■ 第12節川勝新監督を迎えて立て直しのシーズンとなった東京ヴェルディ。しかしながら2勝5敗3分けとスタートで躓いてしまった。対するザスパ草津も副島監督を迎えたが、2勝7敗2分けと思うように勝ち点が稼ぐことが出来ていない。
ホームでまだ今シーズン勝利のない東京Vは<4-2-3-1>。GK土肥。DF福田、土屋、富澤、吉田。MF佐伯、柴崎、菊岡、河野、飯尾。FW平本。サイドバックからフォワードにコンバートされたFW平本が1トップで先発出場。今シーズンは3ゴールをマークしている。
対する草津は<4-2-2-2>。GK伊藤。DF佐田、戸田、秋葉、佐藤。MF松下、櫻田、広山、菊池。FWラフィーニャ、高田。名古屋からレンタル中のDF佐藤が左サイドバックでスタメン。DF戸田のパートナーに入ったのは若年層の日本代表にも選ばれていたDF秋葉信秀。今シーズン初スタメンとなる。2列目には前節、ゴールを決めた湘南からレンタル移籍中のMF菊池。2トップは新外国人のFWラフィーニャとFW高田。
■ 富澤の先制ゴール試合は早々に東京VのMF菊岡が負傷退場し、2009年にナイジェリアで行われたU-17の世界選手権の日本代表として活躍を見せた元プロ野球選手の高木豊氏の二男のMF高木善朗が登場する。序盤から東京VがペースをつかみFW平本らの突破から決定機を作っていく。東京Vが優勢だったがゴールは生まれず、両チームともに無得点で前半は終了。
後半に入ると、草津のFW高田が2度の決定機を迎えるがゴールはならず。すると、後半14分にピッチ中央で相手のパスをインターセプトしたDF富澤がドリブルで前進し右サイドで待つFW平本にパス。FW平本が得意の左足でシュートを放つと、そのこぼれたボールをインターセプトの流れでゴール前に駆け上がっていたDF富澤がボレーシュート。東京Vが先制する。
さらに東京Vは後半22分にもFW平本の優しいパスからゴール前に走り込んだFW河野が草津のDF佐田に倒されてPKを獲得。このプレーでDF佐田はレッドカードで退場。MF河野が自ら落ち着いてPKを決めて2点目を奪う。
10人で苦しくなった草津に対して東京Vは3点目を狙い、何度かチャンスを作るがダメ押しのゴールは生まれず。それでも2対0で東京Vが完勝し、ホームで初勝利を飾った。
■ ホーム初勝利3敗2分けとここまでのホーム5試合で未勝利だった東京Vだったが、ようやく今シーズン、ホームでの初勝利を飾った。草津の得点源であるFWラフィーニャに自由を与えず、試合を通して主導権を握り続けた。序盤にMF菊岡が負傷退場したことでプランは少し崩れたが、完勝だった。
先制ゴールを奪ったのはDF富澤。チャンスがありながらもネットを揺らすことの出来ないもどかしい展開になったが、見事なインターセプトから自らでチャンスメークし、最後はボレーシュート。このDF富澤の思い切りのいいプレーが押しながらも先制ゴールが奪えなかったチームに待望の先制ゴールをもたらした。
■ 1トップの平本東京VはFW大黒、草津はFW都倉と、共にオフに絶対的なストライカーを失っている。クラブの財政的な問題もあって仕方がないことであるが、両チームともにエースの穴埋めに非常に苦労しているのが現状である。
東京Vは1トップを採用することが多く、FW井上やFW高木俊といった候補者を試してきたが、ここに来てFW平本の1トップで定着しつつある。相変わらず相手のGKと1対1になったときの決定力には大きな課題を抱えているが、高さもあって、ドリブルで1人でも持ちこめる点を考えると、ベターな選択といえるである。この日はゴールはなかったが、2つのゴールをお膳立てしている。
もともとFW平本は、ストライカーというよりも、サイドに流れたり、中盤に下がって来てからのドリブルに威力を発揮するタイプなので、肝心なときにゴール前にいないときも多い。したがって、1トップのFW平本を機能させるためには、中盤のMF飯尾やMF河野らの得点力アップも不可欠である。
■ 都倉の穴一方の草津はFW都倉の穴を埋めるべく、新外国人のFWラフィーニャを獲得。ここまでの12試合中7試合でスタメン出場。3ゴールを挙げている。172cmということで大きな選手ではないが、頑丈そうな体でフィジカル的にもなかなか強そうで突破する力もある。
この日は東京Vのディフェンスの前になかなかシュートシーンは作れなかったが、これまでの草津にはいなかったタイプの選手で面白い存在といえるが、FW都倉の高さが無くなったことは攻守両面で非常に痛い。
■ 2試合連続ゴールはならず前節のギラヴァンツ北九州戦で草津での初先発を果たし先制のゴールを決めたMF菊池大介は2試合連続でスタメン出場。この日も得点に絡むことが期待されたが、チームは劣勢でなかなかドリブルで突破するチャンスは巡って来ず。攻撃面では持ち味を発揮しきれずに終わった。
MF菊池は1991年生まれで大学1年生の年齢になるが、高校1年生の頃から湘南でプレーしており、プロのキャリアとしては4年目となる。湘南の至宝であり、次回のワールドユース出場を狙うU-19日本代表にも名を連ねるが、湘南がJ1に昇格し、FWアジエルやFW中村、FW馬場とポジションを争うライバルが多く、J1では出場機会があまり与えられないことを見越した湘南が草津にレンタルでの移籍を打診した形になっている。
18歳の選手がレンタルで出されること自体がかなり異例であるが、それだけ湘南がMF菊池の将来に期待しているということだろう。この日は、後半にDF佐田が退場したことで途中から右サイドバックでもプレー。どちらかというとボールタッチも含めてプレーがソフトなタイプであるが、不慣れなポジションでチームがうまくいかないながらも懸命にプレーした。
■ プラチナ世代の高木善朗前半早々に負傷したMF菊岡に代わって2009年のU-17の世界選手権にも出場したMF高木善朗が前半5分という早い時間帯に投入された。今シーズンはここまで11試合中10試合で出場機会を得ていて2試合で先発出場を飾っているが、この日は、先発フル出場した第5節に次ぐ、長時間のプレー機会が与えられた。
そのプレー内容は「まだまだ」といったところで、押し気味のチームの中でうまくボールに絡むプレーが少なく、存在感を発揮するには至らなかった。試合終盤になってようやく右サイドからフリーで放ったシュートがポストに直撃したシーン(決まっていればプロ初ゴール)と、途中出場したFW井上に出したスルーパスは片鱗をみせたが、2列目にMF飯尾、MF河野、MF高木と小柄な選手が並ぶ布陣で、役割分担も明確ではなかった。
大きなアピールは出来なかったが、それでも高校3年生の年代にしてこれだけの出場機会を得ているということは素晴らしいことである。U-17の世界選手権ではブラジル相手でも、かなり持ち味を発揮出来ていたが、さすがにプロの世界に入ると思うようなプレーをすることは難しい。しかし、これもいい経験となるだろう。
昨年のU-17世界選手権では日本代表はグループリーグで3連敗に終わったが、この世代は「プラチナ世代」と呼ばれている。期待が大きかっただけに失望感も大きかったが、3連敗という結果から選手が何かを感じ取ることができれば、無駄なものではなかったと言える。
幸いにして、主力メンバーの多くが高校3年生の年齢になるが、ガンバ大阪のFW宇佐美貴史、ヴィッセル神戸のFW小川慶治朗、京都サンガのFW宮吉拓実、浦和レッズのDF岡本拓也、大分トリニータのDF松原健ら、Jリーグで出場機会を得ている選手も多い。彼らは4年後、21歳から22歳の年齢となる。
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