■ 第26節J1の第26節。3勝21敗1分けで勝ち点「10」のコンサドーレ札幌と、7勝12敗6分けで勝ち点「27」の大宮アルディージャが札幌の厚別公園競技場で対戦した。J1の下位グループは、25節を終えた段階で、14位のC大阪が勝ち点「29」、15位の大宮が勝ち点「27」、16位のG大阪と17位の新潟が勝ち点「25」、18位の札幌が勝ち点「10」となっている。
ホームの札幌は「3-4-2-1」。GK高原。DFジェイド・ノース、宮澤、金載桓。MF山本真、河合、高木純、岩沼、岡本。FW内村、ハモン。右アキレス腱の怪我で長期離脱していたGK高原は復帰後、2試合目のスタメンとなった。この試合は3バックを採用して、DF宮澤が3バックの中央に入る。
対するアウェーの大宮は「4-2-3-1」。GK北野。DF村上、菊地、河本、下平。MF青木、金澤、渡邉大、東、カルリーニョス。FWノヴァコヴィッチ。ケルンから加入のFWノヴァコヴィッチは3試合目のスタメンで、ここまでは5試合に出場して1ゴールを挙げている。FWズラタンはベンチスタートとなった。
■ 大宮が圧勝!!!試合は立ち上がりからアウェーの大宮のペースとなる。MF東が積極的にボールに絡んでチャンスを作っていく。対する札幌は、ほとんどシュートシーンを作れず、劣勢の展開となる。0対0で終了したが、大宮が圧倒して前半45分を終了した。
後半開始から大宮はボランチのMF青木に代えてFWズラタンを投入。すると、後半5分に左サイドの裏に飛び出したFWズラタンがペナルティエリア内でMF高木純に倒されてPKを獲得。しかも、このプレーでMF高木純はレッドカードを受けて退場。札幌は10人になってしまう。
ここで得たPKをFWノヴァコヴィッチが決めて大宮が先制すると、さらに後半15分にもセットプレーの流れからMFカルリーニョスが豪快なミドルシュートを決めて2対0とリードを広げる。MFカルリーニョスは今シーズン3ゴール目となった。
勢いの止まらない大宮は、後半18分にFWノヴァコヴィッチが決めて3点目を挙げると、後半32分にも、再び、FWノヴァコヴィッチは決めてハットトリックを達成。後半ロスタイムには、途中出場のFW長谷川も決めて5点目。結局、試合は5対0でアウェーの大宮が圧勝して、勝ち点「3」を獲得した。
■ FWノヴァコヴィッチがハットトリック一時は、降格圏の17位まで落ちた大宮だったが、ここ5試合で3勝1敗1分けと勝ち点を稼いで、15位まで順位を上げてきた。ライバルのC大阪やG大阪も、ここに来て、勝ち点を伸ばしているので、厳しい戦いが続いていくが、ひとまず、17位の新潟との差は「4」に広がった。
25節のホームの鳥栖戦、26節のアウェーの札幌戦は、昇格組との連戦ということで、最低でも、2試合で勝ち点「4」が欲しいところであったが、結局、勝ち点「6」を稼いで、最高の結果を得た。後ろから迫ってくるのが、G大阪なので、全く安心できる状況ではないが、大宮も勢いに乗ってきた。
新外国人のFWノヴァコヴィッチが3ゴールと爆発したのも大きい。1979年5月18日生まれなので、33歳と高齢ではあるが、ブンデスリーガでの実績は、同じくドイツでプレーしていたFWケネディよりもはるかに上であり、190センチの高さは大きな武器となる。
W杯に出場した経験もあって、相当な大物であるが、セルフィッシュなところは見られず、チームプレーヤーで、献身的なプレーもこなしている。これで6試合で4ゴールとなったが、残り8試合で、最終的には、二桁近くまで、ゴール数を伸ばしてくるのではないか。Jリーグでは少ないタイプなので、かなりの活躍が期待できる。
■ 熾烈な残留争い後半開始から、FWズラタンを投入したことも成功した。後半5分のPKのシーンは、FWズラタンが裏に飛び出して、ペナルティエリア内でMF高木純のファールを誘ったが、このPK&レッドカードで、大宮が絶対的に有利な立場となった。FWズラタン、MF曹永哲、FW長谷川とタイプの異なる選手がベンチに控えているのは、強みである。
ロンドン五輪代表のMF東は、ゴールこそなかったが、前半から広範囲に動いて、札幌のDFは全くMF東を捕まえきれなかった。19試合で1ゴールだけというのは、寂しい数字であるが、FWノヴァコヴィッチが加入して、点の獲れる選手が真ん中に構えるようになったので、MF東が決定機に絡むシーンは多くなるだろう。
結局、26節は、14位のC大阪と15位の大宮と16位のG大阪が勝利して、17位の新潟はドローに終わったので、C大阪が勝ち点「32」、大宮が勝ち点「30」、G大阪が勝ち点「28」、新潟が勝ち点「26」となった。残留争いは、当初は、C大阪と大宮とG大阪と新潟の争いで、「この4チームで2つのイスを争う。」という形になったと思われていたが、12位の鹿島と13位の神戸が勝ち点「33」なので、鹿島と神戸も危なくなってきた。
■ 次節にも降格・・・一方の札幌は、攻撃的な3バックを採用したが、ほとんど機能しなかった。いつもは、点の欲しい時間帯にDF宮澤を最終ラインに下げて、4バックから3バックに変更してくるが、この日は、最初から3バックを採用して、勝負に出たが、DF宮澤は、もともと、フォワードの選手であり、カバーリングなどに大きな問題があった。同じことをしていても、勝てないので、チャレンジするのは悪いことではないが、熟成度は低かった。
これで、札幌は26節を終えた段階で、勝ち点「10」にとどまっている。残り8試合で全勝したとしても、勝ち点「34」にしかならなくて、次節にも、J2降格が決定する。2007年の横浜FC、2008年の札幌は、残り5試合を残した時点でJ2降格となったが、7試合を残した段階で降格となると、史上最速となる。
こうなった以上、J2降格は避けようがないが、このままでは、ほとんど収穫のないままで、J1での戦いを終えることになる。札幌は、2002年や2008年も、残留争いから脱落して、あっさりした形で降格となったが、J1の舞台で、実りのある戦いができていないことが、チームとしての発展を阻んでいるように感じる。
戦力的に厳しいのは明らかであり、「18チーム中、15位以内に入る。」というのは、相当に難しいことなので、結果的に降格するのは、仕方がないが、無抵抗のままでJ1の挑戦を終えることが続いているのは問題で、J2降格によって、チームをリセットする感じになるので、再昇格するまでに時間がかかってしまう。
DF奈良、DF櫛引、MF榊、MF荒野、MF深井など、10代に日本代表クラスのタレントが揃っているので、彼らがチームの中心になる5年後あたりが、札幌にとって、非常に重要になってくる。エレベータークラブを脱出するチャンスであるが、このままでは、同じ失敗を繰り返す可能性の方が高い。何かを変えないといけない時期に入っている。
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