■ 防御率の上位「Jリーグ史上最高のキーパーは誰か?」という話をするとき、参考になるデータは、Jリーグが発表している「通算の防御率」である。2,700分以上出場したキーパーが対象で、90分あたりの失点数でキーパーを評価している。昔は延長戦があったので少し事情は異なるが、今の基準で考えると、フル出場するならば、2,700分という数字は「30試合分」となるので、ほぼ1シーズンを通してレギュラーを確保したとき、到達できる数字である。
したがって、この数字をクリアしている人数は多いかと思ったが、今の時点でクリアしているのは、合計で79名である。よって、印象としては、それほど多くない。当然、現役選手は試合を重ねるごとに数字が変化していくが、防御率のランキングを見ると、2013年のJ1の第8節を終了した時点で歴代1位になっているのは、磐田で活躍したGKヴァン・ズワムで、唯一の0点台(=0.89失点/90分)と素晴らしい成績を残している。
オランダ出身で安定感のあるキーパーだったが、ではでは、彼がJリーグ史上最高のキーパーだったかというと、そのように評価する人はほとんどいないだろう。2000年から2003年まで磐田でプレーして、2001年にはJリーグのベストイレブンに選出されているが、彼がプレーしていたときの磐田は黄金時代の真っただ中で、圧倒的にボールを支配して圧勝する試合が多かった。そのためキーパーが活躍する試合展開になることは稀だった。
2位はGK榎本哲也(横浜FM)で1.07失点/90分、3位はGK飯倉大樹(横浜FM)で1.07失点/90分と続いていく。同じく横浜FMの守護神として活躍したGK榎本達也(現栃木SC)も1.19失点/90分で11位タイに入っているので、横浜FMの守備の堅さというのは、歴代のキーパーの防御率を見ても一目瞭然である。防御率の場合、大量失点を喫するシーズンや試合があると、一気に跳ね上がってしまうが、横浜FMはそういうことは少ないので、優れた数字になる。
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