■ J2の開幕戦J2の開幕戦。初のJ2降格となったジュビロ磐田と、2013年は惜しくもプレーオフ出場を逃したコンサドーレ札幌がヤマハスタジアムで対戦した。磐田がトップリーグ以外でプレーするのはJFL時代の1993年以来となる。一方の札幌はシドニー・ワンダラーズのMF小野の加入が決まっているが、チームに合流するのは6月1日の予定。MF小野が合流するまでにどこまで勝ち点を積み上げることができるか。
ホームの磐田は「4-2-3-1」。GK藤ヶ谷。DF駒野、菅沼、伊野波、宮崎。MFフェルジナンド、藤田義、山田大、松井、ポポ。FW前田。新加入選手ではGK藤ヶ谷、MFフェルジナンド、MF松井、MFポポの4人がスタメンで起用された。ポーランドのレヒア・グダニスクでプレーしていたMF松井は京都時代の2004年以来のJリーグ復帰となる。J1では72試合、J2では55試合に出場している。
対するアウェーの札幌は「4-2-3-1」。GK金山。DF上原慎、小山内、櫛引、松本怜。MF上原拓、宮澤、砂川、石井、菊岡。FW内村。大卒ルーキーのMF上原拓がボランチで開幕スタメンの座を勝ち取った。札幌のユース出身で北海道教育大岩見沢校出身となる。ベテランのMF河合、テクニシャンのFW前田俊、五輪代表のMF荒野らはベンチスタートで、キーパーは長崎から加入のGK金山がスタメン起用された。
■ 1対0で札幌が勝利試合の序盤はホームの磐田がペースを握る。右サイドからの攻撃でトップ下で出場のMF松井に絶好機が訪れるが、GK金山が好セーブを見せて先制ならず。すると、前半16分にゴールやや右寄りのいい位置で札幌がFKを得ると、ベテランのMF砂川が右足で蹴ったボールがいいところでバウンドしてゴールイン。アウェーの札幌が先制に成功する。前半はそのまま1対0と札幌がリードして折り返す。
後半はビハインドの磐田が攻め込む時間が長くなる。何度かチャンスを逃した後、後半29分にペナルティエリア内で巧みなコントロールを見せたFW前田がPKを獲得するが、自ら蹴ったPKは札幌のキーパーのGK金山がビッグセーブを見せて同点とはならず。その後も、何度となく磐田が得点チャンスを迎えるが、GK金山の好セーブや相手守備陣の好ブロックにあってなかなかゴールを奪えない。
結局、磐田のシュートは17本で、札幌は5本だけ。決定機の数ははるかに磐田の方が多かったが、前半16分に挙げたMF砂川のゴールを守り切った札幌が1対0で勝利して、幸先のいいスタートを切った。一方の磐田は「優勝候補の筆頭」と言われているが黒星スタートとなった。次節は札幌はホームで山形と対戦して、磐田はアウェーでJ2昇格を果たした讃岐と対戦する予定になっている。
■ 本命の磐田は黒星スタート磐田は黒星発進となった。PKを含めて決定機は少なくとも6度はあったと思うが、相手キーパーの奮闘もあって無得点に終わった。悔やまれるのはMF松井が2度あった決定機に決められなかったことで、1つ目は右サイドからのクロスに対して、らしいトリッキーなシュートを放ったが、GK金山が好セーブを見せた。このシュートが決まっていたら、全く違った雰囲気になったと思うので、残念な逸機だった。
無得点に終わったがチャンスはたくさんあった。したがって、攻撃の流れは悪くなかったが、昨シーズンもこういう試合がたくさんあった。結局、核となるメンバーはほとんど変わらなかったが、昨シーズンの悪い流れを引きずっているようなところもある。次節はJ2に昇格して来た讃岐と対戦する。J2での最初のホームゲームなので大いに盛り上がると思われるが、絶対に勝ち点「3」を獲らなければならない。
戦力的にJ2の中で抜けているのは間違いない。シャムスカ監督もJリーグをよく知っている指導者である。磐田がJ1昇格を逃す確率は限りなくゼロに近いとは思うが、2010年の柏、2011年のFC東京、2013年のG大阪などJ2で他クラブを圧倒したところは、(最終的にはJ2降格となったが、)シーズン途中に監督を代えてある程度はJ1の中で立て直すことができていたが、昨シーズンの磐田はそうではなかった。
シーズン途中で関塚監督を招聘したが、ほとんど悪い流れを変えることはできなかった。むしろ、シーズン終盤のチーム状態がもっとも悪かったと思われるので、どん底状態から抜け出しながら最終的にはJ2降格となってしまった柏やFC東京やG大阪とはちょっと違っている。良くない雰囲気を早く一掃したいところであるが、「ホームで完封負け」なので流れを変えることはできなかった。
ただ、明るい話題もある。1つは新加入のMFフェルジナンドが「かなりやれそう。」だと分かった点である。「どちらかというと守備に特徴のあるボランチ」と言われているが、ドリブルで前に運ぶ推進力もあって、闘争心も旺盛だった。Jリーグのレフェリングに対応できるかどうかが大活躍できるか否かのカギを握ると思うが、昨シーズンの磐田に欠けていたピースを埋めることができたと思う。
■ 新守護神のGK金山が大活躍一方の札幌は「引き分けでも十分」という結果だったが、アウェーで磐田を下して、これ以上ないほどの好スタートを切った。DF奈良とDFパウロンというレギュラーCB2人がともに不在で、攻め込まれる機会は多かった。非常にタフな試合となったが、CBが本職とは言えないDF小山内、高卒4年目のDF櫛引の2人が中央でタイトな守備を見せた。自信につながるシーズンの開幕戦となった。
ヒーローの1人目は何と言ってもGK金山である。GK李昊乗が2012年のシーズン序盤に怪我をしてからはキーパーで苦労した。昨シーズンなどは明らかにキーパーのポジションがチームの弱点になっていたので、2013年のJ2でトップレベルの活躍を見せたGK金山を獲得できたのは大きい。さっそく大活躍を見せてチームを勝利に導いたので、チーム内での存在感がさらに高まるのは確実である。
1988年生まれのGK金山も広島ユースで育った選手である。現群馬のFW平繁と同期で、2学年上が浦和のDF森脇や札幌のFW前田俊で、1学年上が浦和のMF柏木やDF槙野となるが、この世代の広島ユースは数えきれないほど多くの選手がプロになっていて、一線級で活躍している選手も少なくない。まさしく黄金世代と言えるが、安定感があって、フィードも正確で、J2では屈指のキーパーである。
札幌のMF砂川のFKからのゴールはコースやアイディアが抜群だったが、「壁の外から巻いてくる可能性がある。」ということを想定していれば、磐田のキーパーのGK藤ヶ谷は「何とかできたのでないか?」という気もする。失点や勝利に直結する大事なポジションと言えるが、キーパーが安定しているチームが大きく乱れることは無い。GK金山はインパクト大のデビュー戦となった。
■ いぶし銀のベテランもう1人のヒーローは決勝弾のMF砂川である。最終ラインだけでなく、中盤も怪我人が出ているので、ちょっと苦しいメンバー構成だったが、ベテランの一撃で勝ち点「3」を獲得した。序盤はかなり攻め込まれたので、磐田に先制された場合、勝ち点を獲得するのはかなり難しかったと思うので、FKからのMF砂川のゴールは非常に大きかった。先のとおり、コースとアイディアが抜群だった。
得点シーン以外でも、MF砂川の存在感は大きかった。札幌は押し込まれる展開だったが、防戦一方にならなかったのは、奪ったボールをきちんとつなぐことができたからだと考えられる。MF砂川あるいはMF菊岡のところにボールが入ったときは確実に時間を作ることができたが、そこに至るまでのつなぎの精度が昨シーズンと比べると向上している。入念にトレーニングをしてきたことがうかがえる。
MF砂川は36歳になったが、「今でもチームの中で一番走っているのではないか?」と思うほど、エネルギッシュである。技術が高くて、アイディアが豊富なのは改めて触れるまでもないと思うが、30代半ばを過ぎてここまで頑張れる選手はなかなかいない。この日はスタメンだったが、途中出場でも高確率で存在感を発揮できる選手なので、札幌にとっては大事な選手である。
1996年から2002年まで柏でプレーして、2003年に札幌に移籍してきた。したがって、札幌では12年目となるが、ユース出身で経験の少ない若手が多数を占めるようになった中でも、こういう選手が未だに中心の1人として君臨しているのはなかなか面白い。派手な選手ではないが、ツボを心得た心憎いプレーをする選手である。「いぶし銀」という表現がここまで似合う選手はなかなかいないと思う。
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