■ J1の歴代の90分当たりのシュート本数のランキングJリーグの公式サイトを訪問すると、J1やJ2やJ3の過去の試合結果であったり、通算の成績を簡単に確認することができる。特に個人成績は様々な条件を付けて検索ができるようになっているが、今回は「シュート本数」に注目した。Jリーグが誕生して20数年が経過したが、「シュートまで持っていく能力が高かった選手は誰か?」を調べてみた。(※ 数値は全て2015年シーズンの1stステージの15節終了時点である。)
90分当たりのシュート本数の歴代ランキングは一番下にある表1のとおり。なお、検索結果は1500件までしか出てこないシステムなので、対象は「J1で4ゴール以上の選手」に限定される。「ピークの時期あるいはピークを少し過ぎたあたりに来日して助っ人として数年間プレーして帰国する。」というパターンが多くなるため、こういった通算成績を考えるときは外国人選手がかなり有利で上位は外国人選手が独占した。
栄誉ある歴代1位に輝いたのはFWフッキ(東京Vなど)。「90分当たりに何本のシュートを放ったのか?」を示すシュート/90分は脅威の「7.21」。2008年の途中に川崎Fから東京Vに移籍して、その後、東京Vからポルトガルに渡って欧州でも活躍。母国で開催されたブラジルW杯のときはセレソンのレギュラーとして上位進出に貢献したことは良く知られている。当時からパワーとスピードは並外れていた。
2位は少し意外な気もするが、2012年と2013年にFC東京でプレーしたMFネマニャ・ヴチチェヴィッチ。2年間で29試合に出場して9ゴール。これだけ見ると「そこまでの数字ではない。」と言えるが、彼は途中出場がほとんどだったのでトータルの出場時間はわずか540分。フル出場した場合の6試合分。にもかかわらず、40本のシュートを放って9ゴールを記録。90分当たりの数値に直すと歴代でもトップクラスとなる。
3位は浦和のFWエメルソン。FWフッキと同様で彼が上位に来るのは予想通り。4位は柏のFWストイチコフ。1994年のアメリカW杯の得点王でブルガリアの英雄。「Jリーグではあまり活躍できなかった。」というイメージもあるが、シュート/90分の数値は優秀。コストパフォーマンスは良くなかったと思うが、27試合に出場して12ゴールというのは(コストは度外視すると)助っ人としては十分に合格点である。
続く5位は柏のMFシルバ。1997年の途中から1998年まで柏に所属した。このクラスの選手になると「名前」と「国籍」と「いつ頃にJリーグでプレーしたのか?」程度しか分からない。6位は原監督時代のFC東京でプレーしたFWササ・サルセード。結構な大物で加入が決まったときは話題になった。大柄な割には足下の技術が高かった。Jリーグでは18試合で6ゴールなので期待されたほどゴールを量産できなかった。
7位はFWアウドロ。上位の中ではFWアウドロだけは「誰???」となったが、Jリーグ元年に横浜フリューゲルスで少し活躍した選手。言われてみると、そういう選手がいた記憶はある。8位はFWベンチーニョ。セリエAに移籍したFW三浦知の代役として1994年途中にヴェルディ川崎に入団。高さを生かしたヘディングが印象的。柏や川崎Fや大分や福岡でもプレーしたが、どのチームでも活躍した優良助っ人である。
9位はカメルーン代表のFWエムボマ。フジテレビのドラマの「HERO」の最終回で木村拓哉と「カメルーン代表の選手の名前を11人言えたらW杯につれて行く。」という約束をした松たか子が最後に名前を挙げた選手としても超有名。10位は横浜フリューゲルスで活躍したFWエドゥー。Jリーグ史上屈指のプレイスキッカーとして知られている。どこからでもゴールを狙える直接FKでいくつものスーパーゴールを決めている。
11位以下も外国人が続く。11位はFWウィル。ニックネームは「俺王(様)」。札幌時代の2001年にJリーグの得点王に輝いた。太めの体型だったがゴールを量産。ブラジル人ストライカーは少しくらい太っていても大丈夫なのは不思議。12位はFWアルシンド。「友達なら当たり前」でお馴染み。未だに年末年始のサッカー番組に頻繁に登場する。Jリーグ元年はFW三浦知以上の人気だった。Jリーグブームの象徴的な存在。
13位はアニマルことFWエジムンド。非常に気難しい性格で知られているが、東京Vのときは優等生だった。2003年に浦和に移籍するが、当時のオフト監督と衝突してリーグ戦の出場はなし。ブラジルの英雄のFWロマーリオとは犬猿の仲だったと言われる。14位は甲府に戻って来たFWバレー。2005年の柏との入れ替え戦で記録したダブルハットトリックがあまりにも有名。甲府の初昇格に大きく貢献した英雄である。
15位は90年代後半に清水で活躍したFWオリバ。72試合で40ゴール。オールラウンダーだった。16位はピチブー(猛犬)の愛称で親しまれたFWウェズレイ。通算ゴール数は歴代7位。外国人選手では神戸のFWマルキーニョスに次ぐ第2位。名古屋時代はスピードもあった。16位はFWアリソン。00年代前半に浦和と神戸とG大阪でプレー。56試合で6ゴールと数字は平凡だったが、シュート/90分の数値は優秀だった。
18位はジェフ市原でプレーしたFWラデ。ユーゴスラビア代表経験がある。「バルカンの超特急」と言われたが、185センチと高さもあった。Jリーグでプレーしたのは1997年のみ。シーズン途中に退団しているので、Jリーグでプレーした期間は本当に短かった。19位はC大阪のFWフォルラン。1年目は散々「期待外れ」と言われたが、シュート/90分の数値は優秀だった。2010年の南アフリカW杯の得点王&MVP。
20位はMFポポ。キャノンシュートが最大の武器。136試合で27ゴールなので、得点力はあまり高くなかったが、シュートエリアが非常に広かった。昨シーズンは磐田でプレーした。運動量が多くて精力的な守備でもチームに貢献できるタイプ。21位は清水でプレーしたMFジャウミーニャ。強かった時代のデポルティーボ・ラ・コルーニャで攻撃の中心として大活躍したイメージの方が強い。清水では11試合で4ゴール。
22位のFWフェルナンドは1998年の途中から数か月ヴェルディ川崎でプレーしているが、10試合で5ゴール。この選手のプレーを見た記憶は残念ながら無い。23位は浦和で活躍したFWワシントン。ブラジル代表として2001年に行われたコンフェデにも出場しているので、来日前から有名だった。24位のFWオビクはナイジェリア代表歴のあるストライカー。身体能力が高い選手だった。低迷期の福岡でプレーした。
25位はFWネット・バイアーノ。柏時代はFWネットという登録名でプレーしていた時期もある。2009年の途中にJ2降格の危機にあった千葉に加入。187センチ高さを生かしたプレーと左足を武器にまずまずの活躍を見せたが救世主にはなれず。ということで、1位から25位までは全員が外国人選手。FWストイチコフやFWフォルランなど世界的にも有名な選手もチラホラ。さてさて、日本人1位はいったい誰なのか?
表1. シュート/90分の数値が高い選手のランキング (1位から25位まで)
ランク | 名前 | 最終所属 | 試合数 | ゴール数 | 出場時間(分) | シュート数 | シュート/90分 |
1 | フッキ | 東京ヴェルディ | 22 | 8 | 1,597 | 128 | 7.21 |
2 | ヴチチェヴィッチ | FC東京 | 29 | 9 | 540 | 40 | 6.67 |
3 | エメルソン | 浦和レッズ | 100 | 71 | 8,898 | 503 | 5.09 |
4 | ストイチコフ | 柏レイソル | 27 | 12 | 2,140 | 111 | 4.67 |
5 | シルバ | 柏レイソル | 22 | 10 | 1,736 | 90 | 4.67 |
6 | ササ サルセード | FC東京 | 18 | 6 | 956 | 48 | 4.52 |
7 | アウドロ | モンテディオ山形 | 21 | 7 | 1,756 | 87 | 4.46 |
8 | ベンチーニョ | アビスパ福岡 | 68 | 48 | 5,830 | 278 | 4.29 |
9 | エムボマ | ヴィッセル神戸 | 79 | 48 | 5,722 | 270 | 4.25 |
10 | エドゥー | 横浜フリューゲルス | 67 | 18 | 6,247 | 292 | 4.21 |
11 | ウィル | 大分トリニータ | 66 | 40 | 5,702 | 264 | 4.17 |
12 | アルシンド | ヴェルディ川崎 | 125 | 79 | 11,267 | 519 | 4.15 |
13 | エジムンド | 浦和レッズ | 31 | 18 | 2,992 | 137 | 4.12 |
14 | バレー | ヴァンフォーレ甲府 | 99 | 50 | 8,219 | 376 | 4.12 |
15 | オリバ | 清水エスパルス | 72 | 40 | 6,150 | 281 | 4.11 |
16 | ウェズレイ | 大分トリニータ | 217 | 124 | 19,052 | 868 | 4.10 |
17 | アリソン | ガンバ大阪 | 56 | 6 | 4,133 | 185 | 4.03 |
18 | ラデ | ジェフ市原 | 16 | 8 | 1,478 | 65 | 3.96 |
19 | フォルラン | セレッソ大阪 | 26 | 7 | 1,673 | 73 | 3.93 |
20 | ポポ | ジュビロ磐田 | 136 | 27 | 9,116 | 394 | 3.89 |
21 | ジャウミーニャ | 清水エスパルス | 11 | 4 | 939 | 39 | 3.74 |
22 | フェルナンド | ヴェルディ川崎 | 10 | 5 | 844 | 35 | 3.73 |
23 | ワシントン | 浦和レッズ | 85 | 64 | 7,368 | 302 | 3.69 |
24 | オビク | アビスパ福岡 | 25 | 9 | 2,330 | 95 | 3.67 |
25 | ネット バイアーノ | 柏レイソル | 25 | 5 | 1,080 | 44 | 3.67 |
【J1】 シュート/90分のランキングをまとめてみた。(後編)に続く。
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