■ 第2節J1の第2節。元ブラジル代表でクラブOBのジョルジーニョ監督を迎えた鹿島アントラーズは、ホームで川崎フロンターレと対戦した。川崎Fは相馬監督が就任して2年目のシーズンとなる。開幕戦は鹿島はアウェーで仙台に0対1で敗れたが、川崎Fはホームで新潟で1対0で勝利している。この試合は、鹿島の黄金時代の礎を築いたレジェンド同士の初対決となった。
ホームの鹿島は「4-2-2-2」。GK曽ヶ端。DF新井場、岩政、中田浩、アレックス。MF増田、小笠原、柴崎、遠藤。FWジュニーニョ、大迫。川崎FのレジェンドのFWジュニーニョは、初の古巣との対決となった。中盤はダブルボランチで、プラチナ世代のMF柴崎がスタメン出場。MF本山、MF山村、FW興梠らがベンチスタートとなった。
対するアウェーの川崎Fは「4-2-2-2」。GK西部。DF實藤、ジェシ、森下、小宮山。MF柴崎、中村憲、田坂、山瀬功。FWレナト、小松。新外国人のDFジェシとFWレナトがスタメン出場。移籍組のGK西部、DF森下、FW小松も先発出場で、右SBには大卒2年目のDF實藤が起用された。DF實藤は、2010年のアジア大会の決勝でゴールを決めている。
■ 川崎Fが連勝スタート試合は、前半4分に鹿島がビッグチャンスを迎える。ロンドン五輪代表のFW大迫が左サイドを崩して中央に折り返すと、走り込んできたMF遠藤が得意の左足で合わせるが、GK西部がセーブして先制ならず。さらに、前半33分にも、MF柴崎が右サイドに展開して、オーバーラップしたDF新井場のクロスからFWジュニーニョがフリーでシュートを放つが、GK西部の正面に飛んでしまう。
対する川崎Fは、新戦力のFWレナトのプレイスキックでゴールを脅かす。前半15分の直接フリーキックは、GK曽ヶ端が横っ飛びでセーブしてゴールはならなかったが、前半終了間際に30メートルはあろうかという位置からフリーキックを得ると、FWレナトがゴール前に供給したボールをGK曽ヶ端が判断をミスして、GK曽ヶ端の頭の上を超えてゴールイン。FWレナトのJリーグ初ゴールで川崎Fが先制する。
鹿島は後半開始から、MF増田に代えてロンドン五輪代表のMF山村を投入。中盤のテコ入れを図るが、打開できるポイントを見つけられない。一方の川崎Fは、後半28分にMF稲本を投入し、試合をクローズしにかかる。ビハインドの鹿島は、MF土居、FW岡本を投入するも、後半はほとんどいい形を作れず。終盤にはイージーなパスミスも増えて、流れを失ってしまう。結局、試合は1対0でアウェーの川崎Fが勝利し、開幕2連勝となった。逆に鹿島は、開幕2連敗となった。
■ バランスの良くなった川崎Fアントラーズ出身のレジェンドが率いるチームの対決として注目を集めたが、監督に就任して2年目となる相馬監督が率いる川崎Fが1対0で勝利した。序盤はどちらかというと鹿島ペースで、開始早々にMF遠藤が決定的なシュートを放つなど、鹿島にもチャンスがあったが、GK西部の好セーブなどでゴールを許さず、逆に、前半ロスタイムに挙げたFWレナトのゴールを守り切った。
昨シーズンの川崎Fは、クラブワーストの8連敗を喫するなど、J1に再昇格してから最低のシーズンとなった。攻撃的になり過ぎるところが問題となって、不本意なシーズンとなったが、オフに、DFジェシという守備の要となる選手を獲得したことが大きく、彼がディフェンスをまとめている。さらには、新加入のDF森下、右SBでレギュラーを確保したDF實藤も、堅実な守備を見せており、後ろが安定したことで、戦い方が落ち着いてきた。
もともと、前線には個人で打開できる選手が揃っているので、必要以上に攻撃的にならなくても、ゴールに結びつけることができるチームである。関塚監督の頃は、バランスのとれた戦いができており、タイトル争いの常連になったが、相馬監督は理想を追い求め過ぎて、墓穴を掘ることになった。ただ、就任して2年目となる今シーズンは、現実的なサッカーができており、上位進出も期待できる。
■ 新外国人のFWレナトが決勝フリーキック過去を振り返ってみても、川崎Fが獲得してくる外国人は、アタリが多い。特に、アタッカーのポジションに関して、ハズレだった選手を思い浮かべることが困難なほど、成功例ばかりであるが、新加入のFWレナトという選手も、かなりの選手である。川崎Fではフォワードでプレーしているが、本来はトップ下の選手ということで、得点力がどの程度なのかは不明であるが、ドリブルも上手で、運動量もあって、トリッキーなプレーもできる。攻撃に変化を加える存在としては、かなり優秀である。
そして、何と言ってもプレイスキッカーとして優秀な選手である。開幕戦でも、DF實藤の決勝ゴールをお膳立てしたが、左足のキックは精度が高くて、鋭いボールをゴール前に供給することができる。決勝ゴールとなったフリーキックは、GK曽ヶ端のポジショニングのミスがあったので、ラッキーな面もあるが、判断を誤っても仕方がないほど、鋭いボールがゴール前に入ってきた。
今シーズンは、FWジュニーニョの後継者ということで、かなりのプレッシャーを抱えてプレーすることになるが、レジェンドとの直接対決で決勝ゴールをマークしたことで、サポーターの支持を集めることができた。喜怒哀楽を出しながらプレーするタイプなので、プレーがうまくいかないときに、イライラが募って自滅しそうな選手のように思えるが、相馬監督は精神的部分をうまくコントロールしてやることができれば、攻撃の軸となることは確実である。
■ 2連敗スタートの鹿島一方の鹿島は、開幕2連敗となった。開幕戦でもノーゴールだったので、2試合を終えてゴールが生まれておらず、攻撃の形も見えてこない。ウイークポイントになっているのは、2列目のポジションで、MF野沢が移籍し、MFフェリペ・ガブリエルも退団したため、レギュラーだった選手がいなくなってしまった。MF野沢にしても、MFフェリペ・ガブリエルにしても、物足りなさを感じる部分もあったが、現状は、彼らを上回る選手が見当たらないので、ダメージとなっている。
逆に、豊富なのはボランチのポジションで、人材過多である。そのため、ジョルジーニョ監督は、MF小笠原、MF柴崎といった選手を2列目で起用するアイディアを持っているが、ゴール前で怖さを発揮する選手ではないので、相手の脅威とはならない。軸となることが期待されるのは、高卒6年目のMF遠藤で、辛抱して起用する価値のある選手だと思うが、全幅の信頼を置くことはできず、この試合の最後は、総入れ替えのような形となった。
FW大迫とFWジュニーニョがシュートシーンをたくさん作って、ゴールに絡むプレーができるようだと、ボランチタイプの選手を2列目で起用しても問題はないが、現状は、2トップも質の高いプレーができていないので、どうやってゴールを奪うのか、想像しにくい。思った以上に事態は深刻で、ここからジョルジーニョ監督がどう立て直すのか。興味深いところであるが、選択をミスるようだと、下位に沈む可能性もある。
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