとの2連戦となる。特に大事なのは中3日ということでほとんど準備期間が無い中で行われる次の大宮戦となるが、好材料に乏しい。慣れたやり方ではなくて、機能しているとは言い難い3バックを諦めるというのが現実的な改善策と言える。
関連エントリー 2007/08/11
【U-16日本×U-16米国】 君は宇佐美貴史を見たか? (生観戦記#14) 2008/08/12
【U-16日本×U-16ルーマニア】 天才・宇佐美貴史の未来(生観戦記#12) 2011/07/15
【G大阪×神戸】 宇佐美貴史 世界を魅了せよ!!! (生観戦記#2) 2014/02/20
【PSM:清水×川崎F】 国内屈指のスタジアムに行く (上) (生観戦記) 2014/02/20 <+N2646:N3217a href="http://llabtooflatot.blog102.fc2.com/blog-entry-4460.html" target="_blank" title="【PSM:清水×川崎F】 国内屈指のスタジアムに行く (中) (生観戦記)">【PSM:清水×川崎F】 国内屈指のスタジアムに行く (中) (生観戦記)
2014/02/21
【PSM:清水×川崎F】 国内屈指のスタジアムに行く (下) (生観戦記) 2014/08/12
【みん語:7】 J1で「サポーターの応援が凄い。」と思うクラブはどこですか? 2014/08/13
【みん語:8】 J2で「サポーターの応援が凄い。」と思うクラブはどこですか? 2014/09/24
個人別エントリー (宇佐美貴史)
- 関連記事
-